JP4808973B2 - 平面型表示装置 - Google Patents
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Description
平面型表示装置としてのPDP装置の概略構成について、図12を用いて説明する。
図12(b)に示すように、バックカバー530に設けられた吸気孔531は、細かな径をもって形成されており、バックカバー530のZ軸方向下部の領域全体に分散して形成されている。一方、バックカバー530の上方部分における複数の排気孔532は、ファン550の固定箇所に対応して設けられている。即ち、図12(b)に示すように、ファン550がY軸方向に対をなして2個取り付けられている場合には、排気孔532はファン550の取り付け部分に設けられている。
このような問題に対しては、排気孔532に金網状のものを取り付けて安全性を確保するという提案(特許文献1)や、バックカバー530に梁状の部材を接合してバックカバー530の熱負荷に対する強度を確保するという提案(特許文献2)などがなされている。
本発明は、上記課題を解決しようとなされたものであって、安全性の確保および熱負荷等に起因するクラックなどの発生を効果的に抑制しながら、高い効率での排熱が実現可能な平面型表示装置を提供することを目的とする。
本発明に係る平面型表示装置は、一方の主面に画像を表示する平面型表示パネルと、この平面型表示パネルの他方の主面側を覆うように配されるとともに、複数の排気孔が設けられてなる背面カバーと、背面カバー内方の熱を複数の排気孔から排出する排熱ファンとを備える装置を対象とし、排熱ファンは、回転軸方向が熱排出方向に設定され、羽根部が回転軸周りに回転可能な構成を有する軸流ファンであって、背面カバーに設けられた複数の排気孔は、その直径が3mm以上10mm以下の範囲に設定された円形状であり、且つ、全ての隣り合う孔間の最小間隙が2mm以上に設定されているとともに、排熱ファンの羽根部の径方向において、複数の排気孔を、外方に形成されている第1孔群と内方に形成されている第2孔群とに分けるとき、第1孔群が形成された領域と、第2孔群が形成された領域とが、排熱ファンの羽根部中心から外径の70%を境界として分けられており、第1孔群の開孔率が第2孔群に対して1.3以上5.0以下の比を以って形成されており、第1孔群および前記第2孔群の各開孔率は、下記の式を以って規定されていることを特徴とする。
[式] 開孔率=((開孔面積)/(((孔の直径)+(孔間の間隙)) 2 )×100%)
なお、排気孔の孔サイズを3mm以上10mm以下の範囲に設定するのは、上限値10mmが上述のように安全面からの理由を有するのに対して、下限値3mmが排気孔における吹き出し風量の確保を理由とするものである。即ち、仮に孔サイズを3mm未満に設定すると、排気孔における吹き出し抵抗が著しく大きくなり、吹き出し風量の著しい現象が生じる。このため、吹き出し風量の確保のため、孔サイズの下限値を3mm以上に規定するものである。
また、上記本発明に係る平面型表示装置においては、第1孔群を構成する各孔の孔径を、5mm以上10mm以下の範囲内で設定することが望ましい。即ち、第1孔群の各孔の孔径を、上記範囲のように第2孔群の各孔の孔径よりも大きくすることで、隣り合う排気孔間の最小間隙を2mm以上に確保しながら、開孔率を第1孔群の方が第2孔群よりも高くすることが可能となる。よって、このような構成の採用は、排気(排熱)効率および強度確保の両観点からより望ましい選択である。
上記本発明に係る平面型表示装置では、背面カバーで覆われた領域に平面型表示パネルの表示駆動を司る駆動回路ユニットが内蔵されている場合にも、駆動時にこの部分から発せられる熱を高効率に外部へ排熱することが可能であり、装置の信頼性を駆動時間の長短に関わりなく確保することが可能である。
(実施の形態1)
1.構成
本実施の形態に係るPDP装置1の構成について、図1および図2を用いて説明する。
図1(b)に示すように、フロントカバー20内には、PDP10が配設され、画像表示面である前面10ffが外方(X軸方向左側)に向けて露出されている。PDP10の背面10bfは、フロントカバー20の内方に向くようになっている。
ファン50は、バックカバー30の内壁面におけるZ軸方向上方に取り付けられており、駆動により排熱を行う際の空気の流れ方向下流に位置する。PDP装置1に備えられているファン50は、所謂、軸流ファンであり、詳しい図示は省略するが、図1(b)のX軸方向に回転軸が配され、その回転軸の周りを羽根部51(図1では、図示を省略。)が回転する構成を有するものである。
本実施の形態に係るPDP装置1では、図2に示すように、主排気孔群33を内径の異なる第1孔34と第2孔35とから構成することとする。その設計に際しての考え方について、図3および図4を用いて説明する。
図3に示すように、バックカバー30における主排気孔群33の内、ファン50の外周部に対応する領域30bに形成された第1孔34は、ファン50の羽根部51の外周ラインL上にその中心を有し形成されている。また、第1孔34の孔径は、例えば、10.0mmに設定されている。隣り合う第1孔34間の間隙d2は、例えば、5.0mmに設定されている。
なお、第1孔34が形成された領域30bと、第2孔35が形成された領域30aとは、ファン50の羽根部51の中心から外径の略70%を境界として設定されている。この設定についての根拠などは、後述する。
φ;孔の直径
d;隣り合う孔間の間隙
領域30aおよび領域30bの各開孔率は、次のような確認に基づいてなされている。
図4に示すように、ファン50としては、軸流ファンが用いられており、軸周りに羽根部51が回転する。図4の右半分に示すように、ファン50からの風量は、羽根部51の径方向に分布を有する。具体的には、軸流ファンであるファン50では、羽根部51の半径をRとするとき、軸中心からxRよりも外側の領域(図4において、(1−x)Rで示す領域)内に、最も高い風量Flow1が存在する。ここで、"x"とは、"0"より大きく、"1"未満の数値をとるものであって、軸流ファンの特性によって規定されるものである。例えば、平面型表示装置の排熱用ファンとして通常使用されるサイズの軸流ファンの場合には、x≒0.7に規定することができる。
以上のように、本発明者らは、ファン50における排気風量の分布(風量Flow1と風量Flow2)に着目し、この排気風量の分布に基づいて領域30aと領域30bとの開孔率が互いに相違する状態で設定している。即ち、本実施の形態に係るPDP装置1のバックカバー30では、ファン50の羽根部51の外周ラインL上に第1孔34の中心を設定し、第1孔34の開孔径を第2孔35の開孔径よりも大きく設定して、領域30bの開孔率を領域30aの開孔率よりも大きくなるようにしている。
本実施の形態に係るPDP装置1では、バックカバー30における主排気孔群33を、上述のように領域30bの開孔率が領域30aの開孔率に比べて大きくなるように設定している。この開孔率の差異は、ファン50の排気風量分布に対応するものであり、多い風量Flow1に対応する領域30bの開孔率を少ない風量Flow2に対応する領域30aの開孔率よりも小さく設定している。また、領域30bにおける第1孔34および領域30aにおける第2孔35は、その開孔サイズが3mm以上10mm以下に設定され、隣り合う孔間の間隙d1、d2が最小寸法2mm以上の範囲で設定されている。
4.バックカバー30の形成方法
上記構成を有する本実施の形態に係るバックカバー30は、例えば、Al合金の板材の所要箇所にパンチングプレス法を用いて、吸気孔31および排気孔32を開孔した後、フロントカバー20の背面に取り付け可能な形状にプレス加工することで形成される。バックカバー30の形成方法については、上述のような排気孔32の形成形態以外に従来のバックカバーの製造過程と変わるところはない。このため、詳細な説明を省略する。
5.確認実験
本実施の形態に係るバックカバー30における排気孔32の形成において、各数値を設定するに当たり実施した実験について、図5〜図7を用いて説明する。
ファン50からの排出風量の分布について、図5に示す。ここで、"風速"としているのは、ファン50の径方向各箇所における全方向に排出される空気の風速を示すものであり、吹き出し速度"とは、"風速"の内で図1(b)に示すX軸方向右向きの速度成分を示すものである。なお、本実験においては、半径r=4.0cmの羽根部51を有するファン50を用いた。
以上の結果より、ファン50における排気風量は、r=2.5〜4.5cmの範囲で大きな値を示す分布を有することが分かる。換言すると、軸流タイプのファン50における風量分布は、羽根部51の径方向において、略70%を境界として外縁部分で大きな値を有する。よって、ファン50の羽根部51における径方向においては、略70%よりも外側にある領域30bの開孔率を内側の領域30aの開孔率よりも大きくすることで、より効率の高い排熱が可能となる。
開孔率と吹き出し流量との関係についての確認結果を、図6に示す。
図6に示すように、ファン50の羽根部51における径方向において、内周部(上記実施の形態1における領域30aに相当する。)では、開孔率を増加させていった際の吹き出し流量の増加は、微小である。例えば、開孔率30%のときに約0.07m3/sec.であった吹き出し流量は、開孔率100%のときには約0.37m3/sec.まで増加する。よって、内周部では、開孔率30%の場合と開孔率100%の場合とで吹き出し流量が約0.3ポイントの差異を有することになる。
5−3.隣り合う孔間の間隙と機械的強度の関係
隣り合う孔間の間隙とバックカバーの機械的強度との関係についての確認結果を、図7に示す。図7には、孔サイズφ=3mm、φ=10mmの2種類について、隣り合う孔間の間隙dと相対強度との関係を表している。ここで、図7における相対強度とは、孔サイズφ=10mmで、隣り合う孔間の間隙d=10mmのときの強度を基準値とするときの相対値である。
一方、孔サイズφ=10mmの場合には、隣り合う孔間の間隙d=1mmのときに相対強度が約0.2であり、隣り合う孔間の間隙d=10mmのときに相対強度は基準値である1.0となる。ここで、PDP装置をはじめとする平面型表示装置のバックカバーにおいては、相対強度を0.4以上とすることで実質的な強度確保が図られることが経験的に分かっている。
(実施の形態2)
実施の形態2に係るPDP装置2の構成について、図8を用いて説明する。なお、以下の説明においては、上記実施の形態1に係るPDP装置1と同一構成の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
一方、バックカバー70の排気孔72は、ファン50が取り付けられた部分に対応して形成されており、ファン50の外周部に相当する箇所に円周上に一列に配置されている。本実施の形態においては、ファン50の内周部に相当する箇所に排気孔は設けられていない。即ち、バックカバー70では、ファン50の内周部に相当する部分の開孔率は0%に設定されている。
なお、本実施の形態に係るバックカバー70についても、上記実施の形態1に係るバックカバー30と同様に、パンチングプレス加工法などを用いて形成することができる。上記実施の形態1との相違点は、パンチングプレスの際に用いる打ち抜き型の形状が異なる点である。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係るPDP装置3の構成について、図9を用いて説明する。
本実施の形態に係るバックカバー80では、少なくともファン50に対応して形成された主排気孔群33の周辺部分に焼き入れ加工が施されている。Al合金などの金属材料からなるバックカバー80におけるファン50に対応する部分では、焼き入れ加工が施されることによって表面が酸化され、機械的強度および断熱性の両面で焼き入れ加工を施さなかった場合に比べて向上が図られている。なお、本実施の形態においては、焼き入れ加工を施すことで機械的強度の向上を図ろうとするものであるので、バックカバー80の構成材料には、焼き入れ加工を施すことで機械的強度の向上を図ろうとすることから、適した材料が選択されている。例えば、Al合金を材料として用いる場合には、2000系、6000系、7000系(JIS規格)などの材料を選択するのが適切である。また、Al合金以外の材料を用いる場合にも、同様の検討が必要となる。
また、一般的な鋼材などを材料として用いる場合には、焼き入れ加工のみを施すと、材料面で脆くなりやすいが、焼き入れ加工の後に焼き鈍し加工を施すことで脆さの解消を図ることができるので望ましい。
(実施の形態4)
実施の形態4に係るPDP装置について、図10を用いて説明する。図10では、上記実施の形態1に係るPDP装置1との相違点であるバックカバー30における主排気孔群33の形成部分だけを拡大して示している。
このように第1孔34の開孔領域がメッシュ板90のメッシュ部91で覆われた場合においては、開孔径の大きな第1孔34を採用していても、上記実施の形態1にも増して安全性が高い。また、第1孔34の開孔領域をメッシュ板90のメッシュ部91で覆っているので、排熱効率の高さに問題を生じるものではない。
また、機械的強度の確保という観点からは、第2孔35が設けられた領域にもメッシュ部が配されるようなメッシュ板を取り付けるようにしてもよい。これによって、メッシュ板を貼り付けた分だけ全体としての強度向上を図ることが可能となる。
(実施の形態5)
実施の形態5に係るPDP装置が有するバックカバー100の構造について、図11を用いて説明する。
外縁部分104eの形成方法については、鋼鈑の形成などで用いられる一般的なバーリング加工法を用いて実現可能である。具体的には、パンチングプレス加工を実施する際に用いる雄型の外径を雌型の内径よりも若干小さく設定し、型どおしのセンターを合わせ適正条件で加工を実施することでバーリング加工が可能である。この加工については、高知の技術であるので、詳しい説明を省略する。
なお、本実施の形態に係るバックカバー100では、第1孔104を臨む外縁部分104eにバーリング加工を施すことで当該孔104の形成領域を3次元形状とすることとしたが、3次元形状とするための加工方法は、これに限定されるものではない。例えば、第1孔104間の部分に梁状の凹凸部を形成することでも形成領域を3次元形状とすることができる。このような構成を採用することでもバックカバー100の機械的強度を向上させることができる。
(その他の事項)
上記実施の形態1〜5は、本発明の構成および作用・効果を説明するために用いた一例であって、本発明は、その根幹となる特徴部分以外の適宜の変更が可能である。たとえば、上記実施の形態1〜5では、平面型表示装置の一例としてPDP装置を採用したが、本発明は、LCDパネルを備えるLCD装置やフィールドエミッションディスプレイ(FED)パネルを備えるFED装置や有機ELディスプレイパネルを備えるELP装置等に対して適用しても上記同様の効果を得ることができる。なお、PDPについては、他のパネルなどに比べて駆動時における消費電力が高く、このために発熱量も多いため特に顕著な効果を奏することができる。
また、上記実施の形態1〜5では、バックカバー30、70、80、100の構成材料として一例でAl合金を採用することとしたが、本発明に係る平面型表示装置は、バックカバーの構成材料をこれに限定されるものではない。例えば、鋼材や耐熱性を有する樹脂材料やカーボン材料、あるいはセラミック材料などを用いることも可能である。
さらに、本発明では、上記実施の形態1〜5の各構成的特徴を任意に組み合わせて採用することも可能である。例えば、実施の形態2に係るバックカバー70に対して実施の形態3に係るバックカバー80のように焼き入れ加工を施すこととしてもよいし、実施の形態3のようにメッシュ板90を取り付ける構成とすることもできる。
10.PDP
20.フロントカバー
30、70、80、100.バックカバー
31.吸気孔
32.排気孔
34、104.第1孔
35.第2孔
40.駆動回路ユニット
50.ファン
51.羽根部
90.メッシュ板
Claims (11)
- 一方の主面に画像を表示する平面型表示パネルと、前記平面型表示パネルの他方の主面側を覆うように配されるとともに、複数の排気孔が設けられてなる背面カバーと、前記背面カバー内方の熱を前記複数の排気孔から排出する排熱ファンとを備える平面型表示装置であって、
前記排熱ファンは、回転軸方向が前記熱排出方向に設定され、羽根部が前記回転軸周りに回転可能な構成を有する軸流ファンであって、
前記複数の排気孔は、
直径が3mm以上10mm以下の範囲に設定された円形状であり、
隣り合う孔間の最小間隙が2mm以上に設定され、
前記排熱ファンの羽根部の径方向において、前記複数の排気孔を、外方に形成されている第1孔群と内方に形成されている第2孔群とに分けるとき、
前記第1孔群が形成された領域と、前記第2孔群が形成された領域とは、前記排熱ファンの羽根部中心から外径の70%を境界として分けられており、
前記第1孔群は、その開孔率が前記第2孔群に対して1.3以上5.0以下の比を以って形成されており、
前記第1孔群および前記第2孔群の各開孔率は、下記[数式1]を以って規定されている
ことを特徴とする平面型表示装置。
[数式1] 開孔率=((開孔面積)/(((孔の直径)+(孔間の間隙))2)×100%) - 前記第1孔群を構成する各孔の直径は、前記第2孔群を構成する各孔の直径よりも大きく設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の平面型表示装置。 - 前記第1孔群を構成する各孔の直径は、5mm以上10mm以下の範囲内で設定されている
ことを特徴とする請求項2に記載の平面型表示装置。 - 前記第1孔群を構成する各孔は、メッシュ状あるいはストライプ状に開孔領域が区分けされている
ことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の平面型表示装置。 - 前記第1孔群を構成する各孔には、メッシュ状体あるいはストライプ状体が装着されており、当該メッシュ状体の装着により前記開孔領域の区分けがなされている
ことを特徴とする請求項4に記載の平面型表示装置。 - 前記背面カバーは、少なくとも前記第1孔群が形成された領域において、板厚方向に凹凸加工が施されている
ことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の平面型表示装置。 - 前記凹凸加工は、前記第1孔群を構成する各孔の縁部分がバリ状に起こされてなるバーリングによりなされる
ことを特徴とする請求項6に記載の平面型表示装置。 - 前記背面カバーは、少なくとも焼入れ加工により強度を増す材料から形成されており、
前記第1孔群が形成された領域では、隣り合う孔間部分に前記焼入れ加工が施されている
ことを特徴とする請求項1から7の何れかに記載の平面型表示装置。 - 前記背面カバーを構成する材料には、Alを主成分として含有する
ことを特徴とする請求項8に記載の平面型表示装置。 - 前記背面カバーで覆われた領域には、前記平面型表示パネルの表示駆動を司る駆動回路ユニットが内蔵されている
ことを特徴とする請求項1から9の何れかに記載の平面型表示装置。 - 前記平面型表示パネルとして、プラズマディスプレイパネルが用いられている
ことを特徴とする請求項1から10の何れかに記載の平面型表示装置。
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