JP2004095142A - 光記録媒体及びその製造方法 - Google Patents

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Hisamitsu Kamezaki
亀崎 久光
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Abstract

【課題】青色レーザ波長領域、特に405nm近傍の波長領域であっても記録可能な、有機材料からなる光記録媒体、また、高密度化が図れ、変調度が大きく、更には、記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない光記録媒体、及びその製造方法の提供。
【解決手段】1)3層以上の互いに隣接した有機材料を主成分とする有機層を有し、そのうちの少なくとも2層が記録に直接関与する光記録媒体。2)有機光吸収層3、有機中間層4、有機熱受容層5を一組の記録層として、このような記録層が一組以上積層されている光記録媒体。3)基板1上に、有機光吸収層3、有機中間層4、有機熱受容層5をこの順に有し、更に、直接又は第二有機中間層を介して反射層10を有する光記録媒体。
【選択図】    図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザーにより情報の記録及び再生が可能な光記録媒体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
超高密度の記録が可能となる青色レーザの開発は急速に進んでおり、それに対応した追記型の光記録媒体の開発が行なわれている。
従来の追記型光記録媒体では、有機材料からなる記録層にレーザ光を照射し、有機材料の分解・変質による屈折率変化を主に生じさせることで記録ピットを形成させており、記録層に用いられる有機材料の光学定数、分解挙動が良好な記録ピットを形成させるための重要な要素となっている。
従って、記録層に用いる有機材料は、青色レーザ波長に対する光学的性質、分解挙動の適切な材料を選択する必要がある。
【0003】
青色レーザ対応の有機材料としては、例えば、特許文献1〜5に記載されている。しかし、これらの公報では、実施例において溶液と薄膜のスペクトルを測定したのみで、記録再生に関する記載がない。
特許文献6〜8には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は488nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な記録ピットが形成できた旨の記載があるのみである。
特許文献9には、実施例に記録の記載があるものの、記録波長は430nmであり、また記録条件や記録密度に関する記載はなく、良好な変調度が得られた旨の記載があるのみである。
特許文献10〜19には、実施例に記録波長430nm、NA0.65での記録例があるが、最短ピットが0.4μmという低記録密度条件(DVDと同等の記録密度)である。
特許文献20には、記録再生波長405〜408nmの記載があるが、記録密度に関する具体的な記載はなく、14T−EFM信号の記録という低記録密度条件である。
【0004】
また、従来のCD、DVD系光記録媒体と異なる層構成や記録方法に関して、以下のような技術が公開されている。
特許文献21には、基板/過飽和吸収色素含有層/反射層という構成で、過飽和吸収色素の消衰係数(本発明でいう吸収係数)の変化により記録を行なう技術が開示されている。
特許文献22には、基板/金属蒸着層/光吸収層/保護シートという構成で、光吸収層によって発生した熱によって、金属蒸着層を変色又は変形させることで記録を行なう技術が開示されている。
特許文献23には、基板/誘電体層/光吸収体を含む記録層/反射層という構成で、記録層の膜厚を変え溝部の深さを変えることにより記録を行なう技術が開示されている。
特許文献24には、基板/光吸収体を含む記録層/金属反射層という構成で、記録層の膜厚を10〜30%変化させることにより記録を行なう技術が開示されている。
【0005】
特許文献25には、基板/有機色素を含有する記録層/金属反射層/保護層という構成で、基板の溝幅を未記録部に対して20〜40%広くすることにより記録を行なう技術が開示されている。
特許文献26には、基板/中間層/金属薄膜という構成で、金属薄膜を変形させてバブルを形成することにより記録を行なう技術が開示されている。
特許文献27には、基板/絶縁層/シアニン記録膜/反射膜/保護膜という構成で、絶縁膜に熱を逃がし記録部を修正する技術が開示されている。
特許文献28には、基板/光吸収層/記録補助層/光反射層という構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行なう技術が開示されている。
特許文献29には、基板/光吸収層/多孔質な記録補助層/光反射層、或いは基板/多孔質な記録補助層/光吸収層/光反射層という構成で、記録補助層を凹状に変形させると共に、記録補助層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させることで記録を行なう技術が開示されている。
【0006】
特許文献30には、基板/多孔質な光吸収層/光反射層という構成で、光吸収層を凹状に変形させると共に、光吸収層の変形に沿って光反射層を凹状に変形させて記録を行なう技術が開示されている。
特許文献31には、基板/有機色素を含む記録層/記録補助層という構成で、記録補助層と有機色素が相溶して、有機色素の吸収スペクトルを短波長側へシフトさせることで記録を行なう技術が開示されている。
しかしながら、上記の諸々の技術は、何れも青色レーザ波長領域での光記録媒体の実現を狙ったものではなく、青色レーザ波長領域で有効となる層構成や記録方法ではない。
以上の例では、本発明のように、有機光吸収層、有機中間層、有機熱受容層の溶剤に対する溶解性の差を利用してこれらの層を積層する方法に関する言及が無い。更に、面内の密度を上げ、記録容量を増加する方法に関する記載もない。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−181524号公報
【特許文献2】
特開2001−158865号公報
【特許文献3】
特開2000−343824号公報
【特許文献4】
特開2000−343825号公報
【特許文献5】
特開2000−335110号公報
【特許文献6】
特開平11−221964号公報
【特許文献7】
特開平11−334206号公報
【特許文献8】
特開2000−43423号公報
【特許文献9】
特開平11−58955号公報
【特許文献10】
特開2001−39034号公報
【特許文献11】
特開2000−149320号公報
【特許文献12】
特開2000−113504号公報
【特許文献13】
特開2000−108513号公報
【特許文献14】
特開2000−222772号公報
【特許文献15】
特開2000−218940号公報
【特許文献16】
特開2000−222771号公報
【特許文献17】
特開2000−158818号公報
【特許文献18】
特開2000−280621号公報
【特許文献19】
特開2000−280620号公報
【特許文献20】
特開2001−146074号公報
【特許文献21】
特開平7−304258号公報
【特許文献22】
特開平8−83439号公報
【特許文献23】
特開平8−138245号公報
【特許文献24】
特開平8−297838号公報
【特許文献25】
特開平9−198714号公報
【特許文献26】
特許第2506374号公報
【特許文献27】
特許第2506867号公報
【特許文献28】
特許第2591939号公報
【特許文献29】
特許第2591940号公報
【特許文献30】
特許第2591941号公報
【特許文献31】
特許第2982925号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機層が3層積層された構成において、全ての層がスピンコート法で積層されることにより生産性、コスト、歩留まりが向上する製造方法、及び、光吸収層に超解像技術を用いることにより、回折限界より記録、再生に用いるスポットを小さくし記録密度を向上させた光記録媒体の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は、次の1)〜27)の発明によって解決される。
1) 3層以上の互いに隣接した有機材料を主成分とする有機層を有し、そのうちの少なくとも2層が記録に直接関与することを特徴とする光記録媒体。
2) 有機光吸収層、有機中間層、有機熱受容層を一組の記録層として、このような記録層が一組以上積層されていることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
3) 基板上に、有機光吸収層、有機中間層、有機熱受容層をこの順に有し、更に、直接又は第二有機中間層を介して反射層を有することを特徴とする2)記載の光記録媒体。
4) 3層以上の互いに隣接した有機層として、20℃における比誘電率が80未満の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなる層と、20℃における比誘電率が80以上の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなる層が交互に積層されていることを特徴とする1)記載の光記録媒体。
5) 有機光吸収層及び有機熱受容層が、20℃における比誘電率が80未満の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなり、有機中間層が、20℃における比誘電率が80以上の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなることを特徴とする2)又は3)記載の光記録媒体。
6) 少なくとも一つの有機層が、エタノールの沸騰時に30ml/gより低い溶解度を示す有機材料からなることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の光記録媒体。
7) 少なくとも一つの有機層が、分解温度が160〜500℃の有機物質を含有していることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の光記録媒体。
8) 有機物質が、シアニン系、フタロシアニン系、ポルフィリン系、メロシアニン系、アゾ系、ナフタロシアニン系、スクアリリウム系、ポリエン系、ベーススチリル系、及びホルマザンキレート系の色素からなる群より選択される少なくとも1つの色素を含むことを特徴とする7)記載の光記録媒体。
9) 有機物質がフォトクロミック色素であることを特徴とする6)記載の光記録媒体。
10) 少なくとも一つの有機層が親水性高分子からなり、架橋又は結晶化により耐水及び耐熱処理が施こされていることを特徴とする1)〜9)の何れかに記載の光記録媒体。
11) 少なくとも一つの有機層が、記録再生に用いる波長における吸光度が0.5以下となる材料及び膜厚からなることを特徴とする1)〜10)の何れかに記載の光記録媒体。
12) 有機光吸収層が、サーモクロミズムを示す材料を含有することを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
13) 有機光吸収層が、フォトクロミズムを示す材料を含有することを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
14) 有機光吸収層が、過飽和吸収性を示す材料を含有することを特徴とする1)〜11)の何れかに記載の光記録媒体。
15) 光ビームの照射により、少なくとも一つの有機層が形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)することによって情報の記録が行われることを特徴とする1)〜14)の何れかに記載の光記録媒体。
16) 形状変化が膜厚の変化を伴い、情報を記録した部分の少なくとも一部において、膜厚が未記録部の膜厚に比べて小さくなることを特徴とする15)記載の光記録媒体。
17) 膜厚が0(ゼロ)又は殆ど0(ゼロ)になることを特徴とする16)記載の光記録媒体。
18) 反射層が形状変化しないことを特徴とする1)〜17)の何れかに記載の光記録媒体。
19) 有機熱受容層が、記録マーク領域において材料の熱的状態変化を起因として材料の溶解特性が変化する変質を起すことにより記録が行われることを特徴とする1)〜18)の何れかに記載の光記録媒体。
20) 材料の変質は、変質部分の溶解性が低下し溶け難い方向への変質であることを特徴とする19)記載の光記録媒体。
21) ガウス分布を示す光を照射して記録した際に、ガウス分布の中央部に対応する部分の有機熱受容層材料の量が、ガウス分布の外周部に対応する部分の有機熱受容層材料の量よりも少なくなり、有機熱受容層の膜厚が変化することを特徴とする1)〜20)の何れかに記載の光記録媒体。
22) 有機層をスピンコート法で成膜することを特徴とする1)〜21)の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
23) 任意の有機層(下の層)の上に次の有機層をスピンコートするに際し、次の層の有機材料の溶剤として、実質上、下の層を溶解しない溶剤を用いることを特徴とする22)記載の製造方法。
24) 任意の有機層(下の層)を目的の膜厚よりも厚く成膜し、その上に次の有機層をスピンコートする際に、次の有機層の塗布用溶剤で下の層の一部を溶解して流し去ることにより、目的の膜厚を得ることを特徴とする22)記載の製造方法。
25) 各有機層を成膜した後、ベーク処理を施すことを特徴とする22)〜24)の何れかに記載の製造方法。
26) 「時間×温度」が、500(秒・℃)以上の条件でベーク処理することを特徴とする25)記載の製造方法。
27) 親水性高分子からなる少なくとも一層の有機層を成膜後、架橋又は結晶化して耐水及び耐熱処理を施こすことを特徴とする1)〜21)の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明者は、従来の追記型光記録媒体の記録層に要求される光学定数と同程度の光学定数を得ることが困難な青色レーザ波長領域であっても、高密度化が図れ、かつ高変調度が得られる追記型光記録媒体の記録形状及びその記録原理について検討した結果、従来、熱発生層であり、かつ分解・変質に起因した屈折率(複素屈折率の実部)変化による変調度発生層として機能していた有機材料からなる記録層から、熱発生層としての機能と、変調度発生層としての機能を分離させることにより目的とする追記型光記録媒体を得ることに成功した。
即ち、本発明の光記録媒体では、有機光吸収層3が光吸収層として働くことにより、その熱的な影響を受けて、有機熱受容層5が、溶融、融解、分解、昇華等の熱的状態変化を起すか、膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等の形状変化を起すか、変質するか又は光学的に変化することにより記録が行われる。また、媒体にガウス分布を示す光を照射して記録することにより、主としてガウス分布の中央部に対応する部分の色素層材料の量がガウス分布の外周部に対応する部分の色素層材料の量よりも少なくなる形状変化によって変調度を発生させる。
【0011】
本発明1において、記録に直接関与する有機層とは、記録光を照射することにより記録に必要な光を吸収する光吸収層、該光吸収層からの熱的な影響を受けて溶融、融解、分解、昇華等の熱的状態変化を起すか、膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等の形状変化を起すか、変質するか又は光学的に変化する層、或いはこれらの層に挟まれて、これらの層と共に形状変化を起こす中間層などを意味する。
従って、基板、保護層、接着層、オーバーコート層、バックコート層などは含まない。
本発明の光記録媒体の構成の一例を、図1及び図2に基づいて説明する。図1は本発明の光記録媒体の層構成の一例を示す要部拡大断面図であり、図2は本発明の光記録媒体(光ディスク)の構成の一例を示す斜視図である。
これらの図から明らかなように、この光記録媒体は、片面に微細な凹凸状のプリフォーマットパターン2を有する透明基板1、有機光吸収層3、有機中間層4、有機熱受容層5、反射層10、保護層15がこの順に積層された構成を有する。
【0012】
透明基板1としては、例えばポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリメチルペンテン、エポキシ樹脂、ポリエステル、非晶質ポリオレフィンなどの透明樹脂材料(好ましくはガラス転移温度Tgが100〜200℃)を所望の形状に成形し、その片面に所望のプリフォーマットパターンを転写したものや、所望の形状に形成されたガラス等の透明セラミックス板の片面に所望のプリフォーマットパターンが転写された透明樹脂層を密着したものなど、公知に属する任意の透明基板を用いることができる。ディスク状光記録媒体(以下、光ディスクという)を構成する透明基板1は、図2に示すように、中心部にセンタ孔1aを有する円盤状に形成される。なお、透明基板1の作製は、公知の方法で行うことができる。
【0013】
プリフォーマットパターン2は、少なくとも記録・再生用レーザビームを記録トラックに追従させるためのビーム案内部を含んで構成される。
図1、図2の例では、ビーム案内部が、センタ孔1aと同心の渦巻状又は同心円状に形成された案内溝2aをもって構成されており、当該案内溝2aに沿って、アドレスピットやクロックピット等のプリピット2bが形成されている。
プリピット2bが案内溝2a上に重ねて形成される場合には、両者を光学的に識別できるようにするため、図1に示すように、案内溝2aとプリピット2bとをそれぞれ異なる深さに形成する。プリピット2bが相隣接する案内溝2aの間に形成される場合には、両者を同じ深さに形成することもできる。
なお、ビーム案内部としては、案内溝2aに代えて、ウォブルピットを記録トラックに沿って形成することもできる。また、プリピット2bを省略し、案内溝のみで形成しても良い。
【0014】
有機光吸収層3は、記録に用いる波長における吸光度が0.5以下となるように材料や膜厚を選択することが望ましい。吸光度が0.5より高いと光が吸収されてしまって反射率が低くなり、良好な記録ができ難くなる。
有機光吸収層3の材料の例としては、ポリメチン系色素、アントラキノン系色素、ダイオキシディン系色素、トリフェノジチアジン系色素、フェナントレン系色素、シアニン系色素、ジカルボシアニン系色素、フタロシアニン系色素、ナフタロシアニン系色素、メロシアニン系色素、ピリリウム系色素、ポルフィリン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素、アズレン系色素、含金属アゾ染料、アゾ染料、アゾ系色素、スクアリリウム系色素、ポリエン系色素、ベーススチリル系色素、ホルマザンキレート系色素、クロコニウム系色素、インジゴイド系色素、メチン系色素、スルファイド系色素、メタンジチオールレート系色素等を挙げることができ、中でも、シアニン誘導体、ジカルボシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、ナフタロシアニン誘導体、アゾ染料誘導体が特に好適に用いられる。また、アミニウム系色素などの各種クエンチャを添加した色素材料を用いることもできる。
【0015】
また、有機光吸収層を過飽和吸収色素で形成する場合は、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系等の色素が適している。これらは、例えばDTTC、HITC、IR−125、IR−140、IR─144(以上、EXCITON社製、商品名)として市販されている。これら色素のうちでは、ナフタロシアニン系色素が、分子吸光係数が大きく、しかも光学安定性が高いという点から好適である。なお、本発明で言う過飽和吸収色素とは、一定以上の光を吸収し、励起状態になると吸収率が0(零)となるような現象、即ち過飽和吸収現象を呈する色素材料のことを指す。
また、上記色素材料群より選択される1種又は2種以上の色素材料を樹脂中に分散して用いることもできる。
色素材料を分散可能な樹脂としては、アクリル樹脂、特にアクリレート系樹脂、ビニル樹脂、特にビニールアルコール系樹脂、ビニールアセテート系樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリウレタン樹脂、セルロース樹脂、脂肪酸系樹脂などを挙げることができる。樹脂の配合量は全体の50重量%以下とすることが好ましい。
【0016】
上記の樹脂として、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸、ポリプロピレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルナイトレート、ニトロセルロースなどの親水性樹脂を用いてもよく、その場合には、上記親水性樹脂の水溶液を、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面2にスピンコートして形成する。
なお、親水性樹脂を用いると、耐水性(耐湿性、透湿性)や耐熱性が悪いので、架橋処理や結晶化処理を施して耐水性や耐熱性を改善することが好ましい。具体的には、親水性樹脂の水溶液に架橋剤を添加し、有機光吸収層3を成膜した後に、光照射による架橋反応や加熱による架橋反応を起させたり、或いは架橋剤を添加することなく有機光吸収層3を熱処理して結晶化(例えば、親水性樹脂としてPVAを用いる場合には、変性PVA化する)させたりする。
【0017】
架橋処理と結晶化処理とを比較すると、加熱による悪影響を透明基板1に与えることがなく、かつ作業性にも優れていることから、架橋処理の方が好ましい。以下に、架橋反応の具体例を示すが、実施に際しては、これらの架橋反応の中から、必要に応じて任意の手段を選択することができる。
(1)架橋剤として重クロム酸アンモニウムを添加し、色素表面を処理すると同時に、成膜後に反応光を照射して有機光吸収層3に架橋反応を起させる方法。
(2)無機系架橋剤として、例えば銅、ホウ素、アルミニウム、チタン、ジルコニウム、スズ、バナジウム、クロム等を添加する方法。
(3)アルデヒドを用いてアセタール化する方法。
(4)水酸基をアルデヒド化する方法。
(5)活性化ビニル化合物を添加する方法。
(6)エポキシ化合物を添加してエーテル化する方法。
(7)酸触媒の存在下でジカルボン酸反応を起させる方法。
(8)コハク酸及び硫酸を添加する方法。
(9)トリエチレングリコール及びアクリル酸メチルを添加する方法。
(10)ポリアクリル酸及びメチルビニルエーテルマレイン酸共重合体をブレンドする方法。
【0018】
また、有機光吸収層3の材料としては、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、エステル、アミン、ウレア、硫黄化合物及びヒドロキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1つを用いることもできる。
更に、有機光吸収層3は、分解温度が160〜500℃の有機物質を含有することが望ましい。このような有機物質は、上記例示化合物の中から適宜選択すればよい。分解温度が160℃より低い場合は環境に対する熱的安定性が不十分となり、また、500℃より高い場合は熱的に変化しないため記録の阻害となる。有機光吸収層3の厚さは、1〜300nmが好適である。膜厚が1nmより薄いと吸収率が低下し光から熱への変換が不十分となる。また膜厚が300nmより厚い場合、体積が大き過ぎるため、形状変化や熱の伝達が不十分となる。
有機光吸収層3は単層でも重層でもよい。
【0019】
有機光吸収層3は、透明基板1のプリフォーマットパターン形成面に、例えば上記色素材料群より選択された色素材料の溶剤溶液をスピンコートして形成する。即ち、溝状のプリフォーマットパターン2内に色素材料を充填した後、プリフォーマットパターン2の間のランド部2cに付着した色素材料を選択的に除去し、透明基板1の表面を露出すると共に、プリフォーマットパターン2内にのみ色素材料を充填することによって形成できる。なお、色素材料の溶剤としては、20℃における比誘電率が80未満であり、色素材料を0.1重量%以上溶解させることができるものを用いるとよい。溶解能力が0.1重量%より小さいと膜厚を確保することが難しくなる。具体的にはアルコール系溶剤やセルソルブ系溶剤などを用いることができる。
【0020】
また、有機光吸収層3を形成するための比誘電率の小さい溶剤の例としては、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフロロプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などが挙げられる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独又は二種以上併用して適宜用いることができる。塗布液中には更に酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤など各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
【0021】
更に、二座配位を取り得るキレート剤を含有させて、色素の褪色防止を図ることもできる。このようなキレート剤としては、無機酸類、ジカルボン酸類、オキシカルボン酸類、ジオキシ化合物類、オキシオキシム類、オキシアルデヒド及び誘導体類、ジケトン及び類似化合物類、オキシキノン類、トロボロン類、N−オキシド化合物類、アミノカルボン酸及び類似化合物類、ヒドロキシルアミン類、オキシン類、アルジミン類、オキシアゾ化合物類、ニトロソナフトール類、トリアゼン類、ピウレット類、ホルマザン類及びジチゾン類、ビクアリド類、グリオキシム類、ジアミン及び類似化合物類、ヒドラジン誘導体類、チオエーテル類などが挙げられる。
更に、イミノ基を有する誘導体も使用可能である。
【0022】
有機光吸収層3の成膜に際し結合剤を使用する場合の結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴムなどの天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂;ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂;ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物などの合成有機高分子を挙げることができる。
結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1〜5倍量(質量比)の範囲にある。
このようにして調製される塗布液の濃度は、一般に0.01〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1〜5質量%の範囲にある。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、スクリーン印刷法などを挙げることができる。
【0023】
有機中間層4は、20℃における比誘電率が80以上の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の有機材料を用いて成膜するとよい。比誘電率が80以上の溶媒としては水、炭酸エチレン、ホルムアミドなどが挙げられる。
有機材料の具体例としては、ポリビニルアルコール、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸、ポリプロピレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルナイトレート、ニトロセルロースなどの親水性樹脂が挙げられる。
成膜は、親水性樹脂の水溶液を、有機光吸収層3上にスピンコートすることによって行うことができる。
しかし、親水性樹脂よりなる有機中間層4は、耐水性(耐湿性、透湿性)及び耐熱性が悪いため、架橋処理や結晶化処理を施して、耐水性及び耐熱性を改善することが好ましい。そのための手段は、前述した有機光吸収層3の場合と同様である。
【0024】
また、芳香族化合物、脂肪族化合物、アミド、エステル、アミン、ウレア、硫黄化合物及びヒドロキシ化合物からなる群から選択される少なくとも1つのもの;アントラキノン系、ダイオキシディン系、トリフェノジチアジン系、フェナントレン系、シアニン系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、メロシアニン系、ピリリウム系、キサンテン系、トリフェニルメタン系、クロコニウム系、アゾ系、インジゴイド系、メチン系、アズレン系、スクアリウム系、スルファイド系及びメタンジチオールレート系の色素からなる群から選択される少なくとも1つの色素;これらの色素に対し、ビニールアルコール系樹脂、ビニールアセテート系樹脂、アクリルレート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、セルロース系樹脂及び脂肪酸系樹脂からなる群から選択された少なくとも1つの高分子物質を50重量%以下の割合で含有するものを使用することもできる。
有機中間層4についても、記録に用いる波長における吸光度が0.5以下となるように材料や膜厚を選択することが望ましい。吸光度が0.5より高いと光が吸収されてしまって反射率が低くなり、良好な記録ができ難くなる。
【0025】
有機光吸収層3及び有機中間層4の成膜に於いては、例えば、有機光吸収層3の上にスピンコート法により、有機中間層4を積層する場合を想定すると、両層が同じ溶媒に対して同じ溶解度を示すと、有機中間層4をコートする際に有機光吸収層3が溶解して膜が壊されてしまうので、有機中間層4を成膜するためには、有機光吸収層3が実質上溶解しない溶媒を用いて有機中間層4をスピンコートする必要がある。ここで、「実質上溶解しない」とは、仮に多少溶解したとしても目的とする膜厚に影響を与えない程度をいう。
しかし、実際には、全く溶解しないようにしたり、目的とする膜厚の範囲に収まる程度の溶解度に抑えることは難しいので、有機光吸収層3を目的とする膜厚よりも厚く成膜し、有機中間層4の塗布用溶剤により有機光吸収層3の一部を溶解して流し去ることにより、目的の膜厚とする方法を採用することもできる。
具体的には、何れかの有機層を20℃における比誘電率が80未満の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなる層とし、他の有機層を20℃における比誘電率が80以上の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなる層とする方法がある。
ここで、両層の材料は、同一の溶媒に対してある程度以上の溶解度差を有する必要があるが、溶解度は溶媒と材料の組み合わせによって変化するため、種々の材料と溶媒を用いることが可能な本発明においては、溶解度差を数値などにより論理的に限定することはできない。
【0026】
また、各有機層は、エタノールの沸騰時に30ml/gより低い溶解度を示す有機材料により成膜する必要がある。30ml/gより溶解度が高いとスピンコーティング法により積層する際、膜が流れ出してしまう。
更に、各有機層の成膜後にベーク処理を施すことが好ましく、その条件としては、「時間×温度」が500(秒・℃)以上とする。これよりも「時間×温度」の値が小さいと、積層の際に水や溶媒が残り、塗布むらが発生したり、材料が流れ出してしまう。
なお、上記成膜手段及び各有機層に要求される物性条件は、後述する有機熱受容層5などの他の有機層の場合も同様である。
【0027】
有機熱受容層5には、有機光吸収層3と同じ材料及び溶媒を使用することができる。また、有機光吸収層3と同系列の異なる色素又は全く異なる色素を使用することもできる。有機光吸収層3と同じ材料を使用する場合には、吸光度を0.5以下とすること、分解温度が160〜500℃の有機物質を含有することが望ましいが、同系列の異なる色素又は全く異なる色素を使用する場合は、このような条件を考慮する必要はない。
なお、当然ながら、有機光吸収層3と有機熱受容層5とは機能が異なるから、同じ材料を用いることができるといっても、膜厚を変えるなどして、それぞれの機能を果たすことができるようにする必要がある。即ち、有機光吸収層3には、記録光を吸収して発熱し、有機熱受容層5に熱的状態変化や形状変化などを起させることが可能な有機材料や膜厚を選択する必要があり、有機熱受容層5には、有機熱受容層5単独の光吸収機能では、有機熱受容層5の熱的状態変化や変形を起すことができない有機材料や膜厚を選択する必要がある。
【0028】
有機熱受容層5は、有機光吸収層3が光吸収層として働くことにより熱的な影響を受けて溶融、融解、分解、昇華等の熱的状態変化を起すか、膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等の形状変化を起すか、変質するか又は光学的に変化する。
通常、有機熱受容層5はガウス分布を示す光を照射して記録を行った際に、ガウス分布の中央部に対応する部分の色素層材料の量がガウス分布の外周部に対応する部分の色素層材料の量より少なくなる形状変化を起す。
有機熱受容層5以外の他の層の形状変化の種類を以下に示す。
基板1は、図3に示すように隆起する場合、図4に示すように形状変化しないか又は一時的に変化して最終的に形状変化なしの形となる場合、図5、図7、図8に示すように陥没する場合がある。
基板上に積層された有機光吸収層3は、図10に示すように基板と反対の方向に隆起する場合、図3に示すように基板側が凹状に形状変化する場合、図4に示すように内部に空洞を有する場合、図5に示すように基板側に陥没する場合、図7に示すように基板と反対側が凹状に形状変化する場合、図8に示すように膨潤する場合がある。また、図9に示すように有機光吸収層3の膜厚が0(ゼロ)又は殆んど0(ゼロ)になる場合もある。なお、図9では膜厚が完全に0(ゼロ)の場合を示しているが、実際上は、完全に消失せず一部が残る場合もあるので、そのような場合を「殆ど0(ゼロ)になる場合」と表現した。更に、図7に示すように基板と有機光吸収層3の間に空洞が形成される場合もある。
【0029】
有機光吸収層3上に積層された有機中間層4は、図8に示すように基板と反対の方向に隆起する場合、図10に示すように基板側が凹状に形状変化する場合、図3に示すように内部に空洞を有する場合、図5に示すように基板側に陥没する場合、図4に示すように基板と反対側が凹状に形状変化する場合、図6に示すように膨潤する場合がある。また、図7に示すように有機光吸収層3と有機中間層4の間に空洞が形成される場合もある。
有機中間層4上に積層された有機熱受容層5は、図8に示すように基板と反対の方向に隆起する場合、図6に示すように基板側が凹状に形状変化する場合、図5に示すように内部に空洞を有する場合、図4に示すように基板側に陥没する場合、図10に示すように基板と反対側が凹状に形状変化する場合、図11に示すように膨潤する場合がある。また、図7に示すように有機中間層4と有機熱受容層5の間に空洞が形成される場合もある。
【0030】
反射層10の形状変化は、図11に示すように層の上下が基板と反対側に隆起する場合、図3に示すように基板と反対側に凸状に形状変化する場合、図4に示すように基板側に凸状に形状変化する場合、図10に示すように基板側に陥没する場合がある。
基板、有機中間層4、有機熱受容層5、反射層10の形状変化は、それぞれ独自に組み合わせることができる。その際、各界面での形状変化が逆方向の場合には、図7に示すように界面に空洞が形成される。
また、反射層10が形状変化しない場合には、記録層を多層化することが可能となる。なお、ここでいう形状変化しない場合とは、全く形状変化しない場合だけでなく、再生用レーザ光を照射して情報を再生する際に、反射光量に実質的な影響を与えない程度の僅かな形状変化を起している場合も含むものとする。
【0031】
次に有機光吸収層3、有機熱受容層5に含まれる色素材料の変質について説明する。
色素材料は、隣接する層より熱を受け取るか又は色素自身が光を吸収し、その一部又は全部が分解、溶融、昇華等の熱的状態変化を起す。その結果、通常、色素材料は変質し、有機熱受容層5の場合、変質部分は反射層10に癒着し、有機熱受容層5を境目として剥離した際、変質部は反射層10に非変質部は有機層にそれぞれ優先的に密着して剥離される。
本系では反射層/有機熱受容層界面が反射の担い手であるため、反射層界面に変質した色素材料が癒着することは、その部分からの反射光を制御する意味で重要である。
また、逆に変質により密着性が変わり、非変質部分が反射層10に癒着し有機熱受容層5を境目として剥離した際、非変質部は反射層に変質部は有機層にそれぞれ優先的に密着して剥離される場合もある。この場合は記録後に反射率が増加することがある。
【0032】
また、変質の様子や範囲を確認しながら、記録パワー、記録パルスの長さ、種類を決める必要がある。変質部の色素はその構造が破壊されているため、溶解性が変化する。その変化は、溶け難い方向に変化する場合と、色素が分解して低分子化し溶解性が上がる、つまり溶け易い方向に変化する場合がある。溶解性の変化について変質部と非変質部とで差が生じれば変質の範囲を確認することができる。
本発明者の検討によれば、変質部の溶解性が下がり、溶け難い方向に変質することが、色素の溶融、分解、昇華などの熱的状態変化に伴う光学的特性の変化である反射率の低下の方向と一致し好適であった。
【0033】
溶解性の確認に際しては、直接、変質部と非変質部に溶媒を浸透させ、溶解性を比較する。用いる溶媒としては、例えば、酢酸ブチル、セロソルブアセテートなどのエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルムなどの塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミドなどのアミド;シクロヘキサンなどの炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサンなどのエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコールなどのアルコール;2,2,3,3−テトラフルオルプロパノールなどのフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類などを挙げることができる。上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で又は二種以上併用して適宜用いることができる。
【0034】
変質は、ガウス分布を示す光を照射して記録を行ったとき、記録のため光強度を高くした範囲、いわゆる記録マーク領域の有機熱受容層5で起きる。
記録マーク領域は、以下のスポット径rを有する光を照射し移動することで得られる範囲である。
ここで、記録スポット径rとは、r=λ/NA×0.82(λは記録に用いる波長、NAはレンズの開口率)で表される範囲であり、この範囲の場合、信号はジッターの少ない良好な記録となる。これは、1/e(=0.82)の強さで定義する範囲である。
また、r=λ/NAの場合でも、有機熱受容層5の膜厚を制御することでジッターの少ない良好な記録を達成することができる。
また、r=λ/NA×1.22の場合には、未記録部分の反射率を低下させることができ、未記録部分の反射率も制御することが出来る。これはいわゆるエアリー像の範囲であり、本系においてはエアリー像の範囲に影響が及んでいる場合がある。
【0035】
本発明では特に記録後の未記録部の見掛け上の光学特性の変化量が、記録前の未記録部の光学特性の値に対して相対値で±50%以内となるように設定することが好ましく、このことにより、未記録部の反射率が記録により変化しないため、記録領域と非記録領域で反射率の変動によるトラックオフなどが起きなくなる。
有機熱受容層5は、膜厚が5nmより薄いと熱の吸収が十分でなく、形状変化や変質が不十分となる。また、膜厚が200nmより厚いと体積が大きいため形状変化が抑えられたり、熱的な影響を受けて光学的に変化できない部分が生じるようになるため問題である。
【0036】
反射層10に用いる材料には特に限定はないが、アルミニウム、銀、銅などの金属又はこれらを主成分とする合金を使用することができる。特に、銀又は銀を主成分とする合金を用いることが好適である。ここで、銀を主成分とするとは、銀の含有率が80〜100原子%、好ましくは90〜100原子%であることを意味する。また、安価であり且つコンパクトディスクにおいて使用された実績があることから、アルミニウムを使用することもできる。
このような反射層10は、スパッタリングや真空蒸着などの真空成膜方法によって形成することができる。この場合、真空槽内の真空度を変えて(例えば、10〜5torr程度)スパッタリングを行い、密度又は結晶化の状態の違う膜を形成して反射層の反射率を高くする技術を適用することもできる。
【0037】
保護層15は、例えばSiO、SiN、AlN等の無機材料や、光硬化性樹脂などの有機材料を用いて形成することができる。
無機保護層は、真空成膜法によって形成することができ、有機保護層は、反射層10上に光硬化性樹脂膜(例えば、大日本インキ化学工業社製のSD1700、SD318、SD301)をスピンコートした後、樹脂硬化光を照射することによって形成できる。
また、高密度化を図るために、高NAのレンズを用いる場合、保護層を光透過性とする必要がある。
例えば高NA化すると、再生光が透過する部分の厚さを薄くする必要がある。これは、高NA化に伴い、光学ピックアップの光軸に対してディスク面が垂直からズレる角度(いわゆるチルト角、光源の波長の逆数と対物レンズの開口数の積の2乗に比例する)により発生する収差の許容量が小さくなるためであり、このチルト角が基板の厚さによる収差の影響を受け易いためである。
従って、基板の厚さを薄くしてチルト角に対する収差の影響をなるべく小さくするようにする必要がある。
【0038】
そこで、例えば基板上に凹凸を形成して記録層とし、その上に反射層を設け、更にその上に光を透過する薄膜である光透過性の保護層を設けるようにし、保護層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体や、基板上に反射層を設け、その上に有機熱受容層、有機中間層、有機光吸収層をこの順に設け、更にその上に光透過性を有する保護層を設けるようにし、保護層側から再生光を照射して記録層の情報を再生するような光記録媒体が提案されている。
このようにすれば、カバー層を薄型化していくことで対物レンズの高NA化に対応可能である。つまり、薄いカバー層を設け、このカバー層側から記録再生することで、更なる高記録密度化を図ることができる。
なお、このような保護層は、ポリカーボネートシートや紫外線硬化型樹脂により形成する方法、又は、厚さ70μmのシートを厚さ30μmの接着剤で固定する方法が一般的である。合計の厚みは0.1mm程度が好適である。
また、実施の態様としては、必要に応じて有機光吸収層を有機中間層で挟んだ、有機中間層、有機光吸収層、有機中間層の構成を取ることも可能であるし、更に、有機光吸収層、有機中間層、有機光吸収層、有機中間層、有機光吸収層、有機中間層の様に多層化することも可能である。
【0039】
図14は本例の光記録媒体の要部拡大断面図である。この図から明らかなように、本例の光記録媒体は、反射層10と有機熱受容層5を、第二有機中間層7を介して積層している。
第二有機中間層7は、反射層10と有機熱受容層5との密着性や記録感度の改善、又は各層の保護等のために設けられるものであって、有機光吸収層3と同種の材料を使用することができる。
第二有機中間層7の材料として親水性樹脂を選択した場合には、有機光吸収層3の場合と同様に、耐水性及び耐熱性を改善するため、スピンコートされた第二有機中間層7に、架橋処理や結晶化処理を施すことが好ましい。架橋処理及び結晶化処理は、前述した有機光吸収層の場合と同様の方法で行うことができる。
【0040】
ディスク形態の場合には、有機熱受容層5を内側に挟む形で2枚の基板を貼り合わせた構造を取ることができる。また、2枚の基板を貼り合せない、いわゆる単板の構造を取ることもできる。
上記の何れの形態でも、有機光吸収層3を色素材料により成膜した場合、有機熱受容層5を積層するためには、有機中間層4を介して有機光吸収層3に影響を与えないように積層する必要がある。具体的には、有機光吸収層3と有機熱受容層5の間に有機中間層4を設け、有機光吸収層3と有機熱受容層5の材料を20℃における比誘電率が80未満の溶剤に溶解してスピンコートし、有機中間層4の材料を20℃における比誘電率が80以上の溶剤に溶解してスピンコートすることにより成膜するとよい。
それぞれの溶剤としては、前述したものを使用することができる。これにより各層で比誘電率の異なる溶剤を用いて積層するため、相互の影響を少なくして積層することができる。
【0041】
更に、必要に応じて接着層、保護層を設けた2枚の基板を貼り合わせた構造を取ることもできる。これらの2枚の基板は、それぞれが記録層を有しており、光ビームをどちらか一方の基板から照射することによって、それぞれの記録層に情報の記録を行い、光ビームを照射する側の基板、有機光吸収層3、有機中間層4及び有機熱受容層5が上記光ビームのうち40%以上を透過する構成としてもよい。
また、ディスク形態として、1枚の基板上に記録層を2層以上設けることも可能である。このとき、光ビームを基板側から照射することによって、それぞれの記録層に情報の記録を行ってもよいし、光ビームを基板と反対側から照射することによって、それぞれの記録層に情報の記録を行ってもよい。
上記のように、光ビームをある一方向から照射して複数の記録層に情報の記録を行うような場合、光ビーム入射側の記録層と、その反対側の記録層とが異なる膜厚を有していてもよい。
また、光ビーム入射側の層の主成分となる材料と、その反対側の層の主成分となる材料とは、同一でも異なっていてもよい。
【0042】
光記録媒体のアドレス情報等をプリフォーマット信号として基板に予め形成させることができる。そのための形態としては、凹又は凸形状のエンボスピット方式、或いは、情報に応じてグルーブ部やランド部の幅を変調するウォーブル方式が可能である。ウォーブル方式としては、グルーブ部の内周側又は外周側の一方の側面若しくは両方の側面を蛇行させる方式を採用することができる。
本系における有機光吸収層3と有機熱受容層5との役割は以下の通りである。媒体にレーザを照射すると、まず有機光吸収層3が熱的状態変化やガラス転移を起す温度に到達する。次いで、有機熱受容層5の温度が融点に達し形状変化が可能となる。このとき、有機光吸収層3の形状変化が膜厚変化を伴うような場合には、膜厚の違いによって反射率が異なるため、再生信号強度を大きくとることができる。
【0043】
本発明の光記録媒体は、片面2層記録再生可能な媒体とすることもできる。
その構成は、2枚の基板にそれぞれ記録層及び記録補助層を形成し、両者を透明な材料で貼り合わせ、どちらか一方の基板側からレーザ光を入射し、両方の記録層に対して情報の記録及び再生を行うものである。貼り合わせ材料としては、紫外線硬化樹脂、両面テープなど平坦性の良好なものを用いる。
また、本発明の光記録媒体は、1枚の基板上に2層の記録再生可能な層を形成した媒体とすることもできる。その構成は、1枚の基板に2層の記録層及び記録補助層を形成して、基板側或いは基板と反対側からレーザ光を入射し、両方の記録層に対して情報の記録及び再生を行うものである。これらの場合において、記録再生用のレーザ光が入射する側の基板に形成された記録層及び記録補助層を第1層、反対側の層を第2層と呼ぶ。第2層に情報を記録したり、第2層の情報を再生するためには、第1層は記録再生用レーザ光の少なくとも一部を透過しなければならない。
【0044】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0045】
実施例1
図1及び図2に示すプリフォーマットパターンを有するポリカーボネート基板上に、1,4−ビス(5′−フェニルオキサザール−2′−イル)ベンゼン、1,4−ビス(4′−メチル−5′−フェノキサゾール−2′−イル)ベンゼン、4,4′−ビス(2′−スルホスチリル)ビフェニル、2,5−ビス(5′−メチルベンゾオキサゾール−2′−イル)チオフェンの何れかと下記〔化1〕の材料の混合物よりなる膜厚60nmの有機光吸収層をスピンコート法で成膜した。
【化1】
Figure 2004095142
用いた溶媒の比誘電率は以下のようである。
溶媒          比誘電率
メタノール       33.1(25℃)
エタノール       23.8(25℃)
2−プロパノール    18.3(25℃)
成膜後の波長λ=450nmにおける吸光度は0.35であった。
この有機光吸収層の上に、ポリビニルアルコール4%水溶液に重クロム酸アンモニウム(架橋剤)を添加したものをスピンコートして膜厚60nmに成膜し、乾燥したのち紫外線照射による架橋処理を行って有機中間層とした。用いた水の比誘電率は80(20℃)である。
有機光吸収層の色素は比誘電率が80の水に僅かに溶解し膜厚が減少する。この場合は吸光度が0.25まで低下した。
また、ポリビニルアルコールに代えて、ポリエチレンオキシド、ポリアクリル酸、ポリスチレンスルホン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、ポリメタクリル酸、ポリプロピレングリコール、メチルセルロース、ポリビニルナイトレート、ニトロセルロースを用いても同様な効果を得ることができた。
以上の様に有機光吸収層、有機中間層を成膜した後、同時に100℃で5秒以上ベーク乾燥した。
次に、有機中間層の上に、下記〔化2〕で示される色素からなる層をスピンコート法によって形成し(平均膜厚100nm)、有機熱受容層を形成した。
この有機熱受容層上にAgを膜厚100nmスパッタし反射層とした。
反射層上に大日本インキ化学工業社製のSD1700(熱伝導率1.0以下)を膜厚5μmで積層し保護層とした。
【0046】
【化2】
Figure 2004095142
【0047】
上記光記録媒体に対し、パルステック工業社製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.65)を用いて、下記の条件で記録を行なったところ、短マーク、長マークとも、変調度が充分大きく、非常に明瞭な信号が得られた。
Figure 2004095142
上記の記録条件は記録媒体の記録部を観察しながら決定した。具体的には、有機熱受容層を境目として媒体を剥離し光学顕微鏡で観察したところ、変質部の色素材料が反射膜に優先的に癒着し、非変質部は有機中間層側に優先的に癒着していた。
更に、有機熱受容層を境目として剥離された反射膜及び有機中間層にエタノールを滴下し、変質の範囲を測定し、その結果を記録条件に反映させることにより、上記の記録条件を見出した。
ランドに記録した場合の記録部の断面の様子を図12に、グルーブに記録した場合の記録部の断面の様子を図13に示す。図12及び図13から分るように、本実施例では、有機熱受容層の記録スポットの中央部の色素量が低下し、「101」の×印で示した個所の色素層が、外観上コークスの様になり溶解特性が変わる変質が見られた。
ここで、用いた記録スポット径rとは、r=λ/NA×1.22(エアリー像)で表される範囲である。
記録部の形状や記録部の変質の程度を、上記変質の確認方法により確認することにより、未記録部の反射率を100とした場合の記録部の反射率を10〜250の範囲で任意に調整できる。
【0048】
図15は本ディスク製造のフローチャートであり各工程は公知であるが、簡単に説明すると以下の通りである。なお、S12のハードコート層形成工程は、必要に応じて行えばよい。
S1:ガラス円盤を研磨、洗浄する。
S2:シランコートを行う。
S3:ガラス円盤上にフォトレジストをスピンコートし、所定の膜厚を有するレジスト層を形成する。
S4:溶剤をとばすためプリベークを行う。
S5:集光レンズを介してレジスト層にレーザーを照射する(カッティング)。
S6:この露光済みガラス円盤を現像処理する。
S7:レジストをTg以上に加熱し溝形状を整形する(第一ベーク)。
S8:パターンの固化のためベークを行う(第二ベーク)。
S9:蒸着、メッキを行う。
S10:ガラス円盤の凹凸面に金属膜を形成し、該金属膜を剥離することによりスタンパを作成する。
S11:スタンパを用いて射出成形を行い、所定の膜厚を有するレプリカを形成する。
S12:透明基板の片側にスピンコート法によりハードコート層を形成する。
S13:透明基板の片面に必要に応じてスピンコート法により有機光吸収層を形成する。
S14:有機光吸収層の上にスピンコート法により有機中間層を形成する。
S15:有機中間層の上に有機熱受容層を形成する。
S16:有機熱受容層の上に反射層を形成する。
S17:必要に応じて保護層などの他の層を積層し、ディスク単板とする。(単板のままで使用する場合)
S18:必要に応じて保護層などの他の層を積層して得られる単板ディスクを2枚貼り合わせて両面ディスクとする。
S19:ディスクをカートリッジに収納する。
S20:特性の評価を行う。
このフローチャートにおいて、S7とS8の工程は同時に行うこともできる。また、S7工程の溝形状の整形は、加熱温度90〜180℃、時間5〜90分の範囲から任意に選択できる。
【0049】
実施例2
有機光吸収層の材料として、NK1342、NK1977、NK1886、NK1819、NK1331、NK1837、NK863、NK3212、NK88、NK3989、NK1204、NK723、NK3984(何れも日本感光色素社製)の何れかの色素を用いた点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、明瞭な信号が得られた。
【0050】
実施例3
有機光吸収層の材料として、下記〔化3〕〜〔化6〕の化合物の何れかを用いた点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、何れも明瞭な信号が得られた。
【化3】
Figure 2004095142
【化4】
Figure 2004095142
【化5】
Figure 2004095142
【化6】
Figure 2004095142
【0051】
実施例4
有機光吸収層の材料として、下記〔化7〕の化合物とフタロシアニンNi錯体の混合物を用いた点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、明瞭な信号が得られた。なお、フタロシアニンはポルフィリン環内にある二重結合の共役に起因する、HOMOからの遷移ではない、B帯(soret帯)の吸収を利用して記録を行った。
【化7】
Figure 2004095142
【0052】
実施例5
有機光吸収層の材料として、下記〔化8〕の化合物と1−フェニルアゾ−2−アンスラミンの混合物を用いた点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、明瞭な信号が得られた。
【化8】
Figure 2004095142
(式中、X,Y=H)
【0053】
実施例6
有機熱受容層の材料として、下記〔化9〕のシアニン色素と〔化10〕のメロシアニン色素の混合物を用いた点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、明瞭な信号が得られた。
【化9】
Figure 2004095142
【化10】
Figure 2004095142
【0054】
実施例7
有機熱受容層の材料として、シアニン色素の1種である、テトラβ−(1−ベンズイミダゾリル)フタロシアニンと、メロシアニン色素の1種である、バナジル5,14,23,32−テトラフェニル−ナフタロシアニンとの混合物を用いた点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、何れも明瞭な信号が得られた。
【0055】
実施例8
有機熱受容層の材料として、下記一般式〔化11〕で示されるアゾ染料の1種であるR〜R=Hの化合物を用いた点以外は、実施例1と同様にして追記型光記録媒体を作製し、実施例1と同様の記録を行ったところ、何れも明瞭な信号が得られた。
【化11】
Figure 2004095142
【0056】
実施例9
図1及び図2に示すプリフォーマットパターンを有するポリカーボネート基板上に、下記〔化12〕で示される基本骨格を有し、中心金属MがVO、Zn、Pd、Coの何れかであり、4個のRがC−(CFC−O−である4種のフタロシアニン化合物の等量混合溶液を用いてスピンコート法により成膜し、平均膜厚100nmの有機光吸収層を形成した。
【化12】
Figure 2004095142
この有機光吸収層の上に、ポリビニルアルコールの4重量%水溶液に重クロム酸アンモニウム(架橋剤)を添加したものをスピンコートして膜厚60nmに成膜し、乾燥したのち紫外線照射による架橋処理を行って有機中間層を形成した。用いた水の比誘電率は80(20℃)である。
次に、電子供与性呈色剤GN609と電子受容性顕色剤BHPE{1,1′−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン}とを重量比で略1:2に混合したサーモクロミック材料と、電子供与性呈色剤GN609の1〜2倍(重量で)のアクリレート系樹脂前駆体〔エチル−α−(ヒドロキシメチル)アクリレート〕をエチルセロソルブに溶解させ、スピンナー法で有機中間層上に塗布して膜厚100nmの有機熱受容層を成膜した。電子供与性呈色剤GN609は、約5重量%になるように溶解させた。
次に、脂環式炭化水素樹脂(日本ゼオン社製:商品名クイントン1325)をデカヒドロナフタレンに10〜20%溶解し、スピンコート法で有機熱受容層上に製膜して膜厚100nmの保護層を形成した。
続いて、有機熱受容層を約80℃で10分程乾燥させ、冷却後、フォトポリマー(SD1700:大日本インキ社製)を接着剤として紫外線硬化法で透明基板を接着し光記録媒体を得た。有機熱受容層上に直接フォトポリマーを製膜すると、有機熱受容層がフォトポリマーに溶解してしまうため、保護層として脂環式炭化水素樹脂膜を設けた後、フォトポリマーを製膜した。
なお、ここでいうサーモクロミック材料とは、レーザー光の照射光強度が強くなると温度が高くなり光透過率が上がる材料を意味する。
【0057】
上記光記録媒体に対し、パルステック工業社製の光ディスク評価装置DDU−1000(波長:405nm、NA:0.85)を用いて、以下の条件で記録を行なった。
Figure 2004095142
その結果、有機光吸収層において超解像現象が誘発され、有機光吸収層が無い場合は、ピット長が0.24μmであるのに対して、有機光吸収層が有る場合はピット長0.10〜0.18μmという小さなピットを形成する事ができた。
【0058】
実施例10
下記〔化13〕で示されるフォトクロミック色素をポリスチレン樹脂と混合し、シクロヘキサノンに溶解してスピンコートし、膜厚300nmの有機光吸収層を形成した点以外は、実施例9と同様にして光記録媒体を得た。
この媒体に対し、実施例9と同様にして記録を行ったところ、有機光吸収層において超解像現象が誘発され、有機光吸収層が無い場合は、ピット長が0.24μmであるのに対して、有機光吸収層が有る場合は、ピット長0.09〜0.15μmという小さなピットを形成する事ができた。
【化13】
Figure 2004095142
【0059】
実施例11
過飽和吸収色素であるビス(トリ−n−ヘキシルシロキシ)ケイ素ナフタロシアニン(SINC)と、マトリックス材料となるポリフェニルメタクリレート(PPhMA)を、SINC:PPhMA=1:5(重量比)の組成比でシクロヘキサノンに溶解したスピンコート溶液を用いて膜厚100nmの有機光吸収層を形成した点以外は、実施例9と同様にして光記録媒体を得た。
この媒体に対し、実施例9と同様にして記録を行ったところ、有機光吸収層において超解像現象が誘発され、有機光吸収層が無い場合は、ピット長が0.24μmであるのに対して、有機光吸収層が有る場合は、ピット長0.1〜0.15μmという小さなピットを形成する事ができた。
【0060】
なお、上記実施例においては、ディスク状記録媒体を例にとって説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばカード状、スティック状、テープ状などの、他の形態の追記型光記録媒体にも応用できることは勿論である。
また、有機光吸収層を特定の波長に吸収を有する材料とし、有機熱受容層を有機光吸収層とは異なる波長に吸収を有する材料を用いることにより波長多重3D記録を行うこともできる。
また、各層にフォトクロミック材料を含有させることもでき、これにより各層独自に書き換え記録を行うことも可能である。
このようなフォトクロミック材料としては、アゾ系、トリフェニルメタン系、チオインジゴ系、スピロピラン系、フルギド系、ジアリールエテン系、ナフトピラン系各色素、チオニン−トリエタノールアミンをPVA中に分散したものなどが挙げられる。
以上、本発明の実施例から、本発明の光記録媒体の層構成と記録原理が、青色レーザ波長対応の有機材料からなる追記型光記録媒体、更には高変調度が確保できる追記型光記録媒体の実現に非常に有効であることが確認できた。
【0061】
【発明の効果】
本発明1〜25によれば、青色レーザ波長領域、特に405nm近傍の波長領域であっても記録可能な、有機材料からなる光記録媒体、また、高密度化が図れ、変調度が大きく、更には、記録再生波長の変動に対し、記録感度、変調度、ジッタ、エラー率といったような記録特性や、反射率等の変化が少ない良好な記録が可能な光記録媒体、及びその製造方法を提供できる。
更に、各発明は次のような効果を奏する。
本発明1〜5及び22〜23によれば、安価なスピンコート法を用いて成膜することができる。
本発明6によれば、材料が積層の際のスピンコートで流されることが無く良好に積層することができる。
本発明7〜8によれば、感度の高い記録ができる。
本発明9によれば、書き換え可能な記録を行うことができる。
本発明10によれば、耐久性を高くできる。
本発明11によれば、高い反射率を得ることができる。
本発明12〜14によれば、面内の密度を上げて容量の増加を図ることができる。
本発明15〜17によれば、変調度の大きい記録ができる。
本発明18によれば、記録層を多層化できる。
本発明19によれば、反射光の減少により、一層良好な記録ができる。
本発明20〜21によれば、記録前後のコントラストを向上できる。
本発明24によれば、容易に目的の膜厚を得ることができる。
本発明25〜26によれば、下の有機層が流されること無く良好に積層することができる。
本発明27によれば、安定性に優れた光記録媒体を製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光記録媒体の層構成の一例を示す要部拡大断面図。
【図2】本発明の光記録媒体(光ディスク)の構成の一例を示す斜視図。
【図3】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図4】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図5】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図6】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図7】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図8】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図9】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図10】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図11】本発明の光記録媒体の記録状態を示す要部拡大断面図。
【図12】ランドに記録した場合の記録部の有機光吸収層と有機熱受容層の変質の様子を示す要部拡大断面図。
【図13】グルーブに記録した場合の記録部の有機光吸収層と有機熱受容層の変質の様子を示す要部拡大断面図。
【図14】本発明の光記録媒体の層構成の他の例を示す要部拡大断面図。
【図15】本発明の光記録媒体(光ディスク)製造のフローチャート。
【符号の説明】
1 透明基板
1a センタ孔
2 プリフォーマットパターン
2a 案内溝
2b プリピット
2c ランド部
3 有機光吸収層
4 有機中間層
5 有機熱受容層
10 反射層
15 保護層
7 第二有機中間層
101 色素の変質した部分

Claims (27)

  1. 3層以上の互いに隣接した有機材料を主成分とする有機層を有し、そのうちの少なくとも2層が記録に直接関与することを特徴とする光記録媒体。
  2. 有機光吸収層、有機中間層、有機熱受容層を一組の記録層として、このような記録層が一組以上積層されていることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  3. 基板上に、有機光吸収層、有機中間層、有機熱受容層をこの順に有し、更に、直接又は第二有機中間層を介して反射層を有することを特徴とする請求項2記載の光記録媒体。
  4. 3層以上の互いに隣接した有機層として、20℃における比誘電率が80未満の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなる層と、20℃における比誘電率が80以上の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなる層が交互に積層されていることを特徴とする請求項1記載の光記録媒体。
  5. 有機光吸収層及び有機熱受容層が、20℃における比誘電率が80未満の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなり、有機中間層が、20℃における比誘電率が80以上の溶剤に対する溶解度が0.1重量%以上の材料からなることを特徴とする請求項2又は3記載の光記録媒体。
  6. 少なくとも一つの有機層が、エタノールの沸騰時に30ml/gより低い溶解度を示す有機材料からなることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の光記録媒体。
  7. 少なくとも一つの有機層が、分解温度が160〜500℃の有機物質を含有していることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の光記録媒体。
  8. 有機物質が、シアニン系、フタロシアニン系、ポルフィリン系、メロシアニン系、アゾ系、ナフタロシアニン系、スクアリリウム系、ポリエン系、ベーススチリル系、及びホルマザンキレート系の色素からなる群より選択される少なくとも1つの色素を含むことを特徴とする請求項7記載の光記録媒体。
  9. 有機物質がフォトクロミック色素であることを特徴とする請求項6記載の光記録媒体。
  10. 少なくとも一つの有機層が親水性高分子からなり、架橋又は結晶化により耐水及び耐熱処理が施こされていることを特徴とする請求項1〜9の何れかに記載の光記録媒体。
  11. 少なくとも一つの有機層が、記録再生に用いる波長における吸光度が0.5以下となる材料及び膜厚からなることを特徴とする請求項1〜10の何れかに記載の光記録媒体。
  12. 有機光吸収層が、サーモクロミズムを示す材料を含有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体。
  13. 有機光吸収層が、フォトクロミズムを示す材料を含有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体。
  14. 有機光吸収層が、過飽和吸収性を示す材料を含有することを特徴とする請求項1〜11の何れかに記載の光記録媒体。
  15. 光ビームの照射により、少なくとも一つの有機層が形状変化(膨張、陥没、空洞化、凹凸変形等)することによって情報の記録が行われることを特徴とする請求項1〜14の何れかに記載の光記録媒体。
  16. 形状変化が膜厚の変化を伴い、情報を記録した部分の少なくとも一部において、膜厚が未記録部の膜厚に比べて小さくなることを特徴とする請求項15記載の光記録媒体。
  17. 膜厚が0(ゼロ)又は殆ど0(ゼロ)になることを特徴とする請求項16記載の光記録媒体。
  18. 反射層が形状変化しないことを特徴とする請求項1〜17の何れかに記載の光記録媒体。
  19. 有機熱受容層が、記録マーク領域において材料の熱的状態変化を起因として材料の溶解特性が変化する変質を起すことにより記録が行われることを特徴とする請求項1〜18の何れかに記載の光記録媒体。
  20. 材料の変質は、変質部分の溶解性が低下し溶け難い方向への変質であることを特徴とする請求項19記載の光記録媒体。
  21. ガウス分布を示す光を照射して記録した際に、ガウス分布の中央部に対応する部分の有機熱受容層材料の量が、ガウス分布の外周部に対応する部分の有機熱受容層材料の量よりも少なくなり、有機熱受容層の膜厚が変化することを特徴とする請求項1〜20の何れかに記載の光記録媒体。
  22. 有機層をスピンコート法で成膜することを特徴とする請求項1〜21の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
  23. 任意の有機層(下の層)の上に次の有機層をスピンコートするに際し、次の層の有機材料の溶剤として、実質上、下の層を溶解しない溶剤を用いることを特徴とする請求項22記載の製造方法。
  24. 任意の有機層(下の層)を目的の膜厚よりも厚く成膜し、その上に次の有機層をスピンコートする際に、次の有機層の塗布用溶剤で下の層の一部を溶解して流し去ることにより、目的の膜厚を得ることを特徴とする請求項22記載の製造方法。
  25. 各有機層を成膜した後、ベーク処理を施すことを特徴とする請求項22〜24の何れかに記載の製造方法。
  26. 「時間×温度」が、500(秒・℃)以上の条件でベーク処理することを特徴とする請求項25記載の製造方法。
  27. 親水性高分子からなる少なくとも一層の有機層を成膜後、架橋又は結晶化して耐水及び耐熱処理を施こすことを特徴とする請求項1〜21の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
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