JP4801872B2 - β−グルコシダーゼ活性を有する新規酵素とその用途 - Google Patents

β−グルコシダーゼ活性を有する新規酵素とその用途 Download PDF

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Description

技術分野
本発明は、β−グルコシダーゼ活性を有する新規酵素及びその用途に関し、詳しくはアクレモニウム属微生物に由来するβ−グルコシダーゼ活性を有する新規酵素及びその酵素組成物並びにこれらの用途に関する。
背景技術
セルロースは、高等植物細胞の主要な構成成分であり、広く天然に存在する。セルロースは、グルコースがβ−1,4−グルコシド結合により重合した高分子多糖であり、天然にはセルロースが結晶状あるいは非結晶状態で存在しており、さらには他の成分、リグニン、ヘミセルロース類、ペクチン類などとも複雑に結合して植物組織を構築している。
セルラーゼは、セルロースをセロオリゴ糖、セロビオース、最終的にはグルコースにまで分解する反応を触媒する酵素群の総称であり、その作用様式によって、エンドグルカナーゼ、エキソグルカナーゼ、β−グルコシダーゼなどに大別される。それらの作用様式を詳細に比較すると、種々の作用様式を示す複数の酵素が互いに補い合い、相乗効果を発現することにより、植物細胞壁の主成分であるセルロースを分解するものと考えられている。
β−グルコシダーゼは、セロオリゴ糖、セロビオース又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体からグルコースを遊離させる反応を触媒すると考えられ、セルロースの糖化系の最終段階及び配糖体からのグルコースの遊離において重要な酵素である。
β−グルコシダーゼの各分野への応用例として、飼料分野としては、飼料に添加することにより家畜の増体及び/又は飼料効率を改善できる。また、サイレージ用酵素剤として、牧草のサイロへの詰め込みの際に添加し、その発酵品質を改善せしめて良質なサイレージを調製する目的で、各種のセルラーゼ、ヘミセルラーゼ、アミラーゼをそれぞれ単剤もしくは合剤で含む製剤、さらに、それら酵素の効果を高めることを目的としてこれら酵素と乳酸菌との合剤が既に市販されている。しかし、さらにβ−グルコシダーゼを強化することにより、セルロースの糖化効率が向上し、より良質なサイレージを調製することができる。
食品分野としては、ジュース、ワイン等の芳香成分の増加、果汁の清澄化、粘度低下、色味の改善、苦味除去や醸造、製パンにおける発酵歩合の向上などに利用できる。医薬分野としては、臨床検査用試薬に利用される。また、その他の分野としては、セルロースバイオマスのグルコースへの糖化促進や、セルロース製品の廃棄物の処理効率の向上に利用できる。
糸状菌アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)の生産する酵素に関して言えば、セルラーゼは糖化力の強いことが特徴であり、飼料用途やサイレージ用途での有効性が報告されている(特開平4−117244号公報、特開平7−236431号公報)。また、含有されているセルラーゼ成分についても報告されている(Agric.Biol.Chem.,52,2493〜2501(1988)、同誌53,3359〜3360(1989)、同誌54,309〜317(1990))。
さらに、セルラーゼ中のβ−グルコシダーゼ活性に関しては、従来よく知られている、例えばトリコデルマ・レーゼイ(Tricoderma reesei)等のセルラーゼに比べて著しく活性が高いことなどが報告されている(特公昭60−43954号公報)。
さらに、アクレモニウム・セルロリティカスの生産するβ−グルコシダーゼに関しては、3種のβ−グルコシダーゼが精製、純化されている(静岡大学大学院電子科学研究科 研究報告 21.9−15.(2000))。これらの酵素は、高度に精製され、酵素的、タンハク質的諸性質について詳細に分析されたが、アミノ酸配列の決定、遺伝子の単離には至っていない。
β−グルコシダーゼを産業上有効利用するためには、該酵素を単離、精製し、酵素的、物理的性質を明らかにすることが不可欠である。また、該酵素の発現増強及び大量生産を可能にするには、該酵素をコードする遺伝子を単離、解析することが必要となる。
本発明は、新規なβ−グルコシダーゼタンパク質、該β−グルコシダーゼをコードする遺伝子、この遺伝子を用いたβ−グルコシダーゼの発現方法、β−グルコシダーゼを含んで成る酵素組成物並びに該β−グルコシダーゼ又は該酵素組成物による植物及び/又は植物由来物の処理方法の提供を目的とするものである。
本発明者らは、上記課題を解決するため、アクレモニウム・セルロリティカスのセルラーゼ系を構築する種々の酵素を分画、精製して鋭意検討した。その結果、これら酵素群の中から、これまで知られていたβ−グルコシダーゼとは異なる新規なβ−グルコシダーゼを見出し、該酵素をコードする遺伝子を単離した。
該酵素は、前述のアクレモニウム・セルロリティカス由来の3種のβ−グルコシダーゼよりも著しく高い比活性を示した。
さらに、種々の植物又は植物由来物に対するβ−グルコシダーゼの作用効果を検討し、本発明を完成するに至った。
発明の開示
すなわち、本発明により、下記の発明が提供される。
請求の範囲第1項: アクレモニウム属微生物由来の、下記の特性を有するβ−グルコシダーゼ活性を示す酵素。
(a)基質特異性、作用特性:本酵素はセロオリゴ糖、アグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合を有する配糖体に作用し、グルコースを生成する。
(b)分子量:108,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による)
(c)等電点:pI4.7(ポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動による)
(d)至適pH:pH3.5〜4.0である。
(e)作用最適温度:70℃である。
請求の範囲第2項: アクレモニウム属微生物が、アクレモニウム・セルロリティカスである請求の範囲第1項記載の酵素。
請求の範囲第3項: 以下の(a)、(b)又は(c)の特性を有するβ−グルコシダーゼ。
(a)配列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列の一部もしくは1〜838番の配列を含んで成るタンパク質。
(b)配列表の配列番号2で示された−20〜−1番のアミノ酸配列の一部又は全部をN末端側にさらに有して成る上記(a)記載のタンパク質。
(c)上記(a)又は(b)のアミノ酸配列の改変タンパク質であり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質。
請求の範囲第4項: 糸状菌由来である請求の範囲第3項記載のβ−グルコシダーゼ。
請求の範囲第5項: 糸状菌が、アクレモニウム属微生物である請求の範囲第4項記載のβ−グルコシダーゼ。
請求の範囲第6項: アクレモニウム属微生物が、アクレモニウム・セルロリティカスに属する微生物である請求の範囲第5項記載のβ−グルコシダーゼ。
請求の範囲第7項: 以下の(a)、(b)又は(c)のDNAから成る遺伝子。
(a)配列表の配列番号1で示された塩基配列から成るDNA。
(b)上記(a)の塩基配列の改変配列を含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA。
(c)配列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列から成るタンパク質又はその改変タンパク質をコードするDNA。
請求の範囲第8項: 糸状菌由来である請求の範囲第7項記載の遺伝子。
請求の範囲第9項: 糸状菌が、アクレモニウム属微生物である請求の範囲第8項記載の遺伝子。
請求の範囲第10項: アクレモニウム属微生物が、アクレモニウム・セルロリティカスに属する微生物である請求の範囲第9項記載の遺伝子。
請求の範囲第11項: 請求の範囲第7項記載のDNA配列又はその改変配列を含んで成るDNA構成物。
請求の範囲第12項: 請求の範囲第11項記載のDNA配列を含んで成る発現ベクター。
請求の範囲第13項: 請求の範囲第11項記載のDNA構成物又は請求の範囲第12項記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
請求の範囲第14項: 宿主が、大腸菌、酵母、放線菌又は糸状菌である請求の範囲第13項記載の宿主細胞。
請求の範囲第15項: 酵母が、サッカロミセス属、ハンゼヌラ属又はピキア属に属する微生物である請求の範囲第14項記載の宿主細胞。
請求の範囲第16項: 酵母が、サッカロミセス・セレビシエである請求の範囲第15項記載の宿主細胞。
請求の範囲第17項: 糸状菌が、アクレモニウム属、フミコーラ属、アスペルギルス属、トリコデルマ属又はフザリウム属に属する微生物である請求の範囲第14項記載の宿主細胞。
請求の範囲第18項: 糸状菌が、アクレモニウム・セルロリティカス、フミコーラ・インソレンス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリゼ、トリコデルマ・ビリデ又ほフザリウム・オキシスポーラスである請求の範囲第17項記載の宿主細胞。
請求の範囲第19項: 請求の範囲第13〜18項のいずれか一項に記載の宿主細胞を培養し、その宿主及び/又はその培養液から請求の範囲第1〜6項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又はその改変タンパク質を採取する工程を含んでなる請求の範囲第1〜6項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又はその改変タンパク質の製造法。
請求の範囲第20項: 請求の範囲第19項記載の方法で生産されたβ−グルコシダーゼ。
請求の範囲第21項: 請求の範囲第1〜6項及び20項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼを含んで成る酵素組成物。
請求の範囲第22項: 請求の範囲第1〜6項及び20項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼを含んで成る植物又は植物由来物を加工及び/又は利用効率を向上させるための酵素組成物。
請求の範囲第23項: 請求の範囲第1〜6項及び20項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼを含んで成る、アグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体に作用することにより、植物又は植物由来物を加工及び/又は利用効率を向上させるための酵素組成物。
請求の範囲第24項: 請求の範囲第21〜23項のいずれか一項に記載の酵素組成物が、さらにセルラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、ガラクタナーゼ、ガラクトシダーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、マンナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ及びポリガラクツロン酸リアーゼのうちのいずれか一もしくは二以上の成分を含有することを特徴とする酵素組成物。
請求の範囲第25項: 請求の範囲第1〜6項及び20項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又は請求の範囲第21〜24項のいずれか一項に記載の酵素組成物を含有する飼料添加物。
請求の範囲第26項: 請求の範囲第25項記載の飼料添加物を含んで成る飼料。
請求の範囲第27項: 請求の範囲第1〜6項及び20項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又は請求の範囲第21〜24項のいずれか一項に記載の酵素組成物を含有するサイレージ用酵素剤。
請求の範囲第28項: 請求の範囲第27項記載のサイレージ用酵素剤を含んで成るサイレージ。
請求の範囲第29項: 請求の範囲第1〜6項及び20項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又は請求の範囲第21〜24項のいずれか一項に記載の酵素組成物を含有する食品加工用酵素剤。
請求の範囲第30項: 請求の範囲第29項記載の食品加工用酵素剤を含んで成る加工食品。
発明を実施するための最良の形態
本発明のβ−グルコシダーゼを含むセルラーゼ系を生産する微生物としては、アクレモニウム属の糸状菌があり、具体的には独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番1中央第6)にブダペスト条約に基づき国際寄託されいるアクレモニウム・セルロリティカスY−94株(寄託番号:FERM BP−5826)(1983年1月12日付けで寄託された受託番号FERM P−6867より移管)、アクレモニウム・セルロリティカスTN株(寄託番号:FERM BP−685)(1984年10月13日付けで寄託された受託番号FERM P−7894より移管)などがある。これらの微生物によるβ−グルコシダーゼの製造については、既知の方法、例えば特公昭60−43954号公報、特公昭63−63197号公報に記載された方法に従って行えば良く、上記微生物の培養物からβ−グルコシダーゼを採取する。
上記微生物の培養終了後、培養物を遠心分離等により除去して得た上清液を粗酵素として用いることもできるが、通常は、この上清液を限外濾過法などにより濃縮し、防腐剤などを加えて濃縮酵素とするか、或いは濃縮後スプレードライ法によって粉末酵素とする。
本発明に係るβ−グルコシダーゼは、これら濃縮酵素又は粉末酵素を必要に応じて、部分精製又は高度に精製して得ることができる。
精製方法としては、常法、即ち硫酸アンモニウムなどによる塩析法;アルコールなどによる有機溶媒沈殿法;膜分離法;イオン交換体、疎水クロマトグラフ用担体、ゲル濾過用担体などを用いるクロマト分離法などを、単独又は適宜組み合わせて用いることができる。
本発明に係る酵素は、β−グルコシダーゼ活性を示す酵素、すなわちβ−D−Glucoside glucohydrolase EC3.2.1.21であり、具体的にはセロオリゴ糖、セロビオース又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体をエキソ機作で加水分解し、グルコースを生成する酵素を意味する。
本発明の第一の態様によれば、アクレモニウム属微生物由来の、前記請求の範囲第1項に記載の特性を有するβ−グルコシダーゼ活性を示す新規酵素が提供される。
本発明の好ましい態様によれば、上記酵素はアクレモニウム・セルロリティカスから得られる。より詳細な本酵素の性質は次の通りである。
(a)作用及び基質特異性
本酵素は、セロオリゴ糖、セロビオース又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体をエキソ機作で加水分解し、グルコースを生成する。
本酵素の基質特異性については、セロオリゴ糖、セロビオースに対して高い活性を示す。また、p−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド(以下、pNPGと略す)、o−ニトロフェニル−β−D−グルコピラノシド(以下、oNPGと略す)、サリシン等のアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体に対しても高い活性を示す。さらに結合様式の異なるβ−linked−グルコビオース(β−1,2、β−1,3、β−1,4及びβ−1,6結合)のいずれに対しても活性を示す。
(b)分子量
SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による分子量は、約108,000である。
(c)等電点
等電点ポリアクリルアミドゲル電気泳動による等電点(pI)は、約4.7である。
(d)至適pH
pNPG分解活性における至適pHは、約3.5〜4.0であるが、約pH3.0〜5.5において高い活性を有している。
(e)至適温度(作用最適温度)
pNPG分解活性における至適温度は、約70℃であるが、約40〜77℃において高い活性を有している。
(f)分解活性
pNPG分解活性は、約240単位/mgタンパク質であり、セロビオース分解活性は、約370単位/mgタンパク質である。
ここで、当該酵素の活性測定法と1単位の定義については以下の通りである。
・pNPG分解活性
pH4.0、37℃で、4.5mM pNPG溶液に酵素を作用させ、1分間に1μmolのp−ニトロフェノールを生成する酵素量を1単位と定義した。
・セロビオース分解活性
pH4.0、37℃で、13.3mM セロビオース溶液に酵素を作用させ、1分間に1μmolのグルコースを生成する酵素量を1単位と定義した。
本発明の別の態様によれば、前記請求の範囲第3項に記載の特性を有するβ−グルコシダーゼ活性を示す酵素が提供される。すなわち、配列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列の一部もしくは1〜838番目のアミノ酸配列を含んで成るタンパク質、あるいは該アミノ酸配列の改変タンパク質を含んでなるβ−グルコシダーゼ酵素である。配列表の配列番号2で示されるアミノ酸配列を含んで成るβ−グルコシダーゼ酵素を以下、β−グルコシダーゼAと称する。
本発明において、配列番号2に記載されるアミノ酸配列の一部とは、例えばプローブとして利用可能な程度の長さ、さらには、その一部の配列であっても、依然としてβ−グルコシダーゼ活性を維持している、その部分配列を意味するものとする。
また、本発明には、上記タンパク質のN末端に、さらに配列番号2に記載の−20〜−1番までのアミノ酸配列の一部又は全部を有するタンパク質も包含される。ここで、配列番号2に記載の−20〜−1番までのアミノ酸配列は、シグナルペプチドと考えられることから、その一部の配列とは、シグナルペプチド活性を保持する、その部分配列に加え、発現宿主の種類によってプロセッシングされる位置に相違が生じた結果としてN末端に残る配列をも意味するものとする。
さらに、本発明には、前記タンパク質の改変タンパク質が含まれる。本発明において改変タンパク質とは、上記のタンパク質のアミノ酸配列において、複数(例えば、1〜数個)のアミノ酸の付加、挿入、削除、欠失又は置換などの改変が生じたタンパク質であって、依然としてβ−グルコシダーゼ活性を保持するものを意味する。
本発明に係る酵素は、糸状菌類、具体的には、アクレモニウム属(例えば、アクレモニウム・セルロリティカス)の微生物から得ることができる。
本発明によれば、前記請求の範囲第7項に記載の特性を有するDNAから成る遺伝子が提供される。
このDNAは、配列表の配列番号1で示された塩基配列からなるもの、当該塩基配列の改変配列を含み、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質をコードするDNA及び前記配列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列から成るタンパク質もしくはその改変タンパク質をコードするDNAである。
タンパク質のアミノ酸配列が与えられれば、それをコードするDNA配列は容易に定まり、配列番号2に記載のアミノ酸配列を含んで成るタンパク質及びその改変タンパク質をコードする種々の塩基配列を選択することができる。
本発明による塩基配列は、天然由来のものであっても、全合成したものであっても良く、また、天然由来のものの一部を利用して合成を行ったものでも良い。
本発明に係る塩基配列の典型的な取得方法としては、アクレモニウム・セルロリティカス由来の染色体ライブラリー又はcDNAライブラリーから、遺伝子工学の分野で慣用されている方法、例えば、部分アミノ酸配列の情報を基にして作成した適当なDNAプローブを用いてスクリーニングを行う方法などが挙げられる。
本発明に係るβ−グルコシダーゼのアミノ酸配列をコードする、典型的な配列は、配列表の配列番号1に記載の塩基配列の一部又は全部を有するものである。配列番号1に記載の塩基配列は、1〜3番のATGで始まり、2575〜2577番のTAAで終了するオープンリーディングフレーム(以下、ORFと略記することがある。)を有する。また、61〜63番から始まる塩基配列は、838残基からなる前記成熟タンパク質のN末端アミノ酸に対応する。
本発明において、配列表の配列番号1に示したDNA配列を含むプラスミドを有する大腸菌(Escherichia coli)の形質転換体は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番1中央第6)にブダペスト条約に基づき国際寄託されており、その受託番号はFERM BP−7703(2000年8月4日付けで寄託された受託番号FERM P−17987より移管)である。
さらに、請求の範囲第7項記載の本発明には、前記塩基配列の改変配列が含まれる。本発明において改変配列とは、上記塩基配列とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質をコードする塩基配列を意味する。ストリンジェントな条件とは、プローブとして標識化した配列番号1に記載のDNA配列の全長を有するものを用い、ECLダイレクトDNA/RNAラベリング検出システム(アマシャム社製)の方法に従って、1時間のプレハイブリダイゼーション(42℃)の後、前記プローブを添加し、15時間(42℃)ハイブリダイゼーションを行った後、0.4% SDS、6M 尿素添加1倍濃度SSC(SSC;15mM クエン酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム)で42℃、20分間の洗浄を2回繰り返し、次に5倍濃度SSCで室温、10分間の洗浄を2回行うような条件である。
本発明により、前記請求の範囲第7項記載のDNA配列、例えば配列表の配列番号2に記載のアミノ酸配列を含んでなるタンパク質又はその改変タンパク質をコードする塩基配列(以下、単に「本発明に係るDNA配列」という)を、宿主微生物内で複製可能で、かつそのDNA配列がコードするタンパク質を発現可能な状態で含んでなる発現ベクターが提供される(請求の範囲第12項)。
この発現ベクターは、自己複製ベクター、即ち、染色体外の独立体として存在し、その複製が染色体の複製に依存しない、例えばプラスミドを基本に構築することができる。また、この発現ベクターは、宿主微生物に導入されたとき、その宿主微生物のゲノム中に組み込まれ、それが組み込まれた染色体と一緒に複製されるものであってもよい。
本発明によるベクター構築の手順及び方法は、遺伝子工学の分野で慣用されているものを用いることができる。
本発明に係る発現ベクターは、これを実際に宿主微生物に導入して所望の活性を有するタンパク質を発現させるために、前記の本発明に係るDNA配列の他に、その発現を制御するDNA配列や微生物を選択するための遺伝子マーカー等を含んでいることが望ましい。発現を制御するDNA配列としては、プロモーター及びターミネーター並びにシグナルペプチドをコードするDNA配列等がこれに含まれる。
プロモーターは、宿主微生物において転写活性を示すものであれば特に限定されず、宿主微生物と同種もしくは異種のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子の発現を制御するDNA配列として得ることができる。また、シグナルペプチドは、宿主微生物において、タンパク質の分泌に寄与するものであれば特に限定されず、宿主微生物と同種もしくは異種のいずれかのタンパク質をコードする遺伝子から誘導されるDNA配列より得ることができる。
さらに、本発明における遺伝子マーカーは、形質転換体の選択の方法に応じて適宜選択することができるが、例えば薬剤耐性をコードする遺伝子、栄養要求性を相補する遺伝子を利用することができる。
さらに、本発明によれば、請求の範囲第13項に記載したように、上記発現ベクターによって形質転換された微生物(宿主細胞)が提供される。この宿主−ベクター系は特に限定されず、例えば、大腸菌、放線菌、酵母、糸状菌などを用いた系及びそれらを用いた他のタンパク質との融合タンパク質発現系などを用いることができる。
この発現ベクターによる微生物の形質転換も、この分野で慣用されている方法に従い実施することができる。
また、本発明における好ましい態様によれば、本発明に係るDNA配列によってコードされるβ−グルコシダーゼ酵素を発現させ得る酵母細胞が提供される。
本発明における酵母細胞としては、例えばサッカロミセス(Saccharomyces)属、ハンゼヌラ(Hansenula)属又はピキア(Pichia)属に属する微生物、例えばサッカロミセス・セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)等が挙げられる。
さらに、本発明に係るDNA配列によってコードされるβ−グルコシダーゼ酵素を発現させ得る微生物として、不完全菌類に属する糸状菌が提供される。
本発明における糸状菌としては、アクレモニウム(Acremonium)属、フミコーラ(Humicola)属、アスペルギルス(Aspergillus)属、トリコデルマ(Trichoderma)属又はフザリウム(Fusarium)属に属する微生物が挙げられる。さらに、それらの好ましい例としては、アクレモニウム・セルロリティカス(Acremonium cellulolyticus)、フミコーラ・インソレンス(Humicola insolens)、アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)、アスペルギルス・オリゼ(Aspergillus oryzae)、トリコデルマ・ビリデ(Trichoderma viride)、フザリウム・オキシスポーラス(Fusarium oxysporus)等が挙げられる。
さらに、この形質転換体を適当な培地で培養し、その培養物から上記の本発明に係るタンパク質(β−グルコシダーゼ又はその改変タンパク質)を単離して得ることができる(請求の範囲第19項)。すなわち、本発明の別の態様によれば、前記の本発明に係る新規タンパク質の製造方法が提供される。
形質転換体の培養及びその条件は、使用する微生物についてのそれと本質的に同等であってよい。また、形質転換体を培養した後、目的のタンパク質を回収する方法は、この分野で慣用されているものを用いることができる。
糸状菌アクレモニウム・セルロリティカスを用いて本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素を製造する方法としては、例えば特開2001−17180号公報に記載の方法を用いることができる。
すなわち、アクレモニウム・セルロリティカスにおいて最も高発現しているcbh1遺伝子のプロモーターの下流にβ−グルコシダーゼ遺伝子を連結した遺伝子発現用の組換えベクターを作製し、このベクターをアクレモニウム・セルロリティカスに導入することにより、β−グルコシダーゼタンパク質を大量に発現させることができる。
本発明の別の態様によれば、請求の範囲第21項に記載したように、上記の本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又はその改変タンパク質を含んでなる酵素組成物が提供される。
本発明に係る酵素組成物は、本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又はその改変タンパク質を、酵素組成物に一般的に含まれる成分、例えば賦形剤(例えば、乳糖、塩化ナトリウム、ソルビトール等)、界面活性剤、防腐剤等と混合して製造することができる。
また、本発明における酵素組成物の形状は任意であり、適当な形状、例えば粉末又は液体状に調製することができる。
本発明によって得られるβ−グルコシダーゼは、グルコース遊離能に優れており、セルロース、セロオリゴ糖、セロビオース及び/又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体を含有する植物又は植物由来物の加工や利用性向上に適している。すなわち、本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物でセルロース、セロオリゴ糖、セロビオース及び/又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体を加水分解することにより、植物又は植物由来物を加工し及び/又は利用効率を向上させることができる。
すなわち、本発明によれば、β−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物でセルロース、セロオリゴ糖、セロビオース及び/又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体を加水分解することを特徴とする、該セルロース、セロオリゴ糖、セロビオース及び/又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体を含む植物又は植物由来物を加工及び/又は利用効率を向上させるための酵素組成物が得られる。
さらに、この酵素組成物を用いて、該セルロース、セロオリゴ糖、セロビオース及び/又はアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体を含む植物又は植物由来物を加工した酵素処理物を得ることができる。
上記の植物としては、全ての植物又はその切断物等に適用でき、植物由来物としては、細胞壁、表皮組織等の植物組織、植物組織由来物、細胞内容物、種々の糖タンパクや糖脂質、芳香性分や色素等といった抽出成分など全ての植物由来物に適用できる。
具体的には、飼料分野、食品分野では牧草、野菜、果実などが対象となり、これらを加工した果汁、ピューレ、ペースト、絞り粕、抽出粕にも適用することができる。また、セルロースバイオマスのグルコースへの糖化促進や、紙等のセルロースを含有する製品の廃棄物の処理効率の向上に利用できる。
上記のアグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体としては、広く植物界に分布する種々のフェノール配糖体、ニトリル配糖体、クマリン配糖体、アントラセン配糖体、ステロイド配糖体(サポニン物質)、テルペン配糖体、苦味配糖体、フラボン配糖体、イソフラボン配糖体、フラボノール配糖体、フラバノン配糖体、ペラルゴニジン配糖体、シアニジン配糖体、デルフィニジン配糖体、トリテルペノイド配糖体、強心配糖体等が挙げられる。
さらに本発明によれば、β−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物に、さらにセルラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、ガラクタナーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、マンナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ、ポリガラクツロン酸リアーゼのいずれか一もしくは二以上の成分を含有させてなる酵素組成物が提供される。
この酵素組成物は、β−グルコシダーゼ酵素を単独で含んでなる酵素組成物に比べて、植物又は植物由来物の加工、利用効率をより一層向上させることが期待できる。
また、本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物を動物飼料中に配合することにより、飼料中のβ−グルカンの消化能を改善することができる。あるいは、β−グルカンを分解することにより、飼料中に蓄積されているタンパク質の利用を促進させることができる。従って、本発明によれば、β−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物を含んでなる飼料添加物、さらには、この飼料添加物を飼料に添加する方法が提供される。この方法は、本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物により飼料原料を処理する工程を含んでなる。
また、本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物をサイレージに添加することにより、有意にサイレージの発酵品質を改善できることが見出された。従って、本発明によれば、β−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物を含むサイレージ用酵素剤が提供される。なお、このサイレージ用酵素剤には、必要に応じて、ラクトバチルス、ストレプトコッカス、ラクトコッカス又はペディオコッカス属の乳酸菌等から成る製剤及び/又はプロピオニバクテリウム属等の酸生成菌から成る製剤と併用することができる。この場合には、相乗作用による一層の品質改善効果が期待できる。
さらに本発明によれば、上記のサイレージ用酵素剤を用いてサイレージを製造する方法及びこの方法により製造することを特徴とするサイレージが提供される。ここで、サイレージ原料としては、通常のサイレージに用いられる牧草、飼料作物、食品等の製造副産物、農業副産物、飼料等の全てが対象となる。
牧草としては、例えばイネ科牧草としては、チモシー、オーチャードグラス、イタリアンライグラス、ペレニアルライグラス、メドウフェスク、ギニアグラス等を用いることができ、マメ科牧草としては、アルファルファ、クローバ等を用いることができる。
次に、飼料作物としては、トウモロコシ、ソルガム、大麦、ライムギ、ライコムギ等を用いることができる。
また、食品等の製造副産物としては、廃糖蜜、酢粕、ビール粕、トウフ粕、ミカン粕、焼酎粕等を用いることができる。さらに、農業副産物としては、麦藁、ビートトップ、ビートパルプ等を用いることができる。
また、サイレージ原料としての飼料は、通常、発酵飼料に使用される単味飼料及び配合飼料や濃厚飼料、これら飼料と粗飼料とを混合した混合飼料等を用いることができる。
また、本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物を食品の加工に用いることにより、ジュース、ワイン等の芳香成分の増加、果汁の清澄化、粘度低下、色味の改善、苦味除去等の他、醸造、製パン等における発酵歩合の向上などの効果が得られる。さらに、食品の香り、色味、味等の品質を改善することができる。
従って、本発明によれば、β−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物を含んで成る食品加工用酵素剤が提供される。さらには、この食品加工用酵素剤を用いて食品を加工する方法及びこの方法によって製造されることを特徴とする食品が提供される。
また、本発明に係るβ−グルコシダーゼ酵素又は酵素組成物は、β−D−グルコシドを加水分解する活性が高いため、アミラーゼ活性測定用の臨床検査用試薬に利用することができる。
本発明に係る酵素並びに酵素組成物の使用方法としては、上記各種利用分野で通常採用されるpH、温度などの条件下で行うことができるが、酵素の性質上、pH3.0〜6.0、温度10〜80℃の範囲が適当であり、より好ましくは、温度30〜80℃の範囲が適当である。酵素使用量については、時間と共にそれぞれの目的が達成されるような条件で使用すれば、十分な効果を得ることができる。
次に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
実施例1 β−グルコシダーゼAの精製
(1)酵素原末の調製
アクレモニウム属微生物由来のβ−グルコシダーゼ原末を得るため、下記の手法により微生物の培養を行った。培地は、すべて以下の組成からなる培地を常法により加熱滅菌したものを用いた。
〔培地組成〕
綿実油粕2%、セルロース2%、リン酸水素二カリウム1.2%、バクトペプトン1%、硝酸カリウム0.6%、尿素0.2%、塩化カリウム0.16%、硫酸マグネシウム・七水塩0.001%、硫酸銅・五水塩0.001%(pH4.0)。
上記培地500mLに、アクレモニウム・セルロリティカスY−94株(FERM BP−5826)を接種し、30℃で48時間攪拌しながら培養した。次に、この培養液をシードとして、培地を15Lにスケールアップし、さらにスケールアップを続けて最終的に600L容タンク中の培養液量を300Lとし、通気攪拌培養を7日間行った。
得られた培養液をフィルタープレスで濾過した後、限外濾過により15Lまで濃縮し、乳糖2kgを添加してスプレードライにより粉末化した。この方法で得られたβ−グルコシダーゼ原末は5.0kgであった。
(2)β−グルコシダーゼAの精製
上記(1)で得られた原末を酢酸緩衝液(pH4.5)に溶解し、不純物を高速冷却遠心分離により除去した。得られた上清を酵素精製の出発材料として以下に示した方法で精製した。
(a)弱塩基性陰イオン交換クロマトグラフィー:DEAE Sepharose FF(ファルマシア社製)に上清をTris−HCl緩衝液(0.01M、pH7.5)で吸着せしめ、Tris−HCl緩衝液(0.01M、pH7.5)中にNaClを0Mから0.1M含むリニアグラジェント溶出を行い、β−グルコシダーゼを示した画分を分取した。
(b)アフィニティクロマトグラフィー:リガンドとしてCu2+を結合させたChelating Sepharose FF(ファルマシア社製)に上記(a)で得たβ−グルコシダーゼ活性画分を0.1M NaClを含むリン酸緩衝液(0.025M、pH7.0)で吸着させ、0.1M NaClを含むリン酸緩衝液(0.025M)のpH7.0からpH2.5のリニアグラジェント溶出を行った。β−グルコシダーゼ活性を示した画分をそれぞれ再度Chelating Sepharose FFに供し、β−グルコシダーゼ活性を示した画分を得た。
(c)疎水性クロマトグラフィー:ブチルトヨパール650M(東ソー(株)製)に上記(b)で得たβ−グルコシダーゼ画分を1M (NHSOを含むTris−HCl緩衝液(0.05M、pH7.0)で吸着させ、Tris−HCl緩衝液(0.05M、pH7.0)中に(NHSOを1Mから0M含むリニアグラジェント溶出を行い、β−グルコシダーゼ活性を示した画分を分取した。
(d)ゲルろ過クロマトグラフィー:Superdex75(ファルマシア社製)に上記(c)で得たβ−グルコシダーゼ活性画分を0.1M NaClを含むリン酸緩衝液(0.025M、pH7.0)で通過させ、β−グルコシダーゼ活性を示した画分を分取した。
(e)等電点クロマトグラフィー:MonoP(ファルマシア社製)に上記(d)で得たβ−グルコシダーゼ活性画分をイミダゾール−酢酸緩衝液(0.025M、pH6.2)で吸着させ、10倍に希釈したPolybuffer 74(ファルマシア社製)(pH3.8)で溶出を行い、β−グルコシダーゼ活性を示した画分(β−グルコシダーゼA)を分取した。
実施例2 β−グルコシダーゼAの酵素的、タンパク質的諸性質
(1)基質特異性、作用特性
実施例1で得た精製β−グルコシダーゼAの各種基質に対する活性を調べた。すなわち、2量体から5量体のセロオリゴ糖に酵素を作用させたところ、いずれの場合もグルコースを生成した。また、pNPG、oNPG及びサリシンに酵素を作用させたところ、全ての基質からグルコースを生成した。結合様式の異なるβ−linked−グルコビオース(β−1,2、1,3、1,4及び1,6結合)に酵素を作用させたところ、いずれの場合もグルコースを生成した。
(2)至適pH
実施例1で得たβ−グルコシダーゼAの37℃における至適pHを第1図に示す。本酵素は、リン酸緩衝液で、pH3.5〜4.0のときに最大の活性を示した。
(3)至適温度(作用最適温度)
実施例1で得たβ−グルコシダーゼAの作用最適温度を調べるため、酢酸緩衝液(0.05M、pH4.0)にてpNPG分解活性を測定したところ、第2図に示すように至適温度は70℃であった。
(4)分子量
実施例1で得たβ−グルコシダーゼAの分子量を決定するため、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(8%ゲル、テフコ社製)を行った。
その結果、β−グルコシダーゼAの分子量は約108,000と算出された。
なお、この試験に用いた標準サンプルの分子量は、第1表の通りである。
Figure 0004801872
(5)等電点
実施例1で得られたβ−グルコシダーゼAの等電点(pI)を決定するために、ポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動(pH3.0〜10.0、テフコ社製)を行った。
その結果、β−グルコシダーゼAの等電点は4.7と算出された。
なお、この試験に用いた標準サンプルの等電点は、第2表の通りである。
Figure 0004801872
実施例3 β−グルコシダーゼAのアミノ酸配列
(1)N末端アミノ酸配列
実施例1で得た精製β−グルコシダーゼAのN末端アミノ酸配列を決定した。まず、8%Gel SDS−PAGE mini(テフコ社製)を用いて、それぞれの標品の電気泳動分離を行った後、ホライズブロット(アトー社製)にて、ミニプロブロット膜(パーキンエルマー社製)に転写し、クマシーブリリアントブルーR−250(ナカライテスク社製)で染色した後、50%メタノールで洗浄し風乾した。ここから、分子量108,000のタンパク質がブロットされているバンドを切り出し、プロテインシーケンサー:プロサイス491(パーキンエルマー社製)に供し、N末端アミノ酸配列の決定を試みた。
β−グルコシダーゼAのN末端アミノ酸配列を15残基決定した。得られた配列は、配列表の配列番号3に示した通りであった。
(2)β−グルコシダーゼAの部分アミノ酸配列
実施例1で得た精製β−グルコシダーゼA標品を還元カルボキシメチル化し、次いでリシルエンドペプチダーゼで処理した。この分解産物を、μ−ブロッター:ABI 173A(パーキンエルマー社製)に供して分離し、PVDF膜(パーキンエルマー社製)上にブロットした。得られたペプチド断片のアミノ酸配列を、前述のプロテインシーケンサーにより決定した。決定したβ−グルコシダーゼAの部分アミノ酸配列L−4は、配列表の配列番号4に、L−5は、配列表の配列番号5に示された通りであった。
実施例4 β−グルコシダーゼAのcDNAクローニング
(1)アクレモニウム・セルロリティカスのmRNAの単離とcDNAライブラリーの作製
アクレモニウム・セルロリティカスY−94株(FERM BP−5826)をセルラーゼ誘導培地(4%セルロース、1%ペプトン、0.6%硝酸カリウム、0.2%尿素、0.16%塩化カリウム、0.12%硫酸マグネシウム、1.2%リン酸一カリウム、0.001%硫酸亜鉛、0.001%硫酸マンガン及び0.001%硫酸銅(pH4.0))で32℃にて4日間培養した後、遠心分離により菌体を回収した。
得られた菌体を液体窒素で凍結し、凍結乾燥後、乳鉢と乳棒を用いて磨砕した。磨砕した菌体からISOGEN(ニッポンジーン社製)により、添付のプロトコールに従い、全RNAを単離した。さらに、全RNAから、mRNA Purification Kit(ファルマシア社製)により、添付のプロトコールに従い、mRNAを精製した。
こうして得られたmRNAから、TimeSAVER cDNA Synthesis Kit(ファルマシア社製)により、添付のプロトコールに従い、cDNAを合成した。このcDNAをファージベクターLambda ZAP II(ストラタジーン社製)に挿入した。
このようにして作製した組換えファージベクターについて、Gigapack III Gold Packaging Extract(ストラタジーン社製)により、添付のマニュアルに従ってin vitroパッケージングを行った。その後、この組換えファージを大腸菌XL1−Blue MRF’株に感染させ、プレートにて培養し、プラークを形成させた。
このようにして作製したcDNAライブラリーは、5.5×10plaque forming unitsであった。さらに、このcDNAライブラリーを、Lambda ZAP IIに添付のプロトコールに従い増幅した。この増幅したcDNAライブラリー中の組換えファージを大腸菌XL1−Blue MRF’株に感染させ、プレートにて培養し、プラークを形成させた。
(2)PCR法によるDNAの増幅
上記(1)で作製したcDNAを鋳型にし、実施例3のβ−グルコシダーゼAの部分アミノ酸配列の情報を基に、PCR(Polymerase chain reaction)法により、DNA断片を増幅した。
各プライマーとして、ペプチドL−4(配列番号4)及びL−5(配列番号5)における部分アミノ酸配列(配列番号4の1〜6番目及び配列番号5の3〜8番目)に対応する、合成オリゴヌクレオチド(配列表の配列番号6及び7)を作製した。
PCRは、反応液50μLの反応液中、cDNA 50ngを鋳型とし、1.25unitのTaq DNAポリメラーゼ(宝酒造社製)、添付のバッファー、dNTP Mixtupe及び1μMの上記プライマーを用い、以下の条件で反応を行った。
94℃ 10分間の前処理後、94℃ 1分間(変性ステップ)、48℃ 1分間(アニーリングステップ)、72℃ 1分間(伸長ステップ)の反応条件を30サイクル繰り返した後、72℃ 2分間のインキュベーションを行い、反応を終了した。この反応により、約600bpのDNA断片が増幅した。
(3)PCR産物のサブクローニング
前述のPCRにて増幅された約600bpのDNA断片をGENELUTE MINUS EtBr SPIN COLUMNS(シグマ社製)を用いて回収し、これをpUC118ベクター(宝酒造社製)に、DNAライゲーションキットVer.1(宝酒造社製)を用いて連結した。得られた連結混合物で大腸菌JM109株コンピテントセル(E. coli competent cells JM109、宝酒造社製)を形質転換した。次いで、得られた形質転換体を培養した後、QIAprep Spin Miniprep Kit(キアゲン社製)を用いて、添付のプロトコールに従ってプラスミドDNAを回収した。
得られたプラスミドDNAを複数の制限酵素によって切断した後、0.7%アガロースゲル電気泳動に供し、約600bpの断片が挿入されたプラスミドDNAを選択した。目的のPCR産物がサブクローニングされたプラスミドをpABG01とした。
(4)プラスミドpABG01の塩基配列の解析
このようにしてクローニングしたDNA断片の塩基配列の決定は、オートリードシーケンシングキット(ファルマシアバイオテク社製)とA.L.F.DNAシーケンサーII(ファルマシアバイオテク社製)を用いて、添付のプロトコールに従って行った。
解読された塩基配列をアミノ酸配列に翻訳したところ、一つの読み枠が、実施例3において示されたβ−グルコシダーゼAの部分アミノ酸配列L−4及びL−5のプライマーに用いた部分以外の配列においても一致したので、目的とするβ−グルコシダーゼAタンパク質をコードする遺伝子の一部であることが明らかとなった。
よって、このプラスミドpABG01に含まれる挿入DNAを以降のスクリーニングのプローブとして用いることとした。
(5)プラークハイブリダイゼーションによるスクリーニング
まず、前記(3)で得られたプラスミドpABG01から挿入DNA断片を切り出し、これをECL ダイレクトDNA/RNAラベリング検出システム(アマシャム社製)を用いて、添付のプロトコールに従って標識化した。
次いで、前記(1)で作製したファージプラークは、Hybond−N+ナイロントランスファーメンブラン(アマシャム社製)に写し取り、0.4N 水酸化ナトリウムでアルカリ処理し、メンブラン上の組換えファージDNAを1本鎖に変性した後、5×SSC(1×SSC:15mM クエン酸ナトリウム、150mM 塩化ナトリウム)で洗浄し、風乾させ、DNAを固定した。
その後、Kitに添付のプロトコールに従って、ハイブリダイゼーションを行い、検出反応を行った後、フジメディカルX線フィルム(富士写真フィルム社製)に感光させ、13個の陽性ファージクローンを得た。
(6)ファージDNAの調製
陽性ファージクローンからのDNAの調製は、ファージベクターλZAP IIに添付のプロトコールに従い、プラスミドDNAとして調製した。
アンピシリンに耐性を示す大腸菌SOLR Strainから、pBluescript SK(−)にDNA断片がクローン化されたプラスミドを調製し、これを鋳型として前記(2)で使用したL−4及びL−5のプライマーを用い、前述と同様の条件下でPCRを行った。
その結果、8個のプラスミドにおいて約600bpの増幅DNA断片が得られた。よって、これらのプラスミドに目的とするDNAがクローン化されていることが予測されたので、これらのプラスミドの挿入断片の大きさを調べたところ、1個のクローンが全領域を含むと思われる約2.9kbpのDNA断片を含んでいた。
(7)cDNA塩基配列の決定
上記(6)において得られた陽性組換えpBluescript SK(−)プラスミドに挿入された約2.9kbpのDNA断片の塩基配列は、T3、T7シーケンス用プライマーを使用し、前述と同様の方法で決定した。
その結果、この塩基配列は2577bpのオープンリーディングフレーム(ORF)を含んでおり、その塩基配列を配列表の配列番号1に示した。
このORFから予測される21アミノ酸以降を含んで成るタンパク質のN末端のアミノ酸配列を常法により解析したところ、実施例3(1)において決定したβ−グルコシダーゼAのN末端アミノ酸配列及び実施例3(2)において決定したβ−グルコシダーゼAの内部アミノ酸配列と一致した。それ故に、本遺伝子は、β−グルコシダーゼAをコードしていることが明らかとなった。
また、本知見からこのORFの最初の1〜20アミノ酸、すなわち−20〜−1のアミノ酸配列は、β−グルコシダーゼAタンパク質を細胞外に分泌させるためのシグナル配列であると考えられた。さらに、配列表の配列番号1において、1〜838番のアミノ酸は前記成熟タンパク質をコードするものであった。
(8)菌株の寄託
β−グルコシダーゼAをコードする約2.9kbpのcDNA断片を含むプラスミドpBluescript SK(−)を有する大腸菌をEscherichia coli ACCbgl01と命名した。本菌は、独立行政法人産業技術総合研究所特許生物寄託センター(日本国茨城県つくば市東1丁目1番1中央第6)にブダペスト条約に基づき国際寄託されており、その受託番号はFERM BP−7703(2000年8月4日付けで寄託された受託番号FERM P−17987より移管)である。
実施例5 アクレモニウム・セルロリティカス由来のβ−グルコシダーゼA遺伝子の過剰発現
(1)β−グルコシダーゼA遺伝子発現用の組換えベクターの作製
本実施例の工程の概略を、第3図に示す。
実施例4(3)で得られたβ−グルコシダーゼA cDNAの挿入されたプラスミドpABG01を鋳型とし、配列表の配列番号8及び配列番号9記載のプライマーを用いてPCRを行った。PCRは、50μLの反応液中、2.5unitのKOD DNAポリメラーゼ(TOYOBO社製)、添付のバッファー#1、0.2mMのdNTP Mixture、1mMのMgCl、20ngプラスミドDNA及び0.6μMの上記プライマーを用い、以下の条件で反応を行った。
98℃ 10分間の前処理後、98℃ 15秒間(変性ステップ)、55℃ 2秒間(アニーリングステップ)、74℃ 30秒間(伸長ステップ)の反応条件を10サイクル繰り返した。
こうして得られたPCR反応液をエタノール沈殿し、PCR産物を回収した後、制限酵素HpaIとSpeIで切断し、これを特開2001−17180号公報に記載されているデストマイシン耐性カセットを含むpCBHEX/DtR2のHpaIとNheIの間に挿入し、プラスミドpBGLA−Dtを作製した。
プラスミドpUC118(宝酒造社製)のBamHI部位を切断し、この切断部位を末端平滑化した後に、再度連結(セルフライゲーション)してBamHI部位を欠失したpUC118を作製した。このプラスミドのXbaI部位に、プラスミドpDHBAR(Watanabe,M.et al.(1999)Appl.Envipon.Microbiol.65:1036−1044)から制限酵素XbaIにより切り出したビアラホス耐性カセットを挿入した。このプラスミドを制限酵素BamHIで切断し、切断部位を平滑化した後に再度連結(セルフライゲーション)し、BamHI部位を欠失したビアラホス耐性カセットを含むプラスミドを作製した。
このプラスミドから制限酵素XbaIによりビアラホス耐性カセットを切り出し、これを先に作製したプラスミドpBGLA−DtのXbaI部位のデストマイシン耐性カセットと置き換え、タンパク質発現用プラスミドpBGLA−barを作製した。
(2)β−グルコシダーゼA遺伝子の宿主への導入
アクレモニウム・セルロリティカスY−94株を(S)培地(2% ブイヨン、0.5% イーストエキス及び2% グルコース)において30度で16時間培養し、3500rpm、10分間遠心することにより集菌した。
得られた菌体を0.5M シュークロースで洗浄し、0.45μmのフィルターで濾過したプロトプラスト化酵素溶液(10mg/mL キチナーゼ、10mg/mL ザイモリアーゼ、30mg/mL β−グルクロニダーゼ及び0.5M シュークロース)に懸濁した。30℃で60〜90分間振盪し、菌糸をプロトプラスト化させた。脱脂綿によりこの懸濁液を濾過した後、2500rpm、10分間遠心してプロトプラストを回収し、SUTCバッファー(0.5M シュークロース、10mM 塩化カルシウム及び10mM Tris−HCl(pH7.5))で洗浄した。
以上のようにして調製したプロトプラストを、100μLのSUTCバッファーに懸濁し、これに10μgのプラスミドpBGLA−bar溶液(10μL)を加え、氷上に5分間静置した。次に、400μLのPEG溶液(60% PEG4000、10mM 塩化カルシウム及び10mM Tris−HCl(pH7.5))を加え、氷中に20分間静置した後、10mLのSUTCバッファーを加え、2500rpm、10分間遠心した。遠心分離したプロトプラストを1mLのSUTCバッファーに懸濁した後、4000rpmで5分間遠心して、最終的に100μLのSUTCバッファーに懸濁した。
以上の処理をしたプロトプラストを、ビアラホス(1000μg/mL)添加(A)寒天培地(3.9% ポテトデキストロース寒天培地(日水製薬社製)、17.1% シュークロース)上に、(A)軟寒天培地(1.3% ポテトデキストロース寒天培地(日水製薬社製)、17.1% シュークロース)と共に重層し、30℃、5〜9日間培養後、形成したコロニーを形質転換体とした。
(3)アクレモニウム・セルロリティカス形質転換体におけるβ−グルコシダーゼAの発現と酵素活性の測定
(2)において得た形質転換体のうち、ビアラホスに対する耐性度の高い上位4株を、前記(実施例4(1)に記載)セルラーゼ誘導培地で培養した。培養上清をSDS−ポリアクリルアミドゲル(SDS−PAGE)により解析したところ、第4図に示すようにβ−グルコシダーゼA酵素は親株より分泌量が向上していた。
β−グルコシダーゼ活性は、セロビオース分解活性として測定し、培養上清1mL当たりの活性(U/mL)として表した。その結果は第3表の通りである。表から明らかなように、形質転換体は親株の約25倍の活性を示した。
Figure 0004801872
実施例6
本発明におけるβ−グルコシダーゼのサイレージへの応用につき、以下の試験を実施した。
牧草として一般に用いられているチモシー(品種:ホクセン)を栽培・収穫し、2〜3cmの長さに裁断した。裁断後のチモシーの水分は約70%であった。次いで、実施例1にて調製した精製β−グルコシダーゼAをスプレー装置(ジャクソン氏喉頭麻酔スプレー、五十嵐医科工業社製)を用いて当該裁断チモシーの表面に塗布した。精製β−グルコシダーゼAの裁断チモシー単位重量に対する添加量は、0.023〜0.117単位とした。
精製β−グルコシダーゼAを添加した裁断チモシー50gをビニール袋に真空パックした後、25℃で4週間静置保存してサイレージを調製した。当該サイレージに150mLの脱イオン水を添加し、5℃にて一晩静置後、上清のpHを測定した。pH測定結果は、第4表の通りである。
Figure 0004801872
表から明らかなように、精製β−グルコシダーゼを添加した試験区は、いずれも該酵素無添加の対照区よりも、サイレージのpHが低く、かつβ−グルコシダーゼ添加量に対し、量依存的にpHが低下した。なお、サイレージにおいては、pHが低いほど発酵品質が良好であるとされている。
以上のことから、β−グルコシダーゼはサイレージにおいて、その発酵品質を改善せしめることができ、有効であることが示された。
産業上の利用可能性
本発明により、アクレモニウム由来の新規β−グルコシダーゼ、該酵素をコードする遺伝子、該遺伝子を含む発現ベクター及び該発現ベクターで形質転換された宿主細胞が提供される。また、新規β−グルコシダーゼの効率的な製造方法も提供される。
さらに、このβ−グルコシダーゼ又は該酵素を包含する酵素組成物を植物又は植物由来物の加工などに利用する技術が提供され、飼料分野や食品分野等様々な用途での利用が期待される。
【配列表】
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【図面の簡単な説明】
第1図は、実施例1で得たβ−グルコシダーゼAの37℃における至適pHを示す図である。
第2図は、実施例1で得たβ−グルコシダーゼAの至適温度を示す図である。
第3図は、実施例5で示したプラスミドpBGLA−barの作製方法を示す図である。
第4図は、アクレモニウム・セロリティカス形質転換体におけるβ−グルコシダーゼAの発現を示す電気泳動の結果を示すものである。

Claims (25)

  1. アクレモニウム・セルロリティカス由来の、下記の特性を有するβ−グルコシダーゼ活性を示す酵素。
    (a)基質特異性、作用特性:本酵素はセロオリゴ糖、アグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合を有する配糖体に作用し、グルコースを生成する。
    (b)分子量:108,000(SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動による)
    (c)等電点:pI4.7(ポリアクリルアミドゲル等電点電気泳動による)
    (d)至適pH:pH3.5〜4.0である。
    (e)作用最適温度:70℃である。
  2. 以下の(a)、(b)又は(c)の特性を有するβ−グルコシダーゼ。
    (a)配列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列の1〜838番の配列を含んで成るタンパク質。
    (b)配列表の配列番号2で示された−20〜−1番のアミノ酸配列の全部をN末端側にさらに有して成る上記(a)記載のタンパク質。
    (c)上記(a)又は(b)のアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸の付加、挿入、削除、欠失、又は置換が生じた改変タンパク質であり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質。
  3. アクレモニウム・セルロリティカス由来である請求の範囲第2項記載のβ−グルコシダーゼ。
  4. 以下の(a)又は(b)のDNAから成る遺伝子。
    (a)配列表の配列番号1で示された塩基配列から成るDNA。
    (b)配列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列から成るタンパク質又は配列表の配列番号2で示されたアミノ酸配列において1〜数個のアミノ酸の付加、挿入、削除、欠失、又は置換が生じた改変タンパク質であり、かつβ−グルコシダーゼ活性を有するタンパク質、をコードするDNA。
  5. アクレモニウム・セルロリティカス由来である請求の範囲第4項記載の遺伝子。
  6. 請求の範囲第4項記載のDNA配列を含んで成るDNA構成物。
  7. 請求の範囲第4項記載のDNA配列を含んで成る発現ベクター。
  8. 請求の範囲第6項記載のDNA構成物又は請求の範囲第7項記載の発現ベクターで形質転換された宿主細胞。
  9. 宿主が、大腸菌、酵母、放線菌又は糸状菌である請求の範囲第8項記載の宿主細胞。
  10. 酵母が、サッカロミセス属、ハンゼヌラ属又はピキア属に属する微生物である請求の範囲第9項記載の宿主細胞。
  11. 酵母が、サッカロミセス・セレビシエである請求の範囲第9項記載の宿主細胞。
  12. 糸状菌が、アクレモニウム属、フミコーラ属、アスペルギルス属、トリコデルマ属又はフザリウム属に属する微生物である請求の範囲第9項記載の宿主細胞。
  13. 糸状菌が、アクレモニウム・セルロリティカス、フミコーラ・インソレンス、アスペルギルス・ニガー、アスペルギルス・オリゼ、トリコデルマ・ビリデ又はフザリウム・オキシスポーラスである請求の範囲第9項記載の宿主細胞。
  14. 請求の範囲第12項又は13項に記載の宿主細胞を培養し、その宿主及び/又はその培養液から請求の範囲第2項に記載のβ−グルコシダーゼを採取する工程を含んでなる請求の範囲第2項に記載のβ−グルコシダーゼの製造法。
  15. 請求の範囲第14項記載の方法で生産されたβ−グルコシダーゼ。
  16. 請求の範囲第1〜3項及び15項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼを含んで成る酵素組成物。
  17. 請求の範囲第1〜3項及び15項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼを含んで成る植物又は植物由来物を加工及び/又は利用効率を向上させるための酵素組成物。
  18. 請求の範囲第1〜3項及び15項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼを含んで成る、アグリコンとβ−D−グルコピラノシル結合をする配糖体に作用することにより、植物又は植物由来物を加工及び/又は利用効率を向上させるための酵素組成物。
  19. 請求の範囲第16〜18項のいずれか一項に記載の酵素組成物が、さらにセルラーゼ、キシラナーゼ、プロテアーゼ、ガラクタナーゼ、ガラクトシダーゼ、アラビナナーゼ、アラビノフラノシダーゼ、マンナナーゼ、ラムノガラクツロナーゼ、ポリガラクツロナーゼ、ペクチンメチルエステラーゼ、ペクチンリアーゼ及びポリガラクツロン酸リアーゼのうちのいずれか一もしくは二以上の成分を含有することを特徴とする酵素組成物。
  20. 請求の範囲第1〜3項及び15項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又は請求の範囲第16〜18項のいずれか一項に記載の酵素組成物を含有する飼料添加物。
  21. 請求の範囲第20項記載の飼料添加物を含んで成る飼料。
  22. 請求の範囲第1〜3項及び15項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又は請求の範囲第16〜18項のいずれか一項に記載の酵素組成物を含有するサイレージ用酵素剤。
  23. 請求の範囲第22項記載のサイレージ用酵素剤を含んで成るサイレージ。
  24. 請求の範囲第1〜3項及び15項のいずれか一項に記載のβ−グルコシダーゼ又は請求の範囲第16〜18項のいずれか一項に記載の酵素組成物を含有する食品加工用酵素剤。
  25. 請求の範囲第24項記載の食品加工用酵素剤を含んで成る加工食品。
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