JP4807408B2 - 乗用作業機 - Google Patents

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Description

本発明は、機体前部に左右前輪を設け、機体後部に左右後輪を設けた乗用作業機に関するものである。
従来、左右前輪及び左右後輪を各々バネにより独立して上下移動させる構成の乗用作業機がある。
この乗用作業機は、圃場の凹凸に各車輪が追従して機体が安定して走行できるようにしたものである。
特開2007−89417号公報
上記特許文献に開示された乗用作業機は、左右前輪及び左右後輪が各々バネにより独立して上下移動する構成である為に、機体に搭乗する操縦者や補助作業者の体重変化や機体に搭載される部材の重量変化(施肥装置付き乗用田植機であれば、苗や肥料の搭載量の変化)等の機体重量の変化により、圃場の凹凸や傾斜に対して、各車輪が上下移動して機体を水平に維持しようとする働きが変動し、常に適正な機体姿勢を維持することは困難であった。
請求項1記載の発明は、機体前部に操向操作される左右前輪(10)を設け、機体後部に左右後輪(11)を設けた乗用作業機において、左右前輪(10)は各々弾性部材(81a・81b)を介して機体に懸架すると共に、機体上にエンジン(20)を搭載し、エンジン(20)の一側にマフラー(20a)を配置し、マフラー(20a)を配置した側とエンジン(20)の反対側からマフラー(20a)側に向けてエンジン(20)の冷却風が流れる構成とし、機体に設けた後輪ローリング軸(A)回りに回動自在に装着した後輪支持部材(19)の左右に左右後輪(11)を設け、機体に設けた左右傾斜センサ(96)の機体左右傾斜検出によって後輪支持部材(19)を後輪ローリング軸(A)回りに回動させて機体を水平に維持する左右後輪ローリング制御機構を設け、後輪支持部材(19)を後輪ローリング軸(A)回りに回動させる油圧シリンダー(92)を設け、機体及びエンジン(20)の左右一側にマフラー(20a)を配置し、機体の左右他側に油圧シリンダー(92)を配置し、マフラー(20a)を配置した側と左右方向でエンジン(20)の反対側からマフラー(20a)側に向けてエンジン(20)の冷却風が流れる構成としたことを特徴とする乗用作業機としたものである。
従って、操向操作される左右前輪(10)は各々弾性部材(81a・81b)を介して機体に懸架すると共に、機体上にエンジン(20)を搭載し、エンジン(20)の一側にマフラー(20a)を配置し、マフラー(20a)を配置した側とエンジン(20)の反対側からマフラー(20a)側に向けてエンジン(20)の冷却風が流れる構成としたので、エンジン(20)及びマフラー(20a)の熱影響を受けて異常作動することを防止し、左右前輪(10)の接地面に凹凸部や左右方向の傾斜があっても、接地面に対して左右前輪(10,10)が各々追従して上下移動して、機体の傾きを防止することができ、良好に機体姿勢を維持することができる。
また、機体に設けた後輪ローリング軸(A)回りに回動自在に装着した後輪支持部材(19)の左右に左右後輪(11)を設け、機体に設けた左右傾斜センサ(96)の機体左右傾斜検出によって後輪支持部材(19)を後輪ローリング軸(A)回りに回動させて機体を水平に維持する左右後輪ローリング制御機構を設けているので、左右後輪(11)の接地面に凹凸部や左右方向の傾斜があって機体が実際に左右傾斜すると、その左右傾斜を傾斜センサ(96)が検出して左右後輪ローリング制御機構が後輪支持部材(19)を後輪ローリング軸(A)回りに回動させて機体を水平に維持する。
よって、左右前輪(10)は、操向操作しても接地面に対して左右前輪(10,10)が各々適正に追従して上下移動し、左右後輪(11)は、機体に設けた左右傾斜センサ(96)の機体左右傾斜検出によって後輪支持部材(19)を後輪ローリング軸(A)回りに回動させて機体を水平に維持する左右後輪ローリング制御機構により上下移動するので、機体重量が変化しても、圃場の凹凸や傾斜に対して、良好に機体姿勢を維持することができ、優れた走行性能を発揮して適切な作業を行なうことができる。
しかも、エンジン(20)及びマフラー(20a)の熱影響を油圧シリンダー(92)が受けて異常作動することが防止でき、左右後輪ローリング制御機構が適正に作動し、良好に機体姿勢を維持することができる
この発明によれば、左右前輪10は、接地面に対して左右前輪10,10が各々適正に追従して上下移動し、左右後輪11は、機体に設けた左右傾斜センサ96の機体傾斜検出によって後輪支持部材19を後輪ローリング軸A回りに回動させて機体を水平に維持する左右後輪ローリング制御機構により上下移動するので、機体重量が変化しても、圃場の凹凸や傾斜に対して、良好に機体姿勢を維持することができ、優れた走行性能を発揮して適切な作業を行なうことができる。
以下、図面に基づき、本発明の好ましい一つの実施形態について説明する。
図1及び図2は本発明を用いた一実施例である施肥装置を装着した施肥装置付き乗用型田植機の側面図と平面図である。この施肥装置付き乗用型田植機1は、走行車体2の後側に昇降リンク装置3を介して苗植付部4が昇降可能に装着され、走行車体2の後部上側に施肥装置5の本体部分が設けられている。
走行車体2は、駆動輪である左右一対の前輪10,10及び左右一対の後輪11,11を備えた四輪駆動車両であって、機体の前部にミッションケース12が配置され、そのミッションケース12の左右側方に左右前輪ファイナルケース13,13が設けられ、該左右前輪ファイナルケース13,13の操向方向を変更可能な各々の前輪支持部から外向きに突出する左右前輪車軸に左右前輪10,10が各々取り付けられている。また、ミッションケース12の背面部にメインフレーム15の前端部が固着されており、そのメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸Aが設けられている。
左右後輪ギヤケース18,18は連結フレーム19aで一体に連結されて、後輪支持部材としての後輪伝動ケース19が構成されている。
後輪伝動ケース19は、その左右中央部が前記後輪ローリング軸Aに回動自在に支持され、左右後輪ギヤケース18,18から各々外向きに突出する後輪車軸18a,18aに後輪11,11が取り付けられている。尚、左右後輪ギヤケース18,18には、ミッションケース12の後壁から突出して設けた左右後輪駆動軸に連結した左右後輪伝動軸18b,18bにて動力が伝達される構成となっている。
エンジン20はメインフレーム15の上に搭載されており、該エンジン20の回転動力が、ベルト伝動装置21及びHST23を介してミッションケース12に伝達される。ミッションケース12に伝達された回転動力は、該ケース12内のトランスミッションにより変速された後、走行動力と外部取出動力に分離して取り出される。そして、走行動力は、一部が前輪ファイナルケース13,13に伝達されて前輪10,10を駆動すると共に、残りが左右後輪ギヤケース18,18に伝達されて左右後輪11,11を駆動する。また、ミッションケース12の右側側面より取出された外部取出動力は、植付伝動軸26によって苗植付部4へ伝動される。尚、エンジン20のマフラー20aはエンジン20の左側で左リンクベースフレーム42の近くの外側に配置されており、エンジン20を冷却する冷却ファンはエンジン20の右側面にあって冷却風は機体右側から左側に排風される構成となっている。
エンジン20の上部はエンジンカバー30で覆われており、その上に座席31が設置されている。座席31の前方には各種操作機構を内蔵するフロントカバー32があり、その上方に前輪10,10を操向操作するハンドル34が設けられている。エンジンカバー30及びフロントカバー32の下端左右両側は水平状のフロアステップ35になっている。フロアステップ35の左右側には貫通孔が多数設けられた格子状部35a・35aが形成されており、座席31に着座して機体を操縦する操縦者が左右前輪10,10を見通せることができて操縦が容易な構成となっていると共に、該ステップ35を歩く作業者の靴についた泥が圃場に落下するようになっている。フロアステップ35の後部は、リヤステップを兼ねる後輪フェンダ36となっている。
また、走行車体2の前部左右両側には、補給用の苗を載せておく予備苗載台38,38が設けられている。
昇降リンク装置3は平行リンク構成であって、左右一対の上リンク40,40と左右一対の下リンク41,41を備えている。これらリンク40,41は、その基部側がメインフレーム15の後端部に立設した背面視門形のリンクベースフレーム42に回動自在に取り付けられ、先端側には縦リンク43が連結されている。そして、縦リンク43の下端部に苗植付部4に回転自在に支承された連結軸44が挿入連結され、連結軸44を中心として苗植付部4がローリング自在に連結されている。メインフレーム15に基部を回動自在に枢支した昇降油圧シリンダ46の先端を下リンク41に一体形成したスイングアーム41aの先端部に連結して設けており、該昇降油圧シリンダ46を油圧で伸縮させることにより、昇降リンク装置3が上下に回動し、苗植付部4がほぼ一定姿勢のまま昇降する。
苗植付部4は6条植の構成で、フレームを兼ねる伝動ケース50、マット苗を載せて左右往復動し苗を一株分づつ各条の苗取出口51a…に供給するとともに横一列分の苗を全て苗取出口51a…に供給すると苗送りベルト51b…により苗を下方に移送する苗載台51、苗取出口51a…に供給された苗を圃場に植付ける苗植付装置52…、次行程における機体進路を表土面に線引きする左右一対の線引きマーカ(図示せず)等を備えている。苗植付部4の下部には中央にセンターフロート55、その左右両側にサイドフロート56,56がそれぞれ設けられている。これらフロート55,56,56を圃場の泥面に接地させた状態で機体を進行させると、フロート55,56,56が泥面を整地しつつ滑走し、その整地跡に苗植付装置52…により苗が植付けられる。各フロート55,56,56は圃場表土面の凹凸に応じて前端側が上下動するように回動自在に取り付けられており、植付作業時にはセンターフロート55の前部の上下動が迎角制御センサ(図示せず)により検出され、その検出結果に応じ前記昇降油圧シリンダ46を制御する油圧バルブを切り替えて苗植付部4を昇降させることにより、苗の植付深さを常に一定に維持する。
施肥装置5は、肥料ホッパ60に貯留されている粒状の肥料を繰出部61…によって一定量づつ繰り出し、その肥料を施肥ホース62…でフロート55,56,56の左右両側に取り付けた施肥ガイド62a…まで導き、施肥ガイド62a…の前側に設けた作溝体62b…によって苗植付条の側部近傍に形成される施肥構内に落とし込むようになっている。電動モータで駆動するブロア58で発生させたエアが、左右方向に長いエアチャンバ59を経由して施肥ホース62…に吹き込まれ、施肥ホース62…内の肥料を風圧で強制的に各フロート55,56,56に設けた各作溝器63…に搬送するようになっている。
苗植付部4には圃場の乱れた泥土面を整地して均す整地ロータ27(左右サイドフロート56,56の各々の前方に配置された左右整地ロータ27a,27a,センターフロート55の前方に配置された中央整地ロータ27b)が取り付けられている。この整地ロータ27は、前記右後輪ギヤケース18に整地ロータ駆動用ケースを設けて、右後輪ギヤケース18から駆動力が伝動軸27cにて伝動される構成となっている。
尚、28,28は左右補助ステップであって、作業者が機体に乗り降りする時に足を載せるステップである。
ここで、図3に基づいて、左右前輪10,10の駆動部の構成を詳細に説明する。左右前輪10,10の駆動構成は左右対称で同じであるから、ここでは右前輪10の駆動部の構成を説明する。
ミッションケース12の右側方に右アクスルケース70の基部が複数のボルト71…にて固定されている。そして、右アクスルケース70の先端部には右前輪上ファイナルケース13aが一体的に形成されている。
そして、右前輪上ファイナルケース13aの下部には、右前輪下ファイナルケース13bの上端部が内嵌合した状態で嵌まっており、右前輪下ファイナルケース13bは右前輪上ファイナルケース13aに対して自由に上下動できる構成となっている。
また、ミッションケース12から右側方に向けて設けられた右前輪駆動軸72が右アクスルケース70内に配置され、その先端に形成されたスプライン溝に上駆動ベベルギヤ73が嵌合されて設けられている。そして、該上駆動ベベルギヤ73に噛合する上従動ベベルギヤ74が右前輪上ファイナルケース13aに設けたベアリング75にて回転自在に設けられており、この上従動ベベルギヤ74の内部に設けた孔にスプライン溝74aを形成し、該スプライン溝74aに嵌合するスプライン溝76aを形成した縦前輪伝動軸76が上従動ベベルギヤ74を貫通した状態で設けられている。
縦前輪伝動軸76の下端に形成されたスプライン溝に下駆動ベベルギヤ77が嵌合されて設けられている。そして、該下駆動ベベルギヤ77に噛合する下従動ベベルギヤ78と一体回転する右前輪車軸79が右前輪下ファイナルケース13bに設けたベアリング80にて回転自在に設けられており、この右前輪車軸79に右前輪10が設けられている。
従って、ミッションケース12から右前輪駆動軸72・上駆動ベベルギヤ73・上従動ベベルギヤ74・縦前輪伝動軸76・下駆動ベベルギヤ77・下従動ベベルギヤ78・右前輪車軸79を介して、右前輪10は駆動回転する。
一方、右前輪上ファイナルケース13aと右前輪下ファイナルケース13bとの間には弾性部材としてバネ常数の大きい圧縮バネ81aとバネ常数の小さい圧縮バネ81bとが設けられている。圧縮バネ81a・81bの配置構成を更に詳述すると、右前輪上ファイナルケース13aに設けたベアリング82に支持された上部バネ受け83と右前輪下ファイナルケース13bに設けたベアリング84に支持された上部バネ受け85との間に圧縮バネ81a・81bは設けられており、バネ常数の大きい圧縮バネ81aの内側にバネ常数の小さい圧縮バネ81bが配置された構成となっている。尚、上部バネ受け83内部にはスプライン溝83aが形成されており、該スプライン溝83aに縦前輪伝動軸76のスプライン溝76aが係合した構成となっている。
従って、例えば、右前輪10の接地面に凸部があって、右前輪10が該凸部に乗り上げた場合には、右前輪10が上方に押し上げられようとするが、この右前輪10を上方に押し上げる力にて前記圧縮バネ81a・81bが縮み、右前輪10及び右前輪下ファイナルケース13b及び縦前輪伝動軸76が矢印イ方向に移動して、右前輪上ファイナルケース13aや右アクスルケース70が上下動することが防止され、右前輪10の接地面に凸部があっても機体の水平姿勢が維持される。逆に、右前輪10の接地面に凹部があって、右前輪10が該凹部に落ち込んだ場合には、右前輪10が下方に下がろうとするが、この右前輪10が下方に下げるのを前記圧縮バネ81a・81bの伸びにより、右前輪10及び右前輪下ファイナルケース13b及び縦前輪伝動軸76が矢印ロ方向に移動して、右前輪上ファイナルケース13aや右アクスルケース70が上下動することが防止され、右前輪10の接地面に凹部があっても機体の水平姿勢が維持される。
尚、図面中86はベアリング、87はオイルシール、88は右前輪上ファイナルケース13a上部に設けた穴を密封する合成樹脂製の蓋である。また、89は縦前輪伝動軸76の上端部にボルト90にて固定した抜け止め体であって、右前輪上ファイナルケース13aから右前輪下ファイナルケース13bが下方に抜け落ちるのを防止するストッパーである。
そして、左前輪10の駆動部の構成は、上記の右前輪10の駆動部の構成と同じである。
従って、左右前輪10,10は、走行する接地面に凹凸部や左右方向の傾斜があっても、接地面に対して左右前輪10,10が各々追従して上下移動して、機体の傾きを防止することができる。
次に、図4に基づいて、左右後輪11,11を上下移動させる構成を詳細に説明する。
前記のように後輪伝動ケース19の左右側部に左右後輪11,11が取り付けられ、後輪伝動ケース19はその左右中央部が機体を構成するメインフレーム15の後端左右中央部に前後水平に設けた後輪ローリング軸Aに回動自在(ローリング自在)に支持されている。
そして、メインフレーム15の後端部に基部を溶接固定した左右リンクベースフレーム42,42の右リンクベースフレーム42に油圧シリンダー支持体91の基部を固定し、該油圧シリンダー支持体91に電磁バルブ付油圧シリンダー92がボルト93,93にて固定されている。また、該電磁バルブ付油圧シリンダー92から下方に向けて設けたピストンロッド92aの下端部を後輪伝動ケース19の後輪ローリング軸Aよりも右側に固定して設けた受部材94に連結部としての連結ピン95にて連結している。
そして、後輪伝動ケース19が水平状態の時に、後輪ローリング軸Aと連結ピン95の軸心を結ぶ線が水平になるように連結ピン95を配置している。
メインフレーム15後端部の左右中央位置には、機体の左右傾斜を検出する傾斜センサ96が設けられている。傾斜センサ96の機体傾斜検出は、制御装置CPUに入力され、該傾斜センサ96の機体傾斜検出によって制御装置CPUにて前記電磁バルブ付油圧シリンダー92の電磁バルブを切替えてピストンロッド92aをハ−ニ方向に移動させる。
即ち、例えば、右後輪11の接地面に凸部があるか左後輪11の接地面に凹部があって、機体が右側が高くなるように傾斜し始めると(または、左右後輪11,11の接地面全体が右側が高い傾斜面であって、機体が右側が高くなるように傾斜し始めると)、その機体傾斜を傾斜センサ96が検出して、制御装置CPUに検出値が入力されて、制御装置CPUは電磁バルブ付油圧シリンダー92の電磁バルブをピストンロッド92aがハ方向に退入移動するように切替えて、機体が水平になるまで後輪伝動ケース19を後輪ローリング軸A回りにホ方向に回動させる。
逆に、右後輪11の接地面に凹部があるか左後輪11の接地面に凸部があって、機体が左側が高くなるように傾斜し始めると(または、左右後輪11,11の接地面全体が左側が高い傾斜面であって、機体が左側が高くなるように傾斜し始めると)、その機体傾斜を傾斜センサ96が検出して、制御装置CPUに検出値が入力されて、制御装置CPUは電磁バルブ付油圧シリンダー92の電磁バルブをピストンロッド92aがニ方向に進出移動するように切替えて、機体が水平になるまで後輪伝動ケース19を後輪ローリング軸A回りにへ方向に回動させる。
上記の傾斜センサ96・制御装置CPU・電磁バルブ付油圧シリンダー92・後輪ローリング軸A回りに回動する後輪伝動ケース19等によって左右後輪ローリング制御機構が構成されている。
従って、左右後輪11,11は、走行する接地面に凹凸部や左右方向の傾斜があっても、接地面に対して左右後輪11,11が追従して上下移動制御されるので、機体の傾きを防止することができる。
そして、特に、傾斜センサ96を剛性の高い(強度のある)メインフレーム15に設けたことにより、走行時の機体の捩れの影響を受け難くて、正確に機体の左右傾斜を検出して接地面に対し左右後輪11,11が適切に追従するように上下移動制御(以下、ローリング制御と謂う)することができ、機体の傾きを適正に防止することができる。
また、傾斜センサ96はメインフレーム15の左右方向中央部で、且つ、左右後輪11,11の後輪ローリング軸Aの近くに配置したので、更に、左右後輪11,11のローリング制御を適正に行える。
また、電磁バルブ付油圧シリンダー92を機体左右中心に対してエンジン20のマフラー20aを配置した側と反対側に設けたので、マフラー20aの熱影響を油圧シリンダー92が受けて異常作動することが、防止でき、左右後輪11,11のローリング制御を適正に行える。更に、エンジン20を冷却する冷却風が機体右側から左側に排風される構成とし、その機体右側に電磁バルブ付油圧シリンダー92を設けたので、エンジン20及びマフラー20aの熱影響を油圧シリンダー92が受けて異常作動することが、更に防止でき、左右後輪11,11のローリング制御を適正に行える。
また、昇降リンク装置3を装着する剛性の高いリンクベースフレーム42に電磁バルブ付油圧シリンダー92を設けたので、電磁バルブ付油圧シリンダー92を設ける為にメインフレーム15から特別に装着用フレームを設ける必要がなく、構造簡潔で安価な構成となる。
また、後輪伝動ケース19が水平状態の時に、ピストンロッド92aの下端部と後輪伝動ケース19の受部材94を連結する連結ピン95の軸心と後輪ローリング軸Aの軸心とを結ぶ線が水平になるように連結ピン95を配置(後輪ローリング軸Aの水平方向側方に連結ピン95を配置)しているので、電磁バルブ付油圧シリンダー92にて後輪ローリング軸Aの軸心回りに後輪伝動ケース19を回動させても、左右後輪11,11の左右移動量は少なくなり、左右後輪11,11は良好な走行性能を発揮することができる。
また、後輪伝動ケース19は右後輪ギヤケース18に整地ロータ駆動用ケースが設けられているので、後輪伝動ケース19は右側が重い構成となっているが、この後輪伝動ケース19の重い側を電磁バルブ付油圧シリンダー92にて吊って支える構成となっているので、電磁バルブ付油圧シリンダー92にて後輪ローリング軸Aの軸心回りに適正に後輪伝動ケース19を回動させることができ、左右後輪11,11のローリング制御を適正に行える。
以上に記載したように、この乗用型田植機1は、走行する接地面に凹凸部や左右方向の傾斜があっても、左右前輪10,10は、接地面に対して左右前輪10,10が各々追従して上下移動し、左右後輪11,11は、接地面に対して左右後輪11,11が追従して上下移動制御(ローリング制御)されるので、機体の傾きを適正に防止し、水田圃場で優れた走行性能を発揮して適切な苗植付け作業を行なうことができる。また、路上での走行時も機体の左右傾斜が防止されるので、優れた乗り心地で運転が楽で疲れない。
次に、図5と図6に示す線引きマーカ100について説明する。
苗植付部4の左右両側には、次工程での機体のセンターを示すラインを圃場に作る左右線引きマーカ100,100が圃場に線を引く作用状態と上方に収納した収納状態とに切り替え自在に装着されている。
線引きマーカ100は、苗植付部4の機体側に基部が枢支されて上下動するアーム101の先端部に水車状マーカ102が回転自在に装着されている。そして、水車状マーカ102の外周面には泥土掘起し爪部103…が一定間隔で設けられている。そして、水車状マーカ102が泥面に接当して回転することによって、泥土掘起し爪部103…が泥土を抱えて持ち上げ、泥面上に落として、泥の小さな塊を列状に形成して次工程での機体のセンターを示すラインを圃場に作る。
この時、泥面の硬さは圃場によってことなるので、水車状マーカ102が泥面に接当して回転する条件が圃場によって異なり、泥土の軟らかい圃場と泥土の硬い圃場で水車状マーカ102が泥面に接当して回転する抵抗を変えた方が、より適正に次工程での機体のセンターを示すラインを圃場に作ることができる。
そこで、アーム101に係合突起104を形成し、該係合突起104に係合して回転しない抵抗板105をアーム101に装着する。抵抗板105の一側面にのみ凸部106,106を2箇所設けてあり、該凸部106,106に係合する凹部107,107を水車状マーカ102に形成している。そして、抵抗板105の一側面の凸部106,106に水車状マーカ102の凹部107,107が係合する状態で水車状マーカ102をアーム101に装着し、その外側に圧縮バネ108・座金109を嵌めて割りピン110で抜け止めをして構成している。この状態では、水車状マーカ102は圧縮バネ108の押圧力を受けて抵抗板105の凸部106,106と水車状マーカ102の凹部107,107が係合しているから、所定以上の回転外力が水車状マーカ102に作用しないと水車状マーカ102は回転しない。従って、泥土の硬い圃場では、この状態で使用すると、水車状マーカ102は、泥土面が硬いので比較的強い回転力を受けて、圧縮バネ108の押圧力に抗して凸部106,106と凹部107,107との係合が離れて回転し、適正な回転速度となり、適正に次工程での機体のセンターを示すラインを圃場に作ることができる。
また、泥土の軟らかい圃場では、抵抗板105を裏返してアーム101に装着し、水車状マーカ102の回転が自由回転になるようにする。すると、泥土の軟らかい圃場でも水車状マーカ102は泥面に接当して自由回転し、適正に次工程での機体のセンターを示すラインを圃場に作ることができる。
また、機体を水田圃場で走行させて田植作業を行なう時、左右後輪11,11に泥土が付着して、左右後輪11,11が泥土を持ち上げて側方の既植苗(前行程で植付けた苗)の上に落として、苗を押し潰してしまうと謂う事態が発生することがある。
そこで、苗植付部4側からアームを前方に向けて設け、該アームにブラシ等の泥落とし部材を設けて、該泥落し部材を左右後輪11,11が泥土面から出てきた位置で接当させて泥を掻き落として、左右車輪11,11が泥土を上方に持ち上げないようにする。このように構成すると、前記のような左右後輪11,11が泥土を持ち上げて側方の既植苗の上に落として、苗を押し潰してしまうと謂うような事態を防止でき、良好な田植作業が行なえる。
また、泥落し部材は苗植付部4側に装着されているから、耕盤深さが変更して左右後輪11,11の泥土面内に入っている深さが変化しても、該耕盤深さに対応して苗植付部4は昇降リンク装置3にて自動的に上下制御されるので、常に、泥落し部材を左右後輪11,11が泥土面から出てきた位置で接当させて泥を掻き落とすことができ、良好な田植作業が行なえる。
本発明は、田植機以外に、野菜移植機やイ草移植機等の色々な乗用作業機に適用できる。
乗用型田植機の側面図である。 乗用型田植機の平面図である。 要部拡大断面図である。 要部拡大背面図である。 線引きマーカの作用説明用側面図である。 線引きマーカの各部材を分解した正面図である。
10 左右前輪
11 左右後輪
81a・81b 弾性部材(圧縮バネ)
A 後輪ローリング軸
19 後輪支持部材(後輪伝動ケース)
96 左右傾斜センサ
20a マフラー
20 エンジン
92 油圧シリンダー(電磁バルブ付油圧シリンダー)
15 メインフレーム
92a ピストンロッド
95 連結部(連結ピン)

Claims (1)

  1. 機体前部に操向操作される左右前輪(10)を設け、機体後部に左右後輪(11)を設けた乗用作業機において、左右前輪(10)は各々弾性部材(81a・81b)を介して機体に懸架すると共に、機体上にエンジン(20)を搭載し、エンジン(20)の一側にマフラー(20a)を配置し、マフラー(20a)を配置した側とエンジン(20)の反対側からマフラー(20a)側に向けてエンジン(20)の冷却風が流れる構成とし、機体に設けた後輪ローリング軸(A)回りに回動自在に装着した後輪支持部材(19)の左右に左右後輪(11)を設け、機体に設けた左右傾斜センサ(96)の機体左右傾斜検出によって後輪支持部材(19)を後輪ローリング軸(A)回りに回動させて機体を水平に維持する左右後輪ローリング制御機構を設け、後輪支持部材(19)を後輪ローリング軸(A)回りに回動させる油圧シリンダー(92)を設け、機体及びエンジン(20)の左右一側にマフラー(20a)を配置し、機体の左右他側に油圧シリンダー(92)を配置し、マフラー(20a)を配置した側と左右方向でエンジン(20)の反対側からマフラー(20a)側に向けてエンジン(20)の冷却風が流れる構成としたことを特徴とする乗用作業機
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