従来から、いわゆる3ビーム方式の光学ヘッドが知られている。かかる従来の光学ヘッドにおいて、レーザ光源から出射されたレーザ光は、回折素子によって、回折されない0次光(以下、メインビームという)と、回折および偏向された2つの±1次光(以下、2つのサブビームという)とに分岐され、メインビームと2つのサブビームは、対物レンズによって光ディスク上に集光されて、1つのメインスポットと2つのサブスポットからなる3つのスポットが生成される。2つのサブスポットは、それぞれ、メインスポットに対して、光ディスクの径方向で1/2溝ピッチだけ内周方向と外周方向に離れて配置される。光ディスクで反射されたメインビームと2つのサブビームは、受光素子上の異なる位置に設けられた3つの4分割(径方向で2分割、トラック方向で2分割)光検出器にそれぞれ導かれる。
一方のサブビームを受けた4分割光検出器により検出されたプッシュプル信号(以下、PPS1信号という)と他方のサブビームを受けた4分割光検出器により検出されたプッシュプル信号(以下、PPS2信号という)とを加算した信号に所定ゲインをかけた信号を、メインビームを受けた4分割光検出器により検出されたプッシュプル信号(以下、PPM信号という)から減算することで、差動プッシュプル(DPP:Differential Push−Pull)方式によるトラッキング誤差信号(以下、TE信号という)が得られる。
光ディスクの偏芯による情報トラックの移動に追随するための対物レンズの変位に起因して、上記PPS1信号、PPS2信号、PPM信号にオフセット成分が発生するが、PPS1信号、PPS2信号、PPM信号に含まれるオフセット成分は同じ極性であり、サブスポットの径方向の配置関係(1/2溝ピッチ)から、PPS1信号とPPM信号とは逆位相となり、またPPS2信号とPPM信号とは逆位相となるので、PPS1信号とPPS2信号とを加算した信号をPPM信号から減算することで、オフセット成分がキャンセルされたTE信号が得られることになる。このTE信号に基づき、光ディスクの情報トラックに対する安定なトラッキングサーボが行われる。
しかし、上記DPP方式では、光ディスクの径方向にて、メインスポットと2つのサブスポットとの間隔を1/2溝ピッチに合わせる必要がある。逆に言えば、溝ピッチがスポット間隔の2倍から大きく外れてしまうような光ディスクに対しては、良好なTE信号が得られないことになる。そのため、上記DPP方式によるTE信号を用いて、溝ピッチが異なる複数の種類の光ディスクに対して1つの光学ヘッドで記録/再生を行う際には、光ディスクの種別、例えば、DVD(Digital Versatile Disc)規格の光ディスクとして、溝ピッチ1.48μmのDVD−RAM(記録容量2.6GB)、溝ピッチ1.23μmのDVD−RAM(記録容量4.7GB)、溝ピッチ0.74μmのDVD−R(Recordable)およびDVD−RW(Rewritable)などを判別して、光ディスクの溝ピッチに応じて、径方向のスポット間隔を1/2溝ピッチに合わせるために、光ビームをメインビームと2つのサブビームとに分岐する回折素子を光軸周りに回動させて回折光の方向を変える等余分な手段を設ける必要がある。
このような回折素子を光軸周りに回動させる手段を設けずに、溝ピッチの異なる光ディスクに対してDPP方式を適用する方法として、格子溝の周期構造の位相がそれぞれ異なる複数の領域に分割された回折素子を用いて、メインスポットと2つのサブスポットとを同じトラック上に配置する手法が提案されている。以下、かかる従来の手法について説明する。
図13(A)は、従来の光学ヘッドにおける回折素子(従来例1)の格子溝の周期構造を示す平面図で、図13(B)は、図13(A)の回折素子の周期構造で回折された光ビームの位相分布を表す模式図である(例えば、特許文献1参照)。
図13(A)において、従来例1の回折素子60は、光ディスクの径方向に対応した方向で分割された2つの領域61、62から成る。左側の領域62に形成された格子溝(斜線で示す)の周期構造は、右側の領域61に形成された格子溝(斜線で示す)の周期構造に対して1/2周期だけ異なっている。
このような周期構造で回折された±1次回折光の光ビームには、図13(B)に示すような位相分布が生じる。
図13(A)の右側の領域61で回折された光の位相を基準(ゼロ)とすると、周期構造の相違により左側の領域62で回折された光の位相は、±1次回折光の一方はπだけ位相が進み、他方はπだけ位相が遅れる。すなわち、図13(B)の右側の領域65の位相をゼロとすると、左側の領域66の位相はπとなる2段階の位相分布となる。また、0次回折光であるメインビームには位相分布は生じない。
これにより、メインスポットと2つのサブスポットを同じトラック上に配置した場合でも、メインビームで検出されたプッシュプル信号(PPM信号)に対して、2つのサブビームで検出されたプッシュプル信号(PPS1信号、PPS2信号)は逆位相となる。従って、PPS1信号とPPS2信号とを加算した信号をPPM信号から減算することで、光ディスクの溝ピッチの違いに依存せず、オフセット成分がキャンセルされたTE信号が得られることになる。
図14(A)は、他の従来の光学ヘッドにおける回折素子(従来例2)の格子溝の周期構造を示す平面図で、図14(B)は、図14(A)の回折素子の周期構造で回折された光ビームの位相分布を表す模式図である(例えば、特許文献2参照)。
図14(A)において、従来例2の回折素子70は、光ディスクの径方向に対応した方向で分割された3つの領域71、72、73から成る。中央の領域71に形成された格子溝(斜線で示す)の周期構造に対して、右側の領域72に形成された格子溝(斜線で示す)の周期構造は下側に1/4周期ずれており、左側の領域73に形成された格子溝(斜線で示す)の周期構造は上側に1/4周期ずれている。よって、右側の領域72と左側の領域73の周期構造は互いに1/2周期だけ配置がずれている。
このような周期構造により回折された光の位相は、前述したのと同様に、その周期構造の相違に応じて位相が変化するため、図14(B)に示すような位相分布が生じる。
図14(B)は、±1次回折光の一方の位相分布を示す図であり、他方の光の位相分布は、その符号が反転する。図14(B)において、中央の領域75の位相を基準(ゼロ)とすると、右側の領域76では、+π/2ラジアン(+90度)、左側の領域77では、−π/2ラジアン(−90度)の3段階の位相分布が生じることを示している。左右の領域76、77の位相差はπラジアンとなっており、これは前述した従来例1と同様の位相差である。
これにより、メインスポットと2つのサブスポットを同じトラック上に配置した場合でも、メインビームで検出されたプッシュプル信号(PPM信号)に対して、2つのサブビームで検出されたプッシュプル信号(PPS1信号、PPS2信号)は概ね逆位相となる。従って、PPS1信号とPPS2信号とを加算した信号をPPM信号から減算することで、光ディスクの溝ピッチの違いに依存せず、オフセット成分がキャンセルされたTE信号が得られることになる。
特開平9−81942号公報(図5)
特開2004−145915号公報(図7)
しかしながら、上記従来の3ビーム方式の光学ヘッドでは、以下のような問題があった。
まず、従来例1の回折素子を用いた光学ヘッドでは、対物レンズを光ディスクの径方向に変位させると、TE信号の振幅が大幅に低下する、という問題がある。
図15は、光ディスクとして溝ピッチ1.23μmのDVD−RAMを、従来例1の回折素子を用いた光学ヘッドで再生した場合における径方向での対物レンズ変位量に対するDPP方式によるTE信号振幅の変化をシミュレーションした結果を示すグラフ(C1)である。なお、図15の縦軸は、対物レンズ変位量がゼロの場合(トラック中心)のTE信号振幅を100%として正規化した振幅を表している。図15の曲線C1から分かるように、対物レンズがトラック中心から±0.2mm変位すると、TE信号振幅が30%近くも低下している。
次に、従来例2の回折素子を用いた光学ヘッドでは、図15の曲線C2で示すように、従来例1に比べて、TE信号振幅は全体的に低下しているが、対物レンズ変位量に対するTE信号振幅の低下率はより小さく抑えられている。
しかしながら、従来例2では、溝ピッチが異なる光ディスクに対して、2つのサブスポットのトラック上の最適配置が異なるという課題を有していた。次に、この理由について詳しく説明する。
図16は、溝ピッチ0.74μmのDVD−R/RWについて、サブスポット配置を最適に調整した場合に、メインビーム及び2つのサブビームから得られるプッシュプル信号のシミュレーション波形である。計算条件は、波長660nm、NA0.65、溝ピッチ0.74μmであり、図14(B)に示した中央の領域の幅は、通過するビーム74の直径の25パーセント、各ビームの光量を同一として計算した。尚、最適なサブスポット配置とは、サブビームを生成する回折素子を光軸周りに回転し、TE振幅が最大になるように調整することに相当する。図16では、2つのサブビームから得られるプッシュプル信号(PPS1信号、PPS2信号)は同一位相であるため重なっており、それらとメインビームから得られるプッシュプル信号(PPM)は位相がπラジアンずれている。
一方、図17は、溝ピッチ1.23μmのDVD−RAMについて、前述のDVD−R/RWの場合と同一のサブスポット配置の場合に、メインビーム及び2つのサブビームから得られるプッシュプル信号のシミュレーション波形である。計算条件は、溝ピッチ以外は前述と同一である。図17では、信号PPS1と信号PPS2は、溝中心に対して逆向きに同じ量だけ位相がずれた波形となっている。信号PPS1と信号PPS2は、TE信号を生成する際に加算されるため、その位相ずれは相殺され、溝中心でゼロクロスするTE信号が得られる。
しかしながら、レーザ光の出射光軸傾きや、対物レンズの傾きなど、光学ヘッドの部品誤差や組み立て誤差により2つのサブスポットの光量バランスが崩れ、信号PPS1とPPS2の振幅が異なる場合には、その位相ずれは相殺されず、TE信号は溝中心からずれた位置でゼロクロスする波形となる。このようなTE信号では、トラッキングサーボの精度が低下する、という問題があった。
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、溝ピッチが異なる光ディスクに対して、2つのサブスポットの光量バランスがとれていない場合でも、DPP方式によるTE信号の品質を向上させることが可能な回折素子を有する光学ヘッドを提供するとともに、かかる光学ヘッドを搭載することにより、高精度なトラッキングサーボを実現した光ディスク装置を提供することにある。
本発明の一局面に係る光学ヘッドは、光を出射する光源と、前記光源から出射された光を、回折されない主光束と回折および偏向された一対の副光束とに分岐する回折素子と、前記回折素子により分岐された前記主光束と前記一対の副光束を光ディスク上に集光させる対物レンズとを備え、前記回折素子は、前記光ディスクの径方向に対応した方向で、第1の領域と、該第1の領域に隣接する第2の領域と、該第2の領域に隣接する第3の領域とに分割され、前記第2の領域は、第4の領域と、該第4の領域に隣接する第5の領域とにさらに分割され、前記分割された各領域は周期構造の格子パターンを有し、前記第1の領域の周期構造は、前記第4の領域の周期構造に対して1/4周期だけ異ならせて配置され、前記第3の領域の周期構造は、前記第1の領域の周期構造に対して1/2周期だけ異ならせて配置され、前記第5の領域の周期構造は、前記第3の領域の周期構造に対して1/4周期だけ異なり、且つ、前記第4の領域の周期構造に対して1/2周期だけ異ならせて配置されている。
この構成によれば、前記回折素子を通過することで、一対の副光束のうちの一方の副光束は、第4の領域に対して、第1の領域にて−π/2ラジアンだけ、第3の領域にて+π/2ラジアンだけ、第5の領域にて+πラジアンだけ位相がずれた波面に変換され、一対の副光束のうちの他方の副光束は、第4の領域に対して、第1の領域にて+π/2ラジアンだけ、第3の領域にて−π/2ラジアンだけ、第5の領域にて−πラジアンだけ位相がずれた波面に変換される。
これにより、溝ピッチが異なる光ディスクに対して、主光束と一対の副光束とによる3つの光スポットを同一のトラック上に配置しながら差動プッシュプル(DPP)方式によるトラッキング誤差(TE)信号を生成することができ、且つ対物レンズの変位に対するトラッキング誤差信号の振幅の低下を抑えることができる。さらに、第4と第5の領域の位相をπずらしたことにより、一対の副光束のそれぞれに対応したプッシュプル信号は、情報トラック中心でゼロクロスする信号となり、したがって、一対の副光束の光量バランスがとれていない場合でも、DPP方式によるTE信号もトラック中心でゼロクロスする信号となり、TE信号の品質を向上させることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第4の領域と前記第5の領域は、前記光ディスクの径方向に対応した方向で分割されていることが好ましい。
この構成によれば、回折素子は、一対の副光束をそれぞれ、逆位相の関係で、径方向で、前記第1の領域による−π/2ラジアンと、前記第4の領域によるゼロと、前記第5の領域による+πラジアンと、前記第3の領域による+π/2ラジアンとからなる4段階の位相を有する波面に変換する。尚、逆位相の関係とは、一方の副光束の位相符号に対し、他方の副光束の位相符号が±逆になることを意味している。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第4の領域と前記第5の領域は、前記光ディスクの情報トラックの方向に対応した方向で分割されていることが好ましい。
この構成によれば、回折素子は、前記第4及び第5の領域について、一対の副光束をそれぞれ、情報トラック方向に前記第4の領域によるゼロと前記第5の領域によるπラジアンとからなる2段階の位相を有する波面に変換する。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第4及び第5の領域は、前記一対の副光束が通過する範囲の中心点に関して点対称であり、前記第4及び第5の領域の両方が、前記第1の領域及び前記第3の領域の両方に接するように分割されていることが好ましい。
この構成によれば、第4及び第5の領域の両方が、第1の領域及び第3の領域の両方に接するように分割されているので、光源と回折素子との間隔によらず、一対の副光束に等しく所望の位相分布を与えることができる。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第4及び第5の領域は、前記一対の副光束が通過する範囲の中心点に関し、点対称に更に分割され、前記中心点に関して点対称な領域の周期構造は、互いに1/2周期だけ異なっていることが好ましい。
この構成によれば、回折素子は、更に複数に分割された前記第4及び第5の領域について、一対の副光束をそれぞれ、光束の中心点に関して点対称な領域の光の位相差がπラジアンとなるように、偶数段階の位相を有する波面に変換する。
また、上記の光学ヘッドにおいて、前記第4の領域は、第6の領域と、該第6の領域に隣接する第7の領域とに分割され、前記第5の領域は、第8の領域と、該第8の領域に隣接する第9の領域とに分割され、前記第6の領域の周期構造は、前記第7の領域の周期構造に対して1/2周期だけ異ならせて配置され、前記第8の領域の周期構造は、前記第9の領域の周期構造に対して1/2周期だけ異ならせて配置され、前記第6の領域の周期構造と前記第9の領域の周期構造とは等しくなるように配置されていることが好ましい。
この構成によれば、第4の領域及び第5の領域の対称性を利用して、第6の領域及び第7の領域の非対称性と、第8の領域及び第9の領域の非対称性とをキャンセルすることができる。
本発明の他の局面に係る光ディスク装置は、光ディスクに対して情報信号の記録および/または再生を行う光ディスク装置であって、前記光ディスクを回転させるスピンドルモータと、本発明に係る光学ヘッドであり、前記光ディスクで反射され前記対物レンズを透過した前記主光束と前記一対の副光束をそれぞれ複数の光検出領域に分割された受光面で受光してそれぞれの光束の光量に対応した電気信号に変換する受光素子と、前記光ディスクに対して前記対物レンズを少なくとも径方向に駆動するアクチュエータとを備えた光学ヘッドと、前記光学ヘッドの前記受光素子から受け取った電気信号から、差動プッシュプル方式によるトラッキング誤差信号を生成する信号処理部と、前記スピンドルモータの駆動を制御するとともに、前記信号処理部から受け取った前記トラッキング誤差信号に基づき、前記光学ヘッドの前記アクチュエータの駆動を制御して前記光ディスクに対するトラッキングサーボを行う制御部とを備える。
この構成によれば、前記光学ヘッドを用いることで、DPP方式によるTE信号の品質を向上させることができるので、高精度なトラッキングサーボを実現した光ディスク装置を提供することが可能になる。
本発明によれば、溝ピッチが異なる光ディスクに対して、主光束と一対の副光束との径方向の間隔を溝ピッチの1/2に合わせるために、回折素子を光軸周りに回動させて一対の副光束の位置を調整することなく、対物レンズの変位に対するDPP方式によるTE信号振幅の低下を抑え、一対の副光束の光量バランスがとれていない場合でも、DPP方式によるTE信号の品質を向上させることが可能な回折素子を有する光学ヘッドを提供するとともに、かかる光学ヘッドを搭載することにより、高精度なトラッキングサーボを実現した光ディスク装置を提供することが可能になる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。尚、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。また、以下の各実施の形態では、溝ピッチが異なるDVD−RAMとDVD−R/RWの光ディスクを互換再生する3ビーム方式の光学ヘッドを例に挙げて説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る光学ヘッドの概略構成図である。図1において、光学ヘッド1は、光源としての半導体レーザ11と、回折素子12と、ビームスプリッタ13と、コリメートレンズ14と、光ディスク17上にレーザビームを集光させる対物レンズ15と、対物レンズ15用のアクチュエータ16と、検出レンズ18と、受光素子19とから構成されている。なお、以下では、DVD−RAMとDVD−R/RWの光ディスクをDVDと総称し、これに同一の符号17を付して説明を行う。
半導体レーザ11から出射された波長帯域630nm〜680nm(通常、660nm)の赤色レーザビームは、回折素子12により、回折されない0次光であるメインビーム(主光束)と回折及び偏向された±1次光である2つのサブビーム(一対の副光束)とに分岐され、メインビームと2つのサブビームは、ビームスプリッタ13を透過し、コリメートレンズ14により発散光から平行光に変えられ、対物レンズ15によりDVD17上に集光され、情報トラック上にメインスポットと2つのサブスポットが形成される。
図2は、図1に示す回折素子12を備えた光学ヘッド1を用いた場合のDVD17(溝ピッチTpは、DVD−R/RWの場合0.74μm、記録容量4.7GBのDVD−RAMの場合1.23μm)上での3つのスポットの位置関係を示す模式図である。図2において、メインスポット22と2つのサブスポット23、24は、1つの情報トラック(溝)21上に配置され、2つのサブスポットは、どちらも2つの強度ピークを有する光スポットとなっている。図2については、後ほど更に説明する。
DVD17で反射されたメインビームと2つのサブビームは、対物レンズ15およびコリメートレンズ14を透過し、ビームスプリッタ13で反射されて、検出レンズ18により受光素子19上の3つの4分割光検出器へと分離および集光されて、3つの4分割光検出器により、メインビームと2つのサブビームのそれぞれの光量に対応した電気信号として検出される。
図3(A)は、本発明の実施の形態1に係る光学ヘッド1における回折素子12の格子溝の周期構造を示す平面図である。図3(A)において、回折素子12は、DVD17の径方向に対応した方向で、左側の第1の領域31と、中央の第2の領域32と、右側の第3の領域33とに分割されている。なお、図3(A)において、格子溝を斜線で示している。中央の第2の領域32はさらに、DVD17の径方向に対応した方向で、第4の領域321と第5の領域322とに分割されている。
分割された各領域は、格子周期Λの格子パターンを有し、左側の第1の領域31の周期構造は、第4の領域321の周期構造に対して1/4周期だけ上側にずれ、右側の第3の領域33の周期構造は、左側の第1の領域31の周期構造に対して1/2周期だけ下側にずれ、第5の領域322の周期構造は、右側の第3の領域33の周期構造に対して1/4周期だけ下側にずれ、且つ、第4の領域321の周期構造に対し、1/2周期だけ下側にずれて配置されている。
図3(B)は、図3(A)の回折素子12の周期構造で回折された光ビームの位相分布を表す模式図である。図3(B)に示した領域と、図3(A)の領域の対応は、領域31と領域36、領域321と領域35、領域322と領域38、領域33と領域37が、夫々対応する。また、領域34は、メインビームの光スポットを表す。
このような回折素子12の周期構造により、メインビームは位相分布の付加無しでそのまま透過し、回折された2つのサブビームはそれぞれ、前述と同様に逆位相の関係で、領域35を通過した光の位相を基準(ゼロ)として、領域36による−π/2ラジアンと、領域38による+πラジアンと、領域37による+π/2ラジアンとからなる4段階の位相分布を有する波面に変換する。
このような位相分布、すなわち通過するビーム中心に関して左右等距離の領域の光の位相差がπとなる位相分布により、DVD17に集光されたサブスポットの強度分布は、図2に示した模式図のように、強度分布に2つのピークを有する光スポットとなる。
次に、以上のような位相分布をサブビームに与えることにより、2つのサブスポットの光量バランスがとれていない場合でも、DPP方式によるTE信号の品質を向上させることができる理由を説明する。
図4は、情報トラックで回折されたDVD17からの反射光の様子を、図3(B)の各領域配置に重ねて記した図である。同図の円と2つの円弧の重なりは、情報トラックによる±1次回折光と0次回折光の重なりを示しており、DVD−RAMを想定して描いている。DVD−RAMは溝ピッチが広いので情報トラックによる±1次回折光の回折角が小さく、それら回折光の重なる部分は、領域35、38に含まれている。斜線部35A、38Aは、共に情報トラックによる0次回折光と1次回折光が重なり、それらの位相差に応じて干渉を生じる領域である。
図5(A)乃至図5(C)は、夫々、情報トラックにより回折された0次及び±1次回折光の位相をベクトル表示した図である。図5(A)は、メインビームの反射光内の各回折光について、DVD17上のメインスポットが情報トラック中心にあるときの位相ベクトルを示している。±1次回折光は0次回折光に対し、共に90度と等しいため、光の干渉状態が等しくなる。このため、メインビームでは0次と±1次回折光が重なる領域の強度分布が等しくなり、検出されたプッシュプル信号は、情報トラック中心でゼロクロスする信号となる。
図5(B)は、本発明の特徴であるサブビームの領域35A、38A内の各回折光について、DVD17上のメインスポットが情報トラック中心にあるときの位相ベクトルを示している。本発明では、領域35を通過した光の位相を基準(ゼロ)として、領域36による−π/2ラジアンと、領域38による+πラジアンと、領域37による+π/2ラジアンとからなる4段階の位相分布を有する波面に変換するため、領域35A内の0次回折光と−1次回折光の位相差は180度、領域38A内の0次回折光と+1次回折光も位相差は180度と、どちらの位相差も等しくなる。従って、図4に示した領域35Aと38Aの光強度分布は等しくなり、これらの領域から検出されるプッシュプル信号は、情報トラック中心でゼロクロスする信号となる。
図5(C)は、従来例2について、前述と同様に領域35A、38A内の回折光の位相をベクトル表示した図である。従来例2では、それらの領域内の0次回折光の位相は均一であるため、領域35A内の0次回折光と−1次回折光の位相差は180度、領域38A内の0次回折光と+1次回折光は位相差は0度となる。光の干渉効果により、位相差180度では光は弱めあい、位相差0度では光は強めあうため、領域35Aの光強度は小さくなり、領域38Aの光強度は大きくなる。従って、これらの領域から検出されるプッシュプル信号は、情報トラック中心でゼロクロスしないことになる。
このように、本発明は従来例2と異なり、メインスポットが情報トラック中心に位置するときに、サブビームの反射光内の領域35A、38Aの光強度分布を等しくすることができる。
図6は、本発明の実施の形態に関し、情報トラックの溝ピッチ1.23μmのDVD−RAMについて、メインビーム及び2つのサブビームから得られるプッシュプル信号波形をシミュレーションした結果である。メインスポット及び2つのサブスポットは、図2に示すように、同一の情報トラック中心上に配置し、計算条件は、従来例の計算と同一である。図6にて、信号PPS1と信号PPS2は重なっており、溝中心でゼロクロスする波形となっている。従って、それらの振幅が異なっても、DPP方式の演算後のTE信号のゼロクロス点が変化しない良好な信号が得られる。
また、溝ピッチが狭いDVD−R/RWでは、情報トラックにより回折された±1次回折光の回折角が大きいため、前記領域35、38には、0次回折光と±1次回折光が重なる部分が生じない。従って、DVD−R/RWでは、前述した従来例2と同様に、良好なTE信号が得られる。
以上のように、本実施の形態1によれば、メインスポットと2つのサブスポットを同一の情報トラック中心上に配置しながらも、溝ピッチが異なる光ディスク、例えば、DVD−RAMとDVD−R/RWに対しても、最適なサブスポット配置を実現する。すなわち、2つのサブビームのそれぞれに対応したプッシュプル信号PPS1、PPS2は、溝ピッチによらず、情報トラック中心でゼロクロスする信号となるため、同じスポット配置でTE振幅最大が実現される。更に、2つのサブビームの光量バランスがとれていない場合でも、DPP方式によるTE信号はトラック中心でゼロクロスする信号となるため、TE信号の品質を向上させることができる。
尚、図3(B)に示す中央の領域の幅は、通過するサブビームの直径の25パーセントとしてシミュレーションしたが、サブビーム直径の15〜35パーセント程度の範囲では同様の効果が得られる。
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2が、実施の形態1と相違するのは、回折素子の構成であり、その他の構成については、実施の形態1と同じであるので、同一の符号を付して詳細な説明を省略する。以下では、実施の形態1との相違点について説明する。
図7(A)は、本発明の実施の形態2に係る光学ヘッド1における回折素子120の格子溝の周期構造を示す平面図である。図7(A)において、回折素子120は、DVD17の径方向に対応した方向で、左側の第1の領域31と、中央の第2の領域32と、右側の第3の領域33とに分割されている。なお、図7(A)において、格子溝を斜線で示している。中央の第2の領域32はさらに、DVD17の情報トラック方向に対応した方向で、第4の領域41と第5の領域42とに分割されている。
分割された各領域は、格子周期Λの格子パターンを有し、左側の第1の領域31の周期構造は、第4の領域41の周期構造に対して1/4周期だけ上側にずれ、右側の第3の領域33の周期構造は、左側の第1の領域31の周期構造に対して1/2周期だけ下側にずれ、第5の領域42の周期構造は、右側の第3の領域33の周期構造に対して1/4周期だけ下側にずれて配置されている。また、中央の第2の領域32内にて、第5の領域42の周期構造は、第4の領域41の周期構造に対して1/2周期だけ下側にずれて配置されることになる。
このような周期構造により回折された光の位相は、前述したのと同様に、その周期構造の相違に応じて位相が変化するため、図7(B)に示すような位相分布が生じる。図7(B)は、図7(A)の回折素子120の周期構造で回折された光ビームの位相分布を表す模式図である。図7(B)に示した領域と、図7(A)の領域の対応は、領域31と領域36、領域41と領域45、領域42と領域48、領域33と領域37が、夫々対応する。また、領域44は、メインビームの光スポットを表す。
図7(B)は、±1次回折光の一方の位相分布を示す図であり、他方の光の位相分布は、その符号が反転する。図7(B)において、中央の領域45の位相を基準(ゼロ)とすると、第1の領域36による−π/2ラジアンと、第3の領域37による+π/2ラジアンとからなる3段階の位相と、第1の領域36による−π/2ラジアンと、第5の領域48による+πラジアンと、第3の領域37による+π/2ラジアンとからなる3段階の位相とを有する波面、および情報トラック方向で、第4の領域45によるゼロと第5の領域48による+πラジアンとからなる2段階の位相を有する波面に変換する。
次に、上記のような本実施の形態の位相分布を与えることにより、前述した実施の形態1と同様の効果があることを説明する。
図8は、情報トラックで回折されたサブビームの反射光の様子を示す図である。図4の説明と同様に、斜線部は、情報トラックで回折された0次回折光と±1次回折光が重なった部分である。領域45の内部で0次回折光と±1次回折光が重なった部分と、領域48の内部で0次回折光と±1次回折光が重なった部分との違いは、0次回折光の位相がπ異なることである。これにより、領域45内の光で検出されたプッシュプル信号と、領域48内の光で検出されたプッシュプル信号とでは、その波形位相がπ異なる。従って、信号PPS1または信号PPS2を検出する際の加算効果により、領域45、48の寄与はキャンセルされ、実施の形態1と同様に、信号PPS1、PPS2は情報トラック中心でゼロクロスする信号となる。
以上のように、本実施の形態2によれば、メインスポットと2つのサブスポットを同一の情報トラック中心上に配置しながらも、溝ピッチが異なる光ディスク、例えば、DVD−RAMとDVD−R/RWに対しても、最適なサブスポット配置を実現する。すなわち、2つのサブビームのそれぞれに対応したプッシュプル信号PPS1、PPS2は、溝ピッチによらず、情報トラック中心でゼロクロスする信号となるため、同じスポット配置でTE振幅最大が実現される。更に、2つのサブビームの光量バランスがとれていない場合でも、DPP方式によるTE信号はトラック中心でゼロクロスする信号となるため、TE信号の品質を向上させることができる。
尚、図7(B)に示す中央の領域の幅は、通過するサブビームの直径の25パーセントとしてシミュレーションしたが、サブビーム直径の15〜35パーセント程度の範囲では同様の効果が得られる。
また、実施の形態1と実施の形態2とを組み合わせることもできる。例えば図9の位相分布に示すように、回折素子120は、DVD17の径方向にそれぞれ隣接して、左側の第1の領域36と、中央の第2の領域39と、右側の第3の領域37とに分割されている。ここで、第2の領域39は、DVD17の情報トラック方向に互いに隣接して第4の領域45と第5の領域48とに分割される。さらに、第4の領域45は、DVD17の径方向に対応した方向に互いに隣接して第6の領域45aと第7の領域45bとに分割され、第5の領域48は、DVD17の径方向に互いに隣接して第8の領域48aと第9の領域48bとに分割される。
図9は、±1次回折光の一方の位相分布を示す図であり、他方の光の位相分布は、その符号が反転する。図9において、中央の第7の領域45b及び第8の領域48aの位相を基準(ゼロ)とする。この場合、DVD17の径方向において、第1の領域36による−π/2ラジアンと、第8の領域48aによるゼロと、第9の領域48bによる+πラジアンと、第3の領域37による+π/2ラジアンとからなる4段階の位相と、第1の領域36による−π/2ラジアンと、第6の領域45aによる+πラジアンと、第7の領域45bによるゼロと、第3の領域37による+π/2ラジアンとからなる4段階の位相とを有する波面に変換する。また、DVD17の情報トラック方向において、第8の領域48aによるゼロと第6の領域45aによる+πラジアンとからなる2段階の位相と、第9の領域48bによる+πラジアンと第7の領域45bによるゼロとからなる2段階の位相とを有する波面に変換する。
すなわち、第6の領域45aの周期構造は、第7の領域45bの周期構造に対して1/2周期だけ異ならせて配置され、第8の領域48aの周期構造は、第9の領域48bの周期構造に対して1/2周期だけ異ならせて配置され、第6の領域の周期構造45aと第9の領域48bの周期構造とは等しくなるように配置されている。
この構成により、情報トラックで回折されたサブビームの反射光の上下方向の対称性を利用して、第6の領域45a及び第7の領域45bの左右方向の位相分布の非対称性で強度分布に非対称性が生じた場合に、第8の領域48a及び第9の領域48bの左右方向の位相分布の逆向きの非対称性で、その強度分布の非対称性をキャンセルさせることができる。また、図9においては、第8の領域48aの位相を0とした時の、各領域の位相を、それぞれπ、0としたが、本実施形態はこの数値に限定されるものではない。
(実施の形態3)
次に、実施の形態3に係る光学ヘッドについて説明する。図10は、実施の形態3に係る光学ヘッドの構成を示す図である。図10に示す光学ヘッド140は、回折素子を光源に近接して配置したことを特徴とする。光学ヘッド140は、光源141、回折素子12、ビームスプリッタ143、コリメートレンズ144、対物レンズ145、検出レンズ147、受光素子148及びアクチュエータ149を備える。
光源141は、図1に示す半導体レーザ11と同じ構成であり、波長帯域630nm〜680nmの赤色レーザビームを出射する。実線142aは、メインビームを示し、点線142bは2つのサブビームのうち、ひとつのサブビームを示す。
なお、図10に示す回折素子12、ビームスプリッタ143、コリメートレンズ144、対物レンズ145、検出レンズ147、受光素子148及びアクチュエータ149の構成は、図1に示す回折素子12、ビームスプリッタ13、コリメートレンズ14、対物レンズ15、検出レンズ18、受光素子19及びアクチュエータ16の構成とそれぞれ同じであるため、説明を省略する。
光源141と回折素子12とは近接して配置されているため、メインビームが通る光路とサブビームが通る光路のずれが大きくなる。図11は、回折素子12上を通過するメインビームとサブビームの位置を、図3(B)の各領域配置に重ねて示した図である。図11に示すメインスポット領域34は、メインビームの光スポットを表し、第1のサブスポット領域341は、1対のサブビームのうちの一方のサブビームの光スポットを表し、第2のサブスポット領域342は、他方のサブビームの光スポットを表している。図のように2つのサブビームは、光ディスクの情報トラック方向にずれて、回折素子12上を通過する。
回折素子12は、光ディスク146の径方向に対応した方向で、第1の領域31、第2の領域32及び第3の領域33に分割されており、第2の領域32は、さらに光ディスク146の径方向に対応した方向で、第4の領域321及び第5の領域322に分割されており、分割された各領域は周期構造の格子パターンを有している(図3(A)参照)。そのため、1対のサブビームが光ディスク146の情報トラック方向にずれたとしても、回折素子12は両サブビームに対して同じ位相分布を与えることができる。なお、図11に示した領域と、図3(A)の領域の対応は、領域31と領域36、領域321と領域35、領域322と領域38、領域33と領域37が、夫々対応する。
なお、図7(A)に示す回折素子120は、光ディスク146の径方向に対応した方向で、第1の領域31、第2の領域32及び第3の領域33に分割されており、第2の領域32は、さらに第4の領域41及び第5の領域42に分割されており、分割された各領域は周期構造の格子パターンを有している。例えば、実施の形態3における光学ヘッドに図7(A)に示す回折素子120を適用した場合、第1のサブスポット領域341と第2のサブスポット領域342とは、光ディスク146の情報トラック方向に並んで照射されるので、回折素子120は両サブビームに対して同じ位相分布を与えることができない。したがって、実施の形態3に示したような、光源と回折素子が近接した構成の場合には、図7(A)に示す回折素子120を用いるよりも図3(A)に示す回折素子12を用いることが望ましく、図3(A)の回折素子12ならば、光源と回折素子との間隔によらず、2つのサブビームに等しく所望の位相分布を与えることができる。
(実施の形態4)
図12は、本発明の実施の形態4に係る光ディスク装置の概略構成を示す機能ブロック図である。本実施の形態4の光ディスク装置50は、光学ヘッド1と、DVD17と、スピンドルモータ51と、トラバースモータ52と、信号処理部53と、制御部54とから構成されている。
光学ヘッド1は、図1に示すような、実施の形態1または実施の形態2の光学ヘッド1である。スピンドルモータ51は、制御部54により供給される回転制御信号に基づき、一定の回転数または一定の線速度でDVD17を回転させる。トラバースモータ52は、制御部54により供給される移動制御信号に基づき、光学ヘッド1をDVD17の径方向の所定位置へと移動させる。
信号処理部53は、外部から供給された情報信号を変調して光学ヘッド1に送り、また光学ヘッド1により検出されたメインビームの光量に対応した電気信号を受けて情報信号を復調し、さらに光学ヘッド1の3つの4分割光検出器により検出されたメインビームと2つのサブビームの光量に対応した電気信号から差動プッシュプル(DPP)方式のトラッキング誤差信号TEを生成して、制御部54に送る。
制御部54は、スピンドルモータ51およびトラバースモータ52の駆動を制御するとともに、信号処理部53から受け取ったDPP方式のトラッキング誤差信号TEから、トラッキングサーボ信号TSを生成し、光学ヘッド1の対物レンズ15用のアクチュエータ16(図1)の駆動を制御して、DVD17に対するトラッキングサーボを行う。
以上のように、本実施の形態4によれば、実施の形態1または実施の形態2の光学ヘッド1を用いることで、DPP方式によるトラッキング誤差信号TEの品質を向上させることができるので、高精度なトラッキングサーボを実現することが可能になる。
また、実施の形態4における光ディスク装置50は、実施の形態3における光学ヘッド140を備えてもよい。
なお、上記の各実施の形態では、DVD−RAMとDVD−R/RWを互換再生する光学ヘッドを例に挙げて説明したが、本発明は、これに限定されず、情報信号の記録再生に波長帯域780nm〜820nmの赤外レーザビームが用いられるCDと上記DVDを互換再生する光学ヘッド、情報信号の記録/再生に波長帯域390nm〜415nmの青色レーザビームが用いられるBD(Blu−ray Disc)に対応した光学ヘッド、またはCDとDVDとBDという3つの光ディスクを互換再生する光学ヘッドなど、また、かかる光学ヘッドを搭載した光ディスク装置にも適用可能である。
尚、前述した実施の形態1及び2では、回折素子12または120の中央に位置する第2の領域を、第4及び第5の領域として2つの領域に分割したが、前記第4及び第5の領域は、2つのサブビームが通過する範囲の中心点に関し、点対称に更に複数に分割され、前記中心点に関して点対称な領域の周期構造を、互いに1/2周期だけ異なる格子パターンとしても良い。
この構成によれば、サブビームは、ビーム中心点に関して点対称な領域の光の位相差がπラジアンとなるような位相分布を有する光束となるため、前述の実施の形態1または2と同様に、2つのサブビームのそれぞれに対応したプッシュプル信号PPS1、PPS2は、溝ピッチによらず、情報トラック中心でゼロクロスする信号とすることができる。