JP4812987B2 - セレン含有排水処理用の反応装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、有害物質であるセレン酸イオン(SeO4 2-)や亜セレン酸イオン(SeO3 2-)等の形で溶存するセレン(溶存セレン)や硫黄酸化物等の種々の酸化性物質を含有する排水と鉄系金属とを接触させ、この排水中の有害物質を分離して除去するために用いられる反応装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
セレン及びセレン化合物は、ガラス製品や窯業製品、半導体材料、太陽電池や映画用フィルム、赤外線偏光子、顔料、増感剤、脱水素剤、起泡剤等、様々な工業製品の製造に多用されており、また、このようなセレン及びセレン化合物を用いる工業製品の製造工場等からは、不可避的に溶存セレンを含むセレン含有排水が排出される。
【0003】
そして、このセレン含有排水については、環境基準がセレン濃度(Seとして)0.01mg/リットル以下に設定されたことも引き金になって、排水中の溶存セレンを分離除去するための種々の方法が提案されている。例えば、米国特許第4,405,464号明細書には、6価のセレンイオン〔例えば、セレン酸イオン(SeO4 2-)〕を含む水溶液と金属鉄とをpH6以下で接触させ、6価のセレンイオンを4価のセレンイオン〔例えば、亜セレン酸イオン(SeO3 2-)〕に還元すると共に金属鉄を酸化させて溶解せしめ、この溶解した酸化鉄を水酸化鉄の形で析出せしめ、析出した水酸化鉄を固液分離して6価及びそれ以下のセレンイオンを減少せしめた水溶液を回収する方法が記載されている。また、特開平7-2,502号公報には、セレン及び/又はセレン含有廃液をpH0〜6の範囲で金属鉄と接触させ、金属鉄の表面にセレンを析出させて廃液中のセレン濃度を低減しそして除去する方法が記載されている。更に、特開平11-207,364号公報には、セレン含有溶液を30℃以上の温度で繊維状等の鉄系金属の充填層と接触させ、この鉄系金属の表面にセレンを析出させる方法が記載されている。
【0004】
そして、これらの方法においては、溶存セレンが排水と接触した鉄系金属(金属鉄)の表面で析出するので、使用する鉄系金属については、例えば特開平7-2,502号公報においては細い線材、小さい板片、粉体、微粒チップ等の全体の容積に比べて表面積の大きい形状、すなわち比表面積の大きい形状が好ましいと記載されており、また、特開平11-207,364号公報においては繊維状、多孔状、微細片板状、粒状、粉状等の形状が好ましいと記載されている。
【0005】
しかしながら、セレン含有排水中には、一般に、溶存セレン以外に硫黄酸化物や窒素酸化物等の種々の酸化性物質が含まれているほか溶存酸素も存在しており、溶存セレンを排水基準として規定されているセレン濃度0.1mg/リットル以下にまで低減せしめるためには、排水を鉄系金属と接触させる反応帯域で排水中のセレン濃度の数千倍から数万倍に達する大量の鉄イオンを発生させる必要がある。このため、この反応帯域で使用される鉄系金属の消耗が激しく、また、溶存セレンの除去効率が悪くて必要以上に大量のスラッジ(水酸化鉄等)が生成し、反応帯域に大量の鉄系金属を頻繁に供給する必要や、大量に発生するスラッジを処理する必要も生じ、これらがセレン含有排水の脱セレン処理の操業上の大きな負担になっている。
【0006】
この鉄系金属の大量使用の問題やそれに伴うスラッジの大量発生の問題は、例えば、石炭火力発電所等の設備に付設され、主として排煙中の亜硫酸ガスを除去する排煙脱硫装置から排出され、ジエチル-p-フェニレンジアミン比色法(工業排水試験方法)で定量できる硫黄酸化物等の酸化性物質を比較的多量に含む排煙脱硫排水について、溶存セレンとこれら酸化性物質とを1つのプロセスで同時に処理して除去しようとした場合、その処理量の多さとも相俟って、より一層深刻な問題になっている。
【0007】
この問題を解決するため、本発明者らは、セレン含有排水から溶存セレンや酸化性物質を効率良く分離除去できると共に、鉄系金属の使用量やスラッジの発生量を可及的に低減することができ、しかも、排水処理の操業上の負担を軽減することができる手段について検討し、鉄系金属の金属繊維を所定の形状に成形すると共にその内部にまで排水が流通するようにした金属繊維成形体を接触還元材として用い、pH5〜7という比較的高いpH値でかつ0.03〜0.5hr-という比較的遅い液空間速度(SV)で操業することにより、長時間に亘って安定したセレン除去率を維持することができることを見出した。
【0008】
しかるに、このような鉄系金属の金属繊維成形体からなる接触還元材を、この種の脱セレン処理において普通に用いられているカラム型充填塔式反応装置に充填し、通常の比較的早い液空間速度(SV)で操業すると、鉄溶解速度を高くする必要があるために低いpH領域での運転が必須になり、接触還元材の内部で酸素不足が発生し、フェライト状のスケールが生成して接触還元材を形成する金属繊維の表面を被覆し、このために接触還元材内部の排水流通性が損なわれてその反応性が急激に低下するほか、接触還元材の表面に付着したスラッジを脱離させて除去することが困難であり、しかも、カラム型充填塔式反応装置でピストンフローを実現させるための電動機容量が膨大になるという問題がある。
【0009】
また、従来のカラム型充填塔式反応装置を用いる脱セレン処理においては、このカラム型充填塔式反応装置においてセレン含有排水と鉄系金属の接触還元材とをpH2〜3の条件で接触させて溶存セレンを還元し(セレン還元反応)、次いで得られた被処理排水のpH値をpH8以上に上昇させて水中の2価又は3価の鉄イオンを水不溶性の水酸化第一鉄又は水酸化第二鉄として凝集せしめ、この際に生成した水酸化鉄にセレン還元反応で生成した還元セレンを吸着させて固定化している(セレン固定化反応)が、このセレン固定化反応のための反応装置をカラム型充填塔式反応装置とは別個に建設し、また、操業しなければならず、そのための建設費や用役費が嵩むという問題もあった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、鉄系金属の金属繊維成形体からなる接触還元材を用い、長時間に亘って安定したセレン除去率を維持しながら安定した脱セレン処理の操業を行うことができる反応装置について鋭意検討した結果、装置本体の内部空間を反応領域と循環領域とに区画し、これら反応領域と循環領域との間をその上部及び下部で互いに連通せしめ、反応領域には接触還元材を収容する接触反応帯域を形成すると共にその下方にバブリング洗浄用の気体導入部を設け、また、循環領域には内部空間内の排水を循環領域と反応領域との間で循環せしめる排水循環手段として軸流型攪拌機又は循環ポンプを配設し、これによって比較的高いpH値でかつ比較的遅い液空間速度(SV)で操業することにより、セレン還元反応とセレン固定化反応とを同じ反応装置内で行うことができることを見出し、本発明を完成した。
【0011】
従って、本発明の目的は、鉄系金属の金属繊維成形体からなる接触還元材を用いてセレン含有排水中の有害物質を分離除去するに際し、長時間に亘って安定したセレン除去率を維持しながら安定して操業することができるセレン含有排水処理用の反応装置を提供することにある。
【0012】
また、本発明の他の目的は、鉄系金属の金属繊維成形体からなる接触還元材を用いてセレン含有排水中の有害物質を分離除去するに際し、長時間に亘って安定したセレン除去率を維持して操業の長期安定性を達成できると同時に、セレン還元反応とセレン固定化反応とを同じ反応装置内で行わせることにより、結果として排水の脱セレン設備の建設費や用役費の節減を図ることができるセレン含有排水処理用の反応装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、溶存セレン、又は溶存セレン及び酸化性物質からなる有害物質を含有する排水に、鉄系金属の金属繊維成形体からなる接触還元材を接触させ、上記排水中の有害物質を除去するための反応装置であり、装置本体の内部空間をその略中央部に立設された隔壁により反応領域と循環領域とに区画すると共に、これら反応領域と循環領域との間を上記隔壁の上部及び下部で互いに連通せしめ、上記反応領域には接触還元材を収容する接触反応帯域を形成すると共にこの接触反応帯域の下方には上記接触還元材の表面に付着し、また、この接触反応帯域に滞留した付着物を洗浄して除去するバブリング洗浄用の気体導入部を設け、上記循環領域には内部空間内の排水が反応領域内を上昇し、また、循環領域内を下降しするようにこの排水を反応領域から循環領域へと循環せしめる軸流型攪拌機又は循環ポンプを配設したことを特徴とするセレン含有排水処理用の反応装置である。
【0014】
本発明において、使用される接触還元材は、Fe、Mn、Ni、及びCuからなる群から選ばれた少なくとも1種の鉄系金属で形成された金属繊維を、立方体状、球状、円柱状、円盤状、その他の接触反応装置の反応帯域に充填可能な形状に成形して得られた金属繊維成形体であり、好ましくはその体積が0.002〜0.2m3、より好ましくは0.02〜0.04m3であって、その嵩密度が50〜100kg/m3、好ましくは50〜70kg/m3である。この金属繊維成形体の体積が0.002m3より小さくなると、得られた接触還元材内部の液流通性が高くなりすぎ、消耗が早くてセレン除去率の低下が早く、頻繁に接触還元材の追加が必要になって排水処理の操業上の負担が増し、また、接触反応装置の接触還元材接触反応帯域から溢流が生じて後流機器の破損や閉塞等という不具合が発生する場合があり、反対に、0.2m3より大きくなると、得られた接触還元材内部への液流通性が低くなりすぎ、反応性が低下して所望のセレン除去率を達成し得ない場合が生じるほか、接触還元材内部の酸素不足でフェライトが発生して接触還元材が失活する場合があり、また、重量が嵩んで接触還元材のハンドリング性も低下する。また、金属繊維成形体の嵩密度が50kg/m3より低いと、得られた接触還元材内部の液流通性が高くなりすぎ、消耗が早くてセレン除去率の低下が早く、頻繁に接触還元材の追加が必要になって排水処理の操業上の負担が増し、反対に、100kg/m3より高いと、得られた接触還元材内部への液流通性が低くなりすぎ、反応性が低下して所望のセレン除去率を達成し得ない場合が生じるほか、スラッジ等の堆積が顕著になり、反応速度が低下する。
【0015】
なお、本発明で用いる接触還元材を成形するための金属繊維については、特に制限はないが、好ましくは油脂を使用しない切削法等により製造されたものであるのがよく、その平均繊維径が好ましくは25〜70μm、より好ましくは50〜70μmであって、その平均繊維長が好ましくは100mm以上、より好ましくは100〜200mmである。金属繊維の平均繊維径が25μmより細いと、形成された接触還元材が破断し易くなり、反対に、70μmより太くなると、成形不良の問題や充填量の増加という問題が生じる。また、平均繊維長が100mmより短くなると、金属繊維成形体を成形した後にその形状を維持するのが困難になる場合があるほか、破断した金属繊維が後流へ溢流するという問題も生じ、平均繊維長が200mmを超えて長くなると、成形不良が生じる場合がある。
【0016】
本発明においては、反応装置の装置本体の内部空間を反応領域と循環領域とに区画する隔壁を設け、この隔壁の上部及び下部において上記反応領域と循環領域との間を連通せしめるように構成するが、その方法については特に制限されるものではなく、反応領域については接触還元材を充填して形成される接触反応帯域にこの接触還元材を充填効率良くまた偏り無く充填でき、また、循環領域には排水の循環効率がよいように排水循環手段として軸流型攪拌機又は循環ポンプを配置できればよく、例えば、隔壁で内部空間を完全に反応領域と循環領域とに区画し、この隔壁の上部及び下部に所望の大きさの貫通孔を開設して連通せしめてもよく、また、隔壁の上方及び下方に所定の間隙を残してこの間隙により反応領域と循環領域との間を連通せしめてもよい。
【0017】
また、上記反応領域には、接触還元材を収容する液流通可能な接触反応帯域を形成すると共に、この接触反応帯域の下方には接触還元反応により接触還元材の表面に付着し、また、この接触反応帯域に滞留した付着物をバブリング洗浄するための気体導入部を配設し、また、上記循環領域には、内部空間内に装入された排水を反応領域の接触反応帯域から循環領域へと循環せしめる軸流型攪拌機又は循環ポンプを配設する。ここで、液流通可能な接触反応帯域を形成するには、例えば、立設された隔壁と装置本体の反応領域側内壁との間に液流通可能な通水棚を配設し、この通水棚と隔壁及び装置本体の反応領域側内壁とで区画される領域の一部又は全部に接触還元材を充填して液流通可能な接触反応帯域とする等、適宜の方法を採用することができる。
【0018】
更に、上記接触反応帯域の下方に配設する気体導入部については、この気体導入部を介して接触反応帯域にバブリング洗浄用の空気等の気体を導入し、この接触反応帯域の接触還元材に付着した付着物を洗浄できればよく、例えばプラントエア等が用いられ、また、循環領域に排水循環手段として配設される軸流型攪拌機又は循環ポンプについては、内部空間内の排水に、隔壁下部を経て反応領域の接触反応帯域を上昇し、次いで隔壁上部を経て循環領域内を下降する排水循環の流れを与えることができるものであればよい
【0019】
そして、この反応装置に設けるセレン含有排水(未処理排水)の装入口と処理後の排水(処理排水)の排出口の位置については、接触反応帯域での液空間速度(SV)を0.03〜0.5hr-という比較的遅い速度で操業するので、反応装置のどの位置にこれら未処理排水の装入口と処理排水の排出口を設けてもよいが、反応装置内に導入された未処理排水が確実に接触反応帯域内の接触還元材と接触できるようにこれら装入口と排出口を設けるのがよく、未処理排水の装入口については、好ましくは、この未処理排水の装入口を接触反応帯域の上流側であってこの接触反応帯域に比較的近い位置に、より好ましくは反応領域と循環領域とを区画する隔壁の下部近傍に開口させ、また、処理排水の排出口については装置本体の循環領域側の側壁下部であって上記未処理排水の装入口とは比較的離れた位置に設けるのがよい。
【0020】
また、本発明においては、この反応装置に導入されるセレン含有排水のセレン濃度の変化やこの反応装置での排水処理量の変動に容易に対応できるようにするため、好ましくは、装置本体には仕切壁で仕切られて互いに直列状に位置する複数の内部空間(例えば、2〜5つの内部空間)を形成すると共に、各仕切壁の上部を介して各内部空間の間をその上流側から下流側へと排水が移動するように形成し、処理排水の導入については、好ましくは、上記各内部空間の接触反応帯域の上流側であってこの接触反応帯域に比較的近い位置に、より好ましくは反応領域と循環領域とを区画する隔壁の下部近傍に未処理排水の導入管を開口させ、また、処理排水の排出口については、好ましくは、最下流側の内部空間を形成する循環領域側の側壁下部に、より好ましくは未処理排水の導入管とは比較的離れた位置に処理排水の排出口を形成し、排水中のセレン濃度や排水処理量の変動に応じて、下流側から第一段の内部空間のみを運転したり、あるいは、下流側から第一段及び第二段の内部空間、下流側から第一段、第二段及び第三段の内部空間等のように、下流側から数えて複数の内部空間を運転できるように構成してもよい。
【0021】
そして、この際に、各内部空間の間における排水の移動方向(排水移動方向)については、上流側の内部空間内から下流側の内部空間内へと移動した排水が、下流側の内部空間内の排水循環の流れ(すなわち、、隔壁下部を経て反応領域の接触反応帯域を上昇し、次いで隔壁上部を経て循環領域内を下降する排水循環の流れ)に乗って、この下流側の内部空間内の反応領域から循環領域へと循環し、この間に反応領域に設けた接触反応帯域を実質的に通過し、最終的に最下流側の内部空間を形成する循環領域側の側壁に設けた処理排水の排出口から反応装置外部に導き出されるように設計される。なお、この排水移動方向と各内部空間内での排水循環方向との関係については、それが互いに略同じ方向であっても、また、互いに略直交する方向であってもよく、反応装置の設計上の都合で適宜決定できる。
【0022】
更に、本発明においては、装置本体には各内部空間における排水のpH値を測定するpH計と溶存酸素濃度を測定するDO計とを設け、各内部空間の反応領域と循環領域との間を循環する排水のpH値及び溶存酸素濃度を所定の値の範囲内(好ましくは、pH値が5〜7であって溶存酸素濃度が0〜8mg/リットルの範囲内)に制御できるように構成するのがよい。この際のpH値制御には、通常、酸として塩酸水溶液が、また、アルカリとして水酸化ナトリウム水溶液がそれぞれ用いられ、また、溶存酸素濃度制御には空気、プラントエア等の酸素含有ガスが用いられる。
【0023】
本発明の反応装置を用いてセレン含有排水の脱セレン処理を行うに際しては、好ましくは、接触還元材が充填される接触反応帯域の容積V1とこの接触反応帯域に充填される接触還元材の合計の容積V2との比(V2/V1)が0.15〜0.4、好ましくは0.2〜0.3であって、この接触反応帯域を通過する排水の液空間速度(通液速度)SVが0.03〜0.5hr-1、好ましくは0.05〜0.1hr-1であり、また、この接触反応帯域を通過する排水の平均通過速度が0.5〜2.5m/秒、好ましくは0.2〜0.5m/秒であるのがよい。このような処理条件を採用することにより、長時間に亘って安定した高いセレン除去率を達成することができる。
【0024】
このようにして本発明の反応装置から抜き出された処理排水は、次に沈殿槽、膜分離装置、遠心分離機、ベルトフィルター、フィルタープレス等において固液分離等の処理に付される。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面に示す実施例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0026】
実施例1
図1に、本発明の実施例1に係るセレン含有排水処理用の反応装置が模式的に示されている。
この図1において、装置本体1にはその内部空間2の略中央部に位置して内部空間2を反応領域3と循環領域4とに区画する隔壁5が立設されており、この隔壁5の上方及び下方にはこれら反応領域3と循環領域4との間を互いに連通せしめるための間隙6a,6bが形成されており、また、上記反応領域3には上記隔壁5と装置本体1の反応領域3側内壁1aとの間に液流通可能な通水棚7が配設され、この通水棚7と隔壁5及び装置本体1の反応領域側内壁1aとで区画されて接触還元材8を収容するための液流通可能な接触反応帯域9が形成されており、また、この接触反応帯域9の下方には空気源10aからバブリング洗浄用の空気を導入して噴出させるための気体導入部10が配設され、更に、上記循環領域4には内部空間2内の排水を隔壁5上部から循環領域4、隔壁5下部、及び反応領域3の接触反応帯域9をへて隔壁5上部に循環せしめる高吐出性能の例えば軸流型攪拌機(排水循環手段)11が配設されている。
【0027】
この実施例1の反応装置において、未処理排水の導入管13は循環領域4の上方からこの循環領域4内の軸流型攪拌機11より下方に延び、その開口13aが隔壁5下部の間隙6bの近傍に位置し、また、処理排水の排出口12は上記開口13aから比較的離れた装置本体1の循環領域4側の側壁1b下部に設けられており、上記導入菅13の開口13aから導入された未処理排水は、隔壁5下部を経て反応領域3の接触反応帯域9内を上昇し、隔壁5上部を経て循環領域4を下降するように流れ、循環領域4側の側壁1b下部に設けられた排出口12から外部へと抜き出される。
【0028】
更に、この実施例1の反応装置においては、その装置本体1に内部空間2に導入されて脱セレン処理される排水のpH値を測定するpH計15と、この排水の溶存酸素濃度を測定するDO計16とが設けられており、pH計15によって測定される排水のpH値に基づいて水酸化ナトリウム水溶液を供給するアルカリ供給装置17又は塩酸水溶液を供給する酸供給装置18が駆動され、所定量の水酸化ナトリウム水溶液又は塩酸水溶液が供給されてpH値の制御が行われるほか、DO計16によって測定された排水中の溶存酸素濃度に基づいて酸素含有ガス供給装置19から空気が供給され、排水中の溶存酸素濃度の制御が行われるようになっている。
【0029】
従って、この実施例1の反応装置においては、導入菅13の下端の開口13aより導入されたセレン含有排水(未処理排水)は、隔壁5下部の間隙6b→反応領域3の接触反応帯域9→隔壁5上部の間隙6a→循環領域4→隔壁5下部の排出口12の順に循環する排水循環方向に沿って流れ、反応領域3ではその接触反応帯域9に充填された接触還元材8と所定の条件で接触し、この接触還元材8の接触反応帯域9で排水中の溶存セレンの還元反応が行われると共に、上記還元反応で生成した還元セレンが接触還元材8より生成した水酸化鉄と共に固定化され(セレン固定化)、固定化された還元セレンを含む処理排水は隔壁5下部の側壁1bに形成した排出口12から外部へと抜き出される。
【0030】
上記実施例1に示す構成の反応装置において、装置条件を内部空間2の容積122.5リットル、内部空間2への排水の流通流量10リットル/hr、排水循環の液空間速度0.08hr-、排水の液温度35〜40℃、接触還元材8の接触反応帯域9(接触反応帯域)の平均通過流速0.25m/秒、pH値7、溶存酸素濃度0〜8mg/リットル、及びバブリング洗浄頻度12〜24時間毎とし、また、接触還元材8の条件を繊維径:70μm繊維状金属鉄、容積率:20〜30%、及び、処理容量当りの表面積:80m2/m3とし、セレン含有排水の脱セレン処理を実施した。
結果は、装置の一時停止をすることなく、720時間に亘って脱セレン処理を継続することができ、この間は所望のセレン除去率(90%)を維持することができた。
【0031】
実施例2
図2に、本発明の実施例2に係るセレン含有排水処理用の反応装置が模式的に示されている。
この図2に示す反応装置は、上記実施例1の場合と異なり、装置本体1には2つの仕切壁20a,20bで仕切られて図面上左右方向に互いに直列状に位置する3つの内部空間2a,2b,2cが形成されている共に、各仕切壁20a,20bの上部にはそれぞれスリット孔21a,21bが設けられており、上流側の内部空間2a,2bに装入されて脱セレン処理された処理排水がこれら各仕切壁20a,20b上部のスリット孔21a,21bを介してその上流側から下流側へと移動するように形成されており、最下流側の内部空間2cを形成する循環領域4a側の側壁1b下部に処理排水の排出口12が形成されていると共に、上記各内部空間2a,2b,2cの循環領域4a,4b,4cには各隔壁5の下端近傍に未処理排水の導入菅13の開口13aが位置している。
【0032】
この実施例2の反応装置によれば、下流側から第一段目の内部空間2cのみを運転したり、あるいは、下流側から第一段目及び第二段目の内部空間2b,2cを運転したり、更には第一段目から第三段目までの全ての内部空間2a,2b,2cを運転する等のように、各内部空間2a,2b,2c内における排水循環の液空間速度を変更することなく、セレン含有排水のセレン濃度や排水処理量の変動に対して容易に対応することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明のセレン含有排水処理用の反応装置によれば、鉄系金属の金属繊維成形体からなる接触還元材を用いてセレン含有排水中の有害物質を分離除去するに際し、長時間に亘って安定したセレン除去率を維持しながら安定して操業することができ、また、接触還元材による排水中の溶存セレンの還元反応を行う反応装置とこの還元反応で生成した還元セレンを接触還元材より生成した水酸化鉄と共に固定化する還元セレンの固定化装置とを別個に設置する必要がなく、結果として排水の脱セレン設備の建設費や用役費の節減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、本発明の実施例1に係るセレン含有排水処理用の反応装置を示す説明図である。
【図2】 図2は、本発明の実施例2に係るセレン含有排水処理用の反応装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1…装置本体、1a,1b…側壁、1c…底壁、2,2a,2b,2c…内部空間、3…反応領域、4,4a,4b,4c…循環領域、5…隔壁、6a,6b…間隙、7…通水棚、8…接触還元材、9…接触反応帯域、10…気体導入部、10a…空気源、11…軸流型攪拌機(排水循環手段)、12…排出口、13…導入管、13a…開口、15…pH計、16…DO計、17…アルカリ供給装置、18…酸供給装置、19…酸素含有ガス供給装置、20a,20b…仕切壁、21a,21b…スリット孔。

Claims (5)

  1. 溶存セレン、又は溶存セレン及び酸化性物質からなる有害物質を含有する排水に、鉄系金属の金属繊維成形体からなる接触還元材を接触させ、上記排水中の有害物質を除去するための反応装置であり、装置本体の内部空間をその略中央部に立設された隔壁により反応領域と循環領域とに区画すると共に、これら反応領域と循環領域との間を上記隔壁の上部及び下部で互いに連通せしめ、上記反応領域には接触還元材を収容する接触反応帯域を形成すると共にこの接触反応帯域の下方には上記接触還元材の表面に付着し、また、この接触反応帯域に滞留した付着物を洗浄して除去するバブリング洗浄用の気体導入部を設け、上記循環領域には内部空間内の排水が反応領域内を上昇し、また、循環領域内を下降するようにこの排水を反応領域から循環領域へと循環せしめる軸流型攪拌機又は循環ポンプを配設したことを特徴とするセレン含有排水処理用の反応装置。
  2. 装置本体の循環領域側の側壁に処理排水の排出口を設けると共に、反応領域と循環領域とを区画する隔壁の下部近傍に未処理排水の装入口を開口させてなる請求項1に記載のセレン含有排水処理用の反応装置。
  3. 装置本体には仕切壁で仕切られて互いに直列状に位置する複数の内部空間を形成すると共にこれら各内部空間の間を仕切壁の上部を介してその上流側から下流側へと排水が移動するように形成し、上記各内部空間の循環領域には反応領域と循環領域とを区画する隔壁の下部近傍に処理排水の導入管を開口させると共に、最下流側の内部空間を形成する循環領域側の側壁上部に処理排水の排出口を形成してなる請求項1に記載のセレン含有排水処理用の反応装置。
  4. 装置本体には各内部空間における排水のpH値を測定するpH計と溶存酸素濃度を測定するDO計とが設けられている請求項1〜3のいずれかに記載のセレン含有排水処理用の反応装置。
  5. 軸流型攪拌機又は循環ポンプは、接触反応帯域においてpH5〜7に調整された廃水を液空間速度(SV)0.03〜0.5hr - の速度で流通させる請求項1〜4のいずれかに記載のセレン含有排水処理用の反応装置。
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