JP4817479B2 - 自動車ブレーキ装置の電気油圧式の圧力ポンプの電動ポンプ・モータの操作方法および装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車のブレーキ装置、特に電気油圧式ブレーキ装置のポンプの操作方法および装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
ブレーキ装置の戻しポンプの操作方法および装置は、国際特許公開第９４／０７７１７号から既知である。該公報には、可変パルス／パルス休止列により操作される電動操作式油圧ポンプの流量制御方法および装置が記載されている。戻しポンプともいわれるこのような油圧ポンプは、駆動滑り制御および／またはアンチロック制御を備えたブレーキ装置における補助圧力の発生のために使用される。
【０００３】
パルス休止の間にポンプ・モータにより発生された発電電圧がポンプ回転速度に対する尺度として評価され、制御回路においてポンプ回転速度目標値がポンプ回転速度実際値と比較され、この比較による差からポンプ操作のための新しい操作量が導かれる。この既知の装置における欠点は、目標値と実際値との間の差からパルス幅変調信号を発生する極めて要求の多い制御装置が必要とされることである。
【０００４】
ドイツ特許公開第４４４０５１７号から、戻しポンプを、需要に応じて、ブレーキ・トルクおよび／または車輪回転速度を調節する制御装置の操作量および／または制御偏差の値の関数として操作可能な、ブレーキ装置の戻しポンプの操作方法が既知である。この方法もまた、比較的費用のかかる制御を含んでいる。
【０００５】
特に電気油圧式ブレーキ装置においては、通常、電動機および電動機によって操作される高圧ポンプにより、油圧貯蔵容器が充填される。この場合、操作の開始時に、ポンプ・モータは、一定時間フルに、即ち非サイクリックないし連続的に操作される。ポンプを操作する電動機には、自動車の搭載電源電圧が印加されている。油圧貯蔵容器内の圧力が希望の圧力に到達したとき、ポンプは、遮断され、または油圧貯蔵容器内に圧力を保持するためにサイクリックに操作される。この場合、ポンプに印加されているポンプ惰性運転電圧の関数として、ポンプ操作のパルス／パルス休止比が変化される。この場合、サイクリック運転の開始時（即ち、ポンプの連続運転の終了時）における最初のパルス／パルス休止比は、定数として設定されている。ポンプの連続操作の時間もまた、通常の装置においては一定に設定されている。しかしながら、自動車内の搭載電源電圧は極めて大きく変動することがあるので、種々の搭載電源電圧に対してこのように一定に設定することは、ポンプに異なる回転速度を形成させることになる。例えば、搭載電源電圧が低いときは、それに応じてサイクリック運転中にパルス休止比が変化されることによってのみ、ポンプを制御すべき所定の回転速度とすることができる。この結果、サイクリック操作の開始後にはじめて制御ないしパルス／パルス休止比の変化が導かれるので、制御すべき回転速度の調節のために比較的長い時間を必要とすることになる。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、制御すべき回転速度を比較的短時間に達成可能なように自動車のブレーキ装置のポンプを設計することが本発明の課題である。ここでいうポンプとは、さらに、ブレーキ装置内に圧力媒体を供給する手段、特に電気油圧式ブレーキ装置の貯蔵圧力ポンプ、戻しポンプ、チャージ・ポンプ、油圧ポンプ等に対応する。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
ポンプを、ポンプ・モータにより、非サイクリックないし連続的に、およびサイクリックに操作可能な、自動車のブレーキ装置、特に電気油圧式ブレーキ装置のポンプの操作方法及び装置において、非サイクリック操作の時間および／またはサイクリック操作の開始時の最初のパルス／パルス休止比が、非サイクリック操作の前に、および／または非サイクリック操作の開始時に、および／または非サイクリック操作中に、ポンプ・モータに印加される電圧の関数として、および／または、非サイクリック操作の前に、および／または非サイクリック操作の開始時に、および／または非サイクリック操作中に決定された自動車の搭載電源電圧の関数として、変化可能である。
【０００８】
本発明により提供される、ポンプ操作の開始時ないし起動時における全操作ないし連続操作の時間を変化させる可能性、並びにポンプのサイクリック運転への移行時における最初のパルス休止比を変化させる可能性により、制御すべき回転速度に到達可能な時間を、従来のポンプないしポンプ操作に比較して著しく短縮させることができる。
【０００９】
さらに、本発明による方法並びに本発明による装置は、ポンプ回転速度のこの加速された調節ないし制御を、極めて簡単に、即ちポンプに印加されている電圧および／または自動車の搭載電源電圧のモニタリングにより実行可能であるという点で優れている。
【００１０】
本発明による方法の有利な実施態様により、最初のパルス／パルス休止比に続いて、サイクリック操作中の他のパルス／パルス休止比が、ポンプ・モータの惰性運転電圧の関数として変化される。ポンプの惰性運転電圧は１次近似でポンプないしポンプ・モータの回転速度に比例しているので、このようなポンプの惰性運転の使用は極めて信頼性の高いことが明らかである。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図１には、戻しポンプ２を駆動するためのポンプ・モータ１の本発明による操作のための本質的な要素が示されている。戻しポンプ２により加圧可能なブレーキ装置は、図を見やすくするために示されていない。
【００１２】
ポンプ・モータ１は、操作可能な切換手段３を介して、自動車の搭載電源電圧Ｕｂａｔｔに接続されている。切換手段３は、制御装置４により操作可能である。切換手段３は、例えば電界効果トランジスタとして形成されている。切換手段３が閉じたとき、ポンプ・モータ１に電流が流される。
【００１３】
図２により、戻しポンプ２のポンプ・モータ１の典型的な操作が示されている。第１の過程Ｔａｎｌａｕｆの間、切換手段３が閉じられているので、ポンプ・モータ１は連続的に操作される。第１の過程Ｔａｎｌａｕｆの後にポンプ操作のサイクリック運転が続き、この場合、周期Ｐｉ（ｉ＝１，２，．．．）は、操作時間（パルス時間）Ｔｓｔａｒｔおよび非操作時間（パルス休止）Ｔ０を含む。スタート時のパルス／パルス休止比は、第１の周期Ｐ₁の間における、Ｔｓｔａｒｔ：Ｔ０ である比として表わされる。（例えば）第２の周期Ｐ₂に対して変化されたパルス／パルス休止比が与えられ、このパルス／パルス休止比においては、時間ＴｓｔａｒｔがΔｔだけ上昇され、また時間Ｔ０がΔｔだけ低減されていることがわかる。この変化されたパルス／パルス休止比に対応して、ポンプ・モータ１は、周期Ｐ₂の間は周期Ｐ₁の間よりも相対的により長く操作される。
【００１４】
図３には、時間Ｔａｎｌａｕｆ、並びに戻しポンプのサイクリック運転の第１の周期Ｐ _１ の時間Ｔｓｔａｒｔを、変動する搭載電源電圧の関数としてどのように変化可能であるかが示されている。説明のために、搭載電源電圧Ｕｂａｔｔは、最小値Ｕｂａｔｔｍｉｎおよび最大値Ｕｂａｔｔｍａｘの間で変動可能であると仮定する。搭載電源電圧が低い間は、ポンプの最初の連続操作の時間Ｔａｎｌａｕｆのみならずサイクリック運転の第１の周期Ｐ_１の時間Ｔｓｔａｒｔもまた、それに対応して低い搭載電源電圧（Ｕｂａｔｔｍｉｎ）において上昇されることがわかる。
【００１５】
時間ＴａｎｌａｕｆおよびＴｓｔａｒｔの適合は制御装置４により行われ、制御装置４は、入力信号として、特にポンプ・モータ１に印加されている電圧および／または搭載電源電圧Ｕｂａｔｔを表わす信号Ｕｓを受け取る。これらの電圧は、ポンプ・モータ１の操作の開始時に決定されることが目的に適っている。しかしながら、この電圧を、操作の前、特に操作の直前、または操作中に決定することもまた可能である。
【００１６】
図２において、周期Ｐ₂に対して Ｔｓｔａｒｔ＋Δｔ ないし Ｔ０−Δｔとして示されているような、他の周期Ｐ₂．．．Ｐｎにおいて与えられるパルス休止比の変化は、例えば、戻しポンプ２のポンプ・モータ１の惰性運転電圧の関数として決定されてもよい。ポンプ・モータ１における惰性運転電圧は、ポンプ・モータ１の切換手段（スイッチ）３を切ったときに、モータの誘導の結果としてポンプ・モータ１にかかる電圧が上昇し、それに続いて指数関数的に低下することにより発生する。上記のように、ポンプ・モータ１の回転速度は、１次近似でこの惰性運転電圧に比例する。
【００１７】
例えば、短時間（約５０ないし２００ミリ秒）の全操作からサイクリック運転に移行された場合、操作時間Ｔｓｔａｒｔ並びに非操作時間Ｔ０により表わされる最初のパルス／パルス休止比は、搭載電源電圧の関数として設定される。この最初のパルス／パルス休止比は既に全操作の間に決定可能なので、この結果、ポンプ・モータ１ないし戻しポンプ２の希望の回転速度への迅速な制御は達成可能である。したがって、切換手段の投入後にポンプの希望流量が達成される。
【００１８】
これにより、ポンプ操作に影響を与える搭載電源電圧の変動を容易に補償させることができる。
【００１９】
搭載電源電圧は、搭載電源の任意の適切な位置から得ることができることに注意すべきである。このために、ポンプ・モータにおいて低下する電圧を使用することが特に有利であることが明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、戻しポンプを操作するための本質的な要素を示した簡略図である。
【図２】図２は、戻しポンプのポンプ・モータの典型的な操作を略図で示した時間線図である。
【図３】図３は、本発明によるポンプ操作の変化を示した線図である。
【符号の説明】
１ ポンプ・モータ
２ 戻しポンプ
３ 切換手段
４ 制御装置
Ｐｉ（ｉ＝１，２，．．．，ｎ） 周期
Ｔａｎｌａｕｆ 第１の過程
Ｔｓｔａｒｔ 操作時間（パルス時間）
Ｔ０ 非操作時間（パルス休止）
Ｕｂａｔｔ 搭載電源電圧（ポンプ・モータ電圧）
Ｕｂａｔｔｍａｘ 搭載電源電圧（ポンプ・モータ電圧）の最大値
Ｕｂａｔｔｍｉｎ 搭載電源電圧（ポンプ・モータ電圧）の最小値
Ｕｓ Ｕｂａｔｔの信号
Δｔ 増分または減分

Claims (2)

1. 自動車ブレーキ装置の電気油圧式の圧力ポンプの電動ポンプ・モータ（１）の操作方法において、
   前記圧力ポンプの駆動を要求されるときに、前記電動ポンプ・モータが、
   第１の過程の周期の間、連続的に操作され、
   次いで、第２の過程で、異なるパルス／パルス休止比でサイクリックに操作され、
   前記第１の過程の周期が、
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて決定される搭載電源電圧の関数、および
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて、前記前記電動ポンプ・モータに印加される電圧の関数、
   のいずれかの関数として変更され、
   前記第２の過程の開始時の最初のパルス／パルス休止比もまた、
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて決定される搭載電源電圧の関数、および
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて、前記電動ポンプ・モータに印加される電圧の関数、
   のいずれかの関数として変更され、
   前記第２の過程の開始時の前記最初のパルス／パルス休止比に続いて、別のパルス／パルス休止比が、前記電動ポンプ・モータのサイクリックな操作中に前記電動ポンプ・モータの惰性運転電圧の関数として変更されること、
   を特徴とする、電動ポンプ・モータの操作方法。
2. 自動車ブレーキ装置の電気油圧式の圧力ポンプの電動ポンプ・モータ（１）の操作装置において、
   第１の手段を備え、それによって
   前記圧力ポンプの駆動を要求されるときに、前記電動ポンプ・モータが、
   第１の過程の周期の間、連続的に操作され、
   次いで、第２の過程で、異なるパルス／パルス休止比でサイクリックに操作され、
   前記第１の過程の周期が、
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて決定される搭載電源電圧の関数、および
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて、前記電動ポンプ・モータに印加される電圧の関数、
   のいずれかの関数として変更され、
   第２の手段を備え、それによって
   前記第２の過程の開始時の最初のパルス／パルス休止比もまた、
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて決定される搭載電源電圧の関数、および
   前記電動ポンプ・モータの連続的な操作に先立って、その操作の開始時、その操作中、の少なくともいずれかにおいて、前記前記電動ポンプ・モータに印加される電圧の関数、
   のいずれかの関数として変更され、
   さらに別の手段を備え、それによって
   前記第２の過程の開始時の前記最初のパルス／パルス休止比に続いて、別のパルス／パルス休止比が、前記電動ポンプ・モータのサイクリックな操作中に前記電動ポンプ・モータの惰性運転電圧の関数として変更されること、
   を特徴とする、電動ポンプ・モータの操作装置。

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