本発明の実施の一形態について、図1ないし図6に基づいて説明する。
図1は、硬貨入出金装置101の外観斜視図である。
硬貨入出金装置101は、本体ユニット1と、この本体ユニット1を正面に向けて引き出し可能に収納するハウジングケース1aとにより構成されている。本体ユニット1の正面側には、硬貨投入部80と、硬貨払出部88と、操作表示部24とが配置されている。硬貨投入部80と硬貨払出部88と操作表示部24とは、本体ユニット1がハウジングケース1aに収納された状態で硬貨入出金装置101の正面側の上面に露出するように、本体ユニット1に配置されている。
硬貨投入部80は、硬貨投入口2と、投入口センサ3と、入金ベルト4と、投入口ローラ5(図2参照)とを備える。硬貨投入口2は、本体ユニット1の正面右側に設けられ、複数の硬貨Cを一括投入可能な大きさに上面に向けて開口している。硬貨投入口2の側面には、光学的に硬貨Cの有無を検出するための複数組の投入口センサ3が設けられている。硬貨投入口2の底面には、選択穴ベース6(図2参照)に連接される入金ベルト4が設けられている。入金ベルト4は、モータM0(図3参照)の動力によって回転駆動する駆動ローラ(図示せず)および従動ローラ(図示せず)に張り架けられており、モータM0の駆動によって装置内部の奥側に向けて搬送方向Aの方向に駆動して、入金ベルト4の上面に載置された状態にある硬貨Cを硬貨入出金装置101の内部に搬送する。硬貨投入口2の搬送方向Aの下流側の一端には、入金ベルト4の真上に硬貨C一枚分よりも若干大きい間隔を設けて離反した高さに投入口ローラ5(図2参照)が対向配置されている。このため、入金ベルト4と投入口ローラ5との間には、入金ベルト4の上面に平置きされた一枚の硬貨Cの通過を許容する入金口Bが形成される。投入口ローラ5は、モータM0(図3参照)を駆動源として駆動ローラと同一方向に回転する。つまり、入金ベルト4の上面に二枚以上積層された状態で搬送される硬貨Cは、投入口ローラ5に接触して最下層の硬貨Cを残して搬送方向Aの上流側に向けて払いのけられる。従って、硬貨投入口2に投入された硬貨Cは、入金ベルト4によって搬送されて入金口Bを一枚ずつ通過して、硬貨入出金装置101の内部に送り込まれる。
硬貨払出部88は、硬貨受皿22により構成される。硬貨受皿22は、本体ユニット1の正面左側に設けられ、上面に向けて開口して設けられている。硬貨受皿22には、第2搬送ベルト25(図2参照)の終端と滑らかに接続し、第2搬送ベルト25から送り出された硬貨Cをその慣性によって滑走させる滑らかな滑走面23が形成されている。滑走面23は、硬貨受皿22の内壁から底面にかけて形成され、硬貨受皿22の左端部分から硬貨入出金装置101の手前方向に伸び、そのまま硬貨入出金装置101の右方向に向かって延びている。硬貨入出金装置101から払い出された硬貨Cは、滑走面23の上を滑走し、滑走面23の延びる方向に沿って屈曲した後に、硬貨受皿22と硬貨Cとの間の摩擦力によって静止し、硬貨受皿22に保持される。
操作表示部24は、表示器および各種の操作キーを備えて構成され、本体ユニット1の正面左側で硬貨受皿22よりも奥側に設けられ、上面に向けて配置されている。
図2は、硬貨入出金装置101の内部構造を示す平面図である。硬貨入出金装置101を構成する本体ユニット1は、硬貨搬送機構82と、硬貨選別部83と、硬貨収納部84と、繰出機構85と、払出搬送機構86とを備える。また、本体ユニット1には、入金ベルト4と、選択穴ベース6と、基準ガイド9とからなる、硬貨投入口2から投入された硬貨Cを硬貨入出金装置101の手前から奥に向けて案内する硬貨通路81が形成されている。また、本体ユニット1には、第2搬送ベルト25と滑走面23とからなる、繰出機構85によって硬貨収納部84から繰り出された硬貨Cを硬貨入出金装置101の外部に案内する払出硬貨通路87が形成されている。
硬貨搬送機構82は、入金ベルト4と、投入口ローラ5と、第1搬送ベルト7とを備え、硬貨投入口2から投入された硬貨Cを一枚ずつ分離して搬送する。第1搬送ベルト7は、入金ベルト4によって搬送される硬貨Cの上面に接触し、この硬貨Cを下方に押圧しながら硬貨通路81に沿って搬送方向Aに搬送する。
硬貨選別部83は、選択穴ベース6と、第1搬送ベルト7と、硬貨選別穴8と、基準ガイド9と、計数センサ10とを備え、硬貨搬送機構82から搬送される硬貨Cを金種別に選別して落下させる。選択穴ベース6は、平板状の部材であり第1搬送ベルト7の下方に配置されている。硬貨選別穴8は、選択穴ベース6の平板部に設けられている穴であり、搬送方向Aに沿って1円、50円、5円、100円、10円、500円の順にそれぞれの金種の硬貨に対応する幅寸法となっていて、第1搬送ベルト7によって搬送される硬貨Cがその硬貨Cの金種に対応する幅寸法の落下位置8a〜8fに位置付けられたときに、その硬貨Cを下方に落下させる。基準ガイド9は、硬貨通路81の左右端を構成しており、硬貨通路81の途中で左側に迫り出している。そのため、第1搬送ベルト7によって選択穴ベース6上を搬送される硬貨Cは、基準ガイド9によって搬送方向Aに対して右側の側面を揃えられた状態で搬送方向Aに搬送され、搬送される途中に硬貨選別穴8の上を通過し、その硬貨Cの金種に応じた落下位置8a〜8fに来ると、そこから下方に落下する。計数センサ10は、落下位置8a〜8fのそれぞれの下方に金種に対応して設けられ、落下位置8a〜8fから落下する硬貨をセンシングする。
硬貨収納部84は、金種別収納部14と、繰出ベルト15と、分離ローラ18と、硬貨整列部19と、繰出シャッタ20とを備え、硬貨選別部83から選別落下された硬貨Cを金種別に収納する。金種別収納部14は、1円硬貨を収納する1円硬貨収納部14aと、50円硬貨を収納する50円硬貨収納部14bと、5円硬貨を収納する5円硬貨収納部14cと、100円硬貨を収納する100円硬貨収納部14dと、10円硬貨を収納する10円硬貨収納部14eと、500円硬貨を収納する500円硬貨収納部14fとにより構成され、これらはいずれも硬貨入出金装置101の幅方向に細長い形状をなし、それぞれ硬貨入出金装置101に対し左端に硬貨出口12を有している。1円硬貨収納部14aの右端部は、落下位置8aの直下に位置付けられている。50円硬貨収納部14bの右端部は、落下位置8bの直下に位置付けられている。5円硬貨収納部14cの右端部は、落下位置8cの直下に位置付けられている。100円硬貨収納部14dの右端部は、落下位置8dの直下に位置付けられている。10円硬貨収納部14eの右端部は、落下位置8eの直下に位置付けられている。500円硬貨収納部14fの右端部は、落下位置8fの直下に位置付けられている。これらの金種別収納部14(14a〜14f)は、仕切板13によって収納ケース14gの内部を硬貨入出金装置101の幅方向に仕切られることによって硬貨入出金装置101の手前から奥に向けて並列に構成されている。繰出ベルト15は、金種別収納部14(14a〜14f)のそれぞれの底面部分に設けられ、モータM0(図3参照)によって駆動され、内部に収納されている硬貨Cを各金種別収納部14(14a〜14f)の硬貨出口12に向けて搬送する。分離ローラ18は、繰出ベルト15の途中に設けられ、繰出ベルト15に対し硬貨一枚が通過し得る間隔を隔てて、全ての各金種別収納部14(14a〜14f)に横断して設けられている。硬貨整列部19は、各金種別収納部14(14a〜14f)の繰出ベルト15上で分離ローラ18と硬貨出口12との間に形成されており、所定枚数の硬貨Cを一列に整列させた状態で待機させる。繰出シャッタ20は、第1駆動部としての繰出シャッタソレノイドM1(図3参照)によって繰出ベルト15の先頭位置に向けて繰出ベルト15に対し略垂直に進退し、進出することで硬貨整列部19に整列する硬貨Cの先端の側面を押えて硬貨Cの払い出しを一時的に停止させ、退避することで硬貨Cを硬貨受皿22に払出指示に応じた指定枚数だけ払い出すことを可能にする。なお、繰出シャッタ20の直後には、硬貨の枚数を計数するための繰出センサ32a(図3参照)や、硬貨の材質を検出するための発振コイルを備えた材質センサ32b(図3参照)が配置され、硬貨出口12から払い出された硬貨Cの枚数および金種が把握できるようになっている。このように、繰出ベルト15と、分離ローラ18と、硬貨整列部19と、繰出シャッタ20と、繰出センサ32aと、材質センサ32bとは、硬貨収納部84に収納されている硬貨Cを硬貨出口12から第2搬送ベルト25に繰り出す繰出機構85を構成する。
払出搬送機構86は、繰出機構85により繰り出され第2搬送ベルト25の上面に載置された硬貨Cを、第2搬送ベルト25の駆動によって払出硬貨通路87に沿ってその下流側に案内搬送して送り出す。第2搬送ベルト25は、第2駆動部としての払出モータM2(図3参照)の動力によって回転駆動する駆動ローラ(図示せず)および従動ローラ(図示せず)に張り架けられており、モータM0の駆動によって装置内部の奥から手前に向かう方向(搬送方向D)に駆動し、硬貨Cを硬貨受皿22に向けて搬送する。第2搬送ベルト25の終端に到達した硬貨Cは、第2搬送ベルト25によって加速された状態のまま硬貨受皿22の滑走面23に受け渡され、滑走面23を滑走した後に静止し、硬貨受皿22に保持される。滑走面23のうち第2搬送ベルト25に接続する一端側には、第2搬送ベルト25から払い出された硬貨Cを検出する払出センサ26が設けられている。払出センサ26には、例えば、滑走面23に埋設される発振コイルを採用することができる。
なお、図2に示すように、滑走面23に接続する第2搬送ベルト25の下流端と1円硬貨収納部14aの硬貨出口12の上流側端とは、距離にしてx1だけ離間している。また、図2に示すように、50円硬貨収納部14b、5円硬貨収納部14c、100円硬貨収納部14d、10円硬貨収納部14e、500円硬貨収納部14fのそれぞれの硬貨出口12の幅の大きさは、x2、x3、x4、x5、x6となっている。
図3は、硬貨入出金装置101の各部の電気的接続を示すブロック図である。硬貨入出金装置101は、情報処理を実行し各部を制御する制御部30を備える。制御部30は、各種演算処理を行うCPU30a、制御プログラム等の固定的データを予め格納するROM30b、金種別の硬貨Cの枚数等の可変的なデータを書き換え自在に格納するRAM30c等により構成されている。ROM30bには、第2搬送ベルト25を金種に対応する繰り出し速度に駆動するために用いる定義データF(図4も参照)が記憶されている。制御部30は、操作表示部24、センサ類32(投入口センサ3、計数センサ10、繰出センサ32a、材質センサ32b、払出センサ26等)、繰出シャッタソレノイドM1、払出モータM2、モータM0、および、インターフェイス33に接続している。インターフェイス33は、硬貨入出金装置101とPOS端末などの外部機器とのデータ通信を実現する。また、制御部30は、センサ類32から電気信号やコイルの電圧の変動等が入力されるとこの電気信号等に基づいてモータM0の駆動制御および各部の制御を行う。
図4は、定義データFの内容を示す模式図である。定義データFは、金種と払出モータM2をパルス駆動する際の周波数との関係定義を記憶している。払出モータM2をパルス駆動する際の周波数が決定されると、払出モータM2によって駆動される駆動ローラの回転数が決定され、ひいてはこの駆動ローラによって駆動する第2搬送ベルト25の繰り出し速度が決定される。つまり、定義データFによって、金種と第2搬送ベルト25の繰り出し速度との関係が定義されることになる。そして、金種と周波数とは、額面の小さい金種の硬貨ほどその硬貨が第2搬送ベルト25に搬送されて滑走面23に送り出された後の滑走面23での滑走距離が長くなるような関係に定義される。なお、この定義データFは、ROM30bに記憶される他、硬貨入出金装置101に備わる図示しないHDDやフラッシュメモリなどの不揮発性の記憶媒体に記憶されていてもよい。また、RAM30cの一部を不揮発性にして、ここに定義データFを記憶するようにしてもよい。
図5は、硬貨入出金装置101の制御部30が実行する処理の流れを示すフローチャートである。硬貨入出金装置101の制御部30は、機器の起動中、POS端末からの硬貨の払出指示の入力を待機している(ステップS101)。入力された払出指示が硬貨の金種及びその払出し枚数を指定するものである場合、硬貨入出金装置101の制御部30は後に続く処理(ステップS102〜107)において入力された払出指示に従って硬貨Cを金種別に指定された枚数だけ送り出す。また、入力された払出指示が硬貨入出金装置101から払い出すべき金額のみを指定するものである場合、硬貨入出金装置101の制御部30は、この金額に基づいて払い出す硬貨の枚数を金種別に算出し、後に続く処理(ステップS102〜107)において硬貨Cを金種別に算出した枚数だけ送り出す。
払出指示の入力を判定した場合(ステップS101のY)、硬貨入出金装置101の制御部30は、硬貨収納部84に収納されている硬貨Cのうち、1円硬貨収納部14aに収納されている金種の硬貨(1円硬貨)を硬貨払出部88の滑走面23に送り出す処理を実行する(ステップS102)。ステップS102の詳細について説明する。硬貨入出金装置101の制御部30は、ステップS102の処理を開始すると、繰出シャッタソレノイドM1を駆動して繰出機構85によって1円硬貨収納部14aに収納されている1円硬貨を第2搬送ベルト25に繰り出し(ステップS102−1)、続いて、定義データF(図4参照)において定義されている1円硬貨に対応する周波数で払出モータM2をパルス駆動し(ステップS102−2)、続いて、硬貨受皿22の滑走面23に設けられている払出センサ26が第2搬送ベルト25から送り出される硬貨Cをセンシングするまで処理を待機する(ステップS102−3)。つまり、ステップS102−2の処理において駆動する第2搬送ベルト25は、ステップS102−3の処理において払出センサ26が硬貨Cをセンシングするまで1円硬貨に対応する予め定められた繰り出し速度で駆動し続ける。その結果、第2搬送ベルト25の上に繰り出された1円硬貨は、1円硬貨に対応する繰り出し速度で滑走面23に送り出され、滑走面23を滑走した後に静止して硬貨受皿22に保持される。硬貨入出金装置101の制御部30は、第2搬送ベルト25が硬貨Cをセンシングしたと判定した場合(ステップS102−3のY)、1円硬貨を硬貨払出部88の滑走面23に送り出す処理(ステップS102)を終了する。
ステップS102に続いて、硬貨入出金装置101の制御部30は、硬貨収納部84に収納されている硬貨Cのうち、5円硬貨収納部14cに収納されている金種の硬貨(5円硬貨)を硬貨払出部88の滑走面23に送り出す処理を実行する(ステップS103)。ステップS103において、硬貨入出金装置101の制御部30は、ステップS102と同様に繰出シャッタソレノイドM1を駆動して5円硬貨を第2搬送ベルト25に繰り出し、払出モータM2を駆動して5円硬貨に対応する繰り出し速度で第2搬送ベルト25を駆動して5円硬貨を滑走面23に送り出し、払出センサ26が5円硬貨をセンシングするまで第2搬送ベルト25を駆動し続けた後に、次の処理に進める。ステップS103に続いて、硬貨入出金装置101の制御部30は、10円硬貨収納部14eに収納されている金種の硬貨(10円硬貨)を硬貨払出部88の滑走面23に送り出す処理(ステップS104)、50円硬貨収納部14bに収納されている金種の硬貨(50円硬貨)を硬貨払出部88の滑走面23に送り出す処理(ステップS105)、100円硬貨収納部14dに収納されている金種の硬貨(100円硬貨)を硬貨払出部88の滑走面23に送り出す処理(ステップS106)、500円硬貨収納部14fに収納されている金種の硬貨(500円硬貨)を硬貨払出部88の滑走面23に送り出す処理(ステップ107)の順に処理を進める。これらの処理の詳細はステップS102の処理やステップS103の処理と同様なので、説明を省略する。
ステップS107に続く処理として、硬貨入出金装置101の制御部30は、払出モータM2を駆動して第2搬送ベルト25を所定時間駆動して第2搬送ベルト25上の硬貨Cを滑走面23に送り出すことで硬貨受皿22に払い出した後に第2搬送ベルト25の駆動を停止して(ステップS108)、処理を終了する。
図6は、図5に示す処理により硬貨入出金装置101が硬貨Cを払い出す過程を示す説明図である。硬貨入出金装置101では、制御部30が行う上記の処理によって、硬貨収納部84から第2搬送ベルト25に金種別に硬貨Cが繰り出され、繰り出された硬貨Cは第2搬送ベルト25によってその金種に対応する繰り出し速度のまま滑走面23に送り出され、その慣性によって滑走面23を滑走した後に静止して硬貨受皿22に保持される。より詳細には、硬貨入出金装置101では、POS端末等から硬貨の払出指示が入力されると、繰出機構85の駆動により1円硬貨収納部14aに収納されている1円硬貨が第2搬送ベルト25に繰り出され、第2搬送ベルト25の駆動によって1円硬貨が硬貨受皿22に向けて搬送される(図6(a))。搬送された1円硬貨は、滑走面23に送り出される際に払出センサ26にセンシングされ(図6(b))、滑走面23を滑走した後に1円硬貨と滑走面23との間の摩擦力によって静止する(図6(c))。1円硬貨は第2搬送ベルト25によって1円硬貨に対応する繰り出し速度に加速された状態で滑走面23に送り出されるため、硬貨受皿22に払い出された1円硬貨の停止位置はこの繰り出し速度によって定まる。また、払出センサ26が1円硬貨をセンシングすると(図6(b))、硬貨入出金装置101では、繰出機構85により5円硬貨収納部14cに収納されている5円硬貨が第2搬送ベルト25に繰り出され(図6(c))、第2搬送ベルト25によって5円硬貨に対応する繰り出し速度に加速された後に滑走面23に送り出され、1円硬貨よりも短い滑走距離だけ滑走した後に静止して硬貨受皿22に保持される(図6(d))。5円硬貨が払出センサ26にセンシングされると、硬貨入出金装置101では、10円硬貨収納部14eに収納されている10円硬貨が繰出機構85によって第2搬送ベルト25に繰り出される(図6(d))。以降、硬貨入出金装置101では、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の順に第2搬送ベルト25に繰り出されて、各硬貨に対応する繰り出し速度で滑走面23に送り出され、金種ごとに徐々に滑走距離を短くしながら滑走面23を滑走した後に静止して硬貨受皿22に保持される。結果として、硬貨入出金装置101から払い出される硬貨Cは、硬貨受皿22において、右から順に1円硬貨、5円硬貨、10円硬貨、50円硬貨、100円硬貨、500円硬貨の順に金種別に並べられることになる。
このように、本実施形態の硬貨入出金装置101によれば、硬貨収納部84から第2搬送ベルト25に金種別に繰り出された硬貨Cは滑走面23に送り出され、早い段階で送り出す金種の硬貨Cほど長い滑走距離を滑走して硬貨受皿22に保持されるため、硬貨払出部88上に右から左に向けて金種の小さい順に金種別に並び、硬貨入出金装置101から払い出される硬貨Cの合計金額をキャッシャに素早く把握させることができる。
なお、図5に基づいて前述した処理において、硬貨入出金装置101において、定義データFにおける金種と周波数との関係定義を、額面の大きい金種の硬貨ほど滑走面23上の滑走距離が長くなる繰り出し速度となるように周波数を定義し、制御部30がステップS102〜S107の処理をステップS107、S106、S105、S104、S103、S102の順に行うことにより、硬貨入出金装置101から送り出される硬貨Cを硬貨払出部88上に右から左に向けて金種の大きい順に金種別に並べるようにして、硬貨入出金装置101から払い出される硬貨Cの合計金額をキャッシャに素早く把握させるようにすることもできる。
次いで、別の実施の一形態を図7及び図8に基づいて説明する。この場合、図1ないし図6に基づいて説明した実施の形態と同一の部分は同一符号で示し、説明も省略する。本実施の形態の硬貨入出金装置101は、払出硬貨通路87(第2搬送ベルト25)の下流側から順に、1円硬貨収納部14a、50円硬貨収納部14b、5円硬貨収納部14c、100円硬貨収納部14d、10円硬貨収納部14e、500円硬貨収納部14fの順に硬貨出口12が配置されていることを利用し、硬貨収納部84に収納されている硬貨Cのうち複数の金種の硬貨Cを一度に第2搬送ベルト25に繰り出した後に滑走面23に送り出すようにすることで、硬貨入出金装置101から硬貨Cを払い出す際にかかる時間の短縮化を図るものである。
図7は、本実施の形態の硬貨入出金装置101の制御部30が実行する処理の流れを示すフローチャートである。図8は、図7に示す処理により硬貨入出金装置101が硬貨Cを払い出す過程を示す説明図である。硬貨入出金装置101の制御部30は、機器の起動中、POS端末からの硬貨の払出指示の入力を待機し(ステップS201)、払出指示の入力を判定した場合(ステップS201のY)、繰出シャッタソレノイドM1を駆動して繰出機構85により硬貨収納部84に収納されている硬貨Cのうち、1円硬貨収納部14aに収納されている金種の硬貨(1円硬貨)、5円硬貨収納部14cに収納されている金種の硬貨(5円硬貨)、及び、10円硬貨収納部14eに収納されている金種の硬貨(10円硬貨)を滑走面23に送り出す(ステップS202、図8(a))。
続く処理として、硬貨入出金装置101の制御部30は、払出モータM2を駆動して、定義データF(図4参照)において定義されている1円硬貨に対応する周波数で払出モータM2をパルス駆動して、このパルス駆動に従って駆動する図示しない駆動ローラによって第2搬送ベルト25を搬送方向Dに距離x1だけ駆動して、第2搬送ベルト25に繰り出された1円硬貨を滑走面23に送り出す(ステップS203、図8(b))。
続く処理として、硬貨入出金装置101の制御部30は、払出モータM2を駆動して、定義データF(図4参照)において定義されている5円硬貨に対応する周波数で払出モータM2をパルス駆動して第2搬送ベルト25を搬送方向Dに距離(x2+x3)だけ駆動して、第2搬送ベルト25に繰り出された5円硬貨を滑走面23に送り出す(ステップS204、図8(c))。
続く処理として、硬貨入出金装置101の制御部30は、払出モータM2を駆動して、定義データF(図4参照)において定義されている10円硬貨に対応する周波数で払出モータM2をパルス駆動して第2搬送ベルト25を搬送方向Dに距離(x4+x5)だけ駆動して、第2搬送ベルト25に繰り出された10円硬貨を滑走面23に送り出す(ステップS205、図8(d))。
続く処理として、硬貨入出金装置101の制御部30は、繰出シャッタソレノイドM1を駆動して繰出機構85により硬貨収納部84に収納されている硬貨Cのうち、50円硬貨収納部14bに収納されている金種の硬貨(50円硬貨)、100円硬貨収納部14dに収納されている金種の硬貨(100円硬貨)、及び、500円硬貨収納部14fに収納されている金種の硬貨(500円硬貨)を第2搬送ベルト25に繰り出す(ステップS206、図8(d))。
続く処理として、硬貨入出金装置101の制御部30は、ステップS203〜S205の処理と同様に、50円硬貨に対応する周波数で払出モータM2をパルス駆動して第2搬送ベルト25を搬送方向Dに距離(x1+x2)だけ駆動し(ステップS207)、100円硬貨に対応する周波数で払出モータM2をパルス駆動して第2搬送ベルト25を搬送方向Dに距離(x3+x4)だけ駆動し(ステップS208)、500円硬貨に対応する周波数で払出モータM2をパルス駆動して第2搬送ベルト25を搬送方向Dに距離(x5+x6)だけ駆動する(ステップS209)。ステップS207〜S209の処理によって、硬貨受皿22には、50円硬貨、100円硬貨、及び、500円硬貨が滑走面23に送り出される。
ステップS209に続く処理として、硬貨入出金装置101の制御部30は、前述した実施の形態と同様に、払出モータM2を駆動して第2搬送ベルト25を所定時間駆動して第2搬送ベルト25上の硬貨Cを滑走面23に送り出すことで硬貨受皿22に払い出した後に第2搬送ベルト25の駆動を停止して(ステップS210)、処理を終了する。
このように、本実施形態の硬貨入出金装置101によっても、前述した実施の形態の硬貨入出金装置101と同様に、硬貨収納部84から繰り出された硬貨Cは払出硬貨通路87(第2搬送ベルト25)の下流側から金種の小さい順に並び、硬貨払出部88に払い出されて滑走面23を滑走し、硬貨払出部88上に右から左に向けて金種の小さい順に金種別に並ぶため、硬貨入出金装置101から払い出される硬貨Cの合計金額をキャッシャが素早く把握できるようになる。さらに、本実施の形態の硬貨入出金装置101によれば、複数の金種の硬貨Cが一度に第2搬送ベルト25に繰り出されるため、前述した実施の形態の硬貨入出金装置101よりもさらに迅速に硬貨Cの払い出しを行って、会計処理のさらなる迅速化を図ることができる。
また、POS端末から入力される硬貨の払出指示による払出金額(釣銭額)が、その金額分の硬貨Cを一度に第2搬送ベルト25に繰り出すと第2搬送ベルト25の下流側から上流側に向けて硬貨Cが額面の小さい順に並ぶような金額である場合は、硬貨の第2搬送ベルト25への繰出しを二度に分けることなく、繰出シャッタソレノイドM1を駆動して繰出機構85により払出金額分の硬貨Cを一度に第2搬送ベルト25に繰出し、金種に応じた繰出速度で第2搬送ベルト25が駆動するように払出モータM2をパルス駆動することで、一度の第2搬送ベルト25の駆動で硬貨Cを払い出すこともできる。このような硬貨Cの払出しは、一例として、払出金額が6円、11円、15円、16円、51円、101円、105円、106円、150円、151円、501円、505円、506円、510円、511円、515円、516円、550円、551円、600円、601円、605円、606円、650円、651円である場合に行うことができる。
なお、本実施の形態において、第2搬送ベルト25を逆方向に駆動し、その駆動方向における下流側に硬貨受皿22を配置して、硬貨収納部84に収納されている硬貨Cのうち500円硬貨、100円硬貨及び50円硬貨を一度に第2搬送ベルト25に繰り出して滑走面23に送り出し、続いて、硬貨収納部84に収納されている硬貨Cのうち、10円硬貨、5円硬貨及び1円硬貨を一度に第2搬送ベルト25に繰り出して硬貨受皿22に送り出すことにより、硬貨入出金装置101から硬貨Cを額面の大きい順に硬貨払出部88上に並べることができる。
2…硬貨投入口、12…硬貨出口、14…金種別収納部、14a…1円硬貨収納部、14b…50円硬貨収納部、14c…5円硬貨収納部、14d…100円硬貨収納部、14e…10円硬貨収納部、14f…500円硬貨収納部、23…滑走面、25…第2搬送ベルト(払出硬貨通路)、83…硬貨選別部、84…硬貨収納部、85…繰出機構、86…払出搬送機構、87…払出硬貨通路、88…硬貨払出部、101…硬貨入出金装置、C…硬貨、M1…繰出シャッタソレノイド(第1駆動部)、M2…払出モータ(第2駆動部)