JP2005112944A - 生分解性ワックス組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】 防湿性に優れ、溶融成形が容易な生分解性のワックス組成物を提供すること。
【解決手段】 ワックスを主体とし、生分解性の高分子物質およびフィラーを含有し、40℃、90%RHにおける透湿度が3g・mm/m2・24hr以下である。前記ワックスの含有量は65〜95重量%であることが好ましい。また、前記生分解性高分子物質の重量平均分子量は200,000以上であることが好ましい。
【選択図】 なし

Description

本発明は、防湿性に優れ、多層フィルムやコート層の形成が容易な生分解性ワックス組成物に関する。
ワックスは、防湿剤やホットメルト接着剤の一成分として広く使用されているが、近年の環境意識の高まりから、これらワックスを用いた素材にも生分解性が要求されるようになりつつある。ワックスの中には生分解性を有するものも種々あるが、ワックスを単独で使用した場合には、その溶融粘度が極端に低いため、通常は樹脂等を混合して使用されている。
熱可塑性樹脂と粘着付与剤とを主成分とする生分解性のホットメルト接着剤組成物が知られている(特許文献1参照)。この組成物においては、熱可塑性樹脂及び粘着付与剤の少なくとも一方がポリ乳酸又は乳酸共重合体からなり、50重量%以下のワックスを含む。また、生ロジン、天然ゴム及びワックスからなる生分解性のホットメルト接着剤組成物も知られている(特許文献2参照)。これらの組成物は、十分な防湿性を有するものではないので、この組成物を溶融成形して得られたフィルムを、例えば防湿性が必要とされる包装材や容器のライナーとして用いることはできない。ホットメルト粘着剤として用いられるという性質上ワックス単体に比べるとその溶融粘度が高くなっているが、押出機を用いたTダイフィルムやインフレーションフィルムの製造などの溶融成形を行うほどの高い溶融粘度は有さない。
溶融成形可能な生分解性の組成物として、コーングルテンミール及び天然ゴムを主成分とするものが知られている(特許文献3参照)。この組成物は生分解性である上に耐水性や湿潤強度が高いとされている。しかし、特許文献1及び2に開示されたホットメルト接着剤組成物と同様に、十分な防湿性を有するものではない。
特許文献4には、溶媒を用いて混合した天然ゴムと天然ワックスからなる防湿性を有するコート用の塗液が開示されている。溶剤を用いる方法では、中間製品や最終製品において残留溶剤による臭いや安全性での問題のほか、多量の溶剤を使用するために自然環境、労働環境などに悪影響を及ぼす問題を有している。
このように、溶融成形が可能で且つ防湿性が十分に高い生分解性の組成物、接着性が高く且つ防湿性が十分に高い生分解性の組成物は未だ得られていない。
特開平5−339557号公報 特開平7−278510号公報 特開2001−288295号公報 特開2002−266284号公報
従って本発明は、防湿性に優れ、溶融成形が容易な生分解性ワックス組成物を提供することを目的とする。
本発明は、ワックスを主体とし、生分解性の高分子物質およびフィラーを含有し、40℃、90%RHにおける透湿度が3g・mm/m2・24hr以下である生分解性ワックス組成物を提供することにより、前記目的を達成したものである。
また、本発明は、前記本発明の生分解性ワックス組成物からなる防湿層を有し、該防湿層の少なくとも一面に生分解性の基材層が積層されてなる生分解性積層体を提供するものである。
本発明のワックス組成物は、防湿性に優れ、溶融成形が容易である。該ワックス組成物を用いることにより、防湿性に優れた生分解性フィルムを得ることができる。
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
本発明の生分解性ワックス組成物(以下、単にワックス組成物ともいう。)は、ワックスを主体とし、生分解性の高分子物質およびフィラーを含有する。
本発明のワックス組成物は、ワックスを主体として用いることで十分な防湿性が発現される。また生分解性を確保することができる。ここで、本明細書において、ワックスを主体(主成分)とするとは、ワックスが、含有される全成分の中で体積分率で最も多くを占めることを意味する。ワックスを主成分とすることで十分な防湿性を発現させることができる。より高い防湿性を得る上では、ワックスが好ましくは体積分率で40%超、より好ましくは50%超である。
本発明のワックス組成物はその透湿度が、40℃、90%RHの環境下において3g・mm/m2・24hr以下であり、好ましくは2g・mm/m2・24hr以下、より好ましくは1g・mm/m2・24hr以下である。該透湿度の下限値に制限はなく低ければ低いほど好ましい。
前記透湿度は、該ワックス組成物から所定厚みのフィルムを成形し、そのフィルムについてカップ法(JIS Z 0208 条件B)によって測定した透湿度を厚み1mmのフィルムに換算した値である。この透湿度の換算値は、透湿度がフィルム厚みに反比例すると仮定し、カップ法で測定した透湿度にフィルム厚みを乗じることにより算出される。
ただし、ワックス組成物のみからなるフィルムを作成し、その透湿度を上記の方法で測定することが困難である場合が多いため、その場合には透湿度が既知の生分解性樹脂フィルムと、ワックス組成物との積層フィルムを作成し、ワックス組成物の透湿度を求める。例えば、生分解性樹脂層(A)/ワックス組成物層(B)/生分解性樹脂層(C)からなる3層フィルムを作成し、上記の方法で3層フィルム全体の透湿度を測定し、その透湿度をdとする。そして、別途、生分解性樹脂層(A)および生分解性樹脂層(C)の透湿度を同様に測定し、それぞれの透湿度をaおよびcとする。このとき、ワックス組成物層(B)の透湿度をbとすると、下記の関係が成り立つ。ここで、a、b、c、dは、実際の厚みにおける透湿度であり、1mmの厚みに換算した透湿度ではない。
1/d=1/a+1/b+1/c
この式から、未知数であるワックス組成物層(B)の透湿度bを求めることができる。
ワックス組成物がワックスを主体とすることは前述の通りであるが、前記の透湿度を容易に達成するためには、ワックス組成物はワックスを65〜95重量%、特に70〜85重量%含有することが好ましい。また、ワックス組成物に後述するような比重の高い無機粉体等がフィラーとして添加されている場合には、ワックスの体積分率で65〜95%、より好ましくは70〜85%含有することが好ましい。
本発明のワックス組成物の生分解性を確保する観点から、前記ワックスとしてその生分解度(JIS K6950又はJIS K6953)が30%以上であるものを用いることが好ましく、50%以上であるものを用いることが更に好ましく、60%以上のものを用いることが一層好ましい。ただし、後述のようにワックス組成物が無機フィラーを含有する場合には、生分解性度の測定においては、有機成分のみの生分解度を測定する。
また前記ワックスは、本発明のワックス組成物や該ワックス組成物から溶融成形した成形体の保存安定性の点から、その融点が40℃以上であることが好ましく、60℃以上であることが一層好ましい。ワックスの融点は、JIS K2235−5.3に従って測定される。
以上の各種特性を有する前記ワックスとして本発明において好ましく用いられるものには、植物系ワックス、動物系ワックス、石油系ワックス等がある。例えば、府瀬川健蔵、「ワックスの性質と応用」、幸書房、1993年、改訂2版第1刷、2頁目、表1.0.1に記載されたワックスが使用可能である。
前記植物系ワックスとしては、ライスワックス、カルナバワックス、キャンデリラワックス等が挙げられる。前記動物系ワックスとしては、蜜ろう、ラノリン、鯨ろう等が挙げられる。前記石油系ワックスとしては、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス等が挙げられ、これらの中でもマイクロクリスタリンワックスが好ましい。また、合成ワックスであっても、生分解性を有するものであれば本発明において用いることができる。
本発明で使用する前記フィラーとは、無機物または有機物、及びその複合体からなる粒子状の物質をさす。フィラーの添加量は、生分解性のない無機フィラーの場合には、50重量%未満とすることが、ワックス組成物の生分解性の効果を確保する上で好ましい。粘度を向上させることによって本発明のワックス組成物の溶融流動特性を溶融成形に適したものとするためには、無機フィラーの添加量は好ましくは1重量%以上、より好ましくは2重量%以上、さらに好ましくは3重量%以上である。なお、フィラー添加による生分解性フィルム等との接着性低下を考慮すると、該添加量は、30重量%以下が好ましく、より好ましくは25重量%以下、さらに好ましくは10重量%以下である。
前記無機フィラーとしては、例えば無水シリカ、雲母、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム、ケイ藻土、アロフェン、ベントナイト、チタン酸カリウム、ゼオライト、セピオライト、スメクタイト、カオリン、カーボン等が挙げられる。これらの無機フィラーは生分解性とは言えないが、無機フィラーの多くは元来自然界に存在するものであるから、生分解性でなくても環境負荷になるものではない。天然の無機フィラーを用いることが好ましいが、合成された無機フィラーを用いる場合であっても、その使用量はワックス組成物に対して前述した範囲の程度であるから、該無機フィラーを含むワックス組成物は、特に制約なく廃棄可能な物として法律又は条例で定められている部類に属するものであり特に問題はない。
前記有機フィラーは、生分解性を有することが必要であり、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合系樹脂、又は脂肪族ポリカーボネート系樹脂から構成されていることが好ましい。具体的には、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトンとポリブチレンサクシネートとの混合物若しくは共重合物(PCL/PBS)、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバリレートとの共重合物(PHB/PHV)、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンアジペートとの混合物若しくは共重合物(PBS/PBA)、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンサクシネートとの共重合物(PET/PES)、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンアジペートとの共重合物(PBT/PBA)等が挙げられる。また、生澱粉または加工澱粉、パルプ、キチン・キトサン質、椰子殻、木材粉末、竹粉末、樹皮粉末、またはケナフや藁などの粉末といった、天然物由来の有機粉体も使用できる。
前記フィラーはその平均粒径が5nm〜50μm、特に10nm〜10μm程度のものを用いることが、前記ワックス、後述するポリイソプレンや天然ゴム等の高分子物質との均一な混練性、粘度向上の効果の点から好ましい。フィラーは、例えば前記ワックスと高分子物質とを混練してワックス組成物を製造するときに、混練機に供給すればよい。
本発明の生分解性ワックス組成物は、125℃、1.2kgf荷重下でのメルトフローレート(以下MFRともいう)が0.1〜1000g/10minであることが好ましく、より好ましくは0.5〜100g/10min、さらに好ましくは1〜30g/10minである。つまり本発明の生分解性ワックス組成物は、押出機を用いた溶融成形に適した溶融流動特性を有している。従って本発明の生分解性ワックス組成物を用いれば、Tダイ法やインフレーション法によるフィルム成形を容易に行うことができる。
前記高分子物質としては、未架橋のゴムや前述の生分解性を有する脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合系樹脂、又は脂肪族ポリカーボネート系樹脂などの非晶性高分子若しくは結晶性高分子等が挙げられる。ただし、混合する高分子物質を微細に分散させるためには、結晶性高分子の場合にはワックスの融解終了温度以下である所望の混合温度において溶融するものが好ましく、非晶性高分子の場合にはワックスの融解終了温度以下である所望の混合温度以下にガラス転移温度を有するものが好ましい。これらの中でも、非晶性で、ワックスの融点以上においてワックスと相溶性を有するものが好ましく、特にポリイソプレン又は天然ゴムが好ましい。
本発明のワックス組成物は、後述するように前記高分子物質を配合することでの溶融粘度が高められるが、その場合の高分子物質はワックス組成物の防湿性を低下させる傾向がある。本発明者らが鋭意検討したところ、前記高分子物質としてポリイソプレン又は天然ゴムを組成物中に配合すると、得られるワックス組成物の防湿性を低下させることなく、溶融粘度を高められることが判明した。また、前記高分子物質と前記ワックスとを組み合わせることで生分解性が得られる。更に、ポリイソプレン又は天然ゴムを配合することで、ワックス組成物を成形して得られる成形物に耐熱性や強度を付与できるという付加的効果もある。
本発明の生分解性ワックス組成物中へのポリイソプレンや天然ゴム等の高分子物質の配合量が多すぎると溶融粘度が高くなりすぎて溶融成形等の加工性が低下する場合がある。また防湿性も低下する傾向にある。逆にポリイソプレンや天然ゴム等の高分子物質の配合量が少なすぎると、ワックス組成物の溶融粘度を十分に高めにくい場合がある。これらを勘案すると、ワックス組成物の防湿性を低下させることなく、溶融成形に適した溶融流動特性等を得るためには、ワックス組成物中へのポリイソプレンや天然ゴム等の高分子物質の配合量は5〜35重量%、特に15〜30重量%であることが好ましい。
本発明の生分解性ワックス組成物の溶融流動特性を溶融成形に適したものとするには、ポリイソプレンや天然ゴムの分子量を適切にコントロールすることが有利であることが本発明者らの検討によって判明した。例えばポリイソプレンについては、その重量平均分子量を200,000以上、特に400,00以上、より好ましくは700,000以上の範囲にコントロールすると、得られるワックス組成物の溶融流動特性を溶融成形に適したものとすることができる。重量平均分子量の上限は、溶融粘度を高める点で特に制約はないが、ワックス組成物の製造のしやすさを考慮すると4,000,000以下、特に2,000,000以下が好ましい。重量平均分子量は、例えば、ワックス組成物をクロロホルムに溶解させた後、未融解のワックスを濾過により除去した溶液でGPCを測定し、その結果と分子量既知のポリスチレン標準サンプルのGPC測定で得た較正曲線とから重量平均分子量を求めることができる。
また、ポリイソプレンや天然ゴムの分子量をコントロールする方法には、例えば本発明のワックス組成物の製造過程において、ワックスとポリイソプレン又は天然ゴムとを混練してワックス組成物を製造するときの混練時間、剪断力、温度を調整し、ポリイソプレンや天然ゴムに機械的な剪断力を加えて分子鎖を切断したり、混練時に発生する熱によって酸化反応を生じさせて分子鎖を切断する方法もある。一般に、混練時間が長くなるとポリイソプレンや天然ゴムの分子量が低下していき、ワックス組成物のMFRは上昇する傾向にあるため、溶融粘度を高く維持するためには、分子量低下を極力防止して均一に混合することが好ましい。
本発明のワックス組成物は、ペレット形状に加工することで、一般的な押出機に供給して溶融成形を行うことができる。ただし、前記ワックスの種類や前記生分解性の高分子物質等の種類や組成比によって、ペレットはブロッキングしやすくなるため、表面にブロッキング防止用の粉体を付着させた状態で製品とすることが好ましい。ペレット形状に加工する方法としては、樹脂ペレットを製造するための一般的な方法を用いることができる。ブロッキング防止用の粉体としては、前述した無機フィラーを用いることができ、その量はワックス組成物100重量部に対して0.5〜5重量部、さらには1〜3重量部とすることが好ましい。そうすることで、ブロッキング防止効果と溶融流動特性向上効果の両方を得ることが可能となる。
本発明のワックス組成物は種々の方法で調製できる。一例としては、ワックスとポリイソプレン又は天然ゴム等の高分子物質とを加圧ニーダー等の混練機に供給し高剪断力で混練することで得られる。別の例として、ポリイソプレン又は天然ゴム等の高分子物質をn−ヘプタン等の溶剤に溶解させ、更に前記ワックスを該溶媒に溶解させた後、該溶剤を揮発等の手段によって除去することで得られる。これらの方法のうち、溶剤の残留がない、溶剤を使用しないので環境負荷が小さい、製造コストが低い点から前者の方法を用いることが好ましい。また、ポリイソプレン又は天然ゴムの場合は加熱すると酸化により著しく分子量が低下するので加熱する際には、その時間を極力短くし、窒素雰囲気下で行うことが好ましい。特に、溶剤を用いて組成物を調製する場合には、溶剤を揮散させる時に分子量が低下し、溶融粘度の著しい低下が生じやすいので注意が必要である。
本発明のワックス組成物は、例えばこれを加熱して溶融させた状態下に生分解性の容器の表面にコートすることができる。
次に、本発明の生分解性積層体を好ましい実施形態に基づき説明する。
本実施形態の生分解性積層体は、前記本発明のワックス組成物からなる防湿層の少なくとも一面に生分解性基材層が積層されてなるものである。
本実施形態の生分解性積層体は、前記本発明のワックス組成物をTダイ法やインフレーション法で溶融成形して防湿層を得、この防湿層の少なくとも一面に生分解性樹脂層(生分解性基材層)を積層し、防湿性を有する多層の生分解性フィルムの形態とすることができる。前記生分解性フィルムは、その好ましい実施形態においては、前記防湿層の各面に生分解性樹脂層が積層されてなる3層構造となっている。
前記生分解性フィルムは、前記防湿層の存在によって防湿性を有している。生分解性フィルムの防湿性の程度は、カップ法(JIS Z 0208 条件B)により測定した透湿度を厚み1mmのフィルムに換算した値が2g・mm/m2・24hr以下であることが好ましく、1g・mm/m2・24hr以下であることがより好ましい。この透湿度の値は、ワックス組成物の透湿度に関して先に述べた算出法と同様にして算出される。
ただし、ワックス組成物のみからなるフィルムを作製し、その透湿度を上記の方法で測定することが困難である場合が多いため、その場合には透湿度が既知の生分解性樹脂フィルムと、ワックス組成物との積層フィルムを作製し、ワックス組成物の透湿度を求める。例えば、生分解性樹脂層(A)/ワックス組成物層(B)/生分解性樹脂層(C)からなる3層フィルムを作製する。そして、上記の方法で3層フィルム全体の透湿度を測定し、その透湿度をdとするとともに、別途、生分解性樹脂層(A)および生分解性樹脂層(C)の透湿度を同様に測定し、それぞれの透湿度をaおよびcとする。ワックス組成物層(B)の透湿度をbとすると、下記の関係が成り立つ。ここで、a、b、c、dは、実際の厚みにおける透湿度であり、1mmの厚みに換算した透湿度ではない。
1/d=1/a+1/b+1/c
この式から、未知数であるワックス組成物層(B)の透湿度bを求めることができる。
前記生分解性フィルムは、これを生分解性の容器本体の表面に被覆することを考慮すると、熱成形性を有していることが好ましい。熱成形性とは、生分解性フィルムを所定温度に加熱した後、該フィルムの両端を把持し一軸方向に沿って互いに逆方向に引っ張って2倍の長さに引き伸ばしたときに、該生分解性フィルムが破断しないことをいう。生分解性フィルムを熱成形する場合の加熱温度は、使用する生分解性樹脂、防湿層に使用するワックス、熱成形の方法(真空/圧空成形、プレス成形等)により適宜選択する。この加熱温度は、生分解性フィルム全体が適切な厚み分布で成形され、且つ十分な防湿性が得られるよう選択する。フィルムの厚みのムラを抑えることができる加熱温度で熱成形することが、十分な防湿性を得る上で重要である。その条件を満足する加熱温度は、当業者が一般的に行う最適条件化の手法により求めることができる。
熱成形性の有無の判断においても、実際の成形と同様に良好な結果を得ることができる加熱温度を選択する。加熱温度の目安としては、例えば、以下の温度範囲で条件を選択することで良好な結果が得られる場合が多い。生分解性樹脂が結晶性樹脂の場合は、DSC測定により得た融解曲線から求めた溶融ピーク温度Tm(℃)に対し、(Tm−40℃)〜(Tm+20℃)の範囲である。ただし、溶融ピーク温度が複数存在する場合には、融解熱量が最も大きな溶融ピークを選択する。生分解性樹脂が非結晶性樹脂の場合は、そのガラス転移温度Tgに対してTg〜Tg+50℃の範囲である。
前記生分解性フィルムは、現実的な期間での分解を考慮すると、例えば、コンポスト等では2・3ヶ月の期間で分解できる点から、その生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
前記生分解性フィルムは、防湿層を構成するワックス組成物と、生分解性樹脂層を構成する生分解性樹脂とを原料とし、例えばマルチマニホールドのTダイを用いた溶融共押出成形することで得られる。ワックス組成物は先に述べた通り溶融成形に適した流動特性を有しているので、この共押出成形は首尾良く行うことができる。得られたフィルムは必要に応じて一軸又は二軸延伸される。
前記生分解性フィルムは、フィルム強度及びフィルムの成形性の点からその全厚みが10〜2000μmであることが好ましく、20〜1000μmであることがより好ましい。生分解性フィルムにおける生分解性樹脂層の厚みはその使用目的等に応じて適宜選択することができる。フィルム強度とフィルムの取扱い性の点からは5〜1000μmであることが好ましく、10〜500μmであることがより好ましい。一方、防湿層の厚みは、実用的な防湿性を与えるとともに高温での生分解性フィルムの強度を維持する点から1〜500μmであることが好ましく、10〜100μmであることがより好ましい。
前記生分解性フィルムにおける前記生分解性樹脂層は、生分解性を有する脂肪族ポリエステル系樹脂、脂肪族ポリエステルと芳香族ポリエステルとの共重合系樹脂、又は脂肪族ポリカーボネート系樹脂から構成されていることが好ましい。具体的には、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸(PLA)、ポリグリコール酸(PGA)、ポリヒドロキシブチレート(PHB)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリカプロラクトンとポリブチレンサクシネートとの混合物若しくは共重合物(PCL/PBS)、ポリヒドロキシブチレートとポリヒドロキシバリレートとの共重合物(PHB/PHV)、ポリブチレンサクシネートとポリブチレンアジペートとの混合物若しくは共重合物(PBS/PBA)、ポリエチレンテレフタレートとポリエチレンサクシネートとの共重合物(PET/PES)、ポリブチレンテレフタレートとポリブチレンアジペートとの共重合物(PBT/PBA)等が挙げられる。これらの樹脂は、単独で又は二以上を組み合わせて用いることができる。
前記生分解性樹脂層は、実用的な期間で分解する点から、生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)が、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることがさらに好ましい。
前記生分解性フィルムを生分解性の容器本体の表面に被覆することで、生分解性容器となすことができる。前記生分解性フィルムが防湿層と生分解性樹脂層の2層構造である場合、該生分解性フィルムは生分解性樹脂層が容器本体と反対側を向くように被覆される。前記容器本体は、生分解性を有するものであればその素材に特に制限はない。容器本体の生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)は、30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。前記容器本体の素材としては、例えば、天然繊維、生分解性の合成繊維等の繊維、天然高分子、前記生分解性樹脂、及びこれらの混合物等が挙げられる。天然繊維としては、木材パルプ繊維、非木材パルプ繊維、絹、羊毛等が挙げられる。生分解性の合成繊維としては、ポリ乳酸繊維、ビニロン、レーヨン等が挙げられる。天然高分子としては、でん粉、たん白質等が挙げられる。容器本体はその形態に特に制限はない。例えば、カップ、どんぶり、ボトル、皿、鉢、箱、筒等の各種の容器形態が挙げられる。
前記容器本体の部位のうち生分解性フィルムで被覆する部位は、容器の用途、形態等に応じて適宜選択することができる。例えば、容器本体の内面、容器本体の外面等が挙げられる。特にカップ等に用いる場合には、少なくとも容器本体の内表面が生分解性フィルムで被覆されていることが好ましい。
前記容器本体の表面に生分解性フィルムを被覆する場合は、容器本体の表面と生分解性フィルムとの間に接着剤を介して接合することもできるし、容器本体の表面と生分解性フィルムとを直接接合することもできる。接着剤を用いる場合、該接着剤は、生分解性を有するものであればその組成に特に制限はない。接着剤は生分解性フィルムと同様に生分解度(好気的究極生分解度:JIS K 6950又はJIS K6953)が30%以上であるものが好ましく、50%以上であるものがより好ましく、60%以上であるものがさらに好ましい。具体的にはデンプン、ポリビニルアルコール、にかわ、ゼラチン、カゼイン、未加硫の天然ゴム、未加硫のポリイソプレン等が挙げられる。また、接着剤として、加熱溶融により容器本体に接着させるために容器本体側の生分解性樹脂層よりも融点の低い生分解性樹脂や各種天然樹脂等を用いることもできる。溶媒の揮散により接着させる接着剤を用いる場合には、接着成分を含む溶液を生分解性フィルムと容器本体との何れか一方若しくは両方に塗布することもでき、接着成分を生分解性フィルム若しくは容器本体の何れか一方の表面に形成し溶媒を他の一方に塗布することにより接着させることもできる。容器本体の表面と生分解性フィルムとを直接接合する方法としては、例えば、生分解性フィルムを容器本体の内面に配した後、容器本体をその外面側から加熱した状態で真空成形又は圧空成形を行う方法が挙げられる。
前記生分解性フィルムの用途は広く、先に述べた通り生分解性容器における容器本体表面の被覆に用いられるほか、各種包装材フィルムや板紙(生分解性の紙)と生分解性フィルムとをラミネートしたラミネート紙等の生分解性防湿紙、該生分解性防湿紙からカップや箱等の形態に折曲加工や成形した生分解性容器にも用いることができる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明の範囲はかかる実施例に制限されるものではない。
〔実施例1〕
(株)森山製作所製の加圧ニーダー(DS0.3−3型)を用い、加圧ニーダーの混練容器にマイクロクリスタリンワックス(日本精蝋(株)製、品番「Hi−Mic−1070」)1800gと、イソプレンゴム(日本ゼオン(株)製、品番Nipol−IR2200)600gを入れ、回転数20rpmで5分間混練を行い、次いで同じワックス600gを追加投入してさらに10分間の混練を行い、フィラーを含まないワックス組成物を得た。混練は、混合容器及びローターに10℃の冷却水を流し、ヒーターは全てOFFの状態で行った。
得られたフィラー無添加のワックス組成物50gと、フィラーとしての無水シリカ粒子(日本アエロジル(株)製、品番「AEROSIL 200」、一時粒子の平均径12μm)2.6g(5重量%)とを、東洋精機製作所(株)製ラボプラストミル(30C150型)の混練容器に供給し、回転数30rpm、ヒーターを全てOFFの状態で10分間混練を行い、フィラーを含むワックス組成物を得た。
次いで、ポリカプロラクトンとポリエチレンサクシネートとをポリマーブレンドした生分解性樹脂(ダイセル化学工業(株)製PHB05)からなるフィルムの間にワックス組成物の層を挟み、プレス成形機によって成形して3層構造の生分解性フィルムを作製した。得られた生分解性フィルムは全厚350μm、ワックス組成物の層の厚みが150μm、各生分解性樹脂フィルムの厚みが100μmであった。
〔実施例2〕
実施例1において、無水シリカ粒子を10wt%とした以外は、実施例1と同様にフィラー添加のワックス組成物および3層フィルムを得た。
〔実施例3〕
実施例1において、無水シリカ粒子を親油性処理無水シリカ(日本アエロジル(株)製、品番「AEROSIL R972」、一時粒子の平均径16μm)に代え、実施例1と同様にフィラー添加のワックス組成物および3層フィルムを得た。親油性処理無水シリカの添加量は5wt%である。
〔実施例4〕
実施例2において、フィラーを親油性処理無水シリカの添加量を10wt%とし、実施例2と同様にフィラー添加のワックス組成物および3層フィルムを得た。
〔実施例5〕
実施例2において、フィラーを親油性雲母(コープケミカル(株)製、品番「ソシマフMAE」、平均粒径6μm)に代えて、実施例2と同様にフィラー添加のワックス組成物および3層フィルムを得た。親油性雲母の添加量は10wt%である。
〔比較例1〕
実施例1〜5と同等の履歴を受けたフィラー無添加のワックス組成物を得るために、実施例1において、フィラー無添加のワックス組成物のみをラボプラストミルにて再度混練してワックス組成物および3層フィルムを得た。
〔性能評価〕
得られたワックス組成物について前述の方法で透湿度及びMFRを測定した。結果を表1に示す。ワックス組成物の透湿度については、3層フィルムの透湿度の測定値と、生分解性樹脂フィルム層(PHB05、100μm)の透湿度の測定値132g/m2・24hrから求めた。
Figure 2005112944
表1から明らかなように、各実施例のワックス組成物はMFRが高く、また透湿度が低いワックス組成物および生分解性フィルムを得ることができた。なお表には示していないが、各実施例のワックス組成物及び生分解性フィルムは何れも生分解性を有していることを確認した。

Claims (5)

  1. ワックスを主体とし、生分解性の高分子物質およびフィラーを含有し、40℃、90%RHにおける透湿度が3g・mm/m2・24hr以下である生分解性ワックス組成物。
  2. 前記ワックスの含有量が65〜95重量%である請求項1記載の生分解性ワックス組成物。
  3. 前記生分解性の高分子物質の重量平均分子量が200,000以上である請求項1又は2記載の生分解性ワックス組成物。
  4. 前記高分子物質がポリイソプレン又は天然ゴムであり、該高分子物質を5〜35重量%含有する請求項1〜3の何れかに記載の生分解性ワックス組成物。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の生分解性ワックス組成物からなる防湿層を有し、該防湿層の少なくとも一面に生分解性の基材層が積層されてなる生分解性積層体。

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