JP4819952B2 - アクリル系樹脂パッケージ体 - Google Patents

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Description

本発明は、アクリル系樹脂ペレットの製造方法、及び当該ペレットを使用するフィルムの製造方法に関するものである。
樹脂ペレットは、押出成形機で溶融状態にした樹脂をダイスプレートに注入し、押出される樹脂をストランドカット法、ホットカット法、アンダーウォーターカット法、又はウォータリングカット法によりペレットの形状にカットされ、カットされた溶融状態の樹脂は、水と接触させる水冷固化方式等によりガラス転移温度以下まで冷却される。
このようにして製造されたペレットは、溶融加工を経て、フィルム、シート、各種成形体の原料に使用される。ここで、溶融加工に供する際にペレットの含水量が多いと、溶融成形した際に、樹脂が分解したり、気泡やミクロボイド、シルバーストリーク等を発生し外観不良を生じたりすることが知られている。
特に主鎖中に環構造を有するアクリル系樹脂は、溶融加工に供する際に含水量が多い場合、環構造の分解に起因する樹脂特性の低下や、分解ガスにより気泡を生じることが知られている。このため、溶融加工前に、アクリル系樹脂に含まれている水分を低減させるための乾燥工程を設けることが一般的である。
通常環境下におけるアクリル系樹脂の含水量は、通常10,000ppm以上であり、これを溶融加工時に外観不良が起きない含水量まで脱水する場合、例えば、100℃以上の温度で5時間以上乾燥する必要がある。この場合には、生産性の低下や、乾燥工程において異物が混入するおそれがある等の問題があった。
そのため、上記乾燥工程を省くため、ペレット製造時に含水量を低く抑制する方法が提案されている(例えば、特許文献1,2参照)。
特許文献1には、ポリオレフィン系樹脂ペレット製造方法として、冷却時に水冷固化方式ではなく、水混合エアーをペレットに吹き付ける方法が開示されている。
また、特許文献2には、ペレタイズ後に予備乾燥機を設けた、ポリエステルペレットの移送装置を用いる方法が開示されている。
特開平6−315930号公報(1994年11月15日公開) 実開平7−26107号公報(1995年5月16日公開)
しかしながら、上記特許文献1,2の方法では、アクリル系樹脂に適用した場合には生産性の向上が不十分であるという問題を生じる。
具体的には、特許文献1の方法では、ポリオレフィン樹脂のように吸湿性がそれほど高くない樹脂に対しては乾燥時間を短縮することができるが、アクリル系樹脂のような吸湿性が高い樹脂では、短時間で吸湿が起こり、また、一旦吸湿した水分を除去するために長時間を要するため、乾燥時間はほとんど短縮されない。
また、特許文献1と同様に、特許文献2の方法では、ペレットが吸湿した後に乾燥を行うため、アクリル系樹脂のような吸湿速度の速い樹脂では、乾燥時間はほとんど短縮されない。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、アクリル系樹脂のような吸湿性の高い樹脂であっても、含水率の低いペレットを効率良く安定的に製造することができる製造方法、並びに当該ペレットを用いたフィルムの製造方法を実現することにある。
本発明に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法は、上記課題を解決するために、溶融状態のアクリル系樹脂をペレットに成形する成形工程と、上記成形工程後に、上記ペレットを貯蔵サイロへ移送する移送工程とを含むアクリル系樹脂ペレットの製造方法であり、上記移送工程におけるペレットの温度を70℃以上に保持することを特徴とする。
上記方法によれば、上記移送工程におけるペレットの温度が70℃以上に保持されるため、貯蔵サイロに到達するまでにおけるペレットの吸湿を抑制することができる。
従って、アクリル系樹脂のような吸湿性の高い樹脂であっても、含水率の低いペレットを効率良く安定的に製造することができるという効果を奏する。
本発明に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法では、上記ペレットを貯蔵サイロにて除湿雰囲気下で冷却する冷却工程を更に含むことが好ましい。
上記方法によれば、吸湿することを抑制してペレットを冷却することができるため、冷却された、含水率の低いペレットを効率良く安定的に製造することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法では、上記成形工程後、移送工程前に、上記ペレットの温度を上記アクリル系樹脂のガラス転移温度以下に冷却する工程を更に含み、上記移送工程におけるペレットの温度を、70℃以上、上記アクリル系樹脂のガラス転移温度以下の範囲内に保持することが好ましい。
上記方法によれば、上記移送工程におけるペレットの温度が70℃以上、上記アクリル系樹脂のガラス転移温度以下の範囲内に保持されるため、貯蔵サイロに到達するまでにおけるペレットの吸湿を抑制することのみならず、ペレット間の融着を抑制することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法では、上記アクリル系樹脂のガラス転移温度が110℃以上であることが好ましい。
上記方法によれば、ペレット間の融着がより抑制されるという更なる効果を奏する。また、より高い温度下でもペレット間の融着を避けることができるため、より高い温度で移送工程を行うことが可能となる。その結果、含水率のより低いペレットを製造することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法では、上記アクリル系樹脂は、主鎖中に環構造を有することが好ましい。
上記方法によれば、アクリル系樹脂が主鎖中に環構造を有するため、アクリル系樹脂のガラス転移温度が向上する。このため、ペレット間の融着がより抑制されるという更なる効果を奏する。また、より高い温度下でもペレット間の融着を避けることができるため、より高い温度で移送工程を行うことが可能となる。その結果、含水率のより低いペレットを製造することができるという更なる効果を奏する。
本発明に係るフィルムの製造方法は、上記課題を解決するために、上記本発明の製造方法により、アクリル系樹脂ペレットを製造する工程と、上記アクリル系樹脂ペレットをフィルムに成形する工程とを含むことを特徴としている。
上記方法によれば、本発明の製造方法により得られるアクリル系樹脂ペレットを用いてフィルムを製造するため、ペレットの水分に起因して起こる外観不良が抑制されたフィルムを効率良く安定的に製造することができるという効果を奏する。
本発明に係るペレットは、上記課題を解決するために、上記本発明の製造方法により得られることを特徴としている。
上記構成によれば、含水率の低いアクリル系樹脂ペレットを提供することができる。
本発明に係るアクリル系樹脂パッケージ体は、上記課題を解決するために、アクリル系樹脂ペレットが、水蒸気透過度が1.0g/m/24h未満の材料で密閉されたアクリル系樹脂パッケージ体であり、上記アクリル系樹脂ペレットは、含水量が300ppm未満であり、且つ液中パーティクルカウンターで測定した、直径が2μm以上の異物が500個/g未満であることを特徴としている。
上記構成によれば、含水率が低く、且つ異物の少ないアクリル系樹脂パッケージ体を提供することができる。
本実施の形態に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法に用いられる製造装置の概略構成を示す模式図である。
符号の説明
1 ペレット化装置
2 輸送配管
3 搬送用気体ブロア
4 排気口
5 貯蔵サイロ
6 除湿ガス導入手段
7 製品充填口
以下、本発明について詳しく説明する。尚、本明細書では、「(メタ)アクリル酸」はアクリル酸又はメタクリル酸を意味する。また、「異物」とは、樹脂が熱等により炭化等の化学反応した物質や、外部環境からパッケージ体中に混入した鉱物、塩等の無機物を主成分とする物質や、タンパク質や繊維等の有機物質等を含む、クロロホルムに不溶な成分を意味する。具体的には、後述の実施例に記載の「異物数」の測定方法により測定される、直径が2μm以上の異物を意味する。
また、「重量」は「質量」と同義語として扱い、「重量%」は「質量%」と同義語として扱う。また、範囲を示す「A〜B」は、A以上B以下であることを示す。更には、「アクリル系樹脂」とは、(メタ)アクリル酸若しくは(メタ)アクリル酸エステル等の(メタ)アクリル酸誘導体を主成分として含有する単量体成分を重合して得られる樹脂を意味する。また、本明細書において「主成分」とは、50質量%以上含有していることを意味する。
また、本明細書で挙げられている各種物性は、特に断りの無い限り後述する実施例に記載の方法により測定した値を意味する。
本実施形態に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法は、溶融状態のアクリル系樹脂をペレットに成形する成形工程と、上記成形工程後に、上記ペレットを貯蔵サイロへ移送する移送工程と、上記ペレットを貯蔵サイロにて除湿雰囲気下で冷却する冷却工程とを含み、上記移送工程におけるペレットの温度を70℃以上に保持する方法である。
以下、図1を用いて詳細に説明する。
図1は、本実施の形態に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法に用いられる製造装置10の概略構成を示す模式図である。
図1に示すように、上記製造装置10は、アクリル系樹脂をペレット化するペレット化装置1と、成形した当該ペレットを冷却乾燥する貯蔵サイロ5と、上記ペレット化装置1と貯蔵サイロ5とを繋ぐ輸送配管2とを備える。
輸送配管2には、成形したペレットをペレット化装置1から貯蔵サイロ5へ気体による圧力輸送により搬送するため、搬送用気体ブロア3と搬送用気体の排気口4とが設けられている。
貯蔵サイロ5には、移送されたペレットを冷却乾燥するために除湿ガス導入手段6が設けられている。また、貯蔵サイロ5は、冷却乾燥後のペレットを取り出すための製品充填口7を備えている。
つまり、上記製造装置10では、ペレット化装置1により成形されたペレットは、搬送用気体ブロア3から流れる気体の圧力により、輸送配管2を通り、貯蔵サイロ5へ移送され、移送されたペレットは除湿ガス導入手段6から流れる気体により除湿環境下で冷却される。そして、貯蔵サイロ5の製品充填口7から製造したペレットが取り出される。
(a)成形工程
本実施の形態に係る成形工程における溶融状態のアクリル系樹脂をペレットに成形する方法は、特には限定されず従来公知の方法を適用することができる。例えば、押出成形機とダイスプレートとにより押出された溶融状態のアクリル系樹脂を水と接触させて水冷固化後にカットする方法(ストランドカット法)や、溶融状態のアクリル系樹脂を水中に押出し一部水冷固化した状態でカットする方法(アンダーウォーターカット法)や、溶融状態のアクリル系樹脂をカットし、その後水と接触させて水冷固化する方法(ホットカット法)や、溶融状態のアクリル系樹脂に水を噴霧して一部を水冷固化した状態でカットする方法(ウォータリングカット法)等が挙げられる。
上記成形工程で用いられるペレット化装置1は、主として、単軸若しくは2軸の回転軸を備えた押出成形機と、ダイスプレートと、カッティング装置とから構成される。カッティング装置が採用するカッティング方式としては、例えば、上述したストランドカット法、ホットカット法、アンダーウォーターカット法やウォータリングカット法等が挙げられる。これらの中でも、操作性が良く、製造されるペレットの形状が良好であることから、ウォータリングカット法を採用するウォータリングペレタイザを好適に用いることができる。
溶融混練されたアクリル系樹脂をダイスプレートに供給する前には、ポリマーフィルターで濾過を行うことが好ましい。つまり、ポリマーフィルターを押出成形機先端部に備え付けることで異物を効果的に除去することができる。
上記ポリマーフィルターとしては、濾過精度が1μm以上10μm以下の範囲内であることが好ましく、1μm以上5μm以下の範囲内であることがより好ましく、2μm以上3μm以下の範囲内であることが更に好ましい。濾過精度が1μm未満であると、ポリマーフィルターにおける樹脂の濾過滞留時間が長くなり、生産効率が低下するため好ましくない。また、濾過精度が10μmを超えると、異物が混入し易くなるため好ましくない。
上記ポリマーフィルターは、上記範囲内の濾過精度を有するポリマーフィルターであれば特には限定されず、従来公知のポリマーフィルターを使用することができる。上記ポリマーフィルターとしては、例えば、リーフディスクタイプのポリマーフィルター、パックディスクフィルター、円筒型フィルター、キャンドル状フィルター等が挙げられる。これらの中では、濾過面積が広く、高粘度の樹脂を濾過した場合でも圧力損失が少ないことから、リーフディスクタイプのポリマーフィルターを好ましく用いることができる。
上記ポリマーフィルターがリーフディスクタイプのポリマーフィルターである場合、フィルターの素材としては、金属繊維を焼結した材料からなるもの、金属粉末を焼結した材料からなるもの、金網を積層させ圧縮したものが好ましい。これらの中では、金属繊維を焼結した材料からなるものが特に好ましい。
ペレット化装置1において、ダイスプレートから押出される溶融樹脂の温度は、溶融させる樹脂のガラス転移温度等を考慮して適宜設定することができるが、好ましくは250℃以上350℃以下の範囲内に設定することができる。上記範囲内であれば、樹脂の熱劣化を抑制することができ、且つ樹脂の溶融粘度をカッティングに適した範囲にすることができる。より好ましくは260℃以上320℃以下の範囲内であり、更に好ましくは270℃以上300℃以下の範囲内である。
また、ペレット化装置1と輸送配管2との間に、ペレットを乾燥させるための乾燥機を別途設けてもよい。上記乾燥機としては、例えば、遠心乾燥機等が挙げられる。
上述した成形工程後のペレットの温度は70℃以上であることが必要である。70℃以上であれば、ペレットの吸湿を抑制することができる。成形工程後のペレットの温度範囲は、より好ましくは80℃以上であり、更に好ましくは90℃以上であり、最も好ましくは95℃以上である。
また、当然のことながら、成形加工工程での吸湿を抑制するという観点から、成形加工工程から移送工程までの工程全般において、ペレットの温度は70℃以上であることが好ましい。
上記成形工程後のペレットの温度がガラス転移温度を超えている場合には、上記成形工程後、移送工程前に、上記ペレットの温度を当該ペレットのガラス転移温度以下まで冷却する工程を別途設けてもよい。ペレットの冷却方法としては、特には限定されず、空冷、水冷等の従来公知の方法を用いることができる。
(b)移送工程
本実施の形態に係る移送工程は、気体による圧力輸送により行われ、ペレットの温度を70℃以上に保持して行われる。
尚、本明細書中における「移送工程」とは、上記成形工程で得られたペレットが、ペレットを移送する手段(本実施の形態では、輸送配管2)に到達した時点から開始し、貯蔵サイロ5へ到達するまでの間を指す。
上記圧力輸送に用いられる気体は、特には限定されず、例えば、空気や窒素等が挙げられる。コスト及び作業性を考慮すると、空気を使用することがより好ましい。上記圧力輸送に用いられる気体の絶対湿度は、例えば0.05kg/kgD.A以下のように低く設定することがより好ましいが、上記ペレットの温度範囲を保持していれば、特別に除湿設備等により上記気体の除湿を行う必要はない。
輸送配管2は、配管面内を研磨処理等により、凸凹を無くし鏡面状にしたサニタリー配管を用いることが好ましい。輸送配管2の材質としては、SUS304やSUS316等のステンレス鋼が好ましく用いられる。
輸送配管2は、全体が一体化していても、継手を用い脱着可能な構成となっていても構わないが、洗浄等のメンテナンスの容易さを考慮して、継手を用いた構成となっていることがより好ましい。継手としては、フランジ継手、ねじ込み継手、へレール継手等が挙げられるが、滞留部が極めて少ないことからヘレール継手がより好ましい。
輸送配管2の内径は、ペレットの温度を70℃以上に保持してペレットを輸送することができれば特には限定されないが、20mm以上300mm以下の範囲内であることがより好ましい。更に好ましくは40mm以上150mm以下の範囲内であり、最も好ましくは50mm以上100mm以下の範囲内である。輸送配管2の内径が20mm未満である場合は、輸送気体(圧力輸送に用いられる気体)と配管壁との摩擦による圧力損失が著しく大きくなり、ペレットの輸送効率が大幅に低下する傾向にある。また、300mmより大きい場合には、充分な輸送気体の圧力を得ることが困難となる可能性がある。
圧力輸送に使用する気体量は、1.0〜10.0Nm/min程度に設定することがより好ましく、2.0〜4.0Nm/minの範囲内に設定することが更に好ましい。また、ペレットの搬送速度は、ペレットの温度を70℃以上に保持してペレットを輸送することができれば特には限定されないが、10.0m/sec以上50.0m/sec以下の範囲内であることが好ましく、15.0m/sec以上30.0m/sec以下の範囲内であることが更に好ましい。ペレットの搬送速度を上記範囲とすることで、ペレットの破損を抑制して、ペレットを効率よく輸送することができる。
ペレット搬送中における、ペレット重量と搬送気体との重量比(=ペレット重量/搬送気体の重量、以下、「固気比」と記す)は、ペレットの温度を70℃以上に保持してペレットを輸送することができれば特には限定されないが、1.0kg/kg以上5.0kg/kg以下の範囲内であることが好ましい。より好ましくは2.0kg/kg以上3.0kg/kg以下の範囲内である。固気比が1.0kg/kg未満である場合、輸送効率が極めて低く、また気体による過度の冷却効果により、ペレット温度を70℃以上に保つことが困難となる傾向にある。また、固気比が5.0kg/kgを超える場合では、ペレット同士の衝突によりペレットの破損が著しく増加する傾向にある。
上記移送工程におけるペレットの温度は、70℃以上に保持する必要があるが、ペレット間の融着を防止するという観点から、当該ペレットのガラス転移温度以下にペレットの温度を設定することがより好ましい。また、同様に、上記移送工程におけるペレットの温度範囲は、より好ましくは80℃以上、当該ペレットのガラス転移温度以下の範囲内であり、更に好ましくは90℃以上、当該ペレットのガラス転移温度以下の範囲内であり、最も好ましくは95℃以上、当該ペレットのガラス転移温度以下の範囲内である。
上記輸送工程におけるペレットの温度を上記好ましい温度範囲内に保持する方法としては、例えば、輸送配管2の長さをできる限り短くして、ペレットが冷却する前に貯蔵サイロ5へペレットを移送する方法、輸送配管2の周りを断熱材等で覆う方法、及び圧力輸送に用いる気体の温度を高くする方法、並びにこれらを組み合わせた方法等が挙げられるが、特には限定されない。
また、輸送配管2が備える排気口4は、貯蔵サイロ5の入口において、ペレットと搬送用気体とを分離し、ペレットのみが貯蔵サイロ5に入るように工夫されていることがより好ましい。
尚、上述の説明では、移送工程を気体による圧力輸送で行う場合について説明したが、これに限るものではない。ベルトコンベアーを用いた輸送方法やパケットコンベアーを用いた輸送方法等であってもよい。移送工程におけるペレットの温度を70℃以上に保持することができれば、本実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
但し、本実施形態のように、移送工程を気体による圧力輸送で行う場合は、他の方法と比較して移送速度が速く、移送時間を短縮することができ、長距離の移送も簡便に行うことができるので、特に効果が大きい。また、他の方法と比較して、移送中における異物の混入が極めて少ないことも好ましい理由である。
(c)冷却工程
本実施の形態に係る冷却工程は、移送された上記ペレットを貯蔵サイロ5にて除湿雰囲気下で冷却する工程である。尚、本明細書における「貯蔵サイロ」とは、タンク(容器)等の設備全般を意味し、その形状、材質等は特に限定されない。
貯蔵サイロ5では、内部を外気からシールする目的で、下部より除湿した気体を導入することがより好ましい。当該気体としては、窒素等の不活性ガスや空気等が挙げられ、作業性及び経済性を考慮すれば空気がより好ましい。この場合における上記気体の絶対湿度は、0.01kg/kgD.A以下であることが好ましく、0.005kg/kgD.A以下であることが更に好ましい。つまり、貯蔵サイロ5内の絶対湿度は0.01kg/kgD.A以下であることが好ましく、0.005kg/kgD.A以下であることが更に好ましい。
貯蔵サイロ5に貯蔵されたペレットは、70℃未満に冷却された後、製品充填口7から取り出されてパッケージングされる。50℃未満に冷却された後、製品充填口7から取り出されてパッケージングされることがより好ましい。
パッケージに使用される材料は、実質的に水分を通さず、密閉できることが要求される。このような材料としては、例えば、金属製のコンテナーや、金属アルミニウムを蒸着したフィルム、ポリエチレン等を好適に用いることができる。ペレットをパッケージする前にパッケージ用容器の内部を除湿した気体で置換することも好ましい形態である。
より具体的には、上記パッケージ用容器は、水蒸気透過度が1.0g/m/24hr未満である材料からなるものであることが好ましい。このような材料としては、膜厚が10μm以上の鉄、銅、鋼材、薄鋼−錫メッキ材、ステンレス材等の金属材料や、基材に二軸延伸ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたポリ塩化ビニリデンコートフィルム、アルミニウム蒸着フィルム、シリカ蒸着フィルム、膜厚が50μm以上であり且つブリードアウトする可能性のある添加剤の配合量が極めて低レベルである二軸延伸ポリプロピレンフィルム等のフィルム材料が挙げられる。
尚、パッケージするアクリル系樹脂ペレットの入り目が1tを超える場合には、上記パッケージ用容器として、上記例示の金属材料を少なくとも1層以上含むコンテナーを好適に用いることができる。特に、ステンレス材にて構成されたコンテナーが好ましい。
パッケージするアクリル系樹脂ペレットの入り目が1t以下の場合は、上記フィルム材料を少なくとも1層以上含むフレキシブルコンテナーを好適に用いることができる。特に、基材に二軸延伸ポリプロピレンやポリエチレンテレフタレートフィルムを用いたアルミニウム蒸着フィルムを少なくとも1層有する材料からなるフレキシブルコンテナーが好ましい。この場合、アルミニウム蒸着層の厚さは、400Å以上、1μm未満であることが好ましい。
また、上記フレキシブルコンテナーの内面には、ヒートシールで圧着可能なポリエチレン、未延伸ポリプロピレン等の材料を設けることが特に好ましい。
上記多層構造のフィルムを用いる場合、各層の間に接着層等を設けてもよく、多層構造の全膜厚としては、80μm以上300μm未満であることが好ましい。上記多層構造のフィルムの全膜厚が80μm未満の場合、フィルム強度が不十分となるおそれがあり、300μm以上の場合には、フィルムの柔軟性が不足するおそれがある。多層構造の全膜厚としては、90μm以上150μm未満であることが特に好ましい。
上記パッケージ用容器としてフレキシブルコンテナーを用いる場合、水蒸気透過度が1.0g/m/24hr未満である上記材料を袋状に加工してペレットを密封し、この密封した容器を更に、保存や輸送中でのペレットの破損を防ぐために、ポリエチレンやポリプロピレン等の化学繊維を編んだ袋状の成型物に入れることが好ましい。
パッケージするアクリル系樹脂ペレットの入り目(容量)は、100kg以上であることが好ましい。当該入り目は、より好ましくは300kg以上であり、更に好ましくは500kg以上であり、最も好ましくは800kg以上である。入り目が100kg以上のサイズのパッケージ体を用いて、フィルム等の成形体を製造する場合、パッケージを開封する頻度が低くなるため、環境異物の他、パッケージの開封作業に伴う粉塵、及び切りくずがペレットに混入する可能性を低くすることができる。
上述した本実施の形態に係る方法により製造されるペレットの含水量は、300ppm以下であることが好ましい。より好ましくは200ppm以下であり、更に好ましくは100ppm以下であり、最も好ましくは50ppm以下である。含水量が300ppm以下であれば、ペレットを溶融加工する際に樹脂が分解したり、気泡やミクロボイド、シルバーストリーク等が発生したりすることを抑制することができ、外観不良となることを防ぐことができる。
上述したように、本実施の形態に係る上記方法により、含水量が300ppm未満であり、且つ液中パーティクルカウンターで測定した、直径が2μm以上の異物が500個/g未満であるアクリル系樹脂ペレットが、水蒸気透過度が1.0g/m/24h未満の材料で密閉されたアクリル系樹脂パッケージ体が得られる。
尚、上述の説明では、貯蔵サイロ5にて冷却乾燥を行い、パッケージする場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、貯蔵サイロ5にて冷却乾燥を行った後に、別の施設へ移送した後にパッケージを行う形態であってもよいし、パッケージを行わないでフィルム成形等を直接行う形態であってもよい。
また、上述の説明では、貯蔵サイロ5にてペレットを除湿雰囲気下で冷却する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、ペレットの冷却を行わずに、フィルム成形等を直接行う形態であってもよい。
また、上述の説明では、貯蔵サイロ5が除湿ガス導入手段6を備える場合について、説明したが、これに限るものではない。例えば、ペレットの冷却を行わずに、フィルム成形等を直接行う形態では、貯蔵サイロ5が除湿ガス導入手段6を備えていなくても本実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
また、上述の説明では、貯蔵サイロ5の下部より除湿した気体を導入することによりペレットを除湿雰囲気下で冷却する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、貯蔵サイロ5内へ気体を導入せずに、貯蔵サイロ5内の気体を一部取り出し、当該気体を除湿後に再度貯蔵サイロ5へ戻すような、気体を循環させる形態であってもよい。貯蔵サイロにてペレットを除湿雰囲気下で冷却することができれば、本実施形態とほぼ同様の効果が得られる。
(d)アクリル系樹脂
本実施の形態で用いられるアクリル系樹脂は、主成分として、アクリル酸、メタクリル酸及びこれらの誘導体を重合して得られる樹脂、並びにその誘導体であり、従来公知の(メタ)アクリル系熱可塑性樹脂を用いることができる。
(メタ)アクリル酸の誘導体としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸クロロメチル、(メタ)アクリル酸2−クロロエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2,3,4,5−テトラヒドロキシペンチル等の(メタ)アクリル酸エステルが挙げられる。これらは1種のみを単独で用いてもよいし、2種以上を並存して用いてもよい。これらの中でも、重合して得られる樹脂が光学特性や熱安定性に優れる点でメタクリル酸メチルが最も好ましい。
上記アクリル系樹脂は、より高い温度でペレットの製造を行うことができる観点から、主鎖に環構造を有することがより好ましい。環構造としては、フェニルマレイミド、シクロヘキシルマレイミド、メチルマレイミド等のN−置換マレイミドを共重合することにより導入してもよいし、ラクトン環構造、グルタル酸無水物構造、グルタルイミド構造等を分子鎖中(重合体の主骨格中、又は主鎖中ともいう)に導入してもよい。
これらの中でも、高温下でのフィルムの着色(黄変)のし難さの点で、窒素原子を含まない構造がより好ましい。
また、光学特性や成形性から、主鎖にラクトン環構造を有するものがより好ましい。主鎖中のラクトン環構造については、4〜8員環の環構造でも構わないが、環構造の安定性から5〜6員環であることがより好ましく、6員環であることが特に好ましい。また、主鎖中のラクトン環構造としては、下記一般式(1)
Figure 0004819952
(式中、R、R、Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭素数1〜20の有機残基を表す。尚、有機残基は酸素原子を含んでいてもよい)
で表される構造や、特開2004−168882号公報で開示されている構造等が挙げられるが、主鎖にラクトン環構造を導入する前の重合体を合成をする上において重合収率が高い点等から一般式(1)で表される構造であることがより好ましい。
尚、上記一般式(1)における有機残基は、炭素数が1〜20の範囲内であれば特には限定されず、例えば、直鎖若しくは分岐状のアルキル基、直鎖若しくは分岐状のアルキレン基、アリール基、−OAc基、−CN基等が挙げられる。
本実施の形態で用いられるアクリル系樹脂は、ガラス転移温度が70℃以上であれば好適に用いることができる。ペレットの吸湿をより抑制するという観点から、アクリル系樹脂のガラス転移温度は110℃以上であることがより好ましく、115℃以上であることが更に好ましく、120℃以上であることが特に好ましく、125℃以上であることが最も好ましい。アクリル系樹脂のガラス転移温度が高ければ高いほど、ペレットの融着が起こる温度が高くなるため、より高い温度でのペレット製造が可能となり、結果としてより含水量の低いアクリル系樹脂ペレットを製造することができる。
(e)フィルムの製造
本実施の形態に係るフィルムの製造方法は、上述した製造方法によりアクリル系樹脂ペレットを製造する工程と、上記アクリル系樹脂ペレットをフィルムに成形する工程と、を含む。
フィルム成形の方法としては、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法、カレンダー法、圧縮成形法等、公知のフィルム成形方法が挙げられる。これらの中でも、溶液キャスト法(溶液流延法)、溶融押出法が好ましい。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン等の塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、及びこれらの混合溶媒等の芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノール、2−ブタノール等のアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル;等が挙げられる。これら溶媒は1種のみ用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーター等が挙げられる。
溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられ、その際の、フィルムの成形温度は、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
また、例えば、上記フィルムに位相差を付与させることを目的として、上記方法により成形したフィルムを延伸してもよい。
延伸方法としては、従来公知の延伸方法が適用できる。例えば、自由幅一軸延伸、定幅一軸延伸等の一軸延伸;逐次二軸延伸、同時二軸延伸等の二軸延伸;フィルムの延伸時にその片面又は両面に収縮性フィルムを接着して積層体を形成し、その積層体を加熱延伸処理してフィルムに延伸方向と直交する方向の収縮力を付与することにより、延伸方向と厚さ方向とにそれぞれ配向した分子群が混在する複屈折性フィルムを得る延伸等が挙げられる。
耐折り曲げ性が向上する点で、二軸延伸が好ましい。更に、フィルム面内の任意の直交する二方向に対する耐折れ曲げ性が向上するという点で、同時二軸延伸が好ましい。また、面内の任意の方向の耐折れ曲げ性と、大きな面内位相差値とを両立させやすい点で、逐次二軸延伸が好ましい。面内の任意の直交する二方向としては、例えば、フィルム面内の遅相軸と平行方向及びフィルム面内の遅相軸と垂直な方向が挙げられる。尚、所望の位相差値、所望の耐折れ曲げ性に応じて、延伸倍率、延伸温度、延伸速度等の延伸条件を適宜設定すればよく、特に限定はされない。
延伸等を行う装置としては、例えば、ロール延伸機、テンター型延伸機、小型の実験用延伸装置として引張試験機、一軸延伸機、逐次二軸延伸機、同時二軸延伸機等が挙げられ、これら何れの装置を用いても、本実施の形態に係る位相差フィルムを得ることができる。
延伸温度は、フィルム原料のペレットのガラス転移温度近辺で行うことが好ましい。具体的には、(ガラス転移温度−30)℃〜(ガラス転移温度+50)℃で行うことが好ましく、より好ましくは(ガラス転移温度−20)℃〜(ガラス転移温度+20)℃、更に好ましくは(ガラス転移温度−10)℃〜(ガラス転移温度+10)℃である。(ガラス転移温度−30)℃よりも低いと、十分な延伸倍率が得られないために好ましくない。(ガラス転移温度+50)℃よりも高いと、樹脂の流動(フロー)が起こり安定な延伸が行えなくなるために好ましくない。
面積比で定義した延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲、より好ましくは1.2〜10倍の範囲、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲で行われる。1.1倍よりも小さいと、延伸に伴う位相差性能の発現や靭性の向上につながらないために好ましくない。25倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められない。
ある方向に延伸する場合、その一方向に対する延伸倍率は、好ましくは1.05〜10倍の範囲、より好ましくは1.1〜5倍の範囲、更に好ましくは1.2〜3倍の範囲で行われる。1.05倍よりも小さいと、所望の位相差値が得られない場合があり好ましくない。10倍よりも大きいと、延伸倍率を上げるだけの効果が認められず、また延伸中にフィルムの破断が起こる場合があり好ましくない。
延伸速度(一方向)としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲、より好ましくは100〜10000%/分の範囲である。10%/分よりも遅いと、十分な延伸倍率を得るために時間がかかり、製造コストが高くなるために好ましくない。20000%/分よりも早いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがあるために好ましくない。
上記フィルムの延伸は、未延伸フィルムのガラス転移温度以上の温度で延伸する一段目の工程と、一段目の工程後に行う、該フィルムのガラス転移温度−10℃〜該フィルムのガラス転移温度+20℃の温度範囲で延伸する二段目の工程とを含み、一段目の工程の延伸温度が二段目の工程の延伸温度より5℃以上高くして行うことがより好ましい。
上記一段目の工程の延伸温度としては、未延伸フィルムのガラス転移温度以上の温度であれば特には限定されないが、該フィルムのガラス転移温度〜該フィルムのガラス転移温度+40℃の温度範囲であることがより好ましく、該フィルムのガラス転移温度+2℃〜該フィルムのガラス転移温度+30℃の温度範囲であることが更に好ましく、該フィルムのガラス転移温度+5℃〜該フィルムのガラス転移温度+25℃の温度範囲であることが特に好ましい。
上記一段目の工程の延伸温度が、上記フィルムのガラス転移温度よりも低いと、一段目の工程で位相差が発現し、二段目の工程の延伸で面内方向における位相差が打ち消されてしまうため、最終的に得られるフィルムの位相差値が低くなる傾向がある。また、上記一段目の工程の延伸温度が、上記フィルムのガラス転移温度+40℃よりも高い場合では、樹脂の流動(フロー)が起こり易くなり、安定して延伸を行うことが困難になるおそれがある。
尚、上記記載において、延伸温度は、未延伸フィルムのガラス転移温度に対する温度差で表記している場合がある。この場合、例えば、「ガラス転移温度+40℃」は、ガラス転移温度よりも40℃高い温度、「ガラス転移温度−10℃」は、ガラス転移温度よりも10℃低い温度を意味する。
上記一段目の工程の延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲内であり、より好ましくは1.2〜10倍の範囲内であり、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍よりも低いと、可撓性の向上の度合いが小さく、延伸倍率が25倍よりも高いと、延伸倍率を上げることによる効果が小さくなり、また、延伸中にフィルムの破断が起こり易くなる傾向がある。
上記一段目の工程の延伸速度としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
上記二段目の工程の延伸温度としては、未延伸フィルムのガラス転移温度−10℃〜該フィルムのガラス転移温度+20℃の温度範囲であることが好ましく、該フィルムのガラス転移温度−10℃〜該フィルムのガラス転移温度+15℃の温度範囲であることがより好ましく、該フィルムのガラス転移温度−5℃〜該フィルムのガラス転移温度+15℃の温度範囲であることが更に好ましい。
上記二段目の工程の延伸温度が、上記フィルムのガラス転移温度−10℃よりも低いと、十分な延伸倍率で延伸を行うことができなくなるおそれがある。また、上記二段目の工程の延伸温度が、上記フィルムのガラス転移温度+20℃よりも高い場合では、フィルムにおけるポリマーの配向が十分に起こらず、必要な位相差を付与することができないおそれがある。
上記二段目の工程の延伸倍率は、好ましくは1.1〜25倍の範囲内であり、より好ましくは1.2〜10倍の範囲内であり、更に好ましくは1.3〜5倍の範囲内である。延伸倍率が1.1倍よりも低いと、可撓性の向上の度合いが小さく、延伸倍率が25倍よりも高いと、延伸倍率を上げることによる効果が小さくなり、また、延伸中にフィルムの破断が起こり易くなる傾向がある。
上記二段目の工程の延伸速度としては、好ましくは10〜20000%/分の範囲であり、より好ましくは100〜10000%/分の範囲内である。延伸速度が10%/分よりも遅いと、延伸を行うまでに時間がかかるため製造コストが高くなる。延伸速度が20000%/分よりも速いと、延伸フィルムの破断等が起こるおそれがある。
上記延伸方法では、一段目の工程の延伸温度が二段目の工程の延伸温度より5℃以上高い。一段目の工程を二段目の工程より高温で行うことにより、一段目の工程で大きな位相差を付与することなく、延伸方向と直交する軸での折り曲げに対する可撓性を付与することができる。その後、二段目の工程を一段目の工程より低温で行うことにより、任意の軸に対して可撓性を更に付与することができ、且つ面内位相差値の大きい位相差フィルムを得ることができる。
ここで、一段目の工程の延伸温度が二段目の工程の延伸温度+5℃未満である場合には、任意の軸に対する可撓性の付与と、必要な位相差値とを両立することが困難になるおそれがある。また、フィルムに付与する面内位相差を大きくするために、二段目の工程の延伸をより低温で行うことが好ましい。更には、一段目の工程の延伸温度を二段目の工程の延伸温度より5℃以上高くすることにより、二段目の工程の延伸時にフィルムの破断が起こり難くなる。
また、上記延伸方法では、二段目の延伸倍率が一段目の工程の延伸倍率よりも大きいことが好ましい。一段目の工程の延伸倍率が二段目の工程の延伸倍率以上であれば、任意の軸に対する可撓性の付与と、必要な位相差値とを両立することが困難になるおそれがある。
上記延伸方法では、二段目の工程で、一段目の工程の延伸方向と直交する方向に延伸を行うことが好ましい。この場合には、任意の軸の折り曲げに対する可撓性を十分に付与することができる。
以上のように、本発明に係るアクリル系樹脂ペレットの製造方法は、溶融状態のアクリル系樹脂をペレットに成形する成形工程と、上記成形工程後に、上記ペレットを貯蔵サイロへ移送する移送工程とを含むアクリル系樹脂ペレットの製造方法であり、上記移送工程におけるペレットの温度を70℃以上に保持することを特徴とする。
このため、アクリル系樹脂のような吸湿性の高い樹脂であっても、含水率の低いペレットを効率良く安定的に製造することができるという効果を奏する。
また、本発明に係るフィルムの製造方法は、以上のように、上記本発明の製造方法により、アクリル系樹脂ペレットを製造する工程と、上記アクリル系樹脂ペレットをフィルムに成形する工程とを含むことを特徴としている。
このため、ペレットの水分に起因して起こる外観不良が抑制されたフィルムを効率良く安定的に製造することができるという効果を奏する。
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。以下に示す実施例及び比較例では、上述した図1に示す製造装置10を用いてペレットの製造を行った。尚、上記製造装置には遠心乾燥機(図示せず)が設けられており、ペレットのカット、水冷固化後に遠心乾燥機による脱水乾燥が行われ、その後、貯蔵サイロ5へペレットを搬送する構成となっている。
尚、実施例における「ppm」は特に断らない限り質量換算で求められる値を意味し、例えば、10,000ppmは1質量%を意味する。また、以下の実施例及び比較例において搬送で用いた空気は、温度が約25〜28℃、湿度が約40〜60%のものを用いた。
<ガラス転移温度(Tg)>
ペレットのガラス転移温度(Tg)は、試料約10mg、昇温速度10℃/min、窒素フロー50cc/minの条件で、DSC((株)リガク社製、装置名:DSC−8230)を用いて行い、ASTM−D−3418に従い、中点法で求めた。
<ペレット含水量>
ペレットの含水量は、水分気化装置(三菱化学社製、VA−100)に接続された、微量水分測定装置(三菱化学社製、CA−100)を用い、カールフィッシャー容量滴定法により求めた。詳しくは、ペレット約1.0gを精秤後、250℃に保温した上記水分気化装置に導入し2分間加熱した。ここで発生した全水分を五酸二リンを通じて乾燥した窒素ガスにより上記水分気化装置へ導入し、カールフィッシャー容量滴定法により含水量を求めた。
尚、含水量は、後述する各実施例及び比較例の条件で、連続0.5t以上生産し、200kg毎にサンプリングしたペレットの含水量の平均値を採用した。
<融着ペレット含有量>
貯蔵サイロ5の入口手前に設けられたホッパー(図示せず)から抜き出したペレット1kgを目視で検査し、融着したペレットの質量から質量換算で融着ペレット含有量(ppm)を求めた。
<ペレット温度>
ペレットの温度は、円筒型デュワー瓶(容量2,000ml、外径125mm、内径100mm、深さ280mm)にペレット1,300gを入れ、ここに留点温度計(測定範囲:0℃〜200℃、全長約300mm)を150mm指し込み、10分間放置後の最高到達温度として求めた。
<ペレット重量>
ペレット重量は、ペレット10粒の重量を測定し、平均することにより求めた。
<ラクトン環構造単位の含有割合>
脱アルコール反応率(ラクトン環化率)を、重合で得られた重合体組成からすべての水酸基がメタノールとして脱アルコールした際に起こる重量減少量を基準にし、ダイナミックTG測定において重量減少が始まる前の150℃から重合体の分解が始まる前の300℃までの脱アルコール反応による重量減少から求めた。
すなわち、ラクトン環構造を有した重合体のダイナミックTG測定において150℃から300℃までの間の重量減少率の測定を行い、得られた実測重量減少率を(X)とする。他方、当該重合体の組成から、その重合体組成に含まれる全ての水酸基がラクトン環の形成に関与するためアルコールになり脱アルコールすると仮定した時の理論重量減少率(すなわち、その組成上において100%脱アルコール反応が起きたと仮定して算出した重量減少率)を(Y)とする。尚、理論重量減少率(Y)は、より具体的には、重合体中の脱アルコール反応に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体のモル比、すなわち当該重合体組成における上記原料単量体の含有率から算出することができる。これらの値(X、Y)を脱アルコール計算式:
1−(実測重量減少率(X)/理論重量減少率(Y))
に代入してその値を求め、%で表記すると、脱アルコール反応率が得られる。
例として、後述の重合例で得られるペレットにおいてラクトン環構造の占める割合を計算する。この重合体の理論重量減少率(Y)を求めてみると、メタノールの分子量は32であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルの分子量は116であり、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルのラクトン環化前の重合体中の含有率(重量比)は組成上20質量%であるから、(32/116)×20≒5.52質量%となる。他方、ダイナミックTG測定による実測重量減少率(X)は0.18質量%であった。これらの値を上記の脱アルコール計算式に当てはめると、1−(0.18/5.52)≒0.967となるので、脱アルコール反応率は96.7%である。
そして、上記脱アルコール反応率の分だけラクトン環化反応が行われたと仮定して、下記式
ラクトン環の含有割合(質量%)=B×A×M/M
(式中、Bは、ラクトン環化前の重合体における、ラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体構造単位の質量含有割合であり、Mは生成するラクトン環構造単位の式量であり、Mはラクトン環化に関与する構造(水酸基)を有する原料単量体の分子量であり、Aは脱アルコール反応率である)
により、ラクトン環含有割合を算出することができる。
例えば、後述の重合例の場合、アクリル系樹脂のラクトン環化前の重合体における2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル由来の構造の含有率が20.0質量%、算出した脱アルコール反応率が96.7%、分子量が116の2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチルがメタクリル酸メチルと縮合した場合に生成するラクトン環構造単位の式量が170であることから、アクリル系樹脂におけるラクトン環の含有割合は28.3(=20.0×0.967×170/116)質量%となる。
<水蒸気透過度>
水蒸気透過度は、「温度40℃、湿度90%RHの条件で単位時間に単位面積の試験片を通過する水蒸気の量」であり、JIS Z 0208に記載されているカップ法により測定した。
<異物数>
ペレット5gを100mLのクロロホルムに溶解し、液中パーティクルカウンター(PARTIKEKMESS−UND ANALYSESYSTEME GMBH社製、SVSS)により、1gあたりの、直径が2μm以上の異物数を測定した。尚、測定はクリーンルームで行った。
〔重合例〕
攪拌装置、温度センサー、冷却コンデンサ、窒素導入管を付した反応釜に、2−(ヒドロキシメチル)アクリル酸メチル20質量部、メタクリル酸メチル80質量部、トルエン100質量部を仕込み、窒素を通じつつ105℃まで昇温した。還流開始後、開始剤としてt−アミルパーオキシイソノナノエート(商品名:ルパゾール570、アトフィナ吉富(株)社製)0.1質量部を加えると同時に、t−アミルパーオキシイソノナノエート0.2質量部及びトルエン1質量部からなる溶液を2時間かけて滴下しながら105℃〜110℃で溶液重合を行い、更に4時間かけて熟成を行った。得られた重合体溶液に、リン酸ステアリル/リン酸ジステアリル混合物(商品名:PhoslexA−18、堺化学(株)社製)0.1質量部を加え、還流下、100〜110℃で5時間環化縮合反応を行った。
〔実施例1〕
本実施例では、ペレット化装置1として、2軸方向かみ合い方式のベントタイプスクリュー押出機((株)日本製鋼所製、スクリュー径(D):120mm、シリンダ長さ(L):5,460mm、L/D=44.5、ベント数:4(リアベント1つ、フォアベント3つ))を用いた。尚、押出機のシリンダ先端に設けられた押出ダイには、直径4mmの細孔が円周に沿って多数、貫通形成され、ウォータリングカット方式のカッターが取り付けられている。また、カット、水冷固化後に遠心乾燥機による脱水設備(図示せず)が設けられ、気体による搬送により、貯蔵サイロ5へ搬送する構成となっている。
重合例で得られたアクリル系樹脂をギアポンプでスタティックミキサー式熱交換器内を通過させて240℃に加熱し、圧力調整弁により圧力が20kg/cmとなるように保持した後、バレル温度が270℃に設定された押出機に上記アクリル系樹脂を供給した。押出機の第1、第2、第3のベントの真空度がそれぞれ250mmHg、20mmHg、20mmHgとなるように操作して樹脂中の揮発性成分を除去し、リーフディスクタイプのポリマーフィルター(濾過精度:5μm)を通過させた後、押出ダイが有する直径4mmのダイス(細孔)から400kg/時で溶融状態のアクリル系樹脂を3時間連続で押し出し、表1記載の条件で搬送後、貯蔵サイロ5で50℃以下に冷却すことによりペレットを製造した。
ダイス出口でのアクリル系重合体の温度を測定すると290℃であり、貯蔵サイロ5の入口手前(ホッパー上部)でサンプリングしたペレットの温度は105℃であり、移送工程におけるペレットの温度は70℃以上に保持されていることが確認できた。また、融着ペレット量は140ppmと非常に少ないため、移送工程におけるペレットの温度はペレットのガラス転移温度以下で保持されていることが推測される。尚、ホッパー上部でサンプリングした上記ペレットの含水量は25ppmであった。また、50℃以下に冷却後、貯蔵サイロから取り出したペレットの含水量は30ppmであり、異物数は320個/gであった。
〔実施例2〕
ダイスから400kg/時で溶融状態のアクリル系樹脂を3時間連続で押し出すことの替わりに、ダイスから280kg/時で溶融状態のアクリル系樹脂を3時間連続で押し出すこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、ペレットを製造した。
その結果、表1記載の条件で搬送後、ホッパー上部でサンプリングしたペレットの温度は100℃であり、移送工程におけるペレットの温度は70℃以上に保持されていることが確認できた。また、融着ペレット量は0ppmであり、移送工程におけるペレットの温度はペレットのガラス転移温度以下で保持されていることが推測される。尚、上記ペレットの含水量は30ppmであり、異物数は290個/gであった。
〔実施例3〕
ペレットの平均重量を25mgに変更し、遠心乾燥機の回転数を実施例1の70%とすることにより、貯蔵タンク前ペレット温度を70℃に変更したこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、ペレットを製造した。
その結果、表1記載の条件で搬送後、ホッパー上部でサンプリングしたペレットの温度は70℃であり、移送工程におけるペレットの温度は70℃以上に保持されていることが確認できた。また、融着ペレット量は0ppmであり、移送工程におけるペレットの温度はペレットのガラス転移温度以下で保持されていることが推測される。尚、上記ペレットの含水量は280ppmであり、異物数は250個/gであった。
〔実施例4〕
本実施例では、樹脂として、実施例1で製造したペレット90質量部に対して、AS樹脂(商品名:スタイラックAS384、旭化成ケミカルズ社製)を10質量部ドライブレンドしたものを用いた。また、押出機としては、単軸押出機(スクリュウ径(D):50mm、シリンダ長さ(L):1,800mm、L/D=36.5、ベント数:1)を用いた。
押出機のシリンダ先端には、リーフディスクタイプのポリマーフィルター(濾過精度:5μm)が設けられており、当該ポリマーフィルターの出口に設けられた押出ダイには、直径3mmの細孔が貫通形成され、ここから吐出されたストランドを水槽に導入し、水冷固化後、ストランドカット方式でペレット化を行った。ペレット化後は特に脱水工程を設けず、そのまま気体による搬送によってペレットを貯蔵サイトへ搬送した。
バレル温度は250℃、ベント真空度は100mmHgとなるように操作して揮発性成分を除去し、ダイスから100kg/時の速度で吐出した。ダイス出口での樹脂温度を測定すると275℃であり、表1記載の条件で搬送後、ホッパー上部でサンプリングしたペレットの温度は97℃であり、移送工程におけるペレットの温度は70℃以上に保持されていることが確認できた。また、融着ペレット量は100ppmと非常に少ないため、移送工程におけるペレットの温度はペレットのガラス転移温度以下で保持されていることが推測される。尚、上記ペレットの含水率は150ppmであり、異物数は400個/gであった。
〔実施例5〕
遠心乾燥機の回転数を実施例1の70%としたこと以外は、実施例1と同様の操作を行い、ペレットを製造した。
その結果、表1記載の条件で搬送後、ホッパー上部でサンプリングしたペレットの温度は82℃であり、移送工程におけるペレットの温度は70℃以上に保持されていることが確認できた。また、融着ペレット量は0ppmであり、移送工程におけるペレットの温度はペレットのガラス転移温度以下で保持されていることが推測される。尚、上記ペレットの含水量は95ppmであり、異物数は300個/gであった。
〔比較例1〕
ダイスから100kg/時の速度で溶融状態のアクリル系樹脂を吐出する替りに、ダイスから50kg/時の速度で溶融状態のアクリル系樹脂を10時間連続で吐出すること以外は、実施例4と同様の操作を行い、ペレットを製造した。結果を表1に示す。上記ペレットの異物数は480個/gであった。
Figure 0004819952
〔実施例7〕
実施例1で製造したアクリル系樹脂ペレットを、水蒸気透過度が0.8g/m/24hrのポリエチレン/アルミニウム蒸着層/ポリプロピレンフィルムの三層フィルム(膜厚100μm)に、600kgの入り目で封入した。
1年間屋根付きの倉庫に保管した後のアクリル系樹脂ペレットの水分量は80ppmであり、異物数は330個/gであり、水分、異物数とも良好な値を維持していた。
〔実施例8〕
実施例1で製造したアクリル系樹脂ペレットを、水蒸気透過度が0.8g/m/24hrのPET(ポリエチレンテレフタレート)/アルミニウム蒸着層/ポリプロピレンフィルムの三層フィルム(膜厚100μm)に、400kgの入り目で封入した。
1年間屋根付きの倉庫に保管した後のアクリル系樹脂ペレットの水分量は70ppmであり、異物数は340個/gであり、水分、異物数とも良好な値を維持していた。
〔比較例2〕
実施例1で製造したアクリル系樹脂ペレットを、水蒸気透過度が10g/m/24hrのナイロン/ポリエチレン(膜厚120μm)の2層フィルムに、20kgの入り目で封入した。
1ヶ月間屋根付きの倉庫に保管した後のアクリル系樹脂ペレットの水分量は1,500ppmであり、異物数は330個/gであり、水分が顕著に上昇した。
〔比較例3〕
実施例1で製造したアクリル系樹脂ペレットを、水蒸気透過度が300g/m/24hr以上のクラフト紙に、20kgの入り目で封入した。
3日間屋根付きの倉庫に保管した後のアクリル系樹脂ペレットの水分量は15,000ppmであり、異物数は1,200個/gであり、水分、異物数ともに顕著に上昇した。
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
本発明のアクリル系樹脂ペレットの製造方法は、アクリル系樹脂のような吸湿性の高い樹脂であっても、含水率の低いペレットを効率良く安定的に製造することができる。このため、従来公知の様々なペレットに適用できる。

Claims (3)

  1. アクリル系樹脂ペレットが、水蒸気透過度が1.0g/m/24h未満の材料で密閉されたアクリル系樹脂パッケージ体であり、
    上記アクリル系樹脂ペレットは、含水量が300ppm未満であり、且つ液中パーティクルカウンターで測定した、直径が2μm以上の異物が500個/g未満であることを特徴とするアクリル系樹脂パッケージ体。
  2. 上記アクリル系樹脂のガラス転移温度が110℃以上であることを特徴とする請求項1に記載のアクリル系樹脂パッケージ体。
  3. 上記アクリル系樹脂は、主鎖中に環構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のアクリル系樹脂パッケージ体。
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