JP4802179B2 - プリント基板の補修装置および方法 - Google Patents

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Description

本発明は、プリント基板の補修技術に係り、特に、電子部品を均一に加熱して補修、交換することのできるプリント基板の補修技術に関する。
はんだ付けによりプリント基板上に実装された電子部品が、製造過程における製造不良あるいは電子部品そのもの故障などにより動作不全となった場合、一般的には故障した部品を新規の故障のない部品に交換する補修作業(リペア作業)が実施される。
リペア作業は、プリント基板と電子部品とを接続しているはんだを加熱・溶融して、プリント基板から部品を取り外す工程と、新規の部品をプリント基板に実装し、はんだ接続する工程とからなる。
リペア作業の詳細はリペアを行なおうとるする部品の形状により異なり、プリント基板上に実装される部品が比較的小さく、且つ、はんだ付け箇所が外部から確認できる場合ににおいては、はんだごてを用いて、はんだ付け箇所を加熱・溶融して部品を取外し、再度はんだごてを用いて新規の部品を取付ることができる。
ところで、プリント基板の高密度化に伴って採用が増加しているBGA(Ball Grid Array)等のICパッケージや、発生する熱を逃がす目的で部品下部にヒートスプレッダと呼ばれるはんだ接合部が設けられた部品、例えばQFP(Quad Flat Package)やSOP(Small Outline Package)においては、はんだ付け箇所が外部に露出していないため、はんだごてによるはんだ付け箇所の加熱・溶融ができず、部品の取外し、再取付けができない。
このような部品の取り外しおよび再取り付けに際しては、部品上部から(場合によってはプリント基板の下部からも同時に)熱風を吹き付けることにより、はんだを溶融させ交換作業を行うのが一般的である。この際には、部品を均一に加熱して、はんだ付け不良を防止すると共に、部品の耐熱温度以上に加熱しないように、部品に吹き付ける熱風をコントロールすることが重要である。
特許文献1には、部品に吹き付ける熱風をコントロールする方法が開示されている。この方法では、熱風を吹き付けるノズルの内部に回転羽根を設け、これにより熱風の流れを円滑化し均一化を図っている。
また、特許文献2には、熱風をBGAパッケージの部品上部からだけではなくプリント基板とBGAパッケージの間にも流入させることにより部品を均一に加熱することが示されている。
特開平4−124896号公報 特開2002−353610号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法は、回転羽根が一定の回転速度で回転することを前提とする技術であり、そのためには日々のメンテナンスが必須となる。さらに、長年にわたり均一な温度分布を維持することは困難である。
また、特許文献2記載の方法では、リペア作業に際して、リペアしようとする部品が占める面よりも大きな範囲を必要とするため、リペアしようとする部品の周囲に実装されている部品にまでリペア作業の影響が及び、余計な労力かかる。
なお、実装に使用するはんだは、従来、融点183℃の共晶はんだが用いられてきたが、近年では、鉛フリーはんだ(融点218℃など)が採用されつつある。鉛フリーはんだを用いてはんだ接合する場合、部品耐熱温度(BGAパッケージ等では250℃付近である場合が多い)と、はんだ融点との差が小さくなることから、従来以上の厳密な温度管理が必要となる。
さらに、近年、LSIの高機能化により大型のBGAが採用される例が増加してきている。大型BGAでは小型のBGAに比してリペア時において、その中心部と外周部に温度差が発生しやすくなる。このため、はんだを均一に溶融させることが困難となり、リペア時のはんだ接合不良が起きやすい。
本発明は、これらの問題点に鑑みてなされたもので、電子部品を均一に加熱することのできるプリント基板の補修技術を提供するものである。
本発明は上記課題を解決するため、次のような手段を採用した。
表面実装部品を搭載したプリント基板を固定台上に保持し固定する支持台と、前記プリント基板に搭載された表面実装部品の表面に熱風を供給して、プリント基板と表面実装部品を接合するはんだを溶融させるノズルを備え、前記ノズルから熱風を供給して前記はんだを溶融して、表面実装部品を搭載したプリント基板における故障部品である表面実装部品を取り外して正常部品に置き換えるプリント基板の補修装置において、前記ノズルは、該ノズルの内周壁にパネル状のヒータを備え、該ヒータによりノズルから排出される熱風の外周部を加熱した。
本発明は、以上の構成を備えるため、電子部品を均一に加熱することのできるプリント基板の補修技術を提供することができる。
以下、最良の実施形態を添付図面を参照しながら説明する。図1は、本実施形態にかかるプリント基板の補修装置(リペア装置)を説明する図である。リペア装置は固定台8,固定台8に固定アーム4を介して取り付けたノズル3、リペア対象であるプリント基板2を固定台8上に支持固定する支持台6を備える。また、支持台6に取り付けたプリント基板2の下方には、ボトムヒータ5が設けられる。
ノズル3は、プリント基板2に搭載されたBGA等の電子部品1にその上部から下方に向けて熱風を吹き付けることにより加熱する。また、ボトムヒータ5は、プリント基板2全体を下部から加熱する。制御部7は前記ノズルから吹き出す熱風及びボトムヒータの温度を制御する。
図2は、熱風を排出するノズル3の詳細を説明する図(斜視図)である。図2に示すように、ノズルは、断面が略矩形の筒状体(ノズル本体)21を備え、その中心部には電子部品1を真空吸着するための吸着管22を備える。また、吸着管22と前記筒状体21の内壁間に壁体23を備え、該壁体23により前記吸着管2を筒状体21内に保持固定する。電子部品1の取り外しの際には、電子部品1を吸着管2に真空吸着してノズル3により搬送することができる。
筒状体21の内壁の吹き出し口に隣接する部分には、パネルヒータ24が貼付されている。
図3は、熱風を排出するノズル3の他の例を説明する図(斜視図)である。図2の例では、筒状体21の内壁の吹き出し口に隣接する部分の全面にパネルヒータ24を貼付したが、図3に示すように、筒状体21の内壁の吹き出し口に隣接する部分の角部(コーナ部)のみにパネルヒータ25を貼付してもよい。
図4は、電子部品(BGA)をリペアする手順を示す図である。まず、交換しようとするBGAに合致するBGA交換温度プロファイルを作成する(図4に示す条件パラメータを作成する)。次に、作成した交換温度プロファイルを用いBGAを取外す。次に取り外した箇所に残留するはんだを取り除いた後、前記作成した温度プロファイルにしたがって、新規に用意したBGAを取り付ける。
次に、BGA交換温度プロファイルの作成作業から説明する。
BGA交換温度プロファイルの作成は、先ず、交換しようとするBGAが実装されたプリント基板2と同等のプリント基板を用意し、BGAの表面の数箇所に温度測定のための熱電対等の温度センサを取付ける。温度センサはBGAの最も温度が上がりやすい中心部および最も温度が上がりにくい角部(4箇所)の計5箇所程度に取付ける。温度センサを取付けた後、この温度センサを取付けたプリント基板2をBGAリペア装置のプリント基板支持台6に取り付ける。
次にノズル3を温度センサを取付けたBGAの上部に移動し、ノズル3の位置合わせを行なう(図5参照)。この状態で熱風、ボトムヒータ5およびノズル3のパネルヒータ9の各出力を予めプログラムしておいた標準の値で出力する(図6参照)。
目標とするBGA交換温度プロファイルは測定した全ての箇所においてBGAの製造者が推奨する温度範囲内とする必要がある。BGAの温度上昇はプリント基板2の大きさ、実装位置、配線パターン、BGAの大きさ、材質によって異なる(ステップS1,S2)。
温度プロファイルが推奨する温度範囲内とならなかった場合は、適時、熱風、ボトムヒータ5およびノズルのパネルヒータの出力、あるいは印加時間を変更して再測定する(ステップS2,S3,S4)。
本実施形態によれば、数十℃あった部品中央と部品端の温度差を数℃以内とすることができるので、BGA交換温度プロファイルを部品メーカ推奨温度範囲内に入れることが容易にできるようになる。
図7は、パネルヒータ9を用いずにノズル3の上部から吹き出される熱風のみでBGAを加熱した場合の部品中心部と部品外周部の温度プロファイルを比較した図である。図7に示すように、ノズル3の上部から吹き出される熱風のみでは最終的にBGAの中心部温度10と外周部温度11の温度差が50℃近くになっている。
一方、ノズル3上部から吹き出す熱風とパネルヒータ9を併用した場合、他の条件が同一であるにもかかわらず部品中心部と部品外周部の温度差を数℃以内に押さえることができる(図8)。
BGAの取外しに際しては、交換したいBGAが実装されたプリント基板2を支持台6に固定する。次にノズルをBGAの上部に移動し、位置合わせを行なう。ここで先ほど作成したBGA交換温度プロファイルを実行する。すなわち、BGA交換温度プロファイル上で電子部品の温度が最も高くなる時間が経過した時点、あるいはBGA交換温度プロファイル上でBGAを接続している全てのはんだが溶融したと思われる時点で、ノズル2を下方へ移動し、BGAとノズルの吸着管とを接触させる。このとき吸着管内を排気することによりBGAを吸引する。その後、ノズル3を上方へ移動させるとBGAをプリント基板から取り外すことができる(ステップS5)(図9)。
BGAを取り外したプリント基板2の表面には、余分なはんだが付着しているため、はんだ吸い取りワイヤ等を用いて余分なはんだを取り除く(ステップS6)。その後、メタルマスクを用いて、はんだペーストを印刷する。この状態でプリント基板を再度支持台6に取り付ける。次に、新規のBGAを準備し、前記印刷したはんだペーストの上に載せる。次に、部品取外しのときと同様にノズル3をBGAの上部に移動し、位置合わせを行なう。位置合わせが完了したら予め作製しておいたBGA交換温度プロファイルを実行し、はんだを溶融させBGAを取付ける(ステップS7,S8)。BGA取外しのときとは異なりBGAを吸引する必要はない。
以上説明したように、本実施形態によれば、ノズルから排出される熱風の速度はそのままにして冷却されやすい熱風の外周部をパネルヒータで加熱する。このため、可動部利用することなくメンテナンスフリーで電子部品を均一に加熱することができる。また、リペア対象となる部品における中心部と外周部の温度差を抑制した状態で電子部品の交換作業を実現することができるため、電子部品をその耐熱温度以下で安定して交換することができる。
本実施形態にかかるプリント基板の補修装置(リペア装置)を説明する図である。 熱風を排出するノズルの詳細を説明する図(斜視図)である。 熱風を排出するノズルの他の例を説明する図(斜視図)である。 電子部品をリペアする手順を示す図である。 補修装置においてノズルと電子部品の位置合わせを行った状態を説明する図である。 補修装置において電子部品の加熱時の状態を説明する図である。 パネルヒータを用いない場合における温度プロファイルを示す図である。 パネルヒータを用いた場合における温度プロファイルを示す図である。 補修装置を用いて電子部品を取り出した状態を説明する図である。
符号の説明
1 電子部品(BGA)
2 プリント基板
3 ノズル
4 固定アーム
5 ボトムヒータ
6 支持台
7 制御部
21 筒状体(ノズル本体)
22 吸着管
23 壁部材
24 パネルヒータ
25 パネルヒータ(角部)

Claims (4)

  1. 表面実装部品を搭載したプリント基板を固定台上に保持し固定する支持台と、
    前記プリント基板に搭載された表面実装部品の表面に熱風を供給して、プリント基板と表面実装部品を接合するはんだを溶融させるノズルを備え、
    前記ノズルから熱風を供給して前記はんだを溶融して、表面実装部品を搭載したプリント基板における故障部品である表面実装部品を取り外して正常部品に置き換えるプリント基板の補修装置において、
    前記ノズルは、該ノズルの内周壁にパネル状のヒータを備え、該ヒータによりノズルから排出される熱風の外周部を加熱したことを特徴とするプリント基板の補修装置。
  2. 表面実装部品を搭載したプリント基板を保持固定する固定台と、
    前記プリント基板に搭載された表面実装部品の表面に熱風を供給して、プリント基板と表面実装部品を接合するはんだを溶融させる矩形状のノズルを備え、
    前記ノズルから熱風を供給して前記はんだを溶融して、表面実装部品を搭載したプリント基板における故障部品である表面実装部品を取り外して正常部品に置き換えるプリント基板の補修装置において、
    前記ノズルは、該ノズルの少なくとも内周壁のコーナ部にパネル状のヒータを備え、該ヒータによりノズルから排出される熱風の外周部を加熱して熱風の温度分布を均一にしたことを特徴とするプリント基板の補修装置。
  3. 請求項1または2記載のプリント基板の補修装置において、
    前記ノズルは、その中央部に吸引管を備え、ノズルのプリント基板からの離隔時に前記表面実装部品を吸着して表面実装部品をプリント基板から引き剥がすことを特徴とするプリント基板の補修装置。
  4. 表面実装部品を搭載したプリント基板を保持固定する固定台と、前記プリント基板に搭載された表面実装部品の表面に熱風を供給して、プリント基板と表面実装部品を接合するはんだを溶融させる矩形状のノズルを備え、前記ノズルから熱風を供給して前記はんだを溶融して、表面実装部品を搭載したプリント基板における故障部品である表面実装部品を取り外して正常部品に置き換えるプリント基板の補修方法において、
    前記ノズルの少なくとも内周壁のコーナ部にパネル状のヒータを備え、該ヒータによりノズルから排出される熱風の外周部を加熱して熱風の温度分布を均一にするとともに、前記ノズルのプリント基板からの離隔時に、前記ノズルの中央部に設けた吸引管内を減圧して前記表面実装部品を吸着して、表面実装部品をプリント基板から引き剥がすことを特徴とするプリント基板の補修方法。
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