JP4806129B2 - ペットフードおよびその製造装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、見た目の面白さに加え、食感に優れ、噛んだときにばらけ易くて特に老犬や老猫には食べ易いドライタイプのペットフードおよびその製造装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
観賞魚、小鳥、愛玩動物などに与えられる人工の飼料すなわちペットフードが広く用いられているが、中でもドライタイプのペットフードはその取扱いが手軽であることから種類も量も豊富である。
【発明が解決しようとする課題】
このドライタイプのペットフードは、エクストルーダーを用いて、原料に熱と水分と圧力を加え、その配合原料中の澱粉質をα化した後、大気中に急激に放出することにより膨化させて製造されるが、そのほとんどは粒状またはそれより大きい単体の製品で、比較的硬く、ばらばらの状態で袋または缶に入れて取り扱われる。従って吸水性があまり良くなく、ペットへの給餌時に水や牛乳などを掛けても吸収されにくいし、犬や猫の舌に付着しにくいために食べにくく、老犬や老猫には噛みにくいという問題がある。
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、見た目が面白くて食感にすぐれ、吸水性が良く、噛んだときばらけ易いペットフードおよびその製造装置を提供することを目的とする。
【0003】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するために、ペットフード用原料混合物を押出し成形して複数本の紐状成形物とし、該紐状成形物をカットして製造する犬または猫用ペレット状の固形状ペットフードであって、前記原料混合物を、エクストルーダーを用いて混練温度70〜90℃、バレル先端温度100℃〜130℃、バレル先端圧力5〜10バールの条件下に押出して、前記原料混合物中の澱粉質をα化して膨化させて前記紐状成形物の側面どうしが少なくとも一部で接合されるよう成形し、該紐状成形物をカットして複数の粒片が互いに一部で接合して成り立っていることとした。
【0004】
また、ペットフード用原料混合物を押出し成形して複数本の紐状成形物とし、該紐状成形物をカットして製造する犬または猫用のペレット状の固形状ペットフードの製造方法であって、前記原料混合物を、エクストルーダーを用いて混練温度70〜90℃、バレル先端温度100℃〜130℃、バレル先端圧力5〜10バールの条件下に押出して、前記原料混合物中の澱粉質をα化して膨化させて前記紐状成形物の側面どうしが少なくとも一部で接合されるよう成形し、該紐状成形物をカットして乾燥し、複数の粒片が互いに一部で接合したペレット状の固形状ペットフードとすることとした。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
【0006】
図1は、本発明によるペットフードの製造装置(以下エクストルーダーという)の概略図である。エクストルーダーは、ペットフードの原料と水分を混練しながら定量供給するフィーダー10と、フィーダー10から供給された原料に蒸気と温水(必要あれば他の液状原料)を付与して調湿し蒸煮するコンディショナー20と、シリンダ31の内部に設けられたスクリュー32により原料を加熱、加圧しながら先端まで圧送し先端の成型ダイ33の押出し穴33aから大気中に紐状に押出し射出するエクストルーダー30と、成型ダイ33から押出し成形された紐状の材料を適当な長さに切断するカッター40とにより構成されている。なお、エクストルーダー30のシリンダ31の周囲はジャケット34で包まれ、その内部に蒸気または温水を通してシリンダ内部を一定温度に保持している。またエクストルーダー30のスクリュー32はモータ/減速機36で駆動される。
【0007】
図2はエクストルーダー30の成型ダイ33の押出し穴の配置の一例を示す。(A)は芯ありタイプ、(B)は芯なしタイプであり、いずれの例も、穴は60度の等間隔で配置されている。
【0008】
(A)に示した芯ありタイプは、成形ダイ33の中心部の押出し穴33aの直径が3.0mmで、その中心押出し穴の中心に対する半径8.0mmの仮想円上に直径が2.5mmの押出し穴33bを6個等間隔に配列したもので、隣接する周辺の押出し穴どうしは1.33mm離間している。
(B)に示した芯ありタイプは、成型ダイ33の中心Oから半径7.5mmの仮想円上に直径が2.7mmの押出し穴33cを6個等間隔に配列したもので、隣接する押出し穴どうしは1.00mm離間している。
【0009】
図3はエクストルーダー30の成型ダイ33の押出し穴の配列の別の例を示す。
(A)、(B)、(C)のいずれも9個の押出し穴が縦3列、横3列に配列されている。
(A)の例は、押出し穴の直径が2.6mmで、縦横とも押出し穴33dの中心間距離は3.5mmである。(B)の例は、押出し穴33eの直径が2.2mmで、縦横とも押出し穴の中心間距離は3.0mmである。(C)の例は、押出し穴33fの直径が2.1mmで、縦横とも押出し穴の中心間距離は2.5mmである。
【0010】
次に、一例として成形ダイの押出し穴が図3(A)に示すように配置されたエクストルーダーを用いてキャットフードとドッグフードを実際に製造した例について説明する。
キャットフードの製造例
まず、下記の組成を有する固形状キャットフード用の原料混合物を準備した。
【0011】
トウモロコシ 50重量部
魚 粉 15重量部
肉 粉 10重量部
ミネラル類 10重量部
ビタミン類 5重量部
油 脂 5重量部
魚エキス 5重量部
合 計 100重量部
準備した固形状キャットフード用原料混合物を用いて、エクストルーダー(ジョーダ鉄工株式会社製「EP−50」)を使用して、エクストルーダーへの原料混合物の供給量60kg/時、エクストルーダーへの給水量13リットル/時、混練温度70〜90℃、バレル先端温度100℃〜130℃、バレル先端圧力5〜10バールの条件下に押出し成形して紐状に押出し成形した後切断し、それを120℃で乾燥して、水分含量が8%のペレット状の固形状キャットフード(ドライタイプ)を製造した。
ドッグフードの製造例
下記の組成を有する固形状ドッグフード用の原料混合物を準備した。
【0012】
トウモロコシ 40重量部
小麦粉 20重量部
ミートミール(肉粉) 16重量部
大豆ミール 15重量部
動物性油脂 5重量部
ミネラル類 3.5重量部
ビタミン類 0.5重量部
合 計 100重量部
準備した固形状ドッグフード用原料混合物を用いて、エクストルーダー(ジョーダ鉄工株式会社製「EP−50」)を使用して、エクストルーダーへの原料混合物の供給量60kg/時、エクストルーダーへの給水量13リットル/時、混練温度70〜90℃、バレル先端温度100℃〜130℃、バレル先端圧力5〜10バールの条件下に押出し成形して紐状に押出し成形した後切断し、それを120℃で乾燥して、水分含量が8%のペレット状の固形状キャットフード(ドライタイプ)を製造した。
【0013】
これにより得られた固形状ドッグフードの飼料エネルギー量は330Kcal/100gであった。
【0014】
図4は本発明により製造されたペットフードの一例を示す。
【0015】
図から分かるように、ペットフード50は、エクストルーダーの成型ダイの9個の穴から押出し成形された9本の紐状の原料混合物が押出し成形された直後互いに表面どうしが接触(接合)した状態で切断されるために、乾燥後は9個の粒片どうしが接合した状態になっている。従って従来の単純な粒状のペットフードまたは単体のペットフードに比べると外観に面白さがあり、ペットが口に入れて噛んだとき、ばらけ易い。
【0016】
上記実施例ではペットフードの製造にエクストルーダーを用いたが、EPミルを用いることももちろん可能である。また本発明により提供されるペットフードの粒片どうしの接合力は原料の配合組成、特に澱粉の含量を調整することにより加減することができる。
【0017】
【発明の効果】
本発明により製造されるペットフードは従来のような単純な粒状でも単体でもなく、いくつかの粒片が互いに接合して成り立っているので、全体として見たとき外観に面白さがあり、舌ざわりによる食感に優れ、吸水性に優れ、ペットが噛んだときにばらけ易いので、特に老犬や老猫には食べ易い特徴がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるペットフードの製造に用いられるエクストルーダーの概略構成を示す図である。
【図2】(A)および(B)はエクストルーダーの成型ダイに設けられる押出し穴の配列が異なる2つの例を示す。
【図3】(A)、(B)、(C)はエクストルーダーの成型ダイに設けられる押出し穴の配列のさらに異なる3つの例を示す。
【図4】本発明によるペットフードの一例の斜視図である。
【符号の説明】
10 フィーダ
20 コンディショナー
30 エクストルーダー
31 シリンダ
32 スクリュー
33 成型ダイ
34 ジャケット
36 モータ/減速機
40 カッター

Claims (2)

  1. ペットフード用原料混合物を押出し成形して複数本の紐状成形物とし、該紐状成形物をカットして製造する犬または猫用ペレット状の固形状ペットフードであって、前記原料混合物を、エクストルーダーを用いて混練温度70〜90℃、バレル先端温度100℃〜130℃、バレル先端圧力5〜10バールの条件下に押出して、前記原料混合物中の澱粉質をα化して膨化させて前記紐状成形物の側面どうしが少なくとも一部で接合されるよう成形し、該紐状成形物をカットして複数の粒片が互いに一部で接合して成り立っていることを特徴とする犬または猫用のペレット状の固形状ペットフード。
  2. ペットフード用原料混合物を押出し成形して複数本の紐状成形物とし、該紐状成形物をカットして製造する犬または猫用のペレット状の固形状ペットフードの製造方法であって、前記原料混合物を、エクストルーダーを用いて混練温度70〜90℃、バレル先端温度100℃〜130℃、バレル先端圧力5〜10バールの条件下に押出して、前記原料混合物中の澱粉質をα化して膨化させて前記紐状成形物の側面どうしが少なくとも一部で接合されるよう成形し、該紐状成形物をカットして乾燥し、複数の粒片が互いに一部で接合したペレット状の固形状ペットフードとすることを特徴とする犬または猫用のペレット状の固形状ペットフードの製造方法。
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