JP4803445B2 - 蒸気洗浄具 - Google Patents
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Description
蒸気洗浄に用いる洗浄具としてはたとえば特許文献1に示されるように空調装置の熱交換器フィンを蒸気洗浄する場合に使用する特殊な構成のものが知られている。
特に、建物の床面や壁面に強固にこびりついたガム滓や鳥糞等は通常の洗浄手法では容易に洗浄できないことから、建物の床面や壁面を対象とする有効適切な蒸気洗浄具の開発が望まれている。
特に、スクレーパーを間隔規制部材として機能させることにより、ノズルと被洗浄面との間の距離を常に適正に維持しつつ洗浄作業を行うことができる。
また、蒸気管の先端部に本体部に対して傾斜する装着部を設けてそこにノズルを装着することにより、通常の姿勢で蒸気を被洗浄面に向けて垂直に噴射することが可能であるし、ノズルとスクレーパーとの干渉を支障なく避けることができる。
さらに、ノズルからの蒸気噴射方向をアジャスターにより可変とすることにより、洗浄作業時姿勢に応じて、あるいは作業内容や程度によって、蒸気噴射方向を自由にかつ最適に調節することが可能であるし、蒸気管の長さを伸縮可能とすることにより柄としての最適長さに自由に調整することができる。
本実施形態の蒸気洗浄具は、各種の蒸気洗浄機の付属品として使用されるものであるが、その蒸気洗浄機は有資格者でなくても誰でも自由に製造でき取り扱うことのできる簡易ボイラー仕様のもの、具体的には伝熱面積が0.5m2以下、蒸気圧が0.1MPa以下(ボイラー内蒸気温度は約120℃以下)のものであることを前提としており、また環境面では混合ガス燃料による無騒音燃焼が行われるものとなっており、作業面においてもボイラー容器寸法の制約もあって小形軽量機となっているため機動性に優れた洗浄作業を行い得るものである。
なお、0.1MPa超の蒸気ボイラーとすることは、取扱者はボイラー取扱技能講習を修了しなければならず、製造者は定期点検義務が求められることから、実効性は少ない。
蒸気管2の本体部2aは長さ調節可能な直線状のエクステンション管5を主体として、そのエクステンション管5の基端部には蒸気の供給停止を行うための操作機構としての蒸気噴射ガン7がアダプター6を介して接続され、適所にはハンドグリップ8が位置変更可能に装着され、蒸気噴射ガン7にシリコンブレードホース等の蒸気ホース9を接続し、その蒸気ホース9を上記の蒸気洗浄機に接続して、蒸気噴射ガン7が備える操作レバー7aを操作することによって、蒸気管2を通してノズル3への蒸気の供給/停止を操作できるものとされている。
つまり、本実施形態の蒸気洗浄具は、作業員が蒸気噴射ガン7およびハンドグリップ8を握り持つことで蒸気管2自体が柄として機能するものであり、手元にて操作レバー7aを操作しながら蒸気洗浄作業とケレン作業の双方を同時にあるいは交互に行い得るものとなっている。なお、その際には、必要に応じてエクステンション管5の長さとハンドグリップ8の位置を最適位置に自由に調節することができるものとなっている。
なお、図示例のものでは基部エルボ11として135°エルボを使用し、先端部エルボ13として90°エルボを使用しているので、上記の傾斜角度θ2はθ2=45°となっており、これにより、柄としての蒸気管2の本体部2aを床面1に対して傾斜角度θ1=45°の角度で傾斜させた場合において、その先端に装着されたノズル3からの蒸気噴射方向は基本的には真下を向くようになっている。
このスクレーパー4は被洗浄面である床面1に対するケレン作業、すなわち付着物を削り取ったり掻き落とす作業を行うためのものであり、そのため先端縁は鋭利な刃4aに形成されているが、被洗浄面(図示例では床面1)を傷つけることのないような素材と形状とする必要がある。
なお、スクレーパー4はノズル3先端と床面1との間の距離hを適正に保つ間隔規制部材としても機能するものであり、スクレーパー4の先端を常に床面1に接触させつつノズル3から蒸気を床面1に吹き付けることにより、上記の距離hが常に適正に維持されるようになっている。換言すれば、上記の距離hが適正値となるようにスクレーパー4の寸法や装着位置を決定することが必要である。
ノズル3より床面1に吹き付ける蒸気の蒸気圧は0.1〜0.06MPa程度、その蒸気量は0.125L/min程度とすることが好ましく、ノズル3の噴射口径φはφ=2.0〜4.0mm程度、特にφ=3.0mmとすることが好適である。
洗浄対象のガム滓の大きさcは通常c<30mmであるので、床面1への蒸気の吹き付け幅DはD=30mm程度、スクレーパー4の幅寸法bはそれよりも大きくしてb=50mm程度とする。ノズル3の中心とスクレーパー4先端との間のクリアランスaはa=5〜20mm程度とし、たとえばa=10mmとすることが良い。なお、複数のノズル3を並設しても良く、その場合には蒸気の吹き付け幅Dを充分に大きくすることができる。
ノズル3の先端と床面1との距離hはh=10〜40mm程度とすれば良く、特にh=30mmとすることが良い。なお、図4(a)に示すようにノズル3先端からの距離hが大きくなるほど吹き付け幅Dも大きくなり、また噴射された蒸気の温度は(b)に示すように距離hが大きくなるほど低下するので、距離hの設定に際してはそのようなノズル3の噴射特性に基づく吹き付け幅Dおよび床面1での蒸気温度Tについても併せて考慮する必要がある。
すなわち、本実施形態の蒸気洗浄具によれば、床面1に付着しているガム滓等の付着物20に対してノズル3から蒸気を吹き付けることにより、蒸気が付着物20に浸透して床面1から遊離させ、かつ付着物20自体を速やかに溶融分解してしまう。そして、引き続いてスクレーパー4によるケレン作業を行うことにより、床面1に強固にこびりついている付着物20を完全に剥離させてそのまま除去することができる。したがって、通常の洗浄作業では容易に除去することのできないガム滓や鳥糞等の付着物20をも効率的にしかも完全に除去することができ、優れた洗浄効果が得られる。
勿論、各構成部品としては何等特殊なものは必要とせず、汎用の管材や金属部品、汎用の蒸気仕様の蒸気噴射ガン7や蒸気ホース9等をそのまま転用して簡単かつ安価に製作できるし、消耗品は摩耗するスクレーパー4のみであり、保守も少なく、経済的な洗浄作業を行うことができる。
しかも、ノズル3からの蒸気噴射方向をアジャスター15により可変としたことにより、洗浄作業時の姿勢に応じて、あるいは作業内容や程度によっては、蒸気噴射方向を自由にかつ最適に調節することが可能である。
しかし、最適な傾斜角度θ1には作業員ごとに個人差があるし、また作業の内容や程度によってはθ1=45°とできなかったり、あるいはその以外の傾斜角度とすることが好ましい場合があることも想定され、そのような場合には蒸気噴射方向を変更することが好ましいことから、本実施形態ではその調整をアジャスター15により行うことを可能としている。
具体的には、図3(a)に示すように、傾斜角度θ1が基準値である45°よりも大きい状態で作業を行う場合には、θ3=0°のままでは蒸気噴射方向が内側を向いて床面1に対して垂直にならず、それにより洗浄効果が低下してしまうので、その場合にはアジャスター15の調整によりノズル3を所望の傾斜角度θ3だけ外側に向けて噴射方向が床面1に対して垂直なるように補正すれば、その状態で最適な洗浄を行うことができる。
逆に、図3(b)に示すように傾斜角度θ1が基準値である45°よりも小さい状態で作業を行う場合には、アジャスター15の調整によりノズル3を所望の傾斜角度θ3だけ内側に向けることにより、噴射方向を同様に床面1に対して垂直となるように補正でき、その状態での最適な洗浄を行うことができる。
なお、上記のように基本的には床面1に対して蒸気を常に垂直に吹き付けることが好ましいのではあるが、蒸気を床面1に対して敢えて斜めに吹き付けることが好ましい場合、あるいはそのような必要が生じた場合には、噴射方向を柄の傾斜角度θ1と関連づけて、あるいはそれとは無関係に、床面1に対する蒸気の噴射角度が所望角度で傾斜するようにアジャスター15を任意に調節すれば良い。
特に、上記実施形態は床面1を洗浄対象とする場合の例であるので、それに最適な構成例を例示したが、本発明は床面1のみならず壁面その他の任意の被洗浄面に対しても同様の洗浄作業を行うことができることはいうまでもなく、洗浄作業の目的や、必要とされる洗浄性能や操作性、その他の諸条件を考慮して、各部の仕様や具体的な形状、寸法等は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で様々な変更や応用が可能である。
スクレーパー4についても、ノズル3と被洗浄面との間の間隔を規制する間隔規制部材として機能するように装着することができ、かつノズル3からの蒸気噴射の妨げにならず、被洗浄面に対するケレン作業を効率的に行うことができる状態で装着部2bの基部に装着する限りにおいて、蒸気管2に対するスクレーパー4の装着の形態は任意である。たとえば上記実施形態のように蒸気管2に対して固定的に装着することに代えて、スクレーパー4の位置を前後に変更可能としたり、あるいはスクレーパー4自体を長さ方向に伸縮可能とすることが考えられ、その場合には必要に応じてノズル3と被洗浄面との間の距離hを自由に変更することも可能となる。
また、上記実施形態のように柄として機能する蒸気管2はエクステンション管5により伸縮自在とすることが好ましいが、必ずしもそうすることはなく、一定長さの蒸気管2とすることでも良い。勿論、柄としての蒸気管2の長さは任意であり、洗浄作業を立ち姿勢で行う場合にはその全長を1m以上の長いものとすれば良いが、蒸気管2をたとえば30cm程度ないしそれ以下の短いものとして全体をより小形のハンディタイプとすることも可能である。いずれにしても、蒸気管2は柄として機能し得るような寸法と強度を有するものとする必要があることはいうまでもない。
2 蒸気管
2a 本体部
2b 装着部
3 ノズル
4 スクレーパー
4a 刃
5 エクステンション管
6 アダプター
7 蒸気噴射ガン(操作機構)
7a 操作レバー
8 ハンドグリップ
9 蒸気ホース
10 基部短管
11 基部エルボ
12 中間部短管
13 先端部エルボ
14 先端部短管
15 アジャスター
16 支持部材
20 付着物
Claims (3)
- 蒸気洗浄機の付属品として使用されて被洗浄面に蒸気を吹き付けて洗浄作業を行うための蒸気洗浄具であって、
柄を兼用する蒸気管の先端部に屈曲部を設けて、該蒸気管の先端部の軸線方向を該蒸気管の本体部の軸線方向に対して傾斜させた装着部とし、該装着部の先端に、被洗浄面に対して蒸気を吹き付けるためのノズルを装着し、該装着部の基部に、被洗浄面に対してケレン作業を行って付着物を削り落としたり掻き落とすためのスクレーパーを、ノズルと被洗浄面との間の距離を規制する間隔規制部材として機能する状態で装着し、
該蒸気管の基端部にノズルへの蒸気の供給停止操作を行うための操作機構を設けたことを特徴とする蒸気洗浄具。 - 請求項1記載の蒸気洗浄具であって、
ノズルからの蒸気の噴射方向を可変としたことを特徴とする蒸気洗浄具。 - 請求項1または2記載の蒸気洗浄具であって、
蒸気管の本体部の長さを調節可能としたことを特徴とする蒸気洗浄具。
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