JP4811713B2 - セメントクリンカの粉砕設備 - Google Patents
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Description
従来から、原料を微粉化するのに適した粉砕装置としてボールミルが公知であって、焼成後のセメントクリンカを粉砕してセメント製品とする前述の仕上げ粉砕の工程では、一般的に、ボールミルが使用されている。
しかし、ボールミルは原料を微粉化するのに適した粉砕装置であっても、大きな原料塊を粉砕するのに適した粉砕機と言えず、大きな塊状となった原料を微粉化して製品にする際には、粉砕に時間がかかって効率が良くないという問題を有していた。
そのため、近年では、ボールミルで原料を粉砕する前に、ボールミル以外の粉砕機で予め原料を予備粉砕する、所謂2段粉砕方式が多く用いられるようになってきている。
2段粉砕方式は、予備粉砕機を用いて、原料塊の大きさをある程度の大きさになるまで予め粉砕することによって、粒径が小さくなった原料をボールミル投入し、所望する粒径の微粉(製品)を得る方式である。2段粉砕方式の粉砕設備の1例として特許文献1に開示される粉砕設備が公知である。
粗粉砕の効率が良い竪型粉砕機と、微粉砕の効率が良いボールミルを組み合わせて使用する2段粉砕方式の粉砕設備は、ボールミル単独の粉砕設備に比較して、効率よくセメントクリンカを粉砕して製品することができる。
ボールミルに投入する原料の粒度を調整する目的に使用される分級装置として、例えば、サイクロン分離方式等が一般的に多く用いられており、原料を分級装置の分級点以上の大きさの粒径の原料(粗粉と称することもある)と、それより小さな粒径の原料(細粉と称することもある)とに選別分離している。
そして、該気流は、装置内を上昇する際に、回転している分級羽根の効果等によって渦を巻くように回転しながら上昇している。
そして、分散板から飛び出した原料の中で、径の大きな原料は、重量が重いため上昇気流に乗れず、下方に落下して装置下方から取り出される。
特許文献2に開示の分級装置は、前述の原理によって、径が大きな原料を装置下方に落下させ、径が小さく重量の小さな原料を選択的に装置上方から取り出すことができ、径の大きな原料と、径の小さな原料を分離して、分級することができる。
ところで、省エネルギーの観点で考えた場合に、焼成工程までの工程は、通常、熱効率確保のために連続操業しなければならないが、仕上げ粉砕の工程においては、必ずしも連続運転する必要はない。従って、原料粉砕や焼成工程の処理能力に比較して、大幅に処理能力の大きな大型のボールミルを粉砕設備として用いれば、仕上げ粉砕の工程時において、間欠運転も可能になり、例えば、電力料金の安価な夜間のみボールミルを動かして運転を行うような運転方案も可能となる。
しかし、ボールミルを大型化して、処理能力を大きくしようとすれば、多大な設備コストが必要であって、さらに、ボールミルの運転に必要な所要動力も増えてしまという問題点がある。そのため、ボールミルを大型化することなく、粉砕効率を大きく効率化し、処理能力を向上させた仕上げ粉砕工程用の粉砕設備が求められていた。
(1) セメントクリンカを原料として、回転テーブル上に投入した原料を回転テーブルと粉砕ローラの間で粉砕する竪型粉砕機と、該竪型粉砕機の下部から取り出した原料を粗粉と細粉に分離して取り出す分級装置と、該分級装置から取り出した細粉を微粉砕して製品とするボールミルと、を備えたセメントクリンカの粉砕設備において、該竪型粉砕機は、下方からガスを導入することによって、取り出す原料の中の15〜35%を上部からガスとともに取り出す竪型粉砕機であり、該分級装置が、外部ケーシング、内部ケーシング、分散板、及びファンブレードを備えて、該内部ケーシングは該外部ケーシングの同一軸芯上に内設して、上部筒体、中間通気部、及び下部コーン部とで形成するとともに、上部筒体内に回転式の分散板を吊下して、外部ケーシングと内部ケーシングの間に設けたファンブレードにより分級装置内に発生させた気流によって、分散板上に供給した原料を、粗粉と細粉とに分離する分級装置であって、該竪型粉砕機の上部と下部から取り出した原料を、前記分級装置に送給して粗粉と細粉とに分離し、該細粉の全量をボールミルに送給し、該粗粉の全量を竪型粉砕機に再度送給する。
原料のDP100を40mm程度としてボールミルに投入した場合の生産率と比較すると、DP100≦800μm、好ましくはDP100≦500μmとすれば、ボールミルの粉砕効率が向上し、ボールミルの増産率が2倍程度、或いは2倍以上になる。なお、Dp100はロジン・ラムラー線図(Rosin−Rammler−Sperling)上に粒径分布を図示した場合にR=100%となる点の粒径をμm(ミクロンメータ)で表わしたものである。
図1は本実施形態によるセメントクリンカの粉砕設備を説明する図である。図2は本実施形態の粉砕設備に使用した竪型粉砕機の構造を概念的に説明する要部断面図であり、図3は本発明に係る他の実施形態によるセメントクリンカの粉砕設備を説明する図である。図4は粉砕設備に使用した分級装置の構造を概念的に説明する要部断面図である。
本実施形態に用いた竪型粉砕機1は、図2に示すように竪型粉砕機1の外郭を形成するケーシングと、竪型粉砕機1の下部に設置された減速機2Bを介して図示しない電動機2Mにより駆動される回転テーブル2と、回転テーブル2の上面(回転テーブル上面2Aと称することもある)外周部を円周方向に等分する位置に配設した複数個のコニカル型の粉砕ローラ3とを備えている。
そして、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料の一部は、回転テーブル上面2Aの外縁部に周設されたダムリング19を乗り越え、回転テーブル上面2Aの外周部とケーシングとの隙間である環状通路30(環状空間部30と称することもある)へと向かい、下部取出口34から取り出される。
また、本発明において、竪型粉砕機1の運転中は、該ガス導入口33よりガス(本実施形態においては空気)を導入することによって、上部取出口39へと流れるガスの気流を生じさせて、ケーシング内の原料の一部(竪型粉砕機から取り出す原料の15〜30重量%)を上部取出口より取り出すように構成している。
本実施形態における分級装置50は、図4に示すように、周囲を外部ケーシング56で囲まれており、その内部に内部ケーシング57を配した2重構造となっている。
ここで、外部ケーシング56の上側部分は筒状であって、略中央部付近から下側部分は、下側に向かって径が小さくなる逆切頭円錐型に類似する形状となっており、下部に細粉を取り出すための細粉取出口63が設けられている。
また、内部ケーシング57は、外部ケーシング56内に配されて、上側部分は筒状であって、中間部分に内部ケーシング57の内外を連通させる通気口58を備えて、通気口58よりから下側部分は、下側に向かって径が小さくなって、粗粉取出口55を形成し、該粗粉取出口55は、外部ケーシング56の側壁を貫通して、外部ケーシング56の外側に飛び出している。
なお、分散板53の外周側で、一定の距離が離れた位置に内部ケーシング57の一部が側壁として形成されるとともに、分散板53の中央付近部分の上方にある内部ケーシング57には、分散板53に原料を供給するため、また後述するファンブレード52により気流が流れるための開口が設けられている。
本実施形態においては、前述の構成により、分散板53から、分散板53と内部ケーシング57の側壁との間にある環状通路に放出された原料、及び前述の側壁に衝突した原料は、環状通路を吹き上げられる気流により粗粉とそれより小さな粉に分離させられる。
なお、ファンブレード52により生じた気流は、内部ケーシング57から上方に流れて、外部ケーシング56と内部ケーシング57の間に流れ込んだ後、外部ケーシング56と内部ケーシング57の間を下方に流れ、通気口58を通じて、外部ケーシング56と内部ケーシング57の間から、内部ケーシング57の間に流れ込み、分級装置50内で循環する。
貯留タンク70の形状は、略円筒形状であって、その下部が下側に向かって縮径する逆切頭円錐形状になっている。そして、貯留タンク70の上部には、原料投入用の投入口72が設けられるとともに、下部には原料を出すための排出口74が形成されている。
本実施形態においては、貯留タンク70の容量を大きく設定し、焼成工程12時間で生産されるセメントクリンカの全量を竪型粉砕機1で粉砕した場合を想定して、その粉砕物の全量が貯留タンク70内に貯留できる容量としている。
原料ホッパ20から、原料投入シュート13を介して、竪型粉砕機1に投入された原料(本実施形態においてはセメントクリンカ)は、回転テーブル上面2Aを渦巻き状の軌跡を描きながら回転テーブル上面2Aの外周部に移動して、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれ粉砕される。
そして、回転テーブル上面2Aと粉砕ローラ3に噛み込まれて粉砕された原料の一部は、回転テーブル上面2Aの外縁部に周設されたダムリング19を乗り越え、回転テーブル上面2Aの外周部とケーシングとの隙間へと向かい、下部取出口34から取り出される。
なお、分級装置50によりボールミル80に供給する原料の粒度を細かくすれば、ボールミルの生産率が向上する。
従って、竪型粉砕機で粉砕した原料を、貯留タンク70に一旦、貯留することによって、ボールミルを電力料金の安価な夜間のみ運転する間欠運転等を行うこともでき、また、ボールミルの運転時間等を減少させることができる。
さらに、ボールミルの連続運転をしなくても良い場合は、ボールミル等の装置について、保守時間が取れ、装置の故障、事故等の防止につながる。
しかし、本発明の構成がこれに限るものでないことは勿論であって、例えば、間欠運転等を行はなくとも良い場合などにおいては、図3に示したように貯留タンク70を設けない粉砕設備11として構成しても良い。
2 回転テーブル
3 粉砕ローラ
10 粉砕設備(粉砕システム)
11 粉砕設備(粉砕システム)
13 原料シュート
20 原料ホッパ
34 下部取出口
35 原料投入口
45 エキゾーストファン
46 バグフィルタ
50 分級装置
52 ファンブレード
53 分散板
55 粗粉取出口
56 外部ケーシング
57 内部ケーシング
59 原料投入口
63 細粉取出口
68 電動機
70 タンク
72 タンク投入口
74 排出口
80 ボールミル
90 バケットエレバータ
Claims (4)
- セメントクリンカを原料として、回転テーブル上に投入した原料を回転テーブルと粉砕ローラの間で粉砕する竪型粉砕機と、該竪型粉砕機の下部から取り出した原料を粗粉と細粉に分離して取り出す分級装置と、該分級装置から取り出した細粉を微粉砕して製品とするボールミルと、を備えたセメントクリンカの粉砕設備において、
該竪型粉砕機は、下方からガスを導入することによって、取り出す原料の中の15〜35%を上部からガスとともに取り出す竪型粉砕機であり、
該分級装置が、外部ケーシング、内部ケーシング、分散板、及びファンブレードを備えて、該内部ケーシングは該外部ケーシングの同一軸芯上に内設して、上部筒体、中間通気部、及び下部コーン部とで形成するとともに、上部筒体内に回転式の分散板を吊下して、外部ケーシングと内部ケーシングの間に設けたファンブレードにより分級装置内に発生させた気流によって、分散板上に供給した原料を、粗粉と細粉とに分離する分級装置であって、
該竪型粉砕機の上部と下部から取り出した原料を、前記分級装置に送給して粗粉と細粉とに分離し、該細粉の全量をボールミルに送給し、該粗粉の全量を竪型粉砕機に再度送給することを特徴とするセメントクリンカの粉砕設備。 - 前記分級装置から細粉として取り出す原料の粒径がDP100≦800μmである請求項1に記載のセメントクリンカの粉砕設備。
- 前記分級装置から細粉として取り出す原料の粒径がDP100≦500μmである請求項2記載のセメントクリンカの粉砕設備。
- 前記竪型粉砕機とボールミルとの間に、原料の貯留設備を配した請求項2又は請求項3に記載のセメントクリンカの粉砕設備。
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