以下、この発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、この発明の一実施形態が適用された燃料電池車両12の概略構成図である。
図2は、燃料電池車両12の主要構成の概略配置説明図である。
この燃料電池車両12は、基本的には、車両のセンタートンネル部に配置される燃料電池14と、この燃料電池14の発電出力を補助するエネルギストレージであり後部座席後方に配置される蓄電装置(バッテリという。)16とから構成されるハイブリッド電源と、このハイブリッド電源からの電流(電力)が図示しないインバータを通じて供給されフロントフード(ボンネット)下に配置される走行駆動用のモータ18とから構成される。バッテリ16は、例えば、リチウムイオン2次電池、ニッケル水素2次電池、又はキャパシタを利用することができる。
燃料電池14の電流出力は、配線101を通じて、VCU(Voltage Control Unit:電圧制御装置)20の一端側とモータ18とに接続される。VCU20の他端側の配線102には、バッテリ16の他、それぞれがフロントフード下に配置される空気調和装置(エアコンという。)22、空気圧縮機(エア圧縮機という。)24、冷却水ポンプ26、DT系冷却水ポンプ28等が接続されている。
VCU20は、例えば、双方向DC/DCコンバータであり、バッテリ16の電力を電圧変換してモータ18に供給するとともに、燃料電池14の電力及び(又は)モータ18の回生電力を電圧変換してバッテリ16に充電用として供給しかつエア圧縮機24等に供給する。
すなわち、VCU20は、配線101上に現れる高電圧(燃料電池14の電圧)と、配線102上に現れる低電圧(バッテリ16の電圧)との間で電圧変換を行い、VCU20の両端間に接続される電気負荷間での電力の出し入れを制御する。
燃料電池14及びバッテリ16の電力は、駆動系デバイス{DT(Drive Train)系デバイスという。}30に供給されるとともに、DT系冷却水ポンプ28及び燃料電池14を冷却する冷却水ポンプ26に供給される。
この実施形態においてDT系デバイス30は、モータ18と、VCU20と、エアコン22と、エア圧縮機24とから構成される。
これらDT系デバイス30は、冷却水流路32に連通するDT系ラジエータ34及びDT系冷却水ポンプ28により冷却液体を通じて冷却される。
燃料電池14は、冷却水流路36に連通するFC(Fuel Cell:燃料電池)系ラジエータ38及び冷却水ポンプ26により冷却液体を通じて冷却される。なお、FC系ラジエータ38及び冷却水ポンプ26もフロントフード下に配置される。
DT系ラジエータ34とFC系ラジエータ38とは、車速に応じた風速を有する外気による風(車速風という。)39を介して熱交換を行う。
燃料電池14は、固体高分子電解質膜をアノード電極とカソード電極とで挟んで保持して構成される燃料電池セルを、複数積層させて一体化させたスタック構造である。各燃料電池セルは、電解質膜(固体高分子電解質膜)・電極構造体を挟んで保持する金属のセパレータとを備える。一方のセパレータの電解質膜・電極構造体のカソード電極に対向する面には、酸化剤ガス流路(反応ガス流路ともいう。)が設けられる。他方のセパレータの電解質膜・電極構造体のアノード電極に対向する面には、燃料ガス流路(反応ガス流路ともいう。)が形成される。
燃料電池14の燃料ガス流路には、燃料ガス供給流路44を通じて燃料供給システム46から燃料ガス、例えば水素(H2)が供給される。燃料供給システム46は、制御部100により遮断弁のオンオフ等が制御される。
燃料電池14の燃料ガス流路から排出される未使用の水素ガスを含むガスは、燃料ガス循環流路48を通じて燃料ガス供給流路44に戻される。燃料ガス供給流路44には図示しないエゼクタが設けられ、そのエゼクタによって発生される負圧により燃料ガス循環流路48からのガスが燃料電池14の燃料ガス流路にもどされる。
燃料電池14の酸化剤ガス流路には、酸化剤ガス供給流路50を通じてエア圧縮機24から圧縮空気が供給され、圧縮空気は燃料電池14の酸化剤ガス流路を通過し、これに連通する酸化剤ガス排出流路52を通じて外気に排出される。
燃料電池車両12には、モータ18、エア圧縮機24を含むDT系デバイス30等の電気負荷、及びDT系冷却水ポンプ28や冷却水ポンプ26等の電気負荷を制御するための各種温度センサが設けられている。
エア圧縮機24に外気である空気を導入する酸化剤ガス導入流路56には、吸気温度Tsを検出する吸気温度センサ201が設けられている。
モータ18には、モータ温度Tmを監視するモータ温度センサ202が設けられている。
冷却水流路32には、DT系水温Trを検出するDT系水温センサ203が設けられている。
バッテリ16には、バッテリ温度Tbを検出するバッテリ温度センサ204が設けられている。
燃料電池14の冷却水流路36には、FC系水温Twを検出するFC系水温センサ205が設けられている。
また、燃料電池14の燃料ガス循環流路48には、燃料電池14の燃料ガス温度Taを検出するアノード温度センサ206が設けられ、燃料電池14の酸化剤ガス温度Tcを検出するカソード出口温度センサ207が、酸化剤ガス排出流路52に設けられている。
さらに、車速風39の温度をエアコン22を制御するためのエアコン用気温Tvとして検出するエアコン用気温センサ208が設けられている。
モータ温度センサ202により監視されるモータ温度Tm、DT系水温センサ203により検出されるDT系水温Tr、バッテリ温度センサ204により検出されるバッテリ温度Tb、FC系水温センサ205により検出されるFC系水温Tw、アノード温度センサ206により検出される燃料ガス温度Ta、カソード出口温度センサ207により検出される酸化剤ガス温度Tc、及びエアコン用気温センサ208により検出されるエアコン用気温Tvが、制御部100により検出される。
この図1例の燃料電池車両12では、外気温を検出する専用の高精度温度センサを設けていないが、外気温を検出する専用の高精度な温度センサを設けてもこの発明を実施することができる。
制御部100には、燃料電池車両12(燃料電池14)を起動する起動信号を出力するとともに、燃料電池車両12(燃料電池14)を停止する停止信号を出力するイグニッションスイッチ(IGSW)60(起動スイッチ)が接続されている。
制御部100は、燃料電池車両12の各種弁の開閉、DT系デバイス30の制御、バッテリ16の充放電制御等を含め、燃料電池車両12全般の動作を制御する。
制御部100は、CPU、メモリ(ROM、RAM)、タイマ、A/D変換器、D/A変換器等を含むコンピュータ(ECU:Electronic Control Unit)により構成され、各種入力に基づきメモリに記憶されているプログラムを実行することで各種の機能を実現する機能手段(機能部)として動作する。
この実施形態において、制御部100は、起動時必要電力増加部110、停止時充電量決定部112、冬季判定部114、冬季判定禁止・解除部116、冬季切替判断部150等として機能する他、掃気制御部、RTC(Real Time Clock)制御部、バッテリ残量(充電量又はSOC:State Of Chargeという。)監視部、SOC閾値持ち替え部(SOC閾値変更部)等として機能する。
実際上、SOCは、バッテリ16に組み込まれたバッテリ制御部(不図示)により当該バッテリ16の入出力電流、出力電圧、温度等が参照されて検出され、制御部100に通知される。また、制御線を図示はしていないが、制御部100は、後述するようにVCU20の通過電流{モータ18からの回生電流、燃料電池14からの発電電流、バッテリ16からのモータ18へのバッテリ電流(駆動電流)}を制御する信号をVCU20に送出する。制御部18は、バッテリ16のエネルギ管理を含め、燃料電池車両12全体のエネルギ管理制御部としても機能している。
基本的には以上のように構成される燃料電池車両12の動作について次に説明する。
この燃料電池車両12は、燃料電池車両12の停止中であるソーク中に車載の温度センサ201〜208中、特に外気温Teaに対する追従性が最も良好な温度センサである吸気温度センサ201とモータ温度センサ202とDT系水温センサ203の検出温度Txである吸気温度Tsとモータ温度TmとDT系水温Trを監視し、検出温度Tx(Tx=Ts、Tm又はTr)から冬季(例えば、0[゜C]以下の外気温になる可能性が高い季節)であるか否かを判別し、冬季と決定した場合には、燃料電池車両12の運転中にバッテリ16の充電量を増加し、SOC常用域を高めに推移させるように構成される。
温度センサ201〜208は、運転中に電気負荷を制御するために車両に設けられたセンサであり、いずれも高精度である。
そこで、動作の詳細について説明する前に、車載の温度センサ201〜208の外気温追従性{(1)ソーク時外気温追従性、(2)走行中又はアイドルストップ時外気温追従性}について検討(実験・確認)したのでその検討結果について図3、図4を参照して説明する。
まず、外気温追従性の良好な温度センサについての検討結果を説明する。
図3は、一点鎖線で示す外気温Tea下で、時点t1〜時点t8、時点t11〜時点t16(時点t9、t10は描いていない。)まで3昼夜半に渡り、燃料電池車両12(燃料電池14)の運転状態を起動と停止を適当に繰り返したときの車載の温度センサ201〜208の検出温度の変化を示している。
この図3から温度センサ201〜208は、基本的に3つのグループに分類されることが分かる。
第1のグループは、外気温Teaに最も追従し難く起動時(t1、t3、t5、t11、t13、t15)には温度が起動に即応して上がるが、ソーク時(時点t6〜t11、時点t16以降)には冷めにくい燃料電池14の(パワープラント)内部温度(P/P内部温度)特性(ソーク時外気温追従性が非良好な温度特性)を呈する検出温度Tppを出力する、燃料ガス温度Taを検出するアノード温度センサ206と、酸化剤ガス温度Tcを検出するカソード出口温度センサ207とを含む温度センサグループである。
第2のグループは、ソーク時に外気温Teaに対して追従性が良好な(時点t8以降と時点t18以降で外気温Teaに追従する)温度特性を呈する検出温度Tyを出力する、バッテリ温度Tbを検出するバッテリ温度センサ204と、FC系水温Twを検出するFC系水温センサ205とを含む温度センサグループである。
第3のグループは、燃料電池車両12(燃料電池14)の起動時に温度が起動に即応して上がり、ソーク時(時点t6〜t11、時点t16〜)に外気温Teaに対して追従性が最も良好な(時点t7以降と時点t17以降で外気温Teaに追従する)温度特性を呈する検出温度Txを出力する、吸気温Tsを検出する吸気温度センサ201と、モータ温度Tmを検出するモータ温度センサ202と、DT系水温Trを検出するDT系水温センサ203とを含む温度センサグループである。
図3の測定結果から、燃料電池車両12の停止中であるソーク中に、冬季であるか否かを的確に判定する温度センサ{(1)ソーク時外気温追従性の良好な温度センサ}は、ソーク時に外気温Teaに対して追従性が最も良好な温度特性を呈する検出温度Txを出力する第3のグループに属する吸気温Tsを検出する吸気温度センサ201と、モータ温度Tmを検出するモータ温度センサ202と、DT系水温Trを検出するDT系水温センサ203であることが分かる。
また、(2)走行中又はアイドルストップ時に外気温追従性の良好な、好ましくは最適な温度センサの選出について図4の測定結果を参照して説明する。
結論を説明すると、この実施形態では、走行中又はアイドルストップ時に外気温追従性の良好な温度センサとして、ハッチングを施したDT系水温Trを検出するDT系水温センサ203及びエアコン用気温Tvを検出するエアコン用気温センサ208を採用している。
これらのDT系水温センサ203及びエアコン用気温センサ208は、走行中(発電中)の低負荷時及び高車速高負荷時いずれの場合にも、外気温Teaに対して追従性が最良であった。なお、図4中、ヒルホールドとは、上りの坂道で、アクセルもブレーキも踏まない状態で、走行駆動用のモータ18の前進トルクと坂道を下り落ちる力が拮抗していて停車している状態をいう。また、アイドルストップ時とは、停車中に燃料供給システム46から燃料電池14に対する燃料ガスの供給を停止している状態をいう。
以上が、(1)ソーク時に(2)走行中等に外気温追従性の良好な温度センサについての検討結果の説明である。
次に、冬季判定部114により冬季と判定された場合の起動時必要電力増加部110及び停止時充電量決定部112による車両起動のためのSOC及び必要電力について図5、図6、図7を参照して説明する。
図5は、冬季判定部114が冬季と決定した場合の停止時充電量決定部112によるSOCの閾値の持ち替えの一般的な概念を示している。冬季判定部114が冬季と決定した場合、停止時充電量決定部112は、SOCを夏季(冬季以外の春季、秋季も含む。)時のSOCからより大きな値の冬季時のSOCに持ち替える。
具体的には、アイドルストップを禁止するSOC閾値を閾値SOC1からより大きな閾値SOC3に持ち替える。同様に、目標SOC(又は停止時の充電量の閾値)をSOC2からSOC4に持ち替える。
起動時必要電力増加部110は、冬季判定部114が冬季と決定した場合には、このSOC3、SOC4となるように燃料電池車両12(燃料電池14)の運転中におけるバッテリ16の充電量を増加する。この場合、制御部100は、バッテリ16の電圧や充放電量を監視し、バッテリ16を充電するための燃料電池車両12(燃料電池14)の運転中における燃料電池14の出力電流が大きくなるように制御する。
なお、運転中の充電量の増量が不足する場合には、イグニッションスイッチ60のオフ時に、バッテリ16のSOCを検出し、検出したSOCが、SOC4となるまで燃料電池14を発電させた後、停止させる。
図6は、冬季判定部114が冬季と決定した場合の停止時充電量決定部112による放電禁止のSOCの閾値の持ち替えの一般的な概念を示している。縦軸は、バッテリ上限出力[kW]である。冬季判定部114が冬季と判定した場合、停止時充電量決定部112は、放電禁止のSOC閾値を閾値SOC5からより大きい閾値SOC6に持ち替える。つまり、より大きな閾値SOC6以上でバッテリ上限出力[kW]を出力できるように制御する。
起動時必要電力増加部110は、この大きい閾値SOC6となるように、燃料電池14の運転中及び(又は)燃料電池14の停止時におけるバッテリ16の充電量を増加する。
なお、図5及び図6において、SOCの下限側(SOC0[%]から所定値[%]まで)及び上限側(所定値[%]からSOC100[%]まで)において使用禁止領域を設けているのは、バッテリ16の劣化を防止するためである。
また、図5において、冬季判定部114により冬季決定がなされて、停止時充電量決定部112が目標SOC、すなわち車両停止時(イグニッションスイッチ60のオフ時)のバッテリ16の充電量であるSOCをSOC2からSOC4に増加させたとき、停止時充電量決定部112は、好ましくは、バッテリ充電量上限値を通常(春、夏、秋季)充電量上限値(夏季用充電量上限値という。)SOCs(例えば、65[%])から充電量がより高い冬季用充電量上限値SOCw(例えば、70[%])に同時に増加させる(第4の創作)。冬季決定時に、SOCを冬季用充電量上限値SOCwに増加させても冬季にはバッテリ温度Tbatが低くなるのでバッテリ16の劣化が促進されることはない。これにより冬季走行時におけるドライバビリティを高くすることができる。
なお、一般にバッテリ16、例えばリチウムイオン電池等は、高温、例えば40[゜C]以上でかつ、高SOC、例えば70[%]以上の状態で放置されると劣化(結果として満充電容量、すなわち定格容量の低下等)が促進されることが知られている。バッテリ16の劣化を招く高温及び高SOCの具体的な値は、使用バッテリ毎、あるいは使用バッテリの種類毎に予め個別に決定しておくことができる。
図7は、冬季判定部114が冬季と決定した場合の停止時充電量決定部112による燃料電池14に対する電力要求出力[kW]の一般的な概念を示している。
冬季判定部114が冬季と決定した場合、停止時充電量決定部112は、夏季の車両停止時の燃料電池14に対する電力要求出力P1を冬季の電力要求出力P2に持ち替え、夏季の車両走行時の燃料電池14に対する電力要求出力P2を冬季の電力要求出力P4に持ち替える。
起動時必要電力増加部110は、この大きい要求出力P2、P4となるように、上記したようにバッテリ16の充電量を増加する。
以上の説明が、冬季判定部114により冬季と決定された場合の停止時充電量決定部112による車両起動のためのSOC及び必要電力についての説明である。
次に、燃料電池車両12の冬季判定に係わる動作の詳細について、図8のフローチャート、図9のタイムチャート、図10の冬季切替判断部150の機能ブロック図、図11の冬季判定部114の一部機能を示す機能ブロック図を参照しながら説明する。なお、図9のタイムチャートにおいて、運転状態及び温度推移は、理解の便宜のため、図3を再掲載している。
ステップS1において、制御部100は、イグニッションスイッチ60がオンにされたかどうかを監視し、オンにされたと判定したとき、ステップS2において、冬季判定部114は、冬季決定フラグFwがセット(Fw=1で冬季を表す。)されているかどうかを判定する。
ステップS2において、冬季決定フラグFwがセットされていなかった場合(Fw=0)、ステップS3において、冬季判定部114は、ソーク時外気温追従性最良好温度特性を呈する温度センサである吸気温度センサ201とモータ温度センサ202とDT系水温センサ203から、それぞれ吸気温Tsとモータ温度TmとDT系水温Trを検出し、検出した吸気温Tsとモータ温度TmとDT系水温Trのいずれかの検出温度Txが0[℃]以下になっているかどうかを判定する(Tx≦0[℃])。
なお、検出余裕やセンサ誤差を考慮して実際には、0[℃]に+α[℃]した、温度以下(Tx≦0+α[℃])になっているかどうかを判定する。
いずれの温度も0[℃]を上回っていた場合、冬季と決定しないで、換言すれば、冬季以外の夏季(春季、秋季を含む。冬季との対比で通常季ともいう。)と決定し、停止時充電量決定部112は、図5〜図7に示した夏季の状態での上記したSOC及び要求出力に決定する。
起動時必要電力増加部110は、ステップS4において、このSOC、要求出力になるよう燃料電池14を通常の制御で運転し、あるいは冬季用制御であった場合には通常の制御に切り替えて運転しバッテリ16を充電する。
もし、ステップS3の判定において、吸気温Ts、モータ温度Tm又はDT系水温Trのいずれかの温度が0[℃]以下であった場合(ステップS3:YES)、ステップS5において、冬季判定部114は冬季と決定し冬季決定フラグFwをセットする(Fw←1)。このステップS5の処理は、図9に示す時点t1での挙動に対応する。
次いで、ステップS51において、起動時又はアイドルストップの解除時であるかを判定する。起動時は、イグニッションスイッチ60がオフからオンにされたときでステップS1又は後述するステップS15が肯定となったときに該当する。また、アイドルストップの解除は、アイドルストップ状態から走行状態への遷移を判定すればよく、例えば図示しないアクセルペダルの踏み込み量(スロットル開度でもよい。)、車速が所定の低速度以上、例えば5[km/h]以上であるかどうか等により判定することができる。
ステップS51の判定結果が、起動時又はアイドルストップ解除時に該当するときには、ステップS6において、停止時充電量決定部112は、図5から図7を参照して説明したように、夏季の状態から冬季の状態でのSOC及び要求出力に決定する。そして、冬季切替判断部150は、各部に冬季制御切替指令を送出する。この指令に基づき、起動時必要電力増加部110は、前記S0C及び要求出力を確保するように燃料電池14のシステムを冬季用制御に切り替えて運転させる。
ただし、ステップS51の判定が肯定とならなかったときには、運転を冬季用制御に切り替えないで通常の制御で運転する(ステップS4)。
ここで、図10の冬季切替判断部150の作用について説明すると、起動時又はアイドルストップ解除時(ステップS51:YES)にOR回路142の論理和出力が1となり、スイッチ140の共通接点cが接点n側から接点y側に切り替えられ、AND回路146の一方の入力ポートに「1」が供給される。また、冬季判定フラグFwがセット(Fw=1)されているとき(S2、S5又はS12:YES)、スイッチ144の共通接点cが接点n側から接点y側に切り替えられ、AND回路146の他方の入力ポートにも「1」が供給される。このときAND回路146の論理積出力が1となり、スイッチ148の共通接点cが通常制御指令が供給されている接点n側から冬季制御指令が供給されている接点y側に切り替えられる結果、スイッチ148の出力ポートから各部に冬季制御切替指令が送出される(ステップS6)。
次いで、ステップS7において、制御部100は、イグニッションスイッチ60がオフにされたかどうかを判定する。
イグニッションスイッチ60がオン状態であった場合には、ステップS2:NO→S3:NO→S4の処理、又はステップS2:YES→S6の処理を繰り返す。この場合、一度でもステップS3の冬季判定が成立した場合には、ステップS5において冬季決定フラグFwがセットされるので(Fw←1)、以降、ステップS2が必ず成立し、ステップS3、S5、S51の処理が迂回され、ステップS6の冬季用制御での運転を継続する。
ステップS7において、制御部100は、イグニッションスイッチ60がオフとされたことを検出したとき、ステップS8において、冬季判定結果(冬季判定フラグFw)をメモリにバックアップする。
次いで、ステップS9のソーク中(主には、図9の時点t6以降、又は時点t16以降)において、ステップS10では、制御部100は、起動停止後からのソーク時間が所定時間Tthを経過したかどうかを判定する。
この所定時間Tthは、ソーク時外気温追従性最良好温度特性を呈する温度センサである吸気温度センサ201、モータ温度センサ202、DT系水温センサ203からの吸気温Tsと、モータ温度Tmと、DT系水温Twの検出温度Txは、運転停止時点t6(t16)後、4時間程度(時点t6〜t7又は時点t16〜t17)で外気温Teaに追従することが分かっているので、所定時間Tthは、この時間より若干長いTth=5[h:時間]に設定される。
ステップS10において、所定時間Tthが経過した時点trtc1、及びtrtc2で、冬季判定部114は、ステップS11において、ソーク時外気温追従性最良好温度特性を呈する温度センサである吸気温度センサ201、モータ温度センサ202、DT系水温センサ203により検出した吸気温Ts、モータ温度Tm、DT系水温Trのいずれかの検出温度Txが0[゜C]より低い温度となっているかどうかを判定する(Tx≦0[℃])。
ステップS11の判定において、0[゜C]以下の温度となっていた場合には(時点trtc1参照)、ステップS12で冬季と決定し、冬季決定フラグFwをセットする(Fw←1)。図9のタイムチャートに示す例のように、冬季決定フラグFwが既にセットされていた場合には、冬季決定を継続する。
ステップS11の判定において、0[゜C]を上回る温度となっていた場合には、例えば、図9のタイムチャートに示す例の時点trtc2では、ステップS13において冬季決定を解除すると決定し、冬季判定フラグFwをリセットする(Fw←0)。すなわち、冬季判定禁止・解除部116は、冬季決定を解除し、冬季判定部114は、冬季制御解除指令を各部に送出する。
この冬季制御解除指令の送出機能を実施する冬季判定部114の作用について、図11を参照して説明すると、起動時又は5[h]ソーク時にスイッチ152の共通接点cが接点n側から接点y側に切り替えられAND回路156の一方の入力ポートに「1」が供給される。そのとき、冬季判定フラグFwがリセットされると、スイッチ154の共通接点cが接点n側から接点y側に切り替えられAND回路156の他方の入力ポートにも「1」が供給される結果、スイッチ148の共通接点cが冬季判定解除せずの指令が供給されている接点n側から冬季制御解除指令が供給されている接点y側に切り替えられ、各部に冬季制御解除指令が送出される。
次に、制御部100は、ステップS14において、判定結果をメモリにバックアップする。
ステップS12において、一度、冬季と決定された場合、次にイグニッションスイッチ60をオンに切り替えた時点(ステップS1:YES)の起動時で、ステップS2の冬季判定フラグFwの確認は必ず成立し、結果、ステップS6において、燃料電池14の運転中にSOC、要求出力が冬季用制御に切り替えられて運転され、バッテリ16に必要な充電量を充電することができる。
これにより、冬季における運転停止後所定時間後、例えば5時間後(図9中、時点trtc1、時点trtc2)に、充電量が増量されているバッテリ16の電力によりエア圧縮機24を作動させて燃料電池14の燃料ガス流路及び酸化剤ガス流路に乾燥圧縮空気を流すことで、いわゆる掃気処理を行い、燃料電池14内の水分を排出し、燃料電池14の凍結防止・起動性向上を図ることができる。
以上説明したように上述した実施形態に係る燃料電池車両12は、水素ガスと酸化剤ガスの反応により発電する燃料電池14と、燃料電池14からの電力を蓄電する蓄電装置としてのバッテリ16と、車両に搭載された温度センサであるDT系水温センサ203及びエアコン用気温センサ208と、車両起動のための必要電力{停止時における燃料電池14内の反応ガス(酸化剤ガスと水素)流路に対するエア圧縮機24による水分排出のための掃気用電力、ソーク後所定時間経過後の一定時間の前記掃気用電力、次回起動時の起動用電力等を含む。}を冬季に増加させる起動時必要電力増加部110と、前記必要電力を確保するように車両停止時のバッテリ16の充電量であるSOCを決定する停止時充電量決定部112と、を備え、前記車両の走行中又はアイドルストップ時にDT系水温センサ203及びエアコン用気温センサ208による検出温度であるDT系水温Tr又はエアコン用気温Tvが所定温度、この実施形態では0[℃]以下であるかどうかを判別し、前記所定温度以下であるとき前記冬季であると決定し、前記所定温度以上であるとき前記冬季を除く通常季(春季、夏季、秋季)であると決定する冬季判定部114と、前記車両の起動時又は前記アイドルストップ解除時に、前記冬季決定を反映して、起動時必要電力増加部110及び停止時充電量決定部112による冬季制御に切り替える冬季切替判断部150と、を有する(第1の創作)。
このように走行中又はアイドルストップ時に外気温Teaに対する追従性が最良の温度センサであるDT系水温センサ203及びエアコン用気温センサ208により冬季か否かを判定しているので冬季判定を高精度で行うことができ、且つ、冬季制御への切替時期は、車両の起動時又はアイドルストップ解除時としているので制御を切り替えてもドライバに対してドライバビリティ(後述する回生制限等)の変化等の違和感を与えないタイミングで冬季制御を導入することができる。また、冬季制御時には、充電用上限値を夏季用充電量上限値SOCsから冬季用充電量上限値SOCwに増加させ(図5参照)、このとき図示しない燃料計のフルスケールも変化させるが、起動時又はアイドルストップ解除時に変化させるようにしているので運転者に違和感を感じさせないか少なくできる。
この実施形態によれば、従来技術のように、外気温の予測を行わずに、外気温Teaを、外気温Teaに追従し易い特定の温度センサ(吸気温度センサ201、モータ温度センサ202、DT系水温センサ203又はエアコン用気温センサ208)の実測値で求めているので(同定しているので)、外気温の予測を行うことなく、停止時のバッテリ16のSOC、要求出力を確保する充電量を決定するための外気温Teaを精度よく検出でき、正確な冬季判定を略常時行うことができる。
この場合、GPS等の電波を利用した通信手段での外気温予測を用いていないため、ガレージ内や地下駐車場など、気象情報とは異なる気温となっている環境下であっても精度よく停止時のバッテリ16の充電量を決定することができる。
上記のように制御することで、図12Aの従来技術に比較して図12Bのこの実施形態では、燃料電池車両12の1回の運転中におけるSOCの高い状態での頻度が夏季に比べて冬季の方が高くなる。すなわち、バッテリ16の充電量が増加する。
なお、これらの温度センサである吸気温度センサ201、モータ温度センサ202、DT系水温センサ203は、それぞれ車両内の電気負荷であるエア圧縮機24、モータ18、又はエアコン22を制御するために用いられる温度センサであり、前記車両停止時以降のソーク時に外気温Teaに対して追従性が高い。また、DT系水温センサ203及びエアコン用気温センサ208は、車両走行時に外気温Teaに対して追従性が高い。
そして、上述した実施形態では、これらの温度センサ201〜203又は温度センサ203、208を外気温Teaを検出する温度センサとして兼用しているが、この発明は、これに限らず、外気温Teaを専用に検出する温度センサを用いても実施することができる。専用の外気温センサは、外気温に追従し易い、例えば、車両のフロントフード下に搭載配置する。
また、燃料電池車両12は、車両停止後に温度センサ201〜203による検出温度Txが外気温Teaに追従すると推定するまでの間(例えば、5[h])、冬季判定部114による前記判別を禁止し、外気温Teaに追従すると推定したとき、冬季判定部114による前記判別の禁止を解除する冬季判定禁止・解除部116をさらに有する。
そして、冬季判定部が、一旦、冬季と決定した(ステップS5、S12)後、この冬季決定結果を解除するのは、冬季判定禁止・解除部116が、車両停止(ステップS7)後に温度センサ201〜203による検出温度Txが外気温Teaに追従すると推定したとき以降から再起動時までの間とする(第2の創作)ことで、車両運転中(走行中)の温度センサ201〜203の検出温度Txの上昇に伴い冬季決定が解除されてしまうことを防止できる。
具体的に冬季決定を解除するのは、検出温度Txが外気温Teaに追従すると推定したとき(時点trtc1、trtc2)以降から再起動時(時点t11等)までの間に、冬季判定部114が、温度センサ201〜203による検出温度Txが所定温度である0[℃]以下であるかどうかを判別し、0[℃]以上であるとき、前記冬季と決定した前記判定結果を解除する(第2の創作)。
上述したように、走行中の冬季判定用の温度センサとしては、DT系水温センサ203及びエアコン用気温センサ208を用いる。これらの温度センサは、走行中(低負荷時、高車速高負荷時)又はアイドルストップ時に外気温Teaへの追従性がよいため(早いため)、走行中的確に冬季判定を行うことができる(第3の創作)。
冬季判定部114は、複数の前記温度センサ中、いずれか1つでも所定温度、例えば0[゜C]以下となったときに、冬季と判定することにすれば、より早く冬季判定を行うことができる。いずれか2つが0[゜C]以下になったときに、冬季と判定することにすれば、より確実に冬季判定を行うことができる。
このように上記した実施形態によれば、実際の外気温にて冬季判定(充電量増加の要否判定)が行え、停止時のバッテリ16のSOC、要求出力を確保する充電量を決定することができる。
なお、この発明は、上述の実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
例えば、図13に示すような他の実施形態に係る燃料電池車両12Aは、制御部100Aに定期起動部118を備えるように構成する。定期起動部118は、イグニッションスイッチ60がオフにされた起動停止時から所定時間毎、例えば5分毎に起動され、その5分毎に、温度センサ201〜203による検出温度Txが、掃気処理を必要とする氷結温度に近い温度、例えば閾値温度5[℃]を下回る温度になったかどうかを判定する。
閾値温度5[℃]を下回る温度になっていた場合、燃料電池14内の酸化剤ガス流路及び燃料ガス流路に残存している液滴(水)が氷結する恐れがあると推定し、該液滴(水)を燃料電池14内から排出するために、制御部100Aは、エア圧縮機24を所定時間駆動し、エア圧縮機24から圧縮空気を酸化剤流路に供給するともに燃料ガス流路に供給し、該圧縮空気により前記酸化剤ガス流路と前記燃料ガス流路から水分を排出する、いわゆる掃気処理を行う。
このような掃気処理を行う燃料電池車両12Aの冬季判定処理との連係動作について、さらに、図14のタイムチャートを参照して説明する。この連係動作において、定期起動部118は、冬季判定処理のタイマとしても利用される。
時点t21においてイグニッションスイッチ60がオフにされて起動停止された後、温度センサ201〜203による検出温度Txが外気温Teaに追従すると推定する時点t22までは、冬季判定部114による冬季判定処理及び冬季判定禁止・解除部116による処理(両方の処理を併せて冬季判定処理等という。)の実行が禁止される。
また、時点t22以降、検出温度Txが外気温Teaに追従すると推定している期間では、掃気処理が開始される時点t23までの間、定期起動部118により前記所定時間毎に冬季判定部114又は冬季判定禁止・解除部116が起動され冬季判定処理等が実行される。
さらに、時点t21〜時点t23まで定期起動部118が定期起動される。時点t23の定期起動時に閾値温度5[℃]を下回る温度になったと判定されたので時点t23〜t24の間で上記の掃気処理が行われるが、この間には、温度センサ201〜203による検出温度Txが上昇するので、検出温度Txが外気温Teaに追従すると推定される時点t25までは冬季判定処理を禁止する。
時点t25以降では、再び定期起動部118により冬季判定部114又は冬季判定禁止・解除部116が定期起動され冬季判定処理等が実行される。時点t26において、イグニッションスイッチ60がオンにされる。
時点t23〜t25の間で、掃気処理が実行されたので、その時点t23〜t25の間では、定期起動部118は定期起動されない。
起動停止時から前記5分毎に、温度を測定する温度センサは、冬季判定用の温度センサ201〜203と同一であってもよく、異なっていてもよい。
また、定期起動部118の起動を契機とする5分毎の温度監視を制御部100AのRTC制御部を利用したRTC監視と定義するとき、時点t21〜t23までの間及び時点t25〜t26の間ではRTC監視が実行されるが、時点t23〜t25までの間ではRTC監視を実行する必要がない(非実行)。
図15は、さらに他の実施形態に係る燃料電池車両12Bを示し、この燃料電池車両12Bでは、さらに回生制限電力管理部120を備える制御部100Bとして構成される。
図16は、図15に示した回生制限電力管理部120の詳細な構成例を示すブロック図である。
図15例の燃料電池車両12Bでは、冬季判定部114により冬季と決定された状態(例えば、図9中、時点trtc1で冬季と決定され、冬季判定フラグFw=1とされた状態)での走行中(例えば、時点t13〜t14等)に、バッテリ16のバッテリ温度Tbを検出するバッテリ温度センサ204による検出温度が所定温度、例えば、40[℃]等の高温以上に上昇したときには、冬季判定部114による前記の冬季の決定を一時的に反故にする冬季決定一時的反故部126を、さらに備える(第5の創作)。
その理由について説明すると、バッテリ16は、高温状態且つ高SOC状態では、劣化が促進される。たとえ、冬季であっても、走行中にモータ18からの回生電力が増加し充電に伴いSOCが増加すると、劣化が促進される高温状態且つ高SOC状態となり得る可能性がある。そこで、バッテリ16の耐久保証を満足させて、寿命を確保するために、高温状態且つ高SOC状態が継続しないように、継続の可能性があるときには冬季決定一時的反故部126により一時的に冬季判定を反故にし、冬季判定フラグFwを一時的にリセットする(Fw←0)。
これにより、高温状態且つ高SOC状態の発生を回避するために、冬季用充電量上限値SOCw(例えば、70[%])を通常充電量上限値SOCs(例えば、65[%])に引き戻す必要がある(図5参照)。
しかし、引き戻す場合に、以下の注意を要する。すなわち、図17の回生制限電力Prl[W]対SOC[%]マップ(特性)に示すように、一点鎖線で示す冬季用充電量上限値SOCwを有する冬季用回生制限電力マップ124の冬季用回生制限電力Prlw(SOC)は、実線で示す通常用充電量上限値SOCsを有する通常用回生制限電力マップ122の通常回生制限電力Prls(SOC)に比較して、SOCの値が0値からSOCn値までは、同一の回生制限電力上限値Prlmaxまで回生電力を充電電力としてバッテリ16に回生することができるが、SOCの値がSOCn値から大きな値になると、通常回生制限電力Prls(SOC)の値が冬季用回生制限電力Prlw(SOC)の値より小さくなる{Prls(SOC)<Prlw(SOC)}関係になる。
したがって、冬季判定フラグFwがリセットされたときに、直ちに、冬季用回生制限電力SOCwを通常用回生制限電力SOCsに引き戻すと、引き戻したときに実際のSOCの値が、SOCs<SOC<SOCwの間に存在していたときに、モータ18からの回生電力をバッテリ16に充電することができなくなり、いわゆる回生抜け(モータ18が発電機とする作用して発生する制動力がかからなくなる事態)が発生する。
そこで、この回生抜けを防止するために、走行時に、バッテリ温度Tbが所定温度より上昇したときには、冬季決定一時的反故部126により前記冬季の決定を一時的に反故にし冬季決定フラグFwを一時的にリセット(Fw←0)して、当該燃料電池車両12Bの走行駆動用のモータ18からの回生電力Prlが急激に回生不能になることをドライバビリティを考慮しながら回避するために、バッテリ16の冬季用充電量上限値SOCwを、例えばレートリミット処理により徐々に引き下げた一時的充電量上限値SOCm(図17参照)から通常充電量上限値SOCsにもどす回生制限電力管理部120を、さらに備える(第6の創作)。
このように制御し、図17中、一時的充電量上限値SOCmを有する点線で示す一時的回生制限電力マップ123を複数暫定的に用い、図17の一点鎖線の特性である冬季用回生制限電力マップ124から実線の特性である通常用回生制限電力マップ122まで徐々に漸近させるようにすれば、一時的回生制限電力Prlm(SOC)は、ゼロ値とはならなくなり、回生がかかる。
実際上、通常用回生制限電力マップ122、一時的回生制限電力マップ123及び冬季用回生制限電力マップ124は、バッテリ温度Tbをパラメータとして異なるマップ(特性)を備えているが、繁雑となるので省略する。
以上のように制御される回生制限電力管理部120の動作について、図16を参照してより具体的に説明する。なお、この動作は、走行中に限られるが、その走行中に、冬季判定フラグFwがセットされている(Fw=1)とき、スイッチ128の共通接点cは接点yに接続され、かつバッテリ温度Tbが所定温度Tbmax以下であるときには、Tbmax≧Tbが成立していないのでAND回路138の一方の入力は0値となって、冬季決定一時的反故部126のAND回路138の論理積は非成立となり、スイッチ130の共通接点cは接点n側に接続され、冬季用回生制限電力マップ124が参照されて回生制限電力Prl{=Prlw(SOC)}が算出され、VCU20に通知される。VCU20は、モータ18からの回生電力をこの回生制限電力Prl{=Prlw(SOC)}に制限してバッテリ16を充電する。
なお、冬季判定フラグFwがリセットされている(Fw=0)ときには、スイッチ128の共通接点cは接点n側に接続され、且つAND回路138の論理積は常に非成立であるので、スイッチ130の共通接点cも接点n側に接続され通常用回生制限電力マップ122が参照されて回生制限電力Prl{=Prls(SOC)}が算出される。
一方、走行中に、冬季判定フラグFwがセットされている(Fw=1)とき、スイッチ128の共通接点cは接点yに接続され、かつバッテリ温度Tbが所定温度Tbmax以上となったときにはAND回路138の一方の入力は1値となり、当該冬季決定一時的反故部126のAND回路138の論理積が成立し、スイッチ130の共通接点cが接点y側に接続される。このとき、比較部134の一方の入力には、冬季用回生制限電力Prlw(SOC)が1サンプリング遅延部(Z-1)139で遅延された冬季用回生制限電力前回値Prlw-1が供給されるが、この値は、通常用回生制限電力Prlsよりはるかに大きいので比較部134による比較結果{Prlw(SOS)−Prls(SOC)>ΔPrl:ΔPrlは、いわゆる回生抜けを回避するための所定値}が成立し、スイッチ132の共通接点cが接点yに接続される結果、漸減部136により冬季用回生制限電力Prlw(SOC)が1サンプリング処理毎に漸減され(レートリミットされ)る。
このようにして、図17に一点鎖線で示す冬季用回生制限電力Prlw(SOC)に係る冬季用回生制限電力マップ124から、最終的に比較部134の比較結果が成立したときにスイッチ132の共通接点cが接点n側に切り替えられるまで、点線で示す一時的回生制限電力Prlm(SOC)に係る一時的回生制限電力マップ123で漸減する。スイッチ132の共通接点cが接点n側に切り替えられたとき、実線で示す通常回生制限電力Prls(SOC)係る通常用回生制限電力マップ122への切り替えが完了する。
なお、一旦、AND回路138の論理積が成立したときには、スイッチ130にチャタリングを発生しないように、所定温度Tbmaxにヒステリシスを持たせることが好ましい。