JP4811473B2 - 放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 - Google Patents

放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4811473B2
JP4811473B2 JP2009037162A JP2009037162A JP4811473B2 JP 4811473 B2 JP4811473 B2 JP 4811473B2 JP 2009037162 A JP2009037162 A JP 2009037162A JP 2009037162 A JP2009037162 A JP 2009037162A JP 4811473 B2 JP4811473 B2 JP 4811473B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
discharger
discharge
surface layer
atomic
forming apparatus
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2009037162A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2010191299A (ja
Inventor
誠之 鳥越
茂 八木
剛 岩永
克己 額田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Business Innovation Corp
Original Assignee
Fuji Xerox Co Ltd
Fujifilm Business Innovation Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Xerox Co Ltd, Fujifilm Business Innovation Corp filed Critical Fuji Xerox Co Ltd
Priority to JP2009037162A priority Critical patent/JP4811473B2/ja
Publication of JP2010191299A publication Critical patent/JP2010191299A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4811473B2 publication Critical patent/JP4811473B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
  • Electrostatic Charge, Transfer And Separation In Electrography (AREA)

Description

本発明は、放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置に関する。
従来より、電子写真方式の複写機・プリンタでは、露光による画像書き込みの前に感光体を均一に帯電したり感光体上のトナー画像を記録媒体に転写したりするための帯電手段や、転写前のトナー電荷を適切な範囲に調整したり転写後に感光体上に残留したトナー電荷をクリーニング前に低減するための除電手段としてコロナ放電器が広く用いられている。
コロナ放電器については、導電性シールドの内壁に導電性被膜や絶縁性被膜を設ける検討が行われてきた(例えば、特許文献1〜特許文献6参照)。
近年では、コロナ放電器のシールドに設けた貫通穴に放電生成物除去部材を設ける技術(例えば、特許文献7参照)や、スコロトロンのグリッドに有機チタネートの重縮合物を被覆する技術(例えば、特許文献8参照)、コロナ帯電器のハウジングを酸化防止剤を含む導電性ラテックスでコートする技術(例えば、特許文献9参照)、コロナ放電器の放電電極へのシリカ粒子付着抑制と耐磨耗性向上のため、放電電極をテトラヘドラルアモルファスカーボン(t−aC)層で被覆する技術(例えば、特許文献10参照)、等の検討が行われている。
特開平5−119585号公報 特開平5−119645号公報 特開平6−27783号公報 特開平6−181782号公報 特開平9−90711号公報 特開平11−24373号公報 特開2007−171896号公報 特開2007−225770号公報 特開2008−65323号公報 特開2008−102433号公報
本発明の課題は、放電生成物の付着が抑制された放電器を提供することである。
上記課題は、以下の手段により解決される。即ち、
請求項1に係る発明は、
電圧を印加することにより放電を発生させる放電電極と、
前記放電電極の周囲の一部を囲って配置され、酸素とガリウムと水素とを含み酸素の含有量が15原子%以上であり、水素の含有量が0.1原子%以上30原子%以下である表面層を前記放電電極と相対する面上に有する筐体と、
を備えた放電器。
請求項2に係る発明は、
前記放電電極の周囲のうち少なくとも前記筐体によって囲われていない領域に、更に、格子状部材を備えた請求項1に記載の放電器。
請求項3に係る発明は、
前記格子状部材の前記放電電極と相対する面上に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層を有する請求項2に記載の放電器。
請求項4に係る発明は、
前記筐体上の前記表面層の層厚が、0.01μm以上10.0μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放電器。
請求項に係る発明は、
前記筐体上の前記表面層の体積抵抗率が、10Ω・cm以上1013Ω・cm以下である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器。
請求項に係る発明は、
感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、を備え、
前記帯電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器であるプロセスカートリッジ。
請求項に係る発明は、
更に、前記感光体を除電する除電手段を備え、前記除電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器である請求項に記載のプロセスカートリッジ。
請求項に係る発明は、
前記感光体が、表面に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である耐磨耗層を有し、該耐磨耗層の厚さの差が0.1μm以下であることを特徴とする請求項又は請求項に記載のプロセスカートリッジ。
請求項に係る発明は、
感光体と、
前記感光体を帯電する帯電手段と、
帯電した前記感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
前記感光体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
前記感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
前記転写後の前記感光体を除電する除電手段と、
を備え、
前記帯電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器である画像形成装置。
請求項10に係る発明は、
更に、前記転写後の前記感光体を除電する除電手段を備え、
前記除電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器である請求項に記載の画像形成装置。
請求項11に係る発明は、
前記感光体が、表面に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である耐磨耗層を有し、該耐磨耗層の厚さの差が0.1μm以下であることを特徴とする請求項又は請求項10に記載の画像形成装置。
請求項1に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器への放電生成物の付着が抑制される。また、0.1原子%以上30原子%以下の水素を含まない場合と比較して、表面層の弾性率が低下することで変形による割れが起こりにくくなり放電器への放電生成物の付着が抑制される。
請求項2に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器への放電生成物の付着が抑制される。
請求項3に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器への放電生成物の付着が抑制される。
請求項4に係る発明によれば、表面層の層厚を考慮しない場合と比較して、放電器の生産性が向上し、かつ、放電器への放電生成物の付着が抑制される
求項に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器への放電生成物の付着が抑制される。
請求項に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器に付着した放電生成物に起因する画像流れが抑制される。
請求項に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器に付着した放電生成物に起因する画像流れが抑制される。
請求項に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器に付着した放電生成物に起因する画像流れが抑制される。
請求項に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器に付着した放電生成物に起因する画像流れが抑制される。
請求項10に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器に付着した放電生成物に起因する画像流れが抑制される。
請求項11に係る発明によれば、本構成を有しない場合と比較して、放電器に付着した放電生成物に起因する画像流れが抑制される。
以下、本発明の放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置の実施形態について、詳細に説明する。
<放電器>
本実施形態に係る放電器は、電圧を印加することにより放電を発生させる放電電極と、前記放電電極の周囲の一部を囲って配置され、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層を前記放電電極と相対する面上に有する筐体と、を備える。
一般に、放電器(例えばコロナ放電器)は、使用中(放電中)にオゾンや窒素酸化物などの放電生成物を生じることが知られている。これらの放電生成物は、例えば前記放電器を画像形成装置に用いた場合に、画像形成装置の構成要素である感光体の劣化を早めることがある。また、これらの放電生成物は、空気中の水分と結びついて導電性物質を形成し、画像流れを引き起こす場合がある。特に、画像形成装置の休止中に、放電器に付着した放電生成物が放出し、放出した放電生成物により画像流れが生じる場合がある。
そこで、放電器を上記本実施形態の構成とすることにより、放電器の筐体のうち前記放電電極と相対する面(即ち、筐体の内壁)が、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層で被覆されるため、放電器(特に放電器の筐体)への放電生成物の付着が抑制される。
更に、上記本実施形態の放電器を、画像形成装置用の帯電手段や除電手段、転写手段等として用いた場合には、放電器に付着した放電生成物に起因する画像流れが抑制される。 特に、画像形成装置における印画の休止後、印画を再開した時の画像流れが抑制される。
なお、本明細書中において「導電性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm未満である性質を指し、「絶縁性」とは、体積抵抗率が1013Ω・cm以上である性質を指す。
以下、本実施形態に係る放電器について、図1乃至図2を参照して説明する。
図1は、放電器の一実施形態であるコロナ放電器1の概略断面図である。詳しくは、図1は、放電電極である放電ワイヤ11の長手方向に垂直な平面で、コロナ放電器1を切断したときの切断面を表した図である。
図1に示すように、コロナ放電器1は、放電電極である放電ワイヤ11と、放電ワイヤ11の周囲の一部を囲って配置された筐体12と、を備えている。放電ワイヤ11の長手方向と筐体12の長手方向とは平行となっている(これらの方向は、図1の紙面に対し法線方向である)。
放電ワイヤ11の長手方向両端部は、図示しないが、直接又は固定部材を介して筐体12に固定されている。このとき、放電ワイヤ11と筐体12とは電気的に絶縁されていることが好ましい。これにより、放電ワイヤ11と筐体12とに別個の電圧が印加される。
なお、本明細書中において2つの部材が電気的に絶縁されているとは、2つの部材間の抵抗値が20MΩ以上であることを指す。
筐体12は、コロナ放電器1の周囲のうちの一部(詳しくは、コロナ放電器1の周囲のうち、被処理体30に対し放電を照射するための放電照射領域16以外の領域)を囲っている。従って、筐体12は、放電ワイヤ11と相対する面(即ち、放電ワイヤ11から見える面)を有している。以下、筐体12の放電ワイヤ11と相対する面を、「筐体12の放電ワイヤ11と対向する面」や、「筐体12の内壁」ともいう。
なお、図1では筐体12の断面がコの字型となっているが、放電ワイヤ11の周囲の一部を囲う形状であれば筐体12の断面はコの字型に限定されることはなく、例えば、円弧型であってもよい。
筐体12の、放電ワイヤ11と相対する面(筐体12の内壁)上には、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層13が設けられている。表面層13は、筐体12の内壁以外の箇所に設けられていてもよい。
コロナ放電器1では、放電ワイヤ11に電圧が印加されると、放電ワイヤ11周囲にコロナ放電が生じ、被処理体30がコロナ放電に晒される(即ち、被処理体30にコロナ放電が照射される)。従って、コロナ放電器1は、例えば被処理体30(例えば、電子写真感光体ドラム)に対する帯電装置や除電装置、転写装置として利用される。
筐体12は、コロナ放電により生じた放電生成物(例えば、荷電粒子)の流れを制限する。コロナ放電により生じた放電生成物は筐体12の内壁に達するが、当該内壁には酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層13が形成されているので、当該内壁への前記放電生成物の付着が制限される。
図2は、放電器の別の実施形態であるコロナ放電器(スコロトロン)2の概略断面図である。
図2に示すように、コロナ放電器(スコロトロン)2は、前記コロナ放電器1と同様に、放電電極である放電ワイヤ21と、放電ワイヤ21の周囲の一部(放電ワイヤ21の周囲のうち、被処理体30への放電照射領域26の以外)を囲って配置された筐体22と、を備えている。筐体22の、放電ワイヤ21と相対する面上には、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層24Aが設けられている。
以上の構成はコロナ放電器1と同様である。
更に、コロナ放電器(スコロトロン)2では、前記放電ワイヤ21の周囲のうち少なくとも前記筐体22によって囲われていない領域(前記放電ワイヤ21の周囲のうち被処理体30への放電照射領域26)に、更に、格子状部材であるグリッド部材23が備えられている。即ち、グリッド部材23は放電ワイヤ21と被処理体30との間に配置されている。グリッド部材23は、前記筐体22によって囲われていない領域に加え、前記筐体22によって囲われている領域に備えられていてもよい。
グリッド部材23は、図示しないが、直接又は固定部材を介して筐体12に固定されている。このとき、グリッド部材23、筐体22、及び放電ワイヤ21は、互いに電気的に絶縁されていることが好ましい。これにより、グリッド部材23、筐体22、及び放電ワイヤ21に、それぞれ別個の電圧が印加される。
具体的には、グリッド部材23には、放電ワイヤ21の電位とは異なる電圧(バイアス電圧)が印加される。これにより、コロナ放電器2を帯電装置として用いたときの被処理体30の帯電電位が調整される。従って、被処理体30の帯電電位の均一性が向上する。
グリッド部材23の放電ワイヤ21と相対する面には、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層24Bが設けられている。これによりグリッド部材23への放電生成物の付着が抑制され、ひいてはコロナ放電器2全体としてみたときの放電生成物の付着量がより低減される。
ここで、表面層24Aと表面層24Bとは、同組成であっても異なる組成であってもよいが、放電生成物付着抑制の観点や製造上の観点からは同組成であることが好ましい。また、表面層24Bは製造上の観点からは省略されていてもよい。
コロナ放電器2では、前記コロナ放電器1と同様に、放電ワイヤ21に電圧が印加されると、放電ワイヤ21周囲にコロナ放電が生じ、生じたコロナ放電がグリッド部材23を経由して被処理体30に照射される。
従って、コロナ放電器2は、例えば被処理体30(例えば、電子写真感光体ドラム)に対する帯電装置、除電装置、転写装置、等として利用される。特に、コロナ放電器2は、帯電電位を調整するグリッド23を備えるため、帯電装置として好適に用いられる。
以上、本実施形態に係る放電器について、図1乃至図2を参照して説明したが、本実施形態はこれらの構造に限定されることはなく、公知のコロトロン放電器の構造やスコロトロン放電器の構造が特に制限無く適用される。
本実施形態における放電電極(例えば、前記放電ワイヤ11、前記放電ワイヤ21)の材質には特に限定はなく、例えば、タングステン、モリブデン、鉄、ニッケル、コバルト、クロム、チタンから選ばれる少なくとも1種の金属(又は該金属を含む化合物)が挙げられる。中でも、タングステン(又はタングステンを含む化合物)が好ましい。
本実施形態における筐体(例えば、前記筐体12、前記筐体22)の材質には特に限定はなく、例えば、ステンレス、アルミニウム、鉄、エンジニアリングプラスチックなどが挙げられる。中でも、ステンレス、アルミニウムが好ましい。
本実施形態における格子状部材(例えば、前記グリッド部材23)の材質には特に限定はなく、例えば、SUS304、SUS316、NCA1などのステンレス、タングステン、金などが挙げられる。中でも、ステンレスが好ましい。格子状部材は、例えば、ステンレスの薄板をエッチングしたり、ワイヤ状のタングステンを複数本並べて形成する。
(表面層)
次に、本実施形態における表面層(例えば、前記表面層13、前記表面層24A、前記表面層24B)について説明する。
前述のとおり、本実施形態における表面層は、筐体の放電電極と相対する面上に形成される。更に、必要に応じ、格子状部材の放電電極と相対する面にも形成される。以下の説明では、本実施形態において表面層が形成される筐体や格子状部材を、単に「基体」ということがある。
本実施形態における表面層は、少なくとも酸素とガリウムとを含んで構成されることを特徴としており、この2つの元素のみから構成されているものであってもよいが、本実施形態の効果を損なわない範囲において、窒素、水素、炭素、アルミニウム、インジウムなどの元素を含んでいてもよい。このような他の元素を含むことで、表面層の電気抵抗や硬度などの諸物性が柔軟に制御され、本実施形態の効果が更に高められる。
本実施形態における表面層中の組成は、均一であってもよいが、酸素とガリウムを含んで構成され、且つ、酸素の含有量が15原子%以上であれば、厚さ方向において傾斜していてもよい。また、本実施形態における表面層は、酸素及びガリウムを含んで構成され、且つ、酸素の含有量が15原子%以上であれば、組成の異なる層を積層してなる多層構造を有していてもよい。
また、本実施形態における表面層では、厚さ方向における酸素の濃度分布は、均一でも不均一でもよいが、基体側に向かって減少(すなわち、表面層の表面側に向かって増加)していることが好ましい。
このような酸素濃度分布を有することにより、機械的耐久性、耐酸化性、放電生成物の付着に起因する画像欠陥及び感度がより高いレベルで両立される上に、これらの特性をより長期に渡って維持することが容易である。なお、表面層厚さ方向の酸素濃度の分布プロファイルは特に限定されず、例えば、直線状、曲線状、階段状のいずれでもよい。
表面層中のガリウムの含有量は、0.1原子%以上50原子%以下の範囲内であることが好ましく、5原子%以上40原子%以下の範囲内であることがより好ましい。ガリウムの含有量が0.1原子%未満の場合は、表面層の形成自体が困難となる場合がある。また、含有量が50原子%を超える場合は、筐体への接着性に問題がでる場合がある。
また、表面層中の酸素の含有量は、15原子%以上であることを要し、20原子%以上60原子%以下が好ましく、25原子%以上50原子%以下がより好ましい。酸素の含有量が15原子%未満の場合には、表面層表面の耐酸化性が低下し、放電生成物が付着し易くなる傾向がある。また、硬度や表面粗さの観点から、上限値は60原子%が好ましい。
本実施形態における表面層に窒素が含まれる場合、その含有量は、30原子%以下が好ましく、15原子%以下がより好ましい。窒素の含有量が30原子%を超える場合には、表面層の耐水性が不充分となるため実用性に欠ける場合がある。また、表面層の厚さ方向における窒素の濃度分布は、均一でも不均一でもよいが、最表面には含まれないことが好ましい。
本実施形態における表面層に炭素が含まれる場合、その含有量は、2原子%以上15原子%以下であることが望ましく、2原子%以上10原子%以下であることが更に望ましい。表面層中の炭素の含有量を2原子%以上15原子%以下とすることで、高撥水性な低エネルギー表面になるという効果が得られる。
本実施形態における表面層に水素が含まれる場合、その含有量は、0.1原子%以上30原子%以下の範囲が望ましく、0.5原子%以上20原子%以下の範囲内がより望ましい。水素の含有量が0.1原子%未満の場合には、層内部に構造的な乱れを内蔵したままとなり、電気的に不安定となったり機械的な特性も不十分となる場合がある。また、30原子%を超える場合には水素がガリウムに2原子以上結合する確率が増加して、三次元構造を保つことができず硬度や化学的安定性(特に耐水性)などが不十分となる場合がある。
本実施形態における表面層全体中における各元素の含有量については、例えば、ラザフォードバックスキャタリング法(RBS)や、ハイドロジェンフォワードスキャタリング法(HFS)などを用いられる。
以下、これらの測定方法について説明する。
なお、本実施形態において、表面層中のガリウム、酸素、炭素、窒素等の元素の含有量は、膜厚方向の分布も含めてラザフォードバックスキャタリング法(RBS)により求めた値を意味している。
RBSとして、加速器:NEC社 3SDH Pelletron、エンドステーション:CE&A社 RBS−400を用い、システムとしては3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラム等を用いた。
RBSの測定条件は、以下の通りである。
He++イオンビームエネルギーは2.275eV
検出角度 160°
入射ビームに対してGrazing Angle 109°
RBS測定は、He++イオンビームを試料に対して垂直に入射し、検出器をイオンビームに対して、160°にセットし、後方散乱されたHeのシグナルを測定する。検出したHeのエネルギーと強度から組成比と膜厚を決定する。更に、組成比と膜厚を求める精度を向上させるために二つの検出角度でスペクトルを測定してもよい。また、深さ方向分解能や後方散乱力学の異なる二つの検出角度で測定しクロスチェックすることにより精度を向上してもよい。
なお、ターゲット原子によって後方散乱されるHe原子の数は、1)ターゲット原子の原子番号、2)散乱前のHe原子のエネルギー、3)散乱角度、の3つの要素だけにより決まる。測定された組成から密度を計算によって仮定して、これを用いて膜厚を算出する。密度の誤差は20%以内である。
また、本実施形態において、表面層中の水素の含有量は、ハイドロジェンフォワードスキャタリング法(HFS)により求められた値を意味する。
上記HFSとしては、
加速器:NEC社 3SDH Pelletron、エンドステーション:CE&A社 RBS−400を用い、システムとして、3S−R10を用いた。解析にはCE&A社のHYPRAプログラムを用いた。
HFSの測定条件は、以下の通りである。
He++イオンビームエネルギー:2.275eV
検出角度160°入射ビームに対してGrazing Angle30°
HFSによる測定は、He++イオンビームに対して検出器が30°に、試料が法線から75°になるようにセットすることにより、試料の前方に散乱する水素のシグナルを拾う。この時検出器を薄い(10μm)アルミ箔で覆い、水素とともに散乱するHe原子を取り除くことがよい。定量は参照用試料と被測定試料との水素のカウントを阻止能で規格化した後に比較することによっておこなう。参照用試料としてSi中にHをイオン注入した試料と白雲母を使用した。
白雲母は水素濃度が60原子%であることが知られている。
例えば、最表面に吸着しているHは、清浄なSi表面に吸着しているH量を差し引くことによって行う。
また、半導体膜中の水素の含有の有無は赤外吸収スペクトル測定を利用して、13族−水素結合やN−H結合の強度からも推定する。
本実施形態において、上述した各元素のうち窒素を除く元素の含有量、特に酸素及びガリウムの両元素の含有量の好ましい範囲については、表面層の最表面で満たされていることが好ましい。
ここで、表面層の最表面とは、表面からの深さが少なくとも数nmの範囲内(具体的には、表面から1nm以上50nm以下の範囲)の領域を意味し、実質的には、XPS(X線光電子分光法)により固体表面を測定した際の、深さ方向の測定範囲に相当する部分の領域を意味する。
表面層の最表面における、ガリウムや酸素等の元素の含有量は、例えばXPS(X線光電子分光法)により求められる。
例えば、XPSの測定装置として日本電子社製JPS9010MXを用い、X線ソースにはMgKα線を用い、10kV,20mAで照射することにより測定する。この場合、光電子の測定は1eVのステップで行い、元素の含有量は、ガリウム元素に対しては3d5/2、Oは1s,Nは1sスペクトルを測定し、スペトクルの面積強度と感度因子により求められる。なお、測定前にArイオンエッチングを500Vで10s程度行う。
本実施形態における表面層は、微結晶、多結晶、或いは、非晶質のいずれであってもよいが、表面層表面の平滑性を向上させる点からは非晶質であることが特に好ましい。なお、結晶性/非晶質性は、例えば、RHEED(反射高速電子線回折)測定により得られた回折像の点や線の有無により判別する。
また、詳細は後述するが、表面層は、気相成膜法を利用して基体上に形成されるため、成膜条件等によっては、その断面が柱状構造となる場合もある。しかしながら、表面層表面の滑り性の観点からは、このような柱状構造を有さないことが好ましい。
表面層中には、導電型の制御のために種々のドーパントを添加してもよい。導電性をn型に制御する場合には、例えば、Si,Ge,Snから選ばれる一つ以上の元素を用いることができ、p型に制御する場合には、例えば、Be,Mg,Ca,Zn,Srから選ばれる一つ以上の元素を用いてもよい。
表面層は、微結晶、多結晶或いは非晶質のいずれの場合においても、その内部構造に結合欠陥や、転位欠陥、結晶粒界の欠陥などが多く含まれる傾向にある。このため、これらの欠陥の不活性化のために表面層中には、水素及び/又はハロゲン元素が含まれていてもよい。表面層中の水素やハロゲン元素は結晶内の結合欠陥や結晶粒界の欠陥などに取り込まれて、反応活性点を消失させ、電気的な補償を行う働きを有する。
本実施形態における表面層の厚さは、0.01μm以上10.0μm以下の範囲が好ましく、0.1μm以上1.0μm以下の範囲がより好ましく、0.2μm以上0.8μm以下の範囲が更に好ましく、0.3μm以上0.5μm以下の範囲が特に好ましい。
表面層の厚さが0.01μm未満であると、放電生成物の付着抑制の効果が低下する場合がある。また、表面層の厚さが10.0μmを超えると成膜時間が増大するにもかかわらず放電生成物の付着に対する効果は同等であるため生産性に劣る。
なお、表面層の厚さは、基体との屈折率の差を利用した光干渉法や、マスキングにより基体を露出させた部分との高低差を触針式表面粗さ計により読み取る段差法、光切断法などによって測定する。
本実施形態における表面層の体積抵抗率は、10Ω・cm以上1013Ω・cm以下であることが好ましい。前記体積抵抗率が10Ω・cm未満であると放電生成物付着低減の効果が低下する場合があり、1013Ω・cmを超えると表面層自体の帯電により放電の制御性が低下する場合がある。
放電生成物付着低減及び放電制御性の効果をより効果的に奏する観点からは、本実施形態における表面層の体積抵抗率は、10Ω・cm以上1013Ω・cm以下であることがより好ましく、1011Ω・cm以上1013Ω・cm以下であることが特に好ましい。
以下、本実施形態の放電器の作製方法について説明する。
本実施形態に係る放電器は、基体(筐体、必要に応じ格子状部材)に、図3に示される成膜装置を用いて表面層を形成することで作製される。
ここで、図3は、本実施形態における表面層の形成に用いられる成膜装置の一例を示す概略模式図である。なお、図3では、筐体102の内壁側に表面層を形成する場合の例を示す。
図3に示されるように、成膜装置100は、仕切り部101aを有する真空容器101と、筐体102を保持する成膜ジグ103と、高周波電源部105a及び放電電極105bからなる放電部105と、プロセスガスを供給する供給口107aと接続するプロセスガス供給部107と、材料ガスを供給する供給口109aを接続する材料ガス供給部109と、排気口111aと接続する排気装置111と、を有する。
図3に示される成膜装置において、真空容器101の一端には、排気口111aを介して排気装置111が設けられており、また、真空容器101の排気装置111(排気口111a)が設けられた側と反対側に、プロセスガスを供給する供給口107a、材料ガスを供給する供給口109a、及び放電部105が設けられている。
また、真空容器101内には、筐体102を保持する成膜ジグ103が設けられている。この成膜ジグ103は、多角形断面を有しており、この辺に筐体102を保持する機能を有する。また、成膜ジグ103は、図示されない回転装置により、筐体102を保持したまま矢印方向に回転する。ここで、筐体102は、表面層が形成される面(内壁)が、成膜ジグ103の回転中心からみて外側を向くように保持されている。即ち、放電器としたときの放電照射領域側が成膜ジグ103の回転中心からみて外側となるように保持されている。
放電部105は、放電面が排気装置111(排気口111a)側に設けられた放電電極105bと、放電電極105bの放電面と反対側の面に接続された高周波電源部105bとから構成されている。
また、放電電極105bに近接して、プロセスガスを供給するための供給口107aが設けられており、この供給口107aはプロセスガス供給部107に接続されている。
更に、仕切り部101aに対して、供給口107aとは反対の箇所には、材料ガスを供給するための供給口109aが設けられており、この供給口109aは材料ガス供給部109に接続されている。
真空容器101は、一端が真空容器101の内壁に固定され、他端が回転する成膜ジグ103とこれに保持される筐体102と接触しないよう微小な間隔をもって成膜ジグ103に対向する仕切り部101aを有する。
この仕切り部101aは、真空容器101内部の放電電極105b及びプロセスガスが供給口107aより供給される領域と、材料ガスが供給口109aより供給される領域とを、前記微小な間隔を除いて空間的に分離することに用いられる。なお、この仕切り部101aの位置は、成膜ジグ103の一辺の長さ(筐体102の大きさ)に応じて、設定することができ、真空容器101の中央である必要はない。
表面層の形成は、例えば、以下のように実施する。
まず、プロセスガスを供給口107aからに導入すると共に、高周波電源部105aから放電電極105bに、例えば、周波数13.56MHzの高周波電力を供給する。この際、放電電極105bの放電面側から排気口111a側へと発光領域が放射状に広がるようにプラズマが形成される。ここで、供給口107aから導入されたプロセスガスは真空容器101内を放電電極105bを含む領域から排気口111a側へと流れる。
なお、放電電極105bは電極の周りをアースシールドで囲んだものでもよい。
ここで、プロセスガスには、少なくとも酸素を含み、窒素、水素、ヘリウムやアルゴンなどの希ガスが用いられる。
次に、材料ガスとして、例えば、水素をキャリアガスとして用いて希釈したトリメチルガリウムや必要に応じその他のガスを、供給口109aから導入することによって、筐体102表面にガリウムと酸素を含む非単結晶膜を成膜する。
成膜時の表面層の形成温度は特に限定されないが、筐体102表面の温度が、10℃以上100℃以下の範囲が好ましく、20℃以上60℃以下の範囲内で形成することが好ましい。
筐体102表面の温度は加熱及び/又は冷却手段(図中、不図示)によって制御してもよいし、放電時の自然な温度の上昇に任せてもよい。筐体102を加熱する場合にはヒータを筐体102の隣接した箇所に設置してもよい。筐体102を冷却する場合には筐体102を保持する成膜ジグ103の内側に冷却用の気体又は液体を循環させてもよい。
放電による筐体102表面の温度の上昇を避けたい場合には、筐体102表面に当たる高エネルギーの気体流を調節することが効果的である。この場合、ガス流量や放電出力、圧力などの条件を所要温度となるように調整する。また、放電による放電電極105b自体の温度上昇にともなう筐体102の温度上昇を防ぐため、放電電極の内部に冷却用の気体又は液体を循環させてもよい。
ここで、材料ガスとしては、例えば、ガリウムを含む有機金属化合物として、トリメチルガリウム、トリエチルガリウム、t−ブチルガリウムなどを用いる。
これらの液体や固体を気化して単独に或いはキャリアガスでバブリングすることによる混合状態で使用してもよい。
また、これらを2種類以上混合してもよい。
なお、本実施形態における表面層のように、ガリウムと酸素とを主に含む表面層を形成する場合、真空容器101内には活性水素が存在することが好ましい。活性水素は、キャリアガスとして使用する水素ガスや有機金属化合物に含まれる水素原子から供給されるものでもよい。
図3に示される成膜装置100のプラズマ発生手段は、高周波電源部を用いたものであるが、これに限定されるものではなく、例えば、マイクロ波発振装置を用いたり、エレクトロサイクロトロン共鳴方式やヘリコンプラズマ方式の装置を用いてもよい。また、高周波発振装置の場合は、誘導型でも容量型でもよい。
更に、これらの装置を2種類以上組み合わせて用いてもよく、例えば、プロセスガス供給口107aより活性水素を供給するリモートプラズマ装置を付加してもよい。或いは、同種の装置を2つ以上用いてもよい。プラズマの照射によって筐体102表面の温度が上昇しないようにするためには高周波発振装置が好ましいが、熱の照射を防止する装置を設けてもよい。
2種類以上の異なるプラズマ発生装置(プラズマ発生手段)を用いる場合には、同じ圧力で同時に放電が生起されるようにしてもよい。また、放電する領域と、成膜する領域(筐体102が設置された部分)とに圧力差を設けてもよい。これらの装置は、成膜装置内をガスが導入される部分から排出される部分へと形成されるガス流に対して直列に配置してもよいし、いずれの装置も基体の成膜面に対向するように配置してもよい。
また、異なる2種類のプラズマ発生装置を同一の圧力下で利用する場合、例えば、マイクロ波発振装置と高周波発振装置とを用いる場合、励起種の励起エネルギーを大きく変えることができ、膜質の制御に有効である。また、放電は大気圧近傍(3×10Pa以上1.2×10Pa以下の範囲)で行ってもよい。大気圧近傍で放電を行う場合にはキャリアガスとしてHeを使用することが望ましい。
なお、表面層の形成に際しては、上述した方法以外にも、例えば、通常の有機金属気相成長法や蒸着法、スパッタ法、分子線エピタキシー法が使用される。
以上、筐体上に表面層を形成する場合の例について説明したが、成膜ジグ103に保持される部材を、筐体102から格子状部材(例えば、前記グリッド部材23)に変更することにより、筐体の場合と同様にして、格子状部材上に表面層が形成される。
以上で説明した本実施形態に係る放電器の用途には特に限定はないが、例えば、電子写真方式の画像形成装置において、電子写真感光体(感光体ドラム)を被処理体とし、帯電装置や、除電装置、転写装置、等として特に好適に使用される。特に、放電器に付着した放電生成物の放出による画像流れをより効果的に抑制する観点からは、本実施形態に係る放電器を、帯電装置又は除電装置として用いることが好ましい。
<プロセスカートリッジ及び画像形成装置>
次に、本実施形態に係るプロセスカートリッジ及び本実施形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、感光体(例えば、電子写真感光体(感光体ドラム)。以下同じ。)と、前記感光体を帯電する帯電手段と、を備え、前記帯電手段が前述の本実施形態に係る放電器である。
また、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、更に、前記感光体を除電する除電手段を備え、前記除電手段が前述の本実施形態に係る放電器である構成がより好ましい。
なお、本実施形態に係るプロセスカートリッジは、画像形成装置本体に脱着自在に構成される機構を備えていることが好ましい。
本実施形態に係る画像形成装置は、感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、帯電した前記感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記感光体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、前記感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、を備え、前記帯電手段が前述の本実施形態に係る放電器である。
また、本実施形態に係る画像形成装置は、更に、前記転写後の前記感光体を除電する除電手段を備え、前記除電手段が本実施形態に係る放電器である形態がより好ましい。
なお、本実施形態の画像形成装置は、各色のトナーに対応した感光体を複数有するいわゆるタンデム機であってもよい。また、トナー像の転写は、中間転写体を利用した中間転写方式であってもよい。
本実施形態に係るプロセスカートリッジや画像形成装置において、感光体は、その表面に、酸素とガリウム元素を含んで構成され、且つ、酸素の含有量が15原子%以上である耐磨耗層を有し、該耐磨耗層の厚さの差が0.1μm以下であることが好ましい。これは、帯電性制御や粉体特性改善のためにトナー表面に付着させた酸化ケイ素や酸化チタンなどの粒子が脱離して、感光体表面に移行・付着し帯電性が不均一になることを防ぐためである。また、耐磨耗層の厚さの差が0.1μm以下であれば、耐磨耗層を設けたことで露光手段において生じる光の吸収や反射の差による露光状態のばらつきが原因となる画像の濃度ムラが問題とならないため、好ましい。
より具体的には、本実施形態に係るプロセスカートリッジや画像形成装置においては、感光体として、図4に示される層構成を有する感光体を用いることが好ましい。
以下、図4を参照して、本実施形態に好適な感光体の一態様について説明する。
ここで、図4は、本実施形態に好適な感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。
図4に示される感光体210は、基体211、下引き層213、電荷発生層215aと電荷輸送層215bとからなる感光層215、及び耐磨耗層217をこの順に有する。
ここで、感光層215は、有機高分子から形成されたものでもよいし、無機材料から形成されたものでもよいし、それらが組み合わされたものでもよい。
図4に示される感光体210を構成する基体211、下引き層213、電荷発生層215aと電荷輸送層215bとからなる感光層215については、具体的には、例えば、特開2006−267507号公報に記載の基体及び各層を適用する。
また、耐磨耗層217については、前述の本実施形態の放電器における表面層と同様な材質で、同様に形成されたものであってもよい。耐磨耗層217の材質、及び形成方法としては、具体的には、例えば、特開2006−267507号公報や、特開2007−300001号公報に記載の技術を適用する。
次に、図5を参照して、本実施形態の画像形成装置の一例について、説明する。
ここで、図5は、本実施形態の画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。
図5に示されるように、画像形成装置200は、上記で図4を参照して説明した感光体210を有し、感光体210の回転方向Cに沿って順に、前述の本実施形態に係るコロナ放電器(スコロトロン)2である帯電装置(帯電手段)220、露光装置(露光手段)230、現像装置(現像手段)240、前述の本実施形態に係るコロナ放電器1である転写装置(転写手段)250、及びクリーニング装置(クリーニング手段)260が設けられている。また、画像形成装置200は、記録媒体P上に転写されたトナー像を記録媒体Pに定着させるための定着装置270を含んで構成されている。
帯電装置220は、感光体210の外周面を帯電する。露光装置230は、帯電装置220によって帯電された感光体210の外周面に、画像データに応じて変調した光を露光することで感光体210上に画像データの画像に応じた静電潜像を形成する。現像装置240は、感光体210上に形成された静電潜像にトナーを含む現像剤を供給することで静電潜像をトナーによって現像してトナー像を形成する。転写装置250は、コロナ放電により感光体210上のトナー像を記録媒体P上へと転写する。なお、この記録媒体Pは、図示を省略する用紙貯留部に予め貯留され、この用紙貯留部からローラ等によって搬送されることによって、感光体210と転写装置250との間に到り、感光体210上のトナー像を転写される。
トナー像を転写された記録媒体Pは、図示を省略するローラ等によって定着装置270の設置箇所に搬送され、定着装置270によって未定着のトナー像を該記録媒体P上に定着される。定着装置270によってトナー像を定着された記録媒体Pは、図示を省略するローラ等によって画像形成装置200の外部へと排出される。
なお、画像形成装置200に含まれる、感光体210及び帯電装置220は、画像形成装置200本体に対して着脱自在に設けられていてもよく、これらの着脱自在に設けられた各装置がプロセスカートリッジとなる。
以上、本実施形態に係る画像形成装置及びプロセスカートリッジについて、図5を参照して説明したが、本実施形態は図5に示した形態に限定されることはない。
例えば、帯電装置220は本実施形態の放電器である限り、格子状部材(グリッド部材)を有するコロナ放電器(スコロトロン)2であることには限定されず、例えば格子状部材(グリッド部材)を有しない放電器(例えば、前述のコロナ放電器1)であってもよい。
また、転写装置250はコロナ放電器1であることに限定されず、コロナ放電器(スコロトロン)2や、本実施形態における表面層を有しない公知のコロナ放電器であってもよい。また、転写装置250は転写ロール等、放電器以外の転写手段であってもよい。
また、クリーニング装置260は省略されていてもよい。
図6は、本実施形態の画像形成装置の構成の別の一例を示す概略構成図である。
図6に示す画像形成装置300では、図5に示した前述の画像形成装置200の構成に加え、感光体210の回転方向Cについて、クリーニング装置260と帯電装置220との間に(クリーニング装置260が省略されている場合には転写装置250と帯電装置220との間に)、感光体210を除電する除電装置222を備えている。そしてこの除電装置222が、格子状部材(グリッド部材)を有しない前述のコロナ放電器1となっている。但し、除電装置222は格子状部材(グリッド部材)を有する前述のコロナ放電器(スコロトロン)2であってもよい。
画像形成装置300における、感光体210、帯電装置(帯電手段)220、露光装置(露光手段)230、現像装置(現像手段)240、転写装置(転写手段)250、クリーニング装置(クリーニング手段)260、及び定着装置270については、図5で説明した画像形成装置200と同様であるので説明を省略する。図6中の回転方向C及び記録媒体Pについても、図5中の回転方向C及び記録媒体Pと同様である。
以上、図5及び図6を参照して、本実施形態の画像形成装置の例である画像形成装置200及び画像形成装置300について説明したが、画像形成装置200及び画像形成装置300は、各色のトナーに対応した感光体を複数有するいわゆるタンデム機であってもよい。
また、トナー像の転写は、感光体から記録媒体に直接転写する方式に限られず、感光体から中間転写体にトナー像を転写した後に、中間転写体から記録媒体に転写する中間転写方式であってもよい。
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、以下の実施例において「部」は質量部を意味する。
〔実施例1−1〕
<コロナ放電器1の作製>
以下のようにして、図1に示すコロナ放電器1と同様の構造のコロナ放電器を作製した。
まず、コロナ放電器の筐体として、図1中筐体12のような、長手方向に垂直な平面で切断したときの断面がコの字型であるステンレス薄板製のシールド部材を用意した。
詳しくは、このシールド部材の形状は、幅30mm、高さ10mm、長さ380mmの内部中空の直方体の6面のうち、長手方向(長さ380mm)及び幅方向(幅30mm)を含む1面と、高さ方向(高さ10mm)及び幅方向(幅30mm)を含む2面と、を除いた形状となっている。ここで除かれた、長手方向(長さ380mm)及び幅方向(幅30mm)を含む1面の領域が、図1のコロナ放電器1における放電照射領域16に相当する(以下、この除かれた1面の領域を、「放電照射領域」ということがある)。
次に、図3に示す成膜装置100の真空容器101内の成膜ジグ103に、筐体102として上記シールド部材を固定した。シールド部材は、その内壁側が成膜ジグ103の回転軸中心からみて外側に向くように(即ち、放電器としたときの放電照射領域側が成膜ジグ103の回転軸中心からみて外側となるように)固定した。
ここで、成膜ジグ103は、直径160mm(一辺が62mmの正八角形断面を有するもの)×長さ450mmである。
また、成膜ジグ103の回転中における、真空容器101内の仕切り部101aと、成膜ジグ103に取り付けられたシールド部材と、の最近接距離は1.5mmであった。
次に、排気装置111を用いて真空容器101内を、圧力が1.0×10−2Paとなるまで真空排気した。
その後、プロセスガスとして、水素ガス(1000sccm)と酸素ガス(7.50sccm)とを含む混合ガスをプロセスガス供給部107から供給口107aを介して真空容器101内へと供給し、高周波電源部(13.56MHz)105aから放電面の寸法が500mm×70mmの放電電極105bに、300Wの電力を供給した。
次に、材料ガスとして、トリメチルガリウムガス(3.00sccm)を、材料ガス供給部109から供給口109aを介して真空容器101内へと供給した。
この時、バラトロン真空計(MKS社製、絶対圧トランスデューサタイプ622A)で測定した成膜室10内の反応圧力は50Paであった。
以上により、シールド部材の内壁に、膜厚0.50μmの表面層を形成した。なお、成膜時間は75分であった。
得られた表面層が形成されたシールド部材と、直径60μmのタングステンからなる放電ワイヤと、を用い、図1に示すコロナ放電器1を作製した。
具体的には、前記シールド部材と前記放電ワイヤとを、シールド部材の長手方向と放電ワイヤの長手方向とが平行であり、かつ、放電ワイヤの周囲の一部をシールド部材の3つの面が囲む配置に固定して、コロナ放電器を作製した。この際、放電ワイヤとシールド部材とが電気的に絶縁するように固定し、放電ワイヤ及びシールド部材に互いに異なる電圧が印加されるようにした。
<表面層分析>
上記でシールド部材の内壁に形成された表面層の組成は、上記シールド部材と同時にシリコンウエハ片に成膜したものを、以下の方法で分析して求めた。結果は以下の通りである。
水素:HFS法
水素以外(ガリウム、酸素、窒素、炭素):RBS法及びXPS法(表面領域)
Ga:34.2原子%
O:45.6原子%
H:20.2原子%
<表面層の体積抵抗率>
上記でシールド部材の内壁に形成された表面層の体積抵抗率を、表面層に対向電極を設けシールド部材との間での電圧降下を用いて測定したところ、4.5×10Ω・cmであった。
<評価>
(放電生成物の付着量)
上記で作製したコロナ放電器の放電ワイヤにマイナス5000Vの直流電圧を印加してコロナ放電を発生させ、放電を12時間持続させた。なお、シールド部材は接地した(電圧0V)。
上記12時間放電後、コロナ放電器のシールド部材の内壁を蒸留水200mlにて洗浄し、洗浄後の水のうち50μlを用い、下記条件のイオンクロマトグラフ法により、放電生成物である、NO イオン及びNH イオンの量を測定した。
−イオンクロマトグラフ測定条件−
測定装置:(株)島津製作所製イオンクロマトグラフ装置PIA−1000
得られた測定値から、シールド部材の1本当たりのNO イオン及びNH イオンの量を算出し、放電生成物の付着量を評価した。
評価結果を表1に示す。
(磨耗試験)
上記でシールド部材の内壁に形成した表面層について、以下のようにして磨耗試験を行った。
即ち、前記表面層が形成されたシールド部材の内壁を、不織布(旭化成せんい社製、ベンコット)及びウレタンフォーム(ブリヂストン社エバーライト マイクロセルUCN)を加重10g/cmにて押し当てて1000往復擦った。擦る速度は10cm/秒とした。その後、表面層の剥がれの有無及び光沢の変化を評価した。
表面層の剥がれは顕微鏡観察により評価し、光沢の変化は目視観察により評価した。
評価結果を表1に示す。
〔比較例1−1〕
実施例1−1において、シールド部材に表面層を形成しなかった以外は実施例1−1と同様にしてコロナ放電器を作製し、実施例1−1と同様の評価を行った。
〔比較例1−2〕
実施例1−1において、以下の条件でDLC(ダイヤモンドライクカーボン)からなる表面層を形成した以外は実施例1−1と同様にしてコロナ放電器を作製し、実施例1−1と同様の評価を行った。
即ち、実施例1−1と同様に、図3に示される成膜装置100の真空容器101内の成膜ジグ103に筐体102として上記シールド部材を固定した。シールド部材は、内壁側が成膜ジグ103の回転中心からみて外側に向くように固定した。
ここで、成膜ジグ103は、直径160mm(一辺が62mmの正八角形断面を有するもの)×長さ450mmであった。
次に、排気装置111を用いて真空容器101内を、圧力が1.0×10−2Paとなるまで真空排気した。
その後、プロセスガスとして、水素ガス(500sccm)をプロセスガス供給部107から供給口107aを介して真空容器101内へと供給し、高周波電源部(13.56MHz)105aから放電面の寸法が500mm×70mmの放電電極105bに、300Wの電力を供給した。
次に、材料ガスとして、メタンガス(10.0sccm)を、材料ガス供給部109から供給口109aを介して真空容器101内へと供給した。
この時、バラトロン真空計(MKS社製、絶対圧トランスデューサタイプ622A)で測定した成膜室10内の反応圧力は40Paであった。
以上により、シールド部材の内壁に、DLCからなる膜厚0.50μmの表面層を形成した。なお、成膜時間は120分であった。
得られたコロナ放電器について実施例1−1と同様にして評価した。結果を表1に示す。
Figure 0004811473

表1に示すように、放電器のシールド部材の内壁に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層を形成した実施例1−1では、表面層を有しない比較例1−1や表面層がDLCである比較例1−2と比較して、放電器への放電生成物の付着が抑制されていた。
〔実施例2−1〕
<コロナ放電器(スコロトロン)の作製>
コロナ放電器(スコロトロン)の格子状部材として、図2中グリッド部材23のようなステンレス製のグリッド部材を用意した。
このグリッド部材は、詳しくは、外寸330mm×20mm、厚さ0.1mmのステンレス製の薄板の、端部(外周部)を除いた300mm×18mmの範囲に、エッチング加工により、長さ300mm×幅1.8mmの開口部が2.0mmピッチで9個設けられた構造となっている。
このグリッド部材を図3に示す成膜装置100の真空容器101内の成膜ジグ103に固定した以外は実施例1のシールド部材への表面層の形成と同様にして、グリッド部材の片面に表面層を形成した。
表面層が形成された前記グリッド部材を、実施例1−1で作製したコロナ放電器1に取り付けて、図2に示すコロナ放電器(スコロトロン)2を作製した。
即ち、表面層が形成された前記グリッド部材は、実施例1−1で作製したコロナ放電器1のシールド部材のうち、直方体から除かれた1面(長手方向を含む1面)の箇所に、当該除かれた1面と平行する配置で固定した。このとき、前記グリッド部材の表面層形成面側が放電ワイヤと対向するように固定した。
また、放電ワイヤとシールド部材とグリッド部材とは、それぞれが電気的に絶縁されるように固定し、それぞれに異なる電圧が印加されるようにした。
<画像形成装置>
上記のようにして得られたコロナ放電器(スコロトロン)2を、有機感光体(OPC)を備えた画像形成装置(富士ゼロックス(株)製DocuCentre Color 500)における帯電器として取り付けて、改造機を作製した。
<評価>
上記の画像形成装置を用い、高湿度(28℃、85%RH)の環境下で5万枚の連続印刷を行ない、画像流れ(連続印刷時)の評価を行った。ここで、印刷画像は画像濃度20%のハーフトーンとした。
5万枚の連続印刷後、画像形成装置の電源をオフにし、12時間放置して前記と同様の印刷を再開し、画像流れ(再開後)の評価を行った。更に、画像流れが生じた場合には、画像形成装置を暖気運転(連続印刷)させたときの画像流れ回復までの印刷枚数を調査した。
評価結果を下記表2に示す。
表2中の評価結果の概要は以下のとおりである(詳細は個別に表2中に記載した)。
◎:優れる
○:実用上問題ない
△:許容範囲内である
×:実用的でない
〔実施例2−2〕
<感光体の作製>
まず、図4に示される、基体211上に、下引層213、電荷発生層215a、及び電荷輸送層215bをこの順に有する円筒状の有機感光体を準備した。
なお、この有機感光体は、以下のようにして得られたものである。
以下に説明する手順により、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を作製した。
−下引層の形成−
ジルコニウム化合物(商品名:マツモト製薬社製オルガノチックスZC540)20質量部、シラン化合物(商品名:日本ユニカー社製A1100)2.5質量部、ポリビニルブチラール樹脂(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)10質量部、及びブタノール45質量部を攪拌混合して得た溶液を、外径84mm(内径82mm)、長さ340mmのAl製基体表面に塗布し、150℃10分間加熱乾燥することにより、膜厚1.0μmの下引層を形成した。
−電荷発生層の形成−
次に、電荷発生材料としてクロロガリウムフタロシアニン1質量部を、ポリビニルブチラール(商品名:積水化学社製エスレックBM−S)1質量部、及び酢酸n−ブチル100質量部と混合して得られた混合物をガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間分散し、電荷発生層形成用分散液を得た。
この分散液を浸漬法により下引層の上に塗布した後、100℃で10分間乾燥させ、膜厚0.15μmの電荷発生層を形成した。
−電荷輸送層の形成−
次に、下記構造式(1)で表される化合物を2質量部、及び、下記構造式(2)で表される繰り返し単位を有する高分子化合物(粘度平均分子量39,000)3質量部を、クロロベンゼン20質量部に溶解させて電荷輸送層形成用塗布液を得た。
Figure 0004811473
この塗布液を、浸漬法により電荷発生層上に塗布し、110℃で40分間加熱して膜厚20μmの電荷輸送層を形成し、Al基体上に、下引層と電荷発生層と電荷輸送層とをこの順に積層形成した有機感光体を得た。
図3に示される成膜ジグ103を、上記有機感光体を固定しうるフランジに変えて該有機感光体を固定し、以下の条件で耐磨耗層を形成した。
また、真空容器101内の仕切り部101aは、回転する有機感光体表面との間隔が最小で2.5mmであった。
次に、排気装置111を用いて真空容器101内を、圧力が1.0×10−2Pa程度になるまで真空排気した。
その後、プロセスガスとして、水素ガス(500sccm)と酸素ガス(5.00sccm)とを含む混合ガスを、プロセスガス供給部107から供給口107aを介して真空容器101内へと供給し、高周波電源部(13.56MHe)105aから放電面の寸法が500mm×70mmの放電電極105bに、200Wの電力を供給した。
次に、材料ガスとして、トリメチルガリウムガス(1.50sccm)を、材料ガス供給部109から供給口109aを介して真空容器101内へと供給した。
この時、バラトロン真空計(MKS社製、絶対圧トランスデューサタイプ622A)で測定した成膜室10内の反応圧力は10Paであった。
以上のような成膜装置により、有機感光体表面に、膜厚0.50μmの耐磨耗層を形成した。なお、成膜時間は65分であった。
ここで、得られた耐磨耗層の厚さは、測定装置として、東レエンジニアリング(株)製:薄膜対応表面形状測定装置SP−700型を用いて測定した。測定範囲は、感光体の軸方向端部から各20mm幅を除く長さ300mmの範囲であり、また、測定間隔は、感光体の周方向に90°毎で、軸方向で20mm毎とし、1個の感光体において64ヶ所を測定した。その結果、耐磨耗層の厚さの差は0.09μmであった。
−耐磨耗層分析・評価−
耐磨耗層の組成について、以下の方法で分析して求めた。結果は以下の通りである。
水素:HFS法
水素以外(ガリウム、酸素、窒素、炭素):RBS法及びXPS法(表面領域)
Ga:32.0原子%
O:43.2原子%
H:24.7原子%
N:0.0原子%(検出限界以下)
C:0.0原子%(検出限界以下)
実施例2−1における画像形成装置中の感光体を、上記のようにして得られた実施例2−2の感光体に代えた以外は、実施例2−1と同様にして、画像形成装置を改造し、評価を行った。
評価結果を表2に示す。
〔比較例2−1〕
実施例2−1において、コロナ放電器(スコロトロン)のシールド部材にもグリッド部材にも表面層を形成しなかった以外は実施例2−1と同様にして画像形成装置を作製し、評価を行った。
評価結果を表2に示す。
〔比較例2−2〕
実施例2−1において、コロナ放電器(スコロトロン)のシールド部材に形成した表面層及びグリッド部材に形成した表面層を、いずれも比較例1−2で形成したDLCからなる表面層に変更した以外は実施例2−1と同様にして画像形成装置を作製し、評価を行った。
評価結果を表2に示す。
Figure 0004811473

表2に示すように、放電器のシールド部材及びグリッド部材の、放電ワイヤとの対向面側に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層を形成した実施例2−1及び実施例2−2では、画像形成装置の休止後であって再開直後における画像流れが抑制されていた。再開直後における画像流れが抑制された理由は、表面層を設けたことにより、画像形成装置の休止中に起こる、放電器に付着した放電生成物の放出が抑制されたためと考えられる。
一方、放電器のシールド部材及びグリッド部材に表面層を設けなかった比較例2−1、放電器のシールド部材及びグリッド部材にDLCからなる表面層を設けた比較例2−2では、ともに画像形成装置の休止後であって再開直後における画像流れが発生し、これを回復するために約100枚分の暖機運転が必要であった。
〔実施例3−1、3−2、及び3−3〕、〔比較例3−1〕
実施例1−1における表面層の成膜条件を種々変化させ、表面層中の酸素含有量、水素含有量、又は体積抵抗率を変化させて、実施例1−1と同様の放電生成物の付着量の調査を行った。評価結果を下記表3に示す。
実施例3−1は実施例1−1における成膜条件のうち水素ガス1000sccmを2000sccmに変更したものである。
実施例3−2は実施例1−1における成膜条件のうち酸素ガス7.5sccmを10.5sccmに変更したものである。
実施例3−3は実施例1−1における成膜条件のうち放電電力300Wを500Wに変更したものである。
比較例3−1は実施例1−1における成膜条件のうち水素ガス1000sccmを、水素ガス200sccm及び窒素ガス800sccmに変更したものである。
Figure 0004811473
表3に示すように、酸化ガリウムを含む表面層中の酸素含有量が15原子%以上である実施例1−1、実施例3−1、実施例3−2、及び実施例3−3では、酸素含有量が15原子%未満である比較例3−1と比較して、放電生成物の付着量が少なかった。
本実施形態に係る放電器の一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る放電器の別の一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る表面層の形成に用いられる成膜装置の一例を示す概略模式図である。 本実施形態に好適な感光体の層構成の一例を示す概略断面図である。 本実施形態に係る画像形成装置の構成の一例を示す概略構成図である。 本実施形態に係る画像形成装置の構成の別の一例を示す概略構成図である。
1 コロナ放電器
2 コロナ放電器(スコロトロン)
11、21 放電ワイヤ(放電電極)
12、22 筐体
13、24A、24B 表面層
16、26 放電照射領域
30 被処理体
100 成膜装置
101 真空容器
101a 仕切り部
103 成膜ジグ
105 放電部
105a 高周波電源部
105b 放電電極
107 プロセスガス供給部
107a プロセスガスを供給する供給口
109 材料ガス供給部
109a 材料ガスを供給する供給口
111 排気装置
111a 排気口
200、300 画像形成装置
210 感光体
217 耐摩擦層
220 帯電装置(帯電手段)
230 露光装置(露光手段)
240 現像装置(現像手段)
250 転写装置(転写手段)
260 クリーニング装置(クリーニング手段)
270 定着装置

Claims (11)

  1. 電圧を印加することにより放電を発生させる放電電極と、
    前記放電電極の周囲の一部を囲って配置され、酸素とガリウムと水素とを含み酸素の含有量が15原子%以上であり、水素の含有量が0.1原子%以上30原子%以下である表面層を前記放電電極と相対する面に有する筐体と、
    を備えた放電器。
  2. 前記放電電極の周囲のうち少なくとも前記筐体によって囲われていない領域に、更に、格子状部材を備えた請求項1に記載の放電器。
  3. 前記格子状部材の前記放電電極と相対する面に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である表面層を有する請求項2に記載の放電器。
  4. 前記筐体上の前記表面層の層厚が、0.01μm以上10.0μm以下である請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の放電器。
  5. 前記筐体上の前記表面層の体積抵抗率が、10Ω・cm以上1013Ω・cm以下である請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器。
  6. 感光体と、前記感光体を帯電する帯電手段と、を備え、
    前記帯電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器であるプロセスカートリッジ。
  7. 更に、前記感光体を除電する除電手段を備え、前記除電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器である請求項に記載のプロセスカートリッジ。
  8. 前記感光体が、表面に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である耐磨耗層を有し、該耐磨耗層の厚さの差が0.1μm以下であることを特徴とする請求項又は請求項に記載のプロセスカートリッジ。
  9. 感光体と、
    前記感光体を帯電する帯電手段と、
    帯電した前記感光体の表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記感光体の表面に形成された潜像をトナーにより現像してトナー像を形成する現像手段と、
    前記感光体の表面に形成されたトナー像を記録媒体に転写する転写手段と、
    を備え、
    前記帯電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器である画像形成装置。
  10. 更に、前記転写後の前記感光体を除電する除電手段を備え、
    前記除電手段が請求項1〜請求項のいずれか1項に記載の放電器である請求項に記載の画像形成装置。
  11. 前記感光体が、表面に、酸素とガリウムとを含み酸素の含有量が15原子%以上である耐磨耗層を有し、該耐磨耗層の厚さの差が0.1μm以下であることを特徴とする請求項又は請求項10に記載の画像形成装置。
JP2009037162A 2009-02-19 2009-02-19 放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置 Expired - Fee Related JP4811473B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009037162A JP4811473B2 (ja) 2009-02-19 2009-02-19 放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009037162A JP4811473B2 (ja) 2009-02-19 2009-02-19 放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010191299A JP2010191299A (ja) 2010-09-02
JP4811473B2 true JP4811473B2 (ja) 2011-11-09

Family

ID=42817385

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009037162A Expired - Fee Related JP4811473B2 (ja) 2009-02-19 2009-02-19 放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4811473B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001176639A (ja) * 1999-12-20 2001-06-29 Ricoh Co Ltd コロナ放電装置及び画像形成装置
JP4600111B2 (ja) * 2005-03-23 2010-12-15 富士ゼロックス株式会社 電子写真感光体、並びに、これを用いたプロセスカートリッジおよび画像形成装置

Also Published As

Publication number Publication date
JP2010191299A (ja) 2010-09-02

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5447062B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
EP0957404A1 (en) Electrophotographic, photosensitive member and image forming apparatus
JP5346809B2 (ja) 負帯電用電子写真感光体、画像形成方法および電子写真装置
JP5018589B2 (ja) 画像形成装置用ブレード、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP2019061091A (ja) 画像形成装置、及び画像形成装置用ユニット
JP2017062400A (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP5581761B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP4811473B2 (ja) 放電器、プロセスカートリッジ及び画像形成装置
JP2011069983A (ja) 酸化物材料、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
US8330161B2 (en) Electronic photosensitive body and manufacturing method for same, as well as image forming apparatus
JP2018049066A (ja) 画像形成装置
JP5423272B2 (ja) 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP5387273B2 (ja) 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP5447063B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP5817615B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、及び画像形成装置
JP5296399B2 (ja) 画像形成装置及び画像形成方法
JP5440068B2 (ja) 画像形成装置
JP2017062385A (ja) 画像形成装置用ユニット、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び電子写真感光体
JP2011022531A (ja) 放電電極、放電器、プロセスカートリッジ、並びに画像形成装置
JP5387272B2 (ja) 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP2005099637A (ja) 感光体用基体及び感光体、並びに画像形成装置
JP5446659B2 (ja) 電子写真感光体、プロセスカートリッジ、および画像形成装置
JP5440062B2 (ja) 画像形成装置、及びプロセスカートリッジ
JP3289011B2 (ja) 堆積膜形成装置の洗浄方法
JP2002049171A (ja) 電子写真感光体及び電子写真装置

Legal Events

Date Code Title Description
A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20110517

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20110708

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20110726

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20110808

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4811473

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140902

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees