JP4804920B2 - 細長体の成形装置 - Google Patents
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Description
しかしながら、このような従来の細長体の成形装置にあっては、細長体の種類変更に応じて行う切換作業が、以下に説明するように、面倒で長時間かかってしまうという問題点がある。
その第1の理由は、細長体を切断機で切断片に切断すると、切断位置にバリが発生するが、この各切断片に発生するバリの累積により細長体は供給側に該バリの累積量だけ押し戻される。ここで、前記バリの大きさは細長体の種類により異なっているため、図9Aに示すように、前回の細長体11においては、プレス加工機による矩形の加工孔12と切断位置13との間の距離L1が設計値となるよう調節されていても、種類の異なる今回の細長体11の場合には、図9Bに示すように、加工孔12と切断位置13との間の距離L2が設計値と異なる値となってしまうのである。このような場合には、図10に示すように、プレス加工機14の孔あけ用ダイセット15を調節ねじ16の回転により細長体11の長手方向に移動させて前記距離L2が設計値となるよう調節することになるが、前述のダイセット15を細長体11の幅方向にずらすことなく前回との変化分(L2−L1)だけ移動させることは技術的に大変難しく、作業が面倒になるとともに、長時間が必要になっていたのである。
また、第2の理由は、切断片をベンディングスライドユニットの曲げ具によってダイに押し付けることで所定形状に曲げる場合、細長体の種類変更に応じて曲げ加工機のダイを、今回の細長体に対応したダイに交換する必要があるが、このようなダイは、従来、曲げ加工機のフレームの前壁に複数のボルトにより着脱可能に取付けられていたため、ダイの交換には、これら複数のボルトを外した後、ダイを取り替え、その後、ボルト締めを行う必要がある。しかも、その際、ダイの装着位置を高精度としなければならないため、作業が面倒になるとともに、長時間が必要になっていたのである。
このような目的は、第1に、細長体を長手方向に一定ピッチで間欠的に送り出すフィーダーと、フィーダーより下流側に設置され、該細長体に対して部分的な加工を行う部分加工機と、部分加工機より下流側に設置され、該細長体を略幅方向に切断することで、前記一定ピッチと実質上等長の切断片を切り出す切断機と、切断機より下流側に設置され、前記切断片を所定形状に曲げる曲げ加工機とを備えた細長体の成形装置において、前記部分加工機を細長体の長手方向に移動可能なテーブルに固定するとともに、該テーブルを移動させる移動装置を設けることにより、達成することができる。
第2に、細長体を長手方向に一定ピッチで間欠的に送り出すフィーダーと、フィーダーより下流側に設置され、該細長体に対して部分的な加工を行う部分加工機と、部分加工機より下流側に設置され、該細長体を略幅方向に切断することで、前記一定ピッチと実質上等長の切断片を切り出す切断機と、切断機より下流側に設置され、前記切断片を所定形状に曲げる曲げ加工機とを備えた細長体の成形装置において、前記曲げ加工機が、前部が該曲げ加工機のフレームの前壁から前方に突出した開閉可能な対をなす把持爪と、前記フレーム内に設置され、前記把持爪に開閉駆動力を付与するとともに、該把持爪を閉止させたとき、フレームの前壁に当接しているダイを把持爪により把持しロックする開閉装置と、ダイを囲むようフレームに支持され、曲げ具を切断片を介してダイに順次押し付けることにより、切断片を曲げる複数のベンディングスライドユニットとを有することにより達成することができる。
まず、本発明においては、部分加工機を細長体の長手方向に移動可能なテーブルに固定するとともに、該テーブルを移動させる移動装置を設けるようにしたので、細長体の種類変更により細長体の押し戻され量が変化しても、前記移動装置により部分加工機をテーブルと共に押し戻され量の変化分だけ細長体の長手方向に移動させるだけで、細長体に対する部分加工機による加工位置と切断機による切断位置との間の距離を設計値に調節することができ、これにより、切換作業を迅速かつ簡単に行うことができる。しかも、前述のように構成すれば、前述のバリの大きさが時間の経過と共に変化したり、あるいは、部分加工機の加工具の取付け位置をずらさざるを得ないとき等にも、容易に対処することができる。
また、曲げ加工機が、前部が該曲げ加工機のフレームの前壁から前方に突出した開閉可能な対をなす把持爪と、前記フレーム内に設置され、前記把持爪に開閉駆動力を付与するとともに、該把持爪を閉止させたとき、フレームの前壁に当接しているダイを把持爪により把持しロックする開閉装置と、ダイを囲むようフレームに支持され、曲げ具を切断片を介してダイに順次押し付けることにより、切断片を曲げる複数のベンディングスライドユニットとを有しているので、細長体に種類変更があったとき、開閉装置によって把持爪を開放することでダイを把持爪による把持から解放した後、今回の細長体に対応したダイをフレームの前壁に当接させながら把持爪を閉止して把持、ロックするだけで、ダイの交換を行うことができ、これにより、切換作業を迅速かつ簡単に行うことができる。しかも、この際、フレームの前壁から突出しているのは把持爪の前部のみで、把持爪の後部および開閉装置はフレーム内に配置されているため、前壁の前面を複数のベンディングスライドユニットの設置用として有効活用することができる。
さらに、切断機を曲げ加工機の曲げ位置に近接配置した構成すれば、前述したバリによる押し戻され量を低減させることができるとともに、特に、切断片が幅方向に対して斜め切断されているとき、隣接する切断片の下に潜り込んだり、上に乗り上げたりする事態を効果的に抑制することができる。
また、テーブルにフィーダーも固定すれば、テーブルを移動させる際、フィーダーによって細長体も一体的に移動させることで、部分加工機と切断機との間に位置する既に部分加工された細長体の廃棄を無くすことができ、これにより、製品の歩留まりを向上させることができる。
また、本願において、各ベンディングスライドユニットを、ダイに接近離隔可能なスライダと、該スライダの先端部に取付けられた曲げ具と、スライダをダイに接近離隔させる接離装置とから構成し、かつ、前記スライダの先端部に、一側に折れ曲がった断面L字形を呈するロック係止部を先端に有するロック部材が移動可能に収納された収納穴を形成する一方、該収納穴に基端部が挿入される前記曲げ具の基端に前記ロック係止部に係止可能で他側に折れ曲がった断面L字形を呈する曲げ係止部を設け、さらに、前記収納穴の一側内面に窓を形成するとともに、前記曲げ具の一側でその基端部に溝を形成することにより、該曲げ具の基端に一側に向かって突出する突出部を形成し、前記溝の底面を窓より先端側に位置する収納穴の一側内面に摺接させるとともに、突出部を窓に挿入させながら曲げ具の基端部を収納穴に挿入した後、曲げ具を他側に平行移動させてロック係止部に曲げ係止部を係止させ、その後、ロック部材を移動機構によって収納穴の奥側に、少なくとも突出部の一部が窓より奥側に到達するまで移動させることにより、曲げ具をスライダに取付けるようにしても良い。
上記のように構成すれば、ダイの交換に対応してベンディングスライドユニットの曲げ具の交換を簡単かつ迅速に行うことができる。
図2はダイを把持している開閉装置の平面図である。
図3はダイを把持している開閉装置の斜視図である。
図4は開閉機構の平面断面図である。
図5はベンディングスライドユニットの斜視図である。
図6はスライダ、曲げ具の連結部における一部破断平面図である。
図7は図6のVII−VII矢視断面図である。
図8はこの発明の他の実施形態を示す図1と同様の概略正面図である。
図9A、9Bは加工孔が形成された細長体の平面図である。
図10は従来のプレス加工機の概略正面図である。
図中、20…成形装置、21…細長体、22…テーブル、23…フィーダー、28…部分加工機、43…移動手段、46…曲げ加工機、47…フレーム、48…前壁、49…切断機、54…切断片、56…開閉手段、67…把持爪、72…ベンディングスライドユニット、84…スライダ、85…収納穴、86…ロック部材、87…ロック係止部、92…曲げ具、93…接離手段、94…曲げ係止部、97…窓、98…溝、99…突出部、110…移動機構である。
図1において、21は加工対象ワークとしての帯状板材、線状体からなる金属製の細長体であり、この細長体21は一側から他側に向かって水平に延びるとともに、成形機20により一定長の切断片に切断された後、曲げ加工されて製品となる。22は前記細長体21の直下に設置された水平な矩形板状のテーブルであり、このテーブル22の一側上面には前記細長体21を長手方向に、ここでは一側から他側に向かって一定ピッチで間欠的に送り出すフィーダー23が固定されている。このフィーダー23は本体24と、該本体24に支持され細長体21より上側に位置する上ローラ25と、前記本体24に支持され細長体21より下側に位置する下ローラ26とを有し、該上、下ローラ25、26の少なくともいずれか一方は図示していない回転装置により必要に応じて駆動回転される。そして、前記上、下ローラ25、26が細長体21を上下から挟持しているとき、上、下ローラ25、26が回転装置により所定量だけ間欠的に回転されると、細長体21はこれら上、下ローラ25、26により一側から他側に向かって一定ピッチだけ間欠的に送り出される。
前記フィーダー23より下流側、即ち他側には細長体21に対して部分的な加工を行う、ここでは細長体21に対して、例えば図9A、9Bに示すような矩形の加工孔12を形成する部分加工機としてのプレス加工機28が設置され、このプレス加工機28はテーブル22の他側上面に固定されている。なお、前述の部分的な加工としては、この実施形態のような打ち抜きによる穴あけ加工の他に、不要な部位をカットして取り除くトリミング加工、細長体21の一部表面に凹凸を形成するスタンピング加工等を挙げることができる。前記プレス加工機28は本体29と、該本体29に着脱可能に取付けられたダイセット30とから構成され、また、前記ダイセット30はダイが取付けられたダイホルダ31と、ダイホルダ31に立設された複数本のガイドポスト32と、ダイホルダ31の直上でガイドポスト32に摺動可能に係合することにより昇降することができ、下面にポンチ33が取付けられたポンチホルダ34とから構成されている。
そして、ポンチホルダ34を本体29に内蔵された昇降装置により下降させ、ポンチ33をダイ内に挿入することにより、細長体21に対しポンチ33の断面形状と同一形状の加工孔12を形成するようにしている。なお、前述とは逆に、ダイが取付けられたダイホルダを細長体21の上方に、ポンチが取付けられたポンチホルダを細長体21の下方に設置し、該ポンチホルダを上昇させることで細長体21に加工孔12を形成するようにしてもよい。また、35はフィーダー23とプレス加工機28との間に設置され、フィーダー23とプレス加工機28との間の細長体21を下方から支持しながらガイドするガイドプレートである。
前記テーブル22の直下には両端部が軸受38により回転可能に支持され、細長体21に平行に延びるボールねじから構成されたねじ軸39が設置され、このねじ軸39は前記テーブル22の下面に固定されたねじブロック40に螺合している。41は前記ねじ軸39の一端に連結された駆動部であり、この駆動部41は制御部42からの制御信号に基づいてねじ軸39に回転駆動力を付与し、テーブル22、フィーダー23、プレス加工機28を一体的に細長体21の長手方向に移動させる。ここで、前述した駆動部41としては、例えば、サーボモータ、ステッピングモータを用いることができる。また、前述したねじ軸39、ねじブロック40、駆動部41、制御部42は全体として、細長体21の長手方向に移動可能なテーブル22をフィーダー23、プレス加工機28と共に移動させる移動装置43を構成する。ここで、この移動装置としては、サーボシリンダ等を用いるようにしてもよい。
46はプレス加工機28より下流側、ここでは他側に設置され、一般にマルチフォーミングマシンと呼ばれている曲げ加工機であり、この曲げ加工機46のフレーム47は前端に上下方向に延びる前壁48を有し、この前壁48の前面には切断機49が取付けられている。ここで、この切断機49は曲げ加工機46の曲げ位置、即ち、ダイ50の設置位置より上流側(一側)に近接配置されており、この結果、曲げ加工機46は切断機49より下流側(他側)に設置されていることになる。そして、この切断機49は前記フィーダー23による細長体21の送り出しが停止する毎に細長体21を略幅方向に切断し、細長体21の送り出しピッチ(一定ピッチ)と実質上等長の切断片54を次々と切り出す。前記切断機49の直下の前壁48には軸受51を介して細長体21に平行に延びるねじ軸52が回転可能に支持され、このねじ軸52は前記切断機49の下端に固定されたねじブロック53に螺合している。この結果、前記ねじブロック53を回転させ切断機49を細長体21の長手方向に移動させることで、細長体21に対する切断位置を簡単かつ容易に調節することができる。
図1、2、3、4を用いて、前壁48の後面に前端が取付けられることでフレーム47内に設置された開閉装置56について説明する。この開閉装置56は細長体21の長手方向に離れた一対の開閉機構57から構成されている。各開閉機構57は本体ブロック58と、該本体ブロック58に前後方向に移動可能に支持され、前後方向に延びる伝達ロッド59と、内端部が伝達ロッド59の後端部に連結されるとともに、中央部がピン60を介して本体ブロック58に揺動可能に支持され、細長体21にほぼ平行に延びる揺動アーム61と、該揺動アーム61の外端部に駆動力を付与することで該揺動アーム61を揺動させる図示していない駆動機構と、伝達ロッド59の外側において該伝達ロッド59とほぼ平行に延び、後端部がピン62を介して本体ブロック58に揺動可能に連結された揺動リンク63とから構成されている。
67は対をなす(ここでは一対であるが複数対であってもよい)開閉可能な把持爪であり、これらの把持爪67の後端部でその内端部には伝達ロッド59の前端部がピン68を介して、また、その外端部には揺動リンク63の前端部がピン69を介して回動可能に連結されている。そして、前述した把持爪67はその前部が曲げ加工機46の前壁48から前方に突出しているだけで、その後部はフレーム47内に位置している。ここで、ダイ50を前壁48に位置決め固定する固定装置を前壁48の前面に複数設置することも考えられるが、このようにすると、該固定装置により前壁48の前面がある程度占有され、後述するベンディングスライドユニットの設置面積が狭くなり、複雑な曲げ加工が困難となる。これに対し、この実施形態のように把持爪67の前部のみを前壁48から前方に突出させ、把持爪67の後部および該把持爪67を開閉させる開閉装置56をフレーム47内に収納するようにすれば、前壁48の前面を複数のベンディングスライドユニットの設置用として有効活用することができ、これにより、複雑な曲げ加工が可能となる。
そして、前記駆動機構からの駆動力を揺動アーム61を介して伝達ロッド59に伝達することで、該伝達ロッド59を前方に移動させると、把持爪67はピン69を中心として外側に揺動し、この結果、これら把持爪67は開放して前壁48に押し付けられていたダイ50を把持から解放する。一方、駆動機構からの駆動力により伝達ロッド59を後方に移動させると、把持爪67はピン69を中心として内側に揺動し、これにより、これら把持爪67は閉止してダイ50を前壁48に押付けながら両側から把持し、該ダイ50を所定の曲げ位置に高精度で位置決め固定する。このように対をなす把持爪67に開閉装置56から開閉駆動力を付与し、該把持爪67を閉止させると、フレーム47の前壁48に当接しているダイ50は前記把持爪67により把持されてロックされる。なお、70、71はプレス加工機28と切断機49との間および切断機49と曲げ加工機46のダイ50との間にそれぞれ設置されたガイドプレートであり、これらのガイドプレート70、71はプレス加工機28と切断機49との間および切断機49と曲げ加工機46のダイ50との間の細長体21をそれぞれ下方から支持しながらガイドする。
図1、5、6、7を用いて、前記ダイ50を囲むよう配置された複数のベンディングスライドユニット72について説明する。各ベンディングスライドユニット72はスライドブロック73によって前壁48の前面に固定されている。また、スライドブロック73を介してスライドプレート74が摺動可能に支持されている。該スライドプレート74はダイ50を中心とする略半径方向に延びている。75はスライドプレート74の外端部を貫通し前後方向に延びるカム軸であり、該カム軸75の後端部は前壁48に回転可能に支持されるとともに、図示していないサーボモータに連結されている。また、前記カム軸75の前端部には押しカム76および戻しカム77が固定され、これら押しカム76、戻しカム77の外周にはスライドプレート74に支持ブロック78を介して回転可能に支持されたカムフォロア79が転がり接触している。この結果、前記サーボモータが作動してカム軸75、押しカム76、戻しカム77が一体回転すると、スライドプレート74は押しカム76に押されてダイ50に接近するよう移動し、一方、戻しカム77に押されたときには、ダイ50から離隔するよう移動する。
前記スライドブレート74のダイ50に近接する先端部前面には前面および先端面において開口する凹み81が形成された四角柱状の取付けケース82が固定され、この取付けケース82の前面には前記凹み81の前面側開口を閉止する矩形板状のキャップ83が取付けられている。前述したスライドプレート74、取付けケース82、キャップ83は全体として、曲げ加工機46のダイ50に接近離隔可能なスライダ84を構成するが、このスライダ84の先端部には、前述のように凹み81の前面側開口がキャップ83によって閉止されることで、先端が開口した収納穴85が形成されることになる。前記収納穴85内でその最奥部(基端部)には略四角柱状のロック部材86がスライダ84の長手方向に移動可能に収納され、このロック部材86はその先端に一側(ここでは前側)に折れ曲がった断面L字形を呈するロック係止部87を有する。
90はパンチホルダであり、このパンチホルダ90の先端部には前記ダイ50と協働して切断片54に曲げ加工を付与するパンチ91が固定されている。前述したパンチホルダ90、パンチ91は全体として、前記スライダ84の先端部に着脱可能に取付けられた曲げ具92を構成し、また、前記カム軸75、押しカム76、戻しカム77、支持ブロック78、カムフォロア79、サーボモータは全体として、前記スライダ84をダイ50に接近離隔させる接離装置93を構成する。ここで、前記曲げ具92は、前記スライダ84に取付けられているときには、その基端部、ここではパンチホルダ90の基端部がスライダ84の収納穴85に挿入されている。また、前記曲げ具92の基端、詳しくはパンチホルダ90の基端には他側(後側)に折れ曲がった断面L字形を呈する曲げ係止部94が設けられ、この曲げ係止部94は前記ロック部材86のロック係止部87に係止可能である。前述したスライダ84、曲げ具92、接離装置93は全体として、曲げ具92を切断片54を介してダイ50に順次押し付けることにより、該切断片54を所定形状に折り曲げる前記ベンディングスライドユニット72を構成する。
97は前記収納穴85の一側(前側)内面に形成され、キャップ83を貫通する矩形の窓であり、この窓97はロック部材86より先端側に位置している。前記曲げ具92、詳しくはパンチホルダ90の基端部でその一側(前側)には曲げ具92の長手方向に延び深さが均一である矩形の溝98が形成され、これにより、該曲げ具92、詳しくはパンチホルダ90の基端には一側(前側)に向かって突出する突出部99が形成される。100は前記収納穴85に収納された押付けカムであり、この押付けカム100と収納穴85の底面との間には該押付けカム100を先端側に向かって付勢するスプリング101が介装されている。そして、この押付けカム100は前記曲げ具92の基端部が収納穴85に挿入されスライダ84に取付けられたとき、曲げ具92、詳しくはパンチホルダ90の基端部を斜面102により収納穴85の内側面に押付け、該曲げ具92のスライダ84に対する幅方向位置決めを行うとともに、幅方向のずれを防止する。
105は中央部が収納穴85の側壁を貫通し、内端部がロック部材86に挿入された回動軸であり、この回動軸105の内端には円形のカム106が偏心しながら固定される。このカム106はロック部材86内に形成された直方体状のカム室107内に収納されており、レバー108の基端が回動軸105の外端に固定されている。図5、6に示されるように、このレバー108をパンチホルダ90の基端側に揺動させると、ロック部材86はカム106に押されて収納穴85内を奥側に移動する。一方、先端側に揺動させると、カム106に押されて収納穴85内を先端開口側に移動する。前述した回動軸105、カム106、レバー108は全体として、ロック部材86を収納穴85内において先端側または奥側に移動させる移動機構110を構成する。ここで、曲げ具92の曲げ係止部94がロック部材86のロック係止部87に係止されているとき、前述のようにロック部材86が奥側に移動すると、曲げ具92も収納穴85内に引き込まれるが、このとき、少なくとも突出部99の一部が窓97より奥側に到達すると、曲げ具92は取付けケース82とキャップ83とにより前後方向の移動が規制され、これにより、スライダ84から抜け出るのが阻止される。そして、前記レバー108の基端側への揺動により、パンチホルダ90の段差109が取付けケース82の先端面に当接するまで、曲げ具92が収納穴85内に引き込まれると、曲げ具92はスライダ84に強固に取付けられる。
次に、この発明の一実施形態の作用について説明する。
今、ベンディングスライドユニット72のサーボモータが作動することにより、曲げ具92が順次ダイ50に接近し、パンチ91により切断片54がダイ50に次々と押し付けられ、所定形状に折り曲げられているとする。このような折り曲げ作業時、成形機20においては、フィーダー23の上、下ローラ25、26は細長体21を上下から把持した状態で回転を停止している。プレス加工機28においては、ポンチホルダ34が昇降装置により下降させられた後、上昇させられ、これにより、ポンチ33とダイホルダ31のダイ(図示せず)とが協働して細長体21に加工孔12を形成する。また、切断機49が作動して細長体21を切断位置13において略幅方向に切断し、細長体21の送りピッチと実質上等長の切断片54を切り出す。なお、このとき、ガイドプレート71上には切り離し済の複数の切断片54が互いに当接した状態で載置されている。
そして、前述のようにして切断片54が所定形状に折り曲げられると、該折り曲げの終了した切断片54は曲げ加工機46から排出される。次に、フィーダー23の上、下ローラ25、26が回転装置により所定量だけ回転されると、細長体21はこれら上、下ローラ25、26により一側から他側に向かって一定ピッチだけ間欠的に送り出され、これにより、下流端に位置していた切断片54が曲げ加工機46の曲げ位置、即ちダイ50に送り込まれる。その後、前述と同様にして該切断片54が所定形状に折り曲げられる。
ここで、前述した種類の細長体21に対する折り曲げ加工が終了し、種類(幅、厚さ、材質等)の異なる細長体21に対して折り曲げ加工を行う場合には、プレス加工機28、曲げ加工機46において、今回の細長体21の種類に対応したダイセット30、ダイ50、曲げ具92の切換を行う。この場合には、まず、前回の細長体21を成形装置20から取り除いた後、ダイセット30を本体29から取り外し、その後、今回の細長体21に対応したダイセット30を本体29に取付ける。一方、曲げ加工機46においては、開閉装置56の揺動アーム61に駆動機構から駆動力を付与し、各開閉機構57の伝達ロッド59を前方に移動させる。これにより、把持爪67はピン69を中心として外側に揺動し、この結果、対をなす把持爪67は開放して前壁48に押し付けられていたダイ50を把持から解放する。
このようにして把持爪67から解放された前回のダイ50を曲げ加工機46から搬出した後、今回の細長体21に対応するダイ50を曲げ加工機46に搬入して曲げ位置における前壁48に押し付ける。この状態で駆動機構により各開閉機構57の伝達ロッド59を後方に移動させ、対をなす把持爪67を内側に揺動させて閉止させる。これにより、ダイ50は把持爪67により両側から把持され、曲げ加工機46のフレーム47に位置決め固定される。このように細長体21に種類変更があったとき、開閉装置56によって把持爪67を開放することでダイ50を把持から解放した後、今回の細長体21に対応したダイ50をフレーム47の前壁48に当接させながら把持爪67を閉止して把持、ロックするだけで、ダイ50の交換を行うことができ、これにより、切換作業を迅速かつ簡単に行うことができる。
また、各ベンディングスライドユニット72においては、レバー108を先端側に揺動させてカム106をほぼ半回転させることにより、収納穴85の先端開口側に突出部99が窓97と重なり合う位置まで、ロック部材86、曲げ具92をカム106によって移動させる。その後、曲げ具92を、突出部99が窓97に挿入され、溝98の底面が窓97より先端側に位置する収納穴85の一側(前側)内面に当接するまで一側(前側)に平行移動させる。これにより、曲げ具92の曲げ係止部94はロック部材86のロック係止部87から離脱する。次に、溝98の底面を窓97より先端側に位置する収納穴85の一側(前側)内面に摺接させるとともに、突出部99を窓97に挿入させた状態で曲げ具92を先端側に移動させ、その後、他側(後側)に平行移動させ、次に、再び、先端側に移動させる。これにより、前回のダイ50に対応した曲げ具92はスライダ84から抜き出される。
次に、今回のダイ50に対応した曲げ具92の基端部を収納穴85内で曲げ係止部94がロック係止部87に当接するまで挿入する。次に、曲げ具92を、突出部99が窓97に挿入され、溝98の底面が窓97より先端側に位置する収納穴85の一側(前側)の内面に当接するまで、一側(前側)に平行移動させる。その後、溝98の底面を窓97より先端側に位置する収納穴85の一側(前側)内面に摺接させるとともに、突出部99を窓97に挿入させながら曲げ具92を奥側に押し込み、該曲げ具92の基端部を収納穴85内にさらに挿入させる。次に、曲げ具92を他側(後側)に平行移動させてロック係止部87に曲げ係止部94を係止させた後、レバー108を基端側に揺動させカム106をほぼ半回転させる。
これにより、ロック部材86、曲げ具92が収納穴85の奥側に移動するが、これらロック部材86、曲げ具92の移動は突出部99の少なくとも一部、ここでは全部が窓97より奥側に到達し、段差109が取付けケース82の先端面に当接したとき、停止する。このとき、曲げ具92は、押付けカム100によって幅方向に位置決めされながら、スライダ84に高精度でかつ強固に取付けられる。そして、このような作業を各ベンディングスライドユニット72において行い、今回のダイ50に対応した曲げ具92に交換するが、前述のよう曲げ具92をクランク状に移動させるとともに、レバー108を揺動させるだけで、曲げ具92の交換を行うことができるので、その作業を簡単かつ迅速に行うことができる。
次に、今回成形を行う細長体21を成形装置20に搬入して、フィーダー23の上、下ローラ25、26間を通過させるとともに、その始端をプレス加工機28のポンチ33のほぼ直下に位置させる。この状態で前述した成形作業と同様にフィーダー23、プレス加工機28、切断機49、曲げ加工機46を作動し、試験的に成形作業を行う。ここで、切断機49によって切断された切断片54には切断端にバリが発生するため、このバリの累積により細長体21は供給側に該バリの累積量だけ押し戻されるが、前述のバリの大きさは細長体21の種類により異なるため、従来技術で説明したように加工孔12と切断位置13との間の距離は前回と今回とでは異なるのである。
このように細長体21の種類変更により細長体21の押し戻され量が変化するため、その変化分を前述の試験的な成形によって検出した後、前記制御部42からの制御信号により駆動部41を作動させてねじ軸39を回転させ、これにより、プレス加工機28をテーブル22と共に前記押し戻され量の変化分だけ細長体21の長手方向に追従移動させ、前述した押し戻され量の変化分を相殺する。このように前記変化分だけテーブル22、プレス加工機28を移動装置43により移動させるだけで、細長体21に対するプレス加工機28による加工(穴あけ)位置と切断機49による切断位置との間の距離を設計値に調節することができ、これにより、切換作業を迅速かつ簡単に行うことができる。
また、前述のバリの大きさはポンチ33、ダイの摩耗等により時間の経過と共に変化し、これにより、前記押し戻され量が変化することがあるが、このような場合にも、テーブル22、プレス加工機28を移動装置43により移動させるだけで容易に対処することができる。さらに、切断片54の長さ、加工孔12の加工位置の関係から、昇降装置からポンチホルダ34に付与される駆動力の作用中心とポンチ33の中心とがずれる場合があるが、このような場合、従来においては、プレス加工機14の位置を変更できないため、偏心荷重が作用したままプレス加工を行わざるを得ず、これにより、ダイセット15の寿命低下、装置の故障を招いていた。しかしながら、この実施形態にあっては、前述のような場合、駆動力の作用中心とポンチ33の中心とを合致させた後、テーブル22、プレス加工機28を移動装置43によりポンチ33が規定の加工位置の直上に到達するまで移動させるだけで、容易に対処することができる。
また、前述のようにテーブル22にはプレス加工機28の他にフィーダー23が固定されているため、テーブル22、プレス加工機28を移動させると、フィーダー23も一体となって移動する。このような移動時、フィーダー23の上、下ローラ25、26の回転を停止させることで、これら上、下ローラ25、26により細長体21を把持し、細長体21もテーブル22と一体的に移動させるようにすれば、切断機49に対する細長体21の位置が同時に調節されて、切断機49とプレス加工機28との間に位置する細長体21に対する切断位置を設計通りの位置とすることができる。この結果、プレス加工機28と切断機49との間に位置する既に部分加工された細長体21は廃棄しなくてもよくなり、これにより、製品の歩留まりを向上させることができる。これに対し、フィーダー23をテーブル22に固定せず独立させた場合には、プレス加工機28を移動させて位置調節を行ったとき、細長体21は静止したままであるため、プレス加工機28と切断機49との間の細長体21に対する切断位置は狂ったままとなり、廃棄処分とせざるを得ないのである。
また、この実施形態においては、前述のように切断機49を曲げ加工機46の曲げ位置(ダイ50の設置位置)に近接配置したので、これらの間に存在する切断片54の枚数が減少して前述したバリによる押し戻され量を低減させることができるとともに、特に、切断片54が幅方向に対して斜め切断されているとき、隣接する切断片54の下に潜り込んだり、上に乗り上げたりする事態を効果的に抑制することができる。このようにしてプレス加工機28の加工中心と曲げ加工機46の曲げ位置との間の距離が調節されると、前述と同様の成形作業が繰り返し行われ、切断片54が次々と所定形状に折り曲げ加工される。
ここで、前述したバリによる押し戻され量は細長体21が同一種類であるとき、ほぼ同一であるため、各種類の細長体21における押し戻され量を、図8に示すように、記憶装置112に記憶しておくとともに、細長体21の種類に変更があったときには、コンピュータ113によって記憶装置112から前回および今回の細長体21に対応した押し戻され量を読み出すとともに、その差異(変化分)を求め、該差異に対応した制御信号を制御部42を通じて駆動部41に出力することで、テーブル22、プレス加工機28、フィーダー23を移動させるようにしてもよい。このようにすれば、前述した試験的な成形作業を無くすることも可能で、切換作業をさらに迅速かつ簡単に行うことができる。
本発明を詳細にまた特定の実施態様を参照して説明したが、本発明の精神と範囲を逸脱することなく様々な変更や修正を加えることができることは当業者にとって明らかである。
本出願は、2003年1月30日出願の日本特許出願(特願2003−21467)、に基づくものであり、その内容はここに参照として取り込まれる。
Claims (2)
- 細長体を長手方向に一定ピッチで間欠的に送り出すフィーダーと、フィーダーより下流側に設置され、該細長体に対して部分的な加工を行う部分加工機と、部分加工機より下流側に設置され、該細長体を略幅方向に切断することで、前記一定ピッチと実質上等長の切断片を切り出す切断機と、切断機より下流側に設置され、前記切断片を所定形状に曲げる曲げ加工機とを備えた細長体の成形装置において、
前記部分加工機を細長体の長手方向に移動可能なテーブルに固定するとともに、該テーブルを移動させる駆動部及び該駆動部を制御する制御部を含む前記テーブルの移動装置を設け、
前記テーブルに前記フィーダーも固定するようにした細長体の成形装置。 - 前記曲げ加工機が、前部が該曲げ加工機のフレームの前壁から前方に突出した開閉可能な対をなす把持爪と、前記フレーム内に設置され、前記把持爪に開閉駆動力を付与するとともに、該把持爪を閉止させたとき、フレームの前壁に当接しているダイを把持爪により把持しロックする開閉装置と、ダイを囲むようフレームに支持され、曲げ具を切断片を介してダイに順次押し付けることにより、切断片を曲げる複数のベンディングスライドユニットとを有し、
前記ベンディングスライドユニットは、
ダイに接近離隔可能であって、その先端部に収納穴が形成されたスライダと、
該スライダの先端部に取付けられた曲げ具と、
スライダをダイに接近離隔させる接離装置とからなり、
該収納穴には断面L字形を呈するロック係止部を先端に有するロック部材が移動可能に収納されるともに、前記収納穴の一側内面に窓が形成され、
前記曲げ具には、該収納穴に挿入される前記曲げ具の基端に前記ロック係止部に係止可能な断面L字形の曲げ係止部と、前記曲げ具の一側の溝と、該曲げ具の基端から突出する突出部が設けられ、
前記溝の底面を前記窓より先端側に位置する収納穴の一側内面に摺接させながら、前記突出部を前記窓に挿入させて前記曲げ具の基端部を収納穴に挿入した後、前記曲げ具を他側に平行移動させて前記ロック係止部に前記曲げ係止部を係止させ、その後、前記ロック部材を移動機構によって前記収納穴の奥側に、少なくとも前記突出部の一部が前記窓より奥側に到達するまで移動させることにより、前記曲げ具が前記スライダに取付けられている請求項1記載の細長体の成形装置。
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