JP4818965B2 - 光記録媒体 - Google Patents
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Description
このような光記録媒体の記録再生に際しては、アドレス情報を正確に得る必要がある。アドレス情報を得るために種々の構造を有する光記録媒体が提案されており、その一例として特許文献1に記載された光記録媒体がある。
この光記録媒体は、蛇行したグルーブを有し、隣り合ったグルーブとグルーブとを繋ぐランド部の切り欠きとして所定間隔でプリピットが形成され、このプリピットから検出されるプリピット信号によってアドレス情報が得られるようになっており、トラックピッチが狭い場合でも情報を正確に得ることができるという利点がある。また、未記録の状態ではプリピットからの信号が大きいのでアドレス情報を正確に得ることができる。
また、記録容量を増大させるために二層の情報記録層を有する二層光記録媒体が提案されており、その作製方法は主に2P法(photo polymarization法)とIS法(Inverted stack法)の2種類に分けることができる。
IS法で作製された二層光記録媒体は、第1基板と、その上に設けられた少なくとも第1記録層を有する第1情報層と、第2基板と、その上に設けられた少なくとも反射層、第2記録層及び保護層をこの順に有する第2情報層とが、中間層を介して、第1記録層及び第2記録層が内側になるように積層された層構成を有する。そして、光入射方向からみて奥側となる第2記録層には、通常ランド記録がなされる。
一方、IS方式による二層光記録媒体における光入射側からみて奥側の記録層(第2記録層)では、第2基板のランドに形成される色素記録層膜厚が、トラック間であるグルーブに形成される色素記録層膜厚とほぼ同じか又は若干薄いだけであるため、連続するトラックに記録した場合に、記録レーザー照射による加熱及び色素分解時の発熱が隣接トラックに伝達し、記録マークが過度に広がってしまう(熱変形)。このため、記録マークが広がりにくい有機色素が考えられているが、その場合でも、第1情報層と第2情報層とでは記録マークの形状が異なることになる。
したがって、第2基板に、第1基板のプリピットと同形状のプリピットを形成したとしても、各記録層に形成される記録マークの形状が異なるため、適切なプリピット信号やデータエラー特性を得られるわけではなかった。
そこで本発明は、IS法により作製された光記録媒体の光入射側からみて奥側の情報層について、未記録状態及び記録後の何れにおいてもプリピット信号のエラー増加を抑えて、アドレス情報を正確に得ることができると共に、記録ピットの再生信号から得られるデータのエラー増加も抑えられる光記録媒体の提供を目的とする。
1) 溝深さ1600Å、トラックピッチ0.74μm、グルーブの溝幅が2400Åの案内溝を設けた第1基板と、その上に設けられた少なくとも第1記録層を有する第1情報層と、溝深さ300Å、トラックピッチ0.74μmの第2基板と、その上に設けられた少なくとも反射層、第2記録層及び保護層をこの順に有する第2情報層とが、中間層を介して第1記録層及び第2記録層が内側になるように積層され、第2記録層は下記化学式で表されるスクアリリウム色素からなると共に、膜厚が350〜600nmであって、第2基板の第2情報層が積層された側に、螺旋状のグルーブ及びランドが形成され、第2記録層にランド記録がなされる光記録媒体であって、第2基板のランドの一部に、このランドと隣り合う他のランドに向かって突出するように屈曲したプリピットが形成され、前記プリピットとして突出している部分の最も突出した位置でのランドの中心線と、突出していない部分のランドの中心線との距離をRl(Å)、ランドの溝幅をWl(Å)、プリピットの長さをLl(Å)としたとき、Rl、Wl、Llが「500(Å)≦Rl×Ll/Wl≦750(Å)」という関係を満足することを特徴とする光記録媒体。
−基板−
基板の材料としては、通常、ガラス、セラミックス、樹脂、などが用いられるが、成形性、コストの点から、樹脂製基板が好適である。前記樹脂としては、例えば、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ABS樹脂、ウレタン樹脂などが挙げられる。これらの中でも、成形性、光学特性、コストの点から、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂が好ましい。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
色素含有記録層は、レーザー光の照射により何らかの光学的変化を生じ、その変化により情報を記録できるものであって、少なくとも有機色素を含有し、バインダー、安定剤等を含有する。
また、色素含有記録層は、該記録層両界面の多重干渉効果により、高反射率を得る構成となっている。更に、色素含有記録層には、屈折率nが大きく吸収kが比較的小さい光学特性が必要である。好ましい範囲はn>2、0.03<k<0.2である。このような光学特性は色素膜の光吸収帯の長波長端部の特性を利用することにより得られる。
前記有機色素としては、例えば、シアニン系色素、フタロシアニン系色素、ピリリウム系・チオピリリウム系色素、アズレニウム系色素、スクワリリウム系色素、アゾ系色素、ホルマザンキレート系色素、Ni,Crなどの金属錯塩系色素、ナフトキノン系・アントラキノン系色素、インドフェノール系色素、インドアニリン系色素、トリフェニルメタン系色素、トリアリルメタン系色素、アミニウム系・ジインモニウム系色素、ニトロソ化合物などが挙げられる。これらの中でも、膜の光吸収スペクトルの最大吸収波長が550〜650nmにあり、レーザー光波長(約650nm)において所望の光学特性が得やすい色素化合物として、溶剤塗布による成膜性、光学特性の調整のしやすさから、テトラアザポルフィラジン色素、シアニン色素、アゾ色素、及び前記化学式で表されるスクアリリウム色素から選択される少なくとも1種の色素が好ましい。
前記記録層の形成には、蒸着法、スパッタリング法、CVD法又は溶液塗布法等の通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には、前記色素等を有機溶剤等に溶解してスプレー、ローラーコーティング、ディッピング、及びスピンコーティング等の慣用のコーティング法によって行われる。
反射層の材料としては、例えば、Al、Au、Ag、Cu、Taなどの金属材料、又はそれらの合金などを用いることができる。また、これら金属材料への添加元素として、Cr、Ti、Si、Cu、Ag、Pd、Taなどが使用できる。これらの中でも、Ag及びAg合金の何れかを含有することが好ましい。それは、記録媒体を構成する反射層は通常、記録時に発生する熱の冷却速度を調整する熱伝導性の観点と、干渉効果を利用して再生信号のコントラストを改善する光学的な観点から、高熱伝導率/高反射率の金属が望ましく、純Ag又はAg合金はAgの熱伝導率が427W/m・Kと極めて高く、記録時に記録層が高温に達した後、直ぐにマーク形成に適した急冷構造を実現できるからである。
なお、このように高熱伝導率性を考慮すると純銀が最良であるが、耐食性を考慮しCuを添加してもよい。この場合Agの特性を損なわないためには銅の添加量範囲は0.1〜10原子%が好ましく、特に0.5〜3原子%が好適である。銅の過剰な添加は逆にAgの耐食性を劣化させてしまう。
反射層は、各種気相成長法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、プラズマCVD法、光CVD法、イオンプレーティング法、電子ビーム蒸着法などによって形成できる。中でも、スパッタリング法が、量産性、膜質等に優れている。
本発明は二層光記録媒体であるため、一層目の反射層は照射されるビームに対して透過率が30%〜70%であることが好ましい。二層目の反射層は、放熱能力や耐久性を考慮すると膜厚は、50〜300nmが好ましい。
貼り合わせにはアクリレート系、エポキシ系、ウレタン系の紫外線硬化型又は熱硬化型接着剤等が使用できるが、透明シートにより貼り合わせる方法でも良い。
第2記録層の材料として有機色素を用いた場合、図に示すように、ランドの溝幅をWl(Å)、プリピットの長さをLl(Å)、プリピットとして突出している部分の最も突出した位置でのランドの中心線と、突出していない部分のランドの中心線との距離をRl(Å)として、Rl、Wl、Llが次の式を満足することが好ましい。
500(Å)≦Rl×Ll/Wl≦750(Å)
Rl×Ll/Wl<500(Å)では、アドレス情報が正確に得られないことがあり、Rl×Ll/Wl>750(Å)では、記録後のデータエラーが増加することがある。
また、有機色素の膜厚は350〜600nmの範囲とする。この範囲を外れると、後述するDVD規格を満足する記録再生特性が得られないので好ましくない。
ディスク原盤を作製するに際しては、ガラス基板等の高剛性基板の表面にポジ型のレジスト層を形成し、レーザービーム等の露光用ビームによりレジスト層を露光した後、現像することによりレジスト層をパターニングする工程を設ける。
本発明では、レジスト層を露光する際に、グルーブに対応する溝が形成できるように原盤を回転させながら1本の露光用ビームを連続照射し、グルーブにプリピットを形成する位置において露光用ビームを一瞬だけディスク原盤の径方向に変位させる。変位中にも露光用ビームは連続的に照射する。このときの変位量を制御することにより、プリピットの突出量(前述のRl)を調節し、更に変位時間を制御することによりプリピットの長さLlを調節できる。
溝深さ1600Å、トラックピッチ0.74μm、グルーブの溝幅が2400Åの案内溝を設けた、厚さ0.58mm、直径120mmの射出成形ポリカーボネート基板を第1基板とし、その上に、下記〔化3〕のスクアリリウム色素を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解させた溶液をスピンナー塗布して、膜厚500Åの第1記録層を形成し、次いで、スパッタ法により膜厚90Åの銀からなる半透過反射層を設けた。
一方、溝深さ300Å、トラックピッチ0.74μm、ランドの溝幅Wlが2110Åの案内溝を設けた、厚さ0.57mm、直径120mmの射出成型ポリカーボネート基板を第2基板とし、この基板の、プリピットとして突出している部分の最も突出した位置でのランドの中心線と、突出していない部分のランドの中心線との距離Rlを1530Å、プリピットの長さLlを1020Åとし、この基板上に、スパッタ法により膜厚約120nmの銀からなる第2反射層を形成し、その上に、下記〔化3〕のスクアリリウム色素を2,2,3,3−テトラフルオロプロパノールに溶解させた溶液をスピンナー塗布して、膜厚500nmの第2記録層を形成し、その上に、スパッタ法によりZnS−SiO2を約15nmの厚さに設けてバリア層を形成した。
次いで、上記製膜済みの第1基板と第2基板を、紫外線硬化型接着剤(日本化薬社製 KARAYAD DVD003)を用いて、記録層同士が内側になるように貼り合わせ、二層光記録媒体を得た。
基板の溝形状及びプリピット形状の測定にはDigital Instrument社製の原子間力顕微鏡(AFM)を使用した。
また、光ディスク評価装置としてパルステック社製のODU1000を用い、対物レンズNA(開口数)=0.6、波長650nmのピックアップを用いて、線速3.5m/sで第2基板のプリピット信号(PPb)の評価を行った。
なお、プリピット信号の評価は、DVD forumから発行されているbookのphisical specificationに記載のランドプリピット信号:LPPb(Land Pre−Pit signal amplitude before recording)と同様の測定方法で行った。ここでランドプリピットと呼ばないのは、本発明の二層光記録媒体の第2情報層は、グルーブにプリピット情報があり、いわばグルーブプリピットとなっているためである。
更に、同じピックアップを用いて、DVD(8−16)信号を、線速21.0m/s(DVD再生速度の6倍)で第2記録層に記録し、記録信号のAR(Aperture Ratio)、エラー(PIsum8)、及び変調度の測定を行った。なお、ARとは、記録後のランドプリピット信号の大きさのことを言うが、本実施例では前述したグルーブプリピットをARと見なして測定した。測定方法は、上記DVD forumから発行されているbookのphisical specificationに記載されている方法と同じである。また、PIsum8はデータエラーの指標であり、ランドプリピット信号やARが大きいと、アドレスは読みやすくなるが、PIsum8が増すという関係にある。また、変調度とは、再生信号の最大レベル(IH)と最小レベル(IL)から求められる値であり、変調度=(IH−IL)/IHである。
上記測定結果を表1に示す。
なお、上記bookの規格値は、0.18≦LPPb≦0.28、AR≧0.10、
PIsum8≦280、変調度≧0.60である。
第2基板の溝形状及びプリピット形状を表1に示すように変化させた点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製し、記録再生評価を行った。
その結果を表1に示す。
第2基板の溝形状及びプリピット形状を表1に示すように変化させ、色素膜厚を330Å(比較例7)、630Å(比較例8)とした点以外は、実施例1と同様にして光記録媒体を作製し、記録再生評価を行った。
その結果を表1に示す。
Wl ランドの溝幅
Ll プリピットの長さ
Claims (2)
- 溝深さ1600Å、トラックピッチ0.74μm、グルーブの溝幅が2400Åの案内溝を設けた第1基板と、その上に設けられた少なくとも第1記録層を有する第1情報層と、溝深さ300Å、トラックピッチ0.74μmの第2基板と、その上に設けられた少なくとも反射層、第2記録層及び保護層をこの順に有する第2情報層とが、中間層を介して第1記録層及び第2記録層が内側になるように積層され、第2記録層は下記化学式で表されるスクアリリウム色素からなると共に、膜厚が350〜600nmであって、第2基板の第2情報層が積層された側に、螺旋状のグルーブ及びランドが形成され、第2記録層にランド記録がなされる光記録媒体において、第2基板のランドの一部に、このランドと隣り合う他のランドに向かって突出するように屈曲したプリピットが形成され、前記プリピットとして突出している部分の最も突出した位置でのランドの中心線と、突出していない部分のランドの中心線との距離をRl(Å)、ランドの溝幅をWl(Å)、プリピットの長さをLl(Å)としたとき、Rl、Wl、Llが「500(Å)≦Rl×Ll/Wl≦750(Å)」という関係を満足することを特徴とする光記録媒体。
- 第2記録層における記録後の再生信号の変調度が0.7以下であることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
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