JP4799265B2 - 二酸化珪素質材料の表面改質方法及び表面改質された二酸化珪素質材料並びにその複合材料 - Google Patents
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二酸化珪素質材料で、半導体製造装置の部品としては石英ガラスとして用いられている。
半導体製造における多様な熱処理工程では、炉心管やウエハボート等に石英ガラス製の治具が使用されている。石英ガラス製の治具が使用されるのは、酸化物質として安定で純度や電気的特性に優れているためであり、半導体製造装置の部品として幅広く利用されている。安定な二酸化珪素材料である石英ガラスは、化学反応を起こしにくく被処理物のシリコンウェーハ等を汚染させることなく、かつ、高温耐熱性及び各種処理雰囲気ガス・多くの酸・アルカリ・有機溶媒等の薬液に対して極めて安定な性質を有するなどの耐薬品性に優れていることによる。
しかしながら、石英ガラスは、弗化水素酸溶液やフッ素系のガスに対しては非常に不安定であり、これらと接触することにより石英ガラスは著しく腐食される。
石英ガラス製の治具は半導体熱処理工程の使用サイクルに応じて、弗化水素酸やフッ素系のガスを用いて石英ガラス治具の洗浄をおこなうため、洗浄頻度により石英ガラスの治具の腐食が進行して強度低下を引き起こし、石英ガラス製治具の交換を余儀なくされる。
また、純度の高い石英ガラスを使用しても加工工程における汚染や、使用過程における汚染が石英ガラス製治具内部にまで拡散し、それらがまたガラス表面から飛散される可能性が懸念されるレベルまで、近年の半導体製造工程は進化してきている。こうした汚染源となる不純物の石英ガラスへの内部拡散は、石英ガラスの持つ構造(ガラス構造、六員環構造)によりもたらされる。従来は、アルミニウムなどの金属原子を添加し、配位させるなどして、不純物の拡散を抑えることがなされているが、これら金属原子は、それ自体が不純物であるという問題点を抱えている。
なお、保護膜として石英ガラス表面に窒化膜を形成し、耐腐食性及び硬度を向上させることが提案されており、石英ガラスの表面を窒化処理する方法として特許文献1、特許文献2及び特許文献3が知られている。
また、安定な二酸化珪素は、化学反応を起こしにくく、フッ酸によるウエットエッチングや、フッ素ガスによるドライエッチッングなどの反応が工業的に利用されている。二酸化珪素は熱力学的にも安定で、構成分子である酸素を解離し放出、すなわち還元化するには、極低酸素分圧と高温を必要とする。特許文献3においては、低酸素分圧下での還元及び窒化(2段階の還元窒化処理)が示されている。
本発明は、石英ガラスが軟化することのない温度で石英ガラスの深さ方向に不連続な窒化珪素層を形成するものである。
本発明においては、還元窒化処理として、窒素ガスによる1段階処理を施し、表層と内部層が不連続に窒化された新たな物質を提供するものである。
また、本発明により生成される部分的に還元窒化した二酸化珪素膜の複合材料は、二酸化珪素の還元窒化処理により、表層及び内部層における二酸化珪素の構造が変わり、かつ、その構造が一体化している材料が得られる。
表層に形成された窒化珪素層により二酸化珪素質材料の耐弗化水素酸性並びに硬度が向上し、半導体製造用の治具に使用した場合、長時間交換することなく安定的に使用することができる。
極低酸素分圧における窒化処理によって、二酸化珪素質材料の表面には窒化珪素層が形成されるが、深さ方向に一様な窒化珪素層が形成されず、窒化珪素層が深さ方向に不連続に形成される。この現象は、正確には説明できないが、以下に仮説を述べる。
窒化処理対象の石英ガラスの形状は、平面板に限定されず、曲面を有する形状のものにも適用可能であり、また、平面と曲面が組み合わされている複雑な形状の製品であっても均一表面処理することができ、製品の寸法精度に影響を及ぼすことはない。
石英ガラスの他、例えば金属シリコンの表面に形成した二酸化珪素薄膜においても本発明の表面処理法を施すことにより同様に深さ方向に不連続な窒化珪素層が形成される。
元素の酸化物が生成するときの標準ギブスエネルギー変化を示す図2のエリンガム図によってわかるように、二酸化珪素から酸素が解離する条件の1つである酸素分圧を酸素ポンプによって1×10-28atm以下の酸素分圧とし、1000℃に加熱して窒素ガスを供給して表面処理をおこなった。
サンプルは、SiO2薄膜(厚み540nm)をシリコンウェーハ上(厚み1.1mm)に成膜したものを用いた。極低酸素分圧の雰囲気は、固体電解質酸素ポンプを使用して生成した。
極低酸素分圧の雰囲気で二酸化珪素質基材の酸素が解離した状態で、900℃〜1000℃の温度で窒素ガスを導入して窒素雰囲気にすると、酸素が解離した状態の二酸化珪素質基材のSiと窒素が反応して不連続な窒化珪素層が形成される。
実施例により本発明を説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものでない。
図1に示すように、イットリア安定化ジルコニア固体電解質(YSZ)管に白金電極を設けた固体電解質型酸素ポンプ1を使用し、極低酸素分圧(1×10-28atm)の窒素ガスを得、この窒素ガスを反応炉2に送り、反応炉内を極低酸素分圧雰囲気とした。窒素ガス流量はマスフローコントローラ(MFC)で設定値に制御され、酸素ポンプにより極めて低い酸素分圧を有する雰囲気が維持される。
固体電解質型酸素ポンプ1を通過したガスを循環させて再度酸素ポンプに戻すことによって所望の酸素分圧とし、タンクに一定量貯留してある。
酸化ジルコニウム(ZrO2) 系の酸素イオン導電体の場合、約2V程度が限界の電圧である。従って、この電圧範囲内での酸素濃度制御特性を良好にするためには、固体電解質型酸素ポンプの抵抗値を可能な限り低下させることが必要である。
窒化処理したSiO2薄膜をXPS(X線電子分光分析装置)を使用して表面及び深さ方向の分析を特にSi−Nの結合に着目して実施した。
図4はワイドバンドスキャンスペクトル、図5〜8は、それぞれN(1s),Si(2p),C(1s),O(1s)である。
帰属のための結合エネルギーは、C−C,C−Hを284.6eVとして規準化した値である。帰属の結果を表1に示す。
図10は、図9の縦軸を拡大したものである。窒素原子の存在比率(atm%)の変化が見受けられる。SiO2薄膜の表面にあたる深さ0nm近傍で窒素原子約4%が観察された。また、酸素原子の存在がほぼ0%であるシリコンウェーハ基板近傍のSiO2領域で、同じく約4%が存在する。一方で、その中間の領域には窒素原子は存在せず、SiO2の領域が確保されている。SiO2領域を挟み込む形で、不連続なSiONを含む領域が確保された。この窒素原子は、Si−Ox−Nyで表記される結合で存在することが、表面付近のナロースキャンにより確認された。
図11〜14にSiO2薄膜中のN(1s)ピークの深さ方向の変化を挙げる。
表層(1nm)では、図5に示されるように強いピークが観察されたが、深さ10nm(図11)、深さ100nm(図12)、深さ300nm(図13)には、ピークが観察されないことがわかる。これに対して、530nm(図14)では、明らかにピークが認められる。
表面において検出された窒素は、深さ10nmで消失し、470nm付近まで検出限界以下で存在は確認できない。ところが、深さ470nmから540nmの厚さ70nmの層に窒素の存在が認められた。
すなわち、1回の処理で同時に、二酸化珪素の表層部(0〜7nm)及び二酸化珪素質基材の最深部(470〜540nm)に窒素が取り込まれている。
HF系ウエットエッチングやCF系ドライエッチング等に対して、表面を反応性が高い二酸化珪素質からより反応性の低い窒化珪素質にすることで、プラズマエッチング耐性が改善され、表面硬度が向上しているので耐スクラッチ性も向上し、半導体製造装置の治具用の石英ガラス、二酸化珪素薄膜及びその複合材料として有用である。
窒化珪素層が深さ方向に不連続となることについての理論的説明は完全にはできないが、以下のように考えられる。
極低酸素分圧雰囲気において、酸素原子を解離させる反応が、二酸化珪素の表面において発生し、この解離によって欠乏した酸素を補う形で内部から表面に酸素が供給され、深部に酸素欠乏層が生じる。そして、窒素が二酸化珪素基材中を通過して酸素欠乏層で結合して深部に窒化珪素層が形成される。
2 反応炉
3 二酸化珪素質材料
Claims (4)
- 固体電解質型酸素ポンプ、反応炉、流量マスフローコントローラ、タンクが順に連結され、タンクの出口が固体電解質型酸素ポンプに接続されて循環回路が形成してある酸素分圧制御装置によって窒素ガスの酸素分圧を1×10-28atm以下に維持し、反応炉内の二酸化珪素質材料を900〜1100℃に加熱して還元窒化することにより、材料の表層と内部層に不連続な窒化珪素層を形成する二酸化珪素質材料の表面改質方法。
- 請求項1の表面改質方法によって表面及び内部層に不連続な窒化珪素層を形成した二酸化珪素質材料。
- 請求項2において、二酸化珪素質材料が非酸化物質基板上に形成されたものである二酸化珪素質材料。
- 請求項3において、非酸化物質が珪素及びその化合物である二酸化珪素質材料。
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