JP2006018980A - 光ディスク及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 有機色素系の記録層を破壊することなく、高反射率でありながら十分な信号変調度を得ることができる片側2層記録可能な光ディスクを提供する。
【解決手段】 第1の光透過性基板22上に少なくとも第1の記録層24を形成してなる第1のディスク中間体M1と、第2の基板36上に少なくとも反射層34と第2の記録層32とを形成してなる第2のディスク中間体M2とを、前記第1の記録層を形成した側の面と前記第2の記録層とを形成した側の面とを対向させて間に光透過性接着剤層28を介在させて貼り合わせてなる光ディスクにおいて、少なくとも前記第2のディスク中間体の第2の記録層の表面には熱可塑性樹脂からなる光透過性保護層26が形成されており、前記光透過性保護層と前記光透過性接着剤層とが接するように構成している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、高密度な光ディスク及びその製造方法に係り、特に、2枚の基板を貼り合わせて記録層が2層以上有する光ディスク及びその製造方法に関する。
近年、光ディスクの普及にはめざましいものがある。特に読み出し専用コンパクトディスク(CD−AudioやCD−ROM)は音楽用、データベース、コンピュータプログラムの記録媒体として膨大な数が生産されている。これに伴って読み出し専用のCDと互換性のあるユーザが記録可能なCDも開発された。なかでも追記型CD(CD−R)は全ての再生専用CDプレーヤ、CDドライブにて再生が可能であり、ここ数年飛躍的に生産枚数が増えてきた。更にCDの容量(640MB)の7倍以上の容量を持つ4.7GBの再生専用型(ROM型)DVDも規格化され、急速に普及してきている。
また再生専用型(ROM型)DVDは、映画等の容量が4.7GB以上必要なコンテツをディスク1枚に納めるために、2枚の基板を貼り合わせて作製した8.5GBの記録容量を持つ片側読み出し再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)も規格化され数多く生産されている。
一方、記録型のDVDとしては、DVD−ROMを作製するときの検証用途やバックアップなどの目的で、4.7GBの記録容量を持つ追記型DVD(DVD−R)や書き換え型DVD(DVD−RAMやDVD−RW)も発売されて普及し始めている。これらの記録型DVDは、記録層が1層のディスクであるため記録容量は4.7GBである。また板厚が0.6mmのDVD−RやDVD−RWを2枚貼り合わせた構造の2層を有する記録容量が9.4GBの記録可能なDVD−R、DVD−RWも発売されている。しかしこれらのディスクは記録層が単層のディスクを単に2枚貼り合わせた構造であるため2つの層を記録または再生するためにはディスクをプレーヤから取り出して裏返すと言う操作をしなければならず、不便である。このため再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)と同じように片側からレーザ光を照射して記録及び再生が可能な記録型2層光ディスクが望まれていた。
このようなレーザ光が片側入射で2層を記録・再生可能なディスクとしては、特許文献1に、2つの記録層にAgInSbTe系相変化型記録膜を用いた片側2層記録が可能な光ディスクの技術が開示されている。しかし、相変化型記録膜は反射率が低い。再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)はその規格において、第1の記録層(LO)、第2の記録層(L1)共に、照射したレーザ光の反射率は18〜30%が必要である。第1および第2の記録層の両方に相変化型記録層を形成した光ディスクは、その反射率の低さのため、すでに大量に出荷されて普及している既存のDVDプレーヤでは再生できない。
このため特許文献2、3、4には、第2の記録層の反射率を上げる目的で、片側2層記録が可能な光ディスクの第1記録層に相変化型記録層、第2記録層に有機色素・金属反射層を用いた光ディスクの技術が開示されている。
このような光ディスクの構成は、光透過性基板の一面に相変化型記録層を形成し、他の光透過性基板の一面に金属反射層と有機色素層とを順次に形成した後、紫外線硬化型の接着剤にて両者を接合する貼り合わせ法で作製されている。具体的には、図10に示したようにこの光ディスクの構成は、第1の光透過性基板2、相変化型記録層(第1の記録層)4、接着剤層6、有機色素記録層(第2の記録層)8、金属反射層10、第2の基板12の順に積層された構造になっている。この時、記録再生用のレーザ光Lは第1の光透過性基板2側から入射する。
この光ディスクを製造する方法は、まず第1の光透過性基板2に相変化型記録層4を形成し、他方、第2の基板12に金属反射層10と有機色素記録層8とを順次に形成した後、接着剤にて両者を接合して貼り合わせるようになってるので、接着剤層6と有機色素記録層8とは接触することになる。ここで第2の記録層である有機色素記録層8に用いる色素は、高反射率の記録層を得るために、CD−Rや記録層が単層のDVD−Rなどの記録層と同様に、主にシアニン、フタロシアニン、アゾ系などの有機色素をアルコール系またはセロソルブ系の比較的極性の強い有機溶剤に溶解したものを用いている。これに対して、接着剤層6に使用される材料は、通常多くの場合には、生産性、歩留まりの点からアクリレート系の紫外線硬化樹脂樹脂が使用される。例えばエポキシアクリレートやウレタンアクリレート及びそれらの混合物が主成分である。
しかし、これらのアクリレート系紫外線硬化樹脂は、前記有機色素の一部または全部を溶解する性質を持っている。すなわち接着剤を用いて接合する際に、有機色素記録層8は溶解されて接着剤層6と混ざってしまい、一部または全部が破壊されて記録層の形態を維持できない場合がある。
色素記録層を保護する目的で、特許文献5には、有機色素膜からなる記録層の上にポリビニルアルコール水溶液をスピンコートしてポリビニルアルコールからなる保護層を形成し、貼り合わせに用いる紫外線硬化樹脂から色素記録層を保護する光ディスクが開示されている。
また特許文献6には、有機色素膜からなる記録層に、有機色素を溶解しない溶剤を用いて溶解されたモノメチルシロキサンを直接塗布した後に硬化させて貼り合わせた光ディスクが開示されている。また特許文献7には、ディスク基板貼合せの接着剤として熱可塑性エラストマーおよびタッキファイヤー(粘着付与剤)を含有するホットメルト型の接着剤を用いた光記録媒体が開示されている。また特許文献8には、有機色素膜からなる記録層を保護する目的で、無機金属系のバリア層を形成した光ディスクが開示されている。
特開2001−266402号公報 特開2000−99991号公報 特開平8−315415号公報 特開2000−82238号公報 特開2000−339766号公報 特開平11−66622号公報 特公平7−118097号公報 特開2000−311384号公報
しかしながら、特許文献5に開示された従来の光ディスクにあっては、ポリビニルアルコール水溶液を用いてスピンコートし、水分を除去してポリビニルアルコールよりなる保護層を形成しているため、次のような問題点がある。すなわち、水は蒸発し難くて成膜に時間を要し、ポリビニルアルコール中の残留水分が多いため成膜時に加熱乾燥が必要であり、更にポリビニルアルコールはその化学構造上、吸湿性が非常に高くて乾燥成膜後においても吸湿により透明性が劣化する。
また特許文献6に開示された光ディスクにあっては、モノメチルシロキサンを用いて貼り合わせるためには、全体を高温に加熱してモノメチルシロキサンを硬化させる必要があり、このためディスク作製に時間を要するという問題と、加熱による反りなどでディスクの変形が大きくなるなどの問題点がある。
また、記録層に有機色素を用いた通常の光ディスクでは、基板にポリカーボネート樹脂などの熱可塑性樹脂を用いてその上に色素記録層を形成する構成になっており、レーザ光を照射して記録されるときに色素が変化するだけでなく、レーザ光のエネルギーを吸収した色素が発熱して基板の熱可塑性ポリカーボネート樹脂の一部を変形し、または変形及び空隙(Cavity)を形成させて記録マークの形成された部分の反射率の変化がより大きくなる、すなわち変調度が大きくなる記録メカニズムを用いている。すなわち色素記録層と接触している少なくとも片側の層が、色素の分解にともなって生じた熱によって軟化変形することが記録マークのコントラストを取る点で好ましいことから、硬化性樹脂やエラストマーより熱可塑性樹脂を用いる方がよい。
しかしながら、熱可塑性樹脂製の基板の上に、反射層、有機色素記録層、硬化型接着層の順に構成された光ディスクの場合、熱可塑性樹脂製の基板は反射層で色素記録層と遮断されており、また接着剤層は硬化性樹脂であるため、色素の分解熱による基板または接着剤層の変形がほとんど生じない。このため熱可塑性樹脂製の基板の上に、反射層、有機色素記録層、硬化型接着層の順に形成された光ディスクに記録されたマークのコントラストは小さくなり、信号変調度が小さくなると言う問題点がある。
また、有機色素からなる記録層が、無機金属からなる反射層と保護層にはさまれた構成の場合、無機金属層の熱伝導率はプラスチックなどの有機物層に比べてはるかに大きいため、記録レーザ光を吸収した色素が分解して生じた熱が逃げやすいため記録感度が悪くなる。さらにこの構成の場合、記録層が熱可塑性樹脂と直接接触していないため、記録特性に影響する記録部分の変形が小さくなり、記録特性が悪くなるという問題点がある。
本発明は、以上のような問題点に着目し、これを有効に解決すべく創案されたものである。本発明の目的は、有機色素系の記録層を破壊することなく、高反射率でありながら十分な信号変調度を得ることができ、また、すでに大量に出荷され普及している既存のDVDプレーヤで再生ができる片側2層記録が可能な光ディスク及びその製造方法を提供することにある。
請求項1に係る発明は、第1の光透過性基板上に少なくとも第1の記録層を形成してなる第1のディスク中間体と、第2の基板上に少なくとも反射層とアルコール系またはセロソルブ系有機溶剤に溶解可能な有機色素を主成分とする第2の記録層とを形成してなる第2のディスク中間体とを、前記第1の記録層を形成した側の面と前記第2の記録層とを形成した側の面とを対向させて間に前記第2の記録層を溶解する光透過性接着剤層を介在させて貼り合わせてなる光ディスクにおいて、少なくとも前記第2のディスク中間体の第2の記録層の表面には、前記有機色素が、記録のために照射されたレーザ光を吸収し分解する温度以下で軟化し変形する熱可塑性樹脂からなる光透過性樹脂薄膜層が接するように形成されており、前記光透過性樹脂薄膜層と前記光透過性接着剤層とが接するように構成したことを特徴とする光ディスクである。
この場合、例えば請求項2に規定するように、前記光透過性樹脂薄膜層は、前記第2の記録層を溶解しない有機溶剤に可溶であり、かつ前記有機色素が、記録のために照射されたレーザ光を吸収し分解する温度以下で軟化し変形する脂環式アモルファスポリオレフィン系樹脂をスピンコート法によって形成する。
また例えば請求項3に規定するように、前記第1の記録層と前記第2の記録層に、光学的分光特性が互いに異なる材料をそれぞれ用いる。
また、例えば請求項4に規定するように、前記第2の基板には、案内溝が形成されており、前記レーザ光が入射する光入射面から前記案内溝のランド部における前記第2の記録層の界面までの距離をDl、前記光入射面から前記案内溝のグルーブ部における前記第2の記録層の界面までの距離をDg、前記光入射面から前記案内溝のランド部における前記反射層の界面までの距離をRl、前記光入射面から前記案内溝のグルーブ部における前記反射層の界面までの距離をRgとした時、次の式[Dl・Dg≧Rl・Rg]を満たすように形成する。
また請求項5に係る発明は、光ディスクの製造方法において、第1の光透過性基板上に少なくとも第1の記録層を形成して第1のディスク中間体を作製する工程と、第2の基板上に少なくとも反射層と第2の記録層を形成し、第2の記録層と接するように、前記第2の記録層を溶解しない有機溶剤に可溶であり、かつ前記有機色素が、記録のために照射されたレーザ光を吸収し分解する温度以下で軟化し変形する熱可塑性樹脂からなる光透過性樹脂薄膜層をスピンコート法にて形成して第2のディスク中間体を作製する工程と、前記第1の記録層を形成した側の面と前記光透過性樹脂薄膜層を形成した側の面とを対向させて間に前記第2の記録層を溶解する光透過性接着剤層を介在させて上記第1及び第2のディスク中間体を接合する工程と、を備えたことを特徴とする光ディスクの製造方法である。
本発明の光ディスク及びその製造方法によれば、次のように優れた作用効果を発揮することができる。
片側2層記録が可能な光ディスクにおいて有機色素系の記録層を破壊することなく、高反射率でありながら十分な信号変調度を得ることができ、また、すでに大量に出荷され普及している既存のDVDプレーヤで再生ができる。
以下に、本発明に係る光ディスク及びその製造方法の一実施例を添付図面に基づいて詳述する。
図1は本発明に係る光ディスクの一例を示す断面図、図2は第1のディスク中間体の一例を示す断面図、図3は第2のディスク中間体の一例を示す断面図である。図示するように、本発明の光ディスク20は、片側2層記録が可能な構成である。具体的には、この光ディスク20は、第1の光透過性基板22、有機色素よりなる第1の記録層24、保護層を兼ねた熱可塑性樹脂からなる第1の光透過性樹脂薄膜層26、光透過性接着剤層28、保護層を兼ねた熱可塑性樹脂からなる第2の光透過性樹脂薄膜層30、有機色素よりなる第2の記録層32、金属膜よりなる反射層34及び第2の基板36を、この順序で積層された構造となっている。すなわち光透過性接着剤層28と有機色素よりなる第1及び第2の記録層24、32の間に熱可塑性の光透過性樹脂からなる第1及び第2の光透過性樹脂薄膜層26、30がそれぞれ形成されたことが特徴である。このような光ディスク構成にすることで、光透過性接着剤層28と有機色素よりなる第1及び第2の記録層24、32の接触が起きなくなり、光透過性接着剤層28による有機色素の第1及び第2の記録層24、32の破壊を防ぐと共に、有機色素よりなる第1及び第2の記録層24、32にレーザ記録されたとき熱可塑性樹脂からなる第1及び第2の光透過性樹脂薄膜層26、30の一部が変形し、十分な信号変調度を得ることができる。
尚、記録再生用のレーザ光Lは、第1の光透過性基板22側から照射される。従って、この第1の光透過性基板22の表面(図1中の下面)が光入射面となる。また図1に示す場合には、第1及び第2の光透過性樹脂薄膜層26、30を設けて第1及び第2の記録層24、32の両記録層の保護層を兼ねた熱可塑性樹脂からなる光透過性樹脂薄膜層にするようにしたが、第1の光透過性基板22側は、半透過の金属反射層や無機の透明薄膜層を用いても良い。
次に上記構成の光ディスク20の製造方法について述べる。
<第1のディスク中間体M1の製造>
まず図2に示したように、表面にプリグルーブが設けられた第1の光透過性基板22の上にアルコール系溶剤に溶解した有機色素を塗布してスピンコート法で成膜し、有機色素からなる第1の記録層24を形成する。さらにその上に非極性溶剤に溶解した光透過性の透明な樹脂をスピンコート法で成膜し、上記第1の記録層24を保護する第1の光透過性樹脂薄膜層26を形成する。これにより、第1のディスク中間体M1の製造を完了する。このとき第1の光透過性基板22としては、ポリカーボネート樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂など通常に光ディスクの基板として用いられるものが使用可能である。またプリグルーブの形成方法に関しては、特に制限はなく通常の方法で形成される。またこのときの第1のディスク中間体M1に用いる第1の光透過性樹脂薄膜層26は、必ずしも熱可塑性樹脂からなる光透過性樹脂薄膜層ではなく、これに代えて半透過の金属反射層や無機の透明薄膜層を用いても良い。
また有機色素としては、極性溶剤(極性溶媒)に可溶な、特にアルコール系、セロソルブ系溶剤に可溶なシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ系色素を用いることが好適である。更に第1の光透過性樹脂薄膜層26を形成する透明な樹脂としては、有機色素を溶解しない溶剤に可溶な樹脂でなければならない。例えば有機色素よりなる第1の記録層24にアルコール系、セロソルブ系溶剤に可溶なシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ系色素を用いた場合には、有機色素を溶解しない溶剤としては非極性溶剤のシクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどが好ましい。また、このような非極性溶剤に溶解可能な透明樹脂としては、環状アモルファスポリオレフィン(例えば商品名:ゼオネックスやクイントン(日本ゼオン(株)))が好適である。
<第2のディスク中間体M2の製造>
次に図3に示したように、プリグルーブが設けられた第2の基板36上に、金属反射層を蒸着、またはスパッタリングなどの公知の真空成膜法で成膜して反射層34を形成する。次に、その上にアルコール系溶剤に溶解した有機色素を塗布してスピンコート法で成膜し、有機色素からなる第2の記録層32を形成する。さらにその上に非極性溶剤に溶解した光透過性の透明な樹脂をスピンコート法で成膜し、上記第2の記録層32を保護する層を兼ねた熱可塑性樹脂からなる第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成する。これにより、第2のディスク中間体M2の製造を完了する。このとき第2の基板36はレーザ光が照射される側ではないので、必ずしも透明である必要はないが、第1の光透過性基板22と同じ材料を用いることが好ましい。
また反射層34は、特に制限はないが高反射率が得られるAu、Al、Ag及びその合金が好ましい。また有機色素としては、極性溶剤(極性溶媒)に可溶な、特にアルコール系、セロソルブ系溶剤に可溶なシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ系色素を用いることが好適である。更に熱可塑性樹脂からなる第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成する透明な樹脂としては、有機色素を溶解しない溶剤に可溶な樹脂でなければならない。例えば有機色素よりなる第1の記録層32にアルコール系、セロソルブ系溶剤に可溶なシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ系色素を用いた場合には、有機色素を溶解しない溶剤としては非極性溶剤のシクロヘキサン、テトラリン、デカリンなどが好ましい。また、このような非極性溶剤に溶解可能な透明樹脂としては、環状アモルファスポリオレフィン(例えば商品名:ゼオネックスやクイントン(日本ゼオン(株)))が好適である。
<2枚の基板の貼り合わせ>
次に、上述のように形成した第1及び第2のディスク中間体M1、M2とを貼り合わせて図1に示した上記光ディスク20を製造する。この場合、第1の光透過性樹脂薄膜層26を形成した側の面と、第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成した側の面とを対向させ、その間に光透過性接着剤層28を介在させる。この貼り合わせの時に接着剤層28に使用される材料は、生産性、歩留まりの点からアクリレート系の紫外線硬化樹脂を使用するのが好ましく、貼り合わせ方法は、一方の基板に紫外線硬化樹脂樹脂を塗布した後、その上からもう一方の基板を重ね合わせ、重なった2枚の基板を回転して紫外線硬化樹脂を全面に行き渡らせて貼り合わせする、いわゆるスピン貼り合わせの方法が好ましい。ここで紫外線硬化樹脂としては例えばエポキシアクリレートやウレタンアクリレート及びそれらの混合物が主成分である紫外線硬化樹脂が好ましい。このようにして有機色素よりなる第1及び第2の記録層24、32を破壊することなく、高反射率でありながら十分な信号変調度を得ることのできる片側2層記録が可能な光ディスクを得ることができる。尚、上記実施例では、第2の記録層32の片側だけに光透過性樹脂薄膜層30を設けたが、これに限定されず、この第2の記録層32を挟み込むようにしてこの両側に光透過性樹脂薄膜層30をそれぞれ設けるようにしてもよい。また第1の光透過性樹脂薄膜層26に代えて光透過性誘電体層を設けてもよい。
次に、実際に本発明の光ディスクを製造してその評価を行ったので、その評価結果について説明する。
<実施例1>
トラックピッチが0.74μm、溝深さが160nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板よりなる第1の光透過性基板22上に、極大吸収波長(λmax)が585nmのシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.6wt%の溶液を調整して塗布し、回転数3000rpmでスピンコートを行い、厚さが30nmの有機色素よりなる第1の記録層24を形成した。更に、この第1の記録層24の上に、軟化点が125℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:クイントン1325(商品名))を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解し、6.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコート成膜を行い、上記第1の記録層24を保護する透明な第1の光透過性樹脂薄膜層26を形成した。これにより第1のディスク中間体M1を作製した。このとき第1の記録層24は、侵されることなく記録層の形態を維持していた。
次にトラックピッチが0.74μm、溝深さが30nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板よりなる第2の基板36上に、スパッタリング法により70nmのAu膜よりなる反射層34を形成した。更にこの反射層34の上に、極大吸収波長(λmax)が585nm(ジクロロメタン溶液中)のシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、1.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数3000rpmでスピンコートを行い、厚さが60nmの有機色素よりなる第2の記録層32を形成した。更に、この第2の記録層32の上に、軟化点が125℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:クイントン1325(商品名))を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解し、6.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコート成膜を行い、上記第2の記録層32を保護することを兼ねた透明な第2の光透過性熱可塑性樹脂からなる光透過性樹脂薄膜層30を形成した。これにより第2のディスク中間体M2を作製した。このとき第2の記録層32は、侵されることなく記録層の形態を維持していた。
次に、上述のように作製した第1のディスク中間体M1の第1の光透過性樹脂薄膜層26の表面に透明な樹脂として紫外線硬化樹脂(協立化学産業(株)製:変性ウレタンアクリレート(商品名)ワールドロックNo811)を塗布し、その上に上記第2のディスク中間体M2の第2の光透過性樹脂薄膜層30の面を重ね合わせ、回転数2000rpmでスピン塗布して貼り合わせを行い第1の光透過性基板22側から紫外線を照射して光透過性接着剤層28を硬化させ、片側2層記録が可能な光ディスク20を完成した。このときの光透過性接着剤層28の厚みは40μmであった。この得られた光ディスク20は、紫外線硬化樹脂で貼り合わせ後も、第1及び第2の記録層24、32は侵されることなく記録層の形態を維持していた。
このようにして作製して得られた光ディスク20を、第1の光透過性基板22側から波長が660nmの半導体レーザ光Lを照射して、まず第2の記録層32に焦点を合わせてDVDフォーマットの信号を記録したところ、良好な記録を行うことができた。次に第1の記録層24に焦点を合わせてDVDフォーマットの信号を記録したところ、良好な記録を行うことができた。
このようにして2層に記録した信号を、第1の光透過性基板22側から波長が660nmの半導体レーザ光Lを照射して、まず第1の記録層24に焦点を合わせて反射率を測定すると約18%であり、記録された情報を再生したところ良好に再生を行うことができた。
また同様に第2の記録層32に焦点を合わせて反射率を測定すると約18%であり、記録された情報を再生したところ良好に再生を行うことができた。すなわち第1及び第2の記録層24、32にDVDフォーマットで記録及び再生が可能であり、反射率は再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)の規格値の範囲内に入っていた。従って、再生専用2層型DVDと反射率において互換性があることが確認できた。
<実施例1−2>
トラックピッチが0.74μm、溝深さが150nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板よりなる第1の光透過性基板22上に、極大吸収波長(λmax)が585nmのシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、1.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さが約40nmの有機色素よりなる第1の記録層24を形成した。更に、この第1の記録層24の上に、スパッタリング法により厚さ15nmのAgを主成分とする合金からなる半透過性反射層および厚さ60nmのZnS−SiO からなる光透過性誘電体層を形成した。これにより第1のディスク中間体M1を作製した。すなわちこのディスク中間体M1は、半透過性反射層および厚さ60nmのZnS−SiO からなる光透過性誘電体層を形成したところが、実施例1との違いである。
次にトラックピッチが0.74μm、溝深さが120nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板よりなる第2の基板36上に、スパッタリング法により100nmのAgを主成分とする合金からなる反射層34を形成した。更にこの反射層34の上に、極大吸収波長(λmax)が585nm(ジクロロメタン溶液中)のシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.75wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さが約35nmの有機色素よりなる第2の記録層32を形成した。更に、この第2の記録層32の上に、軟化点が135℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:ゼオネックス480R(商品名))を非極性溶剤であるデカリン(デカヒドロナフタレン)に溶解し、2.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数2500rpmでスピンコート成膜を行い、上記第2の記録層32を保護する透明な熱可塑性樹脂からなる第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成した。これにより第2のディスク中間体M2を作製した。このとき第2の記録層32は、侵されることなく記録層の形態を維持していた。
次に、上述のように作製した第1のディスク中間体M1の光透過性誘電体層の表面に透明な樹脂として紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:変性アクリレート(商品名)SD661)を塗布し、その上に上記第2のディスク中間体M2の光透過性樹脂薄膜層30の面を重ね合わせ、回転数2000rpmでスピン塗布して貼り合わせを行い、第1の透明基板22側から紫外線を照射して光透過性接着剤層28を硬化させ、片側2層記録が可能な光ディスク20を完成した。このときの光透過性接着剤層28の厚みは45μmであった。この得られた光ディスク20は、紫外線硬化樹脂で貼り合わせ後も、第1及び第2の記録層24、32は侵されることなく記録層の形態を維持していた。
このようにして作製して得られた光ディスク20を、第1の光透過性基板22側から波長が660nmの半導体レーザ光Lを照射して、まず第2の記録層32に焦点を合わせてDVDフォーマットの信号を記録したところ、良好な記録を行うことができた。次に第1の記録層24に焦点を合わせてDVDフォーマットの信号を記録したところ、良好な記録を行うことができた。
このようにして2層に記録した信号を、第1の光透過性基板22側から波長が660nmの半導体レーザ光Lを照射して、まず第1の記録層24に焦点を合わせて反射率を測定すると約20%であり、記録された情報を再生したところ良好に再生を行うことができた。
また同様に第2の記録層32に焦点を合わせて反射率を測定すると約18%であり、記録された情報を再生したところ良好に再生を行うことができた。すなわち第1及び第2の記録層24、32にDVDフォーマットで記録及び再生が可能であり、反射率は再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)の規格値の範囲内に入っていた。従って、再生専用2層型DVDと反射率において互換性があることが確認できた。
<実施例1−3>
実施例1−2と全く同様に第1のディスク中間体M1を作製した。
次にトラックピッチが0.74μm、溝深さが150nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板よりなる第2の基板36上に、スパッタリング法により100nmのAgを主成分とする合金からなる反射層34を形成した。更にこの反射層34の上に、軟化点が135℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:ゼオネックス480R(商品名))を非極性溶剤であるデカリン(デカヒドロナフタレン)に溶解し、0.2wt%の溶液を調整して塗布し、回転数2500rpmでスピンコート成膜を行い透明な熱可塑性樹脂からなる1層目の第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成した。更にこの光透過性樹脂薄膜層30の上に極大吸収波長(λmax)が585nm(ジクロロメタン溶液中)のシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.75wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さが約35nmの有機色素よりなる第2の記録層32Bを形成した。更に、この第2の記録層32の上に、軟化点が135℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:ゼオネックス480R(商品名))を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解し、2.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数2500rpmでスピンコート成膜を行い、上記第2の記録層32を保護する透明な熱可塑性樹脂からなる2層目の第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成した。これにより第2のディスク中間体M2を作製した。すなわちこのディスク中間体M2は、有機色素からなる第2の記録層32の両側に透明な熱可塑性樹脂からなる第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成したところが、実施例1−2との違いである。
次に、上述のように作製した第1のディスク中間体M1の光透過性誘電体層の表面に透明な樹脂として紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:変性アクリレート(商品名)SD661)を塗布し、その上に上記第2のディスク中間体M2の光透過性樹脂薄膜層30の面を重ね合わせ、回転数2000rpmでスピン塗布して貼り合わせを行い第1の光透過性基板22側から紫外線を照射して接着層を硬化させ、片側2層記録が可能な光ディスク20を完成した。このときの光透過性接着剤層28の厚みは45μmであった。この得られた光ディスク20は、紫外線硬化樹脂で貼り合わせ後も、第1及び第2の記録層24、32は侵されることなく記録層の形態を維持していた。
このようにして作製して得られた光ディスク20を、第1の光透過性基板22側から波長が660nmの半導体レーザ光Lを照射して、まず第2の記録層32に焦点を合わせてDVDフォーマットの信号を記録したところ、実施例1−2で記録した時より低い記録パワーで良好な記録を行うことができた。次に第1の記録層24に焦点を合わせてDVDフォーマットの信号を記録したところ、良好な記録を行うことができた。
このようにして2層に記録した信号を、第1の光透過性基板22側から波長が660nmの半導体レーザ光Lを照射して、まず第1の記録層24に焦点を合わせて反射率を測定すると約20%であり、記録された情報を再生したところ良好に再生を行うことができた。
また同様に第2の記録層32に焦点を合わせて反射率を測定すると約20%であり、記録された情報を再生したところ良好に再生を行うことができた。すなわち第1及び第2の記録層24、32にDVDフォーマットで記録及び再生が可能であり、反射率は再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)の規格値の範囲内に入っていた。従って、再生専用2層型DVDと反射率において互換性があることが確認できた。
<比較例1>
本発明の比較例として有機色素からなる記録層を硬い無機化合物からなる透明薄膜層で挟んだ構造のディスクを作製し、本発明と比較した。
まず実施例1−2と全く同様に第1のディスク中間体M1を作製した。
次にトラックピッチが0.74μm、溝深さが30nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板よりなる第2の基板36上に、スパッタリング法により100nmのAgを主成分とする合金からなる反射層34を形成した。更にこの反射層34の上に、スパッタリング法により10nmのSiNからなる光透過性無機薄膜層を形成した。更にこの光透過性無機薄膜層の上に極大吸収波長(λmax)が585nm(ジクロロメタン溶液中)のシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.75wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さが約30nmの有機色素よりなる第2の記録層32を形成した。更に、この第2の記録層32の上に、スパッタリング法により40nmのSiNからなる光透過性無機薄膜層を形成し第2のディスク中間体M2を作製した。すなわちこのディスク中間体M2は、有機色素からなる記録層の両側にSiNからなる光透過性無機薄膜層を形成したところが、実施例1−3との違いである。
次に、上述のように作製した第1のディスク中間体M1の光透過性誘電体層の表面に透明な樹脂として紫外線硬化樹脂(大日本インキ(株)製:変性アクリレート(商品名)SD661)を塗布し、その上に上記第2のディスク中間体M2の光透過性無機薄膜層の面を重ね合わせ、回転数2000rpmでスピン塗布して貼り合わせを行い第1の光透過性基板側から紫外線を照射して接着層を硬化させ、片側2層記録が可能な光ディスクを完成した。このときの光透過性接着剤層28の厚みは45μmであった。この得られた光ディスクは、紫外線硬化樹脂で貼り合わせ後も、第1及び第2の記録層24、32は侵されることなく記録層の形態を維持していた。
このようにして作製して得られた光ディスクを、第1の光透過性基板22側から波長が660nmの半導体レーザ光Lを照射して、まず第2の記録層32に焦点を合わせてDVDフォーマットの信号を記録したところ、記録パワーを上げても再生アイパターンが開かず良好な記録を行うことができなかった。すなわち有機色素からなる記録層を熱伝導率が高く、熱可塑性樹脂のような軟化変形の起こりにくい無機物からなる透明薄膜層で挟むと良好な記録ができなかった。
<実施例2>
次に本発明の実施例2について説明する。
片面2層貼り合せ型の光ディスクでは、記録層を2つ設けることになるが、通常ライトワンス型の場合、記録層の材料として有機色素が用いられることが殆どである。特にシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ系色素を用いる場合が多い。これらの有機色素は記録レーザ光を吸収し分解する。これに伴い基板等の変形も起り、情報を記録マークとして記録することができる。記録層が特定の波長の光を吸収させるためには、この材料自身の分光特性を調整する必要がある。通常、有機色素の場合、その分子構造により分光特性が決まり、分子構造が同じ場合には同じ分光特性を有する。
2層型ディスクは、第1層と第2層の記録層の間には光透過性接着剤28や第1及び第2の光透過性樹脂薄膜層26、30等の光透過性中間層を設けるが、この中間層を介することで各記録層までの光路長が異なることになる。このような場合、同じ材料を用いても記録層の位置が第1の記録層24と第2の記録層32の位置に設けた状態では、分光曲線を測定すると異なる分光特性を示す。具体的には通常のDVD−Rは0.6mm厚の透明基板を介して記録層にレーザを照射して記録再生を行っているので、この状態で最適になるように記録層材料の分光特性を設計する。しかしながら、レーザ光の入射側から数えて2層目の第2の記録層32の材料を1層目と同じ材料に設定すると、第2の記録層32は、第1の記録層24と上記中間層とを介して測定するので分光特性が異なってしまう。この結果、記録再生特性にも影響して最適な状態からずれることになる。
そこで、この実施例2では、記録再生レーザ光の波長における分光特性を記録層材料の分子構造を変えることで各層で記録再生に最適な分光特性になるようにした。すなわち、光ディスクにおける記録再生特性は、記録層の記録再生レーザ光の波長における吸光度と反射率のような分光特性に大きく関係する。ライトワンス型光ディスクに用いられるような色素の可視光域における分光特性は、分子中の共役二重結合の長さや側鎖の官能基の種類などにより特徴づけられる。そこでこれらの分子構造を変えることで記録再生特性を最適にするような工夫がされる。この実施例2では、第1の記録層24と第2の記録層32の材料の分子構造を変えることで、それぞれ最適な特性を発現させるものである。
一般的に測定対象物までの間に大気と異なる屈折率を持つ透明な材料でできた薄膜層を設けることによって光路長が長くなると、分光曲線全体が波長軸方向にシフトしたような分光特性になる。このため片面2層構造の光ディスクにおいて第1層目の記録層で最適な特性を有する記録層材料を第2層目に用いても特性が最適になることは少ない。第2層目は第1の記録層と中間層とを介した時に記録再生レーザ光の波長において最適な特性を有する分光特性を発現できるものにしなければならない。この二つの材料は、それぞれが単独の場合の分光特性が異なるものになる。この実施例2では、例えば第1の記録層24の材料として、極大吸収波長(λmax)が585nm(ジクロロメタン溶液中)のシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.7wt%の溶液を調整して塗布したものを用い、第2の記録層32の材料として、極大吸収波長(λmax)が538nm(ジクロロメタン溶液中)のシアニン色素をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.7wt%の溶液を調整して塗布したものを用いることができる。
次に、実際に本発明の光ディスクの実施例2とその比較例を製造してその評価を行ったので、その評価結果について図4及び図5も参照して説明する。図4は第1の記録層タイプの光ディスクを示す断面図、図5は第2の記録層タイプの光ディスクを示す断面図である。
<比較例2>
まず、次のような比較例を作製した。トラックピッチが0.74μm、溝深さが150nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板(直径120mm)よりなる第1の光透過性基板22上に、極大吸収波長(λmax)が585nm(シクロロメタン溶液中)のシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.7wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さが40nmの有機色素よりなる第1の記録層24を形成した。
更にその上にAgを主成分とする合金をターゲットとして用いてスパッタリング法により反射層50を100nmの厚さになるように成膜した。尚、後にこの反射層50を含まないものが形成される。その後、この反射層50の上に紫外線硬化型のエポキシ系樹脂をスピンコートし、紫外線を照射して硬化させて厚さ15μmの第1の光透過性樹脂薄膜層26を形成した。これにより第1の記録層タイプのディスクS1を作製した。このディスクS1は片面2層タイプの光ディスクにおける記録再生レーザ光照射側に近い第1の記録層24を含むディスク中間層と同等の状態にある。
次に上記第1の光透過性基板22と同じ寸法、同じ材料よりなる第2の基板36の上に先ずスパッタリング法により100nmのAgを主成分とする合金からなる反射層34を形成した。更にこの反射層34の上に、極大吸収波長(λmax)が585nm(ジクロロメタン溶液中)のシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.7wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さが40nmの有機色素よりなる第2の記録層32を形成した。尚、この第2の記録層32の材料は、上記第1の記録層24の材料と同じである。更に、この第2の記録層32の上に、軟化点が125℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:クイントン1325(商品名))を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解し、6.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数2500rpmでスピンコート成膜を行い、この第2の記録層32を保護する透明な第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成した。更にこの第2の光透過性樹脂薄膜層30上に、厚さ50μmの光透過性接着剤層28となる粘着シート型接着剤(日東電工製)を介して板厚0.6mmのポリカーボネート製(直径120mm)の透明基板54を貼り合わせ、これにより第2の記録層タイプのディスクS2を作製した。このとき第2の記録層32は、侵されることなく記録層の形態を維持していた。この第2の記録層タイプのディスクS2は、片面2層タイプの光ディスクにおける記録再生レーザ光入射側から見て、奥の層の記録層である第2の記録層24を含むディスク中間体と同等の状態を再現したものである。
これらの両ディスクS1、S2の分光特性を分光光度計(島津製作所製 UV−3101PC)を用いて測定した。その結果を図6及び図7にそれぞれ示す。図6は第1の記録層タイプのディスクの分光特性測定結果を示す図、図7は第2の記録層タイプのディスクの分光特性測定結果を示す図である。図6及び図7に示すように、同じ記録層材料を用いてもその分光特性は大きく異なる結果となった。特にDVD−R規格で決められている記録レーザ光の波長である650nm付近では反射率が大きく異なることが分かる。例えば図6に示すディスクS1の場合には、波長650nm付近で反射率は52%程度であり、図7に示すディスクS2の場合には、波長650nm付近では反射率は24%程度であった。
次に、上述のように作製した両ディスクS1、S2をレーザ波長650nm、レンズNA(開口率)0.65を搭載したDVD−R評価機を用いて記録再生特性を評価した。その結果、ディスクS2はディスクS1に比べて記録再生特性が大きく劣り、特に変調度は1/2程度の30%前後しか得られなかった。原因としては初期反射率が極端に低いことが考えられる。この評価機を用いての反射率測定でディスクS1では55%程度の反射率がディスクS2では10%程度と極端に低下して好ましくなかった。
<実施例2の作製>
そこで第2の記録層32の材料を以下のような方法によって分子構造を変えた色素を用い、前記と同様な方法で第2の記録層タイプのディスクを作製した。
第2の記録層32に用いる色素の可視域での極大吸収波長は、色素の分子構造を設計することによって比較的容易に変えることができる。例えば色素記録層にシアニン系色素を使用した場合、シアニン色素の基本骨格であるメチン鎖の炭素の数が、シアニン(モノメチン)、カルボシアニン(トリメチンシアニン)、ジカルボシアニン(ペンタメチン)、トリカルボシアニン(ヘプタメチン)と増えるに従って、極大吸収波長は長波長側へ大きくシフトしていく。すなわち記録に用いるレーザ光の波長領域によって選択されるシアニン色素のメチン鎖の炭素数は選択される。例えばDVD−Rの記録に用いられる650nmに吸収があるシアニン色素としては、カルボシアニン(トリメチンシアニン)、ジカルボシアニン(ペンタメチン)が好適な色素として選択される。
しかしながら、メチン鎖の数nが1違うと、吸収波長は数十nm〜百数十nm変化してしまうため、所望の波長に極大吸収を持たせるためには、主骨格であるメチン鎖に結合している官能基を種々変えることによって調整することができる。すなわち炭素数が同じメチン鎖をもつシアニン色素において、結合している官能基によって数nm〜数十nmの範囲で、極大吸収を変化させることができ、微調整が可能である。例えばメタノール溶液中で586nmに極大吸収を持つ1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチル−2,2’−(4,5,4’,5’−ジベンゾ)−インドカルボシアニンアイオダイドからベンゼン環が2つ無くなった構造の1,3,3,1’,3’,3’−ヘキサメチル−2,2’−インドカルボシアニンアイオダイドは、545nmに極大吸収を持ち約40nm短波長にシフトさせることができる。またメタノール溶液中で593nmに極大吸収を持つ3,3’−ジエチル−2,2’−(6,7,6’,7’−ジベンゾ)チアカルボシアニンアイオダイドのシアニン構造部にエチル基を置換させた構造である、3,3’,9−トリエチル−2,2’−(6,7,6’,7’−ジベンゾ)チアカルボシアニンアイオダイドの極大吸収波長は578nmであり、約15nm短波長にシフトさせることができる。同様にメチル基を置換させた構造である3,3’−ジエチル−9−メチル−2,2’−(6,7,6’,7’−ジベンゾ)チアカルボシアニンアイオタイドの極大吸収波長は572nmであり約15nm短波長にシフトさせることができる。すなわち基本的に骨格構造が同一色素において、置換基の構造、種類を変化させることによって、極大吸収波長を短波長側、或いは長波長側にシフトさせて調整させることができる。
このディスクの分光特性を図8に示す。図8は第1の記録層とは異なる材料の第2の記録層タイプのディスクの分光特性測定結果を示す図である。波長650nmでの反射率は64%程度に上がった。また、DVD−R評価機を用いて記録再生特性を測定した。その結果、特性は大幅に向上し、特に変調度は60%程度まで向上した。
続いてこれらの第1の記録層24を有するディスク中間体と第2の記録層32を有するディスク中間体とを貼り合せた形にして図1に示すような片面2層型の光ディスクを作製して評価した。貼り合わせには光透過性接着剤層28として粘着シートタイプの接着剤(日東電工製)を用いた。この厚さは50nmであった。
ただし第1の記録層24を有する第1のディスク中間体は透過率向上のため反射層50(図4参照)を成膜せずに以下のような手順で作製した。
トラックピッチが0.74μm、溝深さが150nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板よりなる第1の光透過性基板22上に、極大吸収波長(λmax)が585nmのシアニン色素(林原生物化学研究所製:S06−DX001(商品名))をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.8wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さが50nmの有機色素よりなる第1の記録層24を形成した。更に、この第1の記録層24の上に、軟化点が125℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:クイントン1325(商品名))を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解し、7.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数2500rpmでスピンコート成膜を行い、上記第1の記録層24を保護する透明な第1の光透過性樹脂薄膜層26を形成した。これにより第1の記録層24を有する第1のディスク中間体M1を作製した。
DVD−R評価機を用いて信号を記録再生したところ、第1の記録層24からC/Nが55dB、変調度が68%、第2の記録層32からはC/Nが50dB、変調度が60%の特性がそれぞれ得られた。また第1及び第2の記録層24、32からの反射率は波長650nmのレーザ光に対してそれぞれ18%程度を示した。この反射率は再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)の規格値の範囲内に入っていた。従って、再生専用2層型DVDと反射率において互換性があることが確認できた。
<案内溝のグルーブ部とランド部との間の光路差の調整>
ところで、有機色素を記録層として用いる追記型光ディスクは、ある程度の反射率を持たせるために基板上の案内溝の深さ、記録層の膜厚などを調整して光学的位相を最適な状態になるようにしている。これは、記録再生用のレーザ光が主に透明層(基板等)−記録層の界面と記録層−反射層の界面で反射していること及び基板には案内溝が設けられているので凹部状のグルーブ部と凸部状のランド部ができるが、その間での距離がレーザ光の反射に位相差を生じさせるという特性を利用しているためである。
通常、有機色素を記録層として用いる追記型光ディスクは有機溶剤に溶解した記録層材料を、前述したようにスピンコート法により成膜して形成する。また、DVDなどに使用される記録再生用のレーザ光の波長の関係から使用される基板の案内溝の深さは殆どが100nm以上になるが、この深さでスピンコート法にて成膜された膜は、表面張力の関係で凹部状のグルーブ部の膜厚のほうが凸部状のランド部に比べて厚くなる。このようにして形成された記録層上に金属からなる反射膜を成膜して記録媒体としている。通常、この金属の反射膜はスパッタリング法などの真空ドライプロセス法を用いて形成される。スパッタリング成膜法で形成された膜は、その原理からグルーブ部もランド部にもほぼ同等の膜厚が形成される。
一方、本発明の2層の記録層を持つ光ディスクの場合の第2の記録層32は、第2の基板36上に先ず金属等からなる反射層34を形成する。続いて有機色素の第2の記録層32を成膜して記録媒体を形成する。このとき、通常の追記型光ディスクの場合と同様なスピンコート法で第2の記録層32を形成すると、第2の記録層32の凸部状のグルーブ部の方が、凹部状のランド部より薄くなる。尚、ここで注意されたい点は、2層ディスクでは、光入射面は、第2の基板36とは反対側に位置する第1の光透過性基板22の表面(図1中の下面)になるので、第2の基板36の案内溝のランド部とグルーブ部との凹凸状態は、互いに逆形状となっている。
記録再生用のレーザ光はピックアップに設置された対物レンズによりビーム径を絞っており、DVD等の場合にはそのビーム径は約1μmの直径になる。一方、基板に設けられたスパイラル状の案内溝はトラックピッチ規格値が0.74μmなので、レーザ光のスポットは記録再生時にはランド部とグルーブ部の両方に跨る。するとランド部とグルーブ部からの反射光同士の位相が反射率に大きくかかわることになる。
ここで光ディスクの各層の厚さと案内溝の深さ及び記録再生用のレーザ光の光入射面から各層界面までの距離について考察する。図9は本発明の光ディスクの第2の記録層を有する半面側を模式的に示す拡大断面図である。図示例では第2の基板36上に、反射層34、第2の記録層32及び光透過層60が順次形成されている。この光透過層60の表面側が、記録再生用のレーザ光Lが入射する光入射面62となる。本発明の2層光ディスクでは、上記光透過層60が、第1の光透過性基板22を有する第1のディスク中間体M1(図2参照)と光学的に等価になる。
そして、この第2の基板36の表面(反射層34側)には、凹凸の案内溝64が形成されており、ここでは図中、下側が光入射面62であるので、第2の基板36の案内溝64の凹部状の部分がランド部64Aとなり、凸部状(下方向へ凸)の部分がグルーブ部64Bとなる。
ここで、光入射面62からランド部64Aにおける第2の記録層32の界面までの距離をDlとし、光入射面62からグルーブ部64Bにおける第2の記録層32の界面までの距離Dgとし、光入射面からランド部64Aにおける反射層34の界面(反射層34と第2の記録層32との界面)までの距離をRlとし、光入射面62からグルーブ部64Bにおける反射層34の界面(反射層34と第2の記録層32との界面)までの距離をRgとする。
上記各界面からの反射光に関しては、ランド部64Aとグルーブ部64Bからの反射光が影響し合って光位相に大きく関係する。それを表す指標としてランド部64Aとグルーブ部64Bの上記各界面の光路距離の関係が考えられる。それぞれの光路距離を簡単な式で考えると以下のようになる。
光透過層−第2の記録層の界面:Dl−Dg
第2の記録層−反射層の界面:Rl−Rg
単層構造における追記型光ディスクでは反射率が50%以上を示す高反射率媒体にするためには、次の式を満たす関係に設定しなければならないことがわかった。
Dl−Dg≧Rl−Rg
上記式は、換言すれば、グルーブ部64Bにおける第2の記録層32の膜厚を、ランド部64Aにおける第2の記録層32の膜厚以上の厚さに設定すること(Rg−Dg≧Rl−Dl)を意味する。
本発明の2層追記型の光ディスクは、再生専用ディスク(ROM)との互換性を考慮して各層の反射率を18%〜30%程度にする必要がある。そうなると、特に第2の記録層32は単独で50%程度以上の反射率が必要になる。
しかしながら、第2の記録層32は貼り合せ工法を取るとき、先に説明したように先ず第2の基板36上に反射層34を形成してからその上に有機色素よりなる第2の記録層32を形成しなければならない。このとき、これまでと同様に単純なスピンコート法で第2の記録層32を形成すると、以下の式のような関係になってしまう。
Dl−Dg<Rl−Rg
この場合、第2の記録層32の反射率は案内溝64の深さを変化させてもせいぜい30%程度しか確保できない。
これを、第2の記録層32の成膜方法を工夫することで、式[Dl−Dg≧Rl−Rg]なる関係を満たす構造をもたせると、反射率を向上させることができる。換言すれば、上記式を変形すると[Rg−Dg≧Rl−Dl]となるので、グルーブ部64Bにおける第2の記録層32の膜厚を、ランド部64Aにおける膜厚以上の厚さに設定する必要のあることを意味する。ここで用いる成膜方法は、例えば後述するように、真空蒸着法等が該当する。
次に、実際に本発明の光ディスクを製造してその評価を行ったので、その評価結果について説明する。
<実施例3>
トラックピッチが0.74μm、溝深さが170nmのプリグルーブ(グルーブ幅:0.3μm、ランド幅:0.44μm)が設けられた板厚0.6mmのポリカーボネート基板(直径120mm)よりなる第1の光透過性基板22上に、極大吸収波長(λmax)が585nmのシアニン色素をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.75wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い、厚さがランド部25nm、グルーブ部60nmの有機色素よりなる第1の記録層24を形成した。
更にその上にAgを主成分にする合金をターゲットとして用いてスパッタリング法により反射層50を15nmの厚さになるように成膜した。その後、この反射層50の上に紫外線硬化型のエポキシ系樹脂をスピンコートし、紫外線を照射して硬化させ厚さ15μmの第1の光透過性樹脂薄膜層26を形成した。これにより第1の記録層タイプのディスクS1を作製した。このディスクS1では片面2層タイプの光ディスクにおける記録再生用のレーザ光の照射側に近い第1の記録層24を含むディスクに対応する。
次に上記第1の光透過性基板22と同じように形成された第2の基板36の上に先ずスパッタリング法により厚さ150nmのAgを主成分とする合金からなる反射層34を形成した。更にこの反射層34の上に、極大吸収波長(λmax)が565nm(ジクロロメタン溶液中)のフタロシアニンを、スピンコート法ではなく真空蒸着法にて有機色素よりなる第2の記録層32を形成した。このときの第2の記録層32の膜厚はランド部64Aにおいて50nm、グルーブ部64Bにおいて60nmとなった。従って、Rg−Dg=60nmであり、Rl−Dl=50nmである。すなわち”グルーブ部64Bの膜厚>ランド部64Aの膜厚”なので、[Rg−Dg≧Rl−Dl]を満足する。更に、この第2の記録層32の上に、軟化点が125℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:クイントン1325(商品名))を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解し、6.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数2500rpmでスピンコート成膜を行い、上記第2の記録層32を保護する保護層を兼ねた透明な熱可塑性樹脂からなる第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成した。
更にこの第2の光透過性樹脂薄膜層30上に、板厚0.6mmのポリカーボネート製(直径120mm)の透明基板34を、厚さ50μmの粘着シート型接着剤よりなる光透過性接着剤層28を介在させて貼り合せた。これにより第2の記録層タイプのディスクS2を作製した。このとき第2の記録層32は、侵されることなく記録層の形態を維持していた。このディスクS2は、片面2層タイプの光ディスクにおける記録再生用のレーザ光の入射側から見て、奥の層の記録層である第2の記録層24と同等の状態を再現したものである。尚、上記透明基板54と光透過性接着剤層28が、図9中の光透過層60に対応する。
これらのディスクS1、S2の反射率をDVD評価機(パルステックス社製 DDU−1000)を用いて測定した。その結果、ディスクS1の第1の記録層24は18%の反射率を示し、ディスクS2の第2の記録層32は58%の反射率を示した。このように第2の記録層32は50%以上の反射率を示し、良好な結果であった。
次に、上述のように作製した2つのディスクS1、S2を厚さ50μmの粘着シート型接着剤よりなる光透過性接着剤層28で貼り合せて2層タイプの光ディスクを作製した。これを同様にDVD評価機(レーザ波長658nm、レンズNA0.65を搭載)を用いて記録再生特性を評価した。その結果、ディスクS2側の反射率は20%となり、十分な反射率がとれる媒体になった。
DVD−R評価機を用いて信号を記録再生したところ第1の記録層24からはC/Nが55dB、変調度が68%、第2の記録層32からはC/Nが50dB、変調度が60%の特性が得られた。またそれぞれの層からの反射率は波長650nmのレーザ光に対して18%以上を示した。この反射率は再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)の規格値の範囲内に入っていた。従って、再生専用2層型DVDと反射率において互換性があることが確認できた。
<実施例4>
上記第3実施例の場合と同じように形成された第2の基板36の上に先ずスパッタリング法により厚さ150nmのAgを主成分とする合金からなる反射層34を形成した。更にこの反射層34の上に、極大吸収波長(λmax)が565nm(ジクロロメタン溶液中)のフタロシアニンを、スピンコート法ではなく真空蒸着法にて有機色素よりなる第2の記録層32を形成した。このときの第2の記録層32の膜厚はランド部64Aにおいて70nm、グルーブ部64Bにおいて70nmとなった。従って、Rg−Dg=70nmであり、Rl−Dl=70nmである。すなわち”グルーブ部64Bの膜厚>ランド部64Aの膜厚”なので、[Rg−Dg≧Rl−Dl]を満足する。
更に、この第2の記録層32の上に、軟化点が125℃の熱可塑性樹脂であるシクロペンタジエン・ジシクロペンタジエン共重合物からなる石油樹脂(日本ゼオン製:クイントン1325(商品名))を非極性溶剤であるシクロヘキサンに溶解し、6.0wt%の溶液を調整して塗布し、回転数2500rpmでスピンコート成膜を行い、上記第2の記録層32を保護する保護層を兼ねた透明な熱可塑性樹脂からなる第2の光透過性樹脂薄膜層30を形成した。更にこの第2の光透過性樹脂薄膜層30上に、板厚0.6mmのポリカーボネート製(直径120mm)の透明基板34を、厚さ50μmの粘着シート型接着剤よりなる光透過性接着剤層28を介在させて貼り合せた。これにより第2の記録層タイプのディスクS2を作製した。このとき第2の記録層32は、侵されることなく記録層の形態を維持していた。このディスクS2は、片面2層タイプの光ディスクにおける記録再生用のレーザ光の入射側から見て、奥の層の記録層である第2の記録層24と同等の状態を再現したものである。尚、上記透明基板54と光透過性接着剤層28が、図9中の光透過層60に対応する。
このディスクS2の反射率をDVD評価機(パルステックス社製 DDU−1000)を用いて測定した。その結果、ディスクS2の第2の記録層32は51%の反射率を示した。このように第2の記録層32は50%以上の反射率を示し、良好な結果であった。
次に、上述のように作製したディスクS2と第3実施例で説明したように形成した第1のディスクS1とを厚さ50μmの粘着シート型接着剤よりなる光透過性接着剤層28で貼り合せて2層タイプの光ディスクを作製した。これを同様にDVD評価機(レーザ波長658nm、レンズNA0.65を搭載)を用いて記録再生特性を評価した。その結果、ディスクS2側の反射率は18.2%となり、十分な反射率がとれた媒体になった。
DVD−R評価機を用いて信号を記録再生したところ第1の記録層24からはC/Nが56dB、変調度が65%、第2の記録層32からはC/Nが50dB、変調度が58%の特性が得られた。またそれぞれの層からの反射率は波長650nmのレーザ光に対して18%以上を示した。この反射率は再生専用2層型DVD(いわゆるDVDデュアルレイヤー)の規格値の範囲内に入っていた。従って、再生専用2層型DVDと反射率において互換性があることが確認できた。
<比較例3>
前述したものと同様の手順で反射膜から第2の記録層32を作製した。但し第2の記録層32の材料をほぼ同等の光学特性を持つ(極大吸収波長550nm)シアニン色素をテトラフルオロプロパノールに溶解し、0.75wt%の溶液を調整して塗布し、回転数1000rpmでスピンコートを行い成膜した。その後同様な手順により透明な光透過層60を作製した。このときの第2の記録層32の膜厚はランド部64Aにおいて60nm、グルーブ部64Bにおいて25nmとなった。従って、Dl−Dg=135nmであり、Rl−Rg=170nmなので、[Dl−Dg≧Rl−Rg]を満足していない。すなわち、上記実施例3及び4の場合と比較して、膜厚の大小がランド部64Aとグルーブ部64Bとにおいて逆になっている。その後、同様に透明基板を貼り合わせて評価機にて反射率を測定した。するとディスクS2側の反射率は21%と極端に低下しており、互換性がないことが確認できた。
本発明に係る光ディスクの一例を示す断面図である。 第1のディスク中間体の一例を示す断面図である。 第2のディスク中間体の一例を示す断面図である。 第1の記録層タイプの光ディスクを示す断面図である。 第2の記録層タイプの光ディスクを示す断面図である。 第1の記録層タイプのディスクの分光特性測定結果を示す図である。 第2の記録層タイプのディスクの分光特性測定結果を示す図である。 第1の記録層とは異なる材料の第2の記録層タイプのディスクの分光特性測定結果を示す図である。 本発明の光ディスクの第2の記録層を有する半面側を模式的に示す拡大断面図である。 従来の光ディスクの一例を示す断面図である。
符号の説明
20…光ディスク、22…第1の光透過性基板、24…第1の記録層、26…第1の光透過性樹脂薄膜層、28…光透過性接着剤層、30…第2の光透過性樹脂薄膜層、32…第2の記録層、34…反射層、36…第2の基板、60…光透過層、62…光入射面、64…案内溝、64A…ランド部、64B…グルーブ部、M1…第1のディスク中間体、M2…第2のディスク中間体。

Claims (5)

  1. 第1の光透過性基板上に少なくとも第1の記録層を形成してなる第1のディスク中間体と、第2の基板上に少なくとも反射層とアルコール系またはセロソルブ系有機溶剤に溶解可能な有機色素を主成分とする第2の記録層とを形成してなる第2のディスク中間体とを、前記第1の記録層を形成した側の面と前記第2の記録層とを形成した側の面とを対向させて間に前記第2の記録層を溶解する光透過性接着剤層を介在させて貼り合わせてなる光ディスクにおいて、
    少なくとも前記第2のディスク中間体の第2の記録層の表面には、前記有機色素が、記録のために照射されたレーザ光を吸収し分解する温度以下で軟化し変形する熱可塑性樹脂からなる光透過性樹脂薄膜層が接するように形成されており、前記光透過性樹脂薄膜層と前記光透過性接着剤層とが接するように構成したことを特徴とする光ディスク。
  2. 前記光透過性樹脂薄膜層は、前記第2の記録層を溶解しない有機溶剤に可溶であり、かつ前記有機色素が、記録のために照射されたレーザ光を吸収し分解する温度以下で軟化し変形する脂環式アモルファスポリオレフィン系樹脂をスピンコート法によって形成したことを特徴とする請求項1記載の光ディスク。
  3. 前記第1の記録層と前記第2の記録層に、光学的分光特性が互いに異なる材料をそれぞれ用いたことを特徴とする請求項1または2記載の光ディスク。
  4. 前記第2の基板には、案内溝が形成されており、前記レーザ光が入射する光入射面から前記案内溝のランド部における前記第2の記録層の界面までの距離をDl、前記光入射面から前記案内溝のグルーブ部における前記第2の記録層の界面までの距離をDg、前記光入射面から前記案内溝のランド部における前記反射層の界面までの距離をRl、前記光入射面から前記案内溝のグルーブ部における前記反射層の界面までの距離をRgとした時、下記の式を満たすように形成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の光ディスク。
    Dl・Dg≧Rl・Rg
  5. 光ディスクの製造方法において、
    第1の光透過性基板上に少なくとも第1の記録層を形成して第1のディスク中間体を作製する工程と、
    第2の基板上に少なくとも反射層と第2の記録層を形成し、第2の記録層と接するように、前記第2の記録層を溶解しない有機溶剤に可溶であり、かつ前記有機色素が、記録のために照射されたレーザ光を吸収し分解する温度以下で軟化し変形する熱可塑性樹脂からなる光透過性樹脂薄膜層をスピンコート法にて形成して第2のディスク中間体を作製する工程と、
    前記第1の記録層を形成した側の面と前記光透過性樹脂薄膜層を形成した側の面とを対向させて間に前記第2の記録層を溶解する光透過性接着剤層を介在させて上記第1及び第2のディスク中間体を接合する工程と、
    を備えたことを特徴とする光ディスクの製造方法。

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