JP4806320B2 - 基材の被覆方法および表面被覆基材 - Google Patents

基材の被覆方法および表面被覆基材 Download PDF

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Description

本発明は、基材の被覆方法および表面被覆基材に係り、より詳しくは、プラズマを利用して基材上に金属被膜を被膜する基材の被覆方法および表面被覆基材に関する。
近年、アルミニウムや銅などの金属材料、ガラスやシリコンなどのセラミックス材料、繊維、木材、合成樹脂などの有機材料を含んでなる基材の表面に、一種または二種以上の金属でなる金属被膜(金属酸化物を含んでなる金属被膜や合金でなる金属被膜を含む)を被覆するなどして、基材にはない機能を付与させる試みがなされている。
例えば、アルミニウムやアルミニウム合金(以下、「アルミニウム等」と総称する。)は、半導体素子用の放熱板材料(ヒートシンク)として用いられるが、半導体を直接アルミニウム製の放熱板に半田付けをすることが困難なため、銅製の金属被膜を被覆した後にプレス等の加工が行われて、半導体が着設された放熱板が製造されている。
また、半導体装置においては銅系複合基材が配線等に用いられるが、電気的接続を容易にするために、銅基材または銅合金基材の表面に錫または錫系合金からなる被覆層(金属被膜)が形成されていることが一般的である。ここで、銅系複合基材とは、純銅の他、各種銅合金、具体的には、例えば、Cu-Fe-P系合金、Cu-Ni-Si系合金、Cu-Cr-Zr系、Cu-Zn系合金、Cu-Sn系合金等の各種銅および銅合金からなる基材(以下、銅系基材ともいう。)の表面に、電気めっき、無電解めっき、溶融めっき等の方法により錫または錫系合金からなる金属被膜が形成されている。さらに、銅系基材を用いたリードフレームや放熱板には通常、熱伝導性の高い銅または銅合金板が使用され、必要に応じて、その表面には変色を防止するためのNiめっきが施されている場合がある。
このような金属被膜を基材上に被覆する方法として様々な手法がある。
例えば、化学気相成長法(Chemical vapor deposition:CVD)、物理気相成長法(Physical vapor deposition:PVD)スパッタリング法、プラズマによる化学反応を利用した処理法などの、いわゆるドライ処理による方法のほか、めっき処理やゾル−ゲル法などの、いわゆるウェット処理による方法がある。
ドライ処理による方法としては、工業的にはスパッタリング法が広く用いられている。スパッタリング法は、所望の化学組成をもつターゲットを、真空容器内でアルゴンガスや酸素ガスによりターゲット原子をたたき出すことで基板上に金属被膜を成膜(被覆)するものである。
また、最近では、均一な金属被膜を高速かつ大面積で得るために、プラズマによる化学反応を利用した処理法が検討されつつある。
プラズマによる化学反応を利用した処理法としては、プラズマCVD装置によって発生させたプラズマCVDを用いることが検討されている。
一般的なプラズマCVD装置は、平行平板型電極を反応容器内に備え、一方の電極に高周波電力または直流電力を印加し、接地された他方の電極との間でプラズマを発生させ、発生させたプラズマ内に反応ガスを供給し、このプラズマにより反応ガスを分解することにより基板上に所望の金属被膜を被覆する。
また、例えば、特許文献1には、回転電極をもつプラズマCVD装置が提案されている。このプラズマCVD装置によれば、成膜された表面にダメージを与えずに所望の特性を持つ金属被膜を得ることができるだけでなく、1気圧以上でプラズマを発生させることが可能であり、均一な金属被膜を、高速かつ大面積で得ることができる。
さらに、近年では、例えば、非特許文献1のように、蒸気圧の低さをカバーする熱反応を利用した常圧CVD法なども報告されている。
他方、ウェット処理による方法としては、めっき処理が広く用いられている。めっき処理は、金属を液層より析出させて金属被膜を形成するものであり、腐食防止や半田のぬれ性を改善するために一般的に行われている。
また、ゾル−ゲル法によって、被膜を構成する金属元素を含む金属酸化物を用いて金属被膜を形成することも一般的に行われている。ゾル−ゲル法は、被膜を構成する金属元素を含む金属酸化物をゾル状態で基板に塗布し、その後高温で焼成してゲル状態として金属被膜を形成する。
いわゆるウェット処理による方法としては、その他にも例えば、被膜を構成する金属元素を含む金属酸化物の粒子をバインダーに混ぜて塗布した後に焼き付ける方法や、また、例えば、特許文献2に記載されているように、アルミニウム等の基材に銅被膜を形成する方法がある。特許文献2に記載の方法は、塩化銅粉末を、ポリブテン溶液を塗布したアルミニウム等の基材に付着させ、所定の加熱速度および所定の加熱温度で加熱することで、当該アルミニウム等の基材上に銅被膜を形成するものである。
特開平9−104985号公報 特許第1658085号明細書 Journal of the Ceramic Society of Japan, 105, p.551 (1997)
しかしながら、金属被膜を基材上に被覆する従来の技術では、以下に示すような問題点が存在していた。
(1)スパッタリング法による成膜では、加速されたイオンによってターゲットの表面の原子を叩き出すという、いわゆるスパッタリング現象に支配されるため、その成膜速度には自ずと限界がある。また、ターゲットも基材が大きい場合や、特殊な材料をターゲットとした場合には、非常に高価なものとなる。さらには、スパッタリングを行うためのスパッタリング装置そのものも大型であり、高品質な金属被膜を得るためには真空容器内を超高真空にするための高価な真空ポンプを使用する必要があるなど装置自体が非常に高価となり、生産性の低さと相まってコストが高くなるという問題があった。
(2)一般的なプラズマCVD装置は、コストを削減するために金属被膜の成膜速度の高速化、大面積化などが必要であるところ、大面積で均一な薄膜を高速で成膜させるためにはプラズマ空間に均一かつ効率よく反応ガスを供給することが必要となる。しかし、反応ガスの濃度を高くして高速成膜を行うと、圧力の上昇とともに電極間のギャップ(隙間)も狭くなり、プラズマ空間に対するガス供給が不均一になるため、大面積で均一な薄膜を高速で成膜させることは至極困難である。また、金属被膜の成膜速度の高速化するために印加電力を大きくして、その成膜速度の向上を図ると、プラズマ中に発生する余剰の高エネルギーが成膜された金属被膜にダメージを与え、所望の特性を持つ金属被膜を得ることが困難であるという問題があった。
(3)特許文献1に記載のプラズマCVD装置は、チタニアやジルコンをはじめとする金属酸化物や銀、アルミニウムなどの金属被膜を形成する場合には、金属被膜を形成するための原料を含んだ固体や液体の材料を加熱するなどして気化する必要があるが、一般的に、そのような原料は蒸気圧が低いことから成膜速度が非常に遅くなってしまうという問題があった。また、金属被膜を形成するための原料の多くは、トリメチルアルミのような毒性や爆発性が強く、量産を対象とした工業利用には不向きであるという問題があった。
(4)非特許文献1による方法では、金属被膜の形成に必要なエネルギーを熱エネルギーの形で与えるため、概して反応温度が高く、処理される基材の性質が熱によって変化してしまうという問題があった。そのため、熱に弱い鋼鈑、ガラス、プラスティックなどの基材に対しては、当該手法を適用することができないという問題があった。
(5)めっき処理は、処理を行うためのプロセスが複雑である。具体的には、各種の酸やアルカリによるエッチングと水洗を何度も繰り返す必要があるという問題や、その処理には強酸や強アルカリ性の薬液を用いるため、環境負荷が高く、その廃液処理にも多大のコストがかかるという問題があった。
(6)ゾル−ゲル法は、高温で焼成することが必要であり、また、ゾルに含まれる有機物成分が残留し、高純度な膜が得られないなどの問題があった。
(7)被膜を構成する金属元素を含む金属酸化物の粒子をバインダーに混ぜて塗布した後に焼き付ける方法は、一般に密着性が悪く、また、バインダーが含まれるため耐久性が悪いなどの問題があった。
(8)特許文献2に記載の方法によって形成された銅被膜は、使用される雰囲気中における水分と塩素が反応し、基材が容易に腐食し、所望する効果を得ることができないおそれがあった。
本発明は、これらの問題に鑑みてなされたものであり、熱に弱い基材や、熱を加えることで内部組織や性質が変化するおそれのある基材に対して、環境に負担をかけず、低コストで所望の効果を得るための一種の金属でなる金属被膜、二種以上の金属でなる金属被膜(二種以上の金属が合金化した金属被膜、二種以上の金属がハイブリッド(混成)した金属被膜を含む)およびこれらに金属酸化物が含有した金属被膜を被覆することのできる基材の被覆方法および表面被覆基材を提供することを課題とする。
本発明に係る基材の被覆方法は、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を液体に分散させた分散液を用いて前記微粒子を基材上に付着させる付着工程と、前記微粒子を付着させた前記基材をプラズマ処理するプラズマ処理工程と、を含んでなり、前記プラズマ処理工程は、放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して前記微粒子の最表面を還元することにより、当該還元した金属元素で前記微粒子同士を結合させた金属酸化物被膜となし、前記基材上に前記金属酸化物被膜が被覆されることを特徴としている。
本発明に係る基材の被覆方法は、プラズマ処理工程においてこのような処理を行い、金属酸化物の微粒子の最表面を還元することによって、当該還元した金属元素で微粒子同士を結合させた金属酸化物被膜を基材上に被覆することができる。
本発明に係る基材の被覆方法において前記分散液は、前記微粒子を2種類以上分散させたものであり、前記金属酸化物被膜は、2種類以上の前記金属元素を合金化させ、当該合金化させた金属元素により前記微粒子同士を結合させたものであることが好ましい。
本発明に係る基材の被覆方法は、基材にこのような金属酸化物被膜を被覆することができるので、従来の基材にはない機能を付与させることが可能である。
本発明に係る基材の被覆方法は、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を液体に分散させた分散液を用いて前記微粒子を金属製の基材上に付着させる付着工程と、前記微粒子を付着させた前記基材をプラズマ処理するプラズマ処理工程と、を含んでなり、前記プラズマ処理工程は、放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して前記微粒子を還元することにより、前記金属製の基材の一部と前記金属元素を合金化させてなる金属被膜となし、前記金属製の基材上に前記金属被膜が被覆されることを特徴としている。
本発明に係る基材の被覆方法は、プラズマ処理工程においてこのような処理を行うことによって、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を還元することにより、基材の一部と金属元素を合金化させてなる金属被膜を、当該基材上に被覆することができる。
本発明に係る基材の被覆方法において前記分散液は、前記微粒子を2種類以上分散させたものであり、前記金属被膜は、2種類以上の前記金属元素を合金化させたものであることが好ましい
本発明に係る基材の被覆方法は、プラズマ処理工程においてこのような処理を行うことによって、異なる種類の被膜を構成する金属元素を合金化させた金属被膜を基材上に被覆することができる。
本発明に係る基材の被覆方法は、前記プラズマ領域の圧力が大気圧近傍の圧力であり、前記プラズマ領域で発生させたプラズマがグロー放電によるものであることが好ましい。
このように、本発明の基材の被覆方法はプラズマ領域の圧力が大気圧近傍の圧力であってもよいので、高価な真空容器や真空ポンプを必要とせず、圧力を調整する操作を省くことができるとともに、処理前の酸洗浄や脱脂などのウェット工程と、インライン的に組み合わせることが可能となる。また、グロー放電によって発生させたプラズマを利用することができるので、アーキングなどによる基材の損傷や、被覆が不均一となることを防止することができる。また、大気圧近傍でグロー放電によって発生させたプラズマを用いて基板をプラズマ処理するので、速い成膜速度で大面積かつ均一な金属被膜を基板上に形成することができる。また、このようなプラズマ処理を行うことにより、基板を連続的にプラズマ処理することも可能となる。
本発明に係る基材の被覆方法は、前記還元性ガスが、水素、メタン、一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むのが好ましい。
本発明の基材の被覆方法は、これらの還元性ガスを用いることによって、被膜を構成する金属元素を好適に還元し、金属被膜を基材上に被覆することができる。
本発明に係る基材の被覆方法は、前記微粒子の平均粒径が100nm以下であることが好ましい。
このような平均粒径を有する微粒子を用いることにより、プラズマ処理による還元を行いやすくすることができる。
本発明に係る基材の被覆方法は、前記基材が、アルミ部材、銅部材または鉄鋼部材であることが好ましい
また、本発明の表面被覆基材は、前記した基材の被覆方法によって表面が前記金属被膜または前記金属酸化物被膜で被覆されていることを特徴としている。
このように、本発明の表面被覆基材は、一種類の金属からなる金属被膜、または、二種類以上の金属でなる金属被膜(還元した金属元素で微粒子を結合させた金属酸化物被膜、金属元素を合金化させてなる金属被膜(金属元素を合金化するとともに合金化した金属元素により微粒子同士を結合させた金属酸化物被膜)、基材の一部と金属元素とを合金化させてなる金属被膜)が被覆されているので、基材にはない機能を付与させることができる。
本発明の基材の被覆方法は、熱に弱い基材や、熱を加えることで内部組織や性質が変化するおそれのある基材に対して、環境に負担をかけず、低コストで、一種類の金属からなる金属被膜、または、二種類以上の金属でなる金属被膜(還元した金属元素で微粒子を結合させた金属酸化物被膜、金属元素を合金化させてなる金属被膜(金属元素を合金化するとともに合金化した金属元素により微粒子同士を結合させた金属酸化物被膜)、基材の一部と金属元素とを合金化させてなる金属被膜)を被覆することができる。
また、これにより、本発明の基材の被覆方法は、基材にこのような金属被膜を被覆することができるので、従来の基材にはない機能を付与させることが可能である。
また、本発明の表面被覆基材は、熱に弱い基材であっても、環境に負担をかけないで従来の基材にはない機能を付与させることができる。
次に、本発明の基材の被覆方法を実施するための最良の形態について、適宜図面を参照して詳細に説明する。参照する図面において、図1は、本発明の基材の被覆方法の工程内容を示すフローチャートである。
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態に係る基材の被覆方法は、付着工程S1と、プラズマ処理工程S2と、を含んでなる。
以下、各工程の内容について詳述する。
付着工程S1は、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を液体に分散させた分散液を用いて前記した微粒子を基材上に付着させる。
ここで、被膜を構成する金属元素としては、後記する金属被膜を被覆する場合にあっては、比較的還元されやすい金属元素を用いるのが好ましい。具体的には、エリンガム図でSiより上にある金属、具体的には、銅、鉛、ニッケル、鉄、コバルト、スズ、亜鉛、マンガンまたはクロムなどが挙げられる。
そして、本発明の基材の被覆方法においては、これらの金属元素を酸化した状態、すなわち、金属酸化物の状態とし、この金属酸化物を後記する理由から微粒子の形態で使用する。なお、金属酸化物の状態は特に限定されるものではなく、種々の金属酸化物を用いることができる。
なお、本発明において用いることのできる金属元素は前記したものに限定されるものではない。後記する金属酸化物被膜を被覆する場合にあっては、大気圧近傍でプラズマによる高いエネルギーを利用して還元するため、比較的還元されにくい金属であっても用いることができる。例えば、酸化物生成の標準自由エネルギーが大きい酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなども用いることが可能である。
そして、前記した被膜を構成する金属元素は、プラズマによる還元の条件を調節することでさらに金属酸化物被膜を形成することも可能である。
また、前記した金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子は、酸化した状態の金属元素以外にも、金属被覆を構成する目的を阻害しない程度であれば他の金属元素や顔料・染料などが含まれていてもよい。
そして、この金属酸化物は、前述したように微粒子として用いると好適である。一般に、基材上に被膜を形成する場合、当該金属酸化物(金属)を液体に溶かすか、物理的に基材表面に供給するとともに、基材に析出または付着した金属酸化物の微粒子(分子や原子の状態を含む)が活性となり、化学反応や物理吸着などすることによって、基材表面で強固に結合することが必要である。しかし、金属の微粒子は表面の反応性が極めて高く、容易に爆発や燃焼(粉塵爆発)を起こすため、そのままの形で供給することは、安全上(工業応用上)困難である。
しかしながら、本発明では、安定な酸化物を出発材料として、プラズマ処理により還元することで、プラズマに曝された領域のみを活性にして強固な結合を形成することが可能である。加えて、金属に結合していた酸素は、水となって気相中に放出されるため、例えば、塩化銅などのハロゲン化物粒子などのように、空気中の水分を吸収して腐食性の高い塩酸などに変化することもない。
さらに、金属被膜や金属酸化物被膜などの被膜を構成する金属元素を、酸化した状態かつ微粒子として供給するので、他のドライな条件で供給する際に問題となる処理速度についても、液体に分散させる微粒子の濃度を調節するだけで制御することが可能となるので、処理速度を高くすることが可能である。
本発明においては、金属酸化物の微粒子の平均粒径は、5μm以下程度のものを用いることができ、1μm以下が好ましく、5〜100nmとするとさらに好適である。金属酸化物の微粒子が平均粒径5〜100nmであると、容易に還元が進み均一かつ完全な金属被膜や金属酸化物被膜を得ることができる。また、金属酸化物被膜にあっては、平坦な表面を得やすくなる。
一方、金属酸化物の微粒子の平均粒径が5μmを超えると、プラズマ処理によっても還元が困難になるおそれがあるので好ましくない。
なお、このような金属酸化物の微粒子を2種類以上併用することも可能である。この場合、あらかじめ金属酸化物の微粒子を2種類以上液体に混合するなどして分散させておくのがよい。
そして、このような2種類以上の金属酸化物の微粒子を併用して、反応ガス(還元性ガス)の濃度や処理温度、処理時間を調整したプラズマ処理を行えば、還元性ガスを含む反応ガスを導入して微粒子の最表面を還元することにより、金属と金属酸化物とを含む金属酸化物被膜を基板上に被覆することも可能である。
また、反応ガス(還元性ガス)の濃度や処理温度、処理時間を調整したプラズマ処理を行うことにより、両者を還元させることともに、これらの微粒子を合金化することによって基材上に合金の金属被膜を被覆することも可能である。
また、この場合、例えば、基材に銅などの金属を用い、亜鉛やスズなどの比較的融点の低い金属の酸化物を微粒子として用いると、還元された微粒子と基材が合金化した金属被膜を被覆することも可能である。
なお、これらの金属酸化物の微粒子を用いて金属被膜の製造条件、例えば、後記する反応ガスの流量、種類、プラズマ処理する際の温度条件などを適切に設定することにより、金属酸化物の微粒子の一部(最表面)のみを還元させて(つまり、一部はプラズマ処理による還元がされていない状態であってもよい)、基材上に金属と金属酸化物とを含んでなる金属被膜を被覆することが可能である。
金属酸化物の微粒子を分散させる液体としては、例えば、水、アルコール、MIBK、キシレン、トルエンなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、かかる液体には、本発明の基材の被覆方法の奏する効果を妨げない範囲で前記した被膜構成元素を含む金属酸化物の微粒子の凝集を防止するための界面活性剤やpH調整剤などを含有させてもよい。
このような界面活性剤としては、例えば、ビス(2−エチルヘキシル)スルホン酸ナトリウム(AOT)や(ポリ)オキシエチレン(20)ソルビタンオレートなどを用いることができ、pH調整剤としては、例えば、酢酸・酢酸ナトリウム緩衝液や炭酸ナトリウム・炭酸水素ナトリウム緩衝液などを用いることができる。
金属酸化物の微粒子を分散させる際の濃度は、例えば、0.1〜30質量%などとすることができるが、これに限定されるものではない。かかる濃度は、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子の種類、平均粒径、所望する金属被膜の厚さ、性質、金属被膜の被覆に至る付着工程S1、プラズマ処理工程S2の条件などによって適宜設定するのが好ましく、あらかじめ実験等することによって好適な濃度を求めておくのが好ましい。
そして、基材としては、例えば、アルミニウムや銅などの金属材料、ガラスやシリコンなどのセラミックス材料、繊維、木材、合成樹脂などの有機材料などを用いることができる。基材は、板状、繊維状等のあらゆる形態のものを用いることができる。特に、本発明の基材の被覆方法は、大面積の基材や長尺帯状の基材にも適用することができる。なお、セラミックス材料や有機材料の部材の場合、その表面にアルミニウムや銅などの金属をあらかじめ付着させておき、後記するプラズマ処理工程S2を実施することにより、前記した金属元素と合金化した金属被膜(金属酸化物被膜)を被覆することが可能である。
このような金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を基材に付着させるには、例えば、ロールコーターやスピンコーター、スプレーなどの公知技術によって分散液を基材に塗布、散布等することにより行うことができる。基材に対する微粒子の付着は、あらかじめ塗布や散布しておいても良いし、後記するプラズマ装置へ基材を導入する際に、インライン的に塗布、散布等してもよい。
そして、プラズマ処理工程S2は、前記した微粒子を付着させた基材をプラズマ処理する。
詳細には、第1実施形態におけるプラズマ処理工程S2は、放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して前記した微粒子を還元することにより、金属元素からなる金属被膜を基材上に被覆する。
かかるプラズマ処理は、プラズマ発生領域の圧力が大気圧近傍の圧力に調整され、プラズマの発生がグロー放電で行われるのが望ましい。なお、本発明におけるグロー放電とは、持続的なアーク放電やコロナ放電ではないという意味であり、誘電体バリア放電などで見られるストリーマー放電なども含む広い概念の放電を意味する。
このようなプラズマ処理は、例えば、大気圧近傍の圧力下でグロー放電することによりプラズマを発生させて基材上に薄膜を形成させる特開平6-2149号公報等で提案されている方法、また例えば、対向する電極の少なくとも一方に誘電体を形成し、DCパルスなどにより大気圧でプラズマを発生させるとともに、ガスの圧力で基材にガスを吹き付ける特開2002-237480号公報に記載の方法、さらに例えば、特開平9-104985号公報に開示されているような回転電極を用いてプラズマを発生する方法等の各種の方法を実施することのできるプラズマCVD装置などのプラズマ装置によって行うことができる。しかし、本発明においては、前記したプラズマ処理を行って被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を還元し、基材上に金属被膜を被覆することができればこれらの方法に限定されるものではない。
プラズマ処理によって被覆される金属被膜の膜厚は、特に制限されるものではないが、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を用いることとの関係から、例えば、0.05〜5μm、また、例えば0.5μmなどとすることができる。なお、金属被膜は5μm以上の厚さにしてもよく、そのような厚さを得るために付着工程S1とプラズマ処理工程S2とを複数回繰り返して行ってもよいことはいうまでもない。
プラズマ処理を行うプラズマ装置は、プラズマを発生させるための電極対を備えたものを用いると好適である。このような電極対は、互いに対向して配置される電極対であることがより好ましい。互いに対向して配置される電極対を用いた場合には、電圧印加により放電させて、電極対間の領域にプラズマを発生させて反応ガスの還元性ガスを分解してプラズマ領域を形成することができ、このプラズマ領域に基材を配設することによって基材上に金属被膜を被覆することができる。
互いに対向して配置される電極対である場合、その少なくとも一方の電極を回転電極とするのがより好ましい。回転電極を用いると、電界の集中がないためにアーク放電がおきにくく、また、回転する電極に沿ってガス流が幅方向で均一になるために連続的かつ生産性良く基材上に金属被膜を被覆することができる。なお、プラズマ装置については後記する。
このようなプラズマ装置を用いると、金属被膜を被覆する基材が大面積の基材である場合や長い基材である場合には、移送装置などによって、電極対間で発生させたプラズマ領域に基材を順次移送させることによって容易に金属被膜を被覆することが可能である。
反応ガスは、反応性のラジカルを生成しない雰囲気で安定なグロー放電を発生させるための不活性ガスと、反応性のラジカルを生成するための還元性ガスを含んでいる。
不活性ガスとしては、ヘリウムガス、アルゴンガス、キセノンガス、クリプトンガス、窒素ガスなどを用いることができる。なお、不活性ガスは、準安定励起状態の寿命が長い点からはヘリウムガスを用いるのが好ましく、コストの点からは窒素ガスやアルゴンガスを用いるのが好ましい。
還元性ガスとしては、電極対間の領域で放電した際に反応性のラジカルを生成してプラズマ領域を発生させることのできる水素ガスを好適に用いることができる。また、メタンガス、一酸化炭素ガスなども用いることが可能である。メタンガス、一酸化炭素ガスを用いても生成の標準化エネルギーが水素から水をつくる過程とほぼ同等であり、水素ガスと同様の還元効果を得ることができる。
なお、本発明において用いることのできる還元ガスはこれに限定されるものではなく、プラズマによって前記した微粒子の酸化数を小さくすることのできるその他のガスも用いることができることはいうまでもない。
電極対間の放電は、電極に高周波電力を印加することにより行う。かかる放電は、連続的に安定した成膜が可能である点からグロー放電で行うことが好ましい。グロー放電は、例えば、13.56MHzの高周波の低LFやDCパルスなどで発生させることができる。
基材は、移送装置を用いると、移送速度を適宜に調整することによって膜厚を調整したり、金属と金属酸化物の比率を調整したりすることができるので好ましい。なお、移送速度は、目的に応じて調整するのが好ましいが、その移送速度は特に限定されるものではない。また、移送速度を適切に調整することによって、微粒子の凝集体を形成させたり、その形成密度や網目構造などを制御したりすることも可能である。
プラズマ処理工程S2は、基材を70〜350℃に加熱するのが好ましく、70〜200℃に加熱するのがより好ましく、70〜150℃に加熱するのがさらに好ましい。基材の温度をこのような温度範囲にすると、基材に対する金属被膜の密着性を高めることができる。また、かかる温度範囲であれば、基材の熱劣化が少なくすることができるので好ましい。
以上に説明した第1実施形態に係る基材の被覆方法によれば、大気圧近傍の気圧条件で発生させたプラズマを利用してアルミニウムや銅などの金属材料、ガラスやシリコン等のセラミックス材料、繊維、木材、合成樹脂等の有機材料などの所望の基材の表面に金属被膜を被覆して、通常の基材にない機能を付与させることが可能である。本発明の基材の被覆方法を適用することで、例えば、半導体装置等に用いられる、通常の基材にない機能が付与されたアルミニウムや銅などの基材、ガラス基材等を環境に負担をかけることなく低コストで提供することが可能であり、例えば、半田のぬれ性の良い放熱板やリードフレーム、IC用の銅配線、腐食防止膜などの用途にも好ましく用いることができる。
次に、本発明の第2実施形態から第5実施形態に係る基材の被覆方法について説明する。本発明の第2実施形態から第5実施形態に係る基材の被覆方法は、前記した第1実施形態に係る基材の被覆方法と同様の工程を含んでなるが、付着工程S1において付着させる金属酸化物の微粒子を2種類以上用いていたり、プラズマ処理工程S2における処理内容が第1実施形態における処理内容が異なっていたりする点で相違する。
そのため、本発明の第2実施形態から第5実施形態に係る基材の被覆方法については、第1実施形態に係る基材の被覆方法の内容と重複する構成についての説明を省略し、第1実施形態に係る基材の被覆方法と異なる構成についてのみ説明することとする。
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態に係る基材の被覆方法のプラズマ処理工程S2は、放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子の最表面を還元する。
第2実施形態に係る基材の被覆方法では、このようなプラズマ処理を行うことにより、当該還元した金属元素で微粒子同士を結合させた金属酸化物被膜となし、基材上に当該金属酸化物被膜を被覆することができる。
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態に係る基材の被覆方法は、付着工程S1と、プラズマ処理工程S2とを含んでなる。
第3実施形態に係る基材の被覆方法において、付着工程S1は、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を2種類以上液体に分散させた分散液を用いることによって、2種類以上の微粒子を基材上に付着させる。
そして、プラズマ処理工程S2では、放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を還元する。
第3実施形態に係る基材の被覆方法では、このような付着工程S1およびプラズマ処理工程S2を行うことにより、2種類以上の金属元素を合金化させてなる金属被膜となし、基材上に当該金属被膜を被覆することができる。
(第4実施形態)
本発明の第4実施形態に係る基材の被覆方法は、付着工程S1と、プラズマ処理工程S2とを含んでなる。
第4実施形態に係る基材の被覆方法の付着工程S1は、被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を2種類以上液体に分散させた分散液を用いることによって、2種類以上の微粒子を基材上に付着させる。
そして、プラズマ処理工程S2では、放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して、2種類以上の微粒子の最表面を還元する。
第4実施形態に係る基材の被覆方法では、このような付着工程S1およびプラズマ処理工程S2を行うことにより、2種類以上の金属元素を合金化するとともに、合金化した金属元素により異なる種類の微粒子同士を結合させた金属酸化物被膜となし、基材上に当該金属酸化物被膜を被覆することができる。
(第5実施形態)
本発明の第5実施形態に係る基材の被覆方法のプラズマ処理工程S2は、放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して微粒子を還元する。
第5実施形態に係る基材の被覆方法では、このようなプラズマ処理工程S2を行うことにより、金属製の基材の一部と金属元素とを合金化させてなる金属被膜となし、金属製の基材上に当該金属被膜を被覆することができる。
次に、前記した本発明の第1実施形態から第5実施形態に係る基材の被覆方法の内容を実施することのできるプラズマ装置について、図2〜4を参照して具体的に説明する。参照する図面において、図2は、回転電極を備えたプラズマ装置の構成例を示す概略構成図である。図3は、無端状ベルト電極を備えたプラズマ装置の構成例を示す概略構成図である。図4は、回転電極を備えたプラズマ装置の他の構成例を示す概略構成図である。
図2に示すプラズマ装置は、チャンバ1の内部に、対向する電極対を備えている。この電極対の一方の電極を回転電極9とし、他の一方を基材ホルダーとして機能する平面電極6とする構成が挙げられる。なお、ここで、回転電極9は放電電極として機能する。
このような構成のプラズマ装置を用いた場合、はじめに、平面電極6上に基材7を配設する。基材7には、あらかじめ被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物を分散させた分散液が塗布されている。なお、分散液の塗布は、前記したようにロールコーターやスピンコーターなどにより塗布するのがよい。また、プラズマ発生雰囲気を大気圧またはその近傍とした場合には、ガスカーテンなどでしきりを設けることで連続的に当該プラズマ装置内に基材7を搬入可能となる。
そして、チャンバ1の内部に反応ガスを導入し、回転電極9と基材7との隙間(以下、「狭隙間」と呼ぶ)の圧力を大気圧付近の圧力に維持し、前記電極対間で放電させて狭隙間にライン状のプラズマ領域を発生させる。そして、このプラズマ領域を横切るように移送装置によって基材7をA方向に所定の速度で移送させる。なお、本発明において大気圧近傍の圧力とは、1気圧(0.1MPa)前後の圧力をいい、本発明においては、大気圧を超えない圧力(すなわち、大気圧に対し減圧)であることが好ましく、0.01〜0.11MPa程度とするのがより好ましい。また、圧力調整が容易で後記する装置構成が簡易または不要になるという観点から、その圧力範囲を0.08〜0.11MPa程度とするのが好ましい。
なお、回転電極9としては、図2や図4に示すプラズマ装置の構成例に示されているような円筒状回転電極のほか、図3に示されているような無端状ベルト電極等を用いることができる。
また、回転電極9の表面形状は特に限られず、平滑面の他、その表面に凹凸形状が形成されていてもよい。凹凸形状は、基材7上の所望の位置における回転電極9と基材7との距離を調整することに用いられ、例えば、回転方向に沿って凹凸形状を形成した場合には、基材7上の凸部に対向する部分においてのみ優先的にプラズマを発生させることができ、その部分のみに優先的に金属被膜を形成させることができる。従って、形成される金属被膜の表面に凹凸を形成することができる。回転電極9上に凹凸形状を設けた場合には、層流(粘性流)である反応ガスを拡散させる効果もある。
回転電極9と平面電極6に載置された基材7との間隔(前記した狭隙間の間隔)は、回転電極9に印加する高周波電力や、用いられる反応ガスの種類、組成比等によって適宜調整されるが、通常0.5〜5mm、さらには、1〜3mm程度とすることが好ましい。
狭隙間の間隔が狭すぎる場合には、その狭隙間への反応ガスの安定供給が困難になる。従って、回転電極9の幅方向における狭隙間のバラツキが顕著になるために、均一な成膜が困難になる。また、狭隙間の間隔が狭すぎる場合に安定なプラズマ生成を実現するためには、電子・イオンのプラズマ荷電粒子を捕捉するために100MHz以上の高周波が必要になるため、コスト的に不利になる傾向がある。
一方、狭隙間の間隔が広すぎる場合には、電界の減少、プラズマ密度の減少による処理速度の低下を招く傾向がある。また、回転電極9の回転にて発生する層流によって還元のための水素ラジカルなどが基材7上から排出されることによる成膜速度の低下、およびチャンバ1内の汚染等の問題が生じることがある。
回転電極9の周速度としては3000cm/分以上であることが好ましい。回転電極9の周速度が3000cm/分未満の場合には、成膜速度が遅くなる傾向があり、好ましくは10000cm/分以上とするのが良いが、収率の向上ということを考慮すると100000cm/分以下であることがさらに好ましい。
この場合、グロー放電によりプラズマ化された反応ガスの分子が電離した後の再結合までの寿命が短く、また電子の平均自由工程も短いので、対向する狭隙間にグロー放電を安定に発生させるためには、狭隙間にて電子・イオンの荷電粒子を捕捉する必要がある。
そのため、回転電極9に高周波電力を印加する際には、100kHz以上の周波数が利用可能であるが、特に10MHz以上の高周波であることが好ましい。10MHz以上の高周波、例えば最も入手の容易な商用周波数である13.56MHzや電源として入手可能な70MHzや100MHz、150MHzの周波数を用いることによりプラズマ密度が向上し、安定なプラズマを発生させることが可能になる。
そして、このようなプラズマ装置によれば、放電により電極対間にプラズマを発生させ、還元性ガスが水素ラジカルのような活性な状態に変化し、微粒子の表面を還元することで基板7上に金属被膜を被覆することができる。
以下に、チャンバ内に回転電極を備えたプラズマ装置を用いた本発明の基材の被覆方法の具体例についてさらに詳しく説明する。なお、本発明は、以下の方法以外にも、例えば、チャンバを持たない回転電極を用いたプラズマ装置を用いた成膜方法等によっても当然、実施可能である。
参照する図2中、1はチャンバ、2aは基材導入用ロードロック室、2bは基材搬出用ロードロック室、3a〜3dはゲートバルブ、4a〜4dはガス導入口、5a〜5cはリーク口、6は平面電極、7は基材、8はベアリング、9は回転電極、10は架台、11a〜11cは回転電極支持用絶縁体、12は合成石英ガラス、13は近赤外線ランプ、14は覗き窓、15は放射温度計、16,19は高周波電源、17,20は整合器、18は基材ホルダーに内蔵されたヒータ、21はグロー放電領域(プラズマ発生領域)をそれぞれ示す。
図2に示したプラズマ装置の構成において、チャンバ1には、基材導入用ロードロック室2aおよび基材搬出用ロードロック室2bが、それぞれゲートバルブ3b,3cを介して接続されている。そして、ロードロック室2a,2bには、それぞれガス導入口4a,4bからヘリウム等のキャリアガスが常時導入されており(V1,V2は流量調整バルブ)、ロードロック室2a,2bのそれぞれに設けられたリーク口5a,5bによって圧力調整がされ(V3,V4は流量調整バルブ)、ロードロック室2a,2bは常圧(0.1MPa程度)に保持されている。
このチャンバ1内には、ガス導入口4cからヘリウム等の不活性ガスを成分とするキャリアガスがマスフロー(図示せず)を介して流量調整されつつ導入されている。また、ガス導入口4dからは、マスフロー(図示せず)を介して流量調整されたヘリウム等の不活性ガスによるバプリングによって希釈された炭化水素ガスとフッ素含有化合物ガスを含有するガスが導入される。尚、チャンバ1内の圧力調整は、排気口5cからの流量を調整することによって行われる。
平面電極6の上には基材7が載置されており、この平面電極6は、まずゲートバルブ3aを開状態としてロードロック室2aに移送・格納される。その後、ゲートバルブ3aを閉の状態とするとともに、ゲートバルブ3bを開の状態として、基材7は矢印Aの方向に移送されて、チャンバ1内に格納され、その後ゲートバルブ3bは閉の状態になる。
平面電極6はチャンバ1内に格納された状態で、平面電極6上に載置された基材7の表面に金属被膜が形成される。基材7の表面に金属被膜が形成された後は、ゲートバルブ3cが開状態とされ、基材7は、ロードロック室2bに格納される。引き続き、ゲートバルブ3cを閉状態とするとともに、ゲートバルブ3dを開の状態とし、平面電極6およびその上に載置されている基材7は、ロードロック室2b外に搬出される。これら一連の動作は、連続的に行われ、平面電極6の停止および進行を自由に制御することができる。また、回転電極9については、合成石英ガラス12を介して近赤外線ランプ13から放射される赤外線によって加熱され、150℃程度に昇温されることが好ましい。なお、回転電極9の温度モニターは、例えばBaF2からなる覗き窓14を介して放射温度計15によって行われる。
このプラズマ装置において、回転電極9と基材7間の狭隙間にグロー放電21によるプラズマを形成することによって、基材7上に金属被膜を形成する。この金属被膜の形成の原理について説明する。回転電極9は、例えばアルミニウム製で構成されており、そのサイズは例えば幅:120mm、直径:100mm程度の円筒状であり、そのエッジ部は電界集中を防止するために、R5(mm)の曲率半径で丸く形成されている。また、回転電極9の表面は、アーキングを防止するために、誘電体コーティングがなされている。このときの誘電体コーティングとしては、例えばホワイトアルミナが溶射コート(厚み:150μm程度)されることによって構成される。
回転電極9において、基材7との狭隙を形成する面は研磨仕様となっており、必要に応じて凹凸形状が形成されている。また、回転電極9はベアリング8と架台10とによって支持されている。回転電極9の一方の軸端はマグネットカップリングとなっており、チャンバ1の外側に配置されているモータ端のマグネット(図示せず)とカップリングし、回転電極9を0〜3000rpmの範囲で回転させることができる。
架台10は、例えば、ステンレス鋼製で構成されており、この架台10に整合器17を介して、高周波電源16からの高周波電力が印加できるようにされている。平面電極6のスキャン先端部が回転電極9の直下に到着したときに、高周波電力が印加され、まず回転電極9と平面電極6(即ち、平面電極6は回転電極9の対向電極に相当する)の狭隙間でグロー放電が開始される。次いで、平面電極6が順次スキャンされ、平面電極6上に載置された基材7が回転電極9の直下に到着した後に、狭隙は回転電極9と基材7との間となる。
平面電極6の内部にはヒータ18が埋設されており、このヒータ18によって平面電極6の温度を室温から300℃程度にまで加熱できるように構成されている。また、平面電極6の表面にはホワイトアルミナが厚み:100μm程度で溶射コ―ティングされており、基本的には電気的にアース(接地)された状態でもよいが、図2に示すように整合器20を介して高周波電源19からの高周波電力を印加するように構成されていてもよい。このように平面電極6にも高周波電力を印加することによって、プラズマ密度の増加やプラズマの封じ込め効果等が発揮されることになる。高周波電源19からの電力を平面電極6に印加する時期については、回転電極9への高周波電源16からの電力を印加後、直ちに高周波電力を印加するようにすればよい。
なお、整合器17は、高周波電源16側と整合器17を含めた負荷側をマッチングさせるため周波数の同調とインピーダンスの調整を行うこと、整合器17を含めた負荷回路全体での消費電力を最大にすること、および高周波電源16や高周波発振回路を保護すること等の役目を担うものである(整合器20と高周波電源19の関係についても同じである)。
図3に示すように、本発明の基材の被覆方法を実施するための他の構成例に係るプラズマ装置は、基本的な構成は図2に示したプラズマ装置の構成と類似するものである。従って、図1に示すプラズマ装置の構成と対応する構成には同一の参照符号を付し、重複する説明を省略することとする。また図3では、説明の便宜上図面では示していないが、このプラズマ装置においても図1に示したプラズマ装置と同様に、基材導入用ロードロック室2a、基材搬出用ロードロック室2bおよびそれに付随する部材が配置されるものである。
そして、図3に示したプラズマ装置の構成においては、円筒状の回転電極9の代わりに無端状ベルト電極22が設けられており、この無端状ベルト電極22は、例えば、薄肉鋼製の導電性部材からなり、2つのローラ23,24に掛け回されて走行するように構成されている。
ローラ23,24は、円筒状外周面を有しており、これらはプラズマ発生領域Pにおいて無端状ベルト電極22の表面と水平に延びる基材7の表面とが平行をなし、両者の狭隙間の距離が一定となるように配置されている。無端状ベルト電極22は、その回転方向がプラズマ発生領域Pにおいて基材7の移動方向と同方向に走行するようになっている。
これら2つのローラ23,24のうち、図3における右側に位置するものが金属性の駆動兼給電用ローラ24である。このローラ24をベルト駆動用モータ(図示せず)によって回転させることによって、ローラ24が回転するように構成されている。また、チャンバ1内において、平面電極6上に載置された基材7は、基材移送機構25によって水平方向(矢印B方向)に移動されるようになされている。
図3に示したプラズマ照射装置では、ガス導入口4eよりチャンバ1内にガス成分を導入するとともに、排気用ダクト5eを介して排気してチャンバ1内を所定の雰囲気圧力に維持する。そして、ローラ23,24により無端状ベルト電極22を走行させ、無端状ベルト電極22と基材7との狭隙間に、グロー放電により比較的広いライン状のプラズマを発生させ、基材7を移動させながら反応ガスの化学反応(還元反応)により基材7上に金属被膜を形成する。
図4は、本発明の基材の被覆方法を実施するための、回転電極を用いたプラズマ装置のさらに他の構成例を示す概略説明図である。
このプラズマ装置は、ガスの排気・置換工程を省略することにより生産性を高めるとともに、高価な真空容器の使用を避けるために大気からの直接的な基板の挿入と搬出が可能となっている。なお、基本的な回転電極部分の構成は図2と同様であるので、当該同様の部分については説明を省略する。
このプラズマ装置では、基材7はベルトコンベア26によって一方向に移送される。基材7は、基板ハンドリングロボット(図示せず)により、一定間隔でベルトコンベアの一方の端に載せられる。その後、基材7はベルトコンベアの移動に伴い、チャンバ1内に移送される。
プラズマ装置では、入り口(出口)を基材7の移送に最低限必要な大きさに開口部に限るとともに、エアーカーテン27が備え付けられており、ガス流れを利用して外気の遮断を行なっている。チャンバ1内は、不活性ガスに満たされており、別途導入される炭化水素ガスとフッ素含有化合物ガスを含有するガス成分を回転電極9の回転によりプラズマ空間に導き、基材7上に金属被膜を形成する。
図5は本発明を実施するための、回転電極を用いたプラズマ装置の更に別の構成例を示す概略説明図である。このプラズマ装置では、基材7をコイル状として、送出しロール29から基材7を送出し、巻き取りロール30で基材7を巻き取る。反応容器とは入り口/出口に設置されたガス遮断ロール31により外気と分離される。このような構成にすることで基材7の連続処理が可能となり、生産性を著しく向上させることが可能である。
次に、本発明の基材の被覆方法および表面被覆基材について、幾つかの実施例を示して具体的に説明する。
(実施例1)
図2に示した回転電極を備えたプラズマ装置を用いて、ガラス製の基板7上に亜鉛膜の形成を行った。図2中、平面電極6としては、幅:170mm、長さ(移送方向長さ):170mmのものを使用し、この平面電極6上に基材7を載置してチャンバ1内に収納した。
基材7としては、幅:100mm、長さ(移送方向長さ):100mm、厚さ:1.1mmのガラス基板(無アルカリガラス・コーニング#1737)を用いた。金属酸化物の微粒子として、酸化亜鉛粒子(純度99.99%、300メッシュ)を用いた。微粒子の平均粒径は0.8ミクロン(800nm)である。微粒子をあらかじめエタノール溶液に分散させ、ディッピング法により表面に塗布し、その後、乾燥させた後、平面電極6上に設置した。
そして、平面電極6を回転電極9の直下に移動した後、回転電極9に高周波電源16から高周波電力(周波数:13.56MHz、700W)を印加した。なお、平面電極6はアースに接続した。
このとき平面電極6の設定温度を200℃、回転電極9の設定温度を100℃、チャンバ1およびその部材の設定温度を100℃とし、基材7の温度も100℃とした。
また回転電極9の回転数は1500rpm(周速度:45000cm/分)とし、回転電極9と基材7との狭隙間は1mmに設定した。本実験では、基材7を固定し、プラズマの照射時間を5〜300秒の間で調整した。
チャンバ1の圧力は、排気口5cに設置されたオートプレシャーコントロール(図示せず)によって行い大気圧近傍の全圧0.101MPaに調整した。チャンバ1にはヘリウムガスと水素の混合ガスを導入した。そして、各ガス成分の流量を調整することにより各ガス成分の分圧を調整し、回転電極9と基材7との隙間の圧力も同様に0.101MPaとした。
以上のような手順により30秒間水素プラズマで処理したところ、酸化亜鉛粒子を付着させた基材7は、白色から金属光沢に変化した。すなわち、付着させた酸化亜鉛粒子により金属被膜を得ることができた。このとき、XPS(X線光電子分光分析)によって、得られた金属被膜の成分を分析したところ、図6のように亜鉛のピークに対応する494eV付近にピークが出現し(図6において「Metal」と表示する。なお、酸素(Oxide)のピークは498eV付近にある。)、金属の亜鉛が得られたことがわかった。なお、プラズマが照射されていない領域は表面に変化は見られなかった。なお、図6は、XPSの分析結果を示すグラフである。なお、図6において横軸は結合エネルギー(Binding Energy(eV))であり、縦軸は強度(Intensity(CPS))である。
(実施例2)
次に、ガラス製の基板(無アルカリガラス・コーニング#1737)7およびアルミニウム製の基材7上に銅の金属被膜の被覆を行った。ガラス製の基材7は、実施例1に示した寸法で作製し、アルミニウム製の基材7は、幅:100mm、長さ(移送方向長さ):150mm、厚さ:300μmで作製した。微粒子としては酸化銅を用いた。ここでは、純度99.9%、平均粒径48nm、15質量%の水希釈のナノテックスラリー(シーアイ化成株式会社製)を用い、基材7上にロールコーターによって選択的に塗布した。そして、基材ホルダーの温度を100℃とし、全圧を0.09MPaとする以外は、実施例1と同様の方法で処理を行った。なお、圧力は、排気ポンプの排出量をガス導入量より大きく設定することで調整した。
その結果、いずれも選択的に塗布された領域にのみ銅の光沢を持つ金属被膜が得られた。図7に示すように、微粒子が結合し、平坦な金属被膜になっていることが確認された。また、表面の電導性を調べたところ導通が確認され、金属被膜は銅であることがわかった。XPSによる分析では図8のように金属被膜中に含まれる酸素は10%以下であり、銅は90%以上であり、また、炭素などもほとんど含まれていないことがわかった。
なお、図7は、金属被膜を被覆したガラス製の基材7の断面を斜め上方向からSEMで撮影した写真である。図7の下部分にガラス製の基材7の断面、中部分に銅の金属被膜の断面、上部分に写真の奥行き方向に広がる銅の金属被膜の表面が観察できる。図8は、XPSの分析結果を示すグラフである。なお、図8において横軸はスパッタ深さ(Sputter Depth(nm))であり、縦軸は原子の濃度(Atomic Concentration(%))である。
(実施例3)
微粒子として酸化銅(平均粒径1ミクロン(1000nm))と酸化亜鉛(平均粒径0.8ミクロン(800nm))を混合した微粒子を用いた。実施例1と同様にエタノール溶液に分散させ、ガラス製の基板(無アルカリガラス・コーニング#1737)7上に塗布し、プラズマ処理を行ったところ、プラズマの照射された領域のみが金色に変化した。XPSにより調査したところ、銅のピークに対応する567eVと亜鉛のピークに対応する494eV付近にピークが確認された(不図示)。この結果から、銅と亜鉛がともに還元され、真鍮になった合金金属被膜(合金化させてなる金属被膜)が形成されていることがわかった。
(実施例4)
微粒子として酸化アルミニウムを用いた。微粒子の平均粒径31nmのナノテックスラリー(水希釈にて15質量%とした)(シーアイ化成株式会社製)をロールコーターにより塗布し、平面電極の温度を300℃として、プラズマ処理を行った。
回転電極9の回転数は500rpm(周速度:15000cm/分)とし、回転電極9とガラス製の基材(無アルカリガラス・コーニング#1737)7の狭隙間を3mmに設定した。このときの基材7のスキャン速度は3.3mm/秒としたので、基材7のスキャン方向における端間での放電時間は51秒となった。得られた被膜をSEMにより観察したところ、図9のような平坦な酸化アルミニウム粒子が結合した金属酸化物被膜が全面に得られた。なお、図9は、金属酸化物被膜を被覆したガラス製の基材7の断面を斜め上方向からSEMで撮影した写真である。図9の下部分にガラス製の基材7の断面、中部分に銅の金属酸化物被膜の断面、上部分に写真の奥行き方向に広がる銅の金属酸化物被膜の表面が観察できる。
(実施例5)
銅板を基材7として処理を行った。微粒子として酸化亜鉛の微粒子(純度99.99%、300メッシュ)を用いた。微粒子の平均粒径は0.8ミクロン(800nm)である。粒子をあらかじめエタノール溶液に分散させ、スプレーにより表面に塗布して乾燥させた後、平面電極6上に設置した。
実施例1と同様にプラズマ処理したところ、プラズマ処理された領域が金色に変化した。XPSにより分析したところ、銅のピークに対応する567eVと亜鉛のピークに対応する494eV付近にピークが確認された(不図示)。そのため、図10に示すように、基材の銅と酸化亜鉛の亜鉛とが合金化し、真鍮(銅−亜鉛合金)になった合金金属被膜(合金化させてなる金属被膜)が形成されていることがわかった。このとき、酸素はほとんど検出されなかった。一方、プラズマ処理されていない領域では変化は見られなかった。なお、図10は、XPSの分析結果を示すグラフである。なお、図10において横軸はスパッタ深さ(Sputter Depth(nm))であり、縦軸は原子の濃度(Atomic Concentration(%))である。
以上、本発明に係る基材の被覆方法および表面被覆基材について、発明を実施するための最良の形態や実施例を示して詳細に説明したが、本発明の内容はこれらに限定して解釈してはならず、特許請求の範囲に基づいて定められるべきものである。また、本発明の内容は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更・改変して用いることが可能であることはいうまでもない。
例えば、金属被膜は、第1実施形態で説明したように、基材の表面全体を均一に被覆したものであってもよいが、プラズマ処理の条件を調整することにより、金属被膜を基材の表面全体に不均一に(不連続的に)被覆したものであってもよい。このように、金属被膜を不均一に被覆させ、アイランド状に形成すると、基材と金属被膜の両方の特性や効果を活かすことが可能である。
また、金属被膜は、このような基材と金属被膜の両方の特性や効果を得るため、前記したように、付着工程S1とプラズマ処理工程S2とを複数回繰り返して行ってもよいことはいうまでもない。
そして、付着工程S1とプラズマ処理工程S2とを複数回繰り返して行う場合において、被膜構成金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を2種類以上用いることで、異なる種類の金属被膜を複数被覆させた基材を製造することも可能である。
なお、前記の変更・改変した例は、金属酸化物被膜についても同様であることはいうまでもない。
本発明の基材の被覆方法の工程内容を示すフローチャートである。 回転電極を備えたプラズマ装置の構成例を示す概略構成図である。 無端状ベルト電極を備えたプラズマ装置の構成例を示す概略構成図である。 回転電極を備えたプラズマ装置の他の構成例を示す概略構成図である。 回転電極を用いたプラズマ装置の更に別の構成例を示す概略説明図である。 XPSの分析結果を示すグラフである。 金属被膜を被覆したガラス製の基材の断面を斜め上方向からSEMで撮影した写真である。SEMで撮影した写真である。 XPSの分析結果を示すグラフである。 金属酸化物被膜を被覆したガラス製の基材の断面を斜め上方向からSEMで撮影した写真である。SEMで撮影した写真である。 XPSの分析結果を示すグラフである。
符号の説明
S1 付着工程
S2 プラズマ処理工程
1 チャンバ
2a 基材導入用ロードロック室
2b 基材搬出用ロードロック室
3a〜3d ゲートバルブ
4a〜4f ガス導入口
5a〜5f リーク口
6 平面電極
7 基材
8 ベアリング
9 回転電極
10 架台
11a〜11c 絶縁体
12 合成石英ガラス
13 近赤外線ランプ
14 覗き窓
15 放射温度計
16,19 高周波電源
17,20 整合器
18 ヒータ
21 グロー放電領域
22 ベルト電極
23,24 ローラ
25 基材移送機構
26 ベルトコンベア
27 エアーカーテン
28 対向電極
29 送り出しロール
30 巻き取りロール
31 ガス遮断ロール

Claims (9)

  1. 被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を液体に分散させた分散液を用いて前記微粒子を基材上に付着させる付着工程と、
    前記微粒子を付着させた前記基材をプラズマ処理するプラズマ処理工程と、
    を含んでなり、
    前記プラズマ処理工程は、
    放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して前記微粒子の最表面を還元することにより、当該還元した金属元素で前記微粒子同士を結合させた金属酸化物被膜となし、前記基材上に前記金属酸化物被膜が被覆されることを特徴とする基材の被覆方法。
  2. 前記分散液は、前記微粒子を2種類以上分散させたものであり、
    前記金属酸化物被膜は、2種類以上の前記金属元素を合金化させ、当該合金化させた金属元素により前記微粒子同士を結合させたものであることを特徴とする請求項1に記載の基材の被覆方法。
  3. 被膜を構成する金属元素が酸化した金属酸化物の微粒子を液体に分散させた分散液を用いて前記微粒子を金属製の基材上に付着させる付着工程と、
    前記微粒子を付着させた前記基材をプラズマ処理するプラズマ処理工程と、
    を含んでなり、
    前記プラズマ処理工程は、
    放電により発生させたプラズマ領域に、還元性ガスを含む反応ガスを導入して前記微粒子を還元することにより、前記金属製の基材の一部と前記金属元素を合金化させてなる金属被膜となし、前記金属製の基材上に前記金属被膜が被覆されることを特徴とする基材の被覆方法。
  4. 前記分散液は、前記微粒子を2種類以上分散させたものであり、
    前記金属被膜は、2種類以上の前記金属元素を合金化させたものであることを特徴とする請求項3に記載の基材の被覆方法。
  5. 前記プラズマ領域の圧力が大気圧近傍の圧力であり、前記プラズマ領域で発生させたプラズマがグロー放電によるものであることを特徴する請求項1〜4のうちいずれか1項に記載の基材の被覆方法。
  6. 前記還元性ガスが、水素、メタン、一酸化炭素からなる群から選ばれる少なくとも1種類を含むことを特徴とする請求項1〜5のうちいずれか1項に記載の基材の被覆方法。
  7. 前記微粒子の平均粒径が100nm以下であることを特徴とする請求項1〜6のうちいずれか1項に記載の基材の被覆方法。
  8. 前記基材が、アルミ部材、銅部材または鉄鋼部材であることを特徴とする請求項1〜7のうちいずれか1項に記載の基材の被覆方法。
  9. 請求項1〜のうちいずれか1項に記載の基材の被覆方法によって表面が前記金属被膜または前記金属酸化物被膜で被覆されていることを特徴とする表面被覆基材。
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