JP4820597B2 - 化粧料コンパクト容器 - Google Patents

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本発明は、化粧料コンパクト容器に関し、詳しくは、固化化粧料充填中皿に対する衝撃を吸収することができ、衝撃時における固化した化粧料のひび割れや飛散を防止することができる化粧料コンパクト容器に関する。
従来、ファンデーション、アイカラー、頬紅などの化粧料においては、これら化粧料を化粧料充填用の中皿に充填、固化し、これをコンパクト容器に装着して提供されることが一般的である。コンパクト容器等に収容された固形化粧料は、例えば、コンパクト容器の持運び時の振動や、使用者が携帯時にコンパクト容器を落としたりして衝撃を与えた場合、化粧料の一部が剥がれたり、ひび割れが生じたり、化粧料が化粧料充填中皿から脱落するという問題点があり、固形化粧料は、一旦ひび割れが生じてしまうと、一部の塊や全体がその中皿から剥離して、パフ、ハケでこする際に使い難くなり、使用できなくなるという問題があった。
このような問題を解決する方法として、例えば、合成樹脂製の容器本体内に、化粧料皿の底部を弾性支持して縦方向の衝撃を吸収するウレタンフォーム等の緩衝材シートと、化粧料皿の周側部を弾性支持して横方向の衝撃を吸収するゴム等の緩衝材リングとを組み込む化粧用コンパクト(例えば、特許文献1参照。)。また、固形化粧料を化粧料収納皿に収納し、この化粧料収納皿をコンパクトケース内に衝撃吸収用の弾性材を介して圧入保持したもの(例えば、特許文献2参照。)、化粧料充填皿とアウターケースの間に、シリコーンゲルを緩衝的に介在させる方法(例えば、特許文献3参照。)等が提案されている。さらに、化粧料用中皿または化粧料の上面にクッションプレート部材を備えることが知られている(例えば、特許文献4参照。)。
しかしながら、上記の方法によると、部品点数が多くコストアップになるとともに、組立性や生産性も良くないという問題、また、弾性材により振動および衝撃は、ある程度吸収されるものの、大きな衝撃力が加わった場合には、化粧料収納皿とコンパクトケースとの圧入係合が解除されて、化粧料収納皿がコンパクトケースから脱落するおそれがあるという問題、さらに、これらの方法は、落下に際して容器底部が被落下物(多くの場合は床であるが、机、その他の場合もあり得る)に最初に接触する場合には一定の効果を発揮し得るが、容器の側面が床に衝突するように落下した場合には効果が低いという問題があった。
実公昭61−12886号公報 実開平4−25611号公報 特開平4−117910号公報 特開2002−223843号公報
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、小型かつ軽量で、しかも経済性に優れ、固形化化粧料を充填したコンパクト容器をどのような向きで落としても、化粧料のひび割れやその飛散を防止することができる化粧料コンパクト容器を提供することにある。
本発明者は、かかる課題を解決すべく鋭意検討した結果、容器本体内部と化粧料充填中皿収容部との間に球状シリコーンゲルを介在させることにより、衝撃時における固化化粧料のひび割れやその飛散を防止することができると共に、容器全体の重量やその容積を低減することができることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明の第1の発明によれば、容器本体内に固化化粧料充填中皿を収容して用いるコンパクト容器において、容器本体内に化粧料充填中皿を装着する中皿収容部をフローティング状に設け、容器本体と中皿収容部との間の中皿収容部の下側四隅が面取りされてなる間に球状シリコーンゲルを配することを特徴とする化粧料コンパクト容器が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1の発明において、球状シリコーンゲルが、針入度が10〜120(JIS K 2207−1980 50g荷重)のシリコーンゲルからなることを特徴とする化粧料コンパクト容器が提供される。
また、本発明の第の発明によれば、第1又は2の発明において、球状シリコーンゲルが、直径3.0〜10.0mmであることを特徴とする化粧料コンパクト容器が提供される。
本発明の化粧料コンパクト容器は、球状シリコーンゲルを緩衝材として用いているので、どのような向きで落としても、固化化粧料のひび割れやその飛散を防止することができる容器である。
本発明は、球状シリコーンゲルで衝撃吸収を行なう化粧料コンパクト容器である。以下にその構造、性能等について詳細に説明する。
本発明の化粧料コンパクト容器を、一実施形態を示す図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の化粧料コンパクト容器に固化化粧料充填中皿を収容した状態を示す斜視図であり、図2は、固化化粧料充填中皿を示す斜視図であり、図3は化粧料中皿収容部を示す斜視図であり、図4は、固化化粧料充填中皿を中皿収容部に装着し、次いで中皿収容部を化粧料コンパクト容器本体に設置する順序を説明する図である。また、図5は固化化粧料充填中皿を中皿収容部に装着し、中皿収容部を容器本体に設置し、蓋をしたときの化粧料コンパクト容器の断面図であり、図6及び7は球状シリコーンゲルの配置部の拡大図である。各図中、1は化粧料コンパクト容器、2は容器本体、3は蓋体、4は化粧料充填中皿、5は中皿収容部、6は球状シリコーンゲル、7は鏡、8はカバー、9はパフ、10は固化化粧料である。
図1に示す化粧料コンパクト容器1では、内部に鏡7を装着した蓋体3が回動自在に容器本体2に取り付けられている。蓋体3によって開閉される合成樹脂製の容器本体2の内部の凹部には、図2に示す固化化粧料10が充填された化粧料充填中皿4が、図3に示す中皿収容部5に装着され、該中皿収容部5は、容器本体2の凹部に設置されている。
固化化粧料10が充填された化粧料充填中皿4は、図4に示すように、化粧料充填中皿4の係止部41で中皿収容部5の係止部51に係合してその内部に装着され、中皿収容部5は、四隅に球状シリコーンゲル6を配した容器本体2の凹部21に設置される。
さらに、本発明のコンパクト容器1を容器本体2と蓋体3を閉じた状態の断面図である図5で説明すると、固化化粧料10は化粧料充填中皿4内に充填され、化粧料充填中皿4は中皿収容部5に係合されて装着され、中皿収容部5は容器本体2内の凹部21内で4個の球状シリコーンゲル6で容器本体2の凹部21の底面及び側面に接することなく、浮いた状態のフローティング構造で設置されている。
フローティング構造にすることにより、コンパクト容器の左右および底部の三方向のどの方向からの衝撃力に対しても緩和効果が発揮され、化粧料充填中皿4内には衝撃力が伝わらず、固化化粧料のひび割れ等は生じない。特に、フローティング構造を球状シリコーンゲルを用いて実現させているところに本発明の特徴がある。通常、弾性部材を保護対象物と筐体との間に介在させて、外部からの振動や衝撃を点接触や線接触から面接触へと移行する間に緩衝効果を得ようとすることはよく行なわれていることであるが、線や面での接触面においては、その弾性体の変形に限度があり、必ずしも充分な緩衝効果が得られてはいなかった。ところが、球状の弾性部材は、弾性部材の大きさを変えてもあらゆる方向からの振動や衝撃に対して均等な緩衝作用をし、かつ弾性体の変形も十分に対応できる利点を有している。特に球状シリコーンゲルであって、その針入度が10〜120の範囲の柔らかな球状シリコーンゲルは、軽荷重の小さな容器においても弾性変形と緩衝作用が最大限に発揮される特徴を有している。
容器本体2の凹部21内に設けられている球状シリコーンゲル6は、凹部21の四隅22に配されるのが好ましい。また、球状シリコーンゲルに接する中皿収容部5の下側四隅は、45〜60度の角度で面取りがされていることが好ましい。凹部21の隅22と中皿収容部5の面取りされた四隅52の間の各隅において、球状シリコーンゲル6は、隅部の拡大図である図6及び図7に示すように4点で各面に接触し、衝撃を緩和する。すなわち、図6は球状シリコーンゲル6を容器本体2の凹部21配し、中皿収容部5を設置した一隅の拡大平面図であり、図7はその拡大断面図である。球状シリコーンゲル6は、凹部21の側面と61、62で接触し、凹部21の底面と63で接触し、さらに、中皿収容部5の面取り部52と64で接触する。このように4点で接触することにより、コンパクト容器への下部、側面からの衝撃に対して、球状シリコーンゲルの弾性変形と緩衝作用が最大限に発揮される。なお、球状シリコーンゲル6の径は、容器本体2の凹部21の四隅と中皿収容部5の面取り部52で形成される空間よりやや大きくすることが好ましい。
なお、固化化粧料10を充填した化粧料充填中皿4は、中皿収容部5に装着して浮遊状態であるため、化粧料充填中皿4と鏡7の間の空間にパフ9を入れて、コンパクトの蓋3を閉じた状態では、化粧料充填中皿4は下部方向に押し付けられたような状態となり、パフ9が緩衝材の働きをし、コンパクト容器の蓋部分方向からの衝撃力が緩和される。また、コンパクト容器の使用に当たって、パフ9で固化化粧料10をふき取って使用する際に、容器本体2の凹部21と中皿収容部5との間にある隙間に化粧料が入るのを防ぐために、カバー8を設けることが好ましい。該カバー8は、外周がコンパクト容器の凹部21の外周より大きく、内周が化粧料充填中皿4の内周よりやや小さめの形状のものが好ましく、コンパクト容器の凹部21の内側壁面に係止部、例えば、図5の81を設けて脱着可能にし、化粧料充填中皿4の取替え時に脱着可能にできるものであれば、特に制限なく用いることができる。
上記のような構成にすることにより、化粧料充填中皿4及び中皿収容部5は、容器本体凹部21内に設けられている4個の球状シリコーンゲル6とパフ9で挟時されるフローティング構造となり、外部からの衝撃力に対しての緩衝作用が最大限に発揮される。
なお、本発明のコンパクト容器は、内部に化粧料充填中皿と化粧具を収納する二つの凹部を有する略長方形の容器であってもよい。ただし、この場合は、カバー9と化粧料充填中皿4の間にシート上の緩衝材等を入れるのが望ましい。また、化粧料充填中皿4及び中皿収容部5は図に示すような角形の形状のみでなく、円形であっても良い。中皿収容部が円形である場合は、中皿収容部下部の球状シリコーンゲル配設箇所の外隅を面取りしておくのが好ましい。
本発明で用いる球状シリコーンゲルは、シロキサン結合の特性から変形容易でしかもクリープ性が小さく、耐熱性が大きくて熱的に安定であり、化学的な安定性が高く、光透過率が90%以上の高い透明性を容易に得られ、屈折率の調整やその分布の調整が容易であり、適当な硬さ範囲ではヌレ性を高めるべとつき性を持っている。したがって、成形品に密着性を付与し、押圧するとどのような端面にも密着する機能を有する。
シリコーンゲルとしては、従来から知られ、市販されている種々のシリコーン材料として一般的に使用されているものを適宜選択して用いることができる。よって、加熱硬化型あるいは常温硬化型のもの、硬化機構が縮合型あるいは付加型のものなど、いずれも用いることができる。また、珪素原子に結合する基も特に限定されるものではなく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基等のアルキル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等のシクロアルキル基、ビニル基、アリル基等のアルケニル基、フェニル基、トリル基等のアリール基のほか、これらの基の水素原子が部分的に他の原子又は結合基で置換されたものを挙げることができる。
本発明で用いるシリコーンゲルは、硬化後におけるJIS K2207−1980(50g荷重)の針入度が10〜120であることが好ましく、より好ましくは20〜100である。針入度が10未満であると硬すぎて充分な衝撃緩衝効果が得られなく、120を超えると柔らかすぎて充分な衝撃緩衝効果が得られず、また変形が大きくてフローティング面の底付けを起こす。
ここで、針入度はJIS K 2207−1980に準拠して求める値である。
本発明で用いる球状シリコーンゲルは、恒温の流体中で硬化させる公知の方法で製造できる。球状シリコーンゲルの直径は、3.0〜10.0mmが好ましく、より好ましくは5.0〜8.0mmである。球状シリコーンゲルの直径が、10.0mmを超えるとコンパクト容器本体が大きくなり、3.0mm未満であると強い衝撃に対して、フローティング面の底付けを起こし、それぞれ好ましくない。
本発明を以下に実施例を示して具体的に説明するが、本発明はその要旨を逸脱しない限りこれら実施例によって制約を受けるものではない。なお、物性測定法は、以下の通りである。
(1)針入度:JIS K 2207−1980(50g荷重)に準拠して求めた。
(2)衝撃力:ガイドレールにより落下方向が一定方向となる落下台上にコンパクト容器を固定し、化粧料充填用中皿収容部の凹部内面の落下方向面に加速度センサーを取り付け(底面方向の場合は底面に、側面方向の場合は側面に)、落下高さを10cm、被落下物を25mm厚さのスチールプレートとしてコンパクト容器を落下させ、落下時の化粧料充填用中皿収容部が受ける衝撃力(加速度G)を測定した。なお、化粧料充填用中皿収容部の凹部には市売の化粧料充填中皿の重量相当量として15gの油粘土を詰め、化粧料充填中皿を装着した状態に擬した。
(実施例1)
図1〜5に示す形状のアクリル樹脂性のコンパクト容器として、次の(i)〜(iv)の寸法の容器を用いた。
(i)容器蓋体:外寸法83mm×91mm×2mm
(ii)容器本体:外寸法83mm×91mm×22mm、凹部寸法63mm×71mm×17mm
(iii)化粧料充填用中皿収容部:外寸法55mm×63mm×11mm、凹部寸法45mm×53mm×8mm
(iv)中皿収容部底面の面取り:底部コーナーの面取りをコーナー底面よりの高さ4.3mmの点より30度の角度で面取り
また、球状シリコーンゲルとして、針入度が45.0のシリコーンゲルからなる直径6mmのゲルボールを、上記コンパクト容器の容器本体凹部四隅に各1個配設した。さらに、スポンジ製パフ(外寸法42mm×50mm×8mm)を収容し容器蓋体を被せ粘着テープで固定した。
上記の球状シリコーンゲルとパフを配したコンパクト容器の底面方向の落下試験と短側面方向の落下試験を行なった。その結果を表1に示す。
(実施例2)
針入度が10の球状シリコーンゲルを用いる以外は、実施例1と同様にしてコンパクト容器の底面方向の落下試験と短側面方向の落下試験を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例1)
球状シリコーンゲルの替わりに球状シリコーンゴムボール[ゴム硬度:35(JIS A)]を用いる以外は、実施例1と同様にしてコンパクト容器の底面方向の落下試験と短側面方向の落下試験を行なった。その結果を表1に示す。
(比較例2)
球状シリコーンゲルを使用しない以外は、実施例1と同様にしてコンパクト容器の底面方向の落下試験と短側面方向の落下試験を行なった。その結果を表1に示す。
Figure 0004820597
表1から明らかなように、本発明のコンパクト容器中の化粧料の受ける衝撃力は、球状シリコーンゲルを使用しない場合の約3〜8分の1に低減した。なお、実施例1の条件で、市販の固化化粧料充填中皿を装着した落下テストにおいて30cmの高さから落としても固化化粧料には亀裂、破損は生じなかった。
本発明の化粧料コンパクト容器は、球状シリコーンゲルを緩衝材として用いているので、どのような向きで落としても、化粧料のひび割れやその飛散を防止することができる容器であり、好適に用いることができる。
本発明の化粧料コンパクト容器に固化化粧料充填中皿を装着した状態の一実施態様を示す斜視図である。 固化化粧料充填中皿を示す斜視図である。 化粧料中皿収容部を示す斜視図である。 固化化粧料充填中皿を中皿収容部に装着し、次いで化粧料コンパクト容器本体に装着する順序を説明する図である。 固化化粧料充填中皿を装填し、蓋をしたときの化粧料コンパクト容器の断面図である。 容器本体凹部の一隅の拡大平面図である。 容器本体凹部の一隅の拡大断面図である。
符号の説明
1 化粧料コンパクト容器
2 容器本体
3 蓋体
4 化粧料充填中皿
5 中皿収容部
6 球状シリコーンゲル
7 鏡
8 カバー
9 パフ
10 固化化粧料

Claims (3)

  1. 容器本体内に固化化粧料充填中皿を収容して用いるコンパクト容器において、容器本体内に化粧料充填中皿を装着する中皿収容部をフローティング状に設け、容器本体と中皿収容部との間の中皿収容部の下側四隅が面取りされてなる間に球状シリコーンゲルを配することを特徴とする化粧料コンパクト容器。
  2. 球状シリコーンゲルが、針入度が10〜120(JIS K 2207−1980 50g荷重)のシリコーンゲルからなることを特徴とする請求項1に記載の化粧料コンパクト容器。
  3. 球状シリコーンゲルが、直径3.0〜10.0mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の化粧料コンパクト容器。
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