JP4806328B2 - 輪重抜け割合測定方法及び輪重抜け割合測定装置 - Google Patents
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Description
ところで、デュアルモード車両が軌道上を走行する際には、駆動力を発生させるタイヤがレールに接触する圧力が不十分なために空転を起こすこと、逆にタイヤがレールに接触する圧力が強すぎることでガイド輪がレールに接触する圧力が弱くなるためにガイド輪がレールから外れて脱線すること、を避けなければならない。そのため、タイヤとガイド輪にかかる重量配分を走行中にリアルタイムで最適値に変更することが望ましく、その為の制御方法も提案されている(例えば、特許文献2参照)。
なお、上記輪重抜け割合の算出において、静止時の輪重P0を分母として除算を行うのは、前後左右上下のいずれか方向に生じる慣性力等の外力の影響を受けていない状態を基準として、走行時における基準状態からの変化率を求めるためである。
前記油圧アクチュエータに圧力計を設けて、既知である前記軌道走行用車輪にかかる輪重の左右の合計である軸重と油圧との間の関係から、前記圧力計を用いて測定した油圧の圧力値によって、前記軌道走行用車輪にかかる軸重P0Vを算出する軸重算出工程と、
前記軌道走行用車輪の左側又は右側の少なくとも一方にひずみゲージを設けて、前記ひずみゲージから得られた値によって前記軌道走行用車輪の輪重Pを算出する輪重算出工程と、
同じ時期又は同じ地点で、前記軸重算出工程によって得られた前記軸重P0Vと、前記輪重算出工程によって得られた前記輪重Pとから、{(P0V/2)−P}/(P0V/2)を計算することによって輪重抜け割合を算出する輪重抜け割合算出工程と、
を備えることを特徴とする。
前記油圧アクチュエータに設けられた圧力計と、
前記前記軌道走行用車輪の左側又は右側の少なくとも一方にかかる輪重を測定するために設けられたひずみゲージと、
既知である前記軌道走行用車輪にかかる輪重の左右の合計である軸重と油圧との間の関係から、前記圧力計を用いて測定した油圧の圧力値によって、前記軌道走行用車輪にかかる軸重P0Vを算出する軸重算出手段と、
前記ひずみゲージから得られた値によって前記軌道走行用車輪の輪重Pを算出する輪重算出手段と、
同じ時期又は同じ地点で、前記軸重算出手段によって得られた前記軸重P0Vと、前記輪重算出手段によって得られた前記輪重Pとから、{(P0V/2)−P}/(P0V/2)を計算することによって輪重抜け割合を算出する輪重抜け割合算出手段と、
を備えることを特徴とする。
具体的には、油圧アクチュエータに圧力計を設けて、既知である軸重と油圧との間の関係から、軌道走行用車輪にかかる軸重を算出し、軌道走行用車輪に設けたひずみゲージにより走行時の各車輪の輪重を算出し、算出した軸重及び輪重から輪重抜け割合を算出することで、道路走行用タイヤと軌道走行用車輪の双方で軌道に接すると共にその重量配分が走行時に変動するような車両においても輪重抜け割合を測定することができる。
なお、「既知である軸重と油圧との間の関係」は、予め油圧を変化させたときの軸重変化を計測で求めても良いし、道路走行用タイヤと軌道走行用車輪と油圧アクチュエータの支持構造の各部の寸法などの設計条件から軸重−油圧の相対的な関係の数式を求めても良い。つまり、油圧の圧力値が決まれば軸重が求まるような相互の関係を明らかにするいかなる手法を用いても良い。
本発明における第1の実施の形態に係る輪重抜け割合測定方法について、図1から図9を参照しながら説明する。
本実施の形態に係るデュアルモード車両1は、図1及び図2に示すように、車体2、車体2の前方及び後方に配設されたゴムタイヤ用車軸3a,4aを中心に回転する前方ゴムタイヤ3及び後方ゴムタイヤ4、内側にフランジ部5f,6fを備え、車体2の前方及び後方にアーム5b,6bを介して昇降自在に配設されたガイド輪用車軸5a,6aを中心に回転する軌道走行用の前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6、前方ガイド輪5及び後方ガイド輪6を上昇下降させるための油圧アクチュエータ7,8、ガイド輪用車軸5a,6aに設けられデュアルモード車両1の走行速度を検出する車速センサー11、後方ゴムタイヤ4の回転速度を検出するタイヤ回転速度センサー12、後方ゴムタイヤ4にかかる重量を測定するためのポテンショメーター13、後方ゴムタイヤ4及び後方ガイド輪6の輪重を制御する輪重制御装置20、図示されていない、デュアルモード車両1の前方ゴムタイヤ3の操舵方向や後方ゴムタイヤ4の回転状態等を制御する制御装置、駆動源としてのエンジン、トランスミッション、差動装置、等を備えて構成されている。
油圧アクチュエータ8の伸縮を行う油圧系統は、図4のように構成され、2本備えられている油圧アクチュエータ8に均一の油圧を供給する。そして、その共通する油圧供給管の一点に圧力計9が備えられている。後述のように、この圧力計9により測定された油圧アクチュエータ8にかかっている油圧の圧力値から、後方ガイド輪6が受けている軸重を算出することができる。
なお、駆動輪が前方ゴムタイヤ3であっても良く、その場合は、後方ゴムタイヤ4を上方に浮かせることとなり、前方ガイド輪5、後方ガイド輪6及び前方ゴムタイヤ3により軌道走行を行う。
ポテンショメーター13は、後方ゴムタイヤ用車軸4aとシャーシ部2a間に設けられており、その変位により後方ゴムタイヤ用車軸4aにかかる重量を算出することができる。
輪重制御装置20は、デュアルモード車両1の機器全体を統合制御するCPUやRAM、各種制御プログラムや制御データを格納したROM等から構成されている。輪重制御装置20は、車速センサー11で検出された車両の軌道走行速度と、タイヤ回転速度センサー12で検出された軌道走行時における後方ゴムタイヤ4の回転速度と、に基づいて後方ゴムタイヤ4の空転状態を判定し、その判定結果に基づいて後方ガイド輪6の輪重を制御して、後方ゴムタイヤ4の輪重を変化させる。
この時、後方ゴムタイヤ4の重量は後方ゴムタイヤ用車軸4aとシャーシ部2a間に設けられたポテンショメーターから、後方ガイド輪6の重量は圧力計9により測定された油圧の圧力値から算出され、乗客の乗車状況もそれらを合計した後部荷重から推定する。
なお、発進時の速度が10km/hまでとブレーキ時は駆動力を最大限発揮できるように、後方ゴムタイヤ4は空車時の60%、後方ガイド輪6の軸重は40%に一定制御する。
ここで、一般的な鉄道車両の輪重抜け割合を測定する方法について説明する。
実際には、特定の輪軸にかかる軸重は、車両の加減速等によって試験走行時の各瞬間において多少の変動があるが、それらの影響は無視できる程度の変動ため、上記のように求めた平均輪重等を静止輪重P0として使用しても差し支えない。
この時、測定した輪重は走行中の車内にてデータレコーダーに記録しつつ、チャートレコーダーやペンレコーダーなどで印字している。印字された波形は、前述のように、正弦波状の波形であるため(例えば、図9参照)、波形が極大値または極小値をとる瞬間における輪重しか正しく測定できない。
しかし、前述のように、後方ゴムタイヤ4と後方ガイド輪6の双方が軌道に接し、その重量配分を走行時の状況に応じて変動させる制御を行うデュアルモード車両1においては、予め静止時の輪重又は一定の重量配分での静止時の輪重を測定したとしても、その値を採用することはできず、よって従来の方法によって輪重抜け割合の測定を行うことはできない。そこで、以下では静止輪重を用いない方法で輪重抜け割合を測定する方法について説明する。
デュアルモード車両1を整備場等のレールR上に配置し後方ガイド輪6がレールRに接触した状態とする。この時、各レールにおける各後方ガイド輪6が接触している部分のそれぞれに、ひずみゲージ又はロードセル等を設けて、実際にレールRが後方ガイド輪6から受ける重量を測定できるようにしておく。
その状態から、油圧アクチュエータ8に油圧を加えて徐々に後方ガイド輪6を押付けてゆき、その時の油圧アクチュエータ8に加えている圧力を圧力計9から、各レールRにかかる左右の輪重の合計値(=軸重)をひずみゲージ又はロードセル等から測定し記録する。測定した結果は図7のように表され、これらの値に対して最小二乗法などを用いることで関係式(例えば、後方ガイド輪6の軸重=圧力計9の圧力×21.483+361.4)を導くことができる。
この関係式は、一度求めておけば変化することはないため、以降の後方ガイド輪6の軸重を算出する際には、この関係式を用いて算出することが容易となる。
なお、軸重と油圧との間の関係は、上記のような関係式によらず、軸重と油圧が対応した表として記憶しておき、その表を参照することによって後方ガイド輪6の軸重を算出することとしても良い。
この時、測定した輪重は走行中の車内にてデータレコーダーに記録しつつ、チャートレコーダーやペンレコーダーなどで印字する。印字された波形は、前述のように、正弦波状の波形であるため、波形が極大値または極小値をとる瞬間における輪重しか正しく測定できない(輪重算出工程:S2)。
以上のように、本実施の形態に係る輪重抜け割合測定方法は、油圧アクチュエータ8に圧力計9を設けて、既知である軸重と油圧との間の関係から、後方ガイド輪6にかかる軸重を算出し、後方ガイド輪6に設けたひずみゲージにより走行時の各車輪の輪重を算出し、算出した軸重及び輪重から輪重抜け割合を算出することで、タイヤとガイド輪の双方で軌道に接すると共にその重量配分が走行時に変動するようなデュアルモード車両1においても輪重抜け割合を測定することができる。
本発明における第2の実施の形態に係る輪重抜け割合測定装置100について、図10を参照しながら説明する。
本実施の形態に係る輪重抜け割合測定装置100は、第1の実施の形態に係る輪重抜け割合測定方法を適用したデュアルモード車両1の構成を一部変更したデュアルモード車両1Aに適応する。このため、変更した構成を中心に説明することとし、第1の実施の形態と実質的に同一で重複する構成については、第1の実施の形態と同一の符号を付し、説明を省略することとする。
本実施の形態に係るデュアルモード車両1Aは、第1の実施の形態で説明したデュアルモード車両1に加え、輪重抜け割合測定装置100を備えている。それ以外の構成については、第1の実施の形態と実質的に同一のため説明を省略する。
まず、軸重算出手段101は、圧力計9からの情報をメモリに取込み油圧アクチュエータ8に加えられている圧力を求める。その圧力を元に、第1の実施の形態で求めた後方ガイド輪6の軸重と油圧アクチュエータ8の油圧との間の関係式を用いて、後方ガイド輪6にかかっている軸重P0Vを算出し、輪重抜け割合算出手段103に送信する。
輪重算出手段102は、ひずみゲージからの輪重の波形情報を受信し、その波形の一山ごとの極大値を常にメモリに保持し、これらから変化する輪重Pを求め、随時、輪重抜け割合算出手段103に送信する。
なお、軸重算出手段101から受信した軸重P0Vと、輪重算出手段102から受信した輪重Pは、同じ地点のものでなければならないため、算出の都合上から輪重算出手段102からの送信が遅れる場合は、輪重抜け割合算出手段103が軸重P0Vと輪重Pを記憶しておき、同じ地点における軸重P0Vと輪重Pから輪重抜け割合を算出する必要がある。
以上のように、本実施の形態に係る輪重抜け割合測定装置100は、油圧アクチュエータ8に圧力計9を設けて、既知である軸重と油圧との間の関係から、後方ガイド輪6にかかる軸重を算出し、後方ガイド輪6に設けたひずみゲージにより走行時の各車輪の輪重を算出し、算出した軸重及び輪重から輪重抜け割合を算出することで、タイヤとガイド輪の双方で軌道に接すると共にその重量配分が走行時に変動するようなデュアルモード車両1においても輪重抜け割合を測定することができる。
なお、以上説明した本実施の形態に係る輪重抜け割合測定装置100において、運転席等に輪重P、軸重P0V、輪重抜け割合を表示する表示手段を設けても良い。その際、表示手段は横軸を経過時間又は走行距離又は走行地点とするグラフ表示を行っても良い。
また、入力手段は、グラフ表示された輪重P又は軸重P0Vの表示画面内にポインタを表示し、ポインタの操作により任意のタイミングあるいは任意の走行地点を入力可能としても良い。
2 車体
2a シャーシ部
3,4 ゴムタイヤ(道路走行用タイヤ)
3a,4a ゴムタイヤ用車軸
5,6 ガイド輪(軌道走行用車輪)
5a,6a ガイド輪用車軸
5b,6b アーム
5f,6f フランジ部
6h 孔
7,8 油圧アクチュエータ
9 圧力計
11 車速センサー
12 タイヤ回転速度センサー
13 ポテンショメーター
20 輪重制御装置
100 輪重抜け割合測定装置
101 軸重算出手段
102 輪重算出手段
103 輪重抜け割合算出手段
R レール
w,x,y,z ひずみゲージ
Claims (2)
- 車体の前方又は後方に、車軸に支持された一対の軌道走行用車輪と車軸に支持された一対の道路走行用タイヤの双方を備え、軌道走行時には、前記軌道走行用車輪と前記道路走行用タイヤの両方を軌道に接触させると共に前記軌道走行用車軸の昇降を行う油圧アクチュエータにより前記軌道走行用車輪と前記道路走行用タイヤの重量比率を変動させる制御を行う車両について、軌道走行中に前記軌道走行用車輪にかかる輪重の輪重抜け割合を測定する方法であって、
前記油圧アクチュエータに圧力計を設けて、既知である前記軌道走行用車輪にかかる輪重の左右の合計である軸重と油圧との間の関係から、前記圧力計を用いて測定した油圧の圧力値によって、前記軌道走行用車輪にかかる軸重P0Vを算出する軸重算出工程と、
前記軌道走行用車輪の左側又は右側の少なくとも一方にひずみゲージを設けて、前記ひずみゲージから得られた値によって前記軌道走行用車輪の輪重Pを算出する輪重算出工程と、
同じ時期又は同じ地点で、前記軸重算出工程によって得られた前記軸重P0Vと、前記輪重算出工程によって得られた前記輪重Pとから、{(P0V/2)−P}/(P0V/2)を計算することによって輪重抜け割合を算出する輪重抜け割合算出工程と、
を備えることを特徴とする輪重抜け割合測定方法。 - 車体の前方又は後方に、車軸に支持された一対の軌道走行用車輪と車軸に支持された一対の道路走行用タイヤの双方を備え、軌道走行時には、前記軌道走行用車輪と前記道路走行用タイヤの両方を軌道に接触させると共に前記軌道走行用車軸の昇降を行う油圧アクチュエータにより前記軌道走行用車輪と前記道路走行用タイヤの重量比率を変動させる制御を行う車両について、軌道走行中に前記軌道走行用車輪にかかる輪重の輪重抜け割合を測定する輪重抜け割合測定装置であって、
前記油圧アクチュエータに設けられた圧力計と、
前記前記軌道走行用車輪の左側又は右側の少なくとも一方にかかる輪重を測定するために設けられたひずみゲージと、
既知である前記軌道走行用車輪にかかる輪重の左右の合計である軸重と油圧との間の関係から、前記圧力計を用いて測定した油圧の圧力値によって、前記軌道走行用車輪にかかる軸重P0Vを算出する軸重算出手段と、
前記ひずみゲージから得られた値によって前記軌道走行用車輪の輪重Pを算出する輪重算出手段と、
同じ時期又は同じ地点で、前記軸重算出手段によって得られた前記軸重P0Vと、前記輪重算出手段によって得られた前記輪重Pとから、{(P0V/2)−P}/(P0V/2)を計算することによって輪重抜け割合を算出する輪重抜け割合算出手段と、
を備えることを特徴とする輪重抜け割合測定装置。
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