JP4813427B2 - 焼却灰に含有する鉛の安定化方法 - Google Patents

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本発明は、焼却灰に含有する鉛の安定化方法に関する。
都市ゴミ焼却灰中には、土壌汚染対策法に示される特定有害物質が含まれている。特定有害物質の中でも特に鉛がその基準値を上回ることが多い。そのため、焼却灰は、現在そのほとんどが埋め立て処分されている。ところが、埋立処分地の問題および循環型社会構築の観点から、焼却灰の有効利用が検討、促進されている。
その有効利用技術としては、焼却灰の溶融によるスラグ化や、焼成によるエコセメント化等が導入されつつある。
しかしながら、これらの処理には、多量のエネルギーが必要であり、また、装置運転に高い技術を必要とするため、エネルギー消費が少なく簡便な焼却灰の有効利用技術が熱望されている。
また、焼却灰を土木資源としてリサイクルすることを目的とした簡便でエネルギー消費の少ない資源化技術としては、エージング(養生)処理、水蒸気を用いた水熱処理等の安定化技術が研究されている。しかし、これらの方法は、土壌汚染対策法で定める基準、特に鉛含有量の基準を満足できないものであった。鉛含有量は、環境省告示19号に示される1規定塩酸による鉛抽出量をいう。
また、焼却灰の焼成による無害化は、ダイオキシン類の無害化や重金属類の除去、安定化を目的としており、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則」に規定されているように、1000℃以上の温度で処理する必要がある。例えば、焼却灰や飛灰に珪砂、コークスを添加し、1000〜1300℃で焼成し、無害化する技術が知られている(特許文献1)。
しかし、現在は、焼却炉の燃焼制御技術が進歩したことで、焼却灰中には、ダイオキシン類はほとんど含有せず、環境基準を超過することはないため、特に、鉛の無害化を達成すれば、焼却灰の有効利用が可能といえる。焼却灰を埋め立て処理する場合において、鉛溶出量を法的基準値(埋立基準0.3mg/L)以下に抑えたり、土壌環境基準の0.01mg/L以下に抑えたりすることは、現状の技術で難しくないが、再利用する場合には、鉛溶出量だけではなく、鉛含有量の基準値(150mg/kg)を満足する必要があるため、上記のように1000℃以上の高温処理が必要である。
しかしながら、鉛を無害化するためには、上記のように1000℃以上の高温で処理すればよいことが分かっているが、より低温で無害化できることが好ましいことはいうまでもなく、地球温暖化の観点からもエネルギー消費の少ない無害化技術が強く望まれている。
特開平10−67547号公報
そこで、本発明は、上記従来技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、従来より低温で焼却灰を焼成することができ、焼却灰に含有する鉛を無害化(安定化)する方法を提供することにある。
上記課題は、各請求項記載の発明により達成される。すなわち、本発明の焼却灰に含有する鉛の安定化方法は、
水中に焼却灰を投入し、二酸化炭素を供給すると共に、水中で焼却灰を撹拌する撹拌工程と、
前記撹拌工程後に、前記焼却灰にSi含有物を混合する混合工程と、
前記混合工程で混合された混合物を800℃以上1000℃未満で焼成する焼成工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、二酸化炭素を供給すると共に、水と焼却灰を撹拌、混合することで、焼却灰中の塩素を効率よく除去できると共に、焼却灰中のCaをCaCOとして安定化でき、焼却灰とSi含有物とを混合して焼成することでPbがSiと結合してPbを安定化することができる。このようにPb安定化の阻害性成分である塩素と活性のCaの影響を抑制すると共に、焼却灰に不足する活性なSi含有物を混合することにより、従来よりエネルギー消費を抑えて鉛を安定化させることができる。
また、他の本発明の焼却灰に含有する鉛の安定化方法は、焼却灰にSi含有物を混合する混合工程と、
前記混合工程の後に、前記Si含有物が混合された焼却灰を水中に投入し、二酸化炭素を供給すると共に、水中で当該焼却灰を撹拌する撹拌工程と、
前記撹拌工程後に、前記焼却灰を800℃以上1000℃未満で焼成する焼成工程と、を有することを特徴とする。
この構成によれば、焼却灰にSi含有物を混合した後で、二酸化炭素を供給すると共に、水と焼却灰を撹拌、混合することで、焼却灰中の塩素を効率よく除去できると共に、焼却灰中のCaをCaCoとして安定化でき、また、PbがSiと結合してPbを安定化することができる。このようにPb安定化の阻害性成分である塩素と活性のCaの影響を抑制すると共に、焼却灰に不足する活性なSi含有物を混合することにより、従来よりエネルギー消費を抑えて鉛を安定化させることができる。
また、本発明の好適な実施形態として、前記焼成工程における焼成温度が800℃以上900℃未満の範囲である。前記焼成工程で焼成された焼成物中の鉛含有量が、環境省告示19号の試験で150mg/kg以下として測定される。
この構成によれば、エネルギー消費量を抑制し、かつ、土壌汚染対策法で定める基準値(鉛含有量)以下にでき、リサイクル資源として有効に使用できる。
また、本発明の好適な実施形態として、前記Si含有物は、珪酸ナトリウム、水ガラス、活性白土、酸性白土およびガラスであるSi化合物の中から選択される単体または複数の組成物であることを特徴とする。Pbをより強固に安定化するために、活性のあるSi(シリカ)化合物が好ましい。
また、本発明の好適な実施形態として、焼却灰中のCaに対するSiのモル比(Si/Ca)が2〜10になるように、前記Si含有物の添加量が設定されることを特徴とする。Pbを安定化すると共に、前処理工程後に残存する可能性のある活性のカルシウムの影響を抑えるため、当モル以上必要であり、反応効率、コスト等の観点から上限値は設定される。
また、本発明の好適な実施形態として、撹拌工程において、液固比が水(L)/焼却灰(kg)が7以下であることを特徴とする。なお、液固比は焼却灰に含有する塩素量とその溶解度から決定することが好ましい。
以下において、本発明の技術思想を着想するに至った経緯を説明する。まず、焼却灰の焼成実験を行なった。
(焼却灰の実験)
試料:一般廃棄物焼却灰(主灰)(添加物なし)
焼成温度条件:600、700、800、900、1000℃の異なる4種類の温度
焼成時間:4時間
(実験結果)
図1に焼却灰の焼成実験の結果を示し、横軸は焼成温度(℃)、縦軸は鉛(Pb)の塩酸抽出量(mg/kg)と焼却灰中の鉛の含有量(mg/kg灰)および鉛(Pb)の塩酸抽出率(%)である。鉛塩酸抽出量(Pb塩酸抽出量)は、環境省告示19号に示される試験方法で測定された鉛含有量である(以下同じ)。焼却灰中の鉛の含有量(以下において、Pb含有量(JIS))は、JIS K0102 54に規定する方法で測定される。
図1に示すように、900℃以上でPbが揮発していることが、900℃および1000℃での含有量(200〜250mg/kg灰)から分かる。600℃および700℃での含有量が400〜500mg/kg灰であるので、これと比較すれば含有量は50%程度低減したことになる。
900℃以上のPb塩酸抽出量も低減したが、環境基準値150mg/kg以下にはなっていない。つまり、900℃以下の焼成温度では、Pbを安定化することはできなかった(抽出しにくいように安定化することができなかった)。
Pb塩酸抽出率(=Pb塩酸抽出量/Pb含有量(JIS))は、焼成により94%(600℃)から73%(1000℃)程度に低減した。つまり、Pb塩酸抽出率は、20%程度低減されたことになる((94−73)/94×100)。
Pb塩酸抽出率の低減効果(約20%)よりもPb含有量(JIS)の低減効果(約50%)のほうが高かったことから、焼成によりPbが揮散したものと考えられる。高温処理をすることで、灰が結晶化し鉛が安定化されるという報告もあるが、その効果は相対的に小さく、揮散による除去効果が高いと考えられる。
以上の実験から、900℃以下で焼却灰を焼成するだけでは、Pbを安定化することが困難であると結論づけ、次に、焼却灰を模擬した試料(模擬灰)を調整し、Pbが安定化される(塩酸抽出を抑制できる)条件について実験を行なった。
(実験条件)
模擬灰:NaSiO,Al(OH)、Pb(NO,CaCl、HO(標準試料を所定量混合)
焼成温度:700、800℃
(模擬灰の実験結果)
図2は、Ca分を含有しない模擬灰(NaSiO,Al(OH)、Pb(NO、HO)の焼成結果を示している。700℃以上で焼成することで、Pb抽出率は99%から3%となり、大幅に低減できた。Pb塩酸抽出量は800mg/kg(焼成なし)から25mg/kg(800℃)に低減でき、環境基準値150mg/kgを十分に満足する結果であった。
図3は、CaClを含有する模擬灰(NaSiO,Al(OH)、Pb(NO,CaCl、HO)を800℃で焼成した結果を示している。このときCaClの添加量を変化させており、CaClの添加量は、実際の焼却灰のSiとのモル比を参考に設定した。CaCl添加によりPb含有量(JIS)が塩化揮発により低減されたが、Pb塩酸抽出量は低減されず、Pb塩酸抽出率はCaClの添加量の増加と共に増大した。
CaClを含有する模擬灰についてXRD分析(X線回折分析)を行なった。その結果、CaClを添加して焼成することによりNaClの生成が確認された。つまり、
(反応式) CaCl+NaSiO → 2NaCl+CaSiO
の反応によりNaClが生成し、ケイ酸カルシウムが合成されたと推測される。なお、XRDでは、ケイ酸カルシウム結晶のスペクトルが明確に検出されなかったことから、CaSiOは非晶質で弱い結合と考えられた。Pb安定化に寄与するSiがCaとの結合に消費されると共に、耐酸性の低いカルシウム系のケイ酸塩を合成するために、Pbが安定化されなかったものと考えた。
以上の結果から、CaClの存在、つまりは活性の高いカルシウムと塩素がPbの抽出率と抽出量の抑制を阻害している(CaClの量に比例してPb抽出率および抽出量が増加する)と考えられた。
以上の実験事実から、本発明者は、以下に示すPb安定化方法を創作するに至ったものである。その本質とするところは、活性のカルシウムおよび塩素を焼却灰から除去または不活性化させることにある。
(安定化方法その1)
(1)撹拌工程。水中に焼却灰を投入し、二酸化炭素を供給すると共に、水中で焼却灰を撹拌、混合することで、焼却灰から塩素を高効率で除去することができる。また、Ca2++CO 2−→CaCOとしてCaを不活性化(安定化)することができる。焼却灰としては、各種焼却炉から排出された灰、集塵装置、サイクロン等で除去されたダスト等が例示される。また、水と焼却灰の液固比は、水(L)/焼却灰(kg)は7以下の範囲で設定される。水分があまり少ないと焼却灰を撹拌、混合しにくく、水分量は焼却灰に含有するCl量とその溶解度から設定される。二酸化炭素はガスとして水中に供給する。撹拌設備、二酸化炭素供給設備は、公知の設備を採用できる。また、二酸化炭素として、例えば、焼却排ガスを利用することができ、焼却排ガスを利用する簡便なシステムを構築でき、また、二酸化炭素が焼却灰に固定化されるため、二酸化炭素の排出量(排ガスとして)を削減できる。焼却灰の供給量、撹拌時間、二酸化炭素の供給量は、塩素除去率およびCaの炭酸化率に依存して決定される。
(2)混合工程。撹拌工程後に、焼却灰にSi含有物を混合する。撹拌工程が終了した場合、水中から焼却灰を取り出す、または焼却灰から水分を取り除く。この際、焼却灰には水分が含まれていてもよく、含水率を10%以下まで乾燥させてもよい。混合設備としては公知の混合設備を採用できる。混合時間はSi含有物の添加量、混合効率によって適宜設定される。Si含有物は、珪酸ナトリウム、水ガラス、活性白土、酸性白土およびガラス等のSi化合物の中から選択される単体または複数の組成物が例示される。Pbをより強固に安定化するために、活性のあるシリカ化合物が好ましく、特に珪酸ナトリウムが好ましい。また、焼却灰中のCaに対するSiのモル比(Si/Ca)が1〜10になるように、Si含有物の添加量が設定される。Pbを安定化すると共に、撹拌工程後に残存する可能性のある活性のカルシウムの影響を抑えるため、当モル以上必要であり、反応効率、コスト等の観点から上限値は設定される。
(3)焼成工程。混合工程で混合された混合物を800℃以上で焼成する。混合工程と焼成工程を行なうことで、焼却灰に含有するPbをSiと結合させて安定化させることができる。焼成温度としては、800℃以上900℃未満の範囲とすることで、焼成物の鉛含有量(Pb塩酸抽出量)を環境基準値の150mg/kg以下にすることができる。900℃以上の場合、Pbの揮散の影響が大きいが、900℃未満の場合は、本発明の上記各工程の結果として、Pbが抽出されない安定な状態の焼成物を製造することができる。なお、焼成設備は、従来公知の焼成設備を採用できる。
(実験例)
焼却灰と水を液固比(水/灰)6.7で混合しながら、二酸化炭素ガスを連続的に供給した。その後、焼却灰を水中から取り出し、活性なSi分として、NaSiOをSi/Caモル比が3となるように添加し、混合した。次いで、700℃、800℃で焼成を行なった。
図4に、800℃焼成での結果を、図5に、700℃焼成での結果を示す。図4に示すように、本処理を行なうことで、Pb塩酸抽出量は、1400mg/kgから125mg/kgとなり、環境基準値150mg/kgを満足した。また、Pb塩酸抽出率が70%から9%となった。この結果から、含有するPbを揮散させるだけでなく、焼却灰中に強固に安定化(抽出しないように)できた。
また、図4に示すように、NaSiOを添加しない場合、Pb塩酸抽出率が35%であり、Pb塩酸抽出量は400mg/kgであったことから、活性なSi分が安定化に不可欠であることが分かった。
一方、図5に示すように、700℃で焼成した場合、Pb塩酸抽出量は224mg/kgとなり、環境基準値150mg/kgを満足しなかった。したがって、Pb塩酸抽出量が環境基準値150mg/kg以下となるようにPbを安定化させるためには、700℃を超える温度、好ましくは800℃以上の温度が必要であることが分かった。
次に、図6で、撹拌工程(二酸化炭素ガス供給しながら水中で焼却灰を撹拌)を行なわない場合について説明する。焼却灰にNaSiOをSi/Caモル比が3となるように添加し、混合した。次いで、800℃で焼成を行なった。図6に示すように、撹拌工程を行なわず、混合工程後に焼成した場合、Pb塩酸抽出量は、166mg/kgであり、環境基準値の150mg/kgを満足しなかった。また、Pb塩酸抽出率は20%であった。
次に、図7で、Si含有物の添加量とPb安定化の関係について説明する。NaSiOの添加量をSi/Caモル比として(1)0、(2)1.5、(3)3の条件とし、撹拌工程、混合工程、800℃での焼成工程を行なった。図7に示すように、NaSiOの添加量を増加させていくと、Pb塩酸抽出量およびPb塩酸抽出率は低減していった。添加量をSi/Caモル比が3の場合は、Pb塩酸抽出量が125mg/kgであり、環境基準値の150mg/kgを満足した。
(安定化方法その2)
(1)混合工程。まず、焼却灰にSi含有物を混合する。混合設備としては公知の混合設備を採用できる。混合時間はSi含有物の添加量、混合効率によって適宜設定される。Si含有物は、珪酸ナトリウム、水ガラス、活性白土、酸性白土およびガラス等のSi化合物の中から選択される単体または複数の組成物が例示される。Pbをより強固に安定化するために、活性のあるシリカ化合物が好ましく、特に珪酸ナトリウムが好ましい。また、焼却灰中のCaに対するSiのモル比(Si/Ca)が1〜10になるように、Si含有物の添加量が設定される。Pbを安定化すると共に、撹拌工程後に残存する可能性のある活性のカルシウムの影響を抑えるため、当モル以上必要であり、反応効率、コスト等の観点から上限値は設定される。
(2)撹拌工程。Si含有物を混合した後の焼却灰を水中に投入し、二酸化炭素を供給すると共に、水中で焼却灰を撹拌、混合する。これによって、焼却灰から塩素を高効率で除去することができる。また、Ca2++CO 2−→CaCOとしてCaを不活性化(安定化)することができる。焼却灰としては、各種焼却炉から排出された灰、集塵装置、サイクロン等で除去されたダスト等が例示される。また、水と焼却灰の液固比は、水(L)/焼却灰(kg)は7以下の範囲で設定される。水分があまり少ないと焼却灰を撹拌、混合しにくく、水分量は焼却灰に含有するCl量とその溶解度から設定される。二酸化炭素はガスとして水中に供給する。撹拌設備、二酸化炭素供給設備は、公知の設備を採用できる。また、二酸化炭素として、例えば、焼却排ガスを利用することができ、焼却排ガスを利用する簡便なシステムを構築でき、また、二酸化炭素が焼却灰に固定化されるため、二酸化炭素の排出量(排ガスとして)を削減できる。焼却灰の供給量、撹拌時間、二酸化炭素の供給量は、塩素除去率およびCaの炭酸化率に依存して決定される。
(3)焼成工程。撹拌工程で撹拌、混合された焼却灰を800℃以上で焼成する。混合工程、撹拌工程を経て焼成工程を行なうことで、焼却灰に含有するPbをSiと結合させて安定化させることができる。焼成温度としては、800℃以上900℃未満の範囲とすることで、焼成物の鉛含有量(Pb塩酸抽出量)を環境基準値の150mg/kg以下にすることができる。900℃以上の場合、Pbの揮散の影響が大きいが、900℃未満の場合は、本発明の上記各工程の結果として、Pbが抽出されない安定な状態の焼成物を製造することができる。なお、焼成設備は、従来公知の焼成設備を採用できる。
(実験例)
焼却灰に活性なSi分として、NaSiOをSi/Caモル比が3となるように添加し、混合した。その後、水との液固比(水/焼却灰)6.7で撹拌しながら、二酸化炭素ガスを連続的に供給した。その後、焼却灰を水中から取り出し、次いで、800℃で焼成を行なった。
図8に、800℃焼成での結果を示す。図8に示すように、本処理(処理フロー2)を行なうことで、Pb塩酸抽出量は、1400mg/kgから119mg/kgとなり、環境基準値150mg/kgを満足した。また、Pb塩酸抽出率が70%から13%となった。この結果から、含有するPbを揮散させるだけでなく、焼却灰中に強固に安定化(抽出しないように)できた。なお、処理フロー1は、図4に示す800℃焼成での結果である。
焼却灰の焼成結果を示す図 模擬灰(Ca分なし)の焼成結果を示す図 模擬灰の焼成結果を示す図 焼却灰の焼成(800℃)結果を示す図 焼却灰の焼成(700℃)結果を示す図 撹拌工程有無による焼却灰の焼成結果を示す図 シリカ含有物添加量に依存した焼却灰の焼成結果を示す図 焼却灰の焼成(800℃)結果を示す図

Claims (5)

  1. 水中に焼却灰を投入し、二酸化炭素を供給すると共に、水中で焼却灰を撹拌する撹拌工程と、
    前記撹拌工程後に、前記焼却灰にSi含有物を混合する混合工程と、
    前記混合工程で混合された混合物を800℃以上1000℃未満で焼成する焼成工程と、を有し、
    前記焼却灰中のCaに対するSiのモル比(Si/Ca)が2〜10になるように、前記Si含有物の添加量が設定されることを特徴とする焼却灰に含有する鉛の安定化方法。
  2. 焼却灰にSi含有物を混合する混合工程と、
    前記混合工程の後に、前記Si含有物が混合された焼却灰を水中に投入し、二酸化炭素を供給すると共に、水中で当該焼却灰を撹拌する撹拌工程と、
    前記撹拌工程後に、前記焼却灰を800℃以上1000℃未満で焼成する焼成工程と、を有し、
    前記焼却灰中のCaに対するSiのモル比(Si/Ca)が2〜10になるように、前記Si含有物の添加量が設定されることを特徴とする焼却灰に含有する鉛の安定化方法。
  3. 前記焼成工程における焼成温度が800℃以上900℃未満の範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の焼却灰に含有する鉛の安定化方法。
  4. 前記Si含有物は、珪酸ナトリウム、水ガラス、活性白土、酸性白土およびガラスであるSi化合物の中から選択される単体または複数の組成物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の焼却灰に含有する鉛の安定化方法。
  5. 前記撹拌工程において、液固比が水(L)/焼却灰(kg)が7以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載の焼却灰に含有する鉛の安定化方法。
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