JP2005302491A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 蓄電装置に蓄電された電力で燃料電池内部の水分を蒸発させる際に蓄電装置のSOCが過度に低減しないように制御する。
【解決手段】 本発明の燃料電池システム(10)は、燃料電池(20)と、燃料電池(20)で発電された電力を蓄電する蓄電装置(40)と、蓄電装置(40)に蓄電された電力で燃料電池を加熱する加熱手段(50)と、燃料電池(20)から蓄電装置(40)に充電される充電量を制御する制御部(30)とを備える。制御部(30)は燃料電池(20)を加熱するときの温度が低温であるほど蓄電装置(40)のSOCが高くなるように充電制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】 本発明の燃料電池システム(10)は、燃料電池(20)と、燃料電池(20)で発電された電力を蓄電する蓄電装置(40)と、蓄電装置(40)に蓄電された電力で燃料電池を加熱する加熱手段(50)と、燃料電池(20)から蓄電装置(40)に充電される充電量を制御する制御部(30)とを備える。制御部(30)は燃料電池(20)を加熱するときの温度が低温であるほど蓄電装置(40)のSOCが高くなるように充電制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は燃料電池と蓄電装置を混載した燃料電池システムに関し、特に、蓄電装置の充放電を制御する技術に関する。
電解質膜の両面を一対の電極(アノード極、カソード極)で挟持して成る単セルを所定数積層した燃料電池においては、反応ガス(燃料ガス、酸化ガス)に含まれていた加湿用の水分や電池反応で生じた生成水が電池運転停止時に燃料電池内部で凍結し、電池運転を阻害する虞がある。また、外気温度が低温である程、飽和水蒸気量が低下するため、スタック内部を低湿度に保持しておかないとガスチャンネル等に水分が凝縮し、凍結する虞がある。特開2002−324563号公報には、セパレータにヒータを設置しておき、フラッディング発生時にヒータを発熱させ、ガスチャンネル等に凝集した水分を強制的に蒸発させて水分除去する技術が開示されている。
特開2002−324563号公報
しかし、バッテリに蓄電された電力で燃料電池を加熱して水分を強制的に蒸発させるには、外気温度又はスタック温度が低温である程、多くの電力を必要とするため、バッテリのSOC(State Of Charge)を考慮しないでヒータを通電すると、SOCが通常の目標範囲(例えば50%〜60%)よりも過度に低下してしまう虞がある。
そこで、本発明は上述の問題を解決し、蓄電装置のSOCが過度に低減しないように制御する燃料電池システムを提案することを課題とする。
上記の課題を解決するため、本発明の燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池で発電された電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力で燃料電池を加熱する加熱手段と、燃料電池から蓄電装置に充電される充電量を制御する制御部とを備え、制御部はシステム停止要求時に蓄電装置のSOCを通常運転時の値よりも高い値に設定してから電池運転を停止する。スタック内部の水分を蒸発させるために必要な電力量の分だけ蓄電装置のSOCを増加させてから燃料電池を加熱することで、蓄電装置のSOCが過度に低減しないように制御できる。
ここで、システムとは、燃料電池と関連の補機や電力変換装置を含む発電システムと解釈したり、又は燃料電池を車両に搭載した場合には、燃料電池と関連の補機や電力変換装置の他に車両に搭載された各種電装品や電気駆動部品を含む車両全体システムと解釈することができる。尚、車両システムの場合、システムの停止要求又は起動要求は、例えば、運転者が車両システムの作動スイッチを操作することによって検出できる。
温度が低いほどスタック内部の水分を蒸発させるために必要な電力量が増加するので、システム停止要求時の温度が低いほど蓄電装置のSOCを高く設定するのが好ましい。
加熱手段を作動させるタイミングとしては、電池運転停止後でもよく、又は電池運転停止後のシステム起動要求時(次回起動要求時)でもよい。電池運転停止後に加熱手段を作動させてスタック内部の水分を除去しておけば、水分が凍結することによる燃料電池の凍結又は破損等を抑制できる。次回起動要求時に加熱手段を作動させれば、スタック内部の凍結水分が融解した後に直ちに運転開始できるため、凍結水分を蒸発させる必要はなく、蓄電装置のSOCの増加量を少ない値に設定できる。
本発明の他の形態に関わる燃料電池システムは、燃料電池と、燃料電池で発電された電力を蓄電する蓄電装置と、蓄電装置に蓄電された電力で燃料電池を加熱する加熱手段と、蓄電装置から加熱手段に放電される放電量を制御する制御部とを備え、制御部は加熱手段の作動時に蓄電装置のSOCが所定値以下にならないように蓄電装置の放電量を制御する。蓄電装置の電力で燃料電池を加熱する際に蓄電装置のSOCが所定値以下にならないように放電量を制御することで、蓄電装置のSOCが過度に低下しないように制御できる。
ここで、燃料電池を加熱する加熱手段は燃料電池内部の水分を蒸発(又は凍結水分を融解)させるための手段であるのが好適である。燃料電池内部の水分を蒸発させて(又は凍結水分を融解させて)これを燃料電池外に排出することで、燃料電池内部に残留する水分が電池運転停止後に凍結することを抑制できる。
本発明によればスタック内部の水分を蒸発させるために必要な電力量の分だけ蓄電装置のSOCを増加させてから燃料電池を加熱することで、蓄電装置のSOCが過度に低減しないように制御できる。また、蓄電装置の電力で燃料電池を加熱する際に蓄電装置のSOCが所定値以下にならないように放電量を制御することで、蓄電装置のSOCが過度に低下しないように制御できる。
本実施形態の燃料電池システムは燃料電池を加熱してスタック内部の水分を強制的に蒸発させる際に、外気温度又はスタック温度が低温であるほど蓄電装置のSOCが高くなるように充電制御する。SOCの増加分はスタック内部の水分量と外気温度等を基に算出すればよい。また、燃料電池を加熱する際に蓄電装置のSOCを増加させるのではなく、蓄電装置のSOCが所定値以下にならないように蓄電装置の放電量を制御するように構成してもよい。これにより蓄電装置のSOCの過度な低減を抑制できる。
図1は実施例1における燃料電池システムの概略構成を示している。燃料電池システム10は燃料電池車両(FCEV)の電力供給装置として機能するハイブリッドシステム(FCHVシステム)として構成されている。同システム10は、主に、反応ガスの供給を受けて電力を発電する燃料電池(セルスタック)20と、燃料電池20で発電された電力を蓄電する蓄電装置40と、蓄電装置40に蓄電された電気エネルギーを熱エネルギーに変換してスタック内部の水分を蒸気化させる電気ヒータ(加熱手段)50と、システム全体を制御する制御部30を備えて構成されている。
燃料電池20はフッ素系樹脂等により形成されたプロトン伝導性のイオン交換膜等から成る高分子電解質膜21の両面にアノード極22とカソード極23をスクリーン印刷等で形成した膜電極接合体(MEA)24を備えている。膜電極接合体24の両面はリブ付セパレータ27によってサンドイッチされ、このセパレータ27とアノード極22及びカソード極23との間にそれぞれ溝状のアノードガスチャンネル25及びカソードガスチャンネル26を形成している。説明の便宜上、膜電極接合体24、アノードガスチャンネル25及びカソードガスチャンネル26から成る単セルの構造を模式的に図示しているが、実際には上述したセパレータ27を介して複数の単セルが直列に接続したスタック構造を備えている。
燃料電池20内部には加熱手段としての電気ヒータ50が取り付けられており、蓄電装置40から供給される電気エネルギーを熱エネルギーに変換して燃料電池20を加熱し、スタック内部の水分を蒸発できるように構成されている。蓄電装置40から電気ヒータ50への電力の供給及び遮断はスイッチ36を開閉することで制御できる。蓄電装置40はブレーキ回生時の回生エネルギー貯蔵源、車両の加速又は減速に伴う負荷変動時のエネルギーバッファとしての役割を担うものであり、SOCが所望の目標範囲(例えば50%〜60%)に入るように充放電が制御される。燃料電池20から蓄電装置40への電力の供給及び遮断はスイッチ37を開閉することで制御できる。SOC検出手段33は蓄電装置40の充放電電流を積算することでSOCを検出する。蓄電装置40としては、電気エネルギーを充放電できる手段であれば特に限定されるものではなく、例えば、ニッケル・カドミウム蓄電池、ニッケル・水素蓄電池、リチウム二次電池などの二次電池や、電気二重層コンデンサなどが好適である。
通常運転時には、制御部30は燃料電池20の出力電力が目標電力に一致するように水素供給装置31とエアポンプ(加圧エア供給装置)32を駆動制御し、アノードガスチャンネル25とカソードガスチャンネル26の各々に燃料ガス(水素ガス)と酸化ガス(加圧エア)を供給する。燃料電池20の目標電力は車速やアクセル開度などの負荷要求に基づいて算出される。燃料電池20が発電した電力は車両走行用モータや補機類などの電力負荷(図示せず)で消費される他、余剰電力は蓄電装置40に充電される。
一方、システム停止時には、制御部30はセルスタック凍結防止処理ルーチンを実行する。図3は同処理ルーチンを示している。同処理ルーチンにおいてシステム停止要求が検出されると(S1;YES)、システムを停止する前に制御部30は温度センサ34が検出した外気温度を取得する(S2)。次いで、スタック内部の水分を蒸発させるために必要な電力の増加分を反映させた目標SOCを算出する(S3)。蓄電装置40の目標SOCはマップデータ35を参照することにより求めることができる。このマップデータ35は目標SOCと外気温度との関係を実験又は理論値から求めたマップ値である。より詳細には、このマップデータ35はシステム停止要求が検出された時点から所定時間にわたって過去に遡って計算した発電電流の積算値からスタック内部に残留する水分量を推定し、この水分を蒸発させるために必要な電力量を外気温度(又はスタック温度)とスタック内部の各部材の熱容量などの関係から求めたものである。図1に示すマップデータ35では外気温度が0℃以上での領域ではSOCをNQ(一定値)に設定し、0℃以下での領域では低温になるほどSOCが高くなるように設定している。例えば、外気温度T(<0℃)におけるSOCはNQ+ΔQに設定されている。ΔQはスタック内部の水分を蒸発させるために必要な電力量である。
次いで、蓄電装置40のSOCを新たな目標値にまで増加させるため、水素供給装置31から供給される水素ガス流量とエアポンプ32から供給される加圧エア流量を調整して燃料電池20の発電量を調整する(S4)。燃料電池20で発電された電力は蓄電装置40に充電される。図1はこのときの蓄電装置40の充電状態を示しており、スイッチ37は閉状態、スイッチ36は開状態にある。さて、このようにして蓄電装置40の充電を行い、目標SOCに達したならば、燃料電池20の発電を停止し、スイッチ37を開く。そして、スイッチ36を閉じて電気ヒータ50に電力を投入し、燃料電池20を加熱する(S5)。これによりスタック内部の残留する水分は熱量の供給を受けて昇温し、次第に蒸発し始める。図2はこのときの蓄電装置40の放電状態(スタック加熱状態)を示しており、スイッチ37は開状態、スイッチ36は閉状態にある。スタック温度(又はスタック内部を還流する冷却水温度)が例えば水分が蒸発し始める温度(100℃付近)になった時点でエアポンプ32を作動させてカソードガスチャンネル26に加圧エアを流すと、カソードガスチャンネル26に残留する水分をより効果的に除去できる。カソードガスチャンネル36が乾燥すると、高分子電解質膜21内部に水分の濃度勾配が生じ、水分がカソード側に移動するため、アノード側にも加圧エアを供給しなくてもよい。SOC増加量分の消費が予定される時間が経過した後、又はガスチャンネル25,26内の湿度が所定値未満に下がった後にスイッチ36を開いて電気ヒータ50への電力投入を停止し、燃料電池20の加熱を終了する。
尚、電気ヒータ50を用いて燃料電池20を加熱し、水分を蒸発させる処理や、カソードガスチャンネル25へ加圧エアを流して残留水分を除去する処理はシステム起動時に実行するように構成してもよい。システム起動時にセルスタック凍結防止処理を行う場合は凍結水分が融解した後に直ちに運転開始できるため、凍結水分を蒸発させる必要はなく、SOCの増加分は少なくてよい。
図4は実施例2における燃料電池システムの概略構成を示している。図1に示した符号と同一符号の装置については同一の装置を示すものとして詳細な説明は省略する。実施例1ではスタック内部の水分を蒸発させるための燃料電池20を加熱する手段として電気ヒータ50を例示したが、本実施例では循環ポンプ52によって燃料電池20内部を循環する冷却水が流れる冷却水路53に加熱手段としての熱交換器51を配設し、冷却水を昇温させて燃料電池20を加熱する構成を備えている。熱交換器51には蓄電装置40から電源供給を受けて発熱する電気ヒータ51aが備え付けられており、冷却水路53を循環する冷却水との間で熱交換を行い、冷却水を加熱することができる。本実施例におけるセルスタック凍結防止処理は実施例1のセルスタック凍結防止処理と同様である。
実施例1及び実施例2では、セルスタック凍結防止処理を実行する際に蓄電装置40のSOCをスタック内部の水分を蒸発させるために必要な電力量だけ増加させる構成としたが、上述のように蓄電装置40のSOCを増加させるのではなく、蓄電装置40のSOCが所定値以下にならないように、燃料電池20を加熱する際の蓄電装置40の放電量を制御するように構成してもよい。
10…燃料電池システム 20…燃料電池 30…制御部 40…蓄電装置 50…電気ヒータ 51…熱交換器
Claims (6)
- 燃料電池と、前記燃料電池で発電された電力を蓄電する蓄電装置と、前記蓄電装置に蓄電された電力で前記燃料電池を加熱する加熱手段と、前記燃料電池から前記蓄電装置に充電される充電量を制御する制御部とを備え、前記制御部はシステム停止要求時に前記蓄電装置のSOCを通常運転時の値よりも高い値に設定してから電池運転を停止する、燃料電池システム。
- 請求項1に記載の燃料電池システムであって、システム停止要求時の温度が低いほど前記蓄電装置のSOCを高く設定する、燃料電池システム。
- 請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システムであって、電池運転停止後に前記加熱手段を作動させる、燃料電池システム。
- 請求項1又は請求項2に記載の燃料電池システムであって、電池運転停止後のシステム起動要求時に前記加熱手段を作動させる、燃料電池システム。
- 燃料電池と、前記燃料電池で発電された電力を蓄電する蓄電装置と、前記蓄電装置に蓄電された電力で前記燃料電池を加熱する加熱手段と、前記蓄電装置から前記加熱手段に放電される放電量を制御する制御部とを備え、前記制御部は前記加熱手段の作動時に前記蓄電装置のSOCが所定値以下にならないように前記蓄電装置の放電量を制御する、燃料電池システム。
- 請求項1乃至請求項5のうち何れか1項に記載の燃料電池システムであって、前記加熱手段は前記燃料電池内部の水分を蒸発させるための手段である、燃料電池システム。
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