JP4810006B2 - ローカルエリアネットワークに接続された端末を初期化する方法と、この方法を実施するための装置 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ローカルエリアネットワークに接続される端末を初期化する方法と、この方法を実施するための装置（集線装置および端末）とに関する。本発明は、特に、端末に電源を遠隔供給可能なローカルエリアネットワーク、特に、端末に遠隔供給可能なイーサネットタイプのローカルエリアネットワークに関する。
【０００２】
【従来の技術】
多数のタイプの端末が、このようなネットワークに接続可能であり（たとえばインターネットプロトコルを使用する電話）、新しい構成で再スタートする場合、たとえばネットワーク管理者が、ソフトウェアのダウンロードを遠隔制御した後など、時として、幾つかの端末を初期化することが必要になる。端末を初期化する唯一の方法は、しばしば、マニュアルで端末のスイッチを切り、その後で再びスイッチを入れることからなる。実際、プロセッサおよび論理回路は、供給電圧がゼロから公称値に移行するとき、自動的にそれらを初期化する装置を含む。
【０００３】
一方、ネットワークのメンテナンス操作のために、全ての端末または幾つかの端末を切ることが時として必要になる。通常、ひとりの人が、各端末に移動して端末の電源を消すか、あるいは、各ユーザに対して端末の電源を消すように求める。この操作は、消したい端末が多数ある場合は時間がかかる。集線装置も初期化できるようにすることが望ましい。
【０００４】
ローカルエリアネットワークに接続される端末の初期化装置は知られており、こうした装置は、各端末および場合によっては集線装置におけるローカルの電源供給の遮断を遠隔制御するデータパケットを、ネットワークに送る手段を含む。この装置は、ソフトウェアの実行により端末でブロッキング（たとえば偶発的なループバック）が発生する場合、操作不能になるという欠点がある。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、中央位置から多数の端末および集線装置を初期化可能で、上記の欠点を持たない最も簡単な方法および装置を提案することにある。
【０００６】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の目的は、少なくとも一つの遠隔電源供給装置から端末に遠隔供給可能な、ローカルエリアネットワークに接続される端末の初期化方法にあり、遠隔供給装置によって端末に供給される遠隔電源供給の遮断を制御信号として用いることにより、端末の初期化を制御することからなることを特徴とする。
【０００７】
このような特徴を持つ方法は、ネットワークにデータ伝送を使用せず、データ伝送からは完全に独立した信号伝送を、遠隔供給手段を介して使用するので、ソフトウェアの実行により端末のプロセッサにブロッキングが引き起こされる場合でも初期化を制御することができる。
【０００８】
本発明はまた、ローカルエリアネットワークに接続される端末を初期化可能であり、下流に配置される集線装置およびまたは端末に電源を遠隔供給するための遠隔供給装置を含む、ローカルエリアネットワーク用の集線装置を目的とし、下流に配置される端末およびまたは集線装置の遠隔供給の遮断制御手段をさらに含むことを特徴とする。
【０００９】
本発明はまた、ローカルの電源供給が故障した場合に端末に遠隔供給可能な、ローカルエリアネットワークに接続される端末を目的とし、この端末が、ローカルの電源供給ユニットと、ローカルエリアネットワークへの結合器とを含み、さらに、ネットワークにより供給される遠隔電源供給を端末がもはや受けないことを検出する検出手段と、ネットワークにより供給される遠隔電源供給を端末がもはや受けないことを前記検出手段が検出する場合、この端末を初期化する手段とを含むことを特徴とする。
【００１０】
本発明は、以下の説明および添付図により、いっそう理解され、他の特徴が明らかになるであろう。
【００１１】
【発明の実施の形態】
図１に示されたローカルエリアネットワークの例は、イーサネットネットワークであり、
−遠隔電源供給制御と呼ばれ、イーサネットスイッチ（図示せず）に接続され、ネットワークの全部または一部を初期化可能にする主集線装置ＲＰＣＨと、
−分配箱と呼ばれ、たとえば建物の３つの階にそれぞれ通じ、集線装置ＲＰＣＨの３個のポートにそれぞれ接続される３個の集線装置ＷＣＨ１、ＷＣＨ２、ＷＣＨ３と、
−３個の分配箱集線装置ＷＣＨ１、ＷＣＨ２、ＷＣＨ３のポートにそれぞれ接続される、作業グループ集線装置ＷＧＨ１．．．とを含む。
【００１２】
たとえば、ｎ個の作業グループ集線装置ＷＧＨ１、．．．、ＷＧＨｎは、分配箱集線装置ＷＣＨ１のｎ個のポートにそれぞれ接続される。作業グループ集線装置ＷＧＨ１、．．．、ＷＧＨｎは各々、複数のポートを有する。これらのポートは各々、単一の端末に接続される。たとえば３本の線Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３は、集線装置ＷＧＨ１の３個のポートにそれぞれ接続される。端末の中でも、端末Ｔ１のような幾つかは、遠隔供給によってのみ電源供給される端末である。端末Ｔ２のような他の端末は、局所配電によりローカルに電源供給され、全く遠隔供給を使用しない。端末Ｔ３のようなさらに他の端末は、ローカルで供給されるが、局所配電が故障した場合、少なくとも主要機能に電源を供給するために、ネットワークによる遠隔供給によって支援される。本発明によれば、これらの端末は、それぞれが、端末Ｔ３における供給装置Ｓ３のような供給装置を含み、遠距離から初期化を可能にする。
【００１３】
図１では、ローカルに電源供給可能な集線装置および端末は、局所配電プラグと共に示されている。
【００１４】
各端末は、プラグＲＪ４５によって、８本の導線を含む一本の線に接続されている。複数の遠隔供給方法が考えられる。規格ＩＥＥＥ８０２．３ａｆは、イーサネットネットワークに関して作成中である。遠隔供給電流の一つの伝達方法は、この線の８本の導線のうちの２本を使用することである。８本の導線のうち他の４本は、それぞれデータの伝送および受信に使用される２組の線である。別の方法は、ゴースト回路と呼ばれ、遠隔供給装置において供給発電機の２個の端子を夫々データ受信組に接続される変圧器のコイルの中間点と、データ送信組に接続される別の変圧器のコイルの中間点に、それぞれ接続することからなる。端末側では、データ受信組に接続される変圧器のコイルの中間点と、データ送信組に接続される別の変圧器のコイルとの中間点から、それぞれ電圧が供給される。
【００１５】
遠隔電源は、集線装置ＷＧＨ１に配置された遠隔電源供給装置Ｓ１０によって線Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３に供給される。遠隔電源供給装置Ｓ１０は、局所配電によりエネルギー供給されるローカル供給手段ＬＰＳ１０と、遠隔電源供給の存在検出器Ｄ１０とを有し、この検出器は、集線装置ＷＧＨ１を集線装置ＷＣＨ１に接続するラインに接続されている。検出器Ｄ１０は、ネットワークの上流に配置された集線装置ＷＣＨ１から供給される遠隔電源を集線装置ＷＧＨ１がもはや受けない場合、遠隔電源供給装置Ｓ１０により下流で供給される遠隔電源の遮断を制御するために、ローカルの供給装置ＬＰＳ１０の制御入力に接続される。
【００１６】
さらに、作業グループ集線装置ＷＧＨ１、．．．、ＷＧＨｎの各々に、マニュアルスイッチＳＷ４、ＳＷ５、ＳＷ６、．．．を設け、この集線装置に接続されるラインＬ１、Ｌ２、Ｌ３、．．．上でそれぞれ遠隔供給の遮断を可能にし、それによって、極端な場合には一個の端末から構成可能なネットワークの一部を遠隔から初期化することができる。
【００１７】
３個の分配箱集線装置ＷＣＨ１、ＷＣＨ２、ＷＣＨ３はまた、そのポートに遠隔電源供給を行う。こうした遠隔供給は、これらのポートに直接接続される端末がある場合には端末に供給可能であるが、しかし、特に、ｎ個の作業グループ集線装置ＷＧＨ１、．．．、ＷＧＨｎで遠隔電源供給装置Ｓ１０等を制御する役割をする。たとえば、集線装置ＷＣＨ１の遠隔電源供給装置Ｓ２０がｎ個の作業グループ集線装置ＷＧＨ１、．．．、ＷＧＨｎにもはや遠隔供給を行わない場合、これらの集線装置に組み込まれた遠隔電源供給装置、特に装置Ｓ１０は、端末Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３、．．．への遠隔供給を停止する。従って、遠隔電源を供給されていた端末Ｔ１は、初期化される。
【００１８】
たとえば、集線装置ＷＧＨ１、．．．、ＷＧＨｎに供給される遠隔電源は、集線装置ＷＣＨ１に配置される遠隔電源供給装置Ｓ２０によって生成される。装置Ｓ２０は、局所配電によりエネルギー供給されるローカルの供給手段ＬＰＳ２０と、遠隔供給の存在検出器Ｄ２０とを有し、この検出器は、集線装置ＷＣＨ１を集線装置ＲＰＣＨに接続するラインに接続されている。検出器Ｄ２０は、ネットワークの上流に配置された集線装置ＲＰＣＨから供給される遠隔供給を集線装置ＷＣＨ１がもはや受けない場合、遠隔電源供給装置Ｓ２０により下流で供給される遠隔供給の遮断を制御するために、ローカルの電源供給装置ＬＰＳ２０の制御入力に接続される。
【００１９】
ローカルに電源供給されるが、遠隔供給によっても支援される端末Ｔ３等の、本発明による端末では、端末Ｔ３における電源供給装置Ｓ３等が遠隔供給の消滅を検出し、この検出によって端末の初期化を開始する。
【００２０】
遠隔供給によってのみ電源供給される端末Ｔ１等の各端末では、遠隔供給の再開とともに、遠隔供給の遮断による初期化が引き起こされる。
【００２１】
遠隔供給とは関係なく、ローカルに電源供給される端末Ｔ２等の各端末では、電源供給装置Ｓ２等が、端末への電源供給を続行するので、初期化されない。たとえばパソコンの場合がそうである。
【００２２】
遠隔供給制御集線装置ＲＰＣＨは、遠隔電源供給装置Ｓ３０を含み、この装置Ｓ３０はまた、そのポートに遠隔供給を行う。こうした遠隔電源供給は、これらのポートに直接接続される端末がある場合には端末に供給可能であるが、しかし、特に、３個の分配集線装置ＷＣＨ１、ＷＣＨ２、ＷＣＨ３の、遠隔電源供給装置Ｓ２０等を制御する役割をする。集線装置ＲＰＣＨは、３個のスイッチＳＷ１、ＳＷ２、ＳＷ３を含み、管理者が、下流に配置される端末およびまたは集線装置への遠隔供給の遮断を３個のポートで選択的に制御できるようにする。これらのスイッチは、マニュアル作動式の機械スイッチであっても、あるいは、電気コンソールから供給される初期化制御電気信号で作動される電子スイッチであってもよい。
【００２３】
３個の分配集線装置ＷＣＨ１、ＷＣＨ２、ＷＣＨ３で遠隔電源供給装置Ｓ２０が受ける遠隔供給がなくなると、これらの集線装置によって供給された遠隔供給が停止される。作業グループ集線装置ＷＧＨ１、．．．、ＷＧＨｎによって供給された遠隔供給は、間接的に停止される。従って、遠隔供給とは関係なく、ローカルに電源供給される端末Ｔ２等の端末を除いて、一つの段の全ての端末あるいはネットワークの全ての端末を一度に初期化することができる。
【００２４】
他の実施例では、主集線装置ＲＰＣＨをイーサネットスイッチに組み込むことができる。
【００２５】
図２は、本発明による端末の実施例の概略図である。この端末Ｔ３は、２個の入力端子を備えた直流−直流コンバータＤＣ−ＤＣを含む供給装置Ｓ３を有する。コンバータＤＣ−ＤＣは、一般に、フィルタされた直流電圧Ｖ２を供給する従来の整流回路ＬＰＳによって局所配電プラグＭＰに到達する局所配電により供給される。局所配電が遮断される場合、コンバータは、線Ｌの２本の導線Ａ１、Ａ２により遠隔供給が行われる電圧Ｖ１によって供給される。線Ｌは、特にデータを送受信するために用いられる他の６本の導線を含む。
【００２６】
整流回路ＬＰＳは、２個の出力端子を含み、一方は、ＤＣ−ＤＣコンバータの第一の端子に接続され、他方は、スイッチＳＷ７およびダイオードＤ２を介してＤＣ−ＤＣコンバータの第二の端子に接続される。導線Ａ１は、ＤＣ−ＤＣコンバータの第一の端子に直接接続され、導線Ａ２は、スイッチＳＷ７およびダイオードＤ２を介して（ダイオードＤ１を介して）ＤＣ−ＤＣコンバータの第二の端子に接続される。２個のダイオードＤ１、Ｄ２のカソードは、双方ともＤＣ−ＤＣコンバータの第二の端子に接続される。遠隔供給検出器ＲＰＳＤは、導線Ａ１、Ａ２に接続される２個の端子を有する。検出器は、遠隔制御がネットワークから供給されるときは閉じて、遠隔制御がネットワークから供給されないときに開くようにスイッチＳＷ７を制御し、後者の場合には、初期化を制御する。
【００２７】
遠隔から電源が供給されて、局所配電が動作する場合、遠隔供給電圧Ｖ１は、整流回路ＬＰＳから供給される電圧Ｖ２よりも低いので、ダイオードＤ２が導通し、ダイオードＤ１が、ブロックされる。そのとき、端末は、ローカルで供給される。これは、端末の消費エネルギーが大きく、線Ｌのさまざまな特徴によって課される制限のために全体的にエネルギーを遠隔供給できない場合に有利である。
【００２８】
局所配電が遮断された場合（あるいは整流回路ＬＰＳが故障した場合）、ダイオードＤ１が導通する。そのため、端末Ｔ３は、少なくとも主要な機能に対しては、遠隔供給により支援される。
【００２９】
たとえば集線装置ＲＰＣＨにおけるスイッチＳＷ１によって遠隔供給が遮断された場合、検出器ＲＰＳＤは、スイッチＳＷ７の開放を制御することによって、ＤＣ−ＤＣコンバータに整流回路ＬＰＳのエネルギーが伝達しないようにする。そのため、端末Ｔ３は、遠隔制御の再開時に初期化される。
【００３０】
図３は、本発明による端末の上記実施例の変形実施形態を示す概略図である。この変形実施形態は、スイッチＳＷ７を含まない。検出器ＲＰＳＤは、検出器ＲＰＳＤ’により代替されており、検出器ＲＰＳＤ’は、スイッチに対する制御信号を供給せず、プロセッサの初期化入力（図示せず）に論理信号Ｒを供給する。従って、端末は、供給を遮断することなく初期化可能である。
【００３１】
本発明による方法は、データ伝送タイプおよび、ネットワークで使用される遠隔供給のタイプとは無関係である。当業者は、遠隔電源供給が他の方法に従ってネットワークにより伝達される場合、あるいは、各端末を集線装置に接続するために端末固有の線を使用する場合（たとえば端末のタイプの自動認識方法を実施するために）、上記の実施例を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明による集線装置および端末を含み、遠隔電源供給用に構成されたローカルエリアネットワークの一例を概略的に示す図である。
【図２】本発明による端末の実施例の概略図である。
【図３】本発明による端末の実施例の変形実施形態を示す概略図である。
【符号の説明】
Ｄ１ 結合手段
Ｄ１０ 遠隔電源検出器
Ｌ１、Ｌ２、Ｌ３ 線
ＬＰＳ、Ｄ２、ＤＣ−ＤＣ ローカル電源供給手段
ＭＰ 局所配電プラグ
Ｒ 論理信号
ＲＰＣＨ、ＷＣＨ１、ＷＧＨ１ 集線装置
ＲＰＳＤ、ＲＰＳＤ’ 検出手段
Ｓ３ ローカル電源供給手段
Ｓ１０、Ｓ２０、Ｓ３０ 遠隔電源供給装置
ＳＷ１、ＳＷ７ スイッチ
Ｔ１、Ｔ２、Ｔ３ 端末

Claims (7)

1. 遠隔電源供給装置（Ｓ２０）を含む上流の集線装置に直列接続された、遠隔電源供給装置（Ｓ１０）を有する下流の集線装置から端末（Ｔ１、Ｔ３）に遠隔電源供給可能なローカルエリアネットワークに接続される端末の初期化方法であって、
   前記下流の集線装置の前記遠隔電源供給装置（Ｓ１０）は、局所配電によりエネルギー供給されるローカル電源供給手段（ＬＰＳ１０）と、前記下流の集線装置を前記上流の集線装置に接続するラインに接続されている遠隔電源供給の存在検出器（Ｄ１０）とを有し、
   前記検出器（Ｄ１０）が前記上流の集線装置から供給される遠隔電源供給の遮断を検出した場合に、前記検出器（Ｄ１０）は前記遠隔電源供給装置（Ｓ１０）の前記ローカル電源供給手段（ＬＰＳ１０）によって前記端末（Ｔ３）に供給される遠隔電源供給の遮断をすることにより、前記端末（Ｔ３）の初期化を制御することを特徴とする方法。
2. 前記遠隔電源供給の遮断が、該遠隔電源供給が再開される時に前記端末を初期化するために、端末における全ての電源供給（Ｓ３）の遮断を制御することを特徴とする請求項１に記載の方法。
3. 前記遠隔電源供給の遮断によって、端末における初期化論理信号（Ｒ）の生成を制御することを特徴とする請求項１に記載の方法。
4. ローカルエリアネットワークに接続される端末を初期化可能であり、下流に配置される集線装置およびまたは端末に遠隔電源供給をするための遠隔電源供給装置（Ｓ３０、Ｓ２０、Ｓ１０）を含む、ローカルエリアネットワーク用の集線装置（ＲＰＣＨ、ＷＣＨ１、ＷＧＨ１）であって、
   前記集線装置は、下流に配置される端末およびまたは集線装置の前記遠隔電源供給の遮断制御手段（ＳＷ１、ＳＷ２、ＳＷ３；ＳＷ４、ＳＷ５、ＳＷ６；Ｄ２０；Ｄ１０）をさらに含み、
   下流に配置される端末およびまたは集線装置の前記遠隔電源供給の遮断制御手段が、ネットワークの上流に配置される集線装置（ＲＰＣＨ；ＷＣＨ１）によって供給される遠隔電源供給の存在を検出し、遠隔電源供給をもはや受けない場合、下流に供給する前記遠隔電源供給を遮断するように、固有の遠隔電源供給装置（Ｓ２０、Ｓ１０）を制御する検出器（Ｄ２０、Ｄ１０）を含むことを特徴とする集線装置。
5. ローカルの電源供給手段が故障した場合に端末に遠隔電源供給可能な、ローカルエリアネットワークに接続される端末（Ｔ３）であって、この端末が、ローカルの電源供給手段（ＬＰＳ、Ｄ２、ＤＣ−ＤＣ）と、前記ローカルエリアネットワーク（Ｌ１）への結合手段（Ｄ１）とを含み、
   さらに、前記ネットワークにより供給される遠隔電源供給を前記端末がもはや受けないことを検出する検出器（ＲＰＳＤ、ＲＰＳＤ’）と、前記ネットワークにより供給される遠隔電源供給を前記端末がもはや受けないことを前記検出器（ＲＰＳＤ、ＲＰＳＤ’）が検出する場合、前記端末を初期化する手段（ＳＷ７、ＲＰＳＤ’）とを含むことを特徴とする端末。
6. 初期化手段が、前記ローカルの電源供給手段（ＬＰＳ、Ｄ２、ＤＣ−ＤＣ）によって供給されるローカル電源供給の遮断手段（ＳＷ７）を含むことを特徴とする請求項５に記載の端末。
7. 初期化手段が、前記端末を初期化するための論理信号（Ｒ）の生成手段（ＲＰＳＤ’）を含むことを特徴とする請求項５に記載の端末。

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