JP4795867B2 - 歩行型作業機用トランスミッションのブッシュ位置決め構造 - Google Patents
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Description
駆動軸が回転することで、左右のギヤが回転し、左ギヤの回転で左駆動輪を回転させるとともに、右ギヤの回転で右駆動輪を回転させる。
ここで、ブッシュの内周面に対して駆動軸から押圧力や回転力が作用している。これらの押圧力や回転力は、ブッシュの内周面に対して所定方向から作用する。
よって、駆動軸とブッシュとの間に潤滑油を良好に供給するために、押圧力や回転力の作用方向を考慮して、油供給溝を、負荷が作用しない位置に位置決めする必要がある。
油供給溝の位置を確認しながらブッシュを組み込む作業は、作業者に負担がかかり、そのことが作業時間を短くする妨げになっていた。
そして、嵌合溝に突出部を収容することで、油供給溝を、ブッシュおよび駆動軸間に潤滑油を良好に供給可能な位置に位置決めすることにした。
これにより、作業者の負担を軽減することができ、作業時間を短くすることができるという利点がある。
よって、一方の嵌合溝に突出部の一部を収容させた際に、突出部の残部が外部に露出している。突出部の残部が外部に露出しているので、突出部の残部を目視で簡単に確認して、ブッシュが正常に組み付けられているか否かを判断することができる。
このように、ブッシュの組付け状態を、目視で簡単に確認することができるので、作業者の負担を一層軽減することができるという利点がある。
さらに、請求項1に係る発明では、第1油供給溝の端部は、第2油供給溝の端部に連通されている。これにより、ケース内の潤滑油を、第2油供給溝から第1油供給溝に良好に導くことができる。
これにより、ブッシュが回転することを一層確実に防いで、ブッシュおよび駆動軸間に潤滑油を良好に供給可能な位置に油供給溝を一層確実に保持することができるという利点がある。
これにより、ブッシュを回転させようとする力を、突出部の両側面で効率よく受けて、ブッシュが回転することをさらに確実に防ぐことができるという利点がある。
歩行型芝刈機10は、機体(図示せず)の前部に左右の前輪11を備えるとともに後部に左右の後輪12を備え、左右の前輪11および左右の後輪12間にエンジン13を備え、このエンジン13の下方に芝刈用刈刃14を備え、エンジン13の回転を左右の後輪12に伝える歩行型作業機用トランスミッション(以下、「トランスミッション」と略記する)15を備え、前記機体から後方へ操作用のハンドル17を延ばしたものである。
従動プーリ25は、駆動ベルト32を介して駆動プーリ33に連結されている。駆動プーリ33は、エンジン13に連結された駆動軸34に設けられている。
後輪駆動軸26の右端部に右ギヤ41が備えられ、右ギヤ41が右従動ギヤ42に噛み合っている。右従動ギヤ42に右車軸43を介して右後輪12が連結されている。
クラッチレバー46を操作することで、クラッチアーム27が作動し、トランスミッション15のクラッチ機構18(図2参照)を「クラッチ入」と「クラッチ切」とに切り替える。
変速レバー48を操作することで、変速アーム28が作動し、トランスミッション15の変速機構19(図2参照)を変速する。
これにより、左右の後輪12,12および左右の前輪11,11で自走しながら、芝刈用刈刃14で芝草などの草を刈ることができる。
トランスミッション15は、密封状態のケース21内の中間軸51にクラッチ機構18が設けられ、ケース21内の中間軸51および後輪駆動軸26に変速機構19が設けられ、ケース21内に潤滑油50が充填されている。
すなわち、クラッチ機構18や変速機構19は潤滑油50中に浸漬されている。
後輪駆動軸26は、左右の駆動軸ブッシュ(ブッシュ)57,58を介してケース21に回転自在に支持されている。この後輪駆動軸26は、ケース21の内部から左右の側部21a,21bを経てケース21の外部に延出されている。
左右の中間軸ブッシュ55,56および左右の駆動軸ブッシュ57,58は、同じ形状の部材である。右駆動軸ブッシュ58については、後で詳しく説明する。
スラストワッシャ63は、外周から位置決めピン62側に折り曲げられたストッパ部132を備える。ストッパ部132を環状に形成することで、位置決めピン62の両端側に配置することができる。よって、位置決めピン62が貫通孔61から抜け出すことを防止する。
スラストワッシャ63および位置決めピン62については、後で詳しく説明する。
カム部材75のカム軸82(図1参照)にクラッチアーム27が連結されている。
よって、入力軸24が回転すると、ウォーム79が回転し、ウォーム79の回転がウォームホイール76に伝わる。
左コーン65の傾斜面65aが、ギヤリング71の左傾斜面77に押圧されるとともに、右コーン66の傾斜面66aが、ギヤリング71の右傾斜面78に押圧される。
これにより、ギヤリング71の回転が左右のコーン65,66および左右のロックピン67,68を介して中間軸51に伝えられる。
シフトフォーク98には、変速操作軸99を介して変速アーム28(図1参照)が設けられている。
なお、左右の中間軸ブッシュ55,56および左駆動軸ブッシュ57は、右駆動軸ブッシュ58と同様であり、右駆動軸ブッシュ58のみを説明して左右の中間軸ブッシュ55,56および左駆動軸ブッシュ57の説明は省略する。
ブッシュ位置決め構造110は、右駆動軸ブッシュ58のブッシュ本体112に形成された突出部113と、上半ケース22に形成された上受入凹部(受入凹部)115と、下半ケース23に形成された下受入凹部(受入凹部)116と、上受入凹部115に形成された上嵌合溝(嵌合溝)117と、下受入凹部116に形成された下嵌合溝(嵌合溝)118とを有する。
第2油供給溝123は、フランジ121のうち、ケース21の内部に臨む面121aに、内周端121bから外周端121cまで延出された溝である。
フランジ121は、内端部112aから半径方向外側に張り出した円形状の張出部である。
突出部113は、フランジ121から外端部(他方の端部)112bまで軸方向に延出され、突出高さをフランジ121の張出高さに合わせたものである。
これにより、右駆動軸ブッシュ58が回転することを防いで、右駆動軸ブッシュ58および後輪駆動軸26間に潤滑油50を良好に供給可能な位置に第1油供給溝122を保持することができる。
突出部113およびフランジ121を面一に形成することで、右駆動軸ブッシュ58の形状を簡素に抑えることができ、生産性の向上を図ることができる。
加えて、突出部113およびフランジ121を面一に形成することで、従来と同様の管理が可能になる。
突出部113を第1油供給溝122に対して90度離れた位置に形成した理由は後述する。
なお、図3に示すように、右駆動軸ブッシュ58の外側において、ケース21と右駆動軸ブッシュ58との間にシール部材125が設けられている。
第1油供給溝122は、ブッシュ本体112の軸方向に内端部112aから外端部112bまで延出されている。
第1油供給溝122の内側端部122aは、第2油供給溝123の内周側端部123aに連通されている。
これにより、ケース21内の潤滑油を、第2油供給溝123から第1油供給溝122に良好に導くことができる。
下半ケース23の下受入凹部116にブッシュ本体112の下半分が収容されるとともに、下嵌合溝118に突出部113の下半分113aが収容される。
上受入凹部115にブッシュ本体112の上半分が収容されるとともに、上嵌合溝117に突出部113の上半分113bが収容される。これにより、右駆動軸ブッシュ58がケース21に取り付けられる。
よって、下嵌合溝118に突出部113の下半分113aを収容するとともに、上嵌合溝117に突出部113の上半分113bを収容することで、第1油供給溝122を上方に配置することができる。
よって、第1油供給溝122を上方に配置することで、第1油供給溝122から後輪駆動軸26とブッシュ本体112との間に潤滑油50を良好に供給することができる。
これにより、右駆動軸ブッシュ58を回転させようとする力を、突出部113の両側面113d,113dで効率よく受けて、右駆動軸ブッシュ58が回転することを防ぐことができる。
スラストワッシャの位置決め構造130は、ケース21に回転自在に支持された後輪駆動軸26にスラストワッシャ63が嵌合され、このスラストワッシャ63をケース21側に近接させた状態に位置決め(保持)するものである。
位置決めピン62は、図3に示すように、スラストワッシャ63の両面63a,63bのうち、ケース21側に対して反対側の面63aに近接させた状態で配置され、両端部62a,62aが後輪駆動軸26から突出されている。
ワッシャ本体131は、後輪駆動軸26に嵌合可能な嵌合孔131bが形成され、外周131aが円弧状に形成されている。
よって、ストッパ部132に位置決めピン62の両端部62a,62aが当接した際に、ストッパ部132を、位置決めピン62から受ける力に対して略直交させることができる。
これにより、位置決めピン62から受ける力をストッパ部132で効率よく受けて、位置決めピン62を後輪駆動軸26に貫通させた状態に確実に保つことができる。
環状のストッパ部132を、位置決めピン62の外周面62bに対して一定寸法Lだけ突出させることで、ストッパ部132に位置決めピン62の両端部62a,62aを確実に当接させることができる。
これにより、位置決めピン62を後輪駆動軸26に貫通させた状態に確実に保つことができる。
これにより、位置決めピン62が後輪駆動軸26と一体に回転することを、環状のストッパ部132で妨げる虞はない。
加えて、組付け作業の際に、環状のストッパ部132で位置決めピン62を簡単に覆うことができ、組付け作業の容易化を図ることができる。
ストッパ部132を折り曲げるだけで形成することができるので、スラストワッシャ63を安価に製造することができる。
これにより、図2、図3において、後輪駆動軸26が右側に移動する(抜け出す)ことを防ぐことができる。
ワッシャ本体131の外周131aから位置決めピン62に向けて環状のストッパ部132を延ばした。そして、ストッパ部132で位置決めピン62の両端部62a,62aを覆うようにした。
これにより、従来技術で説明した、ギヤのボス部を長く延ばす必要がなく、重量の増加を抑えることができる。
これにより、位置決めピン62の形状を簡略化でき、かつ部品点数を減らすことができる
図8(a),(b)は本発明に係るブッシュ位置決め構造を用いて右駆動軸ブッシュをケースに組み付ける手順を説明する図である。
(a)において、下半ケース23の下受入凹部116の上方に右駆動軸ブッシュ58を配置するとともに、下嵌合溝118に突出部113の下半分113aを合わせる。
右駆動軸ブッシュ58を矢印Aの如く下受入凹部116に向けて移動させる。
この状態で、突出部113の上半分113bが外部に露出している。よって、突出部の上半分113bを目視で簡単に確認して、右駆動軸ブッシュ58が正常に組み付けられているか否かを判断することができる。
右駆動軸ブッシュ58の組付け状態を、目視で簡単に確認することができるので、作業者の負担を軽減することができる。
よって、右駆動軸ブッシュ58をケース21に取り付けることで、第1油供給溝122が上方に配置される。
よって、右駆動軸ブッシュ58をケース21に組み付ける際に、上下の嵌合溝117,118に突出部113を収容する簡単な作業で、右駆動軸ブッシュ58および後輪駆動軸26間に潤滑油50を良好に供給可能な位置に第1油供給溝122を位置決めすることができる。
これにより、作業者の負担を軽減することができ、作業時間を短くすることができる。
(a)において、右駆動軸ブッシュ58のブッシュ本体112を下半ケース23の下受入凹部116に収容する際に、突出部113を下嵌合溝118の反対側に配置することが考えられる。
この場合、第1油供給溝122は下側に位置する。
この状態で、下半ケース23に上半ケース22を被せると、上半ケース22が突出部113に当接する。
これにより、第1油供給溝122を下側に配置した状態で、右駆動軸ブッシュ58をケース21に組み付ける虞はない。
この場合、第1油供給溝122は横方向に位置する。
この状態で、下半ケース23に上半ケース22を被せると、上半ケース22が突出部113に当接する。
これにより、第1油供給溝122を横方向に配置した状態で、右駆動軸ブッシュ58をケース21に組み付ける虞はない。
この嵌合溝に突出部113の全体を収容させることで、第1油供給溝122の位置決めをおこなうことができる。
すなわち、突出部113の断面形状を略矩形状に限定しないで、例えば三角形などの他の断面形状に形成することも可能である。
また、突出部113の長さは、フランジ121から外端部112bまで延長した長さに形成する必要はなく、任意に選択することができる。
例えば、歩行型草刈機、歩行型除雪機、歩行型耕耘機、動力機付きの歩行型一輪・二輪・三輪・四輪運搬車などに適用可能である。
Claims (2)
- 上下一対の半ケース(22,23)を組み付けたケース(21)と、このケース(21)に設けられた筒状のブッシュ(58)と、このブッシュ(58)に支持されて前記ケース(21)の内部から外部に延びる駆動軸(26)とを備え、前記ブッシュ(58)の内周面(112c)に潤滑油を供給する油供給溝を有する歩行型作業機用トランスミッションにおいて、
前記ブッシュ(58)の外周面(112d)から外側に突出された位置決め用の突出部(113)と、
前記上下一対の半ケース(22,23)にそれぞれ形成され、前記ブッシュ(58)を受け入れる上下の受入凹部(115,116)と、
これら上下の受入凹部(115,116)にそれぞれ形成され、前記突出部(113)を収容する上下の嵌合溝(117,118)と、を有し、
前記ブッシュ(58)は、一方の端部に半径方向外側に張り出したフランジ(121)を有し、
このフランジ(121)から他方の端部まで前記突出部(113)を軸方向に延ばし、
前記嵌合溝(117,118)のうち、下の嵌合溝(118)に前記突出部(113)の下半分を収容するとともに、上の嵌合溝(117)に前記突出部(113)の上半分を収容し、
前記油供給溝は、前記駆動軸(26)の上方に位置して前記駆動軸(26)の長手方向に沿って延びるように前記ブッシュ(58)の内周面(112c)に形成された第1油供給溝(122)と、この第1油供給溝(122)の端部(122a)から前記フランジ(121)の周縁まで上方に向かって前記フランジ(121)に形成される第2油供給溝(123)とからなることで、前記第1油供給溝(122)の端部(122a)が、前記第2油供給溝(123)の端部(123a)に連通されていることを特徴とする歩行型作業機用トランスミッションのブッシュ位置決め構造。 - 前記突出部(113)は、断面が略矩形状に形成されたことを特徴とする請求項1記載の歩行型作業機用トランスミッションのブッシュ位置決め構造。
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