JP4807385B2 - 干渉評価方法、装置、およびプログラム - Google Patents

干渉評価方法、装置、およびプログラム Download PDF

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Description

本発明は、複数の物体の位置および内部状態に基づいて各物体の進路を予測し、この予測結果を用いて物体の進路間の干渉を評価する干渉評価方法、装置、およびプログラムに関する。
近年、四輪自動車等の移動体の自動運転を実現するために、さまざまな試みがなされてきている。移動体の自動運転を実現するためには、周囲に存在する車両、歩行者、または障害物などの物体の正確な検知と、この検知結果に基づいた走行中の危険の回避とが重要である。このうち、周囲の物体を精度よく検知するための技術として、各種センサや各種レーダを用いた物体検知技術が知られている。
移動体の自動運転技術は、目的地を入力すれば自動的に出発地から目的地へと移動体を動かす技術である。この技術は、移動範囲が狭い場合には、移動範囲の地図を事前に作成し、動的な障害物の影響を事前予測することによって経路探索技術に帰着させることができる。しかしながら、移動体が自動車である場合のように、移動体の移動範囲が広範囲である場合には、自動運転技術を経路探索技術に帰着させることはできない。ここでいう広範囲とは、動的障害物を回避する上で必要な時間tと全工程を走行するために必要な時間τとが著しく異なるような範囲のことであり、例えばtが数秒程度であるのに対して、τが数時間程度であるような場合である。
移動体の移動範囲が広範囲である場合、自動運転技術を経路探索技術に帰着させることはできないのには、主に二つの理由がある。まず、第1の理由を述べる。移動体が出発地を出発してから、例えば10t程度時間が経過した後の状況を考える。この場合には、動的な障害物の影響は道路全体に広がり、衝突しない経路を定義することができない。すなわち、移動体の移動範囲が広範囲である場合、出発地から目的地までの経路を事前に算出することは不可能となる。次に、第2の理由を述べる。移動体の移動範囲が広範囲である場合には、上述したように、全工程を走行するために必要な時間τはtと比べて非常に長い。このため、自動車に搭載されるコンピュータが、現実の衝突回避を実現可能な実用的な時間の内に必要な計算を終了することは不可能である。
このように、自動車などの広範囲を移動する移動体の自動運転技術においては、少なくとも他の動的障害物の影響を考慮しないか、またはその影響を実用上必要とせずに行う経路探索技術に加えて、動的障害物との衝突回避に必要な計算を実用的な時間で終了し、走行中の危険を回避するための進路を算出する進路算出技術が必要となる。
上述した進路算出技術として、走行中の危険を回避するための技術として、複数の物体と自車とから成るシステムにおいて、自車の位置および速度に関する情報と、自車以外の複数の物体の位置および速度に関する情報とを用いることにより、自車を含む各物体の進路を生成し、システムを構成する物体のうちいずれか二つの物体が衝突する可能性を予測する技術が知られている(例えば、非特許文献1を参照)。この技術では、システムを構成する全ての物体が取りうる進路を、確率概念を用いた同じ枠組みの操作系列によって予測して出力する。その後、得られた予測結果に基づいて、自車を含むシステム全体にとって最も安全な状況を実現する進路を求めて出力する。
A. Broadhurst, S. Baker, and T. Kanade, "Monte Carlo Road Safety Reasoning", IEEE Intelligent Vehicle Symposium (IV2005), IEEE,(2005年6月)
しかしながら、上記非特許文献1に開示されている技術では、システムを構成する全ての物体が安全となるような進路を予測することを主眼としているため、そのような予測によって得られた進路が、特定の物体(例えば自車)にとっての安全性を十分に確保するものであるか否かは定かではなかった。
この点についてより具体的に説明する。現実の道路状況においては、他車の運転者または歩行者が道路状況の認知ミスを起こし、本人が意識しないうちに自車を含む周囲の物体にとって好ましくない挙動を示す可能性がある。これに対して、上述した非特許文献1では、全ての物体は安全性を優先した挙動を示すということが暗黙裡に仮定されているため、ある物体が周囲の物体にとって好ましくない挙動を示す場合のように、現実として起こりうる状況下においても十分な安全性を確保することができるか否かは不明であった。
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、現実として起こりうる状況下においても安全性の確保を図ることができる干渉評価方法、装置、およびプログラムを提供することを目的とする。
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る干渉評価方法は、複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価方法であって、前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成ステップと、前記軌跡生成ステップで生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測ステップと、前記予測ステップで予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出ステップと、を有することを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記干渉度算出ステップは、前記特定の物体と前記その他の物体の各々とが互いに干渉しあう空間的な距離である干渉距離よりも近づく回数に応じて、前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度の値を所定量だけ増加または減少させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づいたとき、この近づいた両物体間の前記干渉度の値を当該両物体の前記時空間上での衝突確率に比例して増加させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づいたとき、この近づいた両物体間の前記干渉度の値を当該両物体が近づいた時点での相対速度の大きさに比例して増加させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記記憶手段は、異なる物体間の衝突時の相対速度の大きさと当該衝突によって生じる被害の規模を評価する被害規模評価値または当該衝突によって生じる被害損失額とを対応付けて記憶し、前記干渉度算出ステップは、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づいたとき、この両物体が近づいた時点での相対速度の大きさに応じた前記被害規模評価値または前記被害損失額を前記記憶手段から読み出し、当該両物体間の前記干渉度を前記被害規模評価値または前記被害損失額に比例して増加させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づくまでに各物体の初期位置から要した時間が当該両物体間の前記干渉度の値よりも小さい場合には、前記初期位置から要した時間を前記干渉度の値とすることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記特定の物体と前記その他の物体との各干渉度の値を重み付けして和を取ることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記軌跡生成ステップは、前記物体に対する操作を複数の操作から選択する操作選択ステップと、前記操作選択ステップで選択した操作を所定時間動作させる物体操作ステップと、前記物体操作ステップで前記選択した操作を動作させた後の前記物体の位置および内部状態が当該物体の制御に関する制御条件および当該物体の移動可能領域に関する移動条件を満たしているか否かを判定する判定ステップと、を含み、前記操作選択ステップから前記判定ステップに至る一連の処理を、軌跡を生成する軌跡生成時間に達するまで繰り返し行うことを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記操作選択ステップは、前記複数の操作の各々に付与された操作選択確率にしたがって操作を選択し、前記判定ステップで判定した結果、前記物体の位置および内部状態が前記制御条件および前記移動条件を満たしている場合には、時間を進めて前記操作選択ステップに戻ることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記操作選択確率は、乱数を用いて定義されることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記軌跡生成ステップで生成すべき軌跡の数が予め定められていることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価方法は、上記発明において、前記干渉度算出ステップで算出した干渉度に応じた情報を出力する出力ステップをさらに有することを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価装置であって、前記複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段と、前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成手段と、前記軌跡生成手段で生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測手段と、前記予測手段で予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出手段と、を備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記干渉度算出手段は、前記特定の物体と前記その他の物体の各々とが互いに干渉しあう空間的な距離である干渉距離よりも近づく回数に応じて、前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度の値を所定量だけ増加または減少させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記干渉度算出手段は、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づいたとき、この近づいた両物体間の前記干渉度の値を当該両物体の前記時空間上での衝突確率に比例して増加させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記干渉度算出手段は、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づいたとき、この近づいた両物体間の前記干渉度の値を当該両物体が近づいた時点での相対速度の大きさに比例して増加させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記記憶手段は、異なる物体間の衝突時の相対速度の大きさと当該衝突によって生じる被害の規模を評価する被害規模評価値または当該衝突によって生じる被害損失額とを対応付けて記憶し、前記干渉度算出手段は、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づいたとき、この両物体が近づいた時点での相対速度の大きさに応じた前記被害規模評価値または前記被害損失額を前記記憶手段から読み出し、当該両物体間の前記干渉度を前記被害規模評価値または前記被害損失額に比例して増加させることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記干渉度算出手段は、前記特定の物体と前記その他の物体のうちのいずれか一つの物体とが前記干渉距離よりも近づくまでに各物体の初期位置から要した時間が当該両物体間の前記干渉度の値よりも小さい場合には、前記初期位置から要した時間を前記干渉度の値とすることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記干渉度算出手段は、前記特定の物体と前記その他の物体との各干渉度の値を重み付けして和を取ることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記軌跡生成手段は、前記物体に対する操作を複数の操作から選択する操作選択手段と、前記操作選択手段で選択した操作を所定時間動作させる物体操作手段と、前記物体操作手段で前記選択した操作を動作させた後の前記物体の位置および内部状態が当該物体の制御に関する制御条件および当該物体の移動可能領域に関する移動条件を満たしているか否かを判定する判定手段と、を含み、前記操作選択手段による操作選択処理から前記判定手段による判定処理に至る一連の処理を、軌跡を生成する軌跡生成時間に達するまで繰り返し行うことを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記操作選択手段は、前記複数の操作の各々に付与された操作選択確率にしたがって操作を選択し、前記判定手段で判定した結果、前記物体の位置および内部状態が前記制御条件および前記移動条件を満たしている場合には、時間を進めて前記操作選択手段による操作選択処理に戻ることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記操作選択確率は、乱数を用いて定義されることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記軌跡生成手段で生成すべき軌跡の数が予め定められていることを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価装置は、上記発明において、前記干渉度算出手段で算出した干渉度に応じた情報を出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする。
また、本発明に係る干渉評価プログラムは、上記いずれかの発明に記載の干渉評価方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とする。
本発明によれば、複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成し、この生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行い、この予測した結果に基づいて、前記時空間上で前記特定の物体が取りうる軌跡と前記その他の物体が取りうる軌跡との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出することにより、現実として起こりうる状況下においても安全性の確保を図ることが可能となる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態(以後、「実施の形態」と称する)を説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る干渉評価装置の機能構成を示すブロック図である。同図に示す干渉評価装置1は、四輪自動車等の移動体に搭載され、特定の物体である自車の周囲の所定範囲に存在する物体を検知し、この検知した物体および自車の進路を予測し、この予測結果に基づいて、特定の物体である自車が取りうる進路と他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に評価する装置である。
干渉評価装置1は、各種情報が外部から入力される入力部2と、所定の範囲に存在する物体の位置や内部状態を検知するセンサ部3と、センサ部3が検知した結果に基づいて、物体が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡として生成する軌跡生成部4と、軌跡生成部4で生成した軌跡を用いて物体の進路の確率的な予測を行う予測部5と、予測部5で予測した結果に基づいて自車が取りうる進路と他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出部6と、干渉度算出部6による評価結果を含む各種情報を出力する出力部7と、センサ部3で検知した物体の位置や内部状態を含む各種情報を記憶する記憶部8と、を備える。
入力部2は、物体の進路を予測する際の各種設定情報等の入力を行う機能を有し、リモコン、キーボード(画面上での入力操作が可能なタッチパネル形式を含む)、ポインティングデバイス(マウス、トラックパッド等)などを用いて実現される。また、入力部2として、音声による情報の入力が可能なマイクロフォンを設けてもよい。なお、予め各種設定情報が定められる場合は、それらを格納したROM(Read Only Memory)等を有する記憶部8によって入力部2の機能を代替してもよい。
センサ部3は、ミリ波レーダ、レーザレーダ、画像センサ等を用いることによって実現される。また、センサ部3は、速度センサ、加速度センサ、舵角センサ、角速度センサ等の各種センサを備えており、自車の移動状況を検知することもできる。なお、センサ部3が検知する物体の内部状態とは、物体の予測に用いることができるような有益な状態のことであり、好ましくは物体の速度(速さと向きを有する)や角速度(大きさと向きを有する)等の物理量である。なお、それらの物理量の値が0の場合(物体が停止している状態)も含まれる。
軌跡生成部4は、所定の時間が経過するまでに物体が取りうる軌跡を予測生成するものであり、物体をシミュレーション上で仮想的に動作させるための操作を複数の操作から選択する操作選択部41と、操作選択部41で選択した操作を所定の時間行う物体操作部42と、物体操作部42で操作した後の物体の位置および内部状態が所定の条件を満たしているか否かを判定する判定部43とを有する。
出力部7は、干渉度算出部6による評価結果に応じた画像を表示出力する表示部71と、その評価結果に応じた警告音を発生する警告音発生部72とを有する。表示部71は、液晶、プラズマ、または有機EL(Electroluminescence)等のディスプレイを用いて実現される一方、警告音発生部72はスピーカ等を用いて実現される。本実施の形態1においては、表示部71として運転席の後方上部にプロジェクタを設置している。このプロジェクタは、四輪自動車のフロントガラスへの重畳表示を行う機能を有している。
記憶部8は、センサ部3での検知結果に加えて、軌跡生成部4で生成された軌跡、予測部5における予測結果、および干渉度算出部6における干渉度算出結果、軌跡生成部4の操作選択部41で選択する操作などを記憶する。この記憶部8は、所定のOS(Operation System)を起動するプログラムや本実施の形態1に係る干渉評価プログラム等が予め記憶されたROM、および各処理の演算パラメータやデータ等を記憶するRAM(Random Access Memory)を用いて実現される。また、記憶部8は、干渉評価装置1に対してコンピュータ読み取り可能な記録媒体を搭載可能なインタフェースを設け、このインタフェースに対応する記録媒体を搭載することによって実現することもできる。
以上の機能構成を有する干渉評価装置1は、演算および制御機能を有するCPU(Central Processing Unit)を備えた電子的な装置(コンピュータ)である。干渉評価装置1が備えるCPUは、記憶部8が記憶、格納する情報および上述した干渉評価プログラムを含む各種プログラムを記憶部8から読み出すことによって本実施の形態1に係る干渉評価方法に関する演算処理を実行する。
なお、本実施の形態1に係る干渉評価プログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク、CD−ROM、DVD−ROM、フラッシュメモリ、MOディスク等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して広く流通させることも可能である。
次に、本発明の実施の形態1に係る干渉評価方法について説明する。図2は、本実施の形態1に係る干渉評価方法の処理の概要を示すフローチャートである。以下の説明においては、予測対象の物体は全て2次元平面上を移動するものと仮定して説明を行うが、本実施の形態1に係る干渉評価方法は、3次元空間を移動する物体に対しても適用可能である。また、一つの物体が複数の自由度を有する場合(例えば6自由度を有するロボットアームのような物体)にも適用することができる。
まず、センサ部3において、所定の範囲にある物体の自車に対する位置および内部状態を検知し、検知した情報を記憶部8に格納する(ステップS1)。以後、物体の位置は物体の中心の値であるとし、物体の内部状態は速度(速さv、向きθ)によって特定されるものとする。なお、このステップS1において、自車の内部状態も検知し、記憶部8に格納することは勿論である。
次に、センサ部3によって入力された検知結果を用いることにより、軌跡生成部4が、物体ごとに時間および空間から構成される時空間上の軌跡を生成する(ステップS2)。図3は、軌跡生成部4における軌跡生成処理の詳細を示すフローチャートである。同図においては、センサ部3で検知した物体の総数(自車を含む)をKとし、一つの物体Ok(1≦k≦K、kは自然数)に対して軌跡を生成する演算をNk回行うものとする(この意味で、kおよびNkはともに自然数)。また、軌跡を生成する時間(軌跡生成時間)をT(>0)とする。
本実施の形態1では、軌跡生成時間T(および後述する操作時間Δt)を適切に定めることにより、実用的な計算時間で他車の進路など外界の変化の予測を行うことが可能となる。この点については、本発明の他の実施の形態に対しても共通していえることである。
ところで、以下に説明する演算を行う際、自車が予め設定された場所(目的地もしくは目的地に類する中間的な場所)に到達したか否かではなく、軌跡生成時間Tで予測演算を打ち切る構成とすることは技術思想上重要である。一般に道路上では、事前に安全が保障されている場所はない。例えば、図4に示すように、3車線の道路Rdを走行する自車O1が予め設定された場所Q1、Q2、Q3へ順次到達するとして予測を行うとき、その設定された場所に向けて自車O1が同じ車線をほぼ直進していく場合を考慮に入れると、他車O3が進路B3を取ることによって危険を回避するために進路B2をとって自車O1が走行している車線に進入してくる恐れがある。このように、従来の進路予測演算では、自車O1が予め設定された場所へ走行するのが安全であるということまでは事前に保証されない。
本実施の形態1においては、自車O1が到達すべき目的地等の場所を予め定めることなく、その都度最適な進路を判断しているため、図4と同じ状況下で、例えば図5に示すような進路B1を自車O1の進路として選択することができ、自車O1が走行する際の危険を適確に回避して、安全性を確保することが可能となる。
なお、軌跡生成時間Tの代わりに、生成すべき軌跡の長さを示す軌跡生成長によって予測計算の打ち切り条件を定めてもよい。この場合、物体の速度(自車の速度でもよい)によって軌跡生成長を適応的に変化させることは好ましい。
最初に、物体を識別するカウンタkの値を1とするとともに、同じ物体に対する軌跡生成回数を示すカウンタnの値を1とする初期化を行う(ステップS201)。なお、以下の説明は、一般の物体Okに対する処理として説明する。
次に、軌跡生成部4では、センサ部3で検知した結果を記憶部8から読み出し、この読み出した検知結果を初期状態とする(ステップS202)。具体的には、時間tを0とし、初期位置(xk(0)、yk(0))および初期内部状態(vk(0)、θk(0))を、それぞれセンサ部3からの入力情報(xk0、yk0)および(vk0、θk0)とする。
続いて、操作選択部41が、その後の時間Δtの間に行う操作uk(t)を、選択可能な複数の操作の中から、各操作に予め付与された操作選択確率にしたがって一つの操作を選択する(ステップS203)。操作ukcを選択する操作選択確率p(ukc)は、例えばuk(t)として選択可能な操作の集合{ukc}の要素と所定の乱数とを対応付けることによって定義される。この意味で、操作ukcごとに異なる操作選択確率p(ukc)を付与してもよいし、操作集合{ukc}の全要素に対して等しい確率を付与してもよい。後者の場合には、p(ukc)=1/(選択可能な全操作数)となる。なお、操作選択確率p(ukc)を、自車の位置および内部状態、ならびに周囲の道路環境に依存する関数として定義することも可能である。
一般に、操作ukcは複数の要素から構成され、物体Okの種類によって選択可能な操作の内容が異なる。例えば、物体Okが四輪自動車の場合、その四輪自動車の加速度や角速度はステアリングの切り具合やアクセルの踏み具合等によって決まる。このことに鑑みて、四輪自動車である物体Okに対して施される操作ukcは、加速度や角速度を含む要素によって決定される。これに対して、物体Okが人である場合には、速度によって操作ukcを指定することができる。
より具体的な操作ukcの設定例を挙げる。物体Okが自動車の場合には、加速度を−10〜+30km/h/sec、操舵角を−7〜+7deg/secの範囲で取り(いずれも符号で向きを指定)、物体Okが人の場合には、速さを0〜36km/h、向きを0〜360degの範囲で取る。なお、ここで記載した量は全て連続量である。このような場合には、適当な離散化を施すことによって各操作の要素数を有限とし、操作の集合{ukc}を構成すればよい。
この後、物体操作部42が、ステップS203で選択した操作ukcを時間Δtの間動作させる(ステップS204)。この時間Δtは、精度の上では小さい方がより好ましいが、実用上は0.1〜0.5(sec)程度の値とすればよい。なお、以下の説明において、軌跡生成時間TはΔtの整数倍であるとするが、Tの値は物体Oiの速度に応じて可変としてもよく、Δtの整数倍でなくてもよい。
続いて、判定部43では、ステップS204で操作ukcを動作させた後の物体Okの内部状態が所定の制御条件を満たしているか否かを判定する(ステップS205)とともに、操作ukcを動作させた後の物体Okの位置が移動可能領域内にあるか否かを判定する(ステップS206)。このうち、ステップS205で判定する制御条件は、物体Okの種類に応じて定められ、例えば物体Okが四輪自動車である場合には、ステップS204の動作後の速度の範囲や、ステップS204の動作後の加速度の最高車両G等によって定められる。他方、ステップS206で判定する移動可能領域とは、道路(車道、歩道を含む)等の領域を指す。以後、物体が移動可能領域に位置する場合を、「移動条件を満たす」と表現する。
上述した判定部43における判定の結果、一つでも満足しない条件がある場合(ステップS205でNoまたはステップS206でNo)には、ステップS202に戻る。これに対して、判定部43における判定の結果、ステップS204における操作ukc終了後の物体Okの位置および内部状態が全ての条件を満足している場合(ステップS205でYesおよびステップS206でYes)には、時間をΔtだけ進め(t←t+Δt)、ステップS204の動作後の位置を(xk(t)、yk(t))、内部状態を(vk(t)、θk(t))とする(ステップS207)。
以上説明したステップS202〜S207の処理は、軌跡生成時間Tに達するまで繰り返し行われる。すなわち、ステップS207で新たに定義された時間tがTに達していない場合(ステップS208でNo)、ステップS203に戻って処理を繰り返す。他方、ステップS207で新たに定義された時間tがTに達した場合(ステップS208でYes)、物体Okに対する軌跡を出力し、記憶部8に格納する(ステップS209)。
図6は、物体Okに対して時間t=0、Δt、2Δt、・・・、TでステップS203からステップS207に至る一連の処理を繰り返すことによって生成された物体Okの軌跡を模式的に示す図である。同図に示す軌跡Pk(m)(1≦m≦Nk、mは自然数)は、空間2次元(x、y)、時間1次元(t)の3次元時空間(x,y,t)を通過する。この軌跡Pk(m)をx−y平面上に射影すれば、2次元空間(x,y)における物体Okの予測進路を得ることができる。
ステップS209の後、カウンタnの値がNkに達していなければ(ステップS210でNo)、カウンタnの値を1増やし(ステップS211)、ステップS203に戻って上述したステップS203〜S208の処理を軌跡生成時間Tに達するまで繰り返し行う。
ステップS210でカウンタnがNkに達した場合(ステップS210でYes)、物体Okに対する全ての軌跡の生成が完了する。図7は、一つの物体Okに対して生成されたNk個の軌跡Pk(1)、Pk(2)、・・・、Pk(Nk)から成る軌跡集合{Pk(n)}を3次元時空間上で模式的に示す説明図である。軌跡集合{Pk(n)}の要素をなす各軌跡の始点すなわち初期位置(xk0,yk0,0)は同じである(ステップS202を参照)。なお、図7はあくまでも模式図であり、Nkの値としては、例えば数百〜数万程度の値をとることが可能である。
ステップS210でカウンタnがNkに達した場合、物体識別用のカウンタkが物体の総数Kに達していなければ(ステップS212でNo)、そのカウンタkの値を1増やすとともに軌跡生成回数のカウンタnの値を1に初期化し(ステップS213)、ステップS202に戻って処理を繰り返す。これに対して物体のカウンタkがKに達した場合(ステップS212でYes)、全ての物体に対する軌跡生成が完了したことになるので、ステップS2の軌跡生成処理を終了し、続くステップS3に進む。
このようにして、センサ部3で検知した全ての物体に対して所定の回数の軌跡生成処理を行うことにより、3次元時空間の所定の範囲内に存在する複数の物体が取りうる軌跡の集合から成る時空間環境が形成される。図8は、時空間環境の構成例を模式的に示す説明図である。同図に示す時空間環境Env(P1,P2)は、物体O1の軌跡集合{P1(n1)}(図8では実線で表示)および物体O2の軌跡集合{P2(n2)}(図8では破線で表示)から成る。より具体的には、時空間環境Env(P1,P2)は、二つの物体O1およびO2が、高速道路のような平坦かつ直線状の道路Rを+y軸方向に向かって移動している場合の時空間環境を示すものである。本実施の形態1においては、物体同士の相関は考慮せずに物体ごとに独立に軌跡生成を行っているため、異なる物体の軌跡同士が時空間上で交差することもある。
図8において、時空間の各領域における軌跡集合{Pk(nk)}(k=1,2)の単位体積当たりの密度は、その時空間の各領域における物体Okの存在確率の密度(以後、「時空間確率密度」と称する)を与えている。したがって、ステップS2における軌跡生成処理によって構成された時空間環境Env(P1,P2)を用いることにより、物体Okが3次元時空間上の所定の領域を通過する確率を求めることが可能となる。なお、上述した時空間確率密度は、あくまでも時空間上における確率概念であるため、一つの物体に対して時空間上でその値の総和を取ったときに1になるとは限らない。
ところで、軌跡生成時間Tの具体的な値は、予め固定値として設定する場合には、その値Tを超えたところまで軌跡を生成すると時空間上の確率密度分布が一様になってしまい、計算しても意味がないような値とするのが好ましい。例えば、物体が四輪自動車であって、その四輪自動車が通常の走行を行っている場合には、たかだかT=5(sec)程度とすればよい。この場合、ステップS204における操作時間Δtを0.1〜0.5(sec)程度とすると、1本の軌跡Pk(m)を生成するために、ステップS203からステップS207に至る一連の処理を10〜50回繰り返すことになる。
なお、高速道路、一般道、2車線道路などの道路の種類ごとに異なる軌跡生成時間Tを設定し、位置データを用いて現在走行中の道路の種類を地図データから読み取る方法や、画像認識等を応用した道路認識装置によって道路の種類を読み取る方法などによって切替を行うことは好ましい。
また、軌跡生成時間Tまで算出した軌跡を用いることによって時空間上の確率密度分布を統計的に評価し、分布が一定となっている場合には軌跡生成時間Tを減らし、分布が一定となっていない場合には生成時間を増やすような適応制御を行うことも好ましい。
さらには、自車の取り得る複数の進路を予め用意しておき、自車の進路と他の物体の進路との交差する確率が一定となる時間を軌跡生成時間Tとして予測を行うことも可能である。この場合、予測時間をΔtだけ増やしたときに自車の取り得る進路ごとのリスクの増分が一定となる場合をもって打ち切り条件としてもよい。かかる構成においては、安全を確保するために現在取るべき進路の判断材料を得るため、自車の取り得る進路の未来側の端点が空間的に広く分布するように設定されていることはいうまでもない。
以上説明した物体ごとの軌跡生成処理の後、予測部5では、各物体が取りうる進路の確率的な予測を行う(ステップS3)。以下では、予測部5における具体的な予測演算処理として、物体Okに対して生成された軌跡集合{Pk(nk)}の中で特定の軌跡Pk(m)が選ばれる確率を求める場合について説明するが、この予測演算が一例に過ぎないことは勿論である。
物体Okの軌跡がNk本生成されたとき、そのうちの1本の軌跡Pk(m)が実際の軌跡となる確率p(Pk(m))は、次のように算出される。まず、物体Okの軌跡Pk(m)を実現するための操作列{ukm(t)}が{ukm(0),ukm(Δt),ukm(2Δt),・・・,ukm(T)}であったとすると、時間tにおいて操作ukm(t)が選択される確率はp(ukm(t))であったので、t=0〜Tで操作列{ukm(t)}が実行される確率は、
Figure 0004807385
と求められる。したがって、物体OkにNk本の軌跡集合{Pk(nk)}が与えられたとき、物体Okが取りうる一つの軌跡Pk(m)が選ばれる確率p(Pk(m))は、
Figure 0004807385
となる。
ここで、全ての操作ukm(t)が等確率p0(ただし、0<p0<1)で選択される場合、式(1)は、
Figure 0004807385
となる。ここで、sはt=0からTまでの操作時間Δtの総数すなわち操作回数である。したがって、物体Okが取りうるNk本の軌跡に含まれる軌跡Pk(m)の確率の総和はNk0 sとなり、そのうちの1本の軌跡Pk(m)が選ばれる確率p(Pk(m))は、式(3)を式(2)に代入することによって、
Figure 0004807385
となる。すなわち、確率p(Pk(m))は軌跡Pk(m)に依存しない。
なお、式(4)において、全ての物体に対して生成する軌跡の数が同じ(N本)であるとすると、N1=N2=・・・=NK=N(定数)なので、p(Pk(m))=1/Nとなり、物体Okによらず一定となる。この場合には、確率p(Pk(m))の値を1に規格化することによって予測部5における予測演算を簡素化し、より迅速に所定の予測演算を実行することが可能となる。
予測部5では、物体Ok(k=1,2,・・・,K)ごとに算出した確率p(Pk(m))に基づいて、3次元時空間の各領域における単位体積当たりの物体Okの存在確率を求める。この存在確率は、軌跡集合{Pk(nk)}の3次元時空間上の時空間確率密度に対応しており、通過している軌跡の密度が高い領域は、存在確率が概ね大きい。
続くステップS4では、干渉度算出部6で自車と他車との間の干渉度を算出する(ステップS4)。図9は、干渉度算出処理の詳細を示すフローチャートである。以後の説明においては、物体O1を自車とする。また、説明の便宜上、その他の物体Ok(k=2,3,・・・,K)もすべて四輪自動車であるとし、他車Okと称する。図9に示す干渉度算出処理は、4つのループ処理から構成されており、ステップS3で求めた自車O1の軌跡集合{P1(n1)}の全要素に対して、他車Okの全ての軌跡集合{Pk(nk)}との間の干渉度を個別に算出する。
ステップS4で干渉度算出部6が受け取る入力は、自車O1の軌跡集合{P1(n1)}、他車Okの全ての軌跡集合{Pk(nk)}、および自車O1と他車Okの干渉度を評価する干渉度評価関数である。なお、本実施の形態1では、干渉度算出部6が干渉度評価関数を内蔵しているものとして説明を行うが、この干渉度評価関数を外部から入力する構成としてもよい。また、干渉度評価関数を道路の種類や自車O1の速度によって適応的に変化させる構成としてもよい。
このようにして、他者の軌跡集合と互いの端点が異なる自車の軌跡集合との干渉度を評価することにより、図5を用いて説明した場合のように、自車が到達すべき目的地等の場所を予め定めることなく、その都度最適な進路を判断し、自車走行中の危険を適確に回避して、安全性を確保することが可能となる。その結果、図4に示す場合のように、道路上では予め設定された場所に向かって自車が走行しても安全が保障されないという致命的な問題を解決することができる。
まず、自車O1の全ての軌跡に対する繰り返し処理(Loop1)を開始する(ステップS401)。この際には、軌跡集合{P1(n1)}の一つの軌跡を選択し、その選択した軌跡に対して後に続く処理を実行する。
次に、他車Okに対する繰り返し処理(Loop2)を開始する(ステップS402)。このLoop2では、他車識別用のカウンタk=2と初期化して、1回ごとの繰り返し処理が終了するたびにkの値を増やしていく。
Loop2の中では、他車Okに対し、ステップS3で生成した軌跡集合{Pk(nk)}の全要素に対する繰り返し処理(Loop3)が行われる(ステップS403)。この繰り返し処理においては、Loop1の繰り返しすなわち自車O1に対して生成された軌跡を識別するカウンタn1と他車識別用のカウンタkとによって定められる干渉度をr1(n1,k)とし、このr1(n1,k)の値を0とおく(ステップS404)。
続いて、自車O1の軌跡P1(n1)と他車Okの軌跡Pk(nk)との干渉を評価するための繰り返し処理(Loop4)を開始する(ステップS405)。このLoop4では、二つの軌跡P1(n1)と軌跡Pk(nk)との同時間における距離を、時間t=0,Δt,・・・、Tにおいて順次求める。各軌跡の2次元空間上の位置は、各車両の中心として定義されているため、二つの軌跡の空間的な距離が所定値(例えば車両の標準的な幅や長さ)よりも小さくなった場合、自車O1と他車Okは衝突したとみなすことができる。この意味で、二つの車両の座標値が一致しなくても二つの物体が衝突したと判定される場合がある。以後、二つの車両が衝突したとみなし得る距離の最大値(互いに干渉しあう空間的な距離)のことを干渉距離と呼ぶ。
図10は、自車O1の軌跡P1(n1)と他車Okの軌跡Pk(nk)との時空間上での関係を模式的に示す図である。同図に示す場合、軌跡P1(n1)と軌跡Pk(nk)とは、2点C1およびC2で交差している。したがって、この2点C1およびC2の近傍には、二つの軌跡間の同時間における距離が干渉距離よりも小さい領域A1およびA2が存在する。すなわち、二つの軌跡P1(n1)および軌跡Pk(nk)が領域A1およびA2内にそれぞれ含まれる時間では、自車O1と他車Okとが衝突したという判定がなされる。換言すれば、時間t=0,Δt,・・・、Tのうちで、領域A1およびA2内を通過する数が自車O1と他車Okとの衝突回数である。
図10からも明らかなように、本実施の形態1において形成される時空間環境は、二つの軌跡が一度衝突してもその後の軌跡が生成される。これは、物体ごとの軌跡を独立に生成しているからである。
自車O1と他車Okの距離を求めた結果、上述した意味において自車O1と他車Okが衝突したと判定された場合(ステップS406でYes)には、干渉度r1(n1,k)の値を、
Figure 0004807385
とする(ステップS407)。ここで、第2項目c1k・p(Pk(nk))・F(t)について説明する。係数c1kは正の定数であり、例えばc1k=1とおくことができる。また、p(Pk(nk))は式(2)で定義される量であり、他車Okで1本の軌跡Pk(nk)が選ばれる確率である。最後のF(t)は、1回の衝突における物体間の干渉の時間依存性を与える量である。したがって、物体間の干渉に時間依存性を持たせない場合には、F(t)の値を一定とすればよい。これに対して、物体間の干渉に時間依存性を持たせる場合には、例えば図11に示すように、時間が経過するとともに値が徐々に小さくなっていくような関数としてF(t)を定義してもよい。図11に示すF(t)は、より直近の衝突を重要視する場合に適用される。
ステップS407の後、時間tがTに達していない場合には、Loop4を繰り返す(ステップS408でNo)。この場合には、tの値をΔt増加させ(ステップS409)、ステップS405に戻ってLoop4を繰り返す。他方、ステップS407の後、時間tがTに達している場合には、Loop4を終了する(ステップS408でYes)。なお、ある時間tで自車O1と他車Okが衝突しない場合には、Loop4を繰り返すか否かの判断処理(ステップS408)に直接進む。
以上説明したLoop4の繰り返し処理により、干渉度r1(n1,k)の値は、衝突回数が多いほど大きい値となる。このLoop4が終了した後、ステップS410ではLoop3を繰り返すか否かの判断処理を行う。すなわち、他車Okに対して生成した軌跡のうち自車O1の一つの軌跡P1(n1)との干渉評価が行われていないものがあれば(ステップS410でNo)、nkをnk+1とし(ステップS411)、ステップS403に戻ってLoop3を繰り返す。
これに対して、他車Okに対して生成した軌跡のうち自車O1の一つの軌跡P1(n1)との干渉評価が全て行われた場合(ステップS410でYes)には、自車O1の軌跡P1(n1)と他車Okの全軌跡との間の干渉を評価する最終的な干渉度r1(n1,k)を付与し(ステップS412)、この付与した値を出力して記憶部8に格納する(ステップS413)。
ステップS413で出力された最終的な干渉度r1(n1,k)の値は、他車Okの全軌跡中、1本の軌跡Pk(nk)が選ばれる確率p(Pk(nk))に依存している。このため、式(5)において、係数c1kをkによらずに一定(例えばc1k=1)とし、F(t)を定数(例えば1)とおき、自車O1の軌跡P1(n1)と他車Okの軌跡Pk(nk)との衝突回数をM1k(n1,nk)とすると、干渉度r1(n1,k)の値は、軌跡Pk(nk)ごとの確率p(Pk(nk))をM1k(n1,nk)倍した値を全ての軌跡集合{Pk(nk)}の要素について和を取ったものになる。この和は、自車O1の一つの軌跡P1(n1)と他車Okが取りうる軌跡と衝突する衝突確率に他ならない。したがって、干渉度r1(n1,k)として最終的に得られる値は、自車O1の一つの軌跡P1(n1)と他車Okとの衝突確率に比例して増加する。
ステップS413に続いて、Loop2を繰り返すか否かの判断処理を行う。自車O1との干渉評価を行うべき他車Okが残っている場合(ステップS414でNo)には、kの値を1増加させ(ステップS415)、ステップS402に戻ってLoop2を繰り返す。他方、自車O1との干渉評価を行うべき他車Okが残っていない場合(ステップS414でYes)には、続くステップS416に進む。
ステップS416では、Loop1を繰り返すか否かの判断処理を行う。具体的には、自車O1の軌跡集合{P1(n1)}のうちで干渉評価を行うべき軌跡が残っている場合(ステップS416でNo)には、n1の値を1増加させ(ステップS417)、ステップS401に戻ってLoop1を繰り返す。他方、自車O1の軌跡集合{P1(n1)}のうちで干渉評価を行うべき軌跡が残っていない場合(ステップS416でYes)には、Loop1を終了して干渉度算出処理(ステップS4)が終了する。
この後、出力部7は、ステップS4で算出した干渉度に応じた情報を評価結果として出力する(ステップS5)。図12は、出力部7の表示部71における予測結果の表示出力例を示す図であり、二つの自車O1および他車O2によって構成された時空間環境Env(P1,P2)(図8を参照)において干渉評価を行った場合の表示出力例を模式的に示す図である。より具体的には、図12では、自車O1と他車O2の干渉度r1(n1,2)に応じて、自車O1が2次元平面上で取りうる進路のうち、その干渉度r1(n1,2)の値が予め定めた閾値を超えるような領域を物体O1(自車)のフロントガラスFに半透明に重畳表示した場合を図示している。
図12において、半透明に表示されている二つの領域Daと領域Dbとでは照度が異なっている(ここでは、領域Daの照度の方が大きいとする)。かかる照度の違いは干渉度
1(n1,2)の値の差に対応しており、照度が領域Da付近へ走行する進路を選択した方が干渉度r1(n1,2)の値が大きいことを意味している。したがって、自車O1の運転者は、干渉度r1(n1,2)の値が相対的に小さい領域Dbの方に進路を取った方が危険を回避した運転ができることになる。
上述した重畳表示は、物体O1の運転席の後方上部に設置されたプロジェクタ(出力部7の一部をなす、図示せず)が画像をフロントガラスFに投影することによって実現される。これにより、物体O1の運転者は、自車の前方を目視して運転しながら、近い将来に危険が生じる可能性のある領域を即座に認識することができる。したがって、その認識結果を運転に反映させることによって適確に危険を回避することが可能となる。
なお、表示部71で表示する以外にも、現在の操作に応じた予想される進路に対応して得られる干渉度r1(n1,2)の値が所定の閾値を超える場合には、警告音発生部72が警告音(音声を含む)を発生してもよい。
また、出力部7における表示出力例はこれに限られるわけではなく、例えばカーナビゲーションシステムの表示画面CN(図12を参照)に表示部71の機能を具備させることによって干渉評価結果を表示してもよい。この場合には、図13に示す領域DaおよびDbのように、表示画面CNに表示される2次元平面上で領域ごとに色の濃淡をつけて表示することも可能である。
以上説明した本発明の実施の形態1によれば、複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成し、この生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行い、この予測した結果に基づいて、前記時空間上で前記特定の物体が取りうる軌跡と前記その他の物体が取りうる軌跡との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出することにより、現実として起こりうる状況下においても安全性の確保を図ることが可能となる。
また、本実施の形態1によれば、時空間上での衝突確率を用いて定義される干渉度を適用することにより、他の物体との衝突の可能性を実用的な時間の内に適確に判定することができる。
さらに、本実施の形態1によれば、時間と空間から構成される時空間上に形成された時空間環境を用いて物体の進路予測を行うことにより、静的物体だけでなく動的物体の進路予測も精度よく行うことができる。
加えて、本実施の形態1によれば、検知した物体の軌跡を互いに独立に生成しているため、特定の物体(例えば自車)とその他の物体とを区別することができる。この結果、特定の物体とその他の物体との間で生じうる危険度を容易にかつ適確に予測することが可能となる。
なお、干渉度r1(n1,k)の値を増加させる際の式(5)の係数c1kは定数とは限らない。例えば、係数c1kを自車O1と他車Okとの衝突時点の相対速度の大きさとしてもよい。一般に、相対速度の大きさが大きければ、衝突の際の衝撃は大きくなる。したがって、係数c1kを車両間の衝突時点での相対速度の大きさとした場合には、干渉度r1(n1,k)には車両間の衝突の衝撃度が加味されたことになる。
他にも、係数c1kに対して被害の深刻さを示す値を代入してもよい。この場合には、例えば衝突時の車両間の相対速度の大きさを、衝突によって生じる被害規模を数値化して評価する被害規模評価値または衝突によって生じる被害損失額と対応付けて記憶部8で記憶しておき、この記憶した値を記憶部8から読み出して係数c1kを付与すればよい。なお、センサ部3が物体の種別までを検知する機能を有している場合には、物体の種別に応じて被害規模評価値または被害損失額を定めておいてもよい。この場合、例えば衝突する相手の物体が人間の場合と車両の場合とでは、人間に衝突したときの係数c1kの値を他の物体に衝突したときの係数c1kの値よりも顕著に大きく取っておくなどして、人間と衝突する可能性を極力低くするようにすればより好ましい。
ところで、本実施の形態1は、上述したように4次元時空間(空間3次元、時間1次元)においても適用可能である。この場合には、高低差のある道路を走行中の自動車に適用できるのは勿論のこと、他にも飛行機やヘリコプターのように、空中を移動する移動体が同じく空中を移動する他の移動体の進路予測を行う場合にも適用可能である。
ここで、上記背景技術で引用した非特許文献1と本実施の形態1との差異について説明する。これら二つの技術は、ともに確率概念を用いた物体の進路予測を行っているが、非特許文献1では、所定の範囲内にある物体の進路を独立に予測しているわけではなく、相互の相関に基づいた確率計算を行っている。このため、複数の物体のうちいずれか二つの物体が衝突した場合、その二つの物体の進路予測は衝突した時点で終了する。これは、3次元時空間上で考えると、二つの異なる物体の軌跡は、交差した時点以後の衝突判定処理が行われないことを意味している。
これに対して、本実施の形態1では、物体の軌跡は物体ごとに独立に生成されるため、3次元時空間上において異なる物体の軌跡が交差しても、衝突判定処理は所定時間経過するまで継続される。このように、非特許文献1で生成される時空間環境と本実施の形態1で生成される時空間環境とは全く異質なものである。
また、本実施の形態1では、物体の相関を考慮することなく、物体ごとに独立な進路探索を行っているため、計算量も非特許文献1より少なくて済む。特に、本実施の形態1において、軌跡ごとの干渉度の算出回数は
Figure 0004807385
であり、時空間環境を構成する物体の総数によらず、軌跡の本数の2乗のオーダ程度の計算量で済む。これに対して、非特許文献1において干渉評価を行う場合には、特定の物体(自車)とその他の物体(他車)とを区別していないため、互いの干渉評価を行う際の計算量(本実施の形態1における干渉度の算出回数に相当)が
Figure 0004807385
であり、軌跡の本数のK乗のオーダ程度の計算量が必要になる。この結果、時空間環境を構成する物体の数が多いほど本実施の形態1の計算量との違いが顕著に大きくなっていく。
加えて、非特許文献1では、衝突という事象が予測できたとしても、それがいつの時点で起こるかまで把握することはできない。これは、非特許文献1が、時間の流れの中で物体が衝突する確率を求めているのではなく、各時間における状態ごとに衝突の有無を探索することを主眼としているためである。換言すれば、非特許文献1では、時空間環境といったものを明示的に用いていない上、時空間確率密度という概念には到達していない。
このように、本実施の形態1と非特許文献1とは、ともに確率概念を用いた進路予測を行っているため、一見すると類似した技術であるかのような印象を与えかねないが、その技術的な思想の本質は全く異なっており、非特許文献1から本実施の形態1を想到することは、当業者といえども困難を極めるものである。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、干渉評価を行う際の干渉度を、自車と他車との最短衝突時間を用いて定義することを特徴とする。なお、本実施の形態2に係る干渉評価装置の機能構成は、上述した実施の形態1に係る干渉評価装置1の機能構成(図1を参照)と同様である。また、本実施の形態2に係る干渉評価方法は、干渉度算出処理を除いて、上記実施の形態1に係る干渉評価方法と同じである。
図14は、本実施の形態2に係る干渉評価方法の干渉度算出処理(図2のステップS4に相当)の詳細を示すフローチャートである。まず、自車O1の全ての軌跡に対する繰り返し処理(Loop1)を開始する(ステップS421)。この際には、軌跡集合{P1(n1)}の一つの軌跡を選択し、その選択した軌跡に対して後に続く処理を実行する。
次に、他車Okに対する繰り返し処理(Loop2)を開始する(ステップS422)。このLoop2では、他車識別用のカウンタk=2と初期化して、1回ごとの繰り返し処理が終了するたびにkの値を増やしていく。
他車Okに対しても、ステップS3で生成した軌跡集合{Pk(nk)}の全要素に対する繰り返し処理(Loop3)が行われる(ステップS423)。この繰り返し処理においては、Loop1の繰り返しすなわち自車O1に対して生成された軌跡を識別するカウンタn1と他車識別用のカウンタkとによって定められる干渉度を上記実施の形態1と同様にr1(n1,k)とおき、このr1(n1,k)の値を軌跡生成時間Tとおく(ステップS424)。
続いて、自車O1の軌跡P1(n1)と他車Okの軌跡Pk(nk)との干渉を評価するための繰り返し処理(Loop4)を開始する(ステップS425)。このLoop4では、二つの軌跡P1(n1)と軌跡Pk(nk)との同時間における距離を、時間t=0,Δt,・・・、Tにおいて順次求め、自車O1と他車Okの衝突の有無を判定する。この判定を行う際の衝突の定義は、上記実施の形態1と同じであり、自車O1と他車Okとの距離が干渉距離よりも近づいた場合を衝突と判定する。
自車O1と他車Okの距離を求めた結果、自車O1と他車Okが衝突したと判定された場合(ステップS426でYes)、干渉度r1(n1,k)の値がその時点での時間t(初期位置から衝突までに要した時間)よりも大きいとき(ステップS427でYes)には、r1(n1,k)の値をtとした後、tをTとする(ステップS428)。したがって、この場合には、Loop4が終了となる(ステップS429でYes)。
これに対して、自車O1と他車Okは衝突し(ステップS426でYes)、干渉度r1(n1,k)の値がその時点での時間t以下である場合(ステップS427でNo)には、ステップS429に進んでLoop4を終了するかどうかを判定する。なお、自車O1と他車Okは衝突しない場合(ステップS426でNo)にも、ステップS429に進む。
ステップS429では、時間tがTに達していない場合、Loop4を繰り返す(ステップS429でNo)。この場合には、tの値をΔt増加させ(ステップS430)、ステップS425に戻ってLoop4を繰り返す。他方、ステップS429で時間tがTに達している場合には、Loop4を終了する(ステップS429でYes)。
以上説明したLoop4の繰り返し処理により、干渉度r1(n1,k)の値は、自車O1と他車Okとの間で起こる衝突のうち、初期位置から衝突するまでに要する時間が最も短い最短衝突時間となる。
Loop4が終了した後、ステップS431ではLoop3を繰り返すか否かの判断処理を行う。すなわち、他車Okに対して生成した軌跡のうち自車O1の一つの軌跡P1(n1)との干渉評価が行われていないものがあれば(ステップS431でNo)、nkをnk+1とし(ステップS432)、ステップS423に戻ってLoop3を繰り返す。他方、他車Okに対して生成した軌跡のうち自車O1の一つの軌跡P1(n1)との干渉評価が全て行われた場合(ステップS431でYes)には、他車Okの一つの軌跡Pk(nk)に対する干渉評価が終了したことになる。したがってこの場合には、自車O1の軌跡P1(n1)と他車Okの全軌跡との間の干渉を評価する最終的な干渉度r1(n1,k)を付与し(ステップS433)、この付与した値を出力して記憶部8に格納する(ステップS434)。
以降のステップS435〜S438は、Loop2およびLoop1に対する繰り返しの判定処理に関するものであり、上記実施の形態1で説明した干渉度算出処理におけるステップS414〜S417と同じである。
以上説明した本発明の実施の形態2によれば、複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成し、この生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行い、この予測した結果に基づいて、前記時空間上で前記特定の物体が取りうる軌跡と前記その他の物体が取りうる軌跡との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出することにより、上記実施の形態1と同様に、現実として起こりうる状況下においても安全性の確保を図ることが可能となる。
また、本実施の形態2によれば、最短衝突時間を用いて定義される干渉度を適用することにより、他の物体との衝突の可能性を実用的な時間の内に適確に判定することができる。
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、上記実施の形態1と同様にして得られた自車と他車との干渉度算出結果をまとめることにより、自車と周囲の時空間環境との間の干渉を評価することを特徴とする。なお、本実施の形態3に係る干渉評価装置の機能構成は、上述した実施の形態1に係る干渉評価装置1の機能構成(図1を参照)と同様である。また、本実施の形態3に係る干渉評価方法は、干渉度算出処理を除いて、上記実施の形態1に係る干渉評価方法と同じである。
図15は、本実施の形態3に係る干渉評価方法の干渉度算出処理(図2のステップS4に相当)の詳細を示すフローチャートである。まず、自車O1の全ての軌跡に対する繰り返し処理(Loop1)を開始する(ステップS441)。この際には、軌跡集合{P1(n1)}の一つの軌跡を選択し、その選択した軌跡に対して後に続く処理を実行する。
本実施の形態3においては、他車Okに対する繰り返し処理(Loop2)、他車Okの軌跡集合{Pk(nk)}の全要素に対する繰り返し処理(Loop3)、および自車O1の軌跡P1(n1)と他車Okの軌跡Pk(nk)との干渉を評価するための繰り返し処理(Loop4)は、上記実施の形態1と同じである。すなわち、図15に示すステップS442〜S455の処理は、上記実施の形態1の干渉度算出処理で説明したステップS402〜S415の処理(図9を参照)と同じである。
本実施の形態3では、Loop2の繰り返し処理が終了した後、Loop2〜Loop4によって得られた干渉度r1(n1,k)に対して他車Okに応じた重みα(k)(>0)を付与し、これらの総和として全体干渉度
Figure 0004807385
を算出し、その算出結果を出力して記憶部8に格納する(ステップS456)。ここでの重みα(k)の値は、全て等しく定数(例えば1)としてもよいし、他車Okの種別等の条件に応じた値を付与してもよい。この結果、自車O1の軌跡P1(n1)が全ての他車O2、・・・、OKを含む周囲の環境全体との間での干渉を評価することが可能となる。
なお、全体干渉度R1(n1)を、
Figure 0004807385
と定義してもよい。この場合には、最も危険な物体Okの危険度を全体干渉度として扱うことになる。式(6)の定義にしたがう場合、自車O1が少数の物体と干渉するが、残り多数の物体とは干渉しないようなシーンの全体干渉度を低く計算してしまう恐れがあるため、例えば少数の他車が自車O1が近傍を走行して人の直観では非常に危険に思える状況でも、そのような直観に反して安全と判断されて可能性もある。式(7)のような定義に基づいた干渉評価を行えば、前述したように直観に反して安全と判断してしまう可能性を低減することができる。
続くステップS457では、Loop1の繰り返すか否かの判断処理を行う。すなわち、自車O1の軌跡集合{P1(n1)}のうちで干渉評価を行うべき軌跡が残っている場合(ステップS457でNo)には、n1の値を1増加させ(ステップS458)、ステップS441に戻ってLoop1を繰り返す。他方、自車O1の軌跡集合{P1(n1)}のうちで干渉評価を行うべき軌跡が残っていない場合(ステップS457でYes)には、Loop1を終了して干渉度算出処理(ステップS4)が終了する。
図16は、本実施の形態3に係る干渉評価方法が適用される時空間環境の構成を模式的に示す図である。同図に示す時空間環境Env(P1,P2,P3)は、自車O1に対して所定の範囲内に他車が2台存在している場合を示しており、自車O1の軌跡P1(n1)を実線で示すとともに、他車O2の軌跡P2(n2)を破線で示し、他車O3の軌跡P3(n3)を太線で示している。このとき、他車O2との干渉度r1(n1,2)および他車O3との干渉度r1(n1,3)を個別に扱うのではなく、時空間環境Env(P1,P2,P3)との間の全体干渉度R1(n1)を用いて干渉評価を行うことにより、自車O1の危険を周囲の環境に応じて回避することができる。
以上説明した本発明の実施の形態3によれば、複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成し、この生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行い、この予測した結果に基づいて、前記時空間上で前記特定の物体が取りうる軌跡と前記その他の物体が取りうる軌跡との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出することにより、上述した二つの実施の形態と同様に、現実として起こりうる状況下においても安全性の確保を図ることが可能となる。
また、本実施の形態3によれば、全体干渉度を用いることにより、時空間環境を構成する物体の数が多い場合であっても精度よく干渉評価を行うことができる。
なお、本実施の形態3においても、衝突によって干渉度r1(n1,k)を増加させる際の係数c1kやF(t)の値として、上記実施の形態1と同様にさまざまな定義の仕方のいずれかを採用することが可能である。また、干渉度r1(n1,k)を、上記実施の形態2と同様に最短衝突時間によって定義することも可能である。
加えて、本実施の形態3において干渉評価を行う際には、全体干渉度R1(n1)と個別の干渉度r1(n1,k)との双方を加味した干渉評価を行うようにしてもよい。
(その他の実施の形態)
ここまで、本発明を実施するための最良の形態として、実施の形態1〜3を詳述してきたが、本発明はそれら三つの実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。例えば、本発明において、軌跡生成部の操作選択部では、自車に関してのみ現時点での操作を維持するものとしてもよい。この場合、自車では予測時点での内部状態が維持され、唯一つの操作が行われ続けることになるため、その操作を選択する操作選択確率は1であり、自車の軌跡集合として、時空間上には1本の軌跡のみが生成される。
図17は、上記の如く自車の操作を維持した場合に生成された時空間環境を示すものであり、図8に対応する図である。図17に示す時空間環境Env'(P1,P2)においては、3次元時空間における自車O1の軌跡集合は、直線状の1本の軌跡P1のみによって構成されている(他車O2に関しては図8と同様)。このように、自車O1の操作を維持するモデルを適用すれば、周囲の物体が多い場合などにおいて状況を単純化して予測を行うことが可能となり、軌跡生成部、予測部、および干渉度算出部における計算量を少なくすることができる。なお、自車O1に対して選択可能な各操作の操作選択確率は、入力部からの入力によって適宜設定できるようにしてもよい。
このように自車O1の操作を維持する場合、出力部の表示部では、自車O1の予想進路を表示するとともに、所定の範囲を走行中の他車の危険度を、干渉度の算出結果に応じて表示することも可能である。加えて、出力部の警告音発生部で警告音を発生してもよい。
また、本発明に係る干渉評価方法において、物体ごとの時空間上での軌跡生成処理を行う際には、選択可能な全ての操作を動作させることによって軌跡を生成してもよい。このような軌跡生成処理を実現するアルゴリズムは、例えば縦型探索または横型探索による再帰呼出を適用することによって実現することが可能である。この場合、一つの物体Okに対して最終的に生成される軌跡集合{Pk(n)}の要素数すなわち軌跡の本数は、その物体Okに対する軌跡生成処理が終了するまで分からない。したがって、実行可能な操作を全探索することによって各物体が取りうる軌跡を生成する場合には、操作時間Δtにおける操作ukc(t)の要素の数(操作ukc(t)が連続量の場合には離散化の度合い)に応じて最適な計算量を有する探索方法を選択すればよい。
さらに、本発明に係る干渉評価方法においては、センサ部で検知した実在の物体に加えて、架空の物体を配置し、この配置した架空の物体の進路予測を行ってもよい。より具体的には、自車にとって好ましくない挙動を示すような架空の物体モデルを構成し、この物体モデルを所定の位置に配置して進路予測を行ってもよい。このような架空の物体モデルは、例えば遮蔽物等が存在して見通しが悪い交差点付近を走行する車両(自車)が進路予測を行う場合、その自車から検知できない位置に配置することによって、交差点から飛び出してくる可能性のある物体との衝突等の危険を予測することが可能となる。なお、架空の物体モデルの情報は予め記憶部で記憶しておき、入力部からの条件設定に応じてかかる物体モデルを所望の位置に配置するようにしてもよい。
ところで、本発明に係る干渉評価装置を、車両のみの走行が前提となる高速道路などの領域で適用する場合には、各車両に車車間通信用の通信手段をあわせて具備させることにより、互いに近くを走行している車両同士が、互いの走行状況を車車間通信によって交換し合うようにしてもよい。この場合には、各車両が操作履歴を各自の記憶部で記憶しておき、その操作履歴に基づいて操作ごとの操作選択確率を付与し、この操作選択確率に関する情報もあわせて他の車両に送信するようにしてもよい。これにより、進路予測の精度が高くなり、走行中の危険を一段と確実に回避することが可能となる。
加えて、本発明に対してGPS(Global Positioning System)を位置検出手段として援用することも可能である。この場合には、GPSが記憶する3次元地図情報を参照することによってセンサ部で検知した物体の位置情報や移動情報の補正を行うことができる。さらには、GPSの出力を相互に通信することによってセンサ部として機能させることも可能である。いずれの場合にも、GPSを援用することによって高精度の進路予測を実現することができ、予測結果の信頼性をさらに向上させることができる。
以上の説明からも明らかなように、本発明は、ここでは記載していないさまざまな実施の形態等を含みうるものであり、特許請求の範囲により特定される技術的思想を逸脱しない範囲内において種々の設計変更等を施すことが可能である。
本発明の実施の形態1に係る干渉評価装置の機能構成を示すブロック図である。 本発明の実施の形態1に係る干渉評価方法の概要を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態1に係る干渉評価方法における軌跡生成処理の概要を示すフローチャートである。 従来の進路予測演算の問題点を模式的に示す図である。 本発明の実施の形態1に係る干渉評価方法における進路予測演算の利点を模式的に説明する図である。 3次元時空間に生成された軌跡を示す模式的に示す図である。 一つの物体に対して3次元時空間に生成された軌跡集合を模式的に示す図である。 時空間環境の構成を模式的に示す説明図である。 本発明の実施の形態1に係る干渉評価方法における干渉度算出処理の詳細を示すフローチャートである。 自車の1本の軌跡と他車の1本の軌跡との時空間上での関係を模式的に示す図である。 物体間の干渉の時間依存性を与える関数の例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る干渉評価装置における評価結果の表示出力例を示す図である。 本発明の実施の形態1に係る干渉評価装置における評価結果の表示出力例(第2例)を示す図である。 本発明の実施の形態2に係る干渉評価方法における干渉度算出処理の詳細を示すフローチャートである。 本発明の実施の形態3に係る干渉評価方法における干渉度算出処理の詳細を示すフローチャートである。 時空間環境の別な構成を模式的に示す説明図である。 自車の操作を維持するモデルを採用した場合に形成された時空間環境の構成を模式的に示す図である。
符号の説明
1 干渉評価装置
2 入力部
3 センサ部
4 軌跡生成部(軌跡生成手段)
5 予測部(予測手段)
6 干渉度算出部(干渉度算出手段)
7 出力部(出力手段)
8 記憶部(記憶手段)
41 操作選択部(操作選択手段)
42 物体操作部(物体操作手段)
43 判定部(判定手段)
71 表示部
72 警告音発生部
1、B2、B3 進路
CN 表示画面
a、Db 領域
Env(P1,P2)、Env'(P1,P2)、Env(P1,P2,P3) 時空間環境
F フロントガラス
1、O2、Oi 物体
R、Rd 道路

Claims (22)

  1. 複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価方法であって、
    前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での複数の軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成ステップと、
    前記軌跡生成ステップで前記複数の物体の各々に対して生成した複数の軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測ステップと、
    前記予測ステップで予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出ステップと、
    を有し、
    前記軌跡生成ステップは、
    前記物体に対する操作を複数の操作から選択する操作選択ステップと、
    前記操作選択ステップで選択した操作を所定時間動作させる物体操作ステップと、
    前記物体操作ステップで前記選択した操作を動作させた後の前記物体の位置および内部状態が当該物体の制御に関する制御条件および当該物体の移動可能領域に関する移動条件を満たしているか否かを判定する判定ステップと、
    を含み、
    前記複数の軌跡の各々を生成する際、前記操作選択ステップから前記判定ステップに至る一連の処理を、一つの軌跡を生成するために経過させる時間である軌跡生成時間に達するまで繰り返し行うことを特徴とする干渉評価方法。
  2. 前記軌跡生成時間は、前記物体の速度に応じて変更可能であることを特徴とする請求項記載の干渉評価方法。
  3. 前記物体は道路上に位置し、
    前記軌跡生成時間は、前記道路の種類に応じて変更可能であることを特徴とする請求項記載の干渉評価方法。
  4. 複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価方法であって、
    前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での複数の軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成ステップと、
    前記軌跡生成ステップで前記複数の物体の各々に対して生成した複数の軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測ステップと、
    前記予測ステップで予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出ステップと、
    を有し、
    前記軌跡生成ステップは、
    前記物体に対する操作を複数の操作から選択する操作選択ステップと、
    前記操作選択ステップで選択した操作を所定時間動作させる物体操作ステップと、
    前記物体操作ステップで前記選択した操作を動作させた後の前記物体の位置および内部状態が当該物体の制御に関する制御条件および当該物体の移動可能領域に関する移動条件を満たしているか否かを判定する判定ステップと、
    を含み、
    前記複数の軌跡の各々を生成する際、前記操作選択ステップから前記判定ステップに至る一連の処理を、一つの軌跡が所定の長さに達するまで繰り返し行うことを特徴とする干渉評価方法。
  5. 複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価方法であって、
    前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成ステップと、
    前記軌跡生成ステップで生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測ステップと、
    前記予測ステップで予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出ステップと、
    を有し、
    前記干渉度算出ステップは、
    前記特定の物体と前記その他の物体の各々とが互いに干渉しあう空間的な距離である干渉距離よりも近づく回数に応じて、前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度の値を所定量だけ増加または減少させ、前記所定量は、前記軌跡の前記時空間上の始点からの経過時間に依存していることを特徴とする干渉評価方法。
  6. 複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段を備えたコンピュータが、前記複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価方法であって、
    前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成ステップと、
    前記軌跡生成ステップで生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測ステップと、
    前記予測ステップで予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出ステップと、
    を有し、
    前記干渉度算出ステップは、
    前記特定の物体と前記その他の物体の各々とが互いに干渉しあう空間的な距離である干渉距離よりも近づく回数に応じて、前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度の値を所定量だけ増加または減少させ、
    前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度のうち最大値を全体干渉度とすることを特徴とする干渉評価方法。
  7. 前記所定量は、前記軌跡の前記時空間上の始点からの経過時間に依存していることを特徴とする請求項記載の干渉評価方法。
  8. 前記予測ステップにおける予測結果を含む情報を出力する出力ステップをさらに有することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の干渉評価方法。
  9. 前記その他の物体の少なくとも一部は架空の物体モデルであることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項記載の干渉評価方法。
  10. 複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価装置であって、
    前記複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段と、
    前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での複数の軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成手段と、
    前記軌跡生成手段で前記複数の物体の各々に対して生成した複数の軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測手段と、
    前記予測手段で予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出手段と、
    を備え
    前記軌跡生成手段は、
    前記物体に対する操作を複数の操作から選択する操作選択手段と、
    前記操作選択手段で選択した操作を所定時間動作させる物体操作手段と、
    前記物体操作手段で前記選択した操作を動作させた後の前記物体の位置および内部状態が当該物体の制御に関する制御条件および当該物体の移動可能領域に関する移動条件を満たしているか否かを判定する判定手段と、
    を含み、
    前記複数の軌跡の各々を生成する際、前記操作選択手段による操作選択処理から前記判定手段による判定処理に至る一連の処理を、一つの軌跡を生成するために経過させる時間である軌跡生成時間に達するまで繰り返し行うことを特徴とする干渉評価装置。
  11. 前記軌跡生成時間は、前記物体の速度に応じて変更可能であることを特徴とする請求項10記載の干渉評価装置。
  12. 前記物体は道路上に位置し、
    前記軌跡生成時間は、前記道路の種類に応じて変更可能であることを特徴とする請求項10記載の干渉評価装置。
  13. 移動体に搭載されてなり、
    前記記憶手段は、前記移動体を含む複数の物体の位置および内部状態を記憶するとともに、前記移動体が取りうる複数の進路を予め記憶し、
    前記軌跡生成手段は、前記複数の物体のうち前記移動体以外の物体が前記移動体と前記時空間上で交差する確率が一定となる時間を前記軌跡生成時間として前記移動体以外の物体の軌跡を生成し、
    前記予測手段は、前記移動体以外の物体の前記時空間における存在確率を算出することを特徴とする請求項10記載の干渉評価装置。
  14. 前記軌跡生成手段は、
    前記物体に対する操作を複数の操作から選択する操作選択手段と、
    前記操作選択手段で選択した操作を所定時間動作させる物体操作手段と、
    前記物体操作手段で前記選択した操作を動作させた後の前記物体の位置および内部状態が当該物体の制御に関する制御条件および当該物体の移動可能領域に関する移動条件を満たしているか否かを判定する判定手段と、
    を含み、
    前記複数の軌跡の各々を生成する際、前記操作選択手段による操作選択処理から前記判定手段による判定処理に至る一連の処理を、一つの軌跡が所定の長さに達するまで繰り返し行うことを特徴とする請求項10記載の干渉評価装置。
  15. 複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価装置であって、
    前記複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段と、
    前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成手段と、
    前記軌跡生成手段で生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測手段と、
    前記予測手段で予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出手段と、
    を備え、
    前記干渉度算出手段は、
    前記特定の物体と前記その他の物体の各々とが互いに干渉しあう空間的な距離である干渉距離よりも近づく回数に応じて、前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度の値を所定量だけ増加または減少させ、前記所定量は、前記軌跡の前記時空間上の始点からの経過時間に依存していることを特徴とする干渉評価装置。
  16. 複数の物体に含まれる特定の物体が取りうる進路とその他の物体が取りうる進路との干渉の程度を評価する干渉評価装置であって、
    前記複数の物体の位置と各物体の速度を含む内部状態とを少なくとも記憶する記憶手段と、
    前記複数の物体の位置および内部状態を前記記憶手段から読み出し、この読み出した前記物体の位置および内部状態に基づいて、前記複数の物体の各々が時間の経過とともに取りうる位置の変化を時間および空間から構成される時空間上での軌跡としてそれぞれ生成する軌跡生成手段と、
    前記軌跡生成手段で生成した軌跡を用いることによって前記複数の物体の進路の確率的な予測をそれぞれ行う予測手段と、
    前記予測手段で予測した結果に基づいて、前記特定の物体が取りうる進路と前記その他の物体が取りうる進路との干渉の程度を定量的に示す干渉度を算出する干渉度算出手段と、
    を備え、
    前記干渉度算出手段は、
    前記特定の物体と前記その他の物体の各々とが互いに干渉しあう空間的な距離である干渉距離よりも近づく回数に応じて、前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度の値を所定量だけ増加または減少させ、
    前記特定の物体と前記その他の物体の各々との間の前記干渉度のうち最大値を全体干渉度とすることを特徴とする干渉評価装置。
  17. 前記所定量は、前記軌跡の前記時空間上の始点からの経過時間に依存していることを特徴とする請求項16記載の干渉評価装置。
  18. 前記予測手段による予測結果を含む情報を出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1017のいずれか一項記載の干渉評価装置。
  19. 前記物体は自動車であり、
    前記出力手段は、前記物体が有するフロントガラスに前記情報を重畳表示することを特徴とする請求項18記載の干渉評価装置。
  20. 前記物体はカーナビゲーションシステムを備えた自動車であり、
    前記出力手段は、前記情報を前記カーナビゲーションシステムの表示画面に表示することを特徴とする請求項18記載の干渉評価装置。
  21. 前記その他の物体の少なくとも一部は架空の物体モデルであることを特徴とする請求項1020のいずれか一項記載の干渉評価装置。
  22. 請求項1〜のいずれか一項記載の干渉評価方法を前記コンピュータに実行させることを特徴とする干渉評価プログラム。
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