JP4817737B2 - L−アスパラギン酸カルシウム結晶の製造方法 - Google Patents

L−アスパラギン酸カルシウム結晶の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、カルシウム剤などの医薬品として有用なL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法に関する。
L−アスパラギン酸カルシウムは、低カルシウム血症に起因するテタニー症状などの改善、骨粗鬆症および骨軟化症などの骨疾患におけるカルシウム補給、発育期におけるカルシウム補給、妊娠、授乳時におけるカルシウム補給などに有用な医薬品の有効成分である。従って、L−アスパラギン酸カルシウムを一定の品質で安定に供給する製造方法が求められている。L−アスパラギン酸カルシウムは、下記式(I)に示す3水和物として、日本薬局方外医薬品規格に記載されている。該規格には、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物は、結晶性の粉末であると規定され、吸湿性を有すことが記載されている。
一方、L−アスパラギン酸カルシウムの製造方法としては、L−アスパラギン酸カルシウム水溶液を調製した後、噴霧乾燥することでL−アスパラギン酸カルシウム無水物を製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。さらに、L−アスパラギン酸カルシウム水溶液から3水和物として再結晶できることが知られている(非特許文献1参照)。また、L−アスパラギン酸カルシウム水溶液に親水性有機溶媒を滴下することによりL−アスパラギン酸カルシウム3水和物結晶を製造する方法が知られている(特許文献2)。しかしながら、これらの製造方法では、安定で取り扱いやすい結晶性の高いL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を再現性よく取得することは難しい。
特開昭54−79226号公報 特許3532558号公報 「薬学研究」、1965年、第36巻、p.243−253
本発明の目的は、カルシウム剤などの医薬品として有用なL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法であって、結晶性が高く、吸湿性の小さいL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を再現性よく取得できる製造方法を提供することにある。
本発明は、以下の(1)〜(11)に関する。
(1) 親水性有機溶媒および水の混合溶媒にL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液を滴下する工程を含むことを特徴とするL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法。
(2) (i)親水性有機溶媒および水の混合溶媒にL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液を滴下する工程および(ii)L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液からL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を析出させる工程を含むことを特徴とするL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法。
(3) (i)親水性有機溶媒および水の混合溶媒にL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液を滴下する工程、(ii)L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液からL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を析出させる工程、および(iii)L−アスパラギン酸カルシウムの結晶が析出している溶液中の該結晶を濾取し、得られた結晶を親水性有機溶媒または親水性有機溶媒および水の混合溶媒で洗浄する工程を含むことを特徴とするL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法。
(4) L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液が水溶液である(1)〜(3)のいずれかに記載の製造方法。
(5) L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液の50℃〜60℃におけるpHが5〜7である(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(6) L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液の50℃〜60℃におけるpHが5.5〜6.5である(1)〜(4)のいずれかに記載の製造方法。
(7) 親水性有機溶媒と水の混合溶媒が、30〜60容量/容量(v/v)%の親水性有機溶媒を含む混合溶媒である(1)〜(6)のいずれかに記載の製造方法。
(8) 親水性有機溶媒がアルコール系有機溶媒である(1)〜(7)のいずれかに記載の製造方法。
(9) アルコール系有機溶媒がメタノールまたはエタノールである(8)記載の製造方法。
(10) アルコール系有機溶媒がメタノールである(9)記載の製造方法。
(11) L−アスパラギン酸カルシウムの結晶が下記式(I)で表されるL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶である(1)〜(10)のいずれかに記載の製造方法。
本発明により、カルシウム剤などの医薬品として有用なL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を結晶性が高く、吸湿性の小さい結晶として再現性よく取得できる製造方法を提供することができる。
本発明のL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法は、(i)親水性有機溶媒および水の混合溶媒にL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液を滴下する工程、(ii)L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液からL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を析出させる工程、および(iii)L−アスパラギン酸カルシウムの結晶が析出している溶液中の該結晶を濾取し、得られた結晶を親水性有機溶媒または親水性有機溶媒および水の混合溶媒で洗浄する工程の少なくとも1つの工程を含むことを特徴とする製造方法であり、好ましくは(i)の工程を含む製造方法、より好ましくは(i)および(ii)の工程を含む製造方法、更に好ましくは(i)〜(iii)の工程を含む製造方法である。以下に各工程について詳細に説明する。
(i)親水性有機溶媒および水の混合溶媒にL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液を滴下する工程
本工程における親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコールなどのアルコール系有機溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系有機溶媒、アセトニトリル、アセトンなどがあげられ、これらは、単独でまたは混合して用いることができる。中でもメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒が好ましく、メタノールなどがより好ましい。
本工程における親水性有機溶媒および水の混合溶媒は、例えば上記の親水性有機溶媒と水とが任意の割合で混合した溶媒があげられる。該混合溶媒中の親水性有機溶媒の含有率[容量/容量(v/v)%]は、親水性有機溶媒の種類、滴下するL−アスパラギン酸カルシウム溶液の濃度などによって変動するが、例えば20〜70v/v%が好ましく、30〜60v/v%がより好ましい。より具体的には、例えば30〜60v/v%のメタノール水溶液などがあげられる。親水性有機溶媒の含有率が高すぎると微細な結晶が析出し、結晶取得時の固液分離性が極めて悪くなる、乾燥後の残留溶媒の残存率が高くなるなど、取得する結晶の品質などに影響が出るため望ましくない。
本工程に用いられるL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液としては、例えば上記で例示した親水性有機溶媒にL−アスパラギン酸カルシウムが溶解した溶液、上記で例示した親水性有機溶媒および水の混合溶媒にL−アスパラギン酸カルシウムが溶解した溶液、L−アスパラギン酸カルシウムが溶解した水溶液などがあげられ、好ましくはL−アスパラギン酸カルシウムが溶解した水溶液などがあげられる。該溶液の濃度[重量/重量(w/w)%]は、特に限定されないが、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物として15〜60w/w%の範囲であることが好ましく、20〜55w/w%の範囲であることがより好ましく、30〜40w/w%の範囲であることが更に好ましい。また、L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液のpHは、L−アスパラギン酸カルシウムの等電点近傍であることが好ましく、より具体的には、50〜60℃において5〜7であることが好ましく、5.5〜6.5であることがより好ましい。
本工程に用いられるL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液は、例えばカルシウムを含有する溶液にL−アスパラギン酸を添加することにより調製することができる。具体的には、例えばL−アスパラギン酸カルシウムを含有する水溶液は公知の方法(特開昭54−79226,特開昭62−116693など)により調製することができる。即ち、L−アスパラギン酸と消石灰(水酸化カルシウム)または生石灰(酸化カルシウム)とを水中で溶解・混合することにより調製することができる。調製されたL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液は、純度が高く着色が少なければそのまま使用してもよいが、不純物が多く、着色が顕著な場合は活性炭処理などを行うことが望ましい。また該溶液のpHの調整は、L−アスパラギン酸を添加することで酸性側に、水酸化カルシウム、酸化カルシウムなどを添加することで塩基性側に調整することができる。
親水性有機溶媒および水の混合溶媒へのL−アスパラギン酸カルシウム溶液の滴下量は、L−アスパラギン酸カルシウム溶液の濃度、該溶液の溶媒の種類、混合溶媒中の親水性有機溶媒の種類などにより変動するが、例えばL−アスパラギン酸カルシウム水溶液を滴下する場合は、滴下終了時の混合液(晶析原液)中の親水性溶媒の含有率(v/v%)が、例えば10〜35v/v%となるような量を滴下することが好ましく、15〜30v/v%となるような量を滴下することがより好ましい。上記の場合、より具体的には例えば親水性溶媒がアルコール系有機溶媒の場合は、該含有率が10〜25v/v%となるような量を滴下することが好ましく、15〜20v/v%となるような量を滴下することがより好ましい。
L−アスパラギン酸カルシウム溶液の滴下方法としては、連続して一回で滴下してもよいが、滴下中に析出した結晶を熟成しながら2回以上に分けて滴下してもよい。
L−アスパラギン酸カルシウム溶液の滴下温度は、滴下時に発生する微細結晶の発生を抑えるために、40℃と70℃の間の温度が好ましく、45℃と55℃の間の温度がより好ましい。
滴下時間は、製造するL−アスパラギン酸塩結晶のスケールなどに依存し、特に限定されないが、例えばL−アスパラギン酸として400kg含有する水溶液を滴下する場合は、好ましくは20分間〜3時間、より好ましくは30分間〜2時間である。
(ii)L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液からL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を析出させる工程
L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液中の親水性溶媒としては、例えば上記工程(i)であげた親水性溶媒があげられ、好ましくはメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、より好ましくはメタノールなどがあげられる。
L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液における親水性有機溶媒の含有率(v/v%)は、含有するL−アスパラギン酸カルシウムの量などにより変動するが、例えば上記工程(i)で得られた晶析原液における親水性有機溶媒の含有率が好ましく、具体的には、例えば10〜35v/v%であることが好ましく、15〜30v/v%であることがより好ましい。より具体的には、例えば親水性溶媒がアルコール系有機溶媒の場合は、該含有率は10〜25v/v%であることが好ましく、15〜20v/v%であることがより好ましい。
L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液におけるL−アスパラギン酸カルシウムの濃度[重量/容量(w/v)]は、含有する親水性有機溶媒の種類や量などにより変動するが、例えば上記工程(i)で得られた晶析原液におけるL−アスパラギン酸カルシウムの濃度が好ましい。
本工程のL−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液は、より好ましくは例えば上記工程(i)により得られた晶析原液を用いることもできる。
本工程は、上記のL−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒と水との混合溶液を撹拌する、またはそのまま静置する、あるいはそれらの操作を組み合わせることにより実施できる。これらの操作は、一定の温度で、もしくは冷却しながら、または後述するように結晶を熟成させるため加温しながら実施することができ、これらの条件を組み合わせて実施することが好ましい。具体的には、0℃と70℃の間の温度で実施することができ、好ましくは40℃と70℃の間の温度、好ましくは45℃と55℃の間の温度の該混合溶液を、0℃と40℃の間の温度、好ましくは10℃と30℃の間の温度まで冷却して実施することができ、結晶を熟成させるため途中加温してもよい。この時、L−アスパラギン酸カルシウムの結晶の種晶を添加することが好ましい。種晶は、本工程中、いつでも添加できるが、例えば上記工程(i)で得られた晶析原液を用いる場合は、L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液の滴下が終了した時点または晶析原液を冷却後もしくは冷却中に添加することが好ましく、一度に添加してもよいし、数回に分けて添加してもよい。種晶の添加量は、特に限定されないが、例えばL−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液中のL−アスパラギン酸カルシウム重量の0.05%〜3%であることが好ましく、0.1%〜1%であることがより好ましい。
本工程は、析出した結晶を熟成させることにより、結晶の析出量を増大させることができる。熟成温度は、特に限定されず、例えば上記工程(i)で得られた晶析原液を用いる場合は、L−アスパラギン酸カルシウム溶液の滴下終了時の温度と同じでもよいが、変えることもできる。より具体的には、例えば0℃と70℃の間の温度が好ましく、20℃と60℃の間の温度がより好ましい。また、結晶析出後、加温して熟成させることも好ましく、それによって固液分離性の優れた結晶に成長させることができる。熟成時間としては、例えば2時間〜12時間が好ましく、4時間〜12時間がより好ましく、5〜12時間がさらに好ましく、6〜12時間がさらにより好ましいが、屈折計などを用いてL−アスパラギン酸カルシウムの濃度を確認することにより、析出したL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の量を確認しながら適切な熟成時間を設定することもできる。
(iii)L−アスパラギン酸カルシウム塩結晶が析出している溶液中の該結晶を濾取し、得られた結晶を親水性有機溶媒または親水性有機溶媒および水の混合溶媒で洗浄する工程
本工程は、L−アスパラギン酸カルシウムの結晶が析出している溶液中の該結晶を例えば吸引濾過、遠心濾過、加圧濾過などの方法により濾取し、得られた結晶を洗浄後、乾燥させてL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を取得する工程である。
L−アスパラギン酸カルシウムの結晶が析出している溶液は、L−アスパラギン酸カルシウム塩結晶が析出していれば特に限定されないが、例えば上記工程(ii)で得られた溶液があげられ、より好ましくは例えば上記工程(i)によって得られた晶析原液を上記工程(ii)によって得られたL−アスパラギン酸カルシウムの結晶が析出した溶液があげられる。
結晶を濾取した後、常法に従い得られた結晶を洗浄することが好ましい。洗浄溶媒としては、上記(i)であげた親水性有機溶媒、該親水性有機溶媒および水の混合溶媒などがあげられ、好ましくはメタノール、エタノールなどのアルコール系溶媒、該アルコール系溶媒と水との混合溶媒、より好ましくはメタノール、メタノールと水との混合溶媒などがあげられる。
濾取した結晶の乾燥は、常法に従い、例えば常圧下、減圧下、通風下などの条件で、必要により加温して実施することができるが、好ましくは例えば付着水分量を確認しながら、減圧下、加温して実施することができる。
上記の本発明の製造方法により得られた結晶は、L−アスパラギン酸カルシウムの結晶であり、好ましくは下記式(I)
で表されるL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶である。該結晶は、日本薬局方外医薬品規格に定められたL−アスパラギン酸カルシウム塩の規格を満足する。更に本発明で得られた該結晶は、結晶性がよく、結晶化度が通常45%以上、好ましくは50%以上、より好ましくは60%以上である。
さらに、後述の実施例1〜3に示す通り、本発明の製造方法により、ほぼ同等の品質のL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶を再現性よく製造することができる。
本発明で得られるL−アスパラギン酸カルシウム塩の3水和物の結晶の性質について、以下に試験例で説明する。
試験例1 吸湿性試験
飽和塩化ナトリウム水溶液約200mLをプラスチック製のデシケーター内に25℃で24時間放置した(相対湿度を75%に調整)。実施例3で得られた結晶3gをガラス製のはかり瓶に秤量した。秤量したはかり瓶を、上記の湿度を調整したデシケーター内に放置し、経時的にはかり瓶の重量変化を測定した。
測定した各時点での重量変化をもとに、吸湿性(吸湿度)を以下の式(1)を用いて算出した。はかり瓶の重量変化の測定は10日目まで行った。
W1:はかり瓶の重量(g)
W2:結晶を入れたはかり瓶の試験前の重量(g)
W3:結晶を入れたはかり瓶の試験後の重量(g)
結果を図1に示す。
本試験の結果、実施例3で得られた結晶は、10日間で最大0.13%の重量増加しか示さなかった。即ち、実施例3で得られた結晶は吸湿性の小さい結晶であることが示された。本試験により、本発明で得られるL−アスパラギン酸カルシウムの結晶は吸湿性が小さく、長期保存などに対し安定で一定の品質を示すと考えられた。
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液(L−アスパラギン酸20g、酸化カルシウム5.7gおよび水30mL)を作製し、この水溶液を濾過処理した後、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物に換算して370g/Lの濃度の水溶液を調製した(調製後の液量72mL)。40v/v%に調整した含水メタノール溶液(72mL)を50℃に昇温させた後、先に調製したL−アスパラギン酸カルシウム水溶液を約20分かけて滴下した。滴下終了後、30℃まで冷却し、同温で撹拌を続けることで結晶が析出し始めた。更に30℃で8時間熟成させた後、次いで50℃まで昇温し、10時間熟成させた。20℃まで冷却後、析出した結晶を遠心分離機で濾取し、メタノール約10mLで洗浄し、減圧下乾燥することで、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶を20g得た。
得られたL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶は、成分分析の結果、L−アスパラギン酸(脱水物換算)85.5%、カルシウム(脱水物換算)13.1%、水分14.8%であった。また、結晶中に残留しているメタノールは0.006%であった。
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液(L−アスパラギン酸500g、酸化カルシウム105gおよび水0.7L)を作製し、この水溶液を濾過処理した後、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物に換算して370g/Lの濃度の水溶液を調製した(調製後の液量1.8L)。40v/v%に調整した含水メタノール溶液(1.8L)を50℃に昇温させた後、先に調製したL−アスパラギン酸カルシウム水溶液を約30分間かけて滴下した。添加終了後、30℃まで冷却した後、種晶として実施例1で得られた結晶0.3gを添加した。次いで30℃で6時間熟成させ、さらに50℃まで昇温し、6時間熟成させた。20℃まで冷却後、析出した結晶を遠心分離機で濾取し、得られた結晶を50v/v%含水メタノール約1Lで洗浄し、減圧下乾燥することで、L−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶480gを得た。
得られたL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶は、成分分析の結果、L−アスパラギン酸(脱水物換算)86.0%、カルシウム(脱水物換算)13.1%、水分14.6%であった。また、結晶中に残留したメタノールは0.004%であった。
L−アスパラギン酸カルシウム水溶液(L−アスパラギン酸400kg、酸化カルシウム87.4kgおよび水 0.72kL)を作製し、この水溶液を濾過処理することによりL−アスパラギン酸カルシウム3水和物に換算して353g/Lの濃度の水溶液を調製した(調製後の液量1.5kL)。40v/v%に調整した含水メタノール溶液(1.5kL)を50℃に昇温させた後、先に調製したL−アスパラギン酸カルシウム水溶液を約1時間かけて滴下した。滴下終了後、30℃まで冷却し、種晶として実施例2で得られた結晶0.5kgを添加した。次いで、30℃で1.5時間熟成させ、さらに50℃まで昇温し6時間熟成させた。20℃まで冷却後、析出した結晶を遠心分離機で濾取し、得られた結晶を50v/v%含水メタノール約800Lで洗浄し、減圧下乾燥することで、L−アスパラギン酸カルシウム塩3水和物の結晶378kgを得た。
得られたL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶は、成分分析の結果、L−アスパラギン酸(脱水物換算)87.7%、カルシウム(脱水物換算)12.9%、水分15.1%であった。また、日本薬局方外医薬品規格に定められた試験を実施したところ、L−アスパラギン酸カルシウム塩の規格を満足した。更に結晶中に残留したメタノールは0.003%であった。また、該結晶の粉末X線回析の結果を図2に示した[RDA−X型(理化学電機社製)により測定]。これより、結晶化度は65.7%と算出された。

実施例3で得られた結晶の吸湿性試験の結果を示す。図中、横軸は経過日数を示し、縦軸は吸湿による重量変化[重量/重量(w/w)%]を示す。符号の説明−△−:実施例3で得られた結晶を相対湿度75%のデシケーター中に放置した場合の結晶の重量変化推移を表す。 実施例3で得られた結晶の粉末X線回析の測定結果を示す。図中、縦軸は回析強度(cps)を示し、横軸は回析角[2θ(°)]を示す。

Claims (10)

  1. (i)親水性有機溶媒および水の混合溶媒に40〜70℃のL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液を滴下する工程および(ii)L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液を0〜40℃に冷却してL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を析出させた後、同温または0〜70℃に加温して5〜12時間熟成させる工程を含むことを特徴とするL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法。
  2. (i)親水性有機溶媒および水の混合溶媒に40〜70℃のL−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液を滴下する工程、(ii)L−アスパラギン酸カルシウムを含有する親水性有機溶媒および水の混合溶液を0〜40℃に冷却してL−アスパラギン酸カルシウムの結晶を析出させた後、同温または0〜70℃に加温して5〜12時間熟成させる工程、および(iii)L−アスパラギン酸カルシウムの結晶が析出している溶液中の該結晶を濾取し、得られた結晶を親水性有機溶媒または親水性有機溶媒および水の混合溶媒で洗浄する工程を含むことを特徴とするL−アスパラギン酸カルシウムの結晶の製造方法。
  3. L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液が水溶液である請求項1または2記載の製造方法。
  4. L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液の50℃〜60℃におけるp Hが5〜7である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  5. L−アスパラギン酸カルシウムを含有する溶液の50℃〜60℃におけるp Hが5.5〜6.5である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  6. 親水性有機溶媒と水の混合溶媒が、30〜60容量/容量(v/v)%の親水性有機溶媒を含む混合溶媒である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  7. 親水性有機溶媒がアルコール系有機溶媒である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。
  8. アルコール系有機溶媒がメタノールまたはエタノールである請求項記載の製造方法。
  9. アルコール系有機溶媒がメタノールである請求項記載の製造方法。
  10. L−アスパラギン酸カルシウムの結晶が下記式(I)で表されるL−アスパラギン酸カルシウム3水和物の結晶である請求項1〜のいずれかに記載の製造方法。

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