JP4806862B2 - 遊技機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パチンコ機やスロットマシーン等の遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
遊技機の一例であるパチンコ機の前面には、飾り部材を始めとする部材が設けられており、このような部材の中には、後方へ突出する係止爪を備え、この係止爪を対応する前面の係止穴に入れ込むことにより固定されるものがある。これらにおいては、飾り部材内部のランプ交換といったメンテナンスや製造を容易に行うために、係止爪を係止穴に単に係止して、前面裏側において係止爪を外すことにより簡単に離脱するようにしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
以上のような従来のパチンコ機では、前面に露出した部材が単に係止されているだけであるので、部材を前から引っ張ることにより係止爪や係止穴を破壊することなく外し、又再度元通りにすることが可能であり、パチンコ機内部に不正改造を外見上分かり難く施すことを許してしまう。従って、重要な部分にはやむなくネジ止めを併用することとしているが、この場合はメンテナンスや製造においてドライバーを幾度も回転しなければならず、煩わしい。そしてこのような事情は、スロットマシーンを始めとする他の遊技機においても同様である。
【0004】
そこで、請求項1に記載の発明は、メンテナンスや製造が容易でありながら、部材の係止を確実なものとし、発見し難い不正改造を困難にすることのできる遊技機を提供することを目的としたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、遊技機本体に対して片開き可能に取り付けられた前扉の前面において露出する部材が、膨出部を備え後方へ突出する係止爪によって、前記前扉の前面に係止されて配置される遊技機において、前記前扉に、前記係止爪が係止可能な係止部を有する係止穴を前後方向へ貫通して設ける一方、前後方向へ突設された軸を備えているとともに、三角リブと四角リブとが、前記軸に対して直交する面内で一辺同士を隣接させた姿勢で、薄肉とされた薄部を介して連結されてなるストッパを、前記前扉の裏側において回転可能に設けており、前記係止爪を前記係止穴へ係止させた状態で前記ストッパを回転操作することにより、前記三角リブの頂点が前記係止爪に隣接し、前記膨出部の係止解除方向への移動を規制することを特徴とするものである。
【0006】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記前扉の裏側で前記係止穴に隣接した位置に、前記ストッパの前後方向での厚みと同じ深さを有して前記係止穴へ連通する凹部を形成し、前記凹部内に前記ストッパを回転可能に設けたことを特徴とするものである。
【0007】
請求項3に記載の発明は、以上の目的に加えて、更にメンテナンスを容易にする目的を達成するため、移動を規制しない状態で、ストッパを前面裏側において静止させる静止機構を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の実施形態に係るパチンコ機1の説明図であって、パチンコ機1は、前面2に、前枠4、中扉6、下側機能部8の前面を含んでいる。
【0009】
前枠4は、前側において遊技球が流下する遊技盤10を覆うが、下側機能部8に設けられた錠12を一方へ回すことにより、上軸14等の周りに片開きが可能となっており、更にはスペーサ16を除いた後に引き上げて、下隆起部17の窪み部18(図2等参照)からパチンコ機1側の下軸(図示せず)を抜くとともに、上軸14を抜くことにより、取り外しも可能となっている。尚、スペーサ16は、前枠4の開状態でのみ、固定部材19(図2等参照)の上面が現れ、固定部材19を外すことにより取り除くことができる。
【0010】
加えて、前枠4は、遊技盤10の前側より若干小さい円状の開口部20を備えるとともに、内側において透光板21を支持している。更に、前枠4の前面であって開口部20の周りにおいて露出するように、合成樹脂製で輪状の装飾部材24が取り付けられているとともに、前枠4の前面であって装飾部材24の上側において露出するように、透光性を有する合成樹脂製の上ランプカバー26が取り付けられている。尚、上ランプカバー26の後方には、図示しないランプ基板が配置されている。
【0011】
又、中扉6は、上皿30やボタンプレート31を備えている。中扉6は、前枠4が開いているときのみ片開き可能となっている。更に、下側機能部8は、下皿32、ハンドル34を備える。そして、前枠4、中扉6、下側機能部8は、機枠36に対して片開きする金属製のミドル枠38の前面に設けられており、遊技盤10はミドル枠38の窪み部において支持されている。尚、ミドル枠38は、錠12を他方へ回すことにより開く。
【0012】
一方、図2乃至図4は前枠4の裏側の説明図であって、前枠4のベース40には、複数の係止穴42が設けられている。又、装飾部材24の裏面外側、及び上ランプカバー26の裏面両側には、それぞれ、複数の係止爪44が、係止穴42に対応する位置において、後方へ突設されている。そして、各係止爪44の先端外側には、鉤状の膨出部46が設けられている。
【0013】
又、各係止穴42の外側には、段50が設けられており、内側には凹部52が設けられている。各凹部52の内側であって向かって右側においては、凹部52の他の輪郭に対して突き出た突部53が形成されている。又、各凹部52には、「φ」の字状の軸穴54が、周方向に沿った状態で開けられている。軸穴54は、図6(b)に断面を示すように、前側略半分が後側より広く形成されている。更に、軸穴54の傍には、2つの突起56が設けられている。そして、各軸穴54には、ストッパ60から突出した円筒状の軸62が、入れられている。
【0014】
図5はストッパ60の説明図であって、ストッパ60はポリオキシメチレン(POM)製である。又、軸62の先端両脇には、突出部64が、ストッパ60の長手方向に沿うように設けられており、軸62の先端形状が、軸穴54より僅かに小さい相似形状となっている。更に、三角リブ66と、四角リブ68とが、薄部70を挟む状態で設けられている。四角リブ68の下辺は、円弧状である。加えて、軸62の下側には、突起56と略同大である窪み72が形成されている。尚、三角リブ66の先端と四角リブ68の下端との距離であるストッパ60の全長は、凹部52及び係止穴42の放射方向の長さから、係止爪44の肉厚を減じたものに、略等しい。
【0015】
各ストッパ60は、軸62を、突出部64を軸穴54に合わせた状態で入れ込み、略90度回転させることにより、図6に示すように、軸穴54後半の狭い部分を、軸62の基端脇と突出部64とで挟んだ状態で、確実に係合される。ここで、突部53の存在により、ストッパ60の軸穴54への入れ込み姿勢(回転範囲の一端)や回転範囲の他端が定まり、製造等の迅速化や容易化に寄与する。
【0016】
又、回転範囲の他端において、ストッパ60は、三角リブ66の頂点が、係止穴42に入り込んだ係止爪44に隣接するような姿勢となる。ここで、係止爪44がストッパ60側に寄ってきた場合には、ストッパ60における三角リブ66の頂点が係止爪44を止め、従ってストッパ60は、係止爪44が段50と逆側へ、膨出部46が段50から外れて係止が解除するように移動すること、即ち係止爪44の係止解除方向への移動を規制する。尚この場合、ストッパ60全体の弾性や、各リブの間に薄部70を設けたことによる構造的な弾性により、係止爪44を十分に規制しつつもしなやかに受け止め、ストッパ60による係止爪44の破損を回避する。ここで、ストッパ60を、他の合成樹脂に比べて柔軟なPOMで形成したことにより、破損回避効果が高い。又、POMは表面のスベリが良好なため、ストッパ60の回動や着脱がし易く、製造やメンテナンスがより簡便となる。
【0017】
更に、回転範囲の他端において、ストッパ60は、窪み72に一方の突起56を受け入れる。この受け入れによっても、ストッパ60の回動範囲の他端が分かり操作性を良好にするし、係止爪44を押す姿勢の保持にも役立っている。一方、ストッパ60は、窪み72に他方の突起56を受け入れることにより、図3に示すような、係止爪44を押さない位置においても、静止する(静止機構)。
【0018】
以上のようなパチンコ機1にあっては、前面2において露出する装飾部材24や上ランプカバー26を取り付けるための各係止爪44に、膨出部46を設け、更に、前面2の内側において、膨出部46の段50への係止が解除されてしまう方向へ係止爪44が移動することを規制するストッパ60を設けたので、不正改造を行うにあたり、最も内部へのアクセス確保が容易で狙われ易い前面から、装飾部材24等を前へ引き抜こうとする場合に、膨出部46の段50への係止が維持される。又、透光性を有する部分から覗いたり、装飾部材24等の周囲を辿ったりして、係止爪44の位置が把握され、ピアノ線等の器具を使用して係止爪44が内側へ軽く押されたとしても、膨出部46の係止が解除されることはない。従って、係止爪44、段50、ストッパ60等を破損せずに装飾部材24等を引き出すことは極めて困難となり、不正改造を施した後に元通りにして不正改造が隠蔽される事態を防止することができる。
【0019】
又、ストッパ60は、係止爪44に隣接する部材であり、前面2の裏側において係合するため、薄部70にマイナスドライバーやコインを入れておよそ90度捻るだけで簡単に取り付けることができる。更に、ストッパ60は別体の部材であるため、簡単に製造することができる。尚、膨出部46を鉤状とし、或いは膨出部46の係止対象を段50としたので、係止が強力である。又、ストッパ60は、前後方向の係止爪44に対して略垂直である放射方向内側への移動を規制するため、移動の規制が確実となるし、規制時に接触した場合における係止爪44等の破損が防止される。尚、ストッパ60の接触予定点を係止爪44における少なくとも周方向の中央として、接触時における係止爪44のゆがみをなくし、破損を防止することもできる。
【0020】
又更に、ストッパ60に軸62を設け、膨出部46の膨出方向である放射方向と垂直な前後方向で軸穴54に入れるようにしたため、ストッパ60をひねるだけで、係止爪44への移動規制やその解除等が行え、操作性に優れる。尚、軸穴56を凹部52に設けたので、係止爪44を凹部52の分短くできるし、ストッパ60や係止爪44が凹部52に収まって見栄えが良くなる。更に、凹部52の深さとストッパ60の三角リブ66等の高さとを合致させると、ストッパ60の設置時にベース50の裏面とストッパ60とが面一となり、更に見栄えが良くなるし、引っ掛かりがなくなり取り扱いがし易い。
【0021】
加えて、ストッパ60が係止爪44の移動を規制しない位置において、ストッパ60の窪み72に受け入れられる突起56(静止機構)を設けたため、メンテナンス時、前枠4を開けたうえで装飾部材24等を取り外す際に、ストッパ60が止まるまで回せば係止爪44の係止を解くことができ、回し過ぎてストッパ60を破損したり落としたりする事態を防ぐことができるし、作業中においてもストッパ60が落下して紛失する事態を防ぐことができる。尚、軸62の基端脇と突出部64とで軸穴54の周囲を挟んでいることによっても、ストッパ60の不要な脱落が防止される。
【0022】
尚、本発明は、以上の形態に限定されるものではなく、次に一部示すように様々に変更可能である。
【0023】
ストッパを適用する部材としては、装飾部材或いは上ランプカバーの内の一方としたり、ボタンプレート、ハンドル乃至これらの組み合わせ等を採用したりして良い。又、一つの部材に設けられた全ての係止爪に対してストッパを設けずに、一部の係止爪のみにストッパを設けることができる。更に、係止爪は、左右方向(周方向)や斜め方向等に突出するように設けることもでき、この場合、膨出部を後方向に設けて、ストッパにより係止爪の前方向への移動を規制するようにする等できる。
【0024】
加えて、各種部材の形状や大きさは上記に限定されず、ストッパの全長は、膨出部の係止が解除されなければより短くても良い(ストッパは係止爪に隣接しなくても良い、即ちストッパと係止爪とに隙間があっても良い)し、より長く、即ちストッパが係止爪を膨出部の係止方向へ押すようにしても良い。ストッパが係止爪を押す場合、係止爪の係止解除方向への移動を防止するし、常に係止が確実になされるため、不正な取り外しを防止する効果が高い。又、ストッパの係合のための回転角度は90度未満或いは90度以上であって良いし、膨出部は他の部分より出ていればどのような形状であっても良いし、前枠の開口部或いは装飾部材は四角形等であって良いし、ストッパは直方体状等であって良い。
【0025】
更に、各種部材の配置も上記に限定されず、膨出部を係止爪の先端以外の部分に設けたり、膨出部及び段部を内側に設け、ストッパを外側に設けたり、膨出部を係止爪の肉厚方向以外に突出するように設けたり、装飾部材に透光部を点灯可能に設けたりすることができる。又、各種部材の材質も上記に限定されず、装飾部材等は金属製であって良いし、ストッパは、POM以外の合成樹脂乃至は金属、或いはゴム等の弾性体や、これらの組み合わせであって良い。
【0026】
又更に、ストッパは、ストッパ側に軸穴を設けるとともに前面側に軸を設けることにより軸を介して回動可能としたり、回動可能とせずストッパ自身或いは前枠等に爪を持たせて嵌め込みにより係止爪の移動を規制することとなるようにしたりして良い。又、ストッパにつまみを付加し、ストッパを手で係合できるようにして、ドライバーすら不要にし、極めて簡単にストッパをセット可能とすることもできる。
【0027】
更に、静止機構は、省略したり、ストッパ側に突起を設けたり、軸及び軸穴に突起と窪みを設けて構成したり、弾性体を介装させ押さない位置で静止するようにして構成したりすることができる。そして、本発明は、スロットマシーンを始めとする他の遊技機の前面に設けられる部材について適用することができる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1に記載の発明によれば、膨出部が係止しない方向への係止爪の移動を規制するストッパが設けられている。よって、製造やメンテナンスに便利でありながら、不正改造を防止し或いは早期に発見することのできる遊技機を提供することができる、という効果を奏する。
また、ストッパが、三角リブと四角リブとを、軸に対して直交する面内で一辺同士を隣接させた姿勢で、薄肉とされた薄部を介して連結してなるため、構造的に弾性を有しており、係止爪の移動を十分に規制しつつもしなやかに受け止めることができ、ストッパによる係止爪の破損を回避することができる。さらに、ストッパを回転させる際に、薄部にマイナスドライバーやコインを入れて回転させることもできる。
【0029】
請求項2に記載の発明によれば、前扉の裏側で係止穴に隣接した位置に、ストッパの前後方向での厚みと同じ深さを有して係止穴へ連通する凹部を形成し、凹部内にストッパを回転可能に設けているため、ストッパが凹部に収まって前扉の裏側が面一となり、見栄えが良くなるし、引っ掛かりがなくなり取り扱いがし易い。
【0030】
請求項3に記載の発明によれば、ストッパを、移動を規制しない姿勢においても保持可能としたことで、上記の効果に加えて、メンテナンスにすぐに取りかかることができ、ストッパを紛失する事態が防止される、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係るパチンコ機の前側斜視図である。
【図2】上記パチンコ機における前枠の後側斜視図である。
【図3】係止爪の移動を規制しない状態でストッパを静止させた上記前枠の後側斜視図である。
【図4】上記前枠の分解斜視図である。
【図5】ストッパの(a)後面図(b)B−B断面図(c)右面図(d)下面図(e)前側斜視図(f)後側斜視図である。
【図6】上記前枠の(a)後面図(b)A−A断面図である。
【符号の説明】
1・・パチンコ機、2・・前面、4・・前枠、24・・装飾部材、26・・上ランプカバー、42・・係止穴、44・・係止爪、46・・膨出部、50・・段、54・・軸穴、56・・突起、60・・ストッパ、62・・軸、72・・窪み。

Claims (3)

  1. 遊技機本体に対して片開き可能に取り付けられた前扉の前面において露出する部材が、膨出部を備え後方へ突出する係止爪によって、前記前扉の前面に係止されて配置される遊技機において、
    前記前扉に、前記係止爪が係止可能な係止部を有する係止穴を前後方向へ貫通して設ける一方、
    前後方向へ突設された軸を備えているとともに、三角リブと四角リブとが、前記軸に対して直交する面内で一辺同士を隣接させた姿勢で、薄肉とされた薄部を介して連結されてなるストッパを、前記前扉の裏側において回転可能に設けており、
    前記係止爪を前記係止穴へ係止させた状態で前記ストッパを回転操作することにより、前記三角リブの頂点が前記係止爪に隣接し、前記膨出部の係止解除方向への移動を規制することを特徴とする遊技機。
  2. 前記前扉の裏側で前記係止穴に隣接した位置に、前記ストッパの前後方向での厚みと同じ深さを有して前記係止穴へ連通する凹部を形成し、前記凹部内に前記ストッパを回転可能に設けたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。
  3. 前記移動を規制しない状態で、前記ストッパを前記前扉の裏側において静止させる静止機構を設けたことを特徴とする請求項1乃至請求項2の何れかに記載の遊技機。
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