JP4818209B2 - エンジンオイルの劣化推定装置 - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の潤滑に用いられるエンジンオイルの劣化を推定するエンジンオイルの劣化推定装置に関する。
エンジンオイルは、エンジンの潤滑機能に加えて、清浄化や、防錆、腐食防止などの様々な機能を有する。エンジンオイルが劣化すると、これらの諸機能が維持できなくなるとともに、スラッジの生成などにより、エンジンの損傷などの不具合の原因にもなるので、劣化度合に応じて早期に交換することが好ましい。一方、近年の環境保護の観点からは、廃油量の削減が求められており、エンジンオイルの場合には特に、廃油量や交換頻度の多さから、交換間隔をできるだけ長くすることが望まれている。以上のようなエンジン保護と環境保護の両立という観点から、エンジンオイルの実際の劣化を精度良く判定し、エンジンオイルの交換時期を適切に設定することが、非常に重要な課題になっている。
このため、従来、エンジンオイルに関する様々な劣化判定装置が提案されており、例えば特許文献1に開示されたものが知られている。この劣化判定装置は、エンジンオイル(以下「オイル」という)の性状に応じて判定を行う第1判定装置と、エンジンの稼働情報に応じて判定を行う第2判定装置を備えている。第1および第2判定装置のいずれか一方がオイルが劣化していると判定したときには、その旨が表示器に表示され、オイルの交換が促される。
第1判定装置は、光センサを用いるものであり、発光部からオイルに向けて光を発するとともに、オイルで反射した光を受光部で受光し、その受光量が所定の第1基準値よりも小さいときに、オイル中に比較的大きな径の微粒子が生成されているとして、オイルが劣化していると判定する。一方、第2判定装置は、オイルの交換後における車両の走行距離などのエンジンの稼働情報の積算値を算出し、算出された積算値が所定の第2基準値以上になったときに、オイルが劣化したと判定する。また、上記の第1判定装置用の第1基準値は、オイルを良好な状態で使用するという観点から、より厳しく設定されるのに対し、第2判定装置用の第2基準値は、エンジンに不具合を生じさせない限界近くまでオイルを使用するという観点から、より緩やかに設定されている。
しかし、この従来の劣化判定装置では、第1判定装置の正常時には、より厳しい第1基準値を用いた第1判定装置による判定結果が採用されるため、オイルの劣化度合がそれほど高くない状態でも、オイルが劣化したと判定されやすく、その結果、オイルが早期に交換され、無駄に廃棄されてしまう。
また、第1判定装置の故障時には、そのバックアップとして、第2基準値を用いた第2判定装置による判定結果が採用される。しかし、この第2判定装置の判定手法は、オイルの交換後における走行距離などの積算値に応じて、オイルの劣化度合を推定するにすぎない。これに対し、オイル劣化の実際の進行度合は、上記のような走行距離や回転数の積算値だけでなく、エンジンの運転環境や運転状況などに応じても大きく異なるため、第2判定装置によっては、オイルの劣化度合を精度良く判定できない。このため、潤滑不良などの不具合を確実に回避するためには、第2基準値に対して安全率を余分に設定することが必要になり、オイルの交換時期がやはり早くなってしまう。
さらに、この従来の劣化判定装置では、第1判定装置による劣化判定のために光センサを設けなければならず、その分、製造コストが増大するという欠点もある。
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたものであり、エンジンオイルの劣化を安価にかつ精度良く推定でき、それにより、エンジンオイルの交換時期を適切に判定することができるエンジンオイルの劣化推定装置を提供することを目的とする。
特開平7−189641号公報
上記の目的を達成するため、請求項1に係る発明は、内燃機関3の潤滑に用いられるエンジンオイルの劣化推定装置であって、エンジンオイルの酸化防止性能(実施形態における(以下、本項において同じ)酸化誘導時間OIT)を推定する酸化防止性能推定手段(ECU2、式(1)、図8のステップ5、図10)と、エンジンオイルの清浄維持性能(全塩基価TBN)を推定する清浄維持性能推定手段(ECU2、式(18)、図8のステップ4)と、推定された酸化防止性能および清浄維持性能に基づいて、エンジンオイルの劣化を推定する劣化推定手段(ECU2、図8のステップ6、図14)と、を備え、酸化防止性能推定手段は、エンジンオイルに含まれる酸化防止剤による酸化防止性能を、第1酸化防止性能(酸化防止剤相当分のOIT[OIT] AH ))として推定する第1酸化防止性能推定手段(式(5)、図10のステップ35、40)と、エンジンオイルに含まれる過酸化物分解剤による酸化防止性能を、第2酸化防止性能(過酸化物分解剤相当分のOIT[OIT] ZN ))として推定する第2酸化防止性能推定手段(式(6)、図10のステップ39、40)と、を有し、酸化防止性能(総OIT[OIT] TOTAL )を、推定された第1酸化防止性能および第2酸化防止性能に基づいて算出する(式(1)、図10のステップ40)ことを特徴とする。
本発明は、以下のような技術的観点に基づいている。エンジンオイルの劣化度合を大きく左右する重要な性能として、酸化防止性能と清浄維持性能がある。酸化防止性能は、エンジンオイルに添加される酸化防止剤によって発揮されるとともに、本来は摩擦調整用として添加される過酸化物分解剤の副作用として発揮されるものである。エンジンオイル中に酸化防止性能が十分に存在している場合には、酸化生成物が混入しても、不溶解成分は発生せず、スラッジも生成されないのに対し、酸化防止性能の消耗が進むと、エンジンオイルの低温状態の部分において、不溶解分が発生し、凝集することによって、スラッジが生成される(以下「低温スラッジ」という)。低温スラッジが生成されると、エンジンオイルの諸機能が急激に失われ、潤滑不良や油路の閉塞などが生じるおそれがある。以上のように、酸化防止性能は、エンジンオイルの劣化度合を良好に表すオイル劣化パラメータの1つであり、その残存量によってエンジンオイルの残り寿命を判定できる。
一方、清浄維持性能は、エンジンオイルに添加される清浄剤によって発揮されるものである。エンジンオイル中に清浄維持性能が十分に存在している場合には、高温状態にあるエンジンオイルが蒸発するのに伴い、オイル中の不溶解分も一緒に蒸発するため、スラッジは生成されないのに対し、清浄維持性能の消耗が進むと、エンジンオイルが蒸発しても、不溶解分が蒸発せずに残留し、凝集することによって、スラッジが生成される(以下「高温スラッジ」という)。高温スラッジが生成されたときの状況は、上述した低温スラッジの場合と基本的に同じであり、エンジンオイルの諸機能が急激に失われ、潤滑不良やピストンリングのスティックなどが生じるおそれがある。以上のように、清浄維持性能もまた、酸化防止性能と同様、エンジンオイルの劣化度合を良好に表すオイル劣化パラメータの1つであり、その残存量によってエンジンオイルの残り寿命を判定できる。
また、酸化防止性能と清浄維持性能では、上述したように消耗の要因やメカニズムが異なるため、消耗の状況(消耗の始期や終期、速度など)や進行度合が互いに異なる。このため、内燃機関の運転状況などによっては、酸化防止性能が先に消耗することで、エンジンオイルの寿命を左右する場合もあれば、その逆の場合もある。このため、酸化防止性能および清浄維持性能の一方に基づいて劣化判定を行った場合には、高い判定精度が得られず、エンジンオイルの劣化による不具合を確実に回避しようとすれば、判定の安全率を高めに設定することが必要になり、エンジンオイルが無駄に交換されてしまう。
以上の技術的観点に基づき、本発明によれば、エンジンオイルの酸化防止性能および清浄維持性能をそれぞれ推定するとともに、推定された酸化防止性能および清浄維持性能に基づいて、エンジンオイルの劣化を推定する。このように、酸化防止性能および清浄維持性能という異なる2種類のオイル劣化パラメータを併用して、劣化の推定を行うので、単一のオイル劣化パラメータを用いる場合よりも安全率を小さく設定しながら、エンジンオイルの劣化を精度良く推定でき、したがって、エンジンオイルの交換時期を適切に判定することができる。また、酸化防止性能および清浄維持性能を推定によって求めるので、従来の劣化判定装置のような判定専用のセンサは不要であり、より安価に構成することができる。
また、前述したように、酸化防止性能は、エンジンオイルに添加される酸化防止剤と過酸化物分解剤によって発揮される。また、酸化防止剤と過酸化物分解剤では、その消耗形態が互いに異なり、前者は時間に対して概ね直線的な消耗形態をとり、後者は概ね指数関数的な消耗形態をとることが確認されている。本発明によれば、酸化防止剤による酸化防止性能と過酸化物分解剤による酸化防止性能とを別個に把握し、それぞれ第1酸化防止性能および第2酸化防止性能として推定するので、これらの推定を、上述した消耗形態の相違に応じて精度良く行うことができる。また、そのように推定した第1および第2酸化防止性能に基づいて、酸化防止性能を算出するので、エンジンオイル全体としての酸化防止性能を適切に推定することができる。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載のエンジンオイルの劣化推定装置において、酸化防止性能に基づいて、エンジンオイルの残りの寿命を表す第1残り寿命パラメータ(残り寿命指数ROIT)を算出する第1残り寿命パラメータ算出手段(ECU2、図14のステップ51、図15)と、清浄維持性能に基づいて、エンジンオイルの残りの寿命を表す第2残り寿命パラメータ(残り寿命指数RTBN)を算出する第2残り寿命パラメータ算出手段(ECU2、図14のステップ52、図16)と、をさらに備え、劣化推定手段は、算出された第1および第2残り寿命パラメータのうちのより小さい方(残り寿命指数ROLF)に基づいて、エンジンオイルの劣化を判定する(図14のステップ53〜56)ことを特徴とする。
この構成によれば、推定された酸化防止性能および清浄維持性能にそれぞれ基づいて、エンジンオイルの残りの寿命を表す第1および第2残り寿命パラメータを算出し、そのうちのより小さい方に基づいてエンジンオイルの劣化を判定する。すなわち、酸化防止性能および清浄維持性能のうちの、エンジンオイルの実際の残り寿命がより短いことを示すものに基づいて、劣化判定を行うので、エンジンオイルの交換時期を的確に判定することができる。また、このような判定手法によれば、酸化防止性能および清浄維持性能の各々に対する安全率を小さく設定することが可能になり、それにより、劣化判定の精度をさらに高めることができる。
以下、図面を参照しながら、本発明の好ましい実施形態について説明する。図1は、本発明が適用された内燃機関3を示す。この内燃機関(以下「エンジン」という)3は、車両(図示せず)に搭載された、例えば4気筒タイプのガソリンエンジンである。
エンジン3のピストン3aとシリンダヘッド3bの間には、燃焼室3cが形成されている。シリンダヘッド3bには、吸気管4および排気管5がそれぞれ接続されるとともに、燃料噴射弁(以下「インジェクタ」という)6および点火プラグ7(図2参照)が、燃焼室3cに臨むように取り付けられている。インジェクタ6の燃料噴射量QINJおよび噴射時期と点火プラグ7の点火時期は、後述するECU2によって制御される。
クランクシャフト3dなどを収容するクランクケース3e内の底部には、オイルパン3fが設けられている。オイルパン3fには、エンジン3の潤滑に用いられるエンジンオイルが溜められている。
また、クランクシャフト3dにはマグネットロータ11aが取り付けられており、このマグネットロータ11aとMREピックアップ11bによって、クランク角センサ11(運転状態検出手段)が構成されている。クランク角センサ11は、クランクシャフト3dの回転に伴い、パルス信号であるCRK信号およびTDC信号をECU2に出力する。
CRK信号は、所定のクランク角(例えば30゜)ごとに出力される。ECU2は、このCRK信号に基づき、エンジン3の回転数(以下「エンジン回転数」という)NEを求める。TDC信号は、各シリンダのピストン3aが吸気行程開始時のTDC(上死点)付近の所定クランク角度位置にあることを表す信号であり、4気筒タイプの本例では、クランク角180゜ごとに出力される。
また、エンジン3には水温センサ12が設けられている(図2参照)。水温センサ12は、エンジン3の本体内を循環する冷却水の温度(以下「エンジン水温」という)TWを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
吸気管4内にはスロットル弁8が設けられており、スロットル弁8には、直流モータなどで構成されたアクチュエータ9が接続されている。スロットル弁8の開度は、アクチュエータ9に供給される電流のデューティ比をECU2で制御することによって制御され、それにより、燃焼室3cに吸入される吸気量が制御される。
さらに、吸気管4には、スロットル弁8よりも下流側に、吸気圧センサ13および吸気温センサ14が設けられている(図2参照)。吸気圧センサ13は、吸気管4内の吸気圧Pbを絶対値として検出し、その検出信号をECU2に出力する。また、吸気温センサ14は、吸気管4を流れる吸気の温度(以下「吸気温」という)TAを検出し、その検出信号をECU2に出力する。
ECU2には、アクセル開度センサ15から、アクセルペダル(図示せず)の操作量(以下「アクセル開度」という)APを表す検出信号が出力される。また、車両の運転席には、エンジンオイルの劣化状態を表示するためのオイルランプ21が設けられており、このオイルランプ21はECU2に接続されている。
ECU2は、I/Oインターフェース、CPU、RAMおよびROMなどから成るマイクロコンピュータで構成されている。前述した各種のセンサ11〜15からの検出信号はそれぞれ、I/OインターフェースでA/D変換や整形がなされた後、CPUに入力される。
CPUは、これらの入力信号に応じ、ROMに記憶された制御プログラムなどに従って、エンジン3の運転状態を判別するとともに、判別した運転状態に応じて、インジェクタ6の燃料噴射制御や、吸気量制御、点火時期制御などのエンジン制御を行う。
また、ECU2は、エンジンオイルの劣化を判定するオイル劣化判定処理を実行する。本実施形態では、ECU2によって、酸化防止性能推定手段、清浄維持性能推定手段、劣化推定手段、第1および第2残り寿命パラメータ算出手段、ならびに第1および第2劣化パラメータ算出手段が構成されている。
以下、上記のオイル劣化判定処理において用いられる酸化誘導時間(以下「OIT」という)の推定手法について、まず説明する。このOITは、試料油および所定の基準物質を所定の高温および高圧条件下においたときに発熱が開始されるまでの時間として定義されるものであり、酸化防止性能と密接な相関性を有し、その有効な指標となる。また、エンジンオイル中にOITが残存していれば、不溶解分が発生せず、低温スラッジも生成されないことが、確認されていることから、OITは、エンジンオイルの劣化判定の良好な基準になるものである。
OITは、次式(1)によって算出される。
[OIT]TOTAL = [OIT]AH + [OIT]ZN ・・・(1)
ここで、[OIT]TOTAL はエンジンオイル中の総OIT、[OIT]AHは酸化防止剤相当分のOIT(以下、適宜「第1OIT」という)、[OIT]ZNは過酸化物分解剤相当分のOIT(以下、適宜「第2OIT」という)である。
式(1)から次式(2)が成立する。
d[OIT]TOTAL/dt = d[OIT]AH/dt+d[OIT]ZN/dt
・・・(2)
また、式(2)中の第1OIT変化量d[OIT]AH/dtおよび第2OIT変化量d[OIT]ZN/dtは、それぞれ次式(3)および(4)によって算出される。
d[OIT]AH/dt=k1+k2×[NOx]2+k3×[FUEL]2 ・・・(3)
d[OIT]ZN/dt=[OIT]ZN×(k4+k5×[NOx]2+k6×[FUEL]2
・・・(4)
ここで、k1〜k6はOITの反応速度係数、[NOx]はNOx濃度、 [FUEL] はエンジンオイル中の燃料濃度(希釈率)である。
さらに、式(3)および(4)を積分することによって、[OIT]AHおよび [OIT]ZNはそれぞれ、次式(5)および(6)のように求められる。
[OIT]AH = [OIT]AHINI
−(Σk1+Σk2×[NOx]2+Σk3×[FUEL]2) ・・・(5)
[OIT]ZN = [OIT]ZNINI
×EXP{−(Σk4+Σk5×[NOx]2+Σk6×[FUEL]2)}
・・・(6)
ここで、 [OIT]AHINI は [OIT]AHの初期値、[OIT]ZNINI は [OIT]ZN の初期値である。
上記の式(3)および(4)は、以下のようにして導き出されたものである。まず、OITの第1の劣化要因として熱(油温)を想定するとともに、第1酸化防止性能[OIT]AHが時間に対して直線的に減少し、第2酸化防止性能[OIT]ZNが指数関数的に減少すると仮定すると、第1OIT変化量d[OIT]AH/dt、第2OIT変化量d[OIT]ZN/dtは、それぞれ次式(7)および(8)のように表される。
d[OIT]AH/dt=k1 ・・・(7)
d[OIT]ZN/dt=[OIT]ZN×k4 ・・・(8)
また、これらの式の妥当性を確認するために、エンジンオイルに空気と熱を与えてOITの消耗実験を行った。図3は、それによって得られた反応速度係数k1、k4をアレニウスプロットした結果を示しており、両反応速度係数k1、k4ともに、良好な直線関係が得られることが確認された。
次に、OITの第2の劣化要因としてNOxを想定するとともに、NOxによるOITの劣化が熱による劣化と独立して生じると仮定すると、第1OIT変化量d[OIT]AH/dt、第2OIT変化量d[OIT]ZN/dtは、それぞれ次式(9)および(10)のように表される。
d[OIT]AH/dt=k1+ANOx ・・・ (9)
d[OIT]ZN/dt=[OIT]ZN×(k4+BNOx) ・・・(10)
ここで、ANOx、BNOxは、NOxによるOITの劣化速度項である。
これらの劣化速度項ANOx、BNOxは、NOxが存在する条件と存在しない条件でそれぞれOITの消耗試験を行い、両条件で得られたOIT変化量の差分によって求めることができる。図4は、このときのNOx濃度[NOx]の対数を横軸にプロットし、劣化速度項ANOx、BNOxの変化量の対数を縦軸にプロットして、次数解析を行った結果を示している。各直線の傾きから、NOx濃度[NOx]の反応次数がそれぞれ約2と求められ、これらを反応速度式で表すと、それぞれ次式(11)および(12)が得られる。
d[OIT]AH/dt=k1+k2×[NOx]2 ・・・(11)
d[OIT]ZN/dt=[OIT]ZN×(k4+k5×[NOx]2 ) ・・・(12)
また、図5は、反応速度係数k2、k5をアレニウスプロットした結果を示しており、両反応速度係数k2、k5ともに、良好な直線関係が得られることが確認された。
次いで、OITの第3の劣化要因として、エンジンオイル中の燃料を想定するとともに、燃料によるOITの劣化が熱およびNOxによる劣化と独立して生じると仮定すると、第1OIT変化量d[OIT]AH/dt、第2OIT変化量d [OIT]ZN/dtは、それぞれ次式(13)および(14)のように表される。
d[OIT]AH/dt=k1+k2×[NOx]2 +CFUEL ・・・(13)
d[OIT]ZN/dt=[OIT]ZN×(k4+k5×[NOx]2 +DFUEL
・・・(14)
ここで、CFUEL、DFUELは、燃料によるOITの劣化速度項である。
これらの劣化速度項CFUEL、DFUELは、エンジンオイル中に燃料が存在する条件と存在しない条件でそれぞれOITの消耗試験を行い、両条件で得られたOIT変化量の差分によって求めることができる。図6は、このときの燃料濃度 [FUEL] と劣化速度項CFUEL、DFUELの変化量を、それぞれ横軸および縦軸に対数プロットし、次数解析を行った結果を示している。各直線の傾きから、燃料濃度[FUEL]の反応次数がそれぞれ約2と求められ、これらを反応速度式で表すと、前記式(3)および(4)が得られる。
また、図7は、反応速度係数k3、k6をアレニウスプロットした結果を示しており、両反応速度係数k3、k6ともに、良好な直線関係が得られることが確認された。
次に、ECU2で実行されるエンジンオイルの劣化判定処理について説明する。図8はそのメインフローを示しており、本処理は、所定時間(例えば1秒)ごとに実行される。本処理ではまず、ステップ1(「S1」と図示。以下同じ)において、エンジンオイルの温度である油温TOILを算出する。この油温TOILの算出は、例えば、エンジン水温TWに応じ、所定のテーブル(図示せず)を検索することによって、基本値を求めるとともに、求めた基本値を、吸気温TA、吸気圧Pbおよびエンジン回転数NEで補正することによって、行われる。なお、油温TOILは、クランクケース3eなどに設けた油温センサで直接、検出してもよい。
次いで、クランクケース3e内のNOx濃度[NOx]を算出する(ステップ2)。このNOx濃度[NOx]の算出は、吸気圧Pbおよびエンジン回転数NEに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索するとともに、検索したマップ値を燃料噴射量QINJや点火時期などで補正することによって、行われる。
次に、エンジンオイル中の燃料濃度(希釈率) [FUEL] を算出する(ステップ3)。図9は、そのサブルーチンを示している。本処理は、TDC信号の入力に同期して実行される。まず、ステップ11〜14において、燃料混入量QAODを算出する。この燃料混入量QAODは、インジェクタ6から噴射された燃料のうち、燃焼室3cから排出されずに、シリンダ壁面などに付着した後、エンジンオイルに混入する1TDC当たりの燃料量を表す。
まず、ステップ11では、エンジン回転数NEおよび燃料噴射量QINJに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、燃料混入率RODを算出する。この燃料混入率RODは、燃料噴射量に対するエンジンオイルに混入する燃料量の割合を表す。このマップでは、燃料混入率RODは、エンジン回転数NEが低いほど、噴射された燃料が気化しにくく、シリンダ壁面に付着しやすいため、より大きな値に設定されている。
次いで、エンジン水温TWに応じ、所定のテーブル(図示せず)を検索することによって、水温補正係数KTWを算出する(ステップ12)。このテーブルでは、水温補正係数KTWは、エンジン水温TWが低いほど、噴射された燃料が気化しにくいため、より大きな値に設定されている。
次に、噴射時期に応じ、所定のテーブル(図示せず)を検索することによって、噴射時期補正係数KTPを算出する(ステップ13)。このテーブルでは、噴射時期補正係数KTPは、噴射時期が遅角側であるほど、シリンダ内の圧力および温度がより低くなることで、噴射された燃料が気化しにくいため、より大きな値に設定されている。
次いで、燃料噴射量QINJと、上記ステップ11〜13で算出された燃料混入率ROD、水温補正係数KTWおよび噴射時期補正係数KTPを用い、次式(15)によって、燃料混入量QAODを算出する(ステップ14)。
QAOD=QINJ×ROD×KTW×KTP ・・・(15)
次に、ステップ15〜17では、燃料蒸発量QVAFを算出する。この燃料蒸発量QVAFは、1TDC当たりにエンジンオイルから蒸発する燃料の蒸発量を表す。
まず、ステップ15では、エンジン回転数NEおよび燃料噴射量QINJに応じ、所定のマップ(図示せず)を検索することによって、燃料蒸発率RVAFを算出する。この燃料蒸発率RVAFは、エンジンオイルに混入した総燃料量に対する燃料の蒸発量の割合を表す。また、このマップでは、燃料蒸発率RVAFは、エンジン回転数NEが大きいほど、また燃料噴射量QINJが大きいほど、エンジン3本体の温度がより高くなることで、エンジンオイルから燃料が蒸発しやすいため、より大きな値に設定されている。
次いで、油温TOILに応じ、所定のテーブル(図示せず)を検索することによって、油温補正係数KOILを算出する(ステップ16)。このテーブルでは、油温補正係数KOILは、油温TOILが高いほど、エンジンオイルから燃料が蒸発しやすいため、より大きな値に設定されている。
次に、そのときまでに得られている燃料希釈量QODと、燃料蒸発率RVAFおよび油温補正係数KOILを用い、次式(16)によって、燃料蒸発量QVAFを算出する(ステップ17)。なお、燃料希釈量QODは、エンジンオイル中に含まれる総燃料量を表し、エンジンオイルの交換時に値0にリセットされる。
QVAF=QOD×RVAF×KOIL ・・・(16)
次いで、前記ステップ14および17でそれぞれ算出された燃料混入量QAODと燃料蒸発量QVAFとの差を、今回の1TDC当たりの希釈量ΔQODとして算出する(ステップ18)。次に、そのときまでに得られている燃料希釈量QODに、今回、算出された1TDC当たりの希釈量ΔQODを加算することによって、燃料希釈量QODを算出する(ステップ19)。
最後に、算出した燃料希釈量QODをエンジンオイル量QOILで除算することによって、燃料濃度[FUEL]を算出し(ステップ20)、本処理を終了する。このエンジンオイル量QOILは、エンジンオイルの総量を表し、例えば所定値に設定される。
図8に戻り、前記ステップ3に続くステップ4では、エンジンオイルの全塩基価(以下「TBN」という)を算出する。このTBNは、エンジンオイルに添加される清浄剤の残存量を示す値であり、エンジンオイルを清浄に保つ清浄維持性能の有効な指標になるものである。TBN値がある限界値を下回ると、高温スラッジの生成が顕著になることが知られており、TBNは、OITと同様、エンジンオイルの劣化度合を良好に表すオイル劣化パラメータである。
TBNの算出は、例えば次のようにして行われる。まず、前記ステップ1および2で求めた油温TOILおよびNOx濃度[NOx]を用い、TBNの変化量d [TBN] /dtを次式(17)によって算出する。
d[TBN]/dt=k7×[TBN]2 +k8×[TBN]×[NOx]2 +k9
・・・(17)
ここで、k7〜k9は、実験によって求めたTBNの反応速度係数である。
そして、式(17)を積分することにより、次式(18)によってTBNを算出する。
TBN=1/{k7×t+(1/ [TBN]INI)}+ k8×[NOx]2 ×t
+k9×t ・・・(18)
ここで、 [TBN]INI はTBNの初期値である。
次に、ステップ5においてOITを算出する。図10は、そのサブルーチンを示しており、OITの算出は、前記式(3)〜(6)に従って行われる。まず、ステップ31では、油温TOILに応じ、図11〜図13に示すテーブルを検索することによって、反応速度係数の対数Lnk1〜Lnk6を求めるとともに、求めたLnk1〜Lnk6から反応速度係数k1〜k6を算出する。
これらのテーブルは、油温TOILと反応速度係数k1〜k6とのそれぞれの関係を実験によって求め、アレニウスプロットしたものであり、図3、図5および図7に示した温度−k1〜k6の特性図と基本的に同じ傾向を有している。なお、上記のテーブルはアレニウス型のものであるが、これに代えて、油温TOILを横軸に、反応速度係数k1〜k6を縦軸に表し、油温TOILからk1〜k6値を直接、検索するようにしてもよい。
次いで、ステップ32〜34において、式(5)のΣk1、Σk2×[NOx]2 およびΣk3×[FUEL]2 にそれぞれ相当する、酸化防止剤相当分の温度項OITAHO、NOx項OITAHNOXおよび燃料項OITAHFUELを、それぞれ算出する。
具体的には、ステップ32において、温度項OITAHOを、その初期値OITAHOZに反応速度係数k1を加算することによって、算出する。ステップ33では、NOx項OITAHNOXを、その初期値OITAHNOXZに、反応速度係数k2とNOx濃度[NOx]の2乗との積(=k2・[NOx]2 )を加算することによって、算出する。また、ステップ34では、燃料項OITAHFUELを、その初期値OITAHFUELZに、反応速度係数k3と燃料濃度 [FUEL] の2乗との積(=k3・[FUEL]2 )を加算することによって、算出する。なお、上記の初期値OITAHOZ、OITAHNOXZおよびOITAHFUELZはいずれも、エンジンオイルの交換時に値0にリセットされる。
次に、次式(19)により、上記のように算出した温度項OITAHO、NOx項OITAHNOXおよび燃料項OITAHFUELを互いに加算することによって、酸化防止剤相当分の減算項OITAHを算出する(ステップ35)。
OITAH=OITAHO+OITAHNOX+OITAHFUEL
・・・(19)
この減算項OITAHは、式(5)の右辺の第2項に相当し、エンジンオイルの交換時からの酸化防止剤相当分のOITの総減少量を表す。
次いで、ステップ36〜38において、式(6)のΣk4、Σk5×[NOx]2 およびΣk6×[FUEL]2 にそれぞれ相当する、過酸化物分解剤相当分の温度項OITZNO、NOx項OITZNNOXおよび燃料項OITZNFUELを、それぞれ算出する。
具体的には、ステップ36において、温度項OITZNOを、その初期値OITZNOZに反応速度係数k4を加算することによって、算出する。ステップ37では、NOx項OITZNNOXを、その初期値OITZNNOXZに、反応速度係数k5とNOx濃度[NOx]の2乗との積(=k5・[NOx]2 )を加算することによって、算出する。また、ステップ38では、燃料項OITZNFUELを、その初期値OITZNFUELZに、反応速度係数k6と燃料濃度 [FUEL] の2乗との積(=k6・[FUEL]2 )を加算することによって、算出する。なお、上記の初期値OITZNOZ、OITZNNOXZおよびOITZNFUELZもまた、エンジンオイルの交換時に値0にリセットされる。
次に、上記のように算出した温度項OITZNO、NOx項OITZNNOXおよび燃料項OITZNFUELを用い、次式(20)によって、過酸化物分解剤相当分の乗算項OITZNを算出する(ステップ39)。
OITZN=EXP{−(OITZNO
+OITZNNOX+OITZNFUEL)} ・・・(20)
この乗算項OITZNは、式(6)の右辺の初期値[OIT]ZNINI に対する乗算項に相当する。
次いで、ステップ35で算出した酸化防止剤相当分の減算項OITAH、および過酸化物分解剤相当分の乗算項OITZNを用い、次式(21)によってOITを算出し(ステップ40)、本処理を終了する。
OIT=OITAHINI−OITAH+OITZNINI×OITZN
・・・(21)
この式(21)は、式(1)(5)(6)に相当し、OITAHINI、OITZNINIはそれぞれ、酸化防止剤相当分のOITの初期値、過酸化物分解剤相当分のOITの初期値である。
図8に戻り、前記ステップ5に続くステップ6では、前述したようにして求めたTBNおよびOITに基づいて、エンジンオイルの劣化を判定し、本処理を終了する。
図14は、そのサブルーチンを示している。まず、ステップ51では、TBNに応じ、図15に示すテーブルを検索することによって、TBNに基づく残り寿命指数RTBNを算出する。このテーブルは、TBN値とエンジンオイルの残り寿命との関係を実験などによって求め、残り寿命指数RTBNとして表したものである。残り寿命指数RTBNは、その値が小さいほど、エンジンオイルの劣化度合が高く、その残り寿命がより短いことを示し、したがって、このテーブルでは、TBN値が小さいほど、より小さな値に設定されている。
次に、OITNに応じ、図16に示すテーブルを検索することによって、OITに基づく残り寿命指数ROITを算出する(ステップ52)。このテーブルは、OIT値とエンジンオイルの残り寿命との関係を実験などによって求め、残り寿命指数ROITとして表したものである。残り寿命指数ROITもまた、その値が小さいほど、エンジンオイルの劣化度合が高く、その残り寿命がより短いことを示し、したがって、このテーブルでは、OIT値が小さいほど、より小さな値に設定されている。
次いで、ステップ51および52で求めた残り寿命指数RTBN、ROITのうちのより小さい方を、最終的な残り寿命指数ROLFとして設定する(ステップ53)とともに、この残り寿命指数ROLFが所定の基準値RREFよりも小さいか否かを判別する(ステップ54)。
そして、この答がNOで、ROLF≧RREFのときには、エンジンオイルが劣化していないと判定して、オイル劣化フラグF_OILNGを「0」にセットし(ステップ55)、本処理を終了する。
一方、ステップ54の答がYESで、ROLF<RREFのときには、エンジンオイルが劣化していると判定し、そのことを表すために、オイル劣化フラグF_OILNGを「1」にセットし(ステップ56)、本処理を終了する。このようにオイル劣化フラグF_OILNGが「1」にセットされると、ECU2からの制御信号により、オイルランプ21が点灯することによって、運転者にエンジンオイルの交換が促される。
以上のように、本実施形態によれば、エンジンオイルでの低温スラッジの発生要因となる酸化防止性能の消耗の度合を表すOITと、高温スラッジの発生要因となる清浄維持性能の消耗の度合を表すTBNとを、互いに別個に算出するとともに、算出されたOITおよびTBNに基づいて、エンジンオイルの劣化を判定する。このように、OITおよびTBNという異なる2種類のオイル劣化パラメータを併用して、劣化判定を行うので、単一のオイル劣化パラメータを用いる場合よりも判定の安全率を小さく設定しながら、エンジンオイルの劣化を精度良く判定でき、したがって、エンジンオイルの交換時期を適切に判定することができる。
また、従来の劣化判定装置のような判定専用のセンサを用いることなく、OITおよびTBNを算出のみによって求めるので、より安価に構成することができる。
さらに、算出したOITおよびTBNにそれぞれ基づいて、エンジンオイルの残り寿命を表す残り寿命指数ROITおよびRTBNを算出し、そのうちのより小さなものを、基準値RREFと比較することによって、エンジンオイルの劣化を判定するので、エンジンオイルの交換時期を的確に判定することができる。また、そのような判定手法によれば、OITおよびTBNの各々に対する判定の安全率を小さく設定することが可能になり、それにより、劣化判定の精度をさらに高めることができる。
また、酸化防止剤相当分の[OIT]AHと過酸化物分解剤相当分の[OIT]ZNを互いに別個に算出するとともに(式(5)(6))、両者を加算することによって、エンジンオイル全体としての[OIT]TOTAL を算出する(式(1))。したがって、酸化防止剤と過酸化物分解剤との消耗形態の相違に応じて、[OIT]AH値および[OIT]ZN値をそれぞれ精度良く算出でき、それにより、エンジンオイル全体としてのOITも精度良く算出できるので、劣化判定の精度をより一層、高めることができる。
なお、本発明は、説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、実施形態では、酸化防止性能を表す指標としてOITを、清浄維持性能を表す指標としてTBNを、それぞれ用いているが、これに限らず、他の適当な指標を用いることが可能である。例えば、酸化防止性能を表す指標として、エンジンオイルに酸化を促進する所定の試薬を加え続け、エンジンオイルが酸化を防止できなくなったときの限界の試薬量を用いてもよく、あるいは、エンジンオイルと酸素を密閉空間に封入した状態で加圧・加熱し、酸化防止剤と酸素との反応により低下した所定時間後における密閉空間内の圧力値を用いてもよい。また、清浄維持性能を表す指標として、いわゆるホットチューブテストによって得られるエンジンオイルの色の評点や炭化物量を用いてもよい。さらに、実施形態で説明したOITおよびTBNの算出手法は、あくまで例示であり、他の適当な手法を採用できる。
また、実施形態では、算出したOITおよびTBNに基づいて、エンジンオイルの劣化を判定しているが、本発明は、このような劣化判定以外のエンジンオイルの劣化の推定にも適用できる。例えば、OITなどに基づいてエンジンオイルの劣化度合を推定し、さらに、この劣化度合からエンジンのピストンのフリクションの変化状態を推定し、燃料噴射制御などに利用してもよい。
さらに、実施形態ではエンジンオイル中の燃料濃度(希釈率)を、燃料噴射量QINJやエンジン回転数NEなどのエンジン3の運転状態に応じて推定しているが、センサを用いて直接、検出してもよい。同様に、燃料濃度を求める際のエンジンオイル量QOILとして所定値を用いているが、オイルレベルセンサなどによって検出してもよい。
また、実施形態は、本発明を車両用のガソリンエンジンに適用した例であるが、本発明は、これに限らず、ディーゼルエンジンなどの各種のエンジンや、クランク軸を鉛直方向に配置した船外機などのような船舶推進機用エンジンにも適用可能である。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
本発明が適用された内燃機関を概略的に示す図である。 ECUへの信号の入出力関係を示す図である。 OITの反応速度係数k1、k4のアレニウスプロット図である。 NOx濃度とOITの劣化速度項ANOx、BNOxとの関係を示す図である。 OITの反応速度係数k2、k5のアレニウスプロット図である。 燃料濃度とOITの劣化速度項CFUEL、DFUELとの関係を示す図である。 OITの反応速度係数k3、k6のアレニウスプロット図である。 エンジンオイルの劣化判定処理のメインフローを示すフローチャートである。 燃料濃度の算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 OITの算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 反応速度係数k1、k4を求めるためのテーブルの一例である。 反応速度係数k2、k5を求めるためのテーブルの一例である。 反応速度係数k3、k6を求めるためのテーブルの一例である。 劣化判定処理のサブルーチンを示すフローチャートである。 残り寿命指数RTBNを求めるためのテーブルの一例である。 残り寿命指数ROITを求めるためのテーブルの一例である。
符号の説明
2 ECU(酸化防止性能推定手段、清浄維持性能推定手段、劣化推定手段、第1およ
び第2残り寿命パラメータ算出手段、第1および第2劣化パラメータ算出手段)
3 エンジン
OIT 酸化誘導時間(酸化防止性能、第1劣化パラメータ)
TBN 全塩基価(清浄維持性能、第2劣化パラメータ)
ROIT OITに基づく残り寿命指数(第1残り寿命パラメータ)
RTBN TBNに基づく残り寿命指数(第2残り寿命パラメータ)
[OIT]AH 酸化防止剤相当分のOIT(第1酸化防止性能)
[OIT]ZN 過酸化物分解剤相当分のOIT(第2酸化防止性能)
[OIT]TOTAL 総OIT

Claims (2)

  1. 内燃機関の潤滑に用いられるエンジンオイルの劣化推定装置であって、
    エンジンオイルの酸化防止性能を推定する酸化防止性能推定手段と、
    エンジンオイルの清浄維持性能を推定する清浄維持性能推定手段と、
    前記推定された酸化防止性能および清浄維持性能に基づいて、エンジンオイルの劣化を推定する劣化推定手段と、を備え
    前記酸化防止性能推定手段は、
    エンジンオイルに含まれる酸化防止剤による酸化防止性能を、第1酸化防止性能として推定する第1酸化防止性能推定手段と、
    エンジンオイルに含まれる過酸化物分解剤による酸化防止性能を、第2酸化防止性能として推定する第2酸化防止性能推定手段と、を有し、
    前記酸化防止性能を、前記推定された第1酸化防止性能および第2酸化防止性能に基づいて算出することを特徴とするエンジンオイルの劣化推定装置。
  2. 前記酸化防止性能に基づいて、エンジンオイルの残りの寿命を表す第1残り寿命パラメータを算出する第1残り寿命パラメータ算出手段と、
    前記清浄維持性能に基づいて、エンジンオイルの残りの寿命を表す第2残り寿命パラメータを算出する第2残り寿命パラメータ算出手段と、をさらに備え、
    前記劣化推定手段は、前記算出された第1および第2残り寿命パラメータのうちのより小さい方に基づいて、エンジンオイルの劣化を判定することを特徴とする、請求項1に記載のエンジンオイルの劣化推定装置。
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