JPH072502A

JPH072502A - セレン含有廃液の処理法

Info

Publication number: JPH072502A
Application number: JP13983593A
Authority: JP
Inventors: Takao Takeuchi; 孝夫武内; Seiji Masaki; 征史正木
Original assignee: Daiwa Kasei Kenkyusho KK
Current assignee: Daiwa Kasei Kenkyusho KK
Priority date: 1993-05-20
Filing date: 1993-05-20
Publication date: 1995-01-06

Abstract

(57)【要約】【目的】セレンおよび（または）セレン化合物含有廃
液の処理法を提供する。【構成】本発明の廃液処理法は、セレンおよび（また
は）セレン化合物含有廃液を鉄または鉄系金属と接触さ
せることによって、鉄または鉄系金属表面にセレンを析
出させて、廃液中のセレン濃度を低減そして除去するこ
とを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、セレンおよび（また
は）セレン化合物含有廃液から、セレンおよびセレン化
合物を効率的に除去すると共に、セレンおよび（また
は）セレン化合物含有廃液にＣｕ、Ｎｉ、Ｚｎ、Ｃｏ、
Ｃｒ、Ｓｂ等の重金属が共存した場合は、セレンおよび
セレン化合物と重金属イオンを同時に除去し、廃液を効
率良く浄化する方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術とその問題点】近年、セレンおよびセレン
化合物は、鉛硝子の脱色剤、熱線吸収板硝子の着色剤、
乾式複写機の感光体、自動車バッテリー、テレビとラジ
オの整流体、Ｐ型半導体部品、計算機の磁気コアー、太
陽電池、赤色顔料、金属表面着色剤、快削ステンレス
鋼、医薬用ではニコチン酸アミドの製造触媒等、各種様
々な産業分野で使用されているが、セレンおよびセレン
化合物は、毒物劇物取締法において毒物に分類されるほ
どの毒性の強い環境汚染物質であり、平成４年度に省令
された水道法に基づく水質基準では、セレン含有量が
０．０１ｍｇ／ｌ以下と規制されている。周知のごと
く、我国における排水汚染問題は重大な社会問題であ
り、工場等からの排水中にセレンまたはセレン化合物が
含有されていると、河川等を通じて湖沼や海を汚染して
魚介類の中に蓄積され、この魚介類を介して人体内に入
り、公害病を招くおそれがある。従って、今後、公開規
制の一環となる排水基準によってセレンおよびセレン化
合物の排水が厳しく規制され、工場等の施設内にセレン
およびセレン化合物含有廃液の処理装置の設置を義務付
けられるものと推察される。現在、一般的に用いられて
いる処理方法としては、中和凝集沈澱法、水酸化鉄沈澱
法、フェライト沈澱法、イオン交換膜法、活性炭吸着法
等がある。上記の各種沈澱処理法は、活性炭処理法を併
用する事によって、セレンおよびセレン化合物を有効に
処理出来る操作法の一つであるが、排水処理設備及び処
理作業等に多額の出費を伴い、経済的損失が大きい等の
問題点がある。また、イオン交換膜法では、セレン濃度
をある程度まで低下させる事は可能であるが、作業効率
を鑑みると目標とする許容濃度までの低減が困難であ
り、沈澱法との併用が必要となる等の問題点がある。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従って、本発明は、か
かる問題点を解決したもので、低濃度あるいは高濃度の
何れのセレンおよびセレン化合物含有廃液の処理にも適
用可能であり、極めて容易にセレン濃度を０．０１ｐｐ
ｍ（Ｓｅとして表わして）以下に低減出来るばかりでな
く、経済的にみても極めて安価に処理出来る方法を提供
することを目的とするものである。

【０００４】また、本発明は、セレンおよび（または）
セレン化合物含有廃液に、Ｃｕ、Ｎｉ、Ｚｎ、Ｃｏ、Ｃ
ｒ、Ｓｂ等の異種重金属が含まれていた場合には、セレ
ンおよびセレン化合物と重金属が同時に濃度低減、浄化
処理できる方法を特徴とするものである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の欠
点を解決すべく鋭意検討した結果、セレンおよび（また
は）セレン化合物含有廃液を鉄または鉄系金属と接触さ
せることによって、鉄または鉄系金属表面にセレンを析
出させ、目的とする廃液中のセレン濃度を低減、そして
除去処理出来ることを見い出し、本発明を完成するに至
った。

【０００６】本発明におけるセレン及びセレン化合物と
は、セレン元素を含有する物質を示し、例えば、セレ
ン、セレン酸、二酸化セレン、三酸化セレン、亜セレン
酸；四塩化セレン、セレン化ソーダ、セレン化カリウ
ム、フェロセレン、セレン化銅、セレン化ニッケル等の
セレン化合物；亜セレン酸ナトリウム、亜セレン酸カリ
ウム、亜セレン酸バリウム等の亜セレン酸塩等が挙げら
れる。

【０００７】本発明で処理されるセレンおよび（また
は）セレン化合物含有廃液に、Ｃｕ、Ｎｉ、Ｚｎ、Ｃ
ｏ、Ｃｒ、Ｓｂ等の重金属が１種以上含まれていた場合
にも、これら重金属は鉄および鉄系金属表面上にセレン
と共析出するので、セレンおよびセレン化合物単独の場
合と同様に除去処理することができる。

【０００８】本発明で鉄または鉄系金属表面にセレンと
共に共析するセレン以外の重金属イオンの総濃度は、廃
液中のセレン含有濃度が低下した際に重金属イオンの共
析反応効率が低下するので、廃液中に含まれるセレン含
有量の化学当量以下に調製することが望ましい。

【０００９】但し、本発明の処理法によって、セレンお
よび（または）セレン化合物含有廃液中のセレンを除去
処理した後に、残存した重金属をその他の排水処理方法
で除去する場合は、セレンおよびセレン化合物含有廃液
中のセレン以外の総重金属イオン濃度は特に限定されな
い。

【００１０】本発明によって処理されるセレンおよび
（または）セレン化合物含有廃液のｐＨ値は０〜６の範
囲、好ましくは２〜５の範囲に調製して使用される。

【００１１】また、本発明で処理されるセレンおよび
（または）セレン化合物含有廃液に、塩酸、硫酸、硝酸
等の無機酸が混入していても悪影響は無く、セレンおよ
びセレン化合物を除去することができる。

【００１２】本発明によって処理されるセレンおよび
（または）セレン化合物含有廃液の処理温度は、５〜８
０℃の範囲で使用する事ができるが、特に処理温度の設
定は必要はなく、セレンおよびセレン化合物の除去処理
は室温度で充分に達成される。

【００１３】本発明に用いられる鉄および鉄系金属と
は、純鉄だけでなく、クロム含有量が１２．５％以下の
鉄および鉄系合金を示し、例えば、電解鉄、低炭素鋼、
中炭素鋼、高炭素鋼、極軟鋼、軟鋼、硬鋼、合金鋼、銑
鉄、鋳鉄、鋳鋼、リムド鋼、キャップド鋼、セミキルド
鋼、キルド鋼、クラッド鋼、粗鋼、鋼塊等が挙げられ
る。

【００１４】本発明において用いられる鉄および鉄系金
属の成型加工方法は、熱間圧延品、冷間圧延品、圧縮
品、押出加工品、引抜加工品、塑性加工品、鍛造品、鋳
鋼品等、如何なる成型品のものでも使用することができ
る。

【００１５】本発明において用いられる鉄および鉄系金
属の形状は、例えば、棒鋼、丸鋼、角鋼、６角鋼、異形
棒鋼、線材、バーインコイル、形鋼、山形鋼、Ｈ形鋼、
Ｉ形鋼、Ｔ形鋼、溝形鋼、球平形鋼、鋼矢板、坑枠鋼、
軽量形鋼、平鋼、異形平鋼、厚鋼板、薄鋼板、しま鋼
板、丸鋼管、角鋼管、鋼片、板状、平状、棒状、帯状、
管状、線状、綱状、粒状、砂状、粉体状、ブロック状、
チップ状、リベット状、粗形鋼片、スラブ、プルーム、
シートバー、ピレット、鋳鋼鋳込み、鋳鋼鋳放し、鋳鋼
打放し、および切削クズ状、研磨粉状、加工クズ片状等
の廃材等、如何なる形状のものでも使用することができ
る。

【００１６】本発明で処理されるセレンおよび（また
は）セレン化合物含有廃液中のセレンは、廃液と接触し
た鉄または鉄系金属の接触表面で析出反応を生じるの
で、用いられる鉄または鉄系金属の形状は全体の容積に
比べて表面積の大きい形状、例えば、細い線材、小さい
板片、粉体、微粒チップ等が好ましい。

【００１７】次に、本発明においてセレンおよび（また
は）セレン化合物含有廃液と鉄または鉄系金属を接触さ
せて、金属表面上にセレンおよびセレン化合物等を析出
させる方法は、廃液と鉄または鉄系金属が接触する如何
なる方法でも可能であり、例えば、廃液中に鉄または鉄
系金属を浸漬する方法、鉄または鉄系金属に廃液を流水
または噴霧する方法、鉄または鉄系金属製容器または管
に廃液を流入する方法等が挙げられる。

【００１８】また、金属表面上に生じる廃液中のセレン
およびセレン化合物の析出反応を円滑に進行させて除去
処理効率を向上させるには、金属表面界面部に存在する
廃液が流動していることが好ましい。例えば、鉄または
鉄系金属片等を廃液中に浸漬して移動する方法、鉄また
は鉄系金属片等を廃液中に浸漬した状態で振動を与える
方法、鉄または鉄系金属片等を充填した容器内に廃液を
自然落下またはポンプ等で流水する方法等が挙げられ
る。

【００１９】本発明のセレンおよび（または）セレン化
合物除去処理方法は、工場等の排水処理設備において、
単独で、または、中和沈澱法、水酸化鉄沈澱法、フェラ
イト沈澱法、イオン交換膜処理法、活性炭吸着法等の各
種排水処理法と併用して使用することができる。

【００２０】

【発明の作用及び効果】次に本発明の実施例を挙げて、
セレンおよび（または）セレン化合物含有廃液の処理液
組成、セレン除去処理に使用する鉄または鉄系金属材
料、ならびに処理作業条件を示すが、本発明はこれらの
数例に限定されるものではなく、前述した目的の主旨に
添ってセレンおよびセレン化合物組成、鉄または鉄系金
属材料、ならびに処理作業条件は任意に変更することが
できる。

【００２１】

【実施例】

実施例１ φ０．４ｍｍ×５００ｍｍの軟鋼線材を繊維状に束ねた
スチール金属片（１）１Ｋｇを、ポリプロピレン製カー
トリッジハウジング（２）に装着した後、図１に示した
装置にて、硫酸にてｐＨを２に調製したセレン含有濃度
５００ｐｐｍ（Ｓｅと表わして）の廃液５０Ｌを、ポン
プ（３）にて流速１Ｌ／ｍｉｎの速度でカートリッジハ
ウジング中を廃液タンク（４）へと循環させて、セレン
およびセレン化合物を室温で除去処理した。表１には、
所定の循環除去処理時間における廃液中のセレン含有濃
度を原子吸光光度法にて測定した結果を示した。

【００２２】

【表１】

【００２３】実施例２ φ０．４ｍｍ×５００ｍｍなまし鉄線材３００ｇを繊維
状に束ねたものをφ５０ｍｍ×３００ｍｍの円筒型塩化
ビニル製容器に充填した後、硝酸にてｐＨ２．８に調製
したセレン含有濃度１００ｐｐｍ（Ｓｅとして表わし
て）の廃液１Ｌを、１０ｍｌ／ｍｉｎの滴下速度にて上
方から滴下した。なまし鉄線材を通じて容器の下部に溜
った溶液を下部から採取した後、原子吸光光度計にてセ
レン濃度を測定した結果、処理した廃液のセレン含有濃
度は、０．０１ｐｐｍ以下であった。

【００２４】実施例３下記の組成セレン含有量（Ｓｅとして）４００ｐｐｍ銅含有量（Ｃｕとして）５０ｐｐｍニッケル含有量（Ｎｉとして）４０ｐｐｍコバルト含有量（Ｃｏとして）２０ｐｐｍアンチモン含有量（Ｓｂとして）１０ｐｐｍを有するセレンおよび重金属含有廃液１０Ｌを塩酸に
て、ｐＨ３．２に調製した後、実施例１と同様の処理を
施した結果、処理後の廃液に含まれるセレン、銅、ニッ
ケル、コバルト、アンチモンの含有濃度は、総て０．１
ｐｐｍ以下であった。

【００２５】実施例４寸法約０．２ｍｍ×１０ｍｍ×２０ｍｍの鉄鋼切削クズ
３Ｋｇをカートリッジハウジング内に充填した後、硫酸
にてｐＨ４に調製したセレン含有量１００ｐｐｍ（Ｓｅ
として）の廃液５Ｌを実施例１と同様の方法にて処理し
た廃液中のセレン含有量は０．１ｐｐｍ以下であった。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の廃液処理方法を実施するのに使用する
ことができる装置のフローシート図である。

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】セレンおよび（または）セレン化合物含
有廃液を鉄または鉄系金属と接触させることによって、
鉄または鉄系金属表面にセレンを析出させて、廃液中の
セレン濃度を低減そして除去することを特徴とするセレ
ンおよび（または）セレン化合物含有廃液の処理方法。
【請求項２】Ｃｕ、Ｎｉ、Ｚｎ、Ｃｏ、Ｃｒ、Ｓｂ等
の重金属が共存するセレンおよび（または）セレン化合
物含有廃液を、鉄または鉄系金属と接触させることによ
って、鉄または鉄系金属表面にセレンと同時に重金属を
共析させて、廃液中のセレンおよび（または）セレン化
合物と重金属濃度を低減そして除去することを特徴とす
るセレンおよび（または）セレン化合物含有廃液の処理
方法。