JP4820857B2 - ドリル - Google Patents

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本発明は、被削材に対して加工穴を形成するドリルに関するものであり、特に、焼き入れ鋼等の高硬度材料からなる被削材に対して加工穴を形成するのに好適なドリルに関するものである。
従来より、軸線回りに回転されるドリル本体の刃部の外周側面に、該刃部の先端から後端側に向けて延びる一対の切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝のドリル回転方向前方を向く壁面の先端領域がそれぞれすくい面とされ、刃部の先端面に前記軸線を中心とする点対称とされた先端逃げ面が前記すくい面に対応するように一対形成され、すくい面と先端逃げ面との交差稜線部にそれぞれ切刃が形成されたドリルが知られている(例えば特許文献1〜4参照)。
このようなドリルの先端中央には、一対の先端逃げ面が交差することにより形成されるチゼルエッジが設けられている。被削材に穴あけ加工を施す際には、ドリル本体が軸線回りに回転させられながら軸線方向の先端側へ向かって送られ、ドリル先端中央のチゼルエッジが被削材の加工ポイントに喰い込むことにより穴あけ箇所が正確に定められる。
また、切削時には、チゼルエッジが被削材に喰い付きながら順次被削材を押し潰していくことによりドリル本体を軸線方向に沿って案内し、該ドリル本体の振れが抑制される。
特開2008−93805号公報 特開2006−55965号公報 特開2008−144630号公報 特開2008−268165号公報
しかしながら、上記従来のドリルにおいては、特に焼き入れ鋼等の高硬度材料に複数連続して加工穴を形成する場合、加工回数が多くなるに連れてチゼルエッジに摩耗、欠損等が生じていく。これによって、チゼルエッジによる被削材の加工位置のポイントの正確性が低下するとともに被削材への喰い付きが悪くなり、加工穴間のピッチにばらつきが生じる等、加工精度が低下してしまうという問題があった。
この発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、焼き入れ鋼等の高硬度材料に高精度で穴あけ加工を施すことができるとともにドリル本体の摩耗や欠損を防止することが可能なドリルを提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、この発明は以下の手段を提案している。
即ち、本発明に係るドリルは、軸線回りに回転されるドリル本体の刃部の外周側面に、該刃部の先端から後端側に向けて延びる一対の切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝のドリル回転方向前方を向く壁面の先端領域がそれぞれすくい面とされ、前記刃部の先端面に前記軸線を中心とする点対称とされた先端逃げ面が前記すくい面とそれぞれ交差するように一対形成され、前記すくい面と前記先端逃げ面との交差稜線部にそれぞれ切刃が形成されてなるドリルにおいて、前記先端逃げ面が、前記切刃に連なる二番逃げ面と、前記二番逃げ面よりも大きな逃げ角を有して該二番逃げ面の工具回転方向後方側に連なる三番逃げ面とを有し、前記二番逃げ面と前記三番逃げ面との境界領域にこれら二番逃げ面及び三番逃げ面を滑らかに接続する凸曲面が形成され、前記先端逃げ面同士の交差稜線部であるチゼルエッジが、前記二番逃げ面同士が交差して形成される中心チゼルと、一方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面と他方の前記先端逃げ面の前記凸曲面とが交差して形成されるとともに他方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面と一方の前記先端逃げ面の前記凸曲面とが交差して形成されて、前記中心チゼルの両端にそれぞれ接続される一対の湾曲チゼルとを備え、前記ドリル本体の正面視にてS字状をなしていることを特徴とする。
このような特徴のドリルによれば、二番逃げ面と三番逃げ面との境界領域に凸曲面が形成されてチゼルエッジに湾曲チゼルが設けられたことによって、チゼルエッジが受ける切削抵抗が低下する。これにより、チゼルエッジの耐久性が向上し、摩耗、欠損等を防止することができる。
また、チゼルエッジがS字状をなしていることによりドリル本体の加工穴の中心への求心性が向上するため、該ドリル本体の振れを抑制して、所望の位置に精度高く加工穴を形成することができる。
また、本発明に係るドリルは、前記チゼルエッジが、一方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面と他方の前記先端逃げ面の前記三番逃げ面とが交差して形成されるとともに他方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面と一方の前記先端逃げ面の前記三番逃げ面とが交差して形成され、各前記湾曲チゼルにそれぞれ滑らかに接続されて前記ドリル本体外周側に向かって延びる一対の直線チゼルをさらに備え、これら直線チゼルはそれぞれドリル回転方向前方側に偏心しており、各前記直線チゼルの偏心量の合計が、前記ドリル本体の直径Dに対して0.05D〜0.1Dの範囲に設定されていることを特徴とする。
直線チゼルの偏心量の合計が0.05D未満の場合、チゼルエッジのS字のカーブが小さくなることから、ドリル本体の加工穴の中心線への求心性が低下して加工精度の低下を招いてしまう。また、当該偏心量の合計が0.1Dを超えると、チゼルエッジによる被削材への喰い付きが弱くなるとともに切削抵抗が増大し、加工精度の低下及びドリル本体の摩耗や欠損等が生じ易くなる。
本発明のドリルによれば、直線チゼルの偏心量の合計が0.05D〜0.1Dの範囲に設定されていることから、ドリル本体の加工穴中心への求心性及びドリル本体の耐久性を高く維持して、精度の高い穴加工を施すことが可能となる。
さらに、本発明のドリルは、前記凸曲面の正面視における延在方向に直交し、かつ、前記軸線に平行な断面における該凸曲面の曲率半径が、前記ドリル本体の直径Dに対して0.1D〜0.6Dの範囲に設定されていることを特徴とする。
円弧面の曲率半径が0.1D未満の場合には工具剛性が低下する一方、0.6Dより大きい場合には、切削抵抗が増大して、摩耗及び欠損等が生じ易くなってしまう。この点、円弧面の曲率半径を0.1D〜0.6Dの範囲内に設定することで、工具の剛性を確保しつつ切削抵抗の増大を抑え、ドリルの寿命を延ばすことが可能となる。
また、本発明に係るドリルは、前記二番逃げ面の逃げ角が3°〜7°の範囲に設定され、前記ドリル本体の心厚が該ドリル本体の直径Dの値に対して50%〜75%の範囲の値に設定され、さらに、前記切屑排出溝の外周すくい角が−10°〜−30°の範囲に設定されていることを特徴とする。
このような特徴のドリルによれば、二番逃げ面の逃げ角を3°〜7°に設定することにより、二番逃げ面が被削材に接触することはなく、また、刃先強度の低下を抑制してドリル本体の折損を防止することができる。
また、心厚をドリル本体の直径Dの大きさの50%〜75%の範囲に設定することにより、ドリル本体の剛性の低下を防ぎ、また、切屑排出溝による切屑の排出性を高く維持することができる。さらに、切屑排出溝の外周すくい角を−10°〜−30°の範囲に設定することにより、刃先強度を高く維持しながら切削負荷の増大を防止して、ドリル本体の折損を防止することができる。そして、二番逃げ面の逃げ角と切屑排出溝の外周すくい角とを上記範囲内に設定することで、特にドリル肩部の剛性を向上させてドリル自体の耐久性を大幅に向上させることが可能となる。
本発明に係るドリルによれば、先端逃げ面の二番逃げ面と三番逃げ面との境界領域に凸曲面を形成してチゼルエッジをS字に形成することにより、焼き入れ鋼等の硬質材料に高精度で穴あけ加工を施すことが可能となり、さらに、耐久性を向上させて摩耗や欠損を防止することができる。
以下、本発明のドリルの実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
図1は実施形態に係るドリルの先端側部分の側面図、図2は実施形態に係るドリルの斜視図、図3は実施形態に係るドリルの正面図である。
図1に示すように、ドリル1は、超硬合金等の硬質材料からなり軸線Oを中心とした略円柱状に形成されたドリル本体10を備えており、その後端側(図1における左側)の部分が工作機械の回転軸に把持されるシャンク部2とされる一方、先端側部分が被削材に加工を施す刃部11とされている。
刃部11の外周側面には、先端側(図1及び図2における右側)から軸線O方向の後端側に向かうに従い一定のねじれ角でドリル回転方向T後方側に捩れる一対の切屑排出溝13A、13Bが軸線Oに対して対称となるよう螺旋状に形成されている。また、これら切屑排出溝13A、13Bにおけるドリル回転方向T前方側を向く壁面14Aの先端領域がすくい面15A、15Bとされている。
また、詳しくは図3に示すように、ドリル本体10の先端面には軸線Oを中心とした点対称に配置された一対の先端逃げ面20A、20Bが、それぞれすくい面15A、15Bと交差するように形成されている。
そして、上記すくい面15Aと先端逃げ面20Aとの交差稜線部、すくい面15Bと先端逃げ面20Bとの交差稜線部には、それぞれ切刃30A、30Bが形成されている。
また、図3に示すように、刃部11における一対の切屑排出溝13A、13Bを除く外周側面、即ち、ランド部16A、16Bは、これらランド部16A、16Bの切屑排出溝13A、13Bに接するドリル回転方向T側の縁部に形成されて、切屑排出溝13A、13Bのドリル回転方向T前方側を向く壁面14A、14Bの外周側稜線部に交差するマージン部17A、17Bが設けられている。これらマージン部17A、17Bは、その外周面が切刃30A、30Bと略等しい外径で軸線Oを中心とした断面円弧状をなしている。また、マージン部17A、17Bは、切屑排出溝13A、13Bと同様に先端側から後端側に向かうに従い一定のねじれ角でドリル回転方向T後方側に捩れており、該マージン部17A、17Bと切屑排出溝13A、13Bとの交差稜線部は、同じく先端側から後端側に向かうに従い一定のねじれ角でドリル回転方向T後方側に捩れるリーディングエッジ18A、18Bとされている。
また、ランド部16A、16Bにおける上記マージン部17A、17Bのドリル回転方向T後方側には、該マージン部17A、17Bに連なり、マージン部17A、17Bがなす円弧よりも一段小さい外径の軸線Oを中心とした略円弧状をなす二番取り面19A、19Bが形成されている。これによって、図3に示すように、マージン部17A、17Bと二番取り面19A、19Bとの間には、いわゆる背中(段差部)31A、31Bが設けられている。
そして、先端逃げ面20A、20Bは、図2及び図3に示すように、すくい面15A、15Bと交差することによって切刃30A、30Bをドリル回転方向T前方側の稜線部に形成する二番逃げ面21A、21Bと、これら二番逃げ面21A、21Bのドリル回転方向T後方側に連なる三番逃げ面22A、22Bとを備えた多段面状をなしている。
また、二番逃げ面21A、21Bと比べて三番逃げ面22A、22Bはその逃げ角が大きくなるように形成されており、これら二番逃げ面21A、21Bと三番逃げ面22A、22Bとの境界領域には一定の曲率をもった円筒面状をなす凸曲面23A、23Bが形成されている。これら凸曲面23A、23Bによって二番逃げ面21A、21Bと三番逃げ面22A、22Bとが滑らかに接続されている。
このようにして先端逃げ面20A、20Bは、二番逃げ面21A、21B、凸曲面23A、23B及び三番逃げ面22A、22Bがドリル回転方向T後方側に連続的に連なるように配置された構成となる。
さらに、先端逃げ面20A、20Bは、ドリル本体10内周側からドリル本体10外周側に向かうにしたがい軸線O方向の後端側に向けて傾斜させられており、これによって切刃30A、30Bに所定の先端角が付され、さらに、先端逃げ面20A、20Bが互いに交差することによ、その交差稜線部に正面視S字状をなすチゼルエッジ40が形成される。
ここで、本実施形態のドリル1においては、詳しくは図3に示すように、上記チゼルエッジ40が、中心チゼル41、一対の湾曲チゼル42A、42B及び一対の直線チゼル43A、43Bとから構成されている。
中心チゼル41は、互いに軸線Oを中心として点対称に配置された二番逃げ面21A、21Bとが交差することにより形成され、軸線Oを通って、かつ該軸線Oに直交するように直線状に延びている。
また、湾曲チゼル42A、42Bはそれぞれ凸曲面23A、23Bと二番逃げ面21A、21Bとが交差することにより形成されている。
より詳細には、一方の湾曲チゼル42Aは一方の先端逃げ面20Aにおける凸曲面23Aと他方の先端逃げ面20Bにおける二番逃げ面21Bとの交差稜線部に形成されており、そのドリル本体10内周側の端部が上記中心チゼル41の一端に滑らかに接続されるとともに、正面視にてドリル回転方向T前方側に凸状をなしている。また、他方の湾曲チゼル42Bは他方の先端逃げ面20Bにおける凸曲面23Bと一方の先端逃げ面20Aにおける二番逃げ面21Aとの交差稜線部に形成されており、そのドリル本体10内周側の端部が上記中心チゼル41の他端に滑らかに接続されるとともに、正面視にてドリル回転方向T前方側に凸状をなしている。
これによって、チゼルエッジ40の中央部分、即ち、中心チゼル41及び湾曲チゼル42A、42Bから形成される部分は、ドリル本体10の正面視にてS字状を呈することになる。
さらに、直線チゼル43A、43Bはそれぞれ二番逃げ面21A、21Bと三番逃げ面22A、22Bとが交差することにより形成されている。
より詳細には、一方の直線チゼル43Aは一方の先端逃げ面20Aにおける三番逃げ面22Aと他方の先端逃げ面20Bにおける二番逃げ面21Bとの交差稜線部に形成されており、一方の湾曲チゼル42Aに滑らかに接続されてドリル本体10外周側に向かって延びている。また、他方の直線チゼル43Bは他方の先端逃げ面20Bにおける三番逃げ面22Bと一方の先端逃げ面20Aにおける二番逃げ面21Aとの交差稜線部に形成されており、他方の湾曲チゼル42Bに滑らかに接続されてドリル本体10外周側に向かって延びている。
このようにして、直線チゼル43A、43Bは軸線Oに直交する直線からドリル回転方向T前方側にそれぞれΔtだけ偏心して、互いに平行となるように設けられている。
以上のような構成とされたドリル1においては、そのドリル本体10が、軸線O回りにドリル回転方向Tに回転されながら軸線O方向の先端側へ向かって送られて、ドリル本体10先端のチゼルエッジ40が被削材の加工ポイントに喰い込むことにより穴あけ箇所が正確に定められる。また、切削の際には、チゼルエッジ40が被削材に喰い付きながら順次被削材を押し潰していくことによりドリル本体10を軸線O方向に沿って案内し、該ドリル本体10の振れを抑制する。
本実施形態のドリル1によれば、二番逃げ面21A、21Bと三番逃げ面22A、22Bとの境界領域に凸曲面23A、23Bが形成されており、さらに、チゼルエッジ40に湾曲チゼル42A、42Bが設けられている。これによって、チゼルエッジ40被削材に喰い付く際の切削抵抗が凸曲面23A、23B及び湾曲チゼル42A、42Bの円弧によって分散されるため、該切削抵抗を小さく抑えることができる。したがって、チゼルエッジの耐久性が向上し、摩耗、欠損等を防止することが可能となる。
また、チゼルエッジ40が中心チゼル41及び一対の湾曲チゼル42A、42BによってS字状をなしていることにより、ドリル本体10の加工穴の中心への求心性が向上する。これによって、ドリル本体10の振れを抑制して、所望のポイントに精度高く加工穴を形成することができる。
次に、図4及び図5を用いて実施形態のドリル1の具体的構成についてさらに詳細に説明する。図4は実施形態に係るドリルの各寸法を説明するための正面図、図5は図4のX−X断面図、即ち、凸曲面23A、23Bの正面視における延在方向に直交し、かつ、前記軸線に平行な断面図である。
実施形態のドリル1は、以下の5種類の穴あけ加工試験の試験結果に基いて、図4及び5に示す直線チゼル43A、43Bの偏心量Δt、凸曲面23A、23Bの曲率半径R、二番逃げ面21A、21Bの逃げ角θ、心厚D、切屑排出溝の外周すくい角θの値が決定されている。
なお、これら5種類の試験においては、送りを数回に分けて加工するステップ加工にて同一の穴ピッチで複数の加工穴を形成した。これら5種類の試験に共通する切削条件としては、ドリル本体:φ0.5×5mm、被削材:SKD11(60HRC)、回転数15000min−1、送り速度50mm/min、ステップ量:0.03mmである。
第1の試験として一対の直線チゼル43A、43Bのドリル回転方向Tへの偏心量の合計ΔT(=Δt×2)と穴ピッチ精度(所望の穴ピッチとのズレ量)との関係を調査すべく、ΔTをパラメータとして変更した5種のドリル1を作製し、それぞれのドリル1により250の加工穴を順次形成して、これら加工穴の穴ピッチ精度を測定した。測定結果を図6に示す。なお、Dはドリル本体10の直径、即ち、切刃30A、30Bの回転軌跡により形成される最大外径を表している。
図6からわかるように、ΔTを0.05D、0.075D、0.1Dとした場合には、形成した250の加工穴の全てについて穴ピッチ精度は0.01mm未満であった。一方、ΔTを0.025D、0.125Dとした場合には、50の加工穴を形成したところから穴ピッチ精度が0.01mmを超えて、その後も加工穴の数が増加するに連れて穴ピッチ精度は大きなものとなった。
これは、ΔTが0.05D未満の場合には、チゼルエッジ40のS字のカーブが小さくなることによってドリル本体10の加工穴の中心線への求心性が低下して加工精度が低下し、また、ΔTが0.1Dを超える場合にはチゼルエッジ40による被削材への喰い付きが弱くなるとともに切削抵抗が増大し、加工精度の低下及びドリル本体10の摩耗や欠損等が生じ易くなることに基づく。
これを踏まえて本実施形態のドリル本体10においては、直線チゼル43A、43Bのドリル回転方向Tへの偏心量の合計ΔTが0.05D〜0.1Dの範囲に設定されている。これによって、ドリル本体10の加工穴中心への求心性及び耐久性を高く維持して、より精度の高い穴加工を施すことが可能となる。
第2の試験として、凸曲面23A、23Bの曲率半径Rとドリル1の耐久性との関係を調査すべく、Rをパラメータとして変更した8種のドリル1を作製し、それぞれのドリル1が欠損することなく形成可能な加工穴の数を測定した。その測定結果を図7に示す。なお、ここでの凸曲面23A、23Bの曲率半径Rとは、図5に示すように、該凸曲面23A、23Bの正面視における延在方向に直交し、かつ、軸線Oに平行な断面における曲率半径Rのことを示している。
図7から、Rを0.1D〜0.6Dとした場合には500を超える加工穴を形成することができるが、Rを0.05D、0.7Dとした場合には形成可能な加工穴が極端に減少し、それぞれ320、270程の加工穴しか形成できないことがわかる。これは、Rが0.1Dの場合にはドリル本体10の剛性が低下してしまい、0.6Dの場合には切削抵抗が大きくなりドリル本体10に欠損が生じ易くなることに基づく。
これを踏まえて本実施形態のドリル本体10においては、凸曲面23A、23Bの曲率半径Rがドリル本体10の直径Dに対して0.1D〜0.6Dの範囲に設定されている。これによって、ドリル本体10の剛性を確保しつつ切削抵抗の増大を抑え、ドリル本体10の耐久性を向上させることができる。
第3の試験として二番逃げ面21A、21Bの逃げ角θとドリル1の耐久性との関係を調査すべく、θをパラメータとして変更した8種のドリル1を作製し、それぞれのドリル1が欠損することなく形成可能な加工穴の数を測定した。その測定結果を図8に示す。なお、二番逃げ面21A、21Bの逃げ角θとは、図5に示すように、軸線Oに直交する平面Sに対して二番逃げ面21A、21Bのなす角度のことを示している。
図8から、θを3°〜7°とした場合には500を超える加工穴を形成することができるが、θを2°、8°、9°とした場合には、形成可能な加工穴が極端に減少し、500を超える加工穴を形成することはできないことがわかる。これは、θが2°の場合には逃げ角が小さ過ぎることから二番逃げ面が被削材に摺接し、ドリル1が折損し易くなってしまう一方、θが8°、9°の場合には刃先強度が低下して摩耗の進行が早くなり折損してしまうことに基づく。
これを踏まえて本実施形態のドリル本体10においては、二番逃げ面21A、21Bの逃げ角θがは、3°〜7°の範囲に設定されている。これによって、二番逃げ面21A、21Bが被削材に接触することはなく、また、刃先強度の低下を抑制してドリル本体10の折損を防止することができる。
第4に、心厚Dとドリル1の耐久性との関係を調査すべく、Dをパラメータとして変更した7種のドリル1を作製し、それぞれのドリル1が欠損することなく形成可能な加工穴の数を測定した。測定結果を図9に示す。なお、心厚Dとは、ドリル本体10の正面視における一対の切屑排出溝13A、13Bの溝底のそれぞれに外接する円の直径Dのことであり、ドリル本体10の直径Dの値に対するパーセンテージで表示している。
図9から、Dを50%〜75%とした場合には500を超える加工穴を形成することができるが、Dを30%、40%、80%とした場合には、形成可能な加工穴が極端に減少し、500を超える加工穴を形成することはできないことがわかる。これは、Dが50%を下回る場合にはドリル本体10の剛性が低下してしまう一方、Dが75%を超える場合には、切屑排出溝による切屑の排出性が低下しドリル本体10が受ける抵抗が増加してしまうことに基づく。
これを踏まえて本実施形態のドリル本体10においては、心厚Dがドリル本体10の直径Dの値に対して50%〜75%の範囲の値に設定されている。これによって、ドリル本体10の剛性を確保しつつ切削抵抗の増大を抑え、ドリル本体10の耐久性を向上させることができる。
第5に、切屑排出溝13A、13Bの外周すくい角θとドリル1の耐久性との関係を調査すべく、θをパラメータとして変更した7種のドリル1を作製し、それぞれのドリル1が欠損することなく形成可能な加工穴の数を測定した。測定結果を図10に示す。なお、切屑排出溝13A、13Bの外周すくい角θとは、ドリル本体10の正面視において軸線O及びリーディングエッジ18A、18Bを通る直線kに対する、切屑排出溝13A、13Bのドリル回転方向T前方側を向く壁面14A、14Bのなす角θのことを示している。
図10から、θを−10°〜−30°とした場合には500を超える加工穴を形成することができるが、θを0°、−5°、−35°、−40°とした場合には、形成可能な加工穴が極端に減少し、500を超える加工穴を形成することはできないことがわかる。これは、θが−10°を超える場合には、刃先強度が不足してドリル摩耗の進行が早くなってしまう一方、θが−30°を下回ると切削負荷が増大してしまうことに基づく。
これを踏まえて本実施形態のドリル本体10においては、切屑排出溝13A、13Bの外周すくい角θが−10°〜−30°(負角)の範囲に設定されている。これにより、ドリル本体10の耐久性を向上させることができる。
また、特に二番逃げ面21A、21Bの逃げ角θと切屑排出溝13A、13Bの外周すくい角θとの両方を上記範囲内に設定することで、図1に示すドリル肩部32A、32B、即ち、リーディングエッジ18A、18Bと切刃30A、30Bとの境界領域の剛性を向上させてドリル本体10自体の耐久性を大幅に向上させることが可能となる。
以上、本発明における実施形態のドリル1について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものでなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で設計変更も可能である。例えば、ドリル本体10の表面には硬質被覆加工が施されていてもよい。
また、マージン部17A、17Bと二番取り面19A、19Bとの間に背中(段差部)31A、31Bが形成されていないものであってもよく、即ち、マージン部17A、17Bと二番取り面19A、19Bとが滑らかに連なっているものであってもよい。
さらに、ドリル1は、本実施形態のようにドリル本体10先端のみに切屑排出溝13A、13Bが形成されたいわゆるアンダーカットタイプのものでも良いし、ドリル本体10の先端側から後端側まで切屑排出溝13A、13が形成されたいわゆる全溝タイプであってもよい。
実施形態に係るドリルの側面図である。 実施形態に係るドリルの斜視図である。 実施形態に係るドリルの正面図である。 実施形態に係るドリルの各寸法を説明するための正面図である。 図4のX−X断面図である。 直線チゼルの偏心量の違いによる試験の試験結果である。 凸曲面の曲率半径Rの違いによる試験の試験結果である。 二番逃げ面の逃げ角θの違いによる試験の試験結果である。 心厚Dの違いによる試験の試験結果である。 切屑排出溝の外周すくい角θの違いによる試験の試験結果である。
符号の説明
1 ドリル
10 ドリル本体
11 刃部
13A 切屑排出溝
13B切屑排出溝
14A 壁面
14B 壁面
15A すくい面
15B すくい面
19A 二番取り面
19B 二番取り面
20A 先端逃げ面
20B 先端逃げ面
21A 二番逃げ面
21B 二番逃げ面
22A 三番逃げ面
22B 三番逃げ面
23A 凸曲面
23B 凸曲面
30A 切刃
30B 切刃
40 チゼルエッジ
41 中心チゼル
42A 湾曲チゼル
42B 湾曲チゼル
43A 直線チゼル
43B直線チゼル
O 軸線
T ドリル回転方向

Claims (4)

  1. 軸線回りに回転されるドリル本体の刃部の外周側面に、該刃部の先端から後端側に向けて延びる一対の切屑排出溝が形成され、該切屑排出溝のドリル回転方向前方を向く壁面の先端領域がそれぞれすくい面とされ、前記刃部の先端面に前記軸線を中心とする点対称とされた先端逃げ面が前記すくい面とそれぞれ交差するように一対形成され、前記すくい面と前記先端逃げ面との交差稜線部にそれぞれ切刃が形成されてなるドリルにおいて、
    前記先端逃げ面が、前記切刃に連なる二番逃げ面と、前記二番逃げ面よりも大きな逃げ角を有して該二番逃げ面の工具回転方向後方側に連なる三番逃げ面とを有し、前記二番逃げ面と前記三番逃げ面との境界領域にこれら二番逃げ面及び三番逃げ面を滑らかに接続する凸曲面が形成され、
    前記先端逃げ面同士の交差稜線部であるチゼルエッジが、前記二番逃げ面同士が交差して形成される中心チゼルと、一方の前記先端逃げ面の前記凸曲面と他方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面とが交差して形成されるとともに他方の前記先端逃げ面の前記凸曲面と一方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面とが交差して形成されて、前記中心チゼルの両端にそれぞれ接続される一対の湾曲チゼルとを備え、前記ドリル本体の正面視にてS字状をなしていることを特徴とするドリル。
  2. 前記チゼルエッジが、一方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面と他方の前記先端逃げ面の前記三番逃げ面とが交差して形成されるとともに他方の前記先端逃げ面の前記二番逃げ面と一方の前記先端逃げ面の前記三番逃げ面とが交差して形成され、各前記湾曲チゼルにそれぞれ滑らかに接続されて前記ドリル本体外周側に向かって延びる一対の直線チゼルをさらに備え、
    これら直線チゼルはそれぞれドリル回転方向前方側に偏心しており、各前記直線チゼルの偏心量の合計が、前記ドリル本体の直径Dに対して0.05D〜0.1Dの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載のドリル。
  3. 前記凸曲面の正面視における延在方向に直交し、かつ、前記軸線に平行な断面における該凸曲面の曲率半径が、前記ドリル本体の直径Dに対して0.1D〜0.6Dの範囲に設定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のドリル。
  4. 前記二番逃げ面の逃げ角が3°〜7°の範囲に設定され、
    前記ドリル本体の心厚が該ドリル本体の直径Dの値に対して50%〜75%の範囲の値に設定され、
    さらに、前記切屑排出溝の外周すくい角が−10°〜−30°の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のドリル。
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