JP4795760B2 - 搬送装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークを吊り下げて前工程から後工程へ搬送するための搬送装置に関する。
例えば、自動車用部品等を製造する工場においては、前工程において、ワークとしての部品に溶接等の加工を行った後、この加工後の部品を後工程に搬送している。そして、部品が比較的小さく作業者が持ち上げることができるような場合には、前工程を行った後、作業者が部品を後工程まで運んでいる。
また、動力を必要とせず、シンプルな構造でワークの搬送を行う装置としては、例えば、特許文献1に開示されたワーク搬送装置がある。このワーク搬送装置は、傾斜台上に傾斜方向に移動可能な搬送台を載置してなり、搬送台にワークを載置していないときには、搬送台が傾斜台における傾斜部の上端に引き上げられており、搬送台にワークを載置したときには、搬送台が上記傾斜部の下端まで移動するよう調整されている。
しかしながら、上記従来のワーク搬送装置においては、工場内において、傾斜台の傾斜状態を形成するために、複数の支柱を用いてやぐら状態の傾斜台を形成している。そのため、傾斜台が、工場内における所定のスペース(面積)を常に占有してしまうことになり、ワーク搬送装置が工場内において占める占有面積を小さくするためには十分ではない。
また、傾斜台に載置した搬送台は、ローラによって、傾斜台におけるガイドレール上を移動するよう構成されている。そのため、ガイドレール上に、例えば、溶接の際に生じる溶接スラグ(溶接カス)又は切削の際に生じる切粉等の異物が配置されてしまったときには、ローラが十分に転がることができず、搬送台が円滑に移動することが困難になる。
特開平11−255319号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたもので、簡単な構造により、ワークの自重を利用して安定してワークの搬送を行うことができ、工場内における占有面積をほとんどなくすことができる搬送装置を提供しようとするものである。
本発明は、工場内における支柱又は壁面に配設する固定ベースと、
該固定ベースに配設したガイドバーと、
該ガイドバーの長手方向に沿って、該ガイドバーの先端部までスライドした前進位置と、該前進位置よりも後方側に待機する後退位置とにスライドする搬送スライダーと、
該搬送スライダーの下部に配設し、搬送するワークを吊り下げるワーク吊下部とを有しており、
上記ガイドバーは、その後端部が上記固定ベースに設けた回動支点部に回動可能に係合してあり、その長手方向を水平方向に向けた水平状態又はその先端部が上記回動支点部よりも上方に位置するよう傾斜した後退傾斜状態と、上記回動支点部を中心に回動してその先端部が上記回動支点部よりも下方に位置するよう傾斜した前進傾斜状態とを形成するよう構成してあり、
上記固定ベースと上記ガイドバーとの間には、該ガイドバーを上記水平状態又は後退傾斜状態になるよう付勢する傾斜復帰バネが配設してあり、
上記搬送スライダーには、ワイヤを介してスライダー復帰用錘が接続してあり、上記ワイヤは、上記固定ベースに回転可能に配設したベース側滑車と、上記ガイドバーに回転可能に配設したバー側滑車とに掛け渡してあり、
上記ワーク吊下部に吊り下げた上記ワークの自重によって、上記ガイドバーを上記水平状態又は上記後退傾斜状態から上記前進傾斜状態へ傾斜させる共に、上記搬送スライダーを上記後退位置から上記前進位置までスライドさせて、当該ワークを搬送し、
上記ワークを取り出したときには、上記スライダー復帰用錘による重力を受けて、上記搬送スライダーが上記前進位置から上記後退位置までスライド復帰すると共に、上記傾斜復帰バネによる付勢力を受けて、上記ガイドバーが上記前進傾斜状態から上記水平状態又は上記後退傾斜状態へ復帰するよう構成してあることを特徴とする搬送装置にある(請求項1)。
本発明の搬送装置は、工場内における支柱又は壁面に配設して使用するものであり、モータやシリンダ等の動力源を必要とせず、簡単な構造で安定してワークの搬送を行うことができるものである。この搬送装置は、ガイドバーの後端部側をワーク加工の前工程に向けて配置し、ガイドバーの先端部側をワーク加工の後工程に向けて配置する。
そして、本発明の搬送装置において、ワーク吊下部にワークが吊り下げられていないときには、搬送スライダーは、スライダー復帰用錘によって後退位置に待機しており、ワーク吊下部は、前工程に対向する位置にある。また、このとき、ガイドバーは、傾斜復帰バネによって水平状態又は後退傾斜状態に保持されている。
そして、前工程におけるワークがワーク吊下部に吊り下げられると、このワークの自重によって、ガイドバーが、傾斜復帰バネの付勢力に打ち勝ってこの傾斜復帰バネを弾性変形させながら、水平状態又は後退傾斜状態から前進傾斜状態へ傾斜する。また、このとき、スライダー復帰用錘による重力に比べて、搬送スライダー、ワーク吊下部及びワークによる重力が大きくなり、搬送スライダーが、前進傾斜状態のガイドバーの長手方向に沿って後退位置から前進位置までスライドする。
こうして、ワーク吊下部に吊り下げたワークを、前工程から後工程へ搬送することができる。
そして、ワーク吊下部に吊り下げたワークを取り出したときには、搬送スライダー及びワーク吊下部による重力に比べて、スライダー復帰用錘による重力が大きくなり、搬送スライダーが、スライダー復帰用錘による重力を受けて、搬送スライダーが前進位置から後退位置までスライド復帰する。また、このとき、傾斜復帰バネによる付勢力を受けて、ガイドバーが、前進傾斜状態から水平状態又は後退傾斜状態へ復帰する。
こうして、ワーク吊下部を配設した搬送スライダーを、再び前工程に対向する位置に配置することができる。
このように、本発明の搬送装置においては、ワークの自重を利用して、搬送スライダーを後退位置から前進位置へスライドさせることができ、モータやシリンダ等の動力源を必要とせず、簡単な構造でワークの搬送を行うことができる。
また、上記のごとく、ガイドバーは、傾斜復帰バネを弾性変形させながら前進傾斜状態になり、搬送スライダーを後退位置から前進位置へスライドさせることができる。これにより、搬送スライダーをスライドさせるガイドバーを予め傾斜させておく必要がなく、ワーク吊下部にワークを吊り下げたときにはじめてガイドバーを傾斜させることができる。
また、ガイドバーは、傾斜復帰バネの弾性変形が復帰する力を利用して水平状態又は後退傾斜状態になり、スライダー復帰用錘の自重を利用して、搬送スライダーを前進位置から後退位置へスライド復帰させることができる。これにより、スライダー復帰用錘の小さな重力によって搬送スライダーをスライド復帰させることができ、スライダー復帰用錘の重量を小さくすることができる。
そのため、スライダー復帰用錘の重量が大きいことによってワークの搬送速度が低下してしまうことを防止することができる。
また、上記搬送装置は、上記のごとく傾斜復帰バネを用いてガイドバーの前進傾斜状態を形成する構成を採用している。そのため、搬送するワークの種類を変更し、ワークの自重が変わったときには、ワークの自重に応じて、傾斜復帰バネをバネ強度が異なる他のものに代えるか、又は回動支点部からの傾斜復帰バネの配設距離を変更すること等の対応によって、前進傾斜状態にあるガイドバーの傾斜角度を容易に調整することができる。
また、搬送スライダーは、ローラ等の車輪を用いてスライドさせておらず、ガイドバーに対して搬送スライダーを滑り摺動又は転がり摺動させることによって、スライドさせることができる。これにより、例えば、溶接の際に生じる溶接スラグ(溶接カス)又は切削の際に生じる切粉等の異物が、ガイドバー上に配置されてしまったときでも、搬送スライダーは、上記異物をガイドバー上から排除しながらスライドすることができる。そのため、搬送スライダーを、後退位置と前進位置との間で安定して円滑にスライドさせることができる。
また、上記のごとく、上記搬送装置は、工場内における支柱又は壁面に、固定ベースを配設して設置する。これにより、搬送装置は、工場内における支柱又は壁面に吊り下げて設置することができ、工場内において搬送装置が占める占有面積をほとんどなくすことができる。また、搬送装置は、工場内における既存設備の状態に容易に増設することもできる。
それ故、本発明の搬送装置によれば、簡単な構造により、ワークの自重を利用して安定してワークの搬送を行うことができ、工場内における占有面積をほとんどなくすことができる。
上述した本発明における好ましい実施の形態につき説明する。
本発明において、上記搬送スライダーは、上記ガイドバーを挿通させる挿通穴に、滑りブッシュを配設して構成することができる。また、搬送スライダーは、上記挿通穴に、複数の鋼球により転がり接触する転がりブッシュを配設して構成することもできる。
また、上記ガイドバーは、断面円形状のシャフトとすることができ、種々の断面形状のバーとすることもできる。
また、ガイドバーに断面円形状のシャフトを用いる場合には、ガイドバーと搬送スライダーとに、搬送スライダーがシャフトの回りに回ってしまうことを防止することができる。
また、上記ワーク吊下部は、上記ガイドバーの長手方向の先端側に向けて上記ワークをスライドさせるワークスライドレールを有していることが好ましい(請求項2)。
この場合には、ワークスライドレールの後端側から先端側に向けて、ワークをスライドさせることにより、搬送スライダーを後退位置と前進位置との間でスライドさせるときのワークの搬送距離を容易に長くすることができる。
また、上記傾斜復帰バネは、上記回動支点部からの配設距離を変更可能であることが好ましい(請求項3)。
この場合には、搬送するワークの種類を変更し、ワークの自重が変わったときには、ワークの自重に応じて、回動支点部からの傾斜復帰バネの配設距離を変更することにより、前進傾斜状態にあるガイドバーの傾斜角度を容易に調整することができる。
以下に、本発明の搬送装置にかかる実施例につき、図面と共に説明する。
本例の搬送装置1は、図1〜図4に示すごとく、工場内における支柱10又は壁面10に配設する固定ベース2と、この固定ベース2に配設したガイドバー3と、このガイドバー3の長手方向Lに沿ってスライドする搬送スライダー4と、この搬送スライダー4の下部に配設したワーク吊下部5とを有している。
上記搬送スライダー4は、ガイドバー3の先端部31までスライドした前進位置402(図3参照)と、この前進位置402よりも後方側に待機する後退位置401(図2参照)とにスライドするよう構成してある。また、ワーク吊下部5は、前工程から後工程へ搬送するワーク8を吊り下げるよう構成してある。
図1に示すごとく、上記ガイドバー3は、その後端部32が固定ベース2に設けた回動支点部22に回動可能に係合してある。ガイドバー3は、その長手方向Lを水平方向に向けた水平状態301(図2参照)と、回動支点部22を中心に回動してその先端部31が回動支点部22よりも下方に位置するよう傾斜した前進傾斜状態302(図3参照)とを形成するよう構成してある。上記固定ベース2とガイドバー3との間には、ガイドバー3を水平状態301になるよう付勢する傾斜復帰バネ6が配設してある。
上記搬送スライダー4には、ワイヤ72を介してスライダー復帰用錘71が接続してあり、ワイヤ72は、固定ベース2に回転可能に配設したベース側滑車73と、ガイドバー3に回転可能に配設したバー側滑車74とに掛け渡してある。
そして、搬送装置1は、図3に示すごとく、ワーク吊下部5に吊り下げたワーク8の自重によって、ガイドバー3を水平状態301から前進傾斜状態302へ傾斜させる共に、搬送スライダー4を後退位置401から前進位置402までスライドさせて、当該ワーク8を搬送するよう構成してある。また、搬送装置1は、図2に示すごとく、ワーク吊下部5からワーク8を取り外したときには、スライダー復帰用錘71による重力を受けて、搬送スライダー4が前進位置402から後退位置401まで復帰すると共に、傾斜復帰バネ6による付勢力を受けて、ガイドバー3が前進傾斜状態302から水平状態301へ復帰するよう構成してある。
以下に、本例の搬送装置1につき、図1〜図4と共に詳説する。
図1に示すごとく、本例のガイドバー3は、断面円形状のシャフト3であり、本例の搬送スライダー4は、シャフト3を挿通する挿通穴41を備え、この挿通穴41に、シャフト3に転がり接触させるための複数の鋼球を備えたボールブッシュ4である。
ガイドバー3の先端部31には、前進位置402にスライドした搬送スライダー4に当接するストッパー311が配設してある。
固定ベース2には、ガイドバー3の後端部32を回動可能に支持する回動支点部22を設けた回動支持ブラケット21が配設してある。本例の回動支持ブラケット21は、固定ベース2の上部に配設してあり、本例のガイドバー3は、固定ベース2の上方に配設してある。また、回動支点部22は、ガイドバー3及び回動支持ブラケット21のいずれか一方に回動ピンを設け、他方に回動ピン用穴を設けて構成してある。
また、固定ベース2には、上記ワイヤ72を掛け渡すベース側滑車73を設けた滑車ブラケット23が回転可能に配設してある。
図1に示すごとく、本例のワーク吊下部5は、搬送スライダー4の下部から吊下げ配設した吊下フレーム52の下端に、ワークスライドレール51を配設してなる。ワークスライドレール51は、ガイドバー3の長手方向Lの先端側に向けてワーク8をスライドさせるよう構成してある。そして、ワークスライドレール51の後端側から先端側に向けて、ワーク8をスライドさせることにより、搬送スライダー4を後退位置401と前進位置402との間でスライドさせるときのワーク8の搬送距離を容易に長くすることができる。
また、本例の吊下フレーム52及びワークスライドレール51は、搬送スライダー4の左右に一対に配設してある。
本例のワーク8は、自動車用フレーム部品であり、パイプ状の金属製メインフレーム部81に、種々の形状の金属製部材82を溶接してなるものである。また、メインフレーム部81の端部においては、金属製部材82を溶接してなるフランジ部821が形成されている。
本例のワーク8は、メインフレーム部81のパイプ状の軸方向を上下方向に向けて、ワーク吊下部5に吊り下げる。そして、本例のワーク8は、メインフレーム部81の一端におけるフランジ部821を一対のワークスライドレール51に引っ掛けると共に、メインフレーム部81をワークスライドレール51同士の間に配置した状態で、一対のワークスライドレール51の後端側から先端側に向けてスライドさせることができる。
図2に示すごとく、本例の傾斜復帰バネ6は、ガイドバー3の下部と固定ベース2の上部との間に配設した圧縮バネ6である。ガイドバー3の下部と固定ベース2の上部とには、それぞれバネ支持用ピン61が配設してあり、傾斜復帰バネ6は、ガイドバー3の下部におけるバネ支持用ピン61と、固定ベース2の上部におけるバネ支持用ピン61との間に配置してある。
本例の傾斜復帰バネ6は、後退位置401にある搬送スライダー4と、ガイドバー3の後端部32が係合する回動支点部22との間の位置に配設してある。
また、傾斜復帰バネ6は、ガイドバー3の長手方向Lに対する配設位置を変更し、ガイドバー3の後端部32が係合する上記回動支点部22からの配設距離を変更可能である。
本例においては、ガイドバー3の長手方向Lにおける複数箇所にピン固定用穴62が形成してあり、固定ベース2においても、各ピン固定用穴62に対向する位置にそれぞれピン固定用穴62が形成してある。そして、ガイドバー3の下部におけるバネ支持用ピン61を固定するピン固定用穴62、及び固定ベース2の上部におけるバネ支持用ピン61を固定するピン固定用穴62をそれぞれ取り替えることにより、傾斜復帰バネ6の配設位置を調整可能である。
図1に示すごとく、本例のバー側滑車74は、後退位置401にある搬送スライダー4と、ガイドバー3の後端部32が係合する回動支点部22との間の位置において、回転軸741の軸方向を上下方向に向けて配設してある。また、本例のベース側滑車73は、バー側滑車74の側方の位置において、回転軸731の軸方向をガイドバー3の長手方向Lに向けて配設してある。
また、各滑車73、74の外周面には、ワイヤ72を掛け渡すためのワイヤ用溝732、742が全周に形成してある。そして、ワイヤ72は、各滑車73、74におけるワイヤ用溝732、742に入れてあり、その一端が搬送スライダー4における後方部分に取り付けてあると共に、その他端がスライダー復帰用錘71に取り付けてある。
本例の搬送装置1は、工場内における支柱10又は壁面10に配設して使用するものであり、モータやシリンダ等の動力源を必要とせず、簡単な構造で安定してワーク8の搬送を行うことができるものである。この搬送装置1は、ガイドバー3の後端部32側をワーク加工の前工程に向けて配置し、ガイドバー3の先端部31側をワーク加工の後工程に向けて配置する。なお、本例の前工程及び後工程においては、いずれもワーク8に対して溶接加工を行う。
そして、図2に示すごとく、本例の搬送装置1において、ワーク吊下部5にワーク8が吊り下げられていないときには、搬送スライダー4は、スライダー復帰用錘71によって後退位置401に待機しており、ワーク吊下部5は、前工程に対向する位置にある。また、このとき、ガイドバー3は、傾斜復帰バネ6によって水平状態301に保持されている。
そして、図3に示すごとく、前工程におけるワーク8がワーク吊下部5に吊り下げられると、このワーク8の自重によって、ガイドバー3が、傾斜復帰バネ6の付勢力に打ち勝ってこの傾斜復帰バネ6を弾性変形させながら、水平状態301から前進傾斜状態302へ傾斜する。また、このとき、スライダー復帰用錘71による重力に比べて、搬送スライダー4、ワーク吊下部5及びワーク8による重力が大きくなり、搬送スライダー4が、前進傾斜状態302のガイドバー3の長手方向Lに沿って後退位置401から前進位置402までスライドする。こうして、ワーク吊下部5に吊り下げたワーク8を、前工程から後工程へ搬送することができる。
そして、ワーク吊下部5に吊り下げたワーク8を取り出したときには、搬送スライダー4及びワーク吊下部5による重力に比べて、スライダー復帰用錘71による重力が大きくなり、搬送スライダー4が、スライダー復帰用錘71による重力を受けて、搬送スライダー4が前進位置402から後退位置401までスライド復帰する。また、このとき、傾斜復帰バネ6による付勢力を受けて、ガイドバー3が、前進傾斜状態302から水平状態301へ復帰する。こうして、ワーク吊下部5を配設した搬送スライダー4を、再び前工程に対向する位置に配置することができる。
このように、本例の搬送装置1においては、ワーク8の自重を利用して、搬送スライダー4を後退位置401から前進位置402へスライドさせることができ、モータやシリンダ等の動力源を必要とせず、簡単な構造でワーク8の搬送を行うことができる。
また、上記のごとく、ガイドバー3は、傾斜復帰バネ6を弾性変形させながら前進傾斜状態302になり、搬送スライダー4を後退位置401から前進位置402へスライドさせることができる。これにより、搬送スライダー4をスライドさせるガイドバー3を予め傾斜させておく必要がなく、ワーク吊下部5にワーク8を吊り下げたときにはじめてガイドバー3を傾斜させることができる。
また、ガイドバー3は、傾斜復帰バネ6の弾性変形が復帰する力を利用して水平状態301になり、スライダー復帰用錘71の自重を利用して、搬送スライダー4を前進位置402から後退位置401へスライド復帰させることができる。これにより、スライダー復帰用錘71の小さな重力によって搬送スライダー4をスライド復帰させることができ、スライダー復帰用錘71の重量を小さくすることができる。
そのため、スライダー復帰用錘71の重量が大きいことによってワーク8の搬送速度が低下してしまうことを防止することができる。
また、本例の搬送装置1は、上記のごとく上記傾斜復帰バネ6を用いてガイドバー3の前進傾斜状態302を形成する構成を採用している。そのため、搬送するワーク8の種類を変更し、ワーク8の自重が変わったときには、ワーク8の自重に応じて、回動支点部22からの傾斜復帰バネ6の配設距離を変更することにより、前進傾斜状態302にあるガイドバー3の傾斜角度を容易に調整することができる。
また、搬送スライダー4は、ローラ等の車輪を用いてスライドさせておらず、ガイドバー3に対して搬送スライダー4を転がり摺動させることによって、スライドさせることができる。これにより、例えば、溶接の際に生じる溶接スラグ(溶接カス)又は切削の際に生じる切粉等の異物が、ガイドバー3上に配置されてしまったときでも、搬送スライダー4は、上記異物をガイドバー3上から排除しながらスライドすることができる。そのため、搬送スライダー4を、後退位置401と前進位置402との間で安定して円滑にスライドさせることができる。
また、図4に示すごとく、上記搬送装置1は、工場内における支柱10又は壁面10に、固定ベース2を配設して設置する。これにより、搬送装置1は、工場内における支柱10又は壁面10に吊り下げて設置することができ、工場内において搬送装置1が占める占有面積をほとんどなくすことができる。また、搬送装置1は、工場内における既存設備の状態に容易に増設することもできる。なお、図4は、搬送装置1をガイドバー3の後端部32側から見た状態で示す図である。
それ故、本例の搬送装置1によれば、簡単な構造により、ワーク8の自重を利用して安定してワーク8の搬送を行うことができ、工場内における占有面積をほとんどなくすことができる。
実施例における、搬送装置を示す斜視図。 実施例における、ガイドバーが水平状態にあり、搬送スライダーが後退位置にある状態の搬送装置を示す正面図。 実施例における、ガイドバーが前進傾斜状態にあり、搬送スライダーが前進位置にある状態の搬送装置を示す正面図。 実施例における、搬送装置を示す後方側面図。
符号の説明
1 搬送装置
10 支柱(壁面)
2 固定ベース
22 回動支点部
3 ガイドバー
301 水平状態
302 前進傾斜状態
31 先端部
32 後端部
4 搬送スライダー
401 後退位置
402 前進位置
5 ワーク吊下部
51 ワークスライドレール
6 傾斜復帰バネ
71 スライダー復帰用錘
72 ワイヤ
73 ベース側滑車
74 バー側滑車
8 ワーク
L 長手方向

Claims (3)

  1. 工場内における支柱又は壁面に配設する固定ベースと、
    該固定ベースに配設したガイドバーと、
    該ガイドバーの長手方向に沿って、該ガイドバーの先端部までスライドした前進位置と、該前進位置よりも後方側に待機する後退位置とにスライドする搬送スライダーと、
    該搬送スライダーの下部に配設し、搬送するワークを吊り下げるワーク吊下部とを有しており、
    上記ガイドバーは、その後端部が上記固定ベースに設けた回動支点部に回動可能に係合してあり、その長手方向を水平方向に向けた水平状態又はその先端部が上記回動支点部よりも上方に位置するよう傾斜した後退傾斜状態と、上記回動支点部を中心に回動してその先端部が上記回動支点部よりも下方に位置するよう傾斜した前進傾斜状態とを形成するよう構成してあり、
    上記固定ベースと上記ガイドバーとの間には、該ガイドバーを上記水平状態又は後退傾斜状態になるよう付勢する傾斜復帰バネが配設してあり、
    上記搬送スライダーには、ワイヤを介してスライダー復帰用錘が接続してあり、上記ワイヤは、上記固定ベースに回転可能に配設したベース側滑車と、上記ガイドバーに回転可能に配設したバー側滑車とに掛け渡してあり、
    上記ワーク吊下部に吊り下げた上記ワークの自重によって、上記ガイドバーを上記水平状態又は上記後退傾斜状態から上記前進傾斜状態へ傾斜させる共に、上記搬送スライダーを上記後退位置から上記前進位置までスライドさせて、当該ワークを搬送し、
    上記ワークを取り出したときには、上記スライダー復帰用錘による重力を受けて、上記搬送スライダーが上記前進位置から上記後退位置までスライド復帰すると共に、上記傾斜復帰バネによる付勢力を受けて、上記ガイドバーが上記前進傾斜状態から上記水平状態又は上記後退傾斜状態へ復帰するよう構成してあることを特徴とする搬送装置。
  2. 請求項1において、上記ワーク吊下部は、上記ガイドバーの長手方向の先端側に向けて上記ワークをスライドさせるワークスライドレールを有していることを特徴とする搬送装置。
  3. 請求項1又は2において、上記傾斜復帰バネは、上記回動支点部からの配設距離を変更可能であることを特徴とする搬送装置。
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