JP4813904B2 - 点火装置およびその製造方法ならびにエアバッグ用ガス発生装置およびシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置 - Google Patents

点火装置およびその製造方法ならびにエアバッグ用ガス発生装置およびシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置 Download PDF

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Description

本発明は、エアバッグやシートベルトプリテンショナー等の自動車の安全装置に使用されるガス発生器等に搭載される点火装置およびその製造方法に関するものである。
また、本発明は、上記の点火装置を搭載したエアバッグ用ガス発生装置およびシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置に関するものである。
自動車に装着されるエアバッグを膨張させるためのガス発生器用の点火装置として、またシートベルトプリテンショナーに用いられるガスマイクロジェネレータ用の点火装置として、従来から種々の電気式点火装置が開発されている。
かような点火装置は、通常、外部と電気的に接続するための金属ピンを有し、またこの金属ピンの他端には火薬に点火するための加熱素子をそなえている。
かような加熱素子としては、特許文献1およびこれに対応する特許文献2に開示されているような、プリントサブサーキットに組み込まれた加熱素子が知られている。
また、一方で、エアバッグシステムをLAN化して通信により点火装置の点火をコントロールすることが考えられている。
この場合には、特許文献3に記載されているように、通信および点火のための電気回路を点火装置内に設置する必要がある。
従って、上記のような構造になる点火装置では、内蔵する電気回路に通電するための手段が必要となる。
例えば、特許文献4には、電気回路基板を塞栓の電極ピンにハンダ等で固定した構造が示されている。
仏国特許出願公開第2,704,944号明細書 米国特許第5,544,585号明細書 特許第3,294,582号公報 欧州特許出願公開第1,256,775号明細書
上記した特許文献4に開示の方法では、予め基板に回路を構成し、塞栓の電極ピンと結合後、樹脂でモールドしなければならない。
しかしながら、特に塞栓と接続した状態での樹脂モールドは、通常のICなどリードフレームに固定された部品のモールドに比べると著しく生産性が低い。
また、電極ピンと電気回路の接続をハンダでしっかり固定した場合には、残留応力に起因したハンダ割れの発生が懸念される。
さらに、電極ピンと電気回路の接続を頑強に行うためにはある程度の接続部長さが必要となるため、元々体積の小さい点火装置の中でこのような構造を採用すると点火装置が大きなものとなり、ガス発生器およびシートベルトプリテンショナーに搭載する際、サイズ上の問題が生じる。
本発明は、上記の実情に鑑み開発されたもので、樹脂モールドの製造に際して生産性を低下させることがなく、またサイズの増大を招くことがなく、しかも点火装置に内蔵された電気回路への通電が確実な点火装置を、その有利な製造方法と共に提案することを目的とする。
また、本発明は、上記したコンパクトな点火装置を搭載したエアバッグ用ガス発生装置およびシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく、電極ピンと電気回路の接続方法に関して鋭意検討を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
a)塞栓の電極ピンを切り離し、ASIC等の電気回路のみ樹脂でモールドすることにより、樹脂モールドの製造を生産性よく行うことができる。
b)電極ピンと樹脂モールド内の電気回路との接続は、該樹脂モールドに設けた通信電極を介して接触により行う。これにより、電極ピンと電気回路の接続が容易となる上に、点火装置の体積を小さく保つことができる。
但し、樹脂モールドに設けた通信電極に軽く接触する程度の力で塞栓の電極ピンを押し付けただけでは、点火装置が衝撃を受けた場合に、通信電極と電極ピンの接続が切断される場合があることが判明した。
そこで、この点に関し、さらに検討を重ねた結果、
c)点火装置のカップ体と塞栓は最終的には溶接により一体化するのであるが、この溶接を、点火装置のカップ体に塞栓を一定以上の圧力で押し込んだ状態で行えば、電気回路を包む樹脂モールドとカップ体の弾性反力によって通信電極と電極ピンの接合は押圧接合となり、かような押圧接合下では、点火装置がかなりの力で衝撃を受けた場合でも、通信電極と電極ピンの接続が切断されることはない。
d)さらに、上記したような押圧接合とすれば、樹脂モールドとカップ体の弾性反力は点火薬と加熱素子間にも作用するため、樹脂モールドの他端に設けた加熱素子と点火薬が圧接状態で接合することになり、その結果、確実な点火と点火時間の短縮化が達成される。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)金属製のカップ体と、
複数の電極ピンをそれぞれ絶縁して保持し、該カップ体の開口部を封じ、該カップ体と固定されて一体化する金属製の塞栓とをそなえ、
該カップ体の内部には、点火薬を有し、
さらにASICとコンデンサーを搭載した基盤を樹脂でモールドした樹脂モールドの頭部に、該ASICと接続された加熱素子を、またその底部には該ASICと該電極ピンを接続するための通信電極を配設したASICコンポーネントを、該カップ体の内部に挿入し、該塞栓に当接して有する点火装置において、
該電極ピンと該通信電極を接触させ、押圧接合としたことを特徴とする点火装置。
(2)上記(1)において、前記加熱素子と前記点火薬は圧接してなることを特徴とする点火装置。
(3)上記(1)または(2)において、前記加熱素子の上面に点火薬組成物を塗布してなることを特徴とする点火装置。
(4)上記(1)〜(3)のいずれかにおいて、前記加熱素子はSCBチップからなることを特徴とする点火装置。
(5)上記(4)において、前記SCBチップは、金属と絶縁物を積層したブリッジを含むことを特徴とする点火装置。
(6)上記(1)〜(5)のいずれかに記載した点火装置を装着したエアバッグ用ガス発生装置。
(7)上記(1)〜(5)のいずれかに記載した点火装置を装着したシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置。
(8)金属製のカップ体の最深部に、点火薬を充填したのち、ASICとコンデンサーを搭載した基盤を樹脂でモールドした樹脂モールドの頭部に、該ASICと接続された加熱素子を、またその底部には該ASICと塞栓に設置した電極ピンとの接続を司る通信電極を配設したASICコンポーネントを、該加熱素子が該点火薬に当接するように挿入し、ついで上記電極ピンを含む複数本の電極ピンをガラス封止した金属製の上記塞栓を、該通信電極に該電極ピンを当接させて圧入し、この圧入状態下で、該塞栓と該カップ体を溶接して一体化することを特徴とする点火装置の製造方法。
(9)上記(8)において、前記加熱素子の上面に点火薬組成物を塗布してなることを特徴とする点火装置の製造方法。
(10)上記(8)または(9)において、前記加熱素子はSCBチップからなることを特徴とする点火装置の製造方法。
(11)上記(8)〜(10)のいずれかにおいて、前記塞栓の圧入力が1〜250 MPaであることを特徴とする点火装置の製造方法。
本発明によれば、樹脂でモールドするのはASIC等の電気回路のみなので、樹脂モールドにおいて基盤としてリードフレーム等を使うことにより、通常のICの樹脂モールドと同様の手順で製造することができるので、生産性が向上する。
また、本発明では、電気回路と電極ピンとの接合は、樹脂モールドの底部に設けた通信電極と電極ピンとの押圧接合により行うので、点火装置自体をコンパクト化することができ、また組み立ても簡便化される。
さらに、押圧接合とすることにより、点火装置がかなりの力で衝撃を受けた場合でも、通信電極と電極ピンの接続が切断されることはない。
また、さらに、上記の押圧接合を介して、加熱素子と点火薬が圧接接合となるので、確実な点火が可能になるだけでなく、点火時間が短縮化される。
以下、本発明を具体的に説明する。
図1に、本発明に従う点火装置を断面図で示す。図中、番号1はカップ体で、通常、金属製の円筒体で構成される。2は点火薬である。3は、ASICやコンデンサーなど電気回路に必要な素子を搭載した基盤を樹脂でモールドしたASICコンポーネントであり、図中4がASIC、5がコンデンサーである。ここに、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)4とは、特定用途向け集積回路のことで、本発明では、外部と相互通信してコード化された情報に基づいて点火装置を点火する相互通信スイッチ手段として機能する。また、コンデンサー5は、電気エネルギーの蓄積手段として機能する。
そして、6は、ASICコンポーネント3の頭部に設置した加熱素子、7は、同じくASICコンポーネント3の底部に配設した通信電極である。
また、8は金属製の塞栓であり、この塞栓8には、外部と電気的に接続するための電極ピン9がガラス封止10によって固定されている。このようにガラス封止によって電極ピンを固定することにより、高い気密性を保ちながら電気的絶縁を確保することができる。さらに、金属製カップ体と塞栓金属部が溶接されることで、カップ体の内部は高い気密性の下でシールされる。
さて、本発明では、まず、カップ体1の最深部に粉末状の点火薬2を配置する。この点火薬2は、図1に示したように、一種類の火薬の一層配置としてもよいが、図2に示すように、点火薬2の外側により伝火力の強い伝火薬2′を配置した二層構造とするのがより有利である。
ここに、伝火薬2′としては、その組成中にジルコニウムを含むものが好適である。その他、水素化チタンやボロン、トリシネートなどを含むものも有利に適合する。
また、点火薬2としては、上記したものの他に、例えば特願2001−140468号明細書や特開2002−362992号公報に開示のものが使用でき、特に限定されるものではない。
そして、かかる点火薬2に接触させて加熱素子6を配置する。
この際、加熱素子の上面に点火薬組成物を塗布することが、加熱素子と点火薬の接触をより安定化させる上で有利である。
かような加熱素子6としては、低エネルギーでの着火が可能ないわゆるSCBチップが有利に適合する。また、かかるSCBチップを、金属と絶縁物を積層したブリッジ構造とすれば、低エネルギーで大きな火花を発生させることができるので一層有利である。
ここに、SCBとは、Semiconductor Bridgeのことで、通常の半導体ICの製造工程を使用して作製された加熱素子をいう。
上記のブリッジ構造としては、シリコン基板上に、チタンとSiO2(またはボロン)を交互に積層したものが有利に適合する。各層の厚みは、それぞれ0.05〜10μm 程度とするのが好ましい。より好ましい膜厚は0.1〜4μm である。
その他のブリッジ構造としては、ニッケルクロム合金、ニッケル、アルミニウム、マグネシウムおよびジルコニウムの組と、カルシウム、マンガン、二酸化珪素およびシリコンの組から選ばれた各1種以上の組成物を交互に積層したものを適用することもできる。
なお、加熱素子6に対する電気的接続は、ASICコンポーネント3の上面に設けた点火用電極11を介して行う。
本発明におけるASICコンポーネント3中には、相互通信と特定の電気パルスの列をトリガするための手段としてのASIC4と電気エネルギー蓄積手段としてコンデンサー5が内蔵されている。
なお、このASICコンポーネント3は、2本の電極ピン9を介して、後述する中央制御ユニットに連絡しているLAN化されたエアバッグシステムに統合される。
また、このASICコンポーネント3は、円筒形カップ1の内径に沿う大きさの円柱形状として、該カップ1内への挿入をスムーズに行う必要がある。そのためには、ASICコンポーネント3の外径はカップ内径の85%以上、99%以下程度とすることが好ましい。
ここに、ASICコンポーネント3の底部に配設した通信電極7の直径は、電極ピン9の直径よりも幾分小さくして、組み立て時の公差等により、通信電極7と電極ピン9の接触位置が幾分ズレたとしても、両者が常に接合状態を維持し、電気的接続を保持できるようにすることが好ましい。
また、通信電極7と電極ピン9との接触部分は、平坦にしておくことが、強く押し付けたときに安定した接触を可能とする上で有利である。
本発明では、上述したように、カップ体1の最深部に、点火薬2を充填したのち、ASICコンポーネント3を、その頭部に配置した加熱素子6が点火薬2に当接するように挿入し、ついで該ASICコンポーネント3の底部に配設した通信電極7に、塞栓8に設けた電極ピン9が当接するように挿入したのち、カップ体1と塞栓8とを溶接して一体化するわけであるが、この溶接を、塞栓8の圧入状態下で行うことが重要である。
すなわち、塞栓8をカップ体1内に一定以上の圧力で押し込んだ状態で溶接を行えば、樹脂でモールドされたASICコンポーネント3とカップ体1の弾性反力によって通信電極7と電極ピン9の接合は押圧接合となり、その結果、点火装置がかなりの力で衝撃を受けた場合でも、通信電極7と電極ピン9との接続の切断が有利に回避されるのである。
また、通信電極7と電極ピン9の接合を、上記したような押圧接合とすれば、ASICコンポーネント3とカップ体1の弾性反力は反対側にも作用するため、該ASICコンポーネント3の反対側に設けた加熱素子6が点火薬2と圧接状態で接合する、すなわち点火薬2の密度が向上することになるので、確実な点火と点火時間の有利な短縮化が達成されるのである。
さらに、上記のような押圧接合は、接続部をハンダや溶接で固定する構造に比べて簡便なだけでなく、接続に必要な体積がほとんど不要という利点もある。
ここに、上記した塞栓8のカップ体1内への圧入力は1〜250 MPa程度とすることが好ましい。というのは、圧入力が1MPaに満たないと通信電極7と電極ピン9の接合に十分な押圧力が得られず、一方250 MPaを超えるとASICコンポーネントに加わる応力が大きくなりすぎて、ASICコンポーネントが破損する危険があるからである。なお、より好ましい圧入力は2〜130 MPaの範囲である。
また、本発明では、図3に示すように、加熱素子6の上面に、予め点火薬組成物2″を塗布しておくこともできる。すなわち、加熱素子6の上面にスラリー状の点火薬をディスペンスし、乾燥させる。この点火薬組成物2″は、粉末状の点火薬を単に充填した場合に比べると点火薬と加熱素子の接触が安定であるため、確実な点火と点火時間の短縮化に有効に寄与する。
さらに、本発明では、カップ体1の外周に、円筒スリーブ状の樹脂カップ12をさらに設けることができる。また、塞栓8をカップ体1内に圧入したのち、その部分をさらに樹脂13でモールドすることもできる。
本発明の点火装置は、ASICコンポーネント3を、気密に保たれた塞栓8とカップ1の内側に設置でき、通信電極7と電極ピン8の電気的な接続を接触によって保持できるので、ASICコンポーネント3を搭載しているにもかかわらず、点火装置1の外形寸法を従来の点火装置に近いものとすることができる。
また、本発明の点火装置は、ASICコンポーネント3に内蔵させた、相互通信スイッチ手段としてのASIC4および電気エネルギー蓄積手段としてコンデンサー5を使用することにより、外部(例えば中央制御ユニット)と連絡することができる。
従って、例えば、自動車に組み込まれるエアバッグモジュールであって、LAN化されたエアバッグシステムを介して中央制御ユニットに接続されるエアバッグモジュールの各々にこのような点火装置を使用することは、衝突時に中央制御ユニットが所望のエアバッグモジュールのみを点火させることを可能にし、またかような点火装置を起爆させるための特別な電気エネルギーを送ることも不要となる。
このような作用効果は特に、各点火装置に、中央制御ユニットより発せられた電圧信号に含まれる微弱なエネルギーを蓄積するコンデンサー5を設け、従来よりも低いエネルギーで点火することができるSCBチップを加熱素子6として使用し、また中央制御ユニットから来るコード化された情報を検出しかつ点火装置の状態を送るコマンドを送信することができる相互通信および点火スイッチ手段とてしのASIC4を設けることにより達成される。
なお、本発明において、中央制御ユニットとの相互通信で使用されるコード化された情報とは、各点火装置を点火するコマンドを含む情報、および各点火装置に含まれる電子的要素の状態を中央制御ユニットに伝える情報の両者を意味する。
次に、本発明の点火装置を用いたエアバッグ用ガス発生装置について説明する。
図4に、エアバッグ用ガス発生装置の概念図を示す。同図に示したとおり、エアバッグ用ガス発生装置21は、その内部に点火装置22、エンハンサー剤23、ガス発生剤24、フィルター25を有し、外部はガス発生剤24の燃焼圧力に耐え得る外郭容器26からなる。外郭容器26には、発生したガスをエアバッグ側に放出するための孔27が開けられている。
点火装置22が作動すると、点火装置22から発生する熱エネルギーでエンハンサー剤23が燃焼し高温ガスを発生する。この高温ガスによりガス発生剤24が燃焼し、エアバッグを膨らませるためのガスが発生する。このガスは、エアバッグの外郭容器26に開いた孔27から外部に放出されるが、このときフィルター25を通過させることで燃焼したガス発生剤の残渣が捕集されると同時にガス自身が冷却される。
本発明の点火装置を用いることで、点火装置がASICからなる通信回路を有しているにもかかわらず、コンパクトに作ることができ、従来の形状とほとんど変わらない大きさのエアバッグ用ガス発生装置を容易に提供することができる。
さらに、本発明の点火装置を用いたシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置について説明する。
図5に、シートベルトプリテンショナー用ガス発生装置(マイクロガスジェネレータ)の概念図を示す。同図に示したとおり、マイクロガスジェネレータ31は、その内部に点火装置32とガス発生剤33を有し、点火装置32はホルダーと呼ばれる基台34に固定されている。さらにガス発生剤33を格納するカップ体35も、ホルダーに例えばカシメによつて固定された構造になっている。点火装置32が作動すると、点火装置32からの熱により、カップ体35内のガス発生剤33が燃焼してガスが発生する。
このマイクロガスジェネレータにおいても、本発明の点火装置を用いることで、点火装置がASICからなる通信回路を有しているにもかかわらず、コンパクトになるので、従来の形状とほとんど変わらない大きさのものを提供することができる。
次に、本発明の点火装置の点火動作について説明する。
通常の動作条件下、すなわち例えば点火装置1が組み込まれたエアバッグが、展開を必要とするような事故に巻き込まれていない時には、電気エネルギー蓄積手段としてのコンデンサーは、中央制御ユニットにより発せられる通信用の信号でエネルギーを蓄えている状態にある。
ここで、事故等の衝撃により点火装置1の作動を要求された時には、中央制御ユニットは点火装置内のASICコンポーネント3に特定の電気パルスの列の形態の点火コマンドを送る。すると、このASICコンポーネント3では、蓄えた電気エネルギーを加熱素子6に放つように、電子スイッチによりコンデンサー5からの電気エネルギーの放電を行う。加熱素子6は、コンデンサー5からの電気エネルギーによって点火薬2の燃焼を開始させる。
次に、中央制御ユニットによる制御要領について説明する。
図6は、中央制御ユニット110と、4つのエアバッグモジュール111a,111b,111c,111dとを接続したLAN化されたエアバッグシステムの例を示したものである。2つのエアバッグモジュール111bと111cは各々、例えばフロントエアバッグを膨張させるガス発生器を有することができ、他の2つのエアバッグモジュール111aと111dは各々、例えばサイドエアバッグを膨張させるガス発生器を有することができる。
これらモジュールの各々に含まれるガス発生器内に点火装置が収納されていて、各点火装置は2つの電極ピン114,115を有し、電極ピン114が中央制御ユニット110に連絡された第1の電気供給導電体112に接続され、電極ピン115が中央制御ユニット110に連絡された第2の電気供給導電体113に接続されている。
通常の動作状態、すなわち自動車が1以上のエアバッグモジュール111a,111b,111c,111dを活性化することを求める特定の衝撃に巻き込まれていない時には、中央制御ユニット110は定期的に該電気供給導電体112,113に低い強度の電流を与え、この電流は電極ピン114と115を介して4つのエアバッグモジュール111a,111b,111c,111dの各々に含まれる点火装置の電気エネルギー蓄積手段(コンデンサー)に送られる。
衝撃が生じて、例えばエアバッグ111cを活性化することが望ましい場合には、中央制御ユニット110は第1の電気供給導電体112にエアバッグモジュール111cの点火装置のための点火コマンドを構成する特有の電気パルスの列を送る。この特有の電気パルスの列は電極ピン114と115を介して各点火装置に送られるが、エアバッグモジュール111cの点火装置に含まれる相互通信手段のみがそのコマンドに反応して点火スイッチ手段と関連した電気エネルギー蓄積手段を活性化し、上述したように点火薬を起動せしめる。
もし、衝撃に続いて幾つかのエアバッグモジュール、例えばエアバッグモジュール111a,111bを活性化することが望ましい場合には、中央制御ユニット110は、第1の電気供給導電体112にエアバッグモジュール111aと111bの各々に含まれる点火装置のための特有の電気パルスの列を与える。2つの点火装置の各々の動作は上述したとおりである。
本発明に従う好適点火装置の断面図である。 点火薬を二層構造とした場合の説明図である。 加熱素子の上面に点火薬組成物を塗布した場合の説明図である。 エアバッグ用ガス発生装置の概念図である。 シートベルトプリテンショナー用ガス発生装置の概念図である。 中央制御ユニットの説明図である。
符号の説明
1 カップ体
2 点火薬
2′伝火薬
2″点火薬組成物
3 ASICコンポーネント
4 ASIC
5 コンデンサー
6 加熱素子
7 通信電極
8 塞栓
9 電極ピン
10 ガラス封止
11 点火用電極
12 樹脂カップ
13 モールド用樹脂
21 エアバッグ用ガス発生装置
22 点火装置
23 エンハンサー剤
24 ガス発生剤
25 フィルター
26 外郭容器
27 孔
31 シートベルトプリテンショナー用ガス発生装置(マイクロガスジェネレータ)
32 点火装置
33 ガス発生剤
34 基台(ホルダー)
35 カップ体
110 中央制御ユニット
111a〜111d エアバッグモジュール
114,115 電極ピン

Claims (11)

  1. 金属製のカップ体と、
    複数の電極ピンをそれぞれ絶縁して保持し、該カップ体の開口部を封じ、該カップ体と固定されて一体化する金属製の塞栓とをそなえ、
    該カップ体の内部には、点火薬を有し、
    さらにASICとコンデンサーを搭載した基盤を樹脂でモールドした樹脂モールドの頭部に、該ASICと接続された加熱素子を、またその底部には該ASICと該電極ピンを接続するための通信電極を配設したASICコンポーネントを、該カップ体の内部に挿入し、該塞栓に当接して有する点火装置において、
    該電極ピンと該通信電極を接触させ、押圧接合としたことを特徴とする点火装置。
  2. 請求項1において、前記加熱素子と前記点火薬は圧接してなることを特徴とする点火装置。
  3. 請求項1または2において、前記加熱素子の上面に点火薬組成物を塗布してなることを特徴とする点火装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかにおいて、前記加熱素子はSCBチップからなることを特徴とする点火装置。
  5. 請求項4において、前記SCBチップは、金属と絶縁物を積層したブリッジを含むことを特徴とする点火装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載した点火装置を装着したエアバッグ用ガス発生装置。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載した点火装置を装着したシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置。
  8. 金属製のカップ体の最深部に、点火薬を充填したのち、ASICとコンデンサーを搭載した基盤を樹脂でモールドした樹脂モールドの頭部に、該ASICと接続された加熱素子を、またその底部には該ASICと塞栓に設置した電極ピンとの接続を司る通信電極を配設したASICコンポーネントを、該加熱素子が該点火薬に当接するように挿入し、ついで上記電極ピンを含む複数本の電極ピンをガラス封止した金属製の上記塞栓を、該通信電極に該電極ピンを当接させて圧入し、この圧入状態下で、該塞栓と該カップ体を溶接して一体化することを特徴とする点火装置の製造方法。
  9. 請求項8において、前記加熱素子の上面に点火薬組成物を塗布してなることを特徴とする点火装置の製造方法。
  10. 請求項8または9において、前記加熱素子はSCBチップからなることを特徴とする点火装置の製造方法。
  11. 請求項8〜10のいずれかにおいて、前記塞栓の圧入力が1〜250 MPaであることを特徴とする点火装置の製造方法。
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