JP4803072B2 - 取付部構造 - Google Patents

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本発明は、繊維と樹脂との複合材より成って所定の間隔をあけて対向配置された板部間に、取付部材の取付用のベース部材が挟まれて接合された取付部構造に関する。
閉断面を構成していずれも複合材製であるFRP表層とFRP内層との間にインサートナットを挟み、このインサートナットに螺合させたボルトによって、取付部品を固定する締結構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この従来構造では、FRP表層及びFRP内層と、インサートナットとの間の線膨張差によっては、低温環境下で接合部に大きな剥離応力が作用する可能性があり、使用可能な温度範囲が狭くなる場合がある。
特開平5−253946号公報
本発明は、上記事実を考慮して、複合材を含んで構成されても広い温度範囲で使用可能な取付部構造を提供することを課題とする。
請求項1に記載する本発明の取付部構造は、繊維と樹脂との複合材より成り、閉断面構造の構造体の一部を構成して所定の間隔をあけて対向配置された第1及び第2の板部と、前記第1及び第2の板部に挟まれて一方側の面が当該第1の板部に接着剤又は成形接合により接合され第1接合面とされると共に他方側の面が当該第2の板部に接着剤又は成形接合により接合され第2接合面とされ、前記第1及び第2の板部側の少なくともいずれか一方側から取付部材を取り付け可能なベース部材と、前記ベース部材において前記第1及び第2の板部の間における厚さ方向の中間部に設けられ、当該ベース部材と前記第1及び第2の板部との前記厚さ方向における線膨張係数の差により前記第1接合面側及び前記第2接合面側に発生する応力を緩和する応力緩和手段と、を有することを特徴とする。
請求項1に記載する本発明の取付部構造によれば、繊維と樹脂との複合材より成る第1及び第2の板部は、閉断面構造の構造体の一部を構成して所定の間隔をあけて対向配置されている。これに対して、第1及び第2の板部に挟まれたベース部材は、一方側の面が第1の板部に接着剤又は成形接合により接合された第1接合面とされると共に他方側の面が第2の板部に接着剤又は成形接合により接合された第2接合面とされており、第1及び第2の板部側の少なくともいずれか一方側から取付部材を取り付け可能となっている。ここで、ベース部材において第1及び第2の板部の間における厚さ方向の中間部に設けられた応力緩和手段は、ベース部材と第1及び第2の板部との厚さ方向における線膨張係数の差により第1接合面側及び第2接合面側に発生する応力を緩和するので、低温環境下においても、第1接合面及び第2接合面での剥離応力が応力緩和手段によって緩和される。
請求項2に記載する本発明の取付部構造は、請求項1記載の構成において、前記応力緩和手段は、前記ベース部材における前記厚さ方向の中間部の断面積が前記第1接合面側及び前記第2接合面側の断面積に比べて小さく設定された薄肉部であることを特徴とする。
請求項2に記載する本発明の取付部構造によれば、ベース部材における厚さ方向の中間部に薄肉部が設けられて該薄肉部の断面積が第1接合面側及び第2接合面側の断面積に比べて小さくなっているので、ベース部材と第1及び第2の板部との接合強度が保たれつつ、低温環境下における第1接合面及び第2接合面での剥離応力が緩和される。
請求項3に記載する本発明の取付部構造は、請求項1又は請求項2に記載の構成において、前記応力緩和手段は、前記ベース部材を前記厚さ方向の中間部において当該厚さ方向に分割することによって構成していることを特徴とする。
請求項3に記載する本発明の取付部構造によれば、ベース部材が厚さ方向の中間部において当該厚さ方向に分割されているので、低温環境下でベース部材が厚さ方向に収縮しても、厚さ方向の中間部が離間することで第1接合面及び第2接合面での剥離応力が緩和される。
請求項4に記載する本発明の取付部構造は、請求項3記載の構成において、前記分割された一方側ベース部材が他方側ベース部材に前記厚さ方向へ摺動可能に嵌合されていることを特徴とする。
請求項4に記載する本発明の取付部構造によれば、分割された一方側ベース部材が他方側ベース部材に厚さ方向へ摺動可能に嵌合されているので、低温環境下における第1接合面及び第2接合面での剥離応力が緩和されると共に、例えば、ベース部材に取り付けられた取付部材等によって、一方の板部(例えば、第1の板部)側のベース部材に対して厚さ方向に交差する方向に荷重が作用しても、他方の板部(例えば、第2の板部)側のベース部材によって荷重が安定的に支持される。
請求項5に記載する本発明の取付部構造は、請求項1から4のいずれか一項に記載の構成において、前記取付部材が雄ねじ部材又は雌ねじ部材であり、前記ベース部材に、前記雄ねじ部材又は前記雌ねじ部材が螺合される締結部を設け、前記雄ねじ部材又は前記雌ねじ部材と、前記締結部との螺合によって、被締結部材に締結荷重を作用させることを特徴とする。
請求項5に記載する本発明の取付部構造によれば、雄ねじ部材又は雌ねじ部材と、締結部との螺合によって、被締結部材に締結荷重を作用させるので、低温環境下であっても第1接合面及び第2接合面での剥離応力が緩和された状態で、被締結部材には所定の締結荷重が作用する。
以上説明したように、本発明に係る請求項1に記載の取付部構造によれば、第1接合面及び第2接合面での剥離応力を緩和させることで、複合材を含んで構成されても広い温度範囲で使用することができるという優れた効果を有する。
請求項2に記載の取付部構造によれば、ベース部材と第1及び第2の板部との接合強度を保ちながら、低温環境下における第1接合面及び第2接合面での剥離応力を緩和することで、広い温度範囲で強固な接合状態を確保することができるという優れた効果を有する。
請求項3に記載の取付部構造によれば、簡易な構成で使用可能な温度範囲を広くすることができるという優れた効果を有する。
請求項4に記載の取付部構造によれば、ベース部材の厚さ方向に交差する方向の荷重に対しても変形しにくい強固な取付部を提供することができるという優れた効果を有する。
請求項5に記載の取付部構造によれば、広い温度範囲において被締結部材の締結状態を維持することができるという優れた効果を有する。
[第1実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る取付部構造が適用された車両用締結部構造10について、図1及び図2に基づいて説明する。なお、以下の説明では、便宜上、矢印RIで示す側を構造体表側、矢印REにして示す側を構造体裏側とするが、これにより、車両用締結部構造10の車体に対する適用方向が限定されることはない。
図1には、車両用締結部構造10の全体構成が断面図で示されている。図1に示されるように、車両用締結部構造10は、それぞれ車体(ボデー)骨格部材12の一部を構成して互いに略平行に所定の間隔をあけて対向配置された第1の板部としての表層部14及び第2の板部としての裏層部16と、これら表層部14及び裏層部16に挟まれたベース部材としての金属製(例えば、アルミニウム合金製等)のインサート18と、を含んで構成されている。表層部14及び裏層部16は、一部材で構成されて図示しない両側では縦壁部によって連続しており、図1で示す断面と直交する方向を長手方向として延在する角筒状の(閉断面構造の)構造体12Aの一部を構成している。インサート18は、表層部14及び裏層部16を含む構造体12Aによって囲まれて(埋設されて)いる。
表層部14及び裏層部16は、繊維と樹脂との複合材である繊維強化プラスチック(FRP)より成り、より具体的には、炭素繊維を樹脂で固めて成る炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で構成されている。表層部14及び裏層部16に挟まれたインサート18は、構造体表側(一方側)の面が表層部14に接着剤で接合される第1接合面(接触面)18Aとされると共に構造体裏側(他方側)の面が裏層部16に接着剤で接合される第2接合面(接触面)18Bとされている(図1では、第1接合面18Aと接合される表層部14の接触面を符号14Aで示し、第2接合面18Bと接合される裏層部16の接触面を符号16Aで示す。)。
なお、本実施形態では、接着剤によってインサート18を表層部14及び裏層部16に接合させているが、インサート18を固化前の表層部14及び裏層部16に押し付けた状態で表層部14及び裏層部16を固化させることによって、インサート18を表層部14及び裏層部16に接合させてもよい(成形接合(成形同時接合))。
図2に示されるように、インサート18は、鼓状に形成され、第1接合面18Aの中央部側を開口部20Aとする穴部20が形成されている。図1に示されるように、インサート18の穴部20は、表層部14に貫通形成された貫通孔14Bに連通している。穴部20には、雄ねじ部材(取付部材)としてのボルト24が螺合される締結部としての雌ねじ部20Bが設けられている。すなわち、インサート18は、表層部14側から螺合によってボルト24を取り付け可能な構成になっている。
ボルト24は、被締結部材26を貫通した雄ねじ部24Aを、インサート18の雌ねじ部20Bに螺合することで、その頭部24Bと表層部14との間で被締結部材26を締め付けることが可能となっている。すなわち、ボルト24の雄ねじ部24Aとインサート18の雌ねじ部20Bとの螺合によって、被締結部材26に締結荷重を作用させるようになっており、これによって、被締結部材26が車体骨格部材12の一部を構成する表層部14側に締結される構成である。
インサート18において表層部14及び裏層部16の間における厚さ方向(矢印T方向)の中間部(中央部側)18Cには、縮径方向に絞り込まれた括れ形状の薄肉部(応力緩和手段)としての括れ部22が設けられている。換言すれば、インサート18における厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cの断面積が第1接合面18A側及び第2接合面18B側の断面積に比べて小さく設定されている。括れ部22は、両端末である第1接合面18A側や第2接合面18B側に比べて相対的に低剛性(柔軟部)とされており、インサート18と、表層部14及び裏層部16との厚さ方向(矢印T方向)における線膨張係数の差(例えば、CFRP面内では0、アルミニウムでは20×10−6)により第1接合面18A側及び第2接合面18B側に発生する応力を緩和(吸収)するようになっている。
(作用・効果)
次に、上記実施形態の作用及び効果を説明する。
図1に示されるように、インサート18には、括れ部22が形成され、インサート18における厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cの断面積が第1接合面18A側及び第2接合面18B側の断面積に比べて小さくなっているので、インサート18と表層部14及び裏層部16との接合強度が保たれつつ、インサート18と表層部14及び裏層部16との厚さ方向(矢印T方向)における線膨張係数の差により第1接合面18A側及び第2接合面18B側に発生する応力が括れ部22によって緩和され、低温環境下においても、第1接合面18A及び第2接合面18Bでの剥離応力が緩和される。
すなわち、接合されるインサート18において、剥離応力F、弾性率E、及び、断面積Aとの関係は、F=E×Aとなるが、インサート18における厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cの断面積Aが小さいために剥離応力Fを小さくすることができ、かつ、第1接合面18A側及び第2接合面18B側の断面積が確保されているので、表層部14及び裏層部16との接着強度は確保される。
その結果として、本実施形態の車両用締結部構造10によれば、広い温度範囲でインサート18と表層部14及び裏層部16との強固な接合状態を確保することが可能となり、CFRP製の表層部14及び裏層部16を含んで構成されていても、広い温度範囲で使用することができる。また、ボルト24の雄ねじ部24Aとインサート18の雌ねじ部20Bとの螺合によって、被締結部材26に締結荷重を作用させるので、広い温度範囲において被締結部材26の締結状態を維持することができる。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2の実施形態に係る取付部構造が適用された車両用締結部構造30について、図3及び図4に基づいて説明する。図3に示されるように、車両用締結部構造30は、略直方体形状のベース部材としての金属製のインサート32に厚さ方向(矢印T方向)に直交する方向へ中空状の貫通部34が貫通形成された点が特徴である。なお、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図3及び図4に示されるように、貫通部34が貫通形成されたインサート32は、その厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cの断面積が第1接合面18A側及び第2接合面18B側の断面積に比べて小さく設定されている。インサート32の厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cには、穴部20の周囲に薄肉部(応力緩和手段)としての薄肉柱部36Aが形成されると共に、薄肉柱部36Aの両側方に薄肉部(応力緩和手段)としての薄壁部36Bが形成されている。インサート32は、例えば、アルミニウム合金の押出し成形により形成することができる。このような構成によっても、第1の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3の実施形態に係る取付部構造が適用された車両用締結部構造40について、図5に基づいて説明する。図5に示されるように、車両用締結部構造40は、略箱状の外形を備えたベース部材としての金属製のインサート42の形状が特徴である。なお、第1、第2の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。また、本実施形態のインサート42の5L−5L線に沿う縦断面形状は、第2の実施形態の図3に示されるインサート32の縦断面形状とほぼ同様の形状である。
図5に示されるインサート42は、中空鋳物とされ、略箱状の六面を備えた外板部44を有すると共に、中央部に円筒部46が形成されている。この円筒部46には、穴部20が形成され、穴部20には、ボルト24(図3参照)が螺合される締結部としての雌ねじ部20Bが設けられている。外板部44と円筒部46との間は、中空部48とされている。これによって、インサート42は、その厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cの断面積が第1接合面18A側及び第2接合面18B側の断面積に比べて小さく設定されている。このような構成によっても、第1、第2の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4の実施形態に係る取付部構造が適用された車両用締結部構造50について、図6及び図7に基づいて説明する。図6に示されるように、車両用締結部構造50は、ベース部材としての金属製のインサート52内に金属製のフランジ付きカラーナット54が固定されている点が特徴である。なお、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図6及び図7に示されるように、インサート52には、取付孔52Aが貫通形成されている。図6に示されるように、この取付孔52Aの径寸法は、表層部14に貫通形成された貫通孔14Bの径寸法、及び裏層部16に貫通形成された貫通孔16Bの径寸法と等しく設定されており、貫通孔14B、取付孔52A、及び貫通孔16Bは、同軸に配置されている。
貫通孔14B、取付孔52A、及び貫通孔16Bには、裏層部16側(構造体下方側)から金属製のフランジ付きカラーナット54のカラー部54Aが挿入されて接着(又は圧入)されている。フランジ付きカラーナット54は、円筒状のカラー部54Aと、このカラー部54Aにおける軸方向の一方の端部となる下端部に形成された円板状の底板部54Bと、を備えており、底板部54Bの外周部側がフランジ154Bとなっている。カラー部54Aの先端面154Aは、表層部14の構造体表側へ向いた表面14Cに揃えられて配置されている。
カラー部54Aの穴部56には、ボルト24が螺合される雌ねじ部56Aが設けられている。ボルト24は、被締結部材26を貫通した雄ねじ部24Aを、フランジ付きカラーナット54の雌ねじ部56Aに螺合することで、その頭部24Bと、表層部14及びフランジ付きカラーナット54との間で被締結部材26を締め付けることが可能となっている。
フランジ付きカラーナット54が取り付けられるインサート52において表層部14及び裏層部16の間における厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cには、縮径方向に絞り込まれた薄肉部(応力緩和手段)としての括れ部22が設けられている。このような構成によっても、第1〜第3の実施形態と同様の作用及び効果が得られる。
[第5実施形態]
次に、本発明の第5の実施形態に係る取付部構造が適用された車両用締結部構造60について、図8及び図9に基づいて説明する。なお、第1の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図8に示されるように、車両用締結部構造60は、ベース部材としての金属製のインサート62を、表層部14及び裏層部16の間における厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cにおいて当該厚さ方向(本実施形態では表層部14の接触面14A及び裏層部16の接触面16Aに垂直な方向と同じ方向)に分割することによって構成している応力緩和手段としての分割構造68を有している。インサート62は、一方側ベース部材としての金属製の第1インサート62Aと他方側ベース部材としての金属製の第2インサート62Bとを含んで構成されている。
第1インサート62Aは、表層部14に接合される第1接合面18Aを備え、第2インサート62Bは、裏層部16に接合される第2接合面18Bを備えている。図9に示されるように、第1インサート62Aにて第2インサート62B側へ向けられる端部には、リング状の対向端面63の中央側から短円柱状の凸部64が突出形成されており、第2インサート62Bにて第1インサート62A側へ向けられる端部には、リング状の対向端面65の中央側に凹部66が形成されている。
凸部64が突出形成された第1インサート62Aには、穴部20が形成されている。第1インサート62Aに凸部64が形成されていることで、図8に示されるように、穴部20(雌ねじ部20B)の深さを確保しやすい。
第1インサート62Aの凸部64は、第2インサート62Bの凹部66に厚さ方向(矢印T方向)へ摺動可能に嵌合されている。ここで、本実施形態では、前記摺動を容易にするために、凸部64の外周側面64Aと凹部66の内周側面66Aとの間の隙間69Aの寸法を微小としており、第1インサート62Aの対向端面63と第2インサート62Bの対向端面65との間の隙間69Bの寸法を略ゼロとし、凸部64の先端面64Cと凹部66の底面66Cとの隙間69Cの寸法を略ゼロとしている。なお、例えば、熱膨張等を考慮して隙間69Bの寸法や隙間69Cの寸法を微小に設定してもよい。
このような構成によれば、インサート62が厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cにおいて当該厚さ方向(矢印T方向)に分割されているので、低温環境下でインサート62(第1インサート62A及び第2インサート62B)が厚さ方向(矢印T方向)に収縮しても、厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cが離間することで第1接合面18A及び第2接合面18Bでの剥離応力が緩和(吸収)される。これによって、簡易な構成により広い温度範囲で使用することができる。
また、分割構造68において分割された第1インサート62Aが第2インサート62Bに厚さ方向(矢印T方向)へ摺動可能に嵌合されているので、低温環境下における第1接合面18A及び第2接合面18Bでの剥離応力が緩和されると共に、ボルト24や被締結部材26に作用するボルト軸に直角な荷重f1によって、第1インサート62Aに対して厚さ方向(矢印T方向)に交差する方向に荷重f2が作用しても、第2インサート62Bによって荷重f2が安定的に支持される。これによって、ボルト24や被締結部材26に作用するボルト軸に直角な荷重f1に対しても変形しにくい強固な取付部を提供することができる。
なお、本実施形態では、第1インサート62Aに凸部64を設けると共に第2インサート62Bに凹部66を設けてこれらを嵌合させているが、第1インサート(62A)に凹部を設けると共に、第2インサート(62B)に凸部を設けてこれらを嵌合させる等のような他の嵌合構造であってもよい。
[第6実施形態]
次に、本発明の第6の実施形態に係る取付部構造が適用された車両用締結部構造70について、図10に基づいて説明する。なお、第1〜第5の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図10に示されるように、車両用締結部構造70は、ベース部材としての金属製のインサート72を、表層部14及び裏層部16の間における厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cにおいて当該厚さ方向(矢印T方向)に分割することによって構成している応力緩和手段としての分割構造78を有している。インサート72は、一方側ベース部材としての第1インサート72Aと他方側ベース部材としての第2インサート72Bとを含んで構成されている。第1インサート72Aは、表層部14に接合される第1接合面18Aを備え、第2インサート72Bは、裏層部16に接合される第2接合面18Bを備えている。また、第1インサート72Aにて第2インサート72B側へ向けられるリング状の対向端面73と、第2インサート72Bにて第1インサート72A側へ向けられるリング状の対向端面75とは、面接触状態で配置されている。インサート72には、穴部20が形成されている。穴部20は、第1インサート72Aに貫通形成された貫通孔76Aと、第2インサート72Bに形成された下穴部76Bと、によって構成されている。以上のような構成によっても、分割構造78により、第1接合面18A及び第2接合面18Bでの剥離応力が緩和(吸収)される。
[第7実施形態]
次に、本発明の第7の実施形態に係る取付部構造が適用された車両用締結部構造80について、図11及び図12に基づいて説明する。第7の実施形態の車両用締結部構造80は、ベース部材としての金属製のインサート82が分割されている点を除き、第4の実施形態の車両用締結部構造50(図6及び図7参照)とほぼ同様の構造である。なお、第1〜第6の実施形態と実質的に同様の構成部については、同一符号を付して説明を省略する。
図11に示されるように、車両用締結部構造80は、インサート82を、表層部14及び裏層部16の間における厚さ方向(矢印T方向)の中間部18Cにおいて当該厚さ方向(矢印T方向)に分割することによって構成している応力緩和手段としての分割構造88を有している。インサート82は、一方側ベース部材としての第1インサート82Aと他方側ベース部材としての第2インサート82Bとを含んで構成されている。
図12に示されるように、第1インサート82A及び第2インサート82Bには、それぞれ取付孔86、87が貫通形成されている。図11に示されるように、各取付孔86、87にフランジ付きカラーナット54のカラー部54Aが挿入されて接着(又は圧入)されている。取付孔86、87の径寸法は、表層部14の貫通孔14Bの径寸法、及び裏層部16の貫通孔16Bの径寸法と等しく設定されており、貫通孔14B、取付孔86、87、及び貫通孔16Bは、同軸に配置されている。
第1インサート82Aは、表層部14に接合される第1接合面18Aを備え、第2インサート82Bは、裏層部16に接合される第2接合面18Bを備えている。また、第1インサート82Aにて第2インサート82B側へ向けられるリング状の対向端面83と、第2インサート82Bにて第1インサート82A側へ向けられるリング状の対向端面85とは、本実施形態では離れて配置されている。このような構成によっても、分割構造88により、第1接合面18A及び第2接合面18Bでの剥離応力が緩和(吸収)される。
[実施形態の補足説明]
なお、上記実施形態では、表層部14(第1の板部)及び裏層部16(第2の板部)が炭素繊維強化プラスチック(CFRP)で構成されており、炭素繊維強化プラスチックパネルの構造体12Aを備えた締結部の構造を例に挙げたが、第1及び第2の板部は、例えば、ガラス繊維強化プラスチック(GFRP)等のような他の繊維強化プラスチック(FRP、繊維と樹脂との複合材)で構成されていてもよく、他の繊維強化プラスチックの構造体を備えた取付部の構造に本発明を適用してもよい。
また、上記実施形態では、インサート(ベース部材)18、32、42、52、62、72、82は、金属製とされているが、ベース部材は、その一部又は全部が樹脂製、又は繊維と樹脂との複合材製等のような他材料から成る構成としてもよい。また、ベース部材は、樹脂製、又は繊維強化プラスチック製(繊維と樹脂との複合材製)の基部と、該基部に(接着や圧入等により)固定されて雄ねじ部材又は雌ねじ部材が螺合される金属製の締結部と、を含んで構成されるベース部材としてもよい。
ちなみに、ベース部材が繊維強化プラスチックの場合、(第1及び第2の板部の間における厚さ方向に沿って穴部等を形成するために)その主な繊維方向が通常は第1及び第2の板部の間における厚さ方向に直角な方向となるように配置されるので、低温環境下で該厚さ方向に比較的収縮しやすく、例えば、第1及び第2の板部を繊維強化プラスチック(FRP)で構成し、ベース部材も同種の繊維強化プラスチック(FRP)で構成した場合においても、両者間に線膨張係数の差(例えば、CFRP面内では0、CFRP積層(板厚)方向では40×10−6、GFRP面内では0、GFRP積層(板厚)方向では45×10−6)が生じることとなり、本発明を適用することができる。
また、上記第1〜第3、第5、及び第6の実施形態では、インサート(ベース部材)18、32、42、62、72にボルト(雄ねじ部材)24が螺合される雌ねじ部(締結部)20Bが設けられ、ボルト24と雌ねじ部20Bとの螺合によって、被締結部材26に締結荷重を作用させているが、例えば、ベース部材に第1及び第2の板部の少なくともいずれか一方を貫通してナット(雌ねじ部材)が螺合される雄ねじ部(締結部)を設け、ナットと雄ねじ部との螺合によって、被締結部材に締結荷重を作用させてもよい。
また、上記第4及び第7の実施形態では、インサート(ベース部材)52、82にフランジ付きカラーナット54(取付部材)を取り付け、該フランジ付きカラーナット54にボルト(雄ねじ部材)24を螺合させて被締結部材26に締結荷重を作用させているが、例えば、ベース部材にフランジ付きスタッドボルト(取付部材)を取り付け、第1及び第2の板部の少なくともいずれか一方を貫通する該フランジ付きスタッドボルトの雄ねじ部分にナット(雌ねじ部材)を螺合させて被締結部材に締結荷重を作用させてもよい。
また、ベース部材に第1及び第2の板部の少なくともいずれか一方を貫通する突出部を形成し、当該突出部を、例えば、孔が貫通形成された取付部材の取り付け用として当該孔へ貫通させることで、取付部材を取り付けてもよい。
さらに、上記実施形態では、表層部14(第1の板部)及び裏層部16(第2の板部)は、一部材で構成されているが、第1の板部及び第2の板部は、例えば、平板状の表層部と、該表層部にフランジが接合された断面略ハット形状の内層部と、で構成された閉断面構造の構造体における、表層部、及び該表層部に対向配置された内層部の一部等のように、別体で構成されてもよい。
さらにまた、上記実施形態では、表層部14(第1の板部)と裏層部16(第2の板部)との間において、インサート(ベース部材)18、32、42、52、62、72、82の側方部が空きスペースとなっているが、該側方部をウレタン等の発泡材等で埋めてもよい。
なお、上記実施形態では、取付部構造が車両用締結部構造10、30、40、50、60、70、80に適用された場合について説明したが、取付部構造は、例えば、自動車メーカーの他、電器、重工等で生産や使用等される各種設備や各種装置における取付部に適用されてもよい。
本発明の第1の実施形態に係る車両用締結部構造を示す断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る車両用締結部構造のインサートを示す斜視図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両用締結部構造を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る車両用締結部構造のインサートを示す斜視図である。 本発明の第3の実施形態に係る車両用締結部構造を示す分解斜視図である(表層部及び裏層部はその一部を示す。)。 本発明の第4の実施形態に係る車両用締結部構造を示す断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る車両用締結部構造のインサート及びフランジ付きカラーナットを示す斜視図である。 本発明の第5の実施形態に係る車両用締結部構造を示す断面図である。 本発明の第5の実施形態に係る車両用締結部構造のインサートを示す斜視図である。 本発明の第6の実施形態に係る車両用締結部構造を示す断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る車両用締結部構造を示す断面図である。 本発明の第7の実施形態に係る車両用締結部構造のインサート及びフランジ付きカラーナットを示す斜視図である。
符号の説明
10、30、40、50、60、70、80 車両用締結部構造(取付部構造)
12A 構造体
14 表層部(第1の板部)
16 裏層部(第2の板部)
18、32、42、52、62、72、82 インサート(ベース部材)
18A 第1接合面
18B 第2接合面
18C 厚さ方向の中間部
20B 雌ねじ部(締結部)
22 括れ部(薄肉部(応力緩和手段))
24 ボルト(雄ねじ部材(取付部材))
26 被締結部材
36A 薄肉柱部(薄肉部(応力緩和手段))
36B 薄壁部(薄肉部(応力緩和手段))
62A、72A、82A 第1インサート(一方側ベース部材)
62B、72B、82B 第2インサート(他方側ベース部材)
68、78、88 分割構造(応力緩和手段)
T 厚さ方向

Claims (5)

  1. 繊維と樹脂との複合材より成り、閉断面構造の構造体の一部を構成して所定の間隔をあけて対向配置された第1及び第2の板部と、
    前記第1及び第2の板部に挟まれて一方側の面が当該第1の板部に接着剤又は成形接合により接合され第1接合面とされると共に他方側の面が当該第2の板部に接着剤又は成形接合により接合され第2接合面とされ、前記第1及び第2の板部側の少なくともいずれか一方側から取付部材を取り付け可能なベース部材と、
    前記ベース部材において前記第1及び第2の板部の間における厚さ方向の中間部に設けられ、当該ベース部材と前記第1及び第2の板部との前記厚さ方向における線膨張係数の差により前記第1接合面側及び前記第2接合面側に発生する応力を緩和する応力緩和手段と、
    を有することを特徴とする取付部構造。
  2. 前記応力緩和手段は、前記ベース部材における前記厚さ方向の中間部の断面積が前記第1接合面側及び前記第2接合面側の断面積に比べて小さく設定された薄肉部であることを特徴とする請求項1記載の取付部構造。
  3. 前記応力緩和手段は、前記ベース部材を前記厚さ方向の中間部において当該厚さ方向に分割することによって構成していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の取付部構造。
  4. 前記分割された一方側ベース部材が他方側ベース部材に前記厚さ方向へ摺動可能に嵌合されていることを特徴とする請求項3記載の取付部構造。
  5. 前記取付部材が雄ねじ部材又は雌ねじ部材であり、前記ベース部材に、前記雄ねじ部材又は前記雌ねじ部材が螺合される締結部を設け、前記雄ねじ部材又は前記雌ねじ部材と、前記締結部との螺合によって、被締結部材に締結荷重を作用させることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の取付部構造。
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