JP4804489B2 - 剥取り装置を有する定着アセンブリ及び方法 - Google Patents

Description

本発明の好適な実施形態は、画像技術に関する。本発明の好適な実施形態は、定着アセンブリ用のエアーナイフ剥取りシステムと関連して特定の用途を見出しており、特にこれを参照して説明する。

例えば、複写機やレーザービームプリンタなどの代表的な静電写真方式の印刷システムでは、マーキングエンジンは、光受容体ベルトまたはドラムなどの光導電性絶縁部材を備えており、この光導電性絶縁部材を一様な電位に帯電させ、その後、再生すべき原稿の光画像に露光させる。この露光により、露光領域又は背景領域内の光導電性絶縁面を放電させ、該部材上に原稿内に含まれている画像領域に対応する静電潜像を生成させる。次いで、光導電性絶縁面上の静電潜像は、マーキング材で現像することによって可視化される。一般に、マーキング材は、キャリア顆粒（ｇｒａｎｕｌｅ）に摩擦電気的に付着しているトナー粒子を含んでおり、単にトナーと呼ばれることが多い。現像された画像は、次いで、用紙などの印刷媒体に転写される。トナー画像の用紙への定着は、一般に、加熱された定着器ロールおよび圧力の印加でトナーに熱を加える定着器によって成し遂げられる。

溶融したトナーは、特にオイルが塗布された表面またはオイルを放出する表面を有するロールの場合には、加熱された定着器ロールのエラストマー面に付着する傾向がある。定着器ロールによって一様な表面処理を行うためには、ロールの定着面から印刷媒体シートを確実かつ一貫して剥ぎ取ることが望ましい。様々なタイプの剥取りシステムが開発されている。例えば、エアーナイフ剥取りシステムでは、空気のジェットを印刷媒体に当てて、定着器ロールから印刷媒体を分離する。ジェットは、定着器ロールに隣接して伸張する細長い面内の小さな孔から放出される。空気のジェットは、ジェットに隣接した定着器ロールの表面温度を下げる傾向が有り、これは、印刷媒体にわたる光沢ムラの原因となる可能性がある。印刷媒体を剥ぎ取る際に使用される気流、したがってその冷却効果を最小限に抑えるために、印刷媒体の先端がエアーナイフに到達し分離を開始する時に空気の短いバーストを加えるシステムが、開発されている。
米国特許第６，４２４，０１７号公報 米国特許第５，４０６，３６３号公報

エアーナイフシステムが、例えば、空気を供給するホース内で漏れを生じた場合は、剥取り不良が生じ、問題を診断するためにサービスコールをする必要がある。

本発明の好適な実施形態の一つの態様によれば、定着アセンブリは、動作中、印刷媒体のシートに接触して、マーキング材をシートに定着させる定着器部材を備えている。剥取り装置は、ガスをシートに加え、該シートを該定着器部材から剥離することを補助する。剥取り装置は、関連する与圧ガス源を、定着器部材に隣接した少なくとも一つのオリフィスと接続する流体経路を備えている。圧力センサー（第一のセンサー）は、定着器部材の動作中、前記与圧ガス源と前記少なくとも一つのオリフィスとの中間に在る流体経路内のガスの圧力を検知する。

一つの態様では、定着アセンブリは、前記圧力センサーから圧力関連信号を受け取る制御システムをさらに含んでいる。

定着アセンブリの一つの態様では、前記制御システムは、異常状態が定着アセンブリに存在するかどうかを、少なくとも部分的に前記圧力関連信号に基づいて判定する。

定着アセンブリの一つの態様では、前記制御システムは、前記ガスの圧力が所定範囲外であるかどうかを、前記圧力関連信号に基づいて判定する。

定着アセンブリの一つの態様では、前記制御システムは、前記剥取り装置に対する調整を、前記圧力関連信号に基づいて決定する。

定着アセンブリの一つの態様では、前記制御システムは、前記流体経路内の弁（バルブ）および圧力調整器のうちの少なくとも一方の動作を、前記圧力関連信号に基づいて制御するよう構成されている。

定着アセンブリの一つの態様では、前記少なくとも一つの弁は、前記少なくとも一つのオリフィスにガスのパルスを与えるために選択的に作動される電磁弁を含んでいる。

定着アセンブリの一つの態様では、前記制御システムは、前記圧力関連信号に基づいて異常状態の通知を出すよう構成されている。

一つの態様では、定着アセンブリは、第二のセンサーをさらに含み、かつ、それにおいて、前記制御システムは、前記第一および第二のセンサーからの情報に基づいて、異常状態を判定するか、あるいは、前記剥取り装置に対する調整を決定する。

定着アセンブリの一つの態様では、前記流体経路は、少なくとも一つの選択的に作動可能な弁を備え、かつ、前記圧力センサーは、前記少なくとも一つの選択的に作動可能な弁と前記オリフィスとの中間に在る。

定着アセンブリの一つの態様では、前記オリフィスは、プレナムと連通する複数のオリフィスを備え、かつ、前記圧力センサーは、前記プレナム内のガス圧力を検知する。

定着アセンブリの一つの態様では、前記定着器部材は、回動可能なロールを含んでいる。

定着アセンブリの一つの態様では、前記圧力センサーは、圧力変換器を含んでいる。

一つの態様では、乾式電子写真印刷システムは、前記定着アセンブリを備えている。

別の態様では、本発明の方法は、印刷媒体のシートに定着器部材で接触して、マーキング材を該シートに定着させる工程を含んでいる。ガスが、シートに向けて加えられ、該シートを定着器部材から剥離することを補助する。該方法は、前記シートに向けて加えられるガスの圧力を検知する工程をさらに含んでいる。

前記方法の一つの態様では、前記ガスを加える工程は、複数のシートのそれぞれに対して、第一の期間に第一の圧力でガスを加える工程と、第二の期間に第二の圧力でガスを加える工程とを含み、前記圧力を検知する工程は、前記第一および第二の期間のうちの少なくとも一つにおいて、前記ガスの圧力を検知する工程を含んでいる。

一つの態様では、前記方法は、異常状態が存在するかどうかを、前記検知された圧力に基づいて判定する工程をさらに含んでいる。

前記方法の一つの態様では、前記方法は、異常状態が存在すると判定された場合、コンピュータで実行される処理を自動的に開始する工程を含んでいる。

一つの態様では、前記方法は、前記検知された圧力が選択された範囲外である場合、弁および調整器のうちの少なくとも一方を調整して、前記ガスの流量を修正する工程をさらに含んでいる。

前記方法の一つの態様では、前記ガスを加える工程は、前記シートの先端にガスのパルスを加える工程を含み、前記ガスの圧力を検知する工程は、前記パルス中に少なくとも１回前記圧力を検知する工程を含んでいる。

前記方法の一つの態様では、パルスを加える工程は、前記与圧ガスを運ぶ流体供給経路における少なくとも一つの弁を開閉する工程を含み、前記方法は、前記少なくとも一つの検知された圧力に基づいて、前記弁がガスのパルス中に開き位置に在る時間の長さ、前記パルス中に開き位置と閉じ位置との間における弁の位置、および弁が開いている時刻のうちの少なくとも一つを修正する工程をさらに含んでいる。

別の態様では、定着アセンブリは、定着器および剥取り装置を備えている。前記剥取り装置は、選択的に作動され空気のパルスを前記定着器に隣接して配置されているオリフィスに運ぶ少なくとも一つの弁を含む空圧気流システムと、前記少なくとも一つの弁と前記オリフィスとの間において前記気流システムと連通しているセンサーと、を備えている。前記センサーは、前記気流システムにおける圧力の変化に対応して、信号を生成する。制御システムは、前記信号を前記センサーから受け取り、異常状態が前記定着アセンブリに存在するかどうかを、前記信号に基づいて判定する。

本発明の好適な実施形態の態様は、定着器の加熱されたロールなどの定着器部材からシートを剥ぎ取る剥取り装置、前記剥取り装置を組み込んだ定着アセンブリ、および印刷の方法に関する。

本発明の好適な剥取り装置は、エアーナイフおよびエアーナイフに与圧空気または他の適当なガスまたはガス混合体を供給する空圧気流システムを備えている。従来のエアーナイフシステムでは、気流は、例えば、空圧システムにおける漏れ、閉塞などにより、経時的に変化する場合があることが分かっている。結果として、ジェットにおける気流は減少して、用紙の定着器ロールからの剥取りが不十分となる場合がある。これにより、画像品質の問題および紙詰まりを生じる場合がある。しかしながら、剥取りの品質に影響する別の要因は、定着器の摩耗である。定着器ロールが既に摩耗している場合、気流を増大させても問題の解決にはならず、場合によっては問題を悪化させる可能性がある。流量が高すぎる場合、定着器の冷却によって光沢差の問題が生じる可能性がある。本発明の好適な実施形態では、圧力センサーが、ナイフにおける空気圧を検知する。そして、検知された圧力に基づき、制御システムが、サービスコールに対する要求または気流システムに対する調整などのコンピュータで実行される処理を実行することができる。

ここで使用される「印刷システム」は、複写機、プリンタ、ブックマーク機械、ファクシミリ装置、または多機能機など、印刷媒体上に画像を再現するための何らかの装置を含むことができる。一般に、印刷システムは、印刷媒体上に画像を再現するための構成要素、および印刷媒体に画像を定着させるための定着アセンブリを有する少なくとも一つのマーキングエンジンを備えることができる。好適なマーキングエンジンには、乾式電子写真マーキングエンジンが含まれているが、熱硬化性インクまたは「ソリッド」インク（マーキングの前に液体状態まで加熱し、冷却して再び固化するインク）を使用するインクジェットマーキングエンジンも想定されている。

「印刷媒体」は、画像形成用の一般的に薄い物理的な用紙、プラスチック、または他の適当な物理的な印刷媒体基板とすることができる。画像は、一般に、印刷システムによって印刷媒体上に再現すべき電子的形態の情報を含むことができ、かつ、テキスト、図式、絵などを含むことができる。例えば、図式、テキスト、写真などの画像を印刷媒体に付与する動作は、ここで一般に印刷と呼ぶ。

図１を参照すると、本発明の好適な剥取り装置を組み込んだ電子写真方式の（例えば、乾式電子写真方式の）プリンタの概略立面図が示されている。本剥取り装置は、多種多様なプリンタで使用するのに一様に好適であり、かつ、その用途はここで示す特定のシステムに限定されないことを理解されたい。電子原稿またはスキャンされるハードコピーなどの印刷すべき原稿１０は、電気信号として、スキャナーやコンピュータなどの画像入力装置１１から、印刷システム（例えば、ディジタルフロントエンド）の処理構成要素１２に送信される。処理構成要素１２は、ディジタル画像を、マーキングエンジン１４で再現可能な形態に変換する。マーキングエンジン１４は、画像付与構成要素１５を備えており、該画像付与構成要素１５は、コンベヤシステム１７によって矢印Ａの方向において印刷媒体経路上を搬送される印刷媒体のシート１６にトナー画像を付与する。マーキングされたシート１６（その上にトナー画像を有している）は、定着アセンブリ１８に搬送される。定着アセンブリは、熱および圧力を加えてトナー画像をより永久的にシートに定着させる定着器１９、および、定着したシートを定着器から除去するのに役立つ剥取り装置２０を備えている。

本発明の好適な実施形態では、マーキングすべきシート１６が、マーキングエンジン１４の上流のフィーダー２２から搬送され、かつ、マーキングされたシートは、コンベヤシステムによって、定着器１９の下流のフィニッシャー２４（ここでは用紙トレイとして図示してある）に排出される。剥取り装置２０、および画像付与構成要素１５、定着器１９とコンベヤシステム１７を含む印刷システムの任意の他の構成要素は、印刷の動作を制御する制御システム２６により制御されることができる。図１は、プリンタの簡単化された表現であり、インバータ、他のマーキングエンジン、デカーラなど他の構成要素を、印刷媒体経路に組み込むことができることが理解されたい。

技術上既知のように、画像付与構成要素１５は、電子写真方式のプロセスによって所望の画像の生成の際に使用される各種の従属構成要素を備えることができる。乾式電子写真方式装置の場合は、マーキングエンジンの画像付与構成要素は、一般に、ベルト状またはドラム状の回転する光受容体３０などの電荷保持面を備えている。画像は、光受容体の表面上に生成される。光受容体３０の円周の周りの様々な場所には、一般に３２で示した清掃装置と、付与すべき各色（モノクロプリンタの場合は１色、ＣＭＹＫプリンタの場合は４色）の帯電ステーションとしての帯電コロトロン３４と、光受容体上に潜像を形成するラスター出力スキャナーなどの露光ステーション３６と、各帯電ステーションに関連し、トナーの付着により光受容体の表面上に形成された潜像を現像しトナー画像を得るための現像ユニット３８と、およびこれにより形成されたトナー画像を印刷媒体１６のシートの表面に転写する転写コロトロンなどの転写ユニット４０とを含む乾式電子写真方式のサブシステムが配設されている。

定着器１９は、マーキングされた印刷媒体（その上にトナーが載っている）を受け取り、熱および圧力を加えて画像をシートに定着させる。図示の定着器１９は、一対の回転ロール４４、４６を備えており、これらは、共に、シート（その上にトナー画像が載っている）が通過するニップ４８を形成している。少なくとも一方のロール４４が、例えば、ランプなどの内部ヒーター５０によって加熱される。他のロール４６は、ニップ４８において圧力を加え、一つの実施形態では加熱されることもできる。定着器ロール４４は、シリコーン油などの剥離油の薄い被膜を塗布することができるエラストマー面５２を有している。面５２は、円筒金属コア上に支持されたテフロン（登録商標）（Ｔｅｆｌｏｎ）または同様の材料の層で設けることができる。回転する定着器ロールを特に例示しているが、ベルトなどの他の定着器部材も想定されている。

本発明の好適な剥取り装置２０は、ニップ４８の下流に位置するエアーナイフ５４を備えている。エアーナイフ５４の剥取りエッジ５６は、定着器のロール面５２に密接した位置に在るが、接触はしていない。空気ジェットをシートの先端６２のトナー側６０に当てて、シートの先端を定着器ロール４４から剥離するための複数のオリフィス５８が、エッジに沿って（すなわち、クロスプロセス方向に）間隔をあけて配置されている。オリフィス５８には、エアーナイフ５４内のプレナム６４から空気が供給される。エアーナイフの下側６６は、シートの案内面となる。

図２で最も良く分かるように、プレナム６４は、クロスプロセス方向においてその最も長い寸法を有しており、オリフィス５８は、エッジ５６を画定するエアーナイフの壁に形成された個々の空気供給管６８を介してプレナムと連通している。プレナム６４から一般に同じ方向に空気を供給する複数の同一線上のオリフィス５８が示されているが、他の配列のオリフィスを設けること、あるいは、単一の横方向に伸張するオリフィスを用い得ることも想定されている。

空圧システム７０は、正圧下でプレナム６６に空気を供給する。図示の実施形態では、空圧システム７０は、圧縮機などの与圧空気の供給源７２を備えている。与圧空気は、圧縮機７２と連通するアキュムレータ７４に一時的に蓄えることができる。プレナム６４は、空気をアキュムレータ７４からエアーナイフオリフィス５８に運ぶ流体経路７６の一部を形成している。流体経路７６は、図２に示した実施形態では、二つの分岐経路７８、８０を備えており、空気の流れを二つに分割するが、他の実施形態では、単一の経路、または二つ以上の分岐経路を用いることができる。二つの分岐経路７８、８０は、プレナム６４の近くで再び合して入口経路８２を形成する。各分岐経路７８、８０は、圧力調整器８４、８６および各調整器の下流の弁８８、９０を備えている。第一の調整器８４は、第二の調整器８６と同じまたはより高い圧力に設定することができる。調整器８４、８６は、調整器の上流の各分岐７８、８０の部分と下流の部分との間の圧力差を維持する。調整器８４、８６は、この圧力差を変えるため、制御システム２６によって作動される自動アクチュエータを備えることができる。

弁８８、９０は、電磁弁などの自動的に作動可能な弁である。電磁弁８８、９０は、短く開閉し、空気の短いバーストもしくはパルスを提供するように構成されている。図示の実施形態では、弁８８、９０は、制御システム２６に制御されている。

図４に示すように、気流は、接近するシートごとに定期的に繰り返されるサイクルに従う。シートの先端６２が、オリフィス５８に接近する時点で、両方の弁８８、９０を開くことによって、空気のバーストが供給される。しかしながら、弁８８と同列の高圧調整器８４のみが流量のコントロールし得る。この時点で、プレナム内の圧力は、第一の圧力Ｐ₁にすることができる。短い時間の経過後、弁８８は、用紙の先端からオリフィスを１インチ程度通過することに応じて、閉じることができる。弁９０は、開いた状態を維持し、初期流量より低い流量を提供する。これにより、オリフィス５８から加えられる空気の量が、弁９０を開くことに関連する他の遅延および一時的な流量の外乱が発生せずに、急速に減少する。シートが、オリフィス５８を完全に通過した後又は次の下流搬送装置に捕捉された後では、弁９０も閉じられ、これにより、圧力をほぼ大気圧まで急速に減らす。

オリフィス５８から加えられる空気の量は急速に減少するが、先ず、中間的なレベルＰ₂まで減少し、次いで、ゼロ（ほぼ大気圧）になり、これにつれて、ニップ４８を出る定着シート１６の重量が、シートを定着器ロール４４から剥ぎ取る役割を担う。このサイクルは、ニップ４８を通過する印刷媒体の各シートのために繰り返される。

例として、毎分１４０枚の印刷システムでは、弁８８、９０は、シートの先端がオリフィスに到達する約２０ミリ秒前の時刻ｔ₀で開くことができる。圧力Ｐ₁は、シートの先端がオリフィスを通過した後約４０ミリ秒の時刻ｔ₁まで維持することができる。その後、圧力Ｐ₂は、シートの先端がオリフィスを通過した後約２００ミリ秒の時刻ｔ₂まで維持することができる。

プレナム６４に空気を供給する流体経路７８、８０、８２などは、互いの接続部及び弁８８、９０、調整器８４、８６との接続部においてＯリングなどにより封止されている空気ホースによって形成することができる。空気ホースのうちの一部または全ては、ゴムまたは他の弾性材料から形成することができる。経時的に、ゴムは消耗する可能性があり、あるいは、シールまたは弁は摩耗し、調整器８４、８６の下流の流体ラインからの漏れに至る可能性がある。結果として、各サイクルのオリフィス５８における気流は、経時的に変化する可能性がある。これにより、エアーナイフ５２の剥取り機能は、低下する可能性がある。例えば、シートの先端６２は、ニップ領域の下流において定着器ロール４４上に保持されたり、あるいはシートの先端の上流側の一部が、リタックとして知られているプロセスで定着器ロール４４に再付着したりする可能性がある。これらの状況のいずれでも、トナー画像のプロセス方向に光沢差の条斑が生ずることに至る可能性がある。ある例では、弁の摩耗などにより、オリフィス５８における気流が、計画したものより高くなり、クロスプロセス方向において冷却差による光沢の偏差に至る可能性がある。

本発明の好適な実施形態では、圧力センサー（ＰＴ）１００は、弁８８、９０全ての下流の、すなわち、弁８８、９０とオリフィス５８との間の流体経路８２における空気の圧力を検知するよう配置されている。より詳しくは、センサー１００は、ダイヤフラムの移動量など圧力の変化に応じて変化する特性を測定し、該特性の変化を示す電流信号などの信号を出力する。図示の実施形態では、圧力センサーは、プレナム６４内の圧力を検知する。具体的には、圧力センサー１００は、プレナム６４の上流側のエアーナイフの壁１０２内に入り込み、プレナム６４と圧力センサー１００との間に流体通路１０４を設けている。圧力は、入口通路８２から最も遠いオリフィス５８に隣接したところが最も低い場合があるので、圧力変換器は、このオリフィスに隣接して設置することができる。また、圧力センサー１００は、入口部分８２または弁８８、９０の下流のほかの場所における圧力を測定するよう配置することができる。一実施形態では、弁８８、９０とオリフィス５８との間に間隔をあけて複数の圧力センサーを設けることができる。

圧力センサー１００は、圧力変換器などの高速応答型圧力センサーにすることができる。圧力変換器１００は、圧力サイクル中の圧力の変化を検出するために、弁の開放と閉鎖との間の時間ｔより短い応答時間を有することができる。一実施形態では、変換器は、約２０ミリ秒以下の応答時間を有しており、例えば、応答時間は、約１０ミリ秒またはそれ以下である。一実施形態では、圧力センサー１００の応答時間は、弁８８、９０の作動時間以下である。例えば、弁は、作動するのに１５ミリ秒またはそれ以下の時間がかかる場合がある。圧力センサー１００の応答時間は、約１００マイクロ秒またはそれ以下、例えば、約２０マイクロ秒またはそれ以下であることができる。好適な圧力センサーは、米国特許第６，４２４，０１７号公報に記載されたシリコン・オン・サファイア変換器などの高速応答圧力変換器である。この種の圧力変換器は、マイクロ秒またはナノ秒の範囲の応答時間を有する場合があり、センソネチックス インク（Ｓｅｎｓｏｎｅｔｉｃｓ， Ｉｎｃ.） 社から入手できる。ＳＥＮ−３００は、その一例である。この用途では、静電容量変換器も使うことができる。好適な静電容量圧力変換器１００は、最高１０ミリ秒の応答時間を有するＳｅｎｓａｔａ ６１ＣＰ シリーズ または ６７ＣＰ シリーズのセラミック静電容量圧力センサーである。

圧力センサー１００は、検知された圧力を表わす信号を制御システム２６に与える。例えば、圧力変化を表わす電流信号が、制御システム２６に出力される。

動作の際には、シートの先端６２が、ニップ４８を通過すると、空圧気流システムが、弁８８、９０の選択的な開閉によって、オリフィス５８に空気を供給する。空気は、先端に向けて放出され、シート１６を定着器ロールから分離する支持力を与える。一方、センサーは、プレナム内の圧力を測定し、制御システムに制御信号を与える。制御システムが、検出された圧力に基づいて、異常状態を検出した場合に、制御システムは、コンピュータで実行される処理を実行することができる。

一実施形態では、制御システム２６は、検知された圧力が、所定の許容可能な範囲内であるかどうかを判定する。例えば、制御システムは、所定値を記憶しているルックアップテーブル（ＬＵＴ）１０６にアクセスすることができる。センサー１００によって検知される圧力は、圧力がプレナム６４内で一つのサイクルに亘って変化することにつれて、循環的に変化する可能性があるので、制御システム２６は、一つのサイクルに亘って、様々な時間で検知された圧力測定値を比較して、検知された圧力がそれぞれ所定の許容可能な範囲内であるかどうかを判定することができる。また、制御システム２６は、一つのサイクルに亘るまたは複数のサイクルに亘る平均の圧力を計算し、その結果を記憶された値と比較することができる。また別の実施形態では、制御システムは、複数のサイクルなどの一定期間に亘って検知された圧力の変化が、経時的にオリフィス５８における流量が不十分となる結果に至る場合がある徐々に生じる漏れのような異常状態を表わしているかどうかを判断することができる。

プレナム６４内の圧力は、オリフィスにおける流量に関係するので、一実施形態では、制御システム２６は、検知された圧力に基づいて、流量を測定する。制御システムは、計算された流量に基づいて、異常状態が存在するかどうかを判定することができる。

制御システム２６は、センサーによって検出された圧力が所定範囲外、例えば、その上またはその下、または所定の基準を満たしていないと判定した場合に、制御システムは、コンピュータで実行される処理を開始することができる。一実施形態では、コンピュータで実行される処理は、通知を提供し或いは剥取り装置２０の状態を報告することを含んでいる。この通知は、例えば表示画面１１０を介してオペレータに提供することができる。

別の実施形態では、通知は、例えば、ローカル・エリア・ネットワークまたはインターネット接続を介して、遠隔のサービスセンターに送ることができる。気流システムにおける漏れがある場合、不適切な圧力は、より低い流量に導き、次には剥取りの失敗および紙詰まりに導く可能性がある。センサー１００を有することによって、サービスフラグが送信され、問題をより容易に、かつ、致命的な異常が起こる前に診断することができる。差し迫った致命的な異常が起こりそうもないと判定される徐々に生じる異常の場合に、遠隔のサービスセンターは、技術者による剥取りシステムの検査のスケジュールを組んで、別のサービスコールの検査と同時に行い、これにより、追加のサービスコールを避けることができる。

別の実施形態では、測定値を用いて、エアーナイフプレナム６４における圧力を降下させる漏れおよび構成要素の摩耗を補償することができる。例えば、制御システム２６は、検知された圧力をフィードバック制御ループで用い、これにより、一つまたはそれ以上の修正を空圧システム７０に施して、検知された圧力の変化を補償することができる。例えば、制御システム２６は、弁８８、９０および／または圧力調整器８４、８６を制御することができる。好適な圧力変換器１００を用いて、圧力弁の作動タイミングを制御し、プリント上に光沢のばらつきを生じる場合がある不当な温度差を定着器ロール４４に生じさせることなく、広範囲の媒体に亘って確実な剥取りを行うことができる。許容可能な値を下回る／上回る圧力の場合に、制御システム２６は、調整器８４、８６の一方または両方を調整し、圧力を増大／減少させることができる。あるいは、制御システム２６は、例えば、弁が開いている時間の長さを調整するように、弁８８、９０の作動を調整し、タイミングを変更することができる。調整は、制御システムがアクセスできるルックアップテーブル１０６に基づいて行うことができる。また、調整により検知された圧力測定値が所望の範囲内に入ったことを、さらに圧力測定値を用いることによって検査することができる。

別の実施形態では、圧力センサー１００からのフィードバックを用いて、弁８８、９０の作動タイミングを制御する。オリフィス５８は、ホースのへたりなどにより、弁における圧力に即座には到達しない。圧力センサー１００は、オリフィスにおける圧力が所望の値に達するまでの遅延時間を測定するのに使用できる。制御システム２６は、この測定に基づいて、シート先端の到達と一致するように弁（複数の弁）のタイミングを調整することができる。

制御システム２６の応答時間は、現在のシートに影響する調整を行うには十分ではないかもしれないが、後続のシートに対して調整を開始することは可能であることは、理解できるだろう。

一実施形態では、制御システム２６は、圧力センサー１００の信号および一つまたはそれ以上の第二のセンサー１２０、１２２、１２４の出力に基づいて、調整を行う。第二のセンサーは、用紙の特性、画像の特性、または印刷システムの特性を検知することができる。例えば、センサー１２０（図１）は、シートの特性を検知するよう配置されている。この特性は、シートの曲がりに関連する場合がある。この目的のための適当なセンサーは、ＬＥＤ光源及びシートから、例えば、シートの下側から反射される光を検出する検出器を備えるレーザー変位センサーである。センサー１２０が、シートの先端が通常よりセンサーから遠いことを検出した場合は、シートの先端がそのあるべき位置より定着器ロールの下流側に付着し、これにより剥取りミスとなる場合があることを意味している。制御システム２６は、弁／調整器を調整して、気流を増大させることができる。この実施形態では、圧力センサー１００を用いて、行なわれる調整に限界を設定することができる。圧力を所定範囲内に保つことによって、定着器ロールの過剰な冷却を回避することができる。

別の実施形態では、第二のセンサー１２２を、下流位置センサーとすることができる。正しく剥ぎ取られなかったシートは、位置センサー１２２に到達するのに通常より長く掛かる場合がある。したがって、第二のセンサー１２２を用いて、剥取りミスなどの異常状態を検出することができる。制御システム２６は、圧力センサー１００を用いて、この異常状態が、定着器の摩耗或いは不適切な圧力によるものであるかどうかを判定する。定着器ロールの表面が摩耗すると、（表面粗さの変化により）剥取り性能が落ちる場合がある。圧力が許容可能な範囲内であると検出された場合、これは、剥取りシステムの異常ではなく、定着器の異常を示すことができ、制御システム２６は、定着器の検査または交換の通知を送信することができる。リタック状態が低すぎる気流に起因すると判定された場合、制御システム２６は、第二の（および／または第一の）調整器８６を作動させ、これにより中間圧力Ｐ₂が上昇する。

一実施形態では、第二のセンサーは、上流の用紙位置センサー１２４を含むことができる。上流位置センサー１２４は、定着器に近づくシートの先端６２を検出するよう配置することができる。上流の用紙位置センサー１２４、圧力センサー１００、および空気弁８８、９０間の閉ループ制御が形成され、用紙がオリフィス５８に到達する前に気流をオンタイムに最少限にし、安定な流量を確保する。これは、温度プロフィールに影響し、これにより光沢差を生じるような、定着器ロールに対する時期尚早の吹き付けを低減する。この実施形態では、制御システム２６は、上流のセンサー１２４から用紙位置情報に関連した時間を、また、インライン圧力センサー１００から検知された圧力の測定に関連した時間を受信することができる。圧力測定のタイミングは、弁の作動と空気のオリフィスからの放出との間の遅延時間を測定するのに使用することができる。制御システム２６は、次いで、弁８４、８６の作動時間を調整し、空気バーストがシートのエアーナイフへの到達と一致するようにし、定着器ロールの不必要な冷却に至る可能性がある過早の空気バーストを回避する。

紙詰まりまたは紙巻きを検出するために、他のセンサー（図示せず）を使用することができる。紙詰まりまたは紙巻きが検出された場合、制御システム２６は、圧力センサー情報を用いて、これが不十分な気流或いは過剰な気流によるものであるかを判定し、致命的な異常が起こる前に修正処置を実行することができる。

また別の実施形態では、第二のセンサーは、定着器ニップの下流の用紙経路内に光沢計（図示せず）を含み、定着したトナー画像の光沢を判定することができる。光沢計からの光沢測定値は、制御システム２６に送信することができる。光沢計の測定値が、クロスプロセス方向またはプロセス方向における光沢のばらつきを示している場合、それらの測定値は、圧力センサーおよび／またはシート位置センサー１２２からの測定値と組み合わせて使用され、異常の源を定着器の摩耗によるもの又は気流に関連するものと特徴づけ、かつ／あるいは、弁のタイミングの調整または調整器に対する調整による圧力に対する調整などの修正処置を決定することができる。

このようにして、一つまたはそれ以上の第二のセンサーからの測定値を圧力センサーと組み合わせて用いて、異常状態を識別することができる。制御システム２６は、この情報を用いて、剥取りの異常が本質的に定着器の摩耗、気流の変化、あるいは各要因の組合せにより生じているかどうかを判定し、適切な修正処置を施すことができる。

第二のセンサーとして適用している他のセンサーは、米国特許第５，４０６，３６３号公報に記載ものを含み、また、例えば、シート坪量センサー、トナー被覆率センサー、相対湿度センサー、プロセス速度センサーなどのうちの一つまたはそれ以上を含むことができる。第二のセンサー９６からの測定値を、圧力センサーからの測定値と組み合わせて用いて、プレナム圧力およびシート特性の両方を考慮した適切な弁および／または調整器の設定値を決定することができる。

ここで図３を参照すると、空圧気流システムの別の実施形態が示されている。図３のシステムは、特記した点を除けば、図２と類似した形に構成することができる。図示のシステムは、分岐されていない流体経路７６内に、単一の圧力調整器８４および単一の空気電磁弁１３０を備えている。弁１３０は、全開位置、および全開位置と閉じ位置との間の中間の部分的に開いた位置などの二つ以上の開き位置を提供するように調整可能である。例えば、弁１３０は、シートの先端に対しては全開し（Ｐ₁）、先端が通過した後、次のシートがまだニップに入っていないある距離の間に部分的に開く（Ｐ₂）ように設定することができる。弁１３０は、パルス幅が変調される電磁弁とすることができる。このような弁では、弁プランジャを閉じ位置に付勢するばね力が、電磁コイルに対してバランスされており、電磁コイルは、コイルへの電流を特定の周波数でオンオフすることによって、プランジャを上方に押す。遅延時間（コイルに対する各電流パルス間の時間）を調整することによって、弁の閉鎖を、その開き位置と閉じ位置との間の選択された位置で維持することができる。例えば、各圧力サイクルにおいて、弁は、第一の期間中に全開となり、第二の期間中に部分的に閉鎖される。これにより、プレナム６４内の圧力は、第二の調整器および第二の弁の必要なしに、図４に示したのと同様に、段を付けることができる。

この実施形態では、圧力センサー１００によって検知された圧力測定値は、弁１３０のフィードバック制御に使用することができる。この実施形態における圧力センサー１００の他の用途は、図２の実施形態について説明された内容の通りである。

本印刷システムは、単一の制御システム２６について説明したが、本制御システムは、印刷システムの各方面を制御する複数の制御システムを含むことができ、かつ、本制御システムは、一つの場所に存在する必要は無く、印刷システム全体に亘って分散させることができ、あるいは印刷システムと操作通信することができることを理解されたい。

好適な制御システム２６は、関連メモリーに記憶された命令を実行して、ここで述べた方法を遂行することができ、かつ、汎用コンピュータ、専用計算装置などとして実行することができる。

本発明の好適な実施形態の一つの態様による剥取り装置を含む印刷システムの概略立面図である。 図１の剥取り装置の第一の実施形態を含む定着アセンブリの平面図である。 図１の剥取り装置の第二の実施形態を含む定着アセンブリの平面図である。 空気のパルス中の圧力の変化を示す図である。

符号の説明

１０ 印刷すべき原稿
１１ 画像入力装置
１２ 処理構成要素
１４ マーキングエンジン
１５ 画像付与構成要素
１６ シート
１７ コンベヤシステム
１８ 定着アセンブリ
１９ 定着器
２０ 剥取り装置
２２ フィーダー
２４ フィニッシャー
２６ 剥取り装置制御システム
３０ 光受容体
３２ 清掃装置
３４ 帯電コロトロン
３６ 露光ステーション
３８ 現像ユニット
４０ 転写ユニット
４４、４６ 回転ロール
４８ ニップ
５０ 内部ヒーター
５２ エラストマー面
５４ エアーナイフ
５６ 剥取りエッジ
５８ オリフィス
６２ シートの先端
６４ プレナム
６６ エアーナイフの下側
６８ 空気供給管
７０ 空圧システム
７２ 圧縮機
７４ アキュムレータ
７６ 流体経路
７８、８０ 分岐経路
８２ 入口経路
８４、８６ 圧力調整器
８８、９０ 電磁弁
１００ 圧力センサー（ＰＴ）
１０２ エアーナイフの壁
１０４ 流体通路
１０６ ルックアップテーブル（ＬＵＴ）
１１０ 表示画面
１２０、１２２、１２４ 第二のセンサー

Claims (5)

1. 動作中、印刷媒体のシートに接触し、マーキング材を前記シートに定着させる定着器部材と、
   ガスを前記シートに加え、前記シートを前記定着器部材から剥離することを補助する剥取り装置であって、前記剥取り装置は、関連する与圧ガス源を前記定着器部材に隣接した少なくとも一つのオリフィスと接続する流体経路、および前記定着器部材の動作中、前記源と前記少なくとも一つのオリフィスとの中間にある前記流体経路内の前記ガスの圧力を検知する圧力センサーを備える剥取り装置と、
   を含む定着アセンブリであって、
   前記流体経路は、少なくとも一つの選択的に作動可能な弁を備え、
   前記圧力センサーは、前記少なくとも一つの選択的に作動可能な弁と前記オリフィスとの中間に在る、
   ことを特徴とする定着アセンブリ。
2. 前記圧力センサーから圧力関連信号を受け取る制御システムをさらに含む、請求項１記載の定着アセンブリ。
3. 前記制御システムは、前記圧力関連信号に基づいて、異常状態を判定し、あるいは前記剥取り装置に対する調整を決定する、請求項２記載の定着アセンブリ。
4. 動作中、印刷媒体のシートに接触し、マーキング材を前記シートに定着させる定着器部材と、
   ガスを前記シートに加え、前記シートを前記定着器部材から剥離することを補助する剥取り装置であって、前記剥取り装置は、関連する与圧ガス源を前記定着器部材に隣接した少なくとも一つのオリフィスと接続する流体経路、および前記定着器部材の動作中、前記源と前記少なくとも一つのオリフィスとの中間にある前記流体経路内の前記ガスの圧力を検知する第一のセンサーとしての圧力センサーを備える剥取り装置と、
   前記印刷媒体の特性、画像の特性、または印刷システムの特性を検知する、第二のセンサーと、
   前記圧力センサーから圧力関連信号を受け取る制御システムであって、前記第一のセンサーと前記第二のセンサーからの情報に基づいて、異常状態を判定し、あるいは前記剥取り装置に対する調整を決定する制御システムと、
   を含む定着アセンブリであって、
   前記流体経路は、少なくとも一つの選択的に作動可能な弁を備え、
   前記圧力センサーは、前記少なくとも一つの選択的に作動可能な弁と前記オリフィスとの中間に在る、
   ことを特徴とする定着アセンブリ。
5. 印刷媒体のシートを定着器部材と接触し、マーキング材を前記シートに定着させるステップと、
   前記シートを前記定着器部材から剥離することを補助するように、前記シートに向けて段階的な圧力レベルを有するガスのパルスを加えるステップと、
   前記シートに向けて加えられた前記パルスガスの圧力を検知するステップと、
   を含むことを特徴とする方法。

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