JP4819020B2 - スパイラル型電気式脱イオン水製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、半導体製造分野、医薬品製造分野、原子力や火力等の発電分野、食品工業等の各種の産業、または研究施設で脱イオン水を製造するスパイラル型電気式脱イオン水製造装置に関する。
近年、薬液によりイオン交換体を再生する必要のない、電気式脱イオン水製造装置(以下、EDIという)が実用化されている。このEDIは、電気泳動と電気透析を組み合わせた純水製造装置である。アニオン交換膜とカチオン交換膜の間にイオン交換体を充填し、イオン交換膜の外側にプラスとマイナスの電極を配置し、該電極に直流電圧を印加した状態でイオン交換樹脂層に被処理水を通水することにより、被処理水中のイオンをイオン交換体で吸着し、電気泳動にて膜面までイオンを泳動させ、イオン交換膜にて電気透析して濃縮水中へと除去するものである。
このようなEDIは、大別すると平行平板型と、スパイラル型とに分けられる。
平行平板型EDIはアニオン交換膜とカチオン交換膜の間にイオン交換体を配置し形成した脱塩室を、イオンが排除される部屋となる濃縮室を介して複数積層し、その両端にプラスとマイナスの電極を配した構造である。このような平行平板型EDIは、各部屋に印加される電流値が均一となるという利点はある一方、セルを積層して構成するため、通水時にセルの締め付けが弱いとセル間から装置外部への水のリークが起きる可能性がある。一般的に、水のリークを防止するために、平行平板型EDIでは両端最外側に頑丈な押さえ板を配置し、ボルトにて強い締め付け圧にて締め付けを行っている。この押さえ板や、複数の積層セルの存在により、平行平板型EDIはコンパクト化することが比較的困難とされている。
一方、スパイラル型EDIは、アニオン交換膜とカチオン交換膜との間にイオン交換体が配置されて形成された脱塩室が、中心電極を軸にスパイラル状に巻回してスパイラル型形状の脱塩室を形成し、そのスパイラル形状に沿う方向に濃縮室を配したものが外周電極と共に筒状耐圧容器内に収納された構造となっている。スパイラル型EDIは積層する必要が無いため、水の外部リークの心配が低減されるとともに、押さえ板等の設置もいらないため、装置のコンパクト化が可能となり、装置体積あたりの膜面積も大きくとることができる。スパイラル型EDIは例えば特許文献1に開示されている。
特許文献1に記載のスパイラル型EDIは、装置体積当たりの膜面積が大きく、装置をコンパクトにできる点で優れた装置である。しかし、このようなスパイラル型EDIは脱塩室、濃縮室への流入管や、濃縮室、脱塩室からの排出管が巻回状の内周端部、外周端部に設置されており、機構が複雑であるとともに部材が大きく、スペースの余裕がない。そのため、装置内の構造は単一脱塩室を巻回する構造以外に改良する余地があまりない。このような問題に対し、中心電極に水路を設け、装置のコンパクト化、ならびに脱塩処理スペースを確保して処理能力増大を図った報告もある(例えば、特許文献2)。
特開平6−7645号公報 特開2000−84371号公報
しかしながら、これまでのEDIでは、濃縮室でのスケール生成の抑制が不充分であり、より高い水質の実現と、長期にわたる高い水質の維持が困難であった。
本発明は、スケール発生を抑制し、高いイオン除去能力を有し、かつコンパクトなスパイラル型EDIを提供することを目的とする。
本発明者らは、従来のEDIにおけるスケールの生成、ならびにイオン除去能力の低下について鋭意検討した結果、次のような知見を得た。
平行平板型EDIにおいては、積層された脱塩室の間に、濃縮室が配置されており、両側の脱塩室からアニオン成分とカチオン成分とが、それぞれ対極方向の濃縮室へと移行する。
一方、スパイラル型EDIは中心電極を軸として、脱塩室と濃縮室とが巻回されており、巻回された脱塩室の間に濃縮室が介在している。このため、平行平板型EDIと同様に、内周側・外周側の両脱塩室から、アニオン成分とカチオン成分とが、それぞれ対極方向の濃縮室へと移行する。
上記のようにして、濃縮室にてアニオン成分とカチオン成分とが混在して濃縮されると、前述したようなスケールの生成が起こると考えられる。特に、スパイラル型EDIは、電流密度が内側中心電極に近づくほど大きくなるという特徴があり、ここで生じた電流密度分布が、局所的なイオン濃度の高低、ならびに局所的なpHの変化を引き起こし、スケール生成等の懸念が助長されることが考えられる。
また、脱塩室から濃縮室へ移行したイオンは、さらに対極の電極に引き寄せられ、隣接する脱塩室の濃縮室側膜面まで押し付けられて、濃度分極層を形成する。濃縮室のイオン濃度が高くなると、この濃度分極層が厚くなる。そして、通常はアニオン交換膜を透過しないカチオン成分や、カチオン交換膜を透過しないアニオン成分も、拡散作用によって、濃縮室から脱塩室へと、極少量ながら透過する可能性がある。この逆極性のイオンの脱塩室への移行が起こると、脱塩室にてイオンの排除が行われても、逆極性のイオンが極少量ながら、隣接する濃縮室を介して移行してくる。このため、より高い水質の処理水を得ることが困難になる。高い水質を得るために、印加する電流値(電流密度)を上げる方法が考えられるが、電流値を上げると、濃縮室から脱塩室への逆極性のイオンの移行が多くなる可能性もある。このため、被処理水の組成等によっては、上述のようなスケール生成や、濃縮室から脱塩室へのイオンの拡散が顕著に現れ、高いイオン除去能力を維持できないことが、考えられる。本発明は、以上の知見を基になされたものである。
すなわち、本発明のスパイラル型EDIは、アニオン交換膜とカチオン交換膜とを巻回して、1または複数の脱塩室と濃縮室が形成されるスパイラル型電気式脱イオン水製造装置であって、脱塩室と、脱塩室を挟持するアニオン交換膜と、カチオン交換膜と、濃縮室とで1または複数のセルペアが形成され、陰極電極と陽極電極とが該セルペアを挟持して配置され、前記陰極電極と前記陽極電極とが、濃縮室に添って巻回されたスパイラルエレメントを有することを特徴とする。
本発明のスパイラル型EDIは、前記陰極電極または前記陽極電極を介して隣接するセルペアが、互いに逆極性に組み合わされていても良い。また、前記脱塩室を複数有する場合には、1の脱塩室を流通した被処理水を、隣接する脱塩室に供給する配管を有しても良く、前記濃縮室における濃縮水の流れ方向が、隣接する脱塩室における被処理水の流れ方向に対し、逆方向または垂直方向に制御されていても良い。
本発明のスパイラル型EDIは、前記脱塩室に充填されているイオン交換体の種類および/または組成が異なる領域を有していても良く、全流路長(各脱塩室の内周端から外周端までの距離の合計)に対して被処理水流入口側から少なくとも10%の距離の間に、アニオン交換体またはカチオン交換体の比率が50体積%を超えるようにイオン交換体が充填されていても良い。
本発明のスパイラル型EDIの電極は、スパイラルエレメントの軸方向、または巻回方向に2以上に分割され、各電極に印加する電流が別々に制御されていても良く、前記濃縮室のうち、少なくとも1の濃縮室にはイオン交換体が充填されていることが好ましい。
本発明のスパイラル型EDIは、スケール発生を抑制し、イオン除去能力が高く、かつコンパクトである。
本発明のスパイラル型EDIについて、例を挙げて説明するが、本実施形態に限定されるものではない。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態にかかるスパイラル型EDIについて、図1〜3を用いて説明する。
図1は本実施形態のスパイラル型EDI8の斜視図である。図2は本実施形態のスパイラル型EDI8のスパイラルエレメント10の軸方向に対する横断面図である。図3は本実施形態のスパイラル型EDI8のスパイラルエレメント10の軸方向に対する縦断面図である。なお、便宜上、図3は被処理水流入口30、脱イオン水流出口32、陰極側濃縮水流入口40a、陽極側濃縮水流入口40b、陰極側濃縮水流出口42a、陽極側濃縮水流出口42bが図示できるような中心縦断面図としている。
図1、2に示すように、スパイラル型EDI8は、カチオン交換膜20と、アニオン交換膜22と、陰極電極16aと、陽極電極16bとを巻回して、脱塩室24と陰極側濃縮室18a、陽極側濃縮室18bが形成されたスパイラルエレメント10が、耐圧容器12に収納されたものである。
スパイラルエレメント10は、スパイラルエレメント10の一方の端面が耐圧容器12の端面11aの内面と接して、また、スパイラルエレメント10の他方の端面が耐圧容器12の端面11bの内面と接して、耐圧容器12内に収められている。
脱塩室24は、カチオン交換膜20とアニオン交換膜22とが対向して、4辺が接着されて略袋状に形成された空間である。脱塩室24には、イオン交換樹脂が充填されている。脱塩室24には、カチオン交換膜20を介して陰極側スペーサ19aが配置され、アニオン交換膜を介して陽極側スペーサ19bが配置されて、軸26の周囲に巻回されている。陰極側濃縮室18aは、巻回された陰極側スペーサ19aにより形成され、陽極側濃縮室18bは、巻回された陽極側スペーサ19bにより形成されている。そして、脱塩室24と、カチオン交換膜20と、アニオン交換膜22と、陰極側濃縮室18aと、陽極側濃縮室18bからなるセルペアが、形成されている。
陰極電極16aは、前記陰極側濃縮室18aに添って巻回され、陽極電極16bは前記陽極側濃縮室18bに添って巻回されている。さらに、陰極電極16aと陽極電極16bとの接触によるショートを防止するために、絶縁シート14が、陰極電極16aに添って巻回されて、耐圧容器12内に収められている。陰極電極16aと陽極電極16bとは、図示されない電源と接続されている。
図2、3に示すとおり、被処理水流入口30は、耐圧容器12の端面11aを貫通して、脱塩室24の外周端と接続されている。脱イオン水流出口32は、耐圧容器の端面11bを貫通して、脱塩室24の内周端と接続されている。
陰極側濃縮水流入口40aは、耐圧容器12の端面11aを貫通して、陰極側濃縮室18aの外周端と接続され、同様に陽極側濃縮水流入口40bは、陽極側濃縮室18bの外周端と接続されている。陰極側濃縮水流出口42aは、耐圧容器12の端面11bを貫通して、陰極側濃縮室18aの内周端と接続され、同様に陽極側濃縮水流出口42bは、陽極側濃縮室18bの内周端と接続されている。
イオン交換膜は、大別すると原料モノマー液を補強体に含浸させた後に重合させ、全体を均質に形成した均質膜と、イオン交換樹脂を溶解成型可能なポリオレフィン系樹脂と共に粉砕成型した不均質膜との2種類がある。本実施形態におけるカチオン交換膜20、アニオン交換膜22は、いずれも特に限定されず、スパイラルエレメント製造の簡便さや、被処理水の水質、脱イオン水に求める水質、処理量等に応じて選択することができる。
脱塩室24に充填されているイオン交換樹脂は、アニオン交換樹脂とカチオン交換樹脂とが同体積比で混合された、混床のイオン交換樹脂である。前記アニオン交換樹脂としては強塩基性アニオン交換樹脂、弱塩基性アニオン交換樹脂が挙げられ、例えば、市販品としてローム・アンド・ハース社製のアンバーライト(商品名)を挙げることができる。前記カチオン交換樹脂としては、強酸性カチオン交換樹脂、弱酸性カチオン交換樹脂が挙げられ、例えば、市販品としてローム・アンド・ハース社製のアンバーライト(商品名)を挙げることができる。
本実施形態における陰極電極16aは、陰極としての機能を発揮するものであれば特に限定されず、例えば、板状のステンレスや網状のステンレスを挙げることができる。
陽極電極16bは、陽極として機能を発揮するものであれば特に限定されないが、陽極には塩素発生が起きるため、耐塩素性能を有するものが好ましい。例えば、白金、パラジウム、イリジウム等の貴金属、あるいは前記貴金属をチタン等に被覆した網状あるいは板状の電極を挙げることができる。
絶縁シート14は、絶縁性が確保でき、かつ巻回できるものであれば特に限定されず、例えば、ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、シリコン材、ゴム材等をシート状に成型したものを挙げることができる。これらはスパイラルエレメント10内に巻回する際の取り扱いの面、ならびに経済的な面から選定することが好ましい。
陰極側スペーサ19aは、所望する幅の陰極側濃縮室18aを形成することができれば特に限定されることはない。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ABS、ポリカーボネート、ノリル等の樹脂製のメッシュや、通水性を有する格子状の枠材等が挙げられる。また、陰極側スペーサ19aの厚さは特に限定されることはなく、所望する陰極側濃縮室18aのスペースに合わせて選択することができる。例えば、0.3〜4mmの範囲で選択することが好ましい。
陽極側スペーサ19bについても、陰極側スペーサ19aと同様のものを用いることができる。
耐圧容器12は、被処理水通水時の圧力に耐え得るものであって、絶縁性を有するものであれば、特に限定されることなく、例えばFRP製の耐圧容器を挙げることができる。また、耐圧性能は特に限定されないが、1MPa以上の耐圧性能を有することが好ましい。
本実施形態における全流路長とは、脱塩室24が軸26と近接している脱塩室24の内周端から、耐圧容器12に近接する脱塩室24の外周端までの距離をいう。
本実施形態のスパイラル型EDI8における脱イオン水の製造方法について説明する。
陰極電極16a、陽極電極16bの間に直流電圧を印加する。陰極側濃縮水流入口40aから濃縮水を陰極側濃縮室18aに、陽極側濃縮水流入口40bから濃縮水を陽極側濃縮室18bに流入させる。被処理水を被処理水流入口30から脱塩室24に流入させる。流入した被処理水は、脱塩室24内の混床のイオン交換樹脂内を拡散しながら、被処理水流入口30から脱イオン水流出口32へ向かって、すなわち脱塩室24の外周側から内周側へ、スパイラルエレメント10の巻回方向に従って脱塩室24内を流通する。この間、被処理水中におけるNa、Ca2+、Mg2+等のカチオン成分が、脱塩室24中のカチオン交換樹脂に吸着される。吸着されたカチオン成分は、電気泳動により陰極電極16a側に泳動し、カチオン交換膜20を透過して陰極側濃縮室18aに移行される。同時に、被処理水中におけるCl、HCO 、CO 2−、SiO(シリカは、特別な形態をとることが多いため、一般のイオンとは異なった表示とする。以降において同じ。)等のアニオン成分が、脱塩室24中のアニオン交換樹脂に吸着される。吸着されたアニオン成分は、電気泳動により陽極電極16b側に泳動し、アニオン交換膜22を透過して陽極側濃縮室18bに移行される。そして、アニオン成分とカチオン成分が除去された脱イオン水が、脱イオン水流出口32から流出される。
陰極側濃縮室18aに流入した濃縮水は、陰極側濃縮水流入口40aから陰極側濃縮水流出口42aに向かって、スパイラルエレメント10の巻回方向に従って、陰極側濃縮室18a内を拡散しながら流通する。そして、濃縮水は陰極側濃縮室18aに移行されたカチオン成分を取り込んで、陰極側濃縮水流出口42aから排出される。陽極側濃縮室18bでも同様に、陽極側濃縮水流入口40bから流入した濃縮水は、陽極側濃縮室18bに移行されたアニオン成分を取り込んで、陽極側濃縮水流出口42bから排出される。
被処理水は特に限定されることはなく、工業用水や井水の濁質成分を除濁膜にて除去した水を、逆浸透(RO)膜にて処理した水等が挙げられる。
被処理水の脱塩室24内における通液量は、特に限定されることはなく、スパイラル型EDI8の能力や被処理水の水質を勘案して決定することができる。通液量は空間速度(SV)で表され、SVの単位はイオン交換樹脂の単位体積(l−R)に対して1時間に流通させる流量(l)であるl/l−R・h−1で表す(以降において同じ)。本実施形態ではSV=100〜300l/l−R・h−1が好ましい。
SVが高すぎると、差圧が高くなりカチオン交換膜20とアニオン交換膜22との接着点が破損するおそれがあり好ましくない。一方、SVが低すぎると、脱塩室24内における被処理水の通液速度にむらが生じ、通液速度のむらは電流密度分布のむらを生じさせ、電流密度が高くなった部分は、スケール発生の可能性が高くなると推測される。前記通液速度は、線速度(LV)で表され、単位面積当たりの流量であって、m/hで示される値である。
濃縮水の通液量は特に限定されることはなく、スパイラル型EDI8の能力や被処理水の水質や処理量を勘案して決定することができる。濃縮水は、濃縮室に移行されてきたイオンを、濃縮水内に拡散させてスパイラル型EDI8外へ流出させるという目的を有する。このことから、濃縮水の通液量は、被処理水の通液量、被処理水のイオン濃度や、脱イオン水の回収率との関係で決定することが好ましく、例えば、下記(1)式で表される濃縮倍率が3〜20となるように、陰極側濃縮室18aおよび陽極側濃縮室18bの通液量をそれぞれ決定することが好ましい。なお、下記(1)式による濃縮倍率は、被処理水と濃縮水に同一の原水を用いて、かつ脱塩室24中のイオンが全て陰極側濃縮室18aと、陽極側濃縮室18bとに移行すると仮定して定義付けられる。
Figure 0004819020
濃縮水の通液量が少なすぎると、濃縮室に移行したイオンの濃度拡散にむらが生じて、イオン交換膜面の濃度分極層が厚くなり、スケール生成のおそれがある。一方、濃縮水の通液量が多すぎると、脱イオン水の回収率が低下するため好ましくないためである。
また、陰極側濃縮室18aと陽極側濃縮室18bとの濃縮水通液量は、同一であっても異なっていても良い。
濃縮水は、特に限定されることはなく、被処理水と同じ水源の水を使用しても良いし、脱イオン水や純水等を使用しても良い。
印加する電流は特に限定されることはなく、被処理水の水質や、スパイラル型EDI8の規模等を勘案して決定することが好ましい。
本実施形態では、1つの脱塩室24に対して、独立した2つの濃縮室である陰極側濃縮室18aと陽極側濃縮室18b(合わせて、両濃縮室ということもある)とが、脱塩室24の両側に配置されている。このため、上述のようにカチオン交換膜20を透過したカチオン成分と、アニオン交換膜22を透過したアニオン成分とが、両濃縮室中で混在することを防止できる。さらに、陰極電極16aと、陽極電極16bと、絶縁シート14とがセルペア間に配置されていることにより、陰極側濃縮室18aと陽極側濃縮室18bとは、接していない。また、両濃縮室は、外周側および内周側の脱塩室とも接していない。これにより、両濃縮室から脱塩室24への逆極性のイオン拡散を防止できる。さらに、イオン交換膜の膜面や、両濃縮室において、カチオン成分とアニオン成分とが、高濃度に混在することを防止し、スケールの発生を抑制することができる。
本実施形態のスパイラル型EDI8は、陰極電極16aと陽極電極16bとがセルペアを挟持して巻回された形状であるため、陰極電極16aと陽極電極16bとの距離は、スパイラルエレメント10全体にわたって、近距離かつ等距離とすることが可能である。従って、脱塩室24は、外周端側から内周端側にかけて、ほぼ同一の密度にて電流が印加されるため、電流密度分布のむらが極めて低減される。
また、陰極電極16aと、陽極電極16bとの間に、絶縁シート14が介在することにより、電流印加によるショートを防止することができる。
以上の構造により、被処理水が、非常に高い原水負荷であったり、あるいは高い通液量であったりしても、本実施形態のスパイラル型EDI8は、印加電流を高くして脱イオン水製造をすることができ、かつ高い水質を維持することが可能となる。また、スケールの生成を効率的に抑制でき、高耐久性と高処理能力を達成できる。さらに、本実施形態のスパイラル型EDI8は、コンパクトであって小スペースで設置可能である。
(第2の実施形態)
本発明のスパイラル型EDIの第2の実施形態について、図4を用いて説明する。
図4は本実施形態のスパイラル型EDIの横断面図の部分拡大図である。図4中の図(a)はセルペアの外周端部の拡大図であり、図(b)はセルペアの内周端部の拡大図である。
図4に示すとおり、本実施形態のスパイラル型EDIは、陰極電極16aと陽極電極16bとの間に、陰極側脱塩室24aと陽極側脱塩室24bが形成され、かつ各脱塩室の両側に濃縮室が形成されている。
陰極側脱塩室24aは、カチオン交換膜20aとアニオン交換膜22aとが対向して、4辺を接着されて略袋状に形成された空間であり、カチオン交換樹脂が充填されている。また、陽極側脱塩室24bは、カチオン交換膜20bとアニオン交換膜22bとが対向されて、4辺を接着されて略袋状に形成された空間であり、アニオン交換樹脂が充填されている。
陰極側脱塩室24aと陽極側脱塩室24bとは、アニオン交換膜22aとカチオン交換膜20bとが、中間スペーサ19cを介して対向するように配置されて、軸26の周囲に巻回されている。そして、中間濃縮室18cは、中間スペーサ19cが巻回されて、形成されている。
また、陰極電極16aは、陰極側濃縮室18aに添って巻回され、陽極電極16bは、陽極側濃縮室18bに添って巻回されている。さらに、絶縁シート14は、陰極電極16aに添って巻回されている。
このようにして、陰極側脱塩室24aと陰極側濃縮室18aとからなるセルペアと、陽極側脱塩室24bと陽極側濃縮室18bとからなるセルペアとが、中間濃縮室18cを介して隣接して、陰極電極16aと陽極電極16bとの間に形成されている。
図4−(a)に示すとおり、陰極側被処理水流入口30aは、耐圧容器12の一方の端面を貫通して、陰極側脱塩室24aの外周端と接続され、同様に陽極側被処理水流入口30bは、陽極側脱塩室24bの外周端と接続されている。また、陰極側濃縮水流入口40aは、耐圧容器12の一端面を貫通して陰極側濃縮室18aの外周端と接続され、同様に陽極側濃縮水流入口40bは、陽極側濃縮室18bの外周端と、中間濃縮水流入口40cは、中間濃縮室18cの外周端と接続されている。
図4−(b)に示すとおり、陰極側脱イオン水流出口32aは、耐圧容器の他方の端面を貫通して、陰極側脱塩室24aの内周端と接続され、同様に陽極側脱イオン水流出口32bは陽極側脱塩室24bの内周端と接続されている。また、陰極側濃縮水流出口42aは、耐圧容器12の一端面を貫通して陰極側濃縮室18aの内周端と接続され、同様に陽極側濃縮水流出口42bは陽極側濃縮室18bの内周端と、中間濃縮水流出口42cは中間濃縮室18cの内周端と接続されている。
陽極側被処理水流入口30bは、図示されない被処理水の供給源と接続されている。また、陰極側被処理水流入口30aは、陽極側脱イオン水流出口32bと、図示されない配管で接続されている。
陰極側濃縮水流入口40aと、陽極側濃縮水流入口40bと、中間濃縮水流入口40cとは、それぞれ図示されない濃縮水供給源と接続されている。また、陰極側濃縮水流出口42a、陽極側濃縮水流出口42b、中間濃縮水流出口42cはそれぞれ図示されない排水口と接続されている。
本実施形態における陰極側脱塩室24aには、カチオン交換樹脂が充填されている。一方、陽極側脱塩室24bには、アニオン交換樹脂が充填されている。カチオン交換樹脂およびアニオン交換樹脂は、第1の実施形態と同様のものを使用することができる。
また、カチオン交換膜20a、カチオン交換膜20bは、第1の実施形態におけるカチオン交換膜20と同様のものが使用できる。アニオン交換膜22a、アニオン交換膜22bは、第1の実施形態におけるアニオン交換膜22と同様のものが使用できる。
中間スペーサ19cは、第1の実施形態における陰極側スペーサ19aと同様のものを用いることができる。
本実施形態における全流路長とは、陰極側脱塩室24aの外周端から内周端までの距離と、陽極側脱塩室24bの外周端から内周端までの距離との合計をいう。
本実施形態のスパイラル型EDIによる脱イオン水の製造方法について説明する。
まず、陽極側被処理水流入口30bから陽極側脱塩室24bに、被処理水を流入させる。流入した被処理水は、陽極側脱塩室24b内のアニオン交換樹脂内を拡散しながら、陽極側脱イオン水流出口32bへ向かって、すなわち陽極側脱塩室24bの外周側から内周側へ、スパイラルエレメントの巻回方向に従って流通する。この間、被処理水中におけるCl、HCO 、CO 2−、SiO等のアニオン成分がアニオン交換樹脂に吸着される。吸着されたアニオン成分は、電気泳動により陽極電極16b側に泳動し、アニオン交換膜22bを透過して陽極側濃縮室18bに移行される。陽極側脱塩室24bを流通した被処理水は、陽極側脱イオン水流出口32bから流出した後、図示されない配管を経由して、陰極側被処理水流入口30aに送液され、陰極側脱塩室24aに流入される。
流入した被処理水は、陰極側脱塩室24a内のカチオン交換樹脂内を拡散しながら、陰極側脱イオン水流出口32aへ向かって、すなわち陰極側脱塩室24aの外周側から内周側へ、スパイラルエレメントの巻回方向に従って流通する。この間、被処理水中におけるNa、Ca2+、Mg2+等のカチオン成分が、カチオン交換樹脂に吸着される。吸着されたカチオン成分は、電気泳動により陰極電極16a側に泳動し、カチオン交換膜20aを透過して陰極側濃縮室18aに移行される。
そして、アニオン成分とカチオン成分が除去された脱イオン水が、陰極側脱イオン水流出口32aから流出される。
一方、濃縮水は陰極側濃縮水流入口40aから、陰極側濃縮室18a内に流入する。陰極側濃縮室18aに流入した濃縮水は、陰極側濃縮水流入口40aから陰極側濃縮水流出口42aに向かって、スパイラルエレメントの巻回方向に従って、陰極側濃縮室18a内を拡散しながら流通する。そして、濃縮水は陰極側濃縮室18aに移行されたカチオン成分を取り込んで、陰極側濃縮水流出口42aから排水される。陽極側濃縮室18bでも同様に、陽極側濃縮水流入口40bから流入した濃縮水は、陽極側濃縮室18bに移行されたアニオン成分を取り込んで、陽極側濃縮水流出口42bから排出される。さらに中間濃縮室18cでも同様に、中間濃縮水流入口40cから流入した濃縮水は、中間濃縮室18cに移行されたイオン成分を取り込んで、中間濃縮水流出口42cから排出される。
本実施形態によれば、陽極側脱塩室24bでは、アニオン交換樹脂により、主にアニオン成分(Cl、HCO 、CO 2−、SiO等)が吸着され、吸着されたアニオン成分は、アニオン交換膜22bを透過して、陽極側濃縮室18bに移行される。この際、陽極側脱塩室24bから中間濃縮室18cへのカチオン成分の移行は少ない。
一方、陰極側脱塩室24aでは、カチオン交換樹脂により、主にカチオン成分(Na、C2+、Mg2+等)が吸着される。吸着されたカチオン成分はカチオン交換膜20aを透過して、陰極側濃縮室18aに移行される。この際、陰極側脱塩室24aから中間濃縮室18cへのアニオン成分の移行は少ない。この結果、下記(2)式で表されるような、スケールの生成反応の反応物となるCO 2−は、陽極側濃縮室18bへ移行し、Ca2+、Mg2+等の硬度成分は陰極側濃縮室18aへ移行してくることになる。
CO 2−+Ca2+→CaCO ・・・・・・(2)
本実施形態においては、前述したとおり、アニオン成分、カチオン成分が、それぞれ異なる濃縮室へ移行するため、被処理水の硬度成分濃度が高い場合や、運転電流密度を高く設定した場合等であっても、濃縮室でのスケール生成を抑制することが可能となる。
また、仮に陽極側脱塩室24bから中間濃縮室18cへカチオン成分が移行し、中間濃縮室18cでカチオン成分が高濃度に濃縮された場合であっても、陽極側脱塩室24bにてアニオン成分が除去されているため、陰極側脱塩室24aから中間濃縮室18cへ移行するアニオン成分の濃度は極めて低い。従って、カチオン成分が陽極側脱塩室24bから中間濃縮室18cに移行した場合であっても、各濃縮室において、アニオン成分とカチオン成分とが高濃度に混在することはなく、スケール生成を抑制することができる。また、得られる脱イオン水の水質向上を図ることができる。
(第3の実施形態)
本発明のスパイラル型EDIの第3の実施形態について、図5を用いて説明する。
図5は本実施形態のスパイラル型EDIの横断面図の部分拡大図である。図5中の図(a)はセルペアの外周端部の拡大図であり、図(b)はセルペアの内周端部の拡大図である。
図5に示すとおり、本実施形態のスパイラル型EDIは、陰極電極16aと陽極電極16bとの間で、中間イオン交換膜23の一側に陰極側脱塩室124aが、他側に陽極側脱塩室124bが形成され、かつ脱塩室の両側に濃縮室が形成されている。
脱塩室は、カチオン交換膜20とアニオン交換膜22とが対向して、4辺を接着されて略袋状に形成された空間である。この空間には、カチオン交換膜20の面と平行に、脱塩室を二分割して仕切る中間イオン交換膜23が配置されている。そして、中間イオン交換膜23のカチオン交換膜20側の空間には、陰極側脱塩室124aが形成され、アニオン交換膜22側の空間には、陽極側脱塩室124bが形成されている。陰極側脱塩室124aにはカチオン交換樹脂が充填され、陽極側脱塩室124bにはアニオン交換樹脂が充填されている。第2の実施形態同様、陽極側被処理水流入口30bは図示されない被処理水の供給源と接続されており、陽極側脱イオン水流出口32bと陰極側被処理水流入口30aとは、図示されない配管により接続されている。
本実施形態における中間イオン交換膜23は、アニオン交換膜である。アニオン交換膜は、特に限定されず被処理水の水質に応じて選択することができ、アニオン交換膜22と同様のものを用いることができる。
本実施形態における全流路長とは、陰極側脱塩室124aの外周端から内周端までの距離と、陽極側脱塩室124bの外周端から内周端までの距離との合計をいう。
本実施形態のスパイラル型EDIによる脱イオン水の製造方法について説明する。
まず、陽極側被処理水流入口30bから陽極側脱塩室124bに、被処理水を流入させる。流入した被処理水は、陽極側脱塩室124b内のアニオン交換樹脂内を拡散しながら、陽極側脱イオン水流出口32bへ向かって流通する。この間、被処理水中におけるCl、HCO 、CO 2−、SiO等のアニオン成分がアニオン交換樹脂に吸着される。吸着されたアニオン成分は、電気泳動により陽極電極16b側に泳動し、アニオン交換膜22を透過して陽極側濃縮室18bに移行される。陽極側脱塩室124bを流通した被処理水は、陽極側脱イオン水流出口32bから流出し、図示されない配管を経由して、陰極側被処理水流入口30aに送液され、陰極側脱塩室124aに流入される。
次いで、流入した被処理水は、陰極側脱塩室124a内のカチオン交換樹脂内を拡散しながら、陰極側脱イオン水流出口32aへ向かって流通する。この間、被処理水中におけるNa、Ca2+、Mg2+等のカチオン成分が、カチオン交換樹脂に吸着される。吸着されたカチオン成分は、電気泳動により陰極電極16a側に泳動し、カチオン交換膜20を透過して陰極側濃縮室18aに移行される。同時に、アニオン成分が陽極電極16b側に泳動し、中心イオン交換膜23を透過して陽極側脱塩室124bに移行する。
そして、アニオン成分とカチオン成分とが除去された脱イオン水が、陰極側脱イオン水流出口32aから流出される。
一方、濃縮水は陰極側濃縮水流入口40aから流入し、陰極側濃縮室18a内に流入する。陰極側濃縮室18aに流入した濃縮水は、陰極側濃縮水流入口40aから陰極側濃縮水流出口42aに向かって流通する。そして、濃縮水は、陰極側濃縮室18aに移行されたカチオン成分を取り込んで、陰極側濃縮水流出口42aから排出される。陽極側濃縮室18bでも同様に、陽極側濃縮水流入口40bから流入した濃縮水は、陽極側濃縮室18bに移行されたアニオン成分を取り込んで、陽極側濃縮水流出口42bから排出される。
本実施形態においては、陽極側脱塩室124bで除去しきれなかったアニオン成分が、陰極側脱塩室124aから、中間イオン交換膜23を透過して、陽極側脱塩室124bに移行される。そして、陽極側脱塩室124bで、再度、アニオン成分の除去が行われることとなるため、得られる脱イオン水の水質の向上が図れる。また、濃縮室における、アニオン成分と、カチオン成分との混在がなく、スケール発生をより防止することができる。
(第4の実施形態)
本発明のスパイラル型EDIの第4の実施形態について、図6を用いて説明する。
図6は本実施形態のスパイラル型EDIの横断面図の部分拡大図である。図6中の図(a)はセルペアの外周端部の拡大図であり、図(b)はセルペアの内周端部の拡大図である。
図6に示すとおり、本実施形態のスパイラル型EDIは、陽極電極116bを介して隣接するセルペアが、互いに逆極性に組み合わされ、組み合わされたセルペアの両側に陰極電極116aと116a’とが配置されたものである。
前記逆極性とは、脱塩室を形成するカチオン交換膜とアニオン交換膜との配置が、逆になっていることをいう。
また、前記セルペアとは、脱塩室と、脱塩室に対応する濃縮室とからなる組み合わせをいう。本実施例においては、第1脱塩室144aと、カチオン交換膜120aに添って巻回されたスペーサ119aによって形成された陰極側濃縮室118aと、アニオン交換膜122aに添って巻回されたスペーサ119cによって形成された陽極側濃縮室118cとからなるのが、第1のセルペアである。一方、第2脱塩室144bと、カチオン交換膜120bに添って巻回されたスペーサ119bにより形成された陰極側濃縮室118bと、アニオン交換膜122bに添って巻回されたスペーサ119dにより形成された陽極側濃縮室118dとからなるのが、第2のセルペアである。第1のセルペアと第2のセルペアは、アニオン交換膜122a側とアニオン交換膜122b側とが対向するように、陽極電極116bを介して隣接している。従って、両セルペアは、カチオン交換膜とアニオン交換膜との配置が逆になっているため、逆極性の関係にある。
第1脱塩室144aには、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂とが同体積比で混合された、混床のイオン交換樹脂が充填されている。また、第2脱塩室144bも、第1脱塩室144aと同様である。
図6−(a)に示すとおり、被処理水流入口130aは、耐圧容器12の一端面を貫通して、第1脱塩室144aの外周端と接続され、同様に被処理水流入口130bは第2脱塩室144bの外周端と接続されている。同様に、濃縮水流入口140aは、陰極側濃縮室118aの外周端と接続され、濃縮水流入口140bは陰極側濃縮室118bの外周端と接続されている。濃縮水流入口140cは、陽極側濃縮室118cと118dの外周端の両方と接続されている。
図6−(b)に示すとおり、脱イオン水流出口132aは、耐圧容器の他の一端面を貫通して、第1脱塩室144aの内周端と接続され、同様に脱イオン水流出口132bは、第2脱塩室144bの内周端と接続されている。同様に、濃縮水流出口142aは、陰極側濃縮室118aの内周端と接続され、濃縮水流出口142bは、陰極側濃縮室118bの内周端と接続されている。濃縮水流出口142cは、陽極側濃縮室118cおよび118dの内周端の両方と接続されている。
カチオン交換膜120a、120bはカチオン交換膜20と同様のものである。カチオン交換膜120a、120bは、同一のものを使用しても良いし、異なるものを使用しても良い。ただし、異なる材質や機能のものを用いると、第1脱塩室144aと第2脱塩室144bにおける電気抵抗に差が生じて、電流密度分布にむらが生じ、そしてスケール生成の原因となることも考えられる。
アニオン交換膜122a、122bは、アニオン交換膜22と同様のものである。アニオン交換膜122a、122bは、同一のものを使用しても良いし、異なるものを使用しても良い。ただし、異なる材質や機能のものを用いると、第1脱塩室144aと第2脱塩室144bにおける電気抵抗に差が生じて、電流密度分布にむらが生じ、そしてスケール生成の原因となることも考えられる。
陰極電極116a、116a’は陰極電極16aと同様のものである。ただし、陰極電極116aと116a’とは、同一の材質、形態であることが好ましい。陽極電極116bは陽極電極16bと同様のものである。
スペーサ119a、119b、119c、119dは陰極側スペーサ19aと同様のものである。ただし、スペーサ119aと、119bと、119cと、119dとは同一の材質、形態であることが好ましい。
本実施形態における全流路長とは、第1脱塩室144aの外周端から内周端までの距離と、第2脱塩室144bの外周端から内周端までの距離との、それぞれをいう。従って、本実施形態においては、第1脱塩室144aの全流路長と、第2脱塩室144bの全流路長とが定義される。
本実施形態のスパイラル型EDIによる脱イオン水の製造方法について説明する。
被処理水を被処理水流入口130a、130bからそれぞれ流入させる。被処理水流入口130aから流入した被処理水は第1脱塩室144a内のイオン交換樹脂内を拡散しながら、脱イオン水流出口132aに向かって流通する。この間、イオン交換樹脂に吸着されたカチオン成分は、陰極側濃縮室118aに移行される。同時に、イオン交換樹脂に吸着されたアニオン成分は、陽極側濃縮室118cに移行される。
一方、被処理水流入口130bから流入した被処理水も同様に、第2脱塩室144bを流通する。この間、被処理水中のカチオン成分は、陰極側濃縮室118bへ移行し、アニオン成分は、陽極側濃縮室118dに移行される。そして、カチオン成分とアニオン成分が除去された脱イオン水が、脱イオン水流出口132a、132bから流出される。
濃縮水を濃縮水流入口140a、140bから流入させる。流入した濃縮水はそれぞれ陰極側濃縮室118a、118bを流通して、主にカチオン成分を取り込んで、濃縮水流出口142a、142bから排出される。濃縮水流入口140cから流入した濃縮水は、陽極側濃縮室118c、118dを流通して、主にアニオン成分を取り込んで、濃縮水流出口142cから排出される。
本実施形態のスパイラル型EDIによれば、2つの脱塩室に対して、1つの陽極電極で脱イオン水の製造ができることから、陽極電極に用いられる貴金属の面積を少なくすることができ、経済的な面で有利である。
(その他の実施形態)
第1および第4の実施形態では、カチオン交換樹脂とアニオン交換樹脂が同体積比で混合された混床にて、イオン交換樹脂が使用されているが、イオン交換体の種類、組成等は特に限定されるものではない。また、第2および第3の実施形態では、各脱塩室にアニオン交換樹脂、カチオン交換樹脂が単床にて、イオン交換樹脂が充填されているが、種類、組成等は特に限定されるものではなく、被処理水の水質等を勘案して組み合わせを選択することができる。
脱塩室に充填されるイオン交換体は特に限定されることはなく、イオン交換機能を有するものであれば良い。イオン交換樹脂の他、例えばイオン交換繊維、モノリス状多孔質イオン交換体等を挙げることができる。この内、最も汎用的であり、イオン交換膜にしわ等が生じても、膜とイオン交換体との隙間が生じにくいイオン交換樹脂を選択することが好ましい。これらは単独で用いても良く、2種以上を組み合わせて用いても良い。
脱塩室に用いるイオン交換体は、アニオン交換体単床、カチオン交換体単床、またはアニオン交換体とカチオン交換体との混床の、いずれの状態のイオン交換体でも用いることができる。
イオン交換体の組成や種類は、脱塩室が任意の数の領域に区切られ、該領域毎に充填されるイオン交換体の組成や種類が異なっていても良い。例えば、脱塩室を巻回方向に略3等分して3つの領域を設け、それぞれに異なる種類、組成のイオン交換体を充填しても良い。
また、全流路長に対して被処理水流入口側から少なくとも10%の距離の間に、アニオン交換体またはカチオン交換体の比率が50体積%を超えるように、イオン交換体を充填しても良い。また、全流路長に対して下流側小脱塩室の脱イオン水流出口側から少なくとも10%の距離の間には、アニオン交換体またはカチオン交換体の比率が50体積%を超えて充填されていても良い。
一例として、被処理水流入口側から60%の距離の間には、アニオン交換体が単床にて充填され、脱イオン水流出口から40%の距離の間には、アニオン交換体とカチオン交換体とが、それぞれ50体積%の混床にて充填された組み合わせが挙げられる。かかる組み合わせを用いることで、弱酸成分の処理能力を高めることができる。
脱塩室におけるイオン交換体の種類、組成の組み合わせは、各脱塩室の能力を補完し合い、脱イオン能力を高めるように、被処理水の水質等を勘案して決定することが好ましい。
ただし、第4の実施形態のように、複数の脱塩室を並列して使用し、各脱塩室それぞれから脱イオン水を得る場合には、各脱塩室に充填されるイオン交換体の組成、種類を同一とすることが好ましい。イオン交換体を同一の種類・組成とし、両脱塩室から得られる脱イオン水の水質を同等とするためである。また、両脱塩室のイオン交換体の種類や組成が異なると、各脱塩室における電気抵抗に差が生じて、電流密度分布にむらが発生し、そしてスケール生成の原因となりうるためである。
また、被処理水が高濃度成分を含有していたり、脱塩室を薄い厚さの構造とした場合等は、脱塩室内部にはイオン交換体を充填せず、メッシュ等のスペーサを配しても良い。被処理水が円滑に流通し、脱塩室を形成するイオン交換膜がお互いに接触しない構造であれば良い。
第1〜第3の実施形態では、軸26側に陽極電極が配置されているが、陽極電極と陰極電極との位置関係は特に限定されず、軸26側に陰極電極が配置されていても良い。この際、カチオン交換膜とアニオン交換膜との順序も、第1〜第3の実施形態とは逆の配置となる。第4の実施形態においても同様に、陰極電極と陽極電極の配置を入れ替えても良い。この場合においても、カチオン交換膜とアニオン交換膜とが、逆の配置となる。
また、陰極電極と陽極電極は、スパイラルエレメントの軸方向、または巻回方向に2以上に分割され、各電極に印加する電流が別々に制御されていても良い。かかる制御を行うことで、被処理水中のイオン成分を効率的に除去できる場合があるためである。
第2、第3の実施形態では、被処理水を陽極側脱塩室の外周側から内周側へ流通させた後に、陰極側脱塩室の外周側から内周側へ流通させているが、被処理水の流れ方向は特に限定されず、被処理水の水質や目的とする脱イオン水の水質等を勘案して設定することができる。例えば、被処理水は、陰極側脱塩室を流通させた後に、陽極側脱塩室を流通させることもできるし、各脱塩室を内周側から外周側へ向けて流通させることもできるし、これらを組み合わせても良い。また、第4の実施形態のように、陰極側脱塩室と陽極側脱塩室とのそれぞれに、被処理水を流通させて、各脱塩室から流出される脱イオン水を得ても良い。この場合においても、両脱塩室の被処理水の流れ方向は特に限定されず、同じ流れ方向であっても良いし、異なる流れ方向であっても良い。
第1の実施形態についても同様で、被処理水は、内周側から外周側へ向けて流通させても良い。
第4の実施形態では、第1脱塩室144aと第2脱塩室144bとのそれぞれに、外周側から内周側へ被処理水を流通させているが、被処理水の流通順序や流れ方向は特に限定されるものではない。例えば、被処理水は、各脱塩室それぞれの内周側から外周側へ向けて流通させることもできるし、第1脱塩室144aを流通した被処理水を第2脱塩室144bへ再度流通しても良く、これらを組み合わせても良い。
第1〜第4の実施形態においては、各濃縮室を流通した濃縮水が濃縮水流出口から排出されているが、各濃縮水流出口から流出する濃縮水を同一または異なる濃縮室に流通させて再利用しても良い。ただし、濃縮室内でのイオン成分濃度が高くなりすぎる場合には、スケール発生抑制の観点から、濃縮水の再利用は好ましくない。
また、濃縮水流れ方向は、特に限定されることなく、濃縮室の外周側から内周側へ流通させる他、内周側から外周側へ流通させても良く、また濃縮室毎に流れ方向が異なっていても良い。
第1〜第4の実施形態においては、濃縮水は、被処理水の流れ方向と同じ流れ方向となっているが、被処理水の流れ方向に対する濃縮水の流れ方向に制限はなく、被処理水の流れ方向と同一方向であっても良いし、対向する方向であっても良い。また、スパイラルエレメントの軸方向に濃縮水を流通させ、被処理水の流れ方向に対して垂直方向に流通させても良い。
被処理水の流れ方向に対して垂直方向に濃縮水を流通させる手段について、具体的に図7と図8を用いて一例を説明する。図7はスパイラル型EDI200の斜視図である。図8は配流板214の天面図である。なお、説明の便宜上、被処理水流入口206が設置されている側を天面、脱イオン水流出口208が設置されている側を底面として説明する。
図7に示すとおり、スパイラル型EDI200には、スパイラルエレメント202の天面と、耐圧容器204の天面の内面との間に流入側空間が設けられ、該流入側空間に配流板214が設置されている。一方、スパイラルエレメント202の底面と、耐圧容器204の底面の内面との間に流出側空間が設けられ、該流出側空間に配流板214が設置されている。図8に示すとおり、配流板214には被処理水流入口206または脱イオン水流出口208が貫通する孔218と、濃縮水が流通する通水孔216が設けられている。
被処理水流入口206は、圧力容器204の天面と、前記流入側空間に設置された配流板214を貫通して、脱塩室の外周端と接続されている。脱イオン水流出口208は、耐圧容器204の底面と、前記流出側空間に設置された配流板214を貫通して、脱塩室の内周端と接続されている。
濃縮水は濃縮水流入口210から流入側空間に流入され、配流板214に設けられた通水孔216を流通する。そして、スパイラルエレメント202の天面から底面に向かい、スパイラルエレメント202の軸方向に、濃縮室全体を実質的に直進する。濃縮室を流通した濃縮水は、濃縮水流出口212から排出される。これにより、脱塩室内の被処理水の流れ方向に対して、濃縮水は垂直方向に流通する。
第1〜第4の実施形態では、濃縮室はスペーサによって形成されているが、該濃縮室にはイオン交換体を充填しても良い。
第3の実施形態では、中間イオン交換膜23にはアニオン交換膜が用いられているが、中間イオン交換膜23は、カチオン交換膜であっても良い。中間イオン交換膜23の選択は、被処理水の水質と陰極側脱塩室124a、陽極側脱塩室124bに充填するイオン交換体の種類等を勘案して決定することが好ましい。
第2、第3の実施形態では、一対の陰極電極と陽極電極との間に、2つのセルペアが形成されているが、セルペアの数が3以上であっても良い。
第4の実施形態では一対の陰極電極と陽極電極との間に、1つのセルペアが形成されているが、該セルペアの数が2以上であっても良い。
以下、本発明について実施例を挙げて具体的に説明するが、実施例に限定されるものではない。
(水質評価)
<導電率・比抵抗>
水質評価には導電率ならびに比抵抗を用いた。不純物を全く含んでいない水の場合、25℃の水における導電率の理論値は0.055μS/cm、比抵抗の理論値は18.2MΩ・cmとなる。脱イオン水の水質は、比抵抗が18.2MΩ・cmに近づき、かつ高ければ高いほど水質としては清浄であると評価できる。脱イオン水の水質評価は、比抵抗をもって行った。
導電率は、導電率計(873CC、FOXBORO社製)を用いて測定した。また、比抵抗は、比抵抗計(873RS、FOXBORO社製)を用いて測定した。
<シリカ濃度>
EDIの処理性能の一指標となる、シリカ濃度を測定することにより、水質評価を行った。シリカ濃度は、分光光度計(U−3010、株式会社日立ハイテクノロジー製)を用い、モリブデン青吸光光度法により測定した。
(製造例1)
実施例1には第1の実施形態と同様のスパイラル型EDIを用いた。実施例1に用いたスパイラル型EDIを図1を用いて説明する。
アニオン交換膜22には1m×1mのアニオン交換膜(株式会社アストム製)を用い、カチオン交換膜20には1m×1mのカチオン交換膜(株式会社アストム製)を用いた。脱塩室24には、2.5Lのアニオン交換樹脂アンバーライト(商品名、ローム・アンド・ハース社製)と、2.5Lのカチオン交換樹脂アンバーライト(商品名、ローム・アンド・ハース社製)とを混合して作成した混床樹脂を充填した。陰極側スペーサ19a、陽極側スペーサ19bには厚さ1mmのメッシュを用いた。陰極電極16aにはステンレス製網状電極を用い、陽極電極には白金製網状電極を用い、絶縁シート14にはポリカーボネート製シートを用いた。そして、FRP製の耐圧容器12内にスパイラルエレメントを形成させた。
脱塩室24の外周端に被処理水流入口30を接続し、脱塩室の内周端に脱イオン水流出口32を接続した。陰極側濃縮室18aと陽極側濃縮室18bの外周端にはそれぞれ濃縮水流入口を接続し、内周端にはそれぞれ濃縮水流出口を接続した。こうして、スパイラル型EDI−1を得た。
(実施例1)
製造例1で得られたスパイラル型EDI−1を用いて、下記条件にて脱イオン水の製造を実施した。なお、被処理水の硬度は原子吸光分光光度計(SpectrAA、VARIAN社製)での測定値であり、全炭酸濃度は湿式紫外線酸化TOC分析計(900型、SIEVERS社製)での測定値である(以下において同じ)。
(1)脱塩室内の被処理水流量・・・・・・0.5m/h
(2)陰極側濃縮室内の濃縮水流量・・・・0.1m/h
(3)陽極側濃縮室内の濃縮水流量・・・・0.1m/h
(4)被処理水・・・・・・・・・・・・・RO透過水
(5)被処理水導電率・・・・・・・・・・7〜8μS/cm
(6)被処理水比抵抗・・・・・・・・・・0.125〜0.143MΩ・cm
(7)被処理水シリカ濃度・・・・・・・・0.5〜0.6mg/L
(8)被処理水硬度・・・・・・・・・・・0.4〜0.5mgCaCO/L
(9)被処理水全炭酸濃度・・・・・・・・4〜5mgCO/L
(10)運転電流値・・・・・・・・・・・40A
上記条件で脱イオン水の製造を行い、2000時間経過時点で得られた脱イオン水の水質評価を行い、その結果を表1に示す。また、2000時間経過時点での運転電圧を調べ、その結果も表1に示す。
(実施例2)
製造例1で得られたスパイラル型EDI−1を用い、下記条件に従い脱イオン水の製造を実施した。
(1)脱塩室内の被処理水流量・・・・・・0.5m/h
(2)陰極側濃縮室内の濃縮水流量・・・・0.1m/h
(3)陽極側濃縮室内の濃縮水流量・・・・0.1m/h
(4)被処理水・・・・・・・・・・・・・RO透過水
(5)被処理水導電率・・・・・・・・・・10〜12μS/cm
(6)被処理水比抵抗・・・・・・・・・・0.083〜0.1MΩ・cm
(7)被処理水シリカ濃度・・・・・・・・0.5〜0.6mg/L
(8)被処理水硬度・・・・・・・・・・・0.4〜0.5mgCaCO/L
(9)被処理水全炭酸濃度・・・・・・・・40〜45mgCO/L
(10)運転電流値・・・・・・・・・・・50A
上記条件で脱イオン水の製造を行い、2000時間経過時点で得られた脱イオン水の水質評価を行い、その結果を表1に示す。また、2000時間経過時点での運転電圧を調べ、その結果も表1に示す。
(実施例3)
製造例1で得られたスパイラル型EDI−1を用い、下記条件に従い脱イオン水の製造を実施した。
(1)脱塩室内の被処理水流量・・・・・・1.0m/h
(2)陰極側濃縮室内の濃縮水流量・・・・0.2m/h
(3)陽極側濃縮室内の濃縮水流量・・・・0.2m/h
(4)被処理水・・・・・・・・・・・・・RO透過水
(5)被処理水導電率・・・・・・・・・・10〜12μS/cm
(6)被処理水比抵抗・・・・・・・・・・0.083〜0.1MΩ・cm
(7)被処理水シリカ濃度・・・・・・・・0.5〜0.6mg/L
(8)被処理水硬度・・・・・・・・・・・0.4〜0.5mgCaCO/L
(9)被処理水全炭酸濃度・・・・・・・・40〜45mgCO/L
(10)運転電流値・・・・・・・・・・・100A
上記条件で脱イオン水の製造を行い、2000時間経過時点で得られた脱イオン水の水質評価を行い、その結果を表1に示す。また、2000時間経過時点での運転電圧を調べ、その結果も表1に示す。
(比較製造例1)
中心電極は、白金製網状電極を円柱状に巻いて陽極とし、外周電極は、ステンレス製の板を用いて陰極とした。1m×1mのアニオン交換膜とカチオン交換膜とを対向させて、4辺を接着剤で接着して、脱塩室を形成させた。2.5Lのアニオン交換樹脂と、2.5Lのカチオン交換樹脂を混合して作成した混床樹脂5Lを、前記脱塩室に充填した。前記脱塩室を形成させたアニオン交換膜とカチオン交換膜とを、前記中心電極の周囲に巻回した。この際、中心電極を設置した側を中心として、内側にアニオン交換膜、外側にカチオン交換膜となるように、外周電極内に巻回した。そして、イオン交換膜の両側に濃縮室が形成されるように、スペーサとしてのメッシュを巻回して、スパイラルエレメントを作成した。前記スパイラルエレメントを耐圧容器内に収めた。脱塩室の外周端には被処理水流入口を接続し、脱塩室の内周端には脱イオン水流出口を接続した。また、濃縮室の外周端には濃縮水の流入口を接続し、濃縮室内周端には濃縮水流出口を接続した。こうして、スパイラル型EDI−2を得た。
(比較例1)
比較製造例1で得られたスパイラル型EDI−2を用い、下記条件に従い脱イオン水の製造を実施した。
(1)脱塩室内の被処理水流量・・・・・・0.5m/h
(2)濃縮室内の濃縮水流量・・・・・・・0.2m/h
(3)被処理水・・・・・・・・・・・・・RO透過水
(4)被処理水導電率・・・・・・・・・・7〜8μS/cm
(5)被処理水比抵抗・・・・・・・・・・0.125〜0.143MΩ・cm
(6)被処理水シリカ濃度・・・・・・・・0.5〜0.6mg/L
(7)被処理水硬度・・・・・・・・・・・0.4〜0.5mgCaCO/L
(8)被処理水全炭酸濃度・・・・・・・・4〜5mgCO/L
(9)運転電流値・・・・・・・・・・・・10A
上記条件で脱イオン水の製造を行い、1000時間経過時点で得られた脱イオン水の水質評価を行い、その結果を表1に示す。また、1000時間経過時点での運転電圧を調べ、その結果も表1に示す。
Figure 0004819020
表1に示す実施例1の結果では、脱イオン水製造を2000時間行った後であっても、得られる脱イオン水の水質は17.2〜18.2MΩ・cm、シリカ濃度0.001mg/L未満という極めて高い水質であり、かつ運転電圧は13〜15Vと極めて低位で安定していた。
実施例2では、被処理水の全炭酸濃度を上げて被処理水の水質を低下させ、運転電流値も上げて、脱イオン水製造を行ったにもかかわらず、得られる脱イオン水の水質は17.2〜18.2MΩ・cm、シリカ濃度0.0015mg/L未満の高い水質を維持していた。そして、運転電圧も14〜17Vと極めて低位で安定していた。
実施例3においては、実施例2と同水準の被処理水について、脱塩室内の通液量(SV)、ならびに電流値を2倍として処理しても、得られる脱イオン水の水質は17.2〜18.2MΩ・cm、シリカ濃度0.001mg/L未満の高い水質を維持しており、運転電圧も12〜15Vと極めて低位で安定していた。また、脱イオン水製造開始から2000時間経過した時点でスパイラル型EDI−1を解体したところ、目視では濃縮室にスケールの生成は認められなかった。
これらの結果から、実施例1〜3については、2000時間を超える脱イオン水製造に際しても、高い水質の脱イオン水を得ることができることがわかった。また、いずれもスケール生成等に起因する運転電圧の上昇もなく、長時間にわたる脱イオン水製造が行えることがわかった。
他方、比較例1においては、脱イオン水製造1000時間経過後では、脱イオン水の水質は3.0〜5.0MΩ・cm、シリカ濃度0.310〜0.420mg/Lという低い水質となっていた。また、運転電圧も160V以上で、上昇が継続していた。さらに、脱イオン水製造開始から1040時間を経過した時点で、スパイラル型EDI−2を解体したところ、濃縮室にはスケールが生成していることが確認された。
本発明の第1の実施形態にかかるスパイラル型EDIの斜視図である。 本発明の第1の実施形態にかかるスパイラル型EDIの横断面図である。 本発明の第1の実施形態にかかるスパイラル型EDIの縦断面図である。 本発明の第2の実施形態にかかるスパイラル型EDIのスパイラルエレメント外周端と内周端の横断面図である。 本発明の第3の実施形態にかかるスパイラル型EDIのスパイラルエレメント外周端と内周端の横断面図である。 本発明の第4の実施形態にかかるスパイラル型EDIのスパイラルエレメント外周端と内周端の横断面図である。 本発明のスパイラル型EDIの一実施形態の斜視図である。 本発明のスパイラル型EDIの一実施形態に用いられる配流板の天面図である。
符号の説明
8 スパイラル型電気式脱イオン水製造装置
10、202 スパイラルエレメント
16a、116a、116a’ 陰極電極
16b、116b 陽極電極
18a、118a、118b 陰極側濃縮室
18b、118c、118d 陽極側濃縮室
18c 中間濃縮室
20、20a、20b、120a、120b カチオン交換膜
22、22a、22b、122a、122b アニオン交換膜
24 脱塩室
24a、124a 陰極側脱塩室
24b、124b 陽極側脱塩室
144a 第1脱塩室
144b 第2脱塩室

Claims (5)

  1. アニオン交換膜とカチオン交換膜とを巻回して、数の脱塩室と濃縮室が形成され、陰極電極と陽極電極とが、濃縮室に添って巻回されたスパイラルエレメントを有するスパイラル型電気式脱イオン水製造装置であって、
    任意の脱塩室と、この任意の脱塩室を挟持するアニオン交換膜及びカチオン交換膜と、前記の任意の脱塩室とアニオン交換膜を介して隣接する陽極側濃縮室と、前記の任意の脱塩室とカチオン交換膜を介して隣接する陰極側濃縮室とで複数のセルペアが形成され、前記陰極電極と前記陽極電極とが該セルペアを挟持して配置され、
    任意のセルペアと他の任意のセルペアとは、陰極側濃縮室同士が前記陰極電極を介して隣接するように配置され、かつ前記陽極電極は陽極側濃縮室に添って配置され、前記任意のセルペアと前記他の任意のセルペアとは互いに逆極性に組み合わされているか、または、任意のセルペアと他の任意のセルペアとは、陽極側濃縮室同士が前記陽極電極を介して隣接するように配置され、かつ前記陰極電極は陰極側濃縮室に添って配置され、前記任意のセルペアと前記他の任意のセルペアとは互いに逆極性に組み合わされていることを特徴とする、スパイラル型電気式脱イオン水製造装置。
  2. の脱塩室を流通した被処理水を、隣接する脱塩室に供給する配管を有することを特徴とする、請求項1に記載のスパイラル型電気式脱イオン水製造装置。
  3. 前記スパイラルエレメントは、前記濃縮室における濃縮水の流れ方向が、隣接する脱塩室における被処理水の流れ方向に対し、逆方向または垂直方向に制御されていることを特徴とする、請求項1または2に記載のスパイラル型電気式脱イオン水製造装置。
  4. 前記陰極電極および前記陽極電極は、スパイラルエレメントの軸方向、または巻回方向に2以上に分割され、各電極に印加する電流が別々に制御されることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のスパイラル型電気式脱イオン水製造装置。
  5. 前記濃縮室のうち、少なくとも1の濃縮室にはイオン交換体が充填されていることを特徴とする、請求項1〜のいずれか1項に記載のスパイラル型電気式脱イオン水製造装置。
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