JP4801814B2 - 車両用無段変速機の冷却構造 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンおよび後輪間に設けられるベルト式の無段変速機を少なくとも有する伝動装置を収容する伝動ケースに、前記無段変速機を収容する変速機室が形成されるとともに、該変速機室内に外部から冷却空気を導入するための導入口と、前記変速機室から外部に冷却空気を排出するための排出口とが設けられる車両用無段変速機の冷却構造に関する。
伝動ケースの上部に、変速機室内に通じる排出口が設けられ、変速機室に導入されて無段変速機を冷却した後の冷却空気を前記排出口から外部に排出するようにした無段変速機の冷却構造が、特許文献1に開示されている。
特開2003−42270号公報
ところが、上記特許文献1で開示されるように、伝動ケースの上部に設けられた排出口から外部に冷却空気を排出するようにした場合、排出口から変速機室内への水の浸入を防止できるレベルは、伝動ケースの上部壁の位置に影響される。したがって、より高いレベルの防水性能を求めると、変速機室の上部壁を高く設定する必要があり、その結果、車両の重心位置に影響を与えたり、レイアウトの制約を招くなど、配置の自由度が低くなってしまう。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、充分なレベルの防水性能を得るとともに配置の自由度を高め得るようにした車両用無段変速機の冷却構造を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、エンジンおよび後輪間に設けられるベルト式の無段変速機を少なくとも有する伝動装置を収容する伝動ケースに、前記無段変速機を収容する変速機室が形成されるとともに、該変速機室内に外部から冷却空気を導入するための導入口と、前記変速機室から外部に冷却空気を排出するための排出口とが設けられる車両用無段変速機の冷却構造であって、前記エンジンが、クーリングファンによる冷却風でエンジン本体を冷却する強制空冷エンジン、または前記クーリングファンによる冷却風でラジエータを冷却する水冷式エンジンであるものにおいて、
前記排出口が、車体の幅方向中心側に臨んで前記伝動ケースに設けられると共に、その排出口に一端を液密に接続した排出管路の他端側が前記伝動ケースの上方を、前記車体の幅方向中心に対して前記排出口とは反対側に延びており、前記クーリングファンによる冷却風の流通方向に沿う前記クーリングファンよりも上流側でエンジンシュラウドまたはラジエータシュラウド内に連通する突出筒部が、該エンジンシュラウドまたはラジエータシュラウドに上方に突出して設けられ、その突出筒部の上端が前記排出管路の他端に前記伝動ケースよりも高位置で接続されることを特徴とする。
さらに請求項記載の発明は、請求項記載の発明の構成に加えて、前記伝動ケースの左右両側に配置される後輪間に収まるように前記排出管路が配置されることを特徴とする。
発明によれば、伝動ケースの形状に影響されることなく、変速機室からの冷却空気の排出端を車体の好適な位置(即ちエンジンシュラウドまたはラジエータシュラウド内)に設定することができるので、充分なレベルの防水性能を得ることができるとともに、伝動ケースの配置上の自由度を高めることができる。また雨などの車両側面からの水が排出管路にかかることを抑止し、伝動ケース内への水の浸入をより確実に防止することができる。さらにクーリングファンによってシュラウド内に生じる負圧を利用して変速機室からの冷却空気を効率よく排出することができる。さらにシュラウドから上方に突出した突出筒部に排出管路を連結することで、排出管路内への水の浸入を抑制することができる。
さらに請求項の発明によれば、左右一対の後輪間のスペースを有効に利用して排出管路をコンパクトに配置することができる。
図1〜図16は本発明の一実施例を示すものであり、図1は本発明を適用した揺動式自動三輪車の側面図、図2は図1の2−2線に沿う拡大断面図、図3は図1の3矢視図、図4はフェンダおよびカバーを取り外した状態での図3に対応した図、図5はフェンダ、カバーおよびエアクリーナを取り外した状態での図3に対応した図、図6はフェンダ、カバーおよび後輪を省略した状態での図3の6−6線断面図、図7は図3の7−7線断面図、図8は図6の8−8線拡大断面図、図9は図7の9−9線拡大断面図、図10は図3の10−10線拡大断面図、図11は図3の11−11線拡大断面図、図12は図3の12−12線拡大断面図、図13は図3の13−13線断面図、図14は図6の14線矢視拡大図、図15は図14の15−15線断面図、図16は図14の16−16線断面図である。
先ず図1において、小型車両である揺動式自動三輪車が備える車体Bの中央部には、前面にウインドスクリーン21を配置したルーフ付きのキャビン22が、底面を低床式のフロア23とするようにして形成されており、該キャビン22の前壁に操向ハンドル24が支持され、車両運転者を座らせるための乗車用シート25が前記キャビン22内で操向ハンドル24の後方に配置される。また車体Bの前部には、前記操向ハンドル24で操向される単一の前輪WFが操向可能に懸架され、前記乗車用シート25の下方で車体BにはパワーユニットPの前部が揺動連結機構26を介して連結され、左右一対の後輪WR…がパワーユニットPの後部に軸支されている。
前記揺動連結機構26は、車体Bの後方側下部に前後揺動を可能として一端が連結されるリンク27と、パワーユニットPに設けられたブラケット29および前記リンク27の他端間を結ぶジョイント28とから成り、ジョイント28は、前記リンク27の他端に前端が揺動可能に連結されるジョイントケース30と、該ジョイントケース30に前部が回転自在に挿入されるとともに後部が前記ブラケット29に取付けられるジョイント軸31と、ジョイントケース30およびジョイント軸31間に介設されるダンパ部32とを有するものである。
こような揺動連結機構26によって、パワーユニットPは、車体Bに対して上下に揺動自在かつ左右にローリング自在に支承されることになり、前記ジョイントケース30および車体B間にはクッションユニット33が設けられる。
図2において、前記パワーユニットPは、4サイクルであるエンジンEと、該エンジンEの動力を両後輪WR,WRに伝達する伝動装置Tとで構成されるものであり、伝動装置Tは、前記エンジンEの出力を無段階に変速して伝動軸36に伝達するベルト式の無段変速機37と、無段変速機37および伝動軸36間に介設される遠心クラッチ38と、伝動軸36の回転動力を減速する歯車列39と、左右の後輪WR,WRに個別に対応した左、右車軸41L,41Rおよび前記歯車列39間に介設される差動歯車40とを備える。
前記エンジンEは、たとえば水冷式単気筒に構成されるものであり、そのエンジン本体42は、クランクケース43と、シリンダ軸線C1を車体Bの前後方向に沿わせた略水平としてクランクケース43から前方に延びるシリンダブロック44と、シリンダブロック44の前部に結合されるシリンダヘッド45と、シリンダヘッド45の前部に結合されるヘッドカバー46とを備える。
クランクケース43に回転自在に支承されるクランクシャフト47の一端部は、揺動式自動三輪車の進行方向に沿う右側でクランクケース43から突出されており、このクランクシャフト47の一端部にはAC発電機48が連結される。しかもAC発電機48の外方で前記クランクシャフト47にはクーリングファン49が固定される。
一方、水冷式であるエンジンEからの冷却水を冷却するためのラジエータ50が、揺動式自動三輪車の進行方向前方に向かってエンジン本体42におけるシリンダブロック44およびシリンダヘッド45の右側方に配置される。しかも前記AC発電機48およびクーリングファン49を覆うラジエータシュラウド51が前記クリーナケース43に結合されており、このラジエータシュラウド51には、前記ラジエータ50に後方から接続されるようにして前方に延びる導風部51aが一体に連設され、ラジエータ50は導風部51aの前部に結合、支持される。
而してクランクシャフト47とともにクーリングファン49が回転するのに応じて、前方からラジエータ50を通過するように外部からの冷却風が図2の矢印で示すようにラジエータシュラウド51内に吸引され、エンジン本体42のシリンダヘッド45からラジエータ50に導かれた冷却水が前記ラジエータ50で冷却風により冷却される。
また前記シリンダヘッド45に配設される吸気弁および排気弁(図示せず)を開閉駆動する動弁装置の一部を構成するようにして前記シリンダヘッド45に回転自在に支承されるカムシャフト54と、前記AC発電機48寄りのクランクシャフト47との間には、調時伝動装置55が設けられており、クランクシャフト47の回転動力は前記調時伝動装置55によって1/2に減速されて前記カムシャフト54に伝達される。
揺動式自動三輪車の進行方向に沿う左側で前記クランクケース43には、該クランクケース43から後方に延びるケース主体56が連結されており、このケース主体56の右側に締結される右カバー57と、前記ケース主体56の左側に締結される左カバー58と、前記ケース主体56とで伝動ケース59が構成される。
而して前記伝動装置Tのうちベルト式の無段変速機37および遠心クラッチ38は、ケース主体56および左カバー58間に形成される変速機室60に収容され、前記伝動装置Tのうち歯車列39および差動歯車40は、前記ケース主体56および右カバー57間に形成される歯車室61に収容される。
ところで左右一対の後輪WR,WRは、前記伝動ケース59の両側に配置されており、左、右車軸41L,41Rは、差動歯車40から左右に延設されるものであり、伝動ケース59からの前記左、右車軸41L,41Rの突出端部に後輪WR,WRがそれぞれ連結され、それらの後輪WR,WRにはドラムブレーキBR,BRがそれぞれ装着される。
図3〜図7を併せて参照して、エンジン本体42におけるシリンダヘッド45の上部側面には、後方側に湾曲した吸気管62の下流端が接続されており、この吸気管62には燃料噴射弁63が取付けられる。また吸気管62の上流端はスロットルボディ64に接続され、スロットルボディ64は伝動ケース59の後部上方に配置されるエアクリーナ66に、コネクティングチューブ65を介して接続される。
一方、前記シリンダヘッド45の下部側面には、シリンダヘッド45の下方からヘッドカバー46の左側側方にわたって湾曲した排気管67の上流端が接続される。一方、伝動ケース59の前部上方には直列に接続されるとともに伝動ケース59に支持された第1および第2触媒コンバータ68,69が配置されており、両触媒コンバータ68,69のうち上流側の第1触媒コンバータ68に前記排気管67の下流端が接続される。さらに前記エアクリーナ66の後方には、左、右車軸41L,41Rと平行に延びる排気マフラー71が伝動ケース59で支持されるようにして配置されており、両触媒コンバータ68,69のうち下流側の第2触媒コンバータ69が排気管70を介して前記排気マフラー71に接続される。
また車体Bの左右方向で前記エンジン本体42および前記ラジエータ50に挟まれる領域に、前記ラジエータ50に接続されるリザーバタンク72が配置されており、このリザーバタンク72は、内部に貯蔵した冷却水を外部から視認可能とするために透明な合成樹脂により形成される。
前記両後輪WR,WRは合成樹脂から成るフェンダ73で上方から覆われるものであり、このフェンダ73は、両後輪WR,WRを個別に上方から覆う車輪カバー部73a,73bと、エンジン本体42の上方で前記両車輪カバー部73a,73bの前部間を結ぶ前側連結部73cと、前記両車輪カバー部73a,73bの後部間を結ぶ後部連結部73dとから成り、前部連結部73cは、前記エンジン本体42の一部および前記リザーバタンク72の一部を覆うように形成される。
前記両車輪カバー部73a,73bのうち右側の車輪カバー部73bは、ラジエータ50も覆うように形成されており、ラジエータ50の前方で前記車輪カバー部73bには、前方からの走行風をラジエータ50に向けて流通させるためのルーバ88が取付けられる。
しかもフェンダ73には、前記両車輪カバー部73a,73b、前側連結部73cおよび後部連結部73dで周縁部が規定されるようにして矩形状の開口部74が設けられる。この開口部74は、前記吸気管62、燃料噴射弁63、スロットルボディ64、エアクリーナ66、第1および第2触媒コンバータ68,69、排気管70および排気マフラー71の一部、リザーバタンク72の一部を臨ませるようにして形成されるものであり、この開口部74は、カバー80で開閉可能に閉じられる。
前記フェンダ73における両車輪カバー部73a,73bのうち左側の車輪カバー部73aの前部は、図8で示すように、伝動ケース59における左カバー58に支持される。すなわち前記左カバー58に突設された一対の支持ボス81,81にボルト83,83を介してステー82が締結されており、このステー82に固着されたウエルドナット84に螺合されるボルト85で前記車輪カバー部73aがステー82に取付けられる。
また前記フェンダ73における両車輪カバー部73a,73bのうち右側の車輪カバー部73bの前部は、図9で示すように、ラジエータシュラウド51における導風部51aに支持される。すなわち導風部51aに突設された支持ボス86に螺合されるボルト87で前記車輪カバー部73bが支持ボス86に締結される。
前記フェンダ73の後部すなわち後部連結部73dと、前記カバー80とは、前記パワーユニットPに取付けられる支持フレーム75で支持される。この支持フレーム75は、前記リザーバタンク72の一部およびエアクリーナ66を囲むとともに平面視では揺動式自動三輪車の進行方向前方を向いた状態で左側を開放した略C字状の形状を有するフレーム主体76と、該フレーム主体76およびパワーユニットP間に設けられる3本の支柱77,78,79とから成る。
フレーム主体76は、1本のパイプを屈曲して形成されるものであり、一端が伝動ケース59の前部左側上部に締結されて前上がりに傾斜するとともに第1触媒コンバータ68の内方側に位置する傾斜支柱部76aと、該傾斜支柱部76aの他端に一端が連設されるとともに前記リザーバタンク72を越えて右側に水平に延びる前方支持部76bと、前方支持部76の他端に一端が連設されるとともに前記リザーバタンク72およびエアクリーナ66の外方で後ろ下がりに傾斜しつつ後方に延びる側方支持部76cと、該側方支持部76cの他端に一端が連設されるとともにエアクリーナ66の後方で左側に水平に延びる後方支持部76dとを一体に有する。また前記各支柱77〜79もパイプから成るものであり、下端部がラジエータシュラウド51に締結された支柱77の上端はフレーム主体76における側方支持部76cの前部寄りの部分に結合され、下端部が伝動ケース59に締結された支柱78の上端は前記側方支持部76cの後部寄りの部分に結合され、下端部が伝動ケース59に締結された支柱79の上端はフレーム主体76における後方支持部76dの他端寄りの部分に結合される。
図10において、前記支持フレーム75のフレーム主体76における後方支持部76dには、一対のブラケット90…が相互間に間隔をあけて結合されており、後方支持部76dに一体に設けられてブラケット90…に当接される取付け板部92…が、前記ブラケット90…に固着されたウエルドナット91…に螺合するボルト93…でブラケット90…に締結される。
図11において、前記支持フレーム75におけるフレーム主体76の前方支持部76bには、カバー80の前部が取付けられる。すなわち前記前方支持部76bを両側から挟む挟み腕部94a,94bを有する支持部材94が、前記カバー80の内面に突設された支持ボス95にボルト96で締結される。このような構造を採用することで、フレーム主体76を中心として、カバー80を開閉自在に支持することができ、カバー80をパワーユニットPから完全に取り外すことなく、カバー80を開いてメンテナンスを行うことができ、作業効率を高めることができる。
図12において、前記支持フレーム75におけるフレーム主体76の後方支持部76dには、カバー80の後部が取付けられる。すなわち後方支持部76dに設けられた一対のブラケット90…に当接する取付け板部100…が内方に凹む凹部101…を形成するようにしてカバー80の後部に設けられており、前記凹部101…に拡径頭部を配置するボルト99…を前記ブラケット90…に固着されたウエルドナット98…に螺合して締めつけることにより、後方支持部76dにカバー80の後部が取付けられる。
ところで、リザーバタンク72は、フェンダ73およびカバー80の少なくとも一方、この実施例では、図13で示すように、フエンダ73の前側連結部73cおよびカバー80の前部で覆われるものであり、このリザーバタンク72は、支持フレーム75におけるフレーム主体76の前方支持部76bに設けられたブラケット102にねじ部材103で締結されるとともに、前記フレーム主体76の側方支持部76cにねじ部材104で締結される。
すなわちリザーバタンク72は、支持フレーム75に固定されるものであり、この支持フレーム75はパワーユニットPに固定されるものであるので、リザーバタンク72はパワーユニットP側に固定されることになる。
前記リザーバタンク72は、その後部から上方に立ち上がる給水筒部72aを一体に有するものであり、この給水筒部72aの上端を臨ませる開口部107がカバー80の前部に設けられ、給水筒部72aの上端にはキャプ105が開閉可能に取付けられる。
ところでリザーバタンク72は、内部に貯蔵した冷却水を外部から視認可能とするために透明な合成樹脂により形成されるものであり、このリザーバタンク72内の貯蔵液量を外部から目視するための窓106が、前記フェンダ73における前側連結部73cに設けられる。
図14および図15において、エアクリーナ66のクリーナケース110は、下部ケース半体111および上部ケース半体112を相互に結合して構成されるものであり、下部ケース半体111および上部ケース半体112間に、クリーナエレメント113の支持枠114が挟持される。而してクリーナエレメント113および支持枠114と、上部ケース半体112との間に、クリーナエレメント113の一面を臨ませる未浄化室115が形成され、クリーナエレメント113および支持枠114と、下部ケース半体111との間に、クリーナエレメント113の他面を臨ませる浄化室116が形成される。またスロットルボディ64に連なるコネクティングチューブ65は浄化室116に上流端部を突入するようにして下部ケース半体111に接続される。
ところで前記クリーナケース110は、支持フレーム75および伝動ケース59に支持される。すなわち支持フレーム75におけるフレーム主体76の側方支持部76cは、クリーナケース110の右側で前後に延びるように配置されており、この側方支持部76cには、前記クリーナケース110の下部ケース半体111における上部に設けられた一対の取付け板部111a…に対応してブラケット117…が設けられる。しかも前記両取付け板部111a…にはグロメット118…が装着され、該グロメット118…を貫通するスリーブ119…に挿通されるボルト120…が、前記ブラケット117…に固着されたウエルドナット121…に螺合される。
また前記フレーム主体76の側方支持部76cとは反対側で、前記クリーナケース110の下部ケース半体111における上部には取付け板部111bが設けられており、この取付け板部111bに下方から当接するようにして上下に延びる支持脚122の下部が、たとえば一対のボルト123…で伝動ケース59における左カバー58の上部に締結される。しかも取付け板部111bにはグロメット124が装着され、該グロメット124を貫通するスリーブ125に挿通されるボルト126が、前記支持脚122に固着されたウエルドナット127に螺合される。
このようにして、支持フレーム75および伝動ケース59に支持されたクリーナケース110は、該クリーナケース110の上面すなわち上部ケース半体112の上面112aが後方に向かうにつれて下方位置となるように傾斜した姿勢となる。
ところで前記カバー80には、前記エアクリーナ66に対応した部分で上方に隆起した隆起部80aが設けられており、この隆起部80aの後方に臨む側面には、外部からの空気を導入するための矩形の外気導入口128が設けられる。而してクリーナケース110の上面112aは、前記外気導入口128側に向かって下方位置となるように傾斜することになり、前記外気導入口128は、揺動式自動三輪車の進行方向前方を向いた状態でクリーナケース110の幅方向中心から左側に寄った位置に配置される。
一方、前記クリーナケース110の上面112aにおいて、揺動式自動三輪車の進行方向前方を向いた状態で右側の前部には下方に凹んだ凹部129が形成されており、該凹部129に対応する部分で、クリーナケース110の下部および上部ケース半体111,112間には中継室130が形成され、この中継室130は、連絡管131を介して前記未浄化室115に連通する。而して前記連絡管13は略C字状に湾曲して形成されており、両端を前記中継室130および未浄化室115に連通させるようにして上部ケース半体112に取付けられる。
図16を併せて参照して、前記クリーナケース110の上面112aにおける凹部129の底部には、吸気筒部133が上方に立ち上がるようにして一体に設けられており、該吸気筒部133の上端が、前記中継室130に通じる吸気口134を形成するようにして開放される。而して該吸気口134は、前記外気導入口128に対応する位置から一側(この実施例では右側)にオフセットした位置で前記クリーナケース110の上面112aに設けられることになる。
ところで前記外気導入口128および前記吸気口134間にわたって前記カバー80の隆起部80aおよび前記クリーナケース110の上面112a間には導風通路135が形成されるものであり、この導風通路135に配置されるようにして前記クリーナケース110の上面112aには、該上面112aの傾斜方向に延びる複数たとえば第1〜第4遮蔽壁136,137,138,139が一体に突設されるとともに、1つのガイド壁140が一体に突設される。
前記第1〜第4遮蔽壁136〜139は、外気導入口128に対応する位置に第1遮蔽壁136を配置するとともに吸気口134側に第4遮蔽壁139を配置して相互間に間隔をあけて順次並列配置される。しかもクリーナケース110の上面112aの周縁部には無端状に連なる連結壁141が突設されており、クリーナケース110の上面112aの傾斜方向に沿って第1〜第4傾斜壁136〜139のうち少なくとも2つの下部、この実施例では第2および第4遮蔽壁137,139の前記傾斜方向に沿う下部は前記連結壁141で連結され、前記傾斜方向に沿う第2および第4傾斜壁137,139の上端は連結壁141との間に間隔をあけて配置される。
而してクリーナケース110の上面112aの傾斜方向に沿う第1および第3傾斜壁136,138の上部は前記連結壁141に連結されるものであり、第1遮蔽壁136の前記傾斜方向に沿う下端は連結壁141に近接配置され、第3傾斜壁138の前記傾斜方向に沿う下端は連結壁141との間に間隔をあけて配置される。
このように第1〜第4遮蔽壁136〜139の形状および配置を定めることにより、外気導入口128および前記吸気口134間にわたっては、各遮蔽壁136〜139およびクリーナケース110の上面112aによってラビリンス通路142が形成されることになる。しかも各遮蔽壁136〜139は、クリーナケース110の上面112aの傾斜方向に沿う下部側を吸気口134側に屈曲させて略「く」字形に形成される。
また揺動式自動三輪車の進行方向前方を向いた状態で左側の後部に位置する部分でクリーナケース110の下部および上部ケース半体111,112間には冷却空気導入室143が形成され、この冷却空気導入室143に通じる冷却空気導入口144がクリーナケース110の上面112aに設けられる。
ところで第1〜第4遮蔽壁136〜139のうち第1遮蔽壁136は、外気導入口128の略中央部に対応して配置されるものであり、第1〜第4遮蔽壁136〜139の一部である第1遮蔽壁136は、外気導入口128から前記導風通路135に導入された空気を、前記吸気口134に向かう空気と、前記冷却空気導入口144に向かう空気とに分離させる位置に配置されることになる。
而してガイド壁140は、第1遮蔽壁136および冷却空気導入口144間でクリーナケース110の上面112aに突設されており、前記上面112aの傾斜方向に沿うガイド壁140の下部は連結壁141に連結され、前記傾斜方向に沿うガイド壁140の上端は連結壁141から間隔をあけた位置に配置される。これにより第1傾斜壁136およびガイド壁140と、クリーナケース110の上面112aとで、外気導入口128および冷却空気導入口144間にわたるラビリンス通路145が形成されることになる。
ところで前記冷却空気導入口144から冷却空気導入室143に導入された空気は、無段変速機37を収容するようにして伝動ケース59内に形成された変速機室60に導かれるものであり、変速機室60内に外部から冷却空気を導入するための導入口146(図2参照)を形成するようにして伝動ケース59における左カバー58の上面に突設される接続筒部147(図6および図7参照)と、冷却空気導入室143に通じてクリーナケース110の下部ケース半体111に突設された接続筒部148とが接続ホース149で接続される。
また前記伝動ケース59の左カバー58には、変速機室60から外部に冷却空気を排出するための排出口150(図2参照)が設けられるものであり、この排出口150は、図2において鎖線C2で示す車体Bの幅方向中心側に臨んで伝動ケース59における左カバ58の内方側面に設けられる。
しかも前記排出口150には、左右一対の後輪WR,WR間に収まるように配置される排出管路151の一端が液密に接続されるものであり、この排出管路151の他端は、前記車体Bの幅方向中心C2に対して前記排出口150とは反対側で伝動ケース59よりも上方に配置される。
また前記排出管路151は、クーリングファン49による冷却風の流通方向に沿うクーリングファン49よりも上流側でラジエータシュラウド51内に連通するものであり、上方に突出するようにしてラジエータシュラウド51に設けられた突出筒部152に排出管路151の他端が接続される。
次にこの実施例の作用について説明すると、車体Bに揺動可能に支承されるパワーユニットP側に、該パワーユニットPに供給される液体である冷却水を貯蔵する液体タンクであるリザーバタンク72が固定されるので、エンジンタンク72に接続される接続管の長さを短くすることができ、接続管の配管が容易となるとともに、車体B側にリザーバタンク72を配置するスペースを確保する必要がなく、車体B全体のレイアウトの自由度が増大する。
しかも前記リザーバタンク72は、パワーユニットPに固定されるラジエータ50に接続されるものであり、ラジエータ50用のリザーバタンク72は比較的小さなものであるので、該リザーバタンク72を配置するスペースをパワーユニットP側に確保することは容易であり、しかもラジエータ50およびリザーバタンク72間を接続する接続管が短いものであるので、冷却水量を低減することができる。
またリザーバタンク72が、パワーユニットPの少なくとも一部を覆うカバー80および後輪WR…を覆うフェンダ73の少なくとも一方の内部、この実施例ではカバー80およびフェンダ73の内部の両方にまたがって配置され、フェンダ73に、リザーバタンク72の貯蔵液量を目視するための窓106が設けられるので、リザーバタンク72をカバー80およびフェンダ73で保護することができるとともに、リザーバタンク72全体を外部に露出させることによる外観性の低下を回避しつつ容易に液量を確認することができる。
ところでパワーユニットPの一部を構成するエンジンEのエンジン本体42は、シリンダ軸線C1を車体Bの前後方向に沿わせて略水平に配置され、ラジエータ50がエンジン本体42の側方に配置され、車体Bの左右方向でエンジン本体42およびラジエータ50に挟まれる領域にリザーバタンク72が配置されるので、ラジエータ50およびエンジン本体42間のスペースを有効に利用してリザーバタンク72をコンパクトに配置することができる。
さらにパワーユニットPの後部に配置される左右一対の後輪WR…を有する揺動式自動三輪車では、その旋回時のバンクがなく、また地面に対するパワーユニットPの揺動量が比較的小さいので、結果として液面変化量が小さく、リザーバタンク72をパワーユニットに配置する車両としてより好適である。
また伝動装置Tを収容する伝動ケース59には、伝動装置Tの一部を構成するベルト式の無段変速機37を収容する変速機室60が形成されるとともに、該変速機室60内に外部から冷却空気を導入するための導入口146と、変速機室60から外部に冷却空気を排出するための排出口150とが設けられており、一端が排出口150に液密に接続される排出管路151の他端が、伝動ケース59の上方で開放されている。
したがって伝動ケース59の形状に影響されることなく、変速機室60からの冷却空気の排出端を車体Bの好適な位置に設定することができるので、充分なレベルの防水性能を得ることができるとともに配置上の自由度を高めることができる。
また前記排出口150が、車体Bの幅方向中心C2側に臨んで伝動ケース59に設けられ、排出管路151の他端が、車体Bの幅方向中心C2に対して排出口150とは反対側に配置されるので、雨などの車両側面からの水が排出管路151にかかることを抑止し、伝動ケース59内への水の浸入をより確実に防止することができる。
またクーリングファン49による冷却風の流通方向に沿うクーリングファン49よりも上流側でラジエータシュラウド51内に、排出管路151が連通されるので、クーリングファンによってラジエータシュラウド51内に生じる負圧を利用して変速機室60からの冷却空気を効率よく排出することができる。
しかもラジエータシュラウド51に、上方に突出した突出筒部152が設けられ、排出管路151の他端が該突出筒部152に接続されるので、排出管路151内への水の浸入を抑制することができる。
さらに排出管路151が伝動ケース59の左右両側に配置される後輪WR…間に収まるように配置されるので、左右一対の後輪WR…間のスペースを有効に利用して排出管路151をコンパクトに配置することができる。
またエアクリーナ66を覆うカバー80の隆起部80aに、外部からの空気を導入する外気導入口128が後方に向けて開口するようにして設けられ、クリーナケース110の上面112aには、クリーナケース110内の未浄化室115に通じる吸気口134が設けられ、外気導入口128および吸気口134間にわたってカバー80の隆起部80aおよびクリーナケース110間に形成される導風通路135に介在する第1〜第4遮蔽壁136〜139がクリーナケース110の上面112aに突設されるが、クリーナケース110の上面112aは、外気導入口128に対向するようにして該外気導入口128側に向かって下方位置となるように傾斜して形成され、吸気口134が前記外気導入口128に対応する位置から一側にオフセットした位置でクリーナケース110の上面112aに設けられている。
したがって外気導入口128から導入された空気に同伴した異物が吸入口134に侵入するのを第1〜第4遮蔽壁136〜139で阻止することができ、特に、異物中の水はクリーナケース110の上面112aを伝って下方側に流れるので、吸気口134への水の浸入をより確実に阻止することができる。
また外気導入口128および吸気口134間に、クリーナケース110の上面112aの傾斜方向に延びる第1〜第4遮蔽壁136〜139が配置され、それらの遮蔽壁136〜139のうち第2および第4遮蔽壁137,139の前記傾斜方向に沿う下部間を結ぶ連結壁141がクリーナケース110に設けられるので、クリーナケース110の上面112aの下部側に水溜まり部を形成することができ、簡単な構造でより確実に吸気口134への水の浸入を阻止することができる。
また外気導入口128および吸気口134間にわたるラビリンス通路142が第1〜第4遮蔽壁136〜139と、クリーナケース110の上面112aとで形成されるので、吸気口134への水を含む異物の侵入をより確実に阻止することができ、さらに第1〜第4遮蔽壁136〜139が、クリーナケース110の上面112aの傾斜方向に沿う下部側を吸気口134側に屈曲させて略「く」字形に形成されるので、ラビリンス通路142の形状を複雑化するとともに通路距離を延ばして気液分離作用を高めることができる。
さらにクリーナケース110の上面112aに、吸気口134の他に、伝動ケース59の変速機室60に冷却空気を導くための冷却空気導入口144が設けられ、外気導入口128から導風通路135に導入された空気を、吸気口134に向かう空気と、冷却空気導入口144に向かう空気とを分離させる位置に、第1〜第4遮蔽壁136〜139の一部である第1遮蔽壁136が配置されるので、第1〜第4遮蔽壁136〜139の一部を利用して導風通路135を分離することができ、部品点数を低減することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとば上記実施例では、クーリングファン49による冷却風でラジエータ50を冷却する水冷式のエンジンEに適用した場合について説明したが、クーリングファンによる冷却風でエンジン本体を冷却する強制空冷エンジンに本発明を適用することも可能であり、その場合、クーリングファンによる冷却風の流通方向に沿うクーリングファンよりも上流側でエンジンシュラウド内に排出管路151が連通されればよい。
本発明を適用した揺動式自動三輪車の側面図 図1の2−2線拡大断面図 図1の3矢視図 フェンダおよびカバーを取り外した状態での図3に対応した図 フェンダ、カバーおよびエアクリーナを取り外した状態での図3に対応した図 フェンダ、カバーおよび後輪を省略した状態での図3の6−6線断面図 図3の7−7線断面図 図6の8−8線拡大断面図 図7の9−9線拡大断面図 図3の10−10線拡大断面図 図3の11−11線拡大断面図 図3の12−12線拡大断面図 図3の13−13線断面図 図6の14線矢視拡大図 図14の15−15線断面図 図14の16−16線断面図
37・・・無段変速機
49・・・クーリングファン
51・・・ラジエータシュラウド
59・・・伝動ケース
60・・・変速機室
146・・導入口
150・・排出口
151・・排出管路
152・・突出筒部
B・・・・車体
E・・・・エンジン
T・・・・伝動装置
WR・・・後輪

Claims (2)

  1. エンジン(E)および後輪(WR)間に設けられるベルト式の無段変速機(37)を少なくとも有する伝動装置(T)を収容する伝動ケース(59)に、前記無段変速機(37)を収容する変速機室(60)が形成されるとともに、該変速機室(60)内に外部から冷却空気を導入するための導入口(146)と、前記変速機室(60)から外部に冷却空気を排出するための排出口(150)とが設けられる車両用無段変速機の冷却構造であって、
    前記エンジン(E)が、クーリングファンによる冷却風でエンジン本体を冷却する強制空冷エンジン、または前記クーリングファン(49)による冷却風でラジエータ(50)を冷却する水冷式エンジンであるものにおいて、
    前記排出口(150)が、車体(B)の幅方向中心側に臨んで前記伝動ケース(59)に設けられると共に、その排出口(150)に一端を液密に接続した排出管路(151)の他端側が前記伝動ケース(59)の上方を、前記車体(B)の幅方向中心に対して前記排出口(150)とは反対側に延びており、
    前記クーリングファン(49)による冷却風の流通方向に沿う前記クーリングファン(49)よりも上流側でエンジンシュラウドまたはラジエータシュラウド(51)内に連通する突出筒部(152)が、該エンジンシュラウドまたはラジエータシュラウド(51)に上方に突出して設けられ、
    その突出筒部(152)の上端が前記排出管路(151)の他端に前記伝動ケース(59)よりも高位置で接続されることを特徴とする車両用無段変速機の冷却構造。
  2. 前記伝動ケース(59)の左右両側に配置される後輪(WR)間に収まるように前記排出管路(151)が配置されることを特徴とする請求項記載の車両用無段変速機の冷却構造。
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