JP4807632B2 - 検出センサ - Google Patents

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Description

本発明は、質量を有した物質の有無の検出、物質の質量の検出等を行うために用いるのに適した検出センサに関するものであり、特にMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術を用いた微小な機械的振動子を備えた検出センサに関する。
マイクロマシン/MEMS技術などの微細加工技術の進展により、機械的な振動子を極めて小さく作ることが可能となっている。これにより振動子そのものの質量を小さく作ることが可能になったことから、分子レベルの極微小な物質(例えば分子やウイルス等)の付着による質量変化によっても、周波数やインピーダンス特性の変動が生ずるほどに高感度な振動子が実現しつつある。このような高感度な振動子を用いれば、極微小な物質の存在や量を検出できるセンサ等を構成することが可能となる。
機械的振動子の周波数変化等によって物質の量を検出する装置は、QCM(Quarts Crystal Micro balance: 水晶天秤)センサとして良く知られている。これは、水晶振動子に物質が付着すると、付着したその質量に応じて振動周波数が変動する(下がる)性質を利用したもので、微小な質量を計測する質量センサとして優れた性能を有しており、さらに膜厚計(蒸着モニタ)としてもよく用いられている。
このような振動子、特にMEMS技術を用いた微小な機械的振動子は、その大きさが大幅に小さくなったことにより、振動子の周波数がGHzレベルにまで高くなり、しかもSiを材料とすることができるため、半導体回路との一体化を目指した研究に発展しつつある。
また携帯電話などのパーソナル無線通信機等に盛んに用いられる高周波濾波器は、主に電気的共振器の小型化高性能化を図った誘電体共振器、音波の特性を利用した表面波濾波器(SAW Filter)、および水晶振動子の機械振動特性を用いた水晶濾波器(Quarts Crystal Filter)等があり、それぞれの特性を生かして携帯電話の高周波部などに広く用いられている。しかし、無線装置の更なる小型化や高周波数化などの高性能化と共に低価格化への要求も強いことから、これら従来の濾波器に変わり、半導体集積回路と一体化、すなわちOne-chip化による小型・低価格化が可能な新方式の高周波濾波器が求められている。MEMS加工技術で作成する機械振動子は、材料が半導体と同じSiを用いているため、その有力な候補である。そこで、MEMS振動子の高周波数化、高Q値(High Quality Factor)化等を目的とする基礎的な研究、このMEMS振動子を用いた高周波濾波器や発信器等への応用研究も盛んになってきた(例えば、非特許文献1参照。)。
このような振動子の一種として、ディスク状の振動子がある。ディスク状の振動子の機械的振動に関する基礎的研究は、古くから行われてきており、ディスク状の振動子の振動状態を規定する振動姿態(振動モード)等の基礎的研究は既に終了したと言っても良い。
C. T.-C. Nguyen, "Vibrating RF MEMS Technology : Fuel for an Integrated Microchemical Circuit Revolution?." The 13th International Conference on Solid-State Sensors, Actuators and Microsystems (Transducers `05), Korea, June 5-9, 2005
しかしながら、上記したような、微小質量の付着によって振動特性が変化する振動子を用いたセンサや濾波器においては、さらなる高感度化、小型化、低価格化が常に求められている。そこで、ディスク状の振動子のMEMS化に伴う研究課題として、高感度化のためのQ値の向上、振動子の駆動・検出法、濾波器への応用を目的として振動子の組み合わせによる特性制御等があり、これらについては継続的に鋭意研究が行われている。
本発明は、上記のような技術的課題のうち、振動子のさらなる高感度化を図ることのできる技術を提供することを目的とする。
本発明における検出センサは、ディスク状の振動子と、振動子を振動させる駆動部と、振動子における振動の変化を検出することで、物質を検出する検出部と、を備える。このような検出センサにおいては、物質の質量の影響により生じる振動子の振動の変化を検出し、これによって物質を検出する。なお、物質の検出は、物質の有無の検出だけでなく、物質の量を検出することも可能である。
このような振動子は、特定の共振モードで振動する。このため振動子の表面では振幅の大きな領域や殆ど振動しない領域が生じ、しかもその領域が共振モードによって異なることから、振動子の表面のどこに検出すべき物質が付着するかによって検出感度が異なってしまう問題がある。これにともない、振動子の表面に一様に物質が付着または吸着したとしても、感度には部位によるばらつきがあるために、ここに感度向上の余地があるのではないか、と本発明者らは考えた。
このような振動子において感度向上を図る一つの手段とは、感度の高い(振幅の大きい)部位に、物質を集中的・選択的に付着または吸着させるというものであり、これについては本出願人が既に提案を行っている(特願2006−4197)。
また、振動子が部位によって振幅が異なる特性を利用し、振動の少ない部位で振動子を支持することで、振動子の振動を妨げることによるロスを抑制して、高感度化を図るという手法も本出願人が既に提案をなしている(特願2006−73742)。
今回、本発明者らがなした発明は、物質を付着または吸着させるためのプラットフォームを、振動子に機械的に結合して設けることを主なポイントとしたものである。
すなわち、本発明の検出センサは、ディスク状の振動子と、振動子に機械的に結合され、質量を有した物質が付着または吸着するプラットフォームと、振動子を振動させる駆動部と、振動子における振動の変化を検出することで、物質を検出する検出部と、を備えることを特徴とする。
これにより、プラットフォーム上に付着または吸着した物質の質量の影響は、結合部分から振動子に伝わるので、プラットフォーム上に付着または吸着した物質の質量は、あたかも、振動子においてプラットフォームが結合された部分(以下、これを結合部分と称することがある)の上に付着または吸着したかのように振舞う。このとき、プラットフォームを、振動子と共振せず、振動子と一体的に挙動するように設けると、プラットフォームは、結合部分における振動子の振動特性で挙動する。これにより、プラットフォーム全体に付着または吸着した物質が、あたかも振動子の結合部分に(集中的に)付着または吸着しているかのように、振動子の振動が変化する。プラットフォーム上においては、どの部位においても同様の感度を示すため、物質が付着または吸着する部分の面積が大幅に増大し、つまりこれにより、全体としての感度の向上が図れる。
また、プラットフォームの共振周波数を振動子よりも高いものとすることで、プラットフォームは振動子によって励振されず、プラットフォームは、振動子の振動の影響を受けることがない。
プラットフォームを振動子と一体的に挙動させるには、プラットフォームは、振動子において振動子のRadial方向(振動子の径方向)またはTangential方向(振動子の中心周りの回転方向)の一方のみに振動が生じる部位にて、振動子に結合するのが好ましい。このとき、プラットフォームは、1箇所以上で振動子に結合するが、振動子の中心に対し点対称または線対称な位置にて、2箇所以上で結合するのが好ましい。これにより、振動子の振動モード、ブリッジによる接続箇所によっては、プラットフォームは、振動子と一体的に、振動子のRadial方向への直線な振動、または振動子のTangential方向への回転振動を行う。
また、プラットフォームは、振動子において、振幅が最大となる部位またはその近傍に結合するのが好ましい。これにより、プラットフォームからを介して振動子に伝達されるプラットフォーム上の物質の質量の影響を、より高感度に検出することが可能となる。
また、振動子の振動によって、プラットフォームが励振されてしまうと、これが振動子側にも影響を及ぼし、検出感度が低下する可能性がある。そこで、本発明においては、振動子によるプラットフォームの励振を避けるには、プラットフォームの共振周波数を、振動子の共振周波数よりも高くなるように形成する。
振動子は、ディスク状であればいかなる形状であっても良いが、振動子の中央部に開口部を形成する。プラットフォームは開口部の内側に配置し、ブリッジを介して振動子の開口部の内縁部に結合する。
ところで、このような振動子は、振動の少ない部位で支持することで、振動子の振動を妨げることによるロスを抑制して、高感度化を図るのが好ましい。
振動子を評価するパラメータであるQ値は、振動子が振動エネルギを失わずにいられるかによってきまり、式(1)のような関係で表すことができる。
Figure 0004807632
すなわち、振動子の振動エネルギが失われる主な原因として、
1)空気など周囲の媒質による損失Qair
2)振動子が振動し変形することによって生じる損失QTED
3)振動子の保持機構による損失Qanchor Loss
およびその他の損失Qothersが考えられている。
1)のQairを決める空気を代表とする周囲の媒質へのエネルギ損失を少なくするためは、振動子の振動を制御して、振動子の振動エネルギは大きいが周囲の媒質へのエネルギ移動が少ない振動モードを選ぶことで対処している。例えばディスク状機械的振動子は振動子のディスク面内方向にだけ振動し(円柱座標で言えばr、θ方向だけの振動で、Z方向には振動しない)、太鼓の膜のように(Z方向に)振動して大きな振動エネルギを周囲の媒質に移動することが少ない。
また2)のQTEDは、振動子が振動することで変形し、この変形により断熱膨張や断熱圧縮が起こる。このため断熱膨張領域は冷え、逆に断熱圧縮する領域は熱くなり、振動子に温度傾斜が生まれて、その温度が伝導して平均化することでエネルギが失われると言われている。すなわちこのエネルギ損失は振動子の振動モードと振動子の材質によって決まるものと言える。
さて3)のQanchor lossは振動子の保持部による損失で、保持部に振動子の振動が伝わることによって生ずる。例えば振動子が振動しない所に保持部を設けることによってエネルギ損失を無くすことが可能になると考えられるが、通常の円盤状のディスク状振動子では、最も一般的な振動子材料であるSi単結晶を用いる限り、この様な条件を見いだすには至っていない。
例えば、ディスク状振動子の共振モードの中で最もよく知られているモードにWine−Glassモード(2、1)がある。このようなディスク状振動子の振動における、モード関数であるRadial方向の変位U(r、θ)とTangential方向の変位V(r、θ)は次式(2)で示すことができる。
Figure 0004807632
この式(2)において、Wine−Glassモード(2、1)は、n=2における最低周波数の共振モードであることを意味しており、この(2、1)モードの振動の様子は、Radial方向では、r成分は振動子のr=0を除く全てrにおいて有限の値を持ち、それがcos2θに従って円周方向に変化しており、θ=π/4、3π/4、−3π/4、−π/4の角度ではRadial方向の振動は無くなる。このような位置を、nodal pointと称し、その位置で振動子を保持する手法も提案されている。
しかしこの(2、1)モードはCompoundモードであり、Tangential方向にも振動成分があるため、このTangential方向の振動においてもr成分はr=0を除く全てのrに対して有限の値を持ち、それが円周方向ではsin2θに従って変化している。このためU(r、θ)が0、すなわちcos2θが0になるθ=π/4、3π/4、−3π/4、−π/4の各角度において、V(r、θ)はsin2θが1、−1、1、−1となるため、逆に振幅が最大になってしまう。すなわちWine−Glassモード(2、1)で振動する円形振動子には、Radial成分とTangential成分の振動の双方が0となる部位は存在しない。
しかし、本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、上記の例とは異なり、振動子上において、Radial成分とTangential成分の振動が共に0となる部位を存在させることのできる手法を見出すに至った。
このようにしてなされた見出した手法においては、振動子を、中央部に開口部が形成されたリング状とし、その外径をRa、内径をRbとする。この振動子が振動したときの位置座標(r、θ)における位置rでの変位は、式(3)に示すように、Radial方向の変位がU(r)、Tangential方向の変位がV(r)によって表されるので、r=RaまたはRbとしたときにU(r)=0またはV(r)=0をほぼ満足する外径Raと内径Rbで、振動子を形成するのである。
Figure 0004807632
なお、式(3)において、A6、A7、A8は、振動子の外径Raと内径Rb、振動子材料のヤング率、密度およびポアソン比と、振動子の境界条件(この場合はFree−Free条件)によって規定される固有振動モードに伴って一意的に決まる定数である。具体的には、後述する式(9)においてA5=1とした場合、A6、A7、A8は、式(9)の連立一次方程式の解である。
このように、リング状の振動子において、その外径Raと内径Rbの比によって、外径部分または内径部分で振動の生じない部位が出現することがある。このときの比は、振動子を形成する材料のポアソン比や、振動子を振動させるときの振動モードのモード数n、高調波振動の次数mによって異なってくる。
そして、式(3)においてr=RaであるときにU(r)=0またはV(r)=0をほぼ満足する場合、振動子は、外径部分に、振動の生じない部位が存在する。また、式(3)においてr=RbであるときにU(r)=0またはV(r)=0をほぼ満足する場合は、振動子は、内径部分に、振動の生じない部位が存在する。
さらに、式(3)においてr=RaまたはRbであるときにU(r)=0をほぼ満足する場合、振動子は、sin(nθ)=0となる位置θに、振動の生じない部位が存在する。また、式(3)においてr=RaまたはRbであるときにV(r)=0をほぼ満足する場合、振動子は、cos(nθ)=0となる位置θに、振動の生じない部位が存在する。
このようにして、振動子における、Radial成分とTangential成分の振動を共に無くすことができる。
ここで、本発明においては、U(r)=0またはV(r)=0の条件を完全に満足する場合だけでなく、ほぼ満足する場合を許容する。これは、製造誤差等により、U(r)=0またはV(r)=0の条件を完全に満足できる外径Ra、内径Rbで、振動子を形成することが困難であるからであり、また、U(r)=0またはV(r)=0の条件を若干外れた場合であっても、外径部分または内径部分において、十分に振動が小さい場合があるからである。
上記したような条件を満足する部位は、振動子における、Radial成分とTangential成分の振動を共に無くすことができるため、このような部位で振動子を保持するのが好ましい。
ここで、振動子の中央部に開口部を形成し、ブリッジを介してプラットフォームを振動子の開口部の内縁部に結合する場合、駆動部では、振動子を、高調波振動の次数m=1、振動モードのモード数n=3とした(3、1)モードで駆動するのが、高感度化という点で特に好ましい。
この場合、振動子は、外径をRaとし、開口部の内径をRbとしたときに、Rb/Raを0.65〜0.81とすることができる。これにより、大きな開口部を形成することができ、ここにプラットフォームを設けることで、大きな面積のプラットフォームを有した検出センサを構成できる。
振動子は、その外径部分において、振動子のRadial方向およびTangential方向の振動がほぼゼロとなる複数の位置で支持する。(3、1)モードの場合、その支持位置は、振動子の中心に対する角度が60°または60°の整数倍となる間隔となる。特に、振動子を、外径部分において120°間隔の3箇所で支持すれば、高調波振動の次数m=1、振動モードのモード数n=2とした(2、1)モードの振動を抑圧することができる。
一方、プラットフォームは、振動子の開口部に対して、振動子と一体的に挙動する位置で結合する。その結合位置は、振動子の中心に対して対称となる2箇所となる。このような結合位置においては、振動子の最大振幅の0.97倍といった大きな振幅となる。
また、プラットフォームを、振動子における、(2、1)モードの振動を抑圧する位置にて振動子の開口部に結合すれば、プラットフォームによって、振動子の(2、1)モードの振動を抑制することができる。
プラットフォームに物質を付着または吸着させるには、例えば、プラットフォームの表面に、分子の吸着を効率よく行えるような吸着材料を付加しても良い。これには、グローバルな認識材と、選択認識材がある。グローバルな認識材は、選択性は強くないが、ある特定の分子群、例えばアルコールやエーテル等を吸着するポリマーである。これらのポリマーをナノファイバー化したり、またポーラスにして表面積を増やすことも有効である。また選択性の強い認識材としては、抗原−抗体反応を起こすような生物由来の材料や、アクセプター−レセプターの組み合わせや、遺伝子やDNA、RNAとハイブリダイゼーションする特定の塩基配列を持ったプローブ等がある。また、脂質二重膜でも良い。
このような検出センサにおいては、検出対象となる物質を特定の分子、あるいは特定の特性または特徴を有する複数種の分子とすることができる。これにより、例えば、ガス検出センサ、匂いセンサ等に本検出センサを用いることができる。これには、特定の分子としてガスや生体由来の分子、生活空間の浮遊分子、揮発性分子等を対象とする場合、特定種の分子のみを高い選択性を持って検出するのが望ましい。また、このように選択性の高い検出センサを複数用い、複数種の分子を認識したり、用途の応用範囲を広げることができる。また、グローバル認識と称される、特定の特徴を持った分子群や、同じ側鎖を持つ分子群等を検出することもできる。この場合、検出センサを複数用い、これら複数の検出センサ間における検出能の差から、信号処理やソフトフェアを用いた処理等によって分子群の認識を行うようにしても良い。また、液中で動作するように構成を変更して、特定のたんぱく質や酵素、糖鎖等を検出しても良い。
微小質量の検出は、薄膜形成の際の膜厚モニタ、抗体抗原反応や蛋白質吸着作用などのバイオ研究にも用いることができる。本発明の検出センサは、このような用途に好適である。
また、小型で安定な高感度な家庭用や個人用のガスセンサや、携帯性に優れる使い捨て型で空気中などに浮遊する有害物質の検出等の用途にも、本発明の検出センサや振動子を用いることも考えられる。更に高感度化が進めばその応用範囲はさらに広がり、「におい」の検出識別が可能となるまで発展することが可能であり、さらにこれ以外の用途に対しても、本発明の検出センサの利用を妨げるものではない。
しかも本発明の検出センサは、いわゆるSi単結晶を構造材料として用いることで、MEMS技術により製造することができることから、Si半導体と同一チップ内への作り込むことも可能となる。その場合、極めて安価でしかも高性能な微小物質の検出装置とすることができる。
本発明によれば、プラットフォームを振動子に付加して設けることで、プラットフォーム上に物質が付着または吸着すると、あたかも振動子においてプラットフォームが接続されている部位に、物質が集中的に付着または吸着したかのようになるため、検出センサにおいて、高感度な質量の物体の検出や、質量の検出を行うことが可能となる。また、このようなプラットフォームは、半導体加工プロセス等を用い、振動子と一体に形成することも可能であるため、低コストで形成することができる。
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。
図1は、本実施の形態におけるセンサ(検出センサ)10の基本的な構成を説明するための図である。
この図1に示すセンサ10は、ディスク状で、全体として円形、矩形、あるいは適宜他の形状を有し、質量を有した分子等の検出対象物が付着すると振動周波数が変化する振動子20と、ディスク状の振動子20を振動させるための駆動源30と、振動子20における振動特性の変化を検出する検出部40と、を備えている。
駆動源30では、外部の図示しないコントローラで発生する電流によって、静電効果やピエゾ効果(圧電効果)を用い、振動子20を振動させる。
また、検出部40も、静電効果やピエゾ効果により、振動子20における振動を検出し、電気信号として出力するようになっている。このとき、振動子20に質量を有した物質が付着すると、その質量の影響を受けて振動子20の振動数が変化する。検出部40では、検出部40から出力される電気的な振動をモニタリングすることで、振動子20への物質の付着の有無、あるいは振動子20への物質の付着量を検出することが可能となっている。
このようなセンサ10において、振動子20には、その中央部に開口部21が形成されている。そして、この振動子20は、外周部の所定の位置に接続された支持部材22のみによって支持され、残る他の部分は全てフリー状態とされている。
ここで、振動子20の外径をRa、開口部21の径をRbとすると、振動子20は、Rb/Raが以下のような条件をほぼ満足するように、振動子20の外径Ra、開口部21の径(振動子20の内径)Rbを設定するのが好ましい。
ディスク状の振動子20に生じる振動には、(a)Radialモード(径方向(r方向)にのみ振動するモード)、(b)Tangentialモード(θ方向にのみ振動するモード)、(c)Compoundモード(径方向の振動およびθ方向の振動が複合したモード)、の3通りがある。
振動子20におけるCompoundモードにおける共振周波数の決定式は、以下の式(4)のようになる。
Figure 0004807632
ただし、a11〜a44は以下の通りである。
Figure 0004807632
なお、σ:振動子材料のポアソン比、E:振動子材料のヤング率、ρ:振動子材料の密度、ω:角周波数(=2πf)である。
さて、開口部21を有した振動子20における2つの境界、すなわち外径部分と内径部分では、Free−Free条件であることから、Radial方向の残留ストレスとTangential方向の残留ストレスが無くなり、これにより4つの境界条件が定まることが判る。また、モード関数であるRadial方向の変位U(r、θ)とTangential方向の変位V(r、θ)は、次式で表すことができる。
Figure 0004807632
そして、この式(6)に、先に述べた4つの境界条件を適用することで、以下の関係式が求まる。
Figure 0004807632
さらに式(3)の共振周波数の決定式は、式(7)がいかなるA5、A6、A7、A8においても成り立つことを意味し、これは式(7)の4×4マトリクスのDeterminant=0が条件となる。これは共振周波数を決定する式(3)である。
さて、モード関数である式(6)の係数A5、A6、A7、A8は、未だ未定であり、これが決まらなければ振動子20の振動状態は定まらない。また共振条件では式(7)はいかなるA5、A6、A7、A8においても成立しているため、共振時における係数A5、A6、A7、A8は未定でありこのままでは決定出来ない。しかし式(7)のマトリクスを1次式に分解して表せば、次式(8)となる。
Figure 0004807632
この様にして求めた式(8)の4つの1次式の中から、任意の3つの式を取り出し、さらにその中の係数A5、A6、A7、A8のどれか一つに対する比としてなら、係数を定めることができる。例えば、式(8)から例えば上の3つの式を取り出し、全てA5で割ると、次式(9)のような連立一次方程式が得られる。
Figure 0004807632
この式(9)から、A5を分母とする係数比A6/A5、A7/A5、A8/A5を求めることができる。この結果を式(6)に代入すれば、共振時のRadial方向とTangential方向の変位、すなわちモード関数を全て決定できる。なお、ここでは式(8)の上3つの式を用いたが、任意の異なる3個の式を用いて同様に解くことができ、ここでは4組の異なる連立一次方程式が得られるが、求めた結果は全て同じである。
また全てがA5に対して比例関係にあるためA5=1としてもモード関数に本質的に変化は無いことから、改めてA5=1として、各モードにおけるRadial方向のr成分をU(r)、Tangential方向のr成分をV(r)として表せば、式(6)のモード関数は、次式(10)となる。
Figure 0004807632
ここで、U(r)、V(r)は、次式(11)の通りである。
Figure 0004807632
さて、この解析は、通常のディスク状の振動子と異なり、開口部21を有した円形のディスク状の振動子20に対するものである。この振動子20においては、この振動子20の外径Raと内径Rbの比によって、式(11)に示すU(r)とV(r)が大きく変わり、振動子20外径Raと内径Rbの比が特定の値になったとき、U(r)またはV(r)が0になることが起こりうる。
例えば振動子20の外径RaにおいてU(Ra)=0になる場合には、振動子20の外径部分での振動がなくなる。したがって、振動子20を、支持部材22によってその外径部分で支持する。
このとき、V(Ra)≠0であっても、式(10)に示すようにTangential方向の変位は、これにsin(nθ)をかけたものであるから、sin(nθ)=0となる位置においては、式(10)のV(r、θ)では振動が生じない。n=1の振動モードの場合、V(Ra、0)、V(Ra、π)の位置で、支持部材22によって振動子20を保持すれば、振動子20の振動エネルギは支持部材22を通して失われることは無い。
逆にV(Ra)=0の場合には、U(Ra)≠0であってもRadial方向の変位はこれにcos(nθ)をかけたものであるからcos(nθ)=0となる位置で、振動子20を保持すれば良いことになる。
なお、ここでは穴あきのディスク状の振動子20の外径部分における保持方法を述べたが、これが内径部分で保持する場合であっても同様の考え方でその位置を決めることができる。
図2〜図4は、それぞれn=1からn=3までの各振動モードにおけるr成分、すなわち式(11)に示したU(r)とV(r)の変動の様子を、内径Rbと外径Raの比Rb/Raを横軸にして図示したものである。なおこのとき、振動子20の材料としてSi単結晶を想定し、ポアソン比をσ=0.28とした。また、nは振動モードのモード数、mは高調波振動の次数を示す。
なお図2〜図4では、各モードにおいて最低次の共振周波数(m=1)から4番目の共振周波数(m=4)まで示し、これを通常のモード表現に従い(n、m)と表示している。
図2〜図4を見ると、図3(a)の(2、1)モードと図4(a)の(3、1)モードを除き、U(Ra)、U(Rb)、V(Ra)およびV(Rb)のいずれかが、適当なRb/Raにおいて0になること観察される。
例えば図2(b)に示す(1、2)モードでは、V(Ra)がRb/Ra=0.17において0になっていることが示されている。従ってポアソン比0.28の材料(例えば、単結晶Si)を用い、(1、2)モードで用いる振動子20を設計するには、内径Rbと外径Raの比を0.17に選び、cosθ=0の角度、すなわちθ=±π/2の位置の内径部分で振動子20を保持するように設計すれば、振動子20の共振振動になんら影響を与えず振動子20を保持することが可能である。
すなわち、外径Raが100μmで、(1、2)モードで用いる振動子20の場合、Rb/Ra=0.17となる、開口部21の径を17μmとしたときに、振動子20の外径部分におけるTangential方向の振動を0とすることができる。そして、このときに、開口部21の外径部分において、cosθ=0の角度、すなわちθ=±π/2の位置で振動子20を支持することで、共振振動に全く影響を与えない振動子20の保持法を実現できる。
ところで、一般の材料、例えばポアソン比がσ=0からσ=0.5の材料では、U(Ra)、U(Rb)、V(Ra)およびV(Rb)が0になる場合は、いかなるRb/Raの場合に起こるのかを調べることが非常に重要になる。このため式(11)から、次式(12)が成り立つRb/Raとポアソン比σの組み合わせを、各モード(n=1〜3、m=1〜4)について調べた。
Figure 0004807632
その結果を図5〜図7に示す。
なお、ポアソン比だけを変数とすることで全ての材料について調べたことになる理由は、式(6)から、hとkに、
k=h(2/(1−σ))1/2
という関係があり、hとkを変数として見ると、この二つの変数がポアソン比σでのみ関係付けられていることによる。
図5〜図7では、n=1〜3、m=1〜4の各モードにおいて式(12)を満足するポアソン比σ(縦軸)と、振動子20の内径Rbと外径Raの比Rb/Ra(横軸)との関係を示した。すなわち振動子材料のポアソン比が判れば、図5〜図7の関係から、振動モードとその振動子20を保持する位置や、振動子20の内径Rbと外径Raの比を決めることができる。なお共振周波数は振動子20、例えば大きさ、すなわち外径Raを変えることで決定する。
このように、図5〜図7の関係を予め知ることにより、振動エネルギが保持部を通して逃げることの無い高性能なディスク状の振動子20を実現することが可能になる。
さて、支持部材22は、Tangential方向に振動させて使用する振動子20の場合、次式(13)で示される長さLを有するものとするのが好ましい。なお、駆動源30でピエゾ効果を用いた駆動方式を採用する場合、振動子20はTangential方向に振動させて使用することになるので、この場合、支持部材22の長さを、式(13)で表されるLにするのが好ましい。
Figure 0004807632
また、Radial方向に振動させて使用する振動子20の場合、支持部材22は、次式(14)で示される長さLを有するものとするのが好ましい。
Figure 0004807632
このように、振動子20の内径Rbと外径Raとの比Rb/Raを適切に選ぶことにより、振動子20の外径部分もしくは内径部分においてRadial方向の変位のr成分すなわちU(Ra)もしくはU(Rb)、ならびにTangential方向の変位のr成分すなわちV(Ra)もしくはV(Rb)が0になる場合がある。このようなディスク状で開口部21を有した振動子20に特有な現象を用いることで、振動子20の共振振動に全く影響を与えず振動子20を保持することが可能となり、極めてQの高い振動子20が提供できる。
さらに、図8に示すように、本発明においては、振動子20の開口部21に、プラットフォーム50が形成されている。このプラットフォーム50は、例えば円板状で、その外周部が、ブリッジ51によって振動子20の開口部21の内径部分に接続・支持されている。
このとき、プラットフォーム50は、後に詳述するように、ブリッジ51を介し、振動子20と一体的に振動するような箇所に接続されている。
プラットフォーム50を振動子20と一体的に挙動させるには、振動子20において、r方向またはθ方向のいずれか一方のみに振動が生じる部位に、ブリッジ51を介してプラットフォーム50を機械的に結合するのが好ましい。
このとき、ブリッジ51は、1箇所以上設けるが、2箇所以上設けても良い。この場合、プラットフォーム50に不要な歪を生じさせない、すなわちプラットフォーム50の付加によって不要な損失を振動子20に与えないためには、ブリッジ51を設ける箇所における振動子20の振幅が等しいのが好ましい。このため、振動子20の中心に対し、線対称または点対称となる2箇所以上に設けるのが良い。
これにより、振動子20の振動モード、ブリッジ51による接続箇所により、プラットフォーム50を、振動子20と一体的にr方向またはθ方向に挙動させることができる。
また、プラットフォーム50を振動子20にブリッジ51を介して接続する部位は、振動子20においてその振動振幅がなるべく大きな部位とするのが好ましい。これにより、プラットフォーム50、ブリッジ51を介して振動子20に伝達されるプラットフォーム50上の物質の質量の影響を、より高感度に検出することが可能となる。
また、プラットフォーム50は、その共振周波数が、振動子20の共振周波数よりも高くなるように形成されている。これにより、振動子20によってプラットフォーム50が励振されるのを防ぐことができる。さらに、ブリッジ51は、なるべく短く形成するのが好ましい。ブリッジ51が長いほど、振動子20の振動によってブリッジ51が励振され、プラットフォーム50にその振動成分が伝達してしまう可能性があるからである。
プラットフォーム50、ブリッジ51は、いかなる材料で形成しても良いが、製造の容易性を考慮すると、振動子20と同材料で形成するのが好ましい。その場合、例えば振動子20、プラットフォーム50、ブリッジ51を、フォトリソグラフィ法等の半導体加工技術によって、同一層に形成するのが好ましい。もちろん、振動子20に対し、プラットフォーム50、ブリッジ51を立体的に形成するような構成を本発明は排除するものではない。
プラットフォーム50と振動子20を同一材料で形成する場合、プラットフォーム50の共振周波数を振動子20の共振周波数よりも高くするには、プラットフォーム50の外形寸法を、振動子20の開口部21の内径Rbよりも小さくすればよい。しかし、プラットフォーム50上になるべく多くの物質を付着または吸着させるには、プラットフォーム50をなるべく大きく形成するのが好ましい。
さて、上記のようなプラットフォーム50の振動子20に対する取り付け位置等について、具体例を用いて検討する。
[第1の例]
振動子20の材料をSiとし、例えばn=1、m=2、すなわち(1、2)モードを選び、φ=Rb/Ra=0.165の場合について式(11)を計算した結果が図9である。図10は、そのモード姿態であり、振動子20上における振動振幅の大きさを10段階に区分して示しており、S0で示す部分が振幅最小(ゼロ)、S9で示す部分が振幅最大である。
式(10)のUn(r、θ)とVn(r、θ)は、それぞれr方向とθ方向の変位を示し、この計算例において、r/Ra=1すなわちr=Raの時には、V(Ra)=0となることから、振動子20の外径部分においてθ方向の変位はいかなるθでも0であることを示している。またr方向のモード関数U(r、θ)がθ=π/2またはθ=3π/2においてcosθ=0になることから、この位置ではr方向の変位も0になる。
すなわちφ=0.165の振動子20の外径部分において、角度θ=π/2またはθ=3π/2の位置では全く振動が無い。従ってこの位置で振動子20を保持すれば、振動エネルギが保持部を通して失われない。
さらに図10から判るように、この条件の振動子20では、振動子20の内径部分で角度θ=π/2およびθ=3π/2において大きな振動振幅を持っていること判る。この位置での振動成分は、角度θ=π/2およびθ=3π/2の位置にあるためcosθ=0であることからr成分の振動ではなく、θ成分の振動であり、さらにsinπ/2=1、sin3π/2=−1であることから、互いに逆の角度方向に振動している。すなわち図10に示すように、(1、2)モードの振動子20の内径部分の位置(Rb、π/2)と位置(Rb、3π/2)では、共に、右もしくは左方向に互いに平行して振動していることになる。
図8は、これらの考察結果をもとに作成した、(1、2)モードで振動する振動子20の開口部21に、プラットフォーム50を付加して設けた例で、振動子20の内径部分においてθ=π/2とθ=3π/2となる2箇所で、プラットフォーム50と振動子20をブリッジ51によって機械的に結合している。すなわちプラットフォーム50は、振動子20の中心に対して対称な、振動振幅の大きな2箇所で機械的に結合している。
この場合、プラットフォーム50は、振動子20の振動成分のうちのθ成分によって、水平方向に振動させられる状態になっており、この状態は、プラットフォーム50はnが奇数のモードで励振されている状態でもある。すなわち、プラットフォーム50がn=1、3、5・・などの奇数モードの共振条件を満たす大きさになっている場合には、プラットフォーム50にはモードに伴う振動振幅の分布が現れてセンサ10として使うには不都合な状態になる。一方、プラットフォーム50が小さく共振条件を満たさない場合には、プラットフォーム50は完全な剛体と見なすことができ、プラットフォーム50は一様に水平方向に振動することになる。この状態において、プラットフォーム50は大きな振幅の水平方向の一様な振動をしていることからセンサ10として使うに都合が良い状態になっている。
図8において矢印(A)、(B)は、それぞれ振動子20のr方向およびθ方向の変位を示し、矢印(C)はプラットフォーム50の振動を示す。このようにnが奇数のモードでは、mの値に関わらず、プラットフォーム50全体を特定の方向に一様に振動させることができる。
[第2の例]
次にn=2の場合の実施例を示す。振動子20に振動モードとして(2、3)モードを選び、φ=0.41として式(11)を計算した結果が図11である。
図11から判るようにr/Ra=1のとき、V(Ra)=0であることから、振動子20の外径部分では、θ方向の変位が常に0になる。さらにr方向のモード関数であるU(r、θ)は、θ=π/4、θ=3π/4、θ=5π/4、θ=7π/4の各角度においてcos2θ=0になることから、この角度でr方向の変位も0になる。すなわちφ=0.410の振動子20では、外径部分において角度θ=π/4、θ=3π/4、θ=5π/4、θ=7π/4の位置では全く振動がない。すなわちこの位置で振動子20を保持すれば、振動エネルギが保持部を通して失われることは無い。この例のモード姿態を図12に示す。
この図12より、(2、3)モードでは、振動子20の内径部分付近の角度θ=π/4、θ=3π/4、θ=5π/4、およびθ=7π/4の位置において、大きな振動振幅を持っていることがわかる。この振動成分は角度θ=π/4、θ=3π/4、θ=5π/4、θ=7π/4の位置においてcos2θ=0であることから、r成分の振動ではなく、θ成分の大きな振動である。またθ=π/4とθ=5π/4の位置では、sin2θ=1であることから、同一の角度方向の振動であり、θ=3π/4、θ=7π/4の位置においては、sin2θ=−1であることから、先の場合と反対の角度方向への振動となることが判る。
図13は、この(2、3)モードの振動子20の開口部21に、プラットフォーム50を設けた例であり、(2、3)モードで振動する振動子20の中心に対して点対称の位置で、かつ振動振幅が大きい2箇所において、ブリッジ51によってプラットフォーム50と振動子20を機械的に結合した例である。この場合、プラットフォーム50は、(2、3)モードの振動子20のθ成分によってプラットフォーム50全面がθ方向に振動する。ここに、矢印(A)、(B)は、それぞれ振動子20のr方向およびθ方向の変位を示し、矢印(C)はプラットフォーム50の振動の状態を示している。
図12から判るように、n=2の穴あき振動子20の内径部分付近において振動振幅の大きな箇所は4箇所現れるが、このうち点対称な2箇所、もしくは4箇所全てで振動子20とプラットフォーム50を機械的に結合させた場合には、プラットフォーム50をn=2、4・・等の偶数次モード(2箇所、4箇所の場合)や、Pure Tangential Mode(2箇所の場合)で励振する。このとき、プラットフォーム50が偶数次モードもしくはPure Tangential Modeの励振条件を満たす場合には、プラットフォーム50は偶数次モードもしくはPure Tangential Modeで振動し、プラットフォーム50にはモードに伴う振動振幅の分布ができる。またこれらの振動条件を満たさない場合には、プラットフォーム50が、2箇所で機械的に結合されているのであればプラットフォーム50は一様な回転振動をするが、4箇所の機械的結合の場合には、振動子20の振動条件が大きく変えられてしまうことになる。
このようにn=2モードの振動子20とプラットフォーム50との機械的接続箇所は、振動子20の中心に対して2箇所、もしくは振動子20の確実な保持ができるなら1箇所でも良いことになる。
このことを一般化して言えば、n次の振動モードでは、同じ角度方向の振動はθ=0〜2πにおいてsin(nθ)で決まることから、θ方向のみに大きな振動が生じる部位はn箇所となる。従って、穴あき型含む振動子20とプラットフォーム50のブリッジ51による機械的結合を行うのに適した箇所はn個もしくはそれ以下となる。
[振動子20の開口部21にプラットフォーム50を設ける場合の条件]
ここまで示したn=2の例のように、nが偶数のモードにおいて、中心に対して点対称な2箇所で振動子20とプラットフォーム50を機械的に結合した場合、プラットフォーム50が偶数次モードもしくはPure Tangential Modeの振動条件を満たさないときには、mの値に関わらず、プラットフォーム50は必ず一様な回転振動をする。これに対し、プラットフォーム50が大きくなると、偶数次モードもしくはPure Tangential Modeの振動条件を満たし、プラットフォーム50はその振動条件を満たすモードで振動することになり、そのモード関数で決められた振幅分布に従って振動する。このように、振動子20と2箇所で機械的に結合されたプラットフォーム50は、常にその全面が一様に振動するとは限らない。
例えばプラットフォーム50の共振周波数が、振動子20の振動周波数より高い場合には、プラットフォーム50が共振振動することは無く、プラットフォーム50は完全剛体となり振動子20の結合部の振動に従って一様な振動をする。
このときの、振動子20における各モードの規格化共振周波数Koと、振動子20の内径Rbと外径Raの比Rb/Raの関係、プラットフォーム50における各モードの規格化共振周波数Ksと、プラットフォーム50の半径Rsと振動子20の外径Raの比Rs/Raとの関係を、図14と図15に示す。
なお図14はnが奇数の場合の例で、振動子20の材料として単結晶Siを想定してポアソン比を0.28とし、振動子20についてCompound Modeのn=1、3、m=1〜4、プラットフォーム50についてはn=1、3、最低次モードのm=1について計算したものである。実際の共振周波数は式(15)から計算できる。
Figure 0004807632
ここにKは、振動子20の規格化共振周波数K又はプラットフォーム50の規格化共振周波数Kであり、Raは振動子20の外径、ρは密度、Eはヤング率である。
図14から判るとおり、振動子20の共振周波数とプラットフォーム50の共振周波数は、振動子20のm=1モードを除き交差する。すなわち、プラットフォーム50を設ける振動子20の内径Rbを必要以上に大きくして、プラットフォーム50の面積を大きくしようとすると、プラットフォーム50の振動周波数が振動子20の振動周波数より低くなってしまう。この領域では、プラットフォーム50が振動モードに従う共振振動する場合があることを意味しており、プラットフォーム50が単に機械的結合によって全面が一様に振動している状態ではなくなってしまうおそれがある。従って、プラットフォーム50に共振振動が乗らないようにするには、プラットフォーム50の共振周波数が振動子20の共振周波数より高い領域であることが必要である。このような領域は、図14の平行振動するモードの最低周波数を持つ(1、1)モードの周波数曲線より下方の領域であり、これを図中、ハッチングによって示した。
もちろんこの条件を満たさない場合であっても、プラットフォーム50に共振振動が励振されない条件があると考えられるが、細かな条件分けが必要であり、さらに深く研究を行い、条件を把握していくことが必要である。
またnが偶数の場合には図15のようになる。
図15はnが偶数の場合の例で、振動子20の材料として単結晶Siを想定してポアソン比を0.28とし、振動子20についてCompound Modeのn=2、4、m=1〜4、プラットフォーム50についてはn=2、4の最低次モードのm=1とし、Tangential Modeのm=1について計算したものである。ここでもプラットフォーム50の大きさをハッチングで示した領域内となるように形成すれば、プラットフォーム50はモードによる振動は発生することなく一様な回転振動をすることになる。
上述したようなセンサ10によれば、プラットフォーム50を、振動子20に機械的に結合して設けることで、プラットフォーム50上に付着または吸着した物質の質量が、あたかもプラットフォーム50が振動子20に接続された箇所に集中的に付着または吸着しているかのように作用するので、つまりこれにより、センサ10の感度を向上させることができる。
このようにして、センサ10においては高感度な質量の物体の検出や、質量の検出を行うことが可能となる。また、振動子20は、いわゆるSi単結晶を構造材料として用い、MEMS技術によって製造することができることから、Si半導体と同一チップ内にセンサ10を組み込んで作ることも可能となる。
さて、上記のような検討を行うことで得た知見に基づき、本発明者らがさらなる検討を重ねたところ、振動子20を、m=1、n=3、つまり(3、1)モードで駆動するのが感度向上の面で特に好ましいことを見出した。さらに、また、(3、1)モードで駆動する場合、振動子20は、φ=Rb/Raを0.65〜0.81とするのが好ましく、さらにはφ=0.70〜0.78、特にφ=0.73〜0.74とするのが好ましいことも見出した。
ここで、具体例を用いて説明を行う。
式(10)において、m=1、n=3とし、振動子20の材料として単結晶Si(ポアソン比ρ=0.28、ヤング率E=130GPa、密度σ=2300kg/m)を想定し、φ=Rb/Ra=0.73とした場合、計算結果は図16のようになる。
この図16に示すように、r/Ra=1、すなわち振動子20の外径部分においては、V(Ra)=0であることから、振動子20の外径部分ではθ方向の変位が常に0になる。また、r方向のモード関数であるU(r、θ)はcos3θの関数でもあり、θ=π/6±iπ/3(ここでi=0、1、2、・・・)においてU(r、θ)=0になることから、これらの角度でr方向の変位も0になる。すなわちφ=0.73の振動子20では、外径部分において角度θ=π/6、θ=3π/6、5π/6、7π/6、9π/6、11π/6の6箇所の位置P1〜P6では全く振動がない。すなわちこの位置で振動子20を保持すれば、振動エネルギが保持部を通して失われることは無い。
この例のモード姿態を図17に示す。図17は、振動子20上における振動振幅の大きさを10段階に区分して示しており、S0で示す部分が振幅最小(ゼロ)、S9で示す部分が振幅最大である。
また、この図17より、(3、1)モードでは、振動子20の内径部分において角度θ=0、2π/6、4π/6、6π/6、8π/6、10π/6の6箇所の位置P11〜P16において、大きな振動振幅を持っていることがわかる。この振動の大きさは、最大振幅の0.97倍と極めて大きな振幅である。
また、これらの位置における振動成分はsin3θ=0であることから、θ成分の振動ではなくr成分の振動である。またθ=0の位置P11とθ=6π/6の位置P14、θ=2π/6の位置P12とθ=8π/6の位置P15、θ=4π/6の位置P13とθ=10π/6の位置P16の、それぞれ振動子20の中心に対して点対象となる2箇所から構成される各組においては、それぞれ振動の向きが同一方向に揃っている。したがって、これらの位置にプラットフォーム50を連結して設ければ、プラットフォーム50が振動モードに影響を与えることがない。
図18は、この(3、1)モードの振動子20の開口部21に、プラットフォーム50を設けた例であり、(3、1)モードで振動する振動子20の内周部において、振動子20の中心に対して点対称の位置で、かつ振動振幅が大きい2箇所の位置P11、P14において、ブリッジ51によってプラットフォーム50と振動子20を機械的に結合した例である。この場合、プラットフォーム50は、(3、1)モードの振動子20のr成分によってプラットフォーム50全面が、ブリッジ51によって結合した振動子20の位置に対応したr方向に振動する。
このとき、プラットフォーム50は、振動子20におけるブリッジ51による連結位置と同一方向に直線的に変位するため、振動子20において、近似的に振動子20の質量がプラットフォーム50の質量分だけ増えたことに相当するとして考えることができ、質量の増加により振動子20の振動周波数は低下する。
表1は、振動子20の外径Ra=100μm、内径Rb=73.4μm、プラットフォーム50の外径Rs=70.7μm、振動子20およびプラットフォーム50を単結晶シリコン材料で形成した場合における、プラットフォーム50の有無による振動子20の振動周波数の違いを示すものである。
Figure 0004807632
さて、上記において、φ≒0.73のときには、振動子20の外径部分ではθ方向の変位がいかなる方向においても0であることを示した。また、先に式(3)で示したモード関数の振幅成分のうち、Vn(r)で示すTangential成分は、Bessel関数(周期関数)からなりその変数は、式(3)に示したh、kとrの積であり、ポアソン比σを除き同じであることから、ポアソン比σの関数と見ることもできる。
このことから、振動子20の外径部分におけるTangential方向の振動を示すVn(r)|r=Raが0になるポアソン比σを縦軸に、Rb/Raを横軸にしてこの関係を図示すると図7(a)のようになる。
この図7(a)を見ると、Rb/Raを0.73付近に選べば、振動子20の材料のポアソン比依存性が非常に小さくなっていることがわかる。すなわち振動子20を構成する材料のポアソン比がバラついてもRb/Raの比がほとんど変化しないことを意味し、振動子20にとって最も重要なファアクターと考えられるQ値(Quality Factor)に対する設計性が高いことを意味する。これにより、振動子20は、φ=0.70〜0.78、特にφ=0.73〜0.74とするのが好ましい。
上記において、穴あきディスク型の振動子20の振動モードが(3,1)モードで、内径と外径の比φ(Rb/Ra)≒0.73の時、振動子の外周において6箇所の全く振動しない箇所が生ずる事を図17に示し、これらの6箇所で振動子20を保持すれば振動エネルギが支持部材22を通じて散逸することなく高性能な振動子20が実現できることを示した。
また、図18に示したように、振動子20の中心に対して対称で保持部材22との角度が30度(π/6)である内径部分の2箇所においてブリッジ51によってプラットフォーム50を機械的に接続すれば、プラットフォーム50は振動子20の振動によって一様に振動する。
しかし、プラットフォーム50をこのような形で振動子20と機械的に接続することによって振動子20の振動に影響を与え、振動子20の外径部分において、6箇所で全く振動の生じない場所が生ずる条件であるφ≒0.73等に影響を与える事が予想される。
すなわち、図18に示すように、振動子20にブリッジ51を介してプラットフォーム50を付加すると、プラットフォーム50は振動子20と共に振動することになり、近似的に振動子20の振動質量が増えたこと、すなわち振動子20の密度が増えたことと考えることができる。
例えば、振動子20を、外径Ra=100um,内径Rb=73.4um,プラットフォーム50の外径をRs=70.7umとし、材料に単結晶シリコン(E=130Gpa,ρ=2300Kg/m,σ=0.28)を用いた場合、振動子20の質量は、式(16)のようになる。
Figure 0004807632
また、プラットフォーム50の質量は式(17)、プラットフォーム50を付加した振動子20の全質量は式(18)のようになる。
Figure 0004807632
Figure 0004807632
この状態を振動子20の密度の変化ととらえると、振動子20の密度の増加分は式(19)のようになると考えることができる。
Figure 0004807632
このような状態においても、振動子20の固有値すなわちKoは変化しないものと仮定すると、式(20)の関係から、元々はρ=130GpaでKo≒0.70より、振動周波数は8.38MHzであったものが、プラットフォーム50を付けた場合には、密度ρが
ρ=130Gpa*[1+Rs/(Ra−Rb)]
となり、振動周波数は5.80MHzまで下がることになる。
Figure 0004807632
さて図19は、(3、1)モードの穴あきディスク型の振動子20の振動周波数パラメータKoとφ=Rb/Raの関係を示したものである。この関係において、φ>0.3ではほぼ直線の関係にあり、この関係は式(21)のように近似的に表すことができる。
Figure 0004807632
式(21)の関係を図19に当てはめ、周波数の変化をKoの変化として捕らえると、φ=0.73からφ≒0.81に変化した事に相当することが判る。このような場合でも振動モードの形状がそのまま保たれると仮定すれば、振動子20の外径部分においての全く振動しない6箇所もそのまま存在することになる。
一方、図7(a)において、φ≒0.81における状態を見ると、V3,1(Ra)=0を満たす状態は存在せず、振動エネルギは振動子20の外径部分に設けられた支持部材22を通じて逃げてしまう状態とも考えることができる。この状態はプラットフォーム50を設けた場合でもプラットフォームの無い状態のφ=0.73の時の周波数となるように、予めφを小さくし、例えばφ≒0.65前後にしてプラットフォーム50を設ければφ≒0.73の状態になることが式(19)および式(21)を計算する事によってわかる。
この様に、周波数の変動から振動子20の振動状態を推定することによって、φの最良の値は、0.65から0.81前後まで変わる場合が起こりうると考えることができる。
次にRb/Ra≒0.73としたときの、振動子20における各モードの規格化共振周波数Koと、振動子20の内径Rbと外径Raの比Rb/Raの関係を調べると、図20のとおりになる。
ここで、今検討している(3、1)モードはn=3、m=1の場合であり、この(3、1)モードより低い共振周波数が起こるモードは、図20から(2、1)モードのみであることが判る。例えばトランジスタ等の半導体素子とこの振動子20を組み合わせて発信器を構成した場合、トランジスタ等の半導体素子は一般に低い周波数ほど増幅度が高いため、目的とする発振周波数より低い周波数については発信能力を有しており、(2、1)モードの振動周波数が発信器のスプリアス振動周波数になりかねない。従って、この(2、1)モードの振動が発生しないようにしておくことが必要である。
図21は、振動子20においてRa/Ra≒0.73である場合の振動モードと最大振動領域での振動方向を図示したものである。この図21において、(2、1)モードにおいて振動子20は、その内径部分および外径部分で、角度θ=0、π/2、2π/2、3π/2の4箇所の位置P21〜P24において、大きな振動振幅を持っていることがわかる。そして、振動子20の中心に対して対称な最大振動が生じている2つの位置P21、P23において、振動子20は互いに逆の方向に振動している。一方、図7(a)で示したように、(3、1)モードにおいて振動子20は、前記の位置P21、P23に対応した位置P11、P14では、振動が同一方向となっている。したがって、これら2つの領域にてブリッジ51を介してプラットフォーム50を設けると、プラットフォーム50は、(3、1)モードの振動に対しては振動子20の振動を阻害することなく振動子20と一体的に振動するが、(2、1)モードの振動に対しては、ブリッジ51を介してプラットフォーム50に入力される振動子20の振動は、プラットフォーム50の面内方向においてプラットフォーム50を径方向に押しつぶしたり、引き伸ばしたりするような振動になる。したがって、プラットフォーム50は(2、1)モードの振動を抑制する効果を発する。
また、振動子20は、その外径部分の3箇所を120°間隔で保持することにより、(2、1)モードにおける振動の大きい部分と小さい部分を必ず保持することになり、これも(2、1)モードの振動を阻害することになるため、(2、1)モードの振動抑制機構として機能する。
図22は、以上のような検討に基づいて得られた知見に基づいて構成した、プラットフォーム50を備えた振動子20の例である。
この振動子20は、(3、1)モードで振動させて使用されるもので、振動子20の内径と外径との比φは、φ=Rb/Ra=0.73とした。この振動子20は、外径部分において角度θ=3π/6、7π/6、11π/6の3箇所において、支持部材22により120°間隔で保持されている。
そして、振動子20に形成された開口部21には、ブリッジ51を介してプラットフォーム50が一体に接合されている。ブリッジ51は、振動子20の中心に対して点対称の位置で、かつ振動振幅が大きいθ=0、6π/6の2箇所において、180°間隔で設けられている。
このような振動子20とプラットフォーム50、ブリッジ51は、同一平面内に位置するのが好ましい。これによりこれらを同一材料によって形成することができる。
振動子20の外周部には、振動子20の外径部分から所定のクリアランスを隔てて、駆動源30、検出部40を構成する電極31、41が設けられている。これら電極31、41は、互いに隣接する2つの支持部材22間に例えば1組ずつが配置されている。
上述したような構成の振動子20を備えたセンサ10によれば、前記したように、高感度な質量の物体の検出や、質量の検出を行うことが可能となる。このような振動子20も、いわゆるSi単結晶を構造材料として用い、MEMS技術によって製造することができることから、Si半導体と同一チップ内にセンサ10を組み込んで作ることも可能となる。
さらに、上記したような、プラットフォーム50を備えて(3、1)モードで振動して用いられるディスク型の振動子20は、外径と内径との比φが、φ=0.7以上と大きく、プラットフォーム50の面積を大きくすることができる。つまりこれにより、センサ10の感度を特に高いものとすることができる。また、振動子20の外径と内径の比が前記した範囲内であれば、材料依存性が低いため、例えば今後、単結晶Si以上に優れた材料が出現した場合にも、本発明と同様の構成を適用することが可能となる。加えて、このような構成においては、(2、1)モードの振動を抑制できるので、共振を防ぎ、この点においても高感度化を図ることができる。
ところで、上記では、振動子の材料としてSi単結晶(ポアソン比σ=0.28)を用いた振動子20の例を示したが、もちろん、他の材料においても、同様の検討を行うことで、同様の効果を得ることのできる構成を実現できる。
また、図22に示した例では、振動子20を120°間隔の3箇所の不動点で支持するようにしたが、6箇所の不動点の全てで振動子20を支持するようにしても良い。また、振動子20を支持する支持部を機械的に十分に高い強度を有したものとできるのであれば、振動子20は1箇所のみで支持するようにしても良い。また、図22の例では、駆動源30、検出部40を構成する電極31、41を、それぞれ3個ずつ設ける例を示したが、その数を適宜少なくすることも可能である。一般には駆動や検出のための電極31、41の結合面積を小さくすると動作インピーダンスが高くなることによって生ずるインピーダンス不整合による通過損が増大してしまうが、発信器を作る時にはループゲインを十分で取ることで、これを補うこともできる。
これ以外にも、本発明の主旨を逸脱しない限り、上記実施の形態で挙げた構成を取捨選択したり、他の構成に適宜変更することが可能である。
本実施の形態のセンサの構成を示す図である。 n=1モードにおける、ディスク状の振動子の外径と内径の比と、U(Ra)、U(Rb)、V(Ra)、V(Rb)の値との関係を示す図である。 n=2モードにおける、ディスク状の振動子の外径と内径の比と、U(Ra)、U(Rb)、V(Ra)、V(Rb)の値との関係を示す図である。 n=3モードにおける、ディスク状の振動子の外径と内径の比と、U(Ra)、U(Rb)、V(Ra)、V(Rb)の値との関係を示す図である。 n=1モードにおける、式(12)が成立するときのディスク状の振動子の外径と内径の比と、ポアソン比との関係を示す図である。 n=2モードにおける、式(12)が成立するときのディスク状の振動子の外径と内径の比と、ポアソン比との関係を示す図である。 n=3モードにおける、式(12)が成立するときのディスク状の振動子の外径と内径の比と、ポアソン比との関係を示す図である。 (1、2)モードにおいて、ディスク状の振動子にプラットフォームを設けた構成の例を示す図である。 (1、2)モードにおける、ディスク状の振動子の半径rの位置におけるU(r)、V(r)の値を示す図である。 (1、2)モードにおける、ディスク状の振動子の振幅の分布を示す図である。 (2、3)モードにおける、ディスク状の振動子の半径rの位置におけるU(r)、V(r)の値を示す図である。 (2、3)モードにおける、ディスク状の振動子の振幅の分布を示す図である。 (2、3)モードにおいて、ディスク状の振動子にプラットフォームを設けた構成の例を示す図である。 nが奇数の場合のモードにおける、振動子の共振周波数と振動子の内径Rbと外径Raとの関係、ならびにプラットフォームの共振周波数とプラットフォームの半径Rsおよび振動子の外径Raとの関係を示す図である。 nが偶数の場合のモードにおける、振動子の共振周波数と振動子の内径Rbと外径Raとの関係、ならびにプラットフォームの共振周波数とプラットフォームの半径Rsおよび振動子の外径Raとの関係を示す図である。 (3、1)モードにおける、ディスク状の振動子の半径rの位置におけるU(r)、V(r)の値を示す図である。 (3、1)モードにおける、ディスク状の振動子の振幅の分布を示す図である。 (3、1)モードにおいて、ディスク状の振動子にプラットフォームを設けた場合の結合位置を示す図である。 (3、1)モードのディスク状の振動子の振動周波数パラメータKoと、振動子の内径Rbと外径Raの比との関係を示したものである。 振動モード毎の共振周波数と振動子の内径Rbと外径Raとの関係を示す図である。 図17の振動子が(2、1)モードで振動したときの振幅の分布を示す図である。 (3、1)モードにおいて、ディスク状の振動子にプラットフォームを設けた構成の例を示す図である。
符号の説明
10…センサ(検出センサ)、20…振動子、21…開口部、22…支持部材、40…検出部、50…プラットフォーム、51…ブリッジ

Claims (14)

  1. ディスク状の振動子と、
    前記振動子に機械的に結合され、質量を有した物質が付着または吸着するプラットフォームと、
    前記振動子を振動させる駆動部と、
    前記振動子における振動の変化を検出することで、前記物質を検出する検出部と、を備え、
    前記振動子の中央部に開口部が形成され、前記プラットフォームは前記開口部の内側に配置され、ブリッジを介して前記振動子の前記開口部の内縁部に結合されていることを特徴とする検出センサ。
  2. 前記プラットフォームは、その共振周波数が前記振動子の共振周波数よりも高くなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の検出センサ。
  3. ディスク状の振動子と、
    前記振動子に機械的に結合され、質量を有した物質が付着または吸着するプラットフォームと、
    前記振動子を振動させる駆動部と、
    前記振動子における振動の変化を検出することで、前記物質を検出する検出部と、
    を備え、
    前記プラットフォームは、その共振周波数が前記振動子の共振周波数よりも高くなるように形成されていることを特徴とする検出センサ。
  4. 前記プラットフォームは、前記振動子において前記振動子のRadial方向またはTangential方向の一方のみに振動が生じる部位にて、前記振動子に結合されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の検出センサ。
  5. 前記プラットフォームは、前記振動子と一体的に、前記振動子のRadial方向への直線な振動、または前記振動子のTangential方向への回転振動を行うことを特徴とする請求項4に記載の検出センサ。
  6. 前記プラットフォームは、前記振動子において、振幅が最大となる部位またはその近傍に結合されていることを特徴とする請求項4または5に記載の検出センサ。
  7. 前記振動子は、外径がRaとされ、中央部に前記開口部が形成されることで内径がRbとされたリング状で、
    前記振動子が振動したときの位置座標(r、θ)における位置rでの、式(1)で表されるRadial方向の変位U(r)、Tangential方向の変位V(r)が、r=RaまたはRbとしたときにU(r)=0またはV(r)=0をほぼ満足する外径Raと内径Rbで、前記振動子が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の検出センサ。
    Figure 0004807632
  8. 前記式(1)においてr=RaであるときにU(r)=0またはV(r)=0をほぼ満足する場合、前記振動子は外径部分で支持されていることを特徴とする請求項7に記載の検出センサ。
  9. 前記振動子の中央部に前記開口部が形成され、前記プラットフォームは前記ブリッジを介して前記振動子の前記開口部の内縁部に結合され、
    前記駆動部は、前記振動子を、高調波振動の次数m=1、振動モードのモード数n=3とした(3、1)モードで駆動することを特徴とする請求項1または3に記載の検出センサ。
  10. 前記振動子は、外径をRa、前記開口部の内径をRbとしたときに、Rb/Raが0.65〜0.81であることを特徴とする請求項9に記載の検出センサ。
  11. 前記振動子は、その外径部分において、前記振動子のRadial方向およびTangential方向の振動がほぼゼロとなる複数の位置で支持され、前記振動子の支持位置は、前記振動子の中心に対する角度が60°または60°の整数倍となる間隔とされていることを特徴とする請求項9または10に記載の検出センサ。
  12. 前記振動子は、120°間隔の3箇所で支持されていることを特徴とする請求項11に記載の検出センサ。
  13. 前記プラットフォームは、前記振動子の前記開口部に対して、前記振動子と一体的に挙動する、前記振動子の中心に対して対称となる2箇所において結合されていることを特徴とする請求項9から12のいずれか一項に記載の検出センサ。
  14. 前記プラットフォームは、前記振動子における、高調波振動の次数m=1、振動モードのモード数n=2とした(2、1)モードの振動を抑圧する位置にて前記振動子の前記開口部に結合されていることを特徴とする請求項13に記載の検出センサ。
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