JP4794062B2 - 樹脂製軸体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂製軸体、例えば、筆記具用の樹脂製軸体または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダ用の樹脂製軸体の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
樹脂製軸体としては、雄ネジが形成された他の軸体と螺合して一体品を構成するために、その内周面に雌ネジが形成されたものがある。例えば、筆記具用軸本体の中には、樹脂製で且つ互いに螺合される前軸と後軸とにより構成されたものがあり、前軸と後軸のいずれか一方の内周面に雌ネジが形成され、前軸と後軸の他方の外周面に雄ネジが形成されている。
【0003】
この雌ネジが形成された樹脂製軸体に、この樹脂製軸体に対して相対回転が禁止された部品を収容する必要があるときに、この部品に突起を設けると共に、雌ネジが形成された樹脂製軸体の内面に、その部品の突起が係合するための軸線方向に延びる溝を形成することがある。
【0004】
この雌ネジが形成された樹脂製軸体を成形するときには、一般的に、この軸体の外周面を形作るためのキャビティと、この軸体の雌ネジ及び溝を含めた内周面を形作るためのネジ付きコアピンとを用いて成形される。この製造作業において、成形後、ネジ付きコアピンを成形された軸体から取り外す際には、ネジ付きコアピンを成形された軸体に対して回転させながらネジ付きコアピンの雄ネジと雌ネジとの螺合を解きつつ成形された軸体から取り外すのではなく、ネジ付きコアピンを直線的に軸線方向に取り出す、所謂、無理抜きをすることにより、製造の時間と手間を省くことが一般的に行われる。従って、この無理抜きを可能とするために、ネジ付きコアピンには、前記溝を形作るための突起が、所定部位から軸線方向に延びて前記雌ネジを形作るための雄ネジと交差して、ネジ付きコアピンが無理抜きされる先頭側の端部の縁まで延びるように形成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このようにネジ付きコアピンを無理抜きする際には、コアピンの無理抜きに伴い成形された軸体が、ネジ付きコアピンの雄ネジと位置的に対応する部分、即ち雌ネジ付形部分で径方向外方へと強制的に膨出させられる。このとき、雌ネジ付形部分において、応力が均等に逃げず、軸体の中で肉厚が最も薄い溝と雌ネジ付形部分との交差部分が軸体の前記膨出に乗じて引っ張られ、特に、溝の両側に局部的に応力が集中し、その部分が白化するという不都合があった。
【0006】
本発明はかかる課題に鑑みなされたもので、その目的は、製造時に白化現象を惹起させることのない樹脂製軸体を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のうち請求項1記載の発明は、キャビティとネジ付きコアピンとを用いてネジ付きコアピンを無理抜きすることにより成形される樹脂製軸体であって、雌ネジと、内面の所定部位から軸線方向へ延びて前記雌ネジと交差する溝とを有し、前記雌ネジと交差する溝部分の幅を、前記所定部位から前記雌ネジの付形位置手前まで延びた前記溝の部分の幅よりも広幅に形成したことを特徴とする。
【0008】
雌ネジと交差する溝部分の幅を、前記所定部位から前記雌ネジの付形位置手前まで延びた前記溝の部分の幅よりも広幅に形成すると、軸体をキャビティとネジ付きコアピンとを用いて製造し、ネジ付きコアピンを軸体から無理抜きする際に、溝の両側に応力が集中することが緩和されて、白化を防ぐことができる。溝全体を広幅にすると、全体的に肉薄になり強度の低下を招くことになるが、本発明の構成により、溝全体を広幅にせずにすみ、強度の低下を防ぐことができる。
【0009】
溝を広幅にするのは、段階的に変化させることにより広幅にすることができるが、請求項2記載の発明は、前記溝が、前記所定部位から前記雌ネジの付形位置を通って前記軸体の端部縁まで徐々に広幅となるテーパー状に延びていることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または2記載の前記軸体が筆記具用軸体であって、前記雌ネジを介して前記軸体に対して前記軸体とは別の第二の軸体が螺合され、前記軸体内には筆記具の筆記先端繰出し機構を作動させるためのノックカムが、それが備えた突起を前記溝に係合させることにより、前記軸体に対して回転不能に収容されるようになっていることを特徴とする。突起は、通常、所定位置から雌ネジの手前までの間で係合すればよく、主に、広幅となっていない部位に係合しているので、突起と溝との間の隙間を必要最小限とすることができ、ノックカムと軸体との間のがたつきを防止することができる。ここで、ノックカムとは、例えば、軸体に対して軸線方向に移動可能となっており、そのカム作用によりノックカムの移動運動を、筆記先端繰出し機構を構成する一つの部品の軸体に対する回転運動に変換することが可能になったものとすることができる。
【0011】
軸体は任意の用途のものとすることができるが、請求項4記載の発明は、前記軸体が、筆記具用の軸体または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダ用の軸体であることを特徴とする。
【0012】
また、請求項5記載の発明は、キャビティとネジ付きコアピンとを用いてネジ付きコアピンを無理抜きすることにより成形される筆記具用の樹脂製軸体または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダ用の樹脂製軸体であって、前記筆記具または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダの一部を構成する第一の部品が螺合される雌ネジを有し、前記筆記具または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダの一部を構成する、外面に突起を備えた第二の部品を収容し、内面の所定部位から軸線方向に延びて前記雌ネジと交差して、製造時にコアピンが無理抜きされる端部側の縁まで延び、前記第二の部品の前記突起を係合させることにより前記突起と協働して前記軸体に対する前記第二の部品の回転を防止するよう機能する溝を内面に有し、前記雌ネジと交わる部分から前記端部側の縁まで延びた前記溝の部分の内の少なくとも前記雌ネジに交差する部分の幅が、前記所定部位から前記雌ネジの手前まで延びた前記溝の部分の幅よりは広幅に形成されていることを特徴とする。軸体をキャビティとネジ付きコアピンとを用いて製造し、ネジ付きコアピンを軸体から無理抜きする際に、雌ネジと交差する溝の両側に応力が集中することが緩和されて、白化を防ぐことができる。溝全体を広幅にすると、全体的に肉薄になり強度の低下を招くことになるが、本発明の構成により、溝全体を広幅にせずにすみ、強度の低下を防ぐことができる。
【0013】
溝を広幅にするのは、段階的に変化させることにより広幅にすることができるが、請求項6記載の発明は、前記溝が、前記所定部位から前記端部側の縁にいたるまで徐々に広幅となるテーパー状に形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項7記載の発明は、請求項5または6記載のものにおいて、前記軸体が筆記具用の軸体であって、前記第一の部品がネジを備えた第二の軸体であり、前記第二の部品が筆記具の筆記先端繰り出し機構を作動させるためのノックカムであることを特徴とする。ここで、ノックカムとは、例えば、軸体に対して軸線方向に移動可能となっており、そのカム作用によりノックカムの移動運動を、筆記先端繰出し機構を構成する一つの部品の軸体に対する回転運動に変換することが可能になったものとすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、図面を用いて本発明の実施の形態を説明する。
【0016】
図1は、本発明による樹脂製軸体の実施形態を表す図であり、この実施形態では、樹脂製軸体として、筆記具用軸本体の後軸が対応している。即ち、この筆記具用軸本体10は、ボールペンのレフィール20を、その先端を軸本体10の先端口から出没可能に収容するものであり、筆記具用軸本体10は、先具11と、前軸12と、後軸14とから構成されており、前軸12の周囲には、ゴム等の弾性材16が装着されている。
【0017】
この後軸14が本発明の樹脂製軸体に対応しており、前軸12が本発明の第二の軸体及び第一の部品に対応しており、後軸14と前軸12とは互いに螺合される。即ち、前軸12の後端部の外周面には、雄ネジ12aが形成されており、一方の後軸14の先端部の内周面には、雌ネジ14aが形成されており、前軸12の後端部が後軸14の先端部内へと挿入されて螺合されている。
【0018】
さらに、後軸14内には、レフィール繰出し機構22の一部を構成する揺動カム24が収容され、揺動カム24には、前記レフィール20の後端が挿入されている。レフィール20の段部20aと先具11との間には、リターンスプリング32が介挿されており、常時、レフィール20を後方へと付勢しているので、レフィール20の後端が、揺動カム24の内周面に形成された段部24aに常時当接している。
【0019】
レフィール繰り出し機構22は、任意の構成とすることができるが、この実施形態のものは、前記揺動カム24と、後軸14の周面に形成されたカム開口14eと、後軸14に取り付けられたクリップ30の先端に形成されたカム突起30aとから構成される。
【0020】
揺動カム24には、外径方向に弾性変形可能に突出した突起24bが形成されており、突起24bは、後軸14の周面に形成された開口14eを貫通している。クリップ30のカム突起30aは、開口14eに対応して、開口14eへと進入するようにして形成されている。揺動カム24の弾性変形可能な突起24bは、内径方向へと揺動変形することで、カム突起30aの下方を潜り抜けて、カム突起30aの前側に係止することができるようになっている。
【0021】
揺動カム24の後方には、本発明の第二の部品に対応し、レフィール繰出し機構22を作動させるためのノックカム26が配設される。揺動カム24の後端とノックカム26の後端内面との間には、ノックスプリング28が介挿され、ノックスプリング28は、ノックカム26と揺動カム24とを互いに軸線方向に離反する方向へと付勢している。ノックカム26には、段部26aが形成されており、段部26aよりも後方が前方よりも細径となっており、この段部26aが後軸14の内周面に形成された段部14bに係止することで、ノックカム26の後方の変位が規制される。また、ノックカム26の前記段部26aよりも前方部分には、周方向に適宜離間して(この実施形態では、180度離間して)、軸線方向に伸びる突起26bが2個、形成されている。これらの突起26bは、後軸14に形成され軸線方向に伸びる2本の溝14cにそれぞれ摺動可能に係合される。こうして、ノックカム26は、突起26bと溝14cとの協働により後軸14に対して相対回転不能、且つ軸線方向に移動可能、即ち前進可能に配設される。また、ノックカム26の後部は、後軸14の後方より突出しており、押圧操作が可能となったノック部26cとなっている。
【0022】
図3に示したように、ノックカム26の先端には、先方に向かって三角形状に突出したカム部26dが形成されており、レフィール20の先端が引っ込んだ図1に示す状態では、カム部26dは揺動カム24の周面に形成された係止凹部24cと係合している。係止凹部24cには、周方向に隣接してカム面が形成されている。
【0023】
前記レフィール繰り出し機構22の作用を説明すると、図1のようにレフィール20の先端が先具11の先端よりも退没した状態において、ノックカム26のノック部26cを押圧すると、ノックカム26のカム部26dが揺動カム24の係止凹部24cに係合しているため、揺動カム24が前方へ押し出される。これにより、揺動カム24の突起24bの突出端が、後軸14の開口14e内で前進して、クリップ30のカム突起30aに当接する。このとき、突起24bは内径方向へと揺動変形することが可能となっているので、カム突起30aの下方を潜りぬけて、カム突起30aの前側へと移動する。そして、ノックカム26のノック部26cの押圧力が解除されると、リターンスプリング32の付勢力により、レフィール20によって揺動カム24が後方へと押圧されるため、揺動カム24の突起24bが、カム突起30aの前側に沿って後退及び若干回転して、カム突起30aの前側に係止する。こうして、揺動カム24は、前進した状態に維持され、従って、レフィール20も前進状態に維持されるため、レフィール20の先端が、筆記具用軸本体10よりも突出した状態で、使用に供される。再度、ノック部26cをノックすると、ノックカム26のカム部26dが、揺動カム24の係止凹部24cの周方向に隣接して形成されたカム面に当接して、揺動カム24を回転させると共に前方へ押し出すため、揺動カム24の突起24bが、カム突起30aの前側に沿ってカム突起30aを迂回するようにして動く。次いで、ノック部26cのノック力を解除すると、突起24bが、リターンスプリング32の付勢力により、カム突起30aの側方を通過して、カム突起30aよりも後方へと移動する。さらに、開口14eの後端縁に沿って、揺動カム24が若干回転して、元の図1の状態に戻るのである。こうして、レフィール20の先端が、先具11よりも引き込んだ状態で保持される。
【0024】
以上のレフィール繰出し機構22の操作を確実に行うためには、揺動カム24が後軸14に対して、若干、回転するのに対して、ノックカム26は、後軸14に対して回転することなく、前述のように、レフィール20を繰り出す際には、ノックカム26のカム部26dの周方向位置が揺動カム24の係止凹部24cの周方向位置と一致し、レフィール20を退没させる際には、ノックカム26のカム部26dの周方向位置が揺動カム24の係止凹部24cの周方向に隣接するカム面の周方向位置に一致する必要がある。このため、ノックカム26の突起26bは、後軸14に形成された溝14c内で摺動可能に係合されている。溝14cは、このノックカム26の突起26bが摺動する摺動範囲内に形成されている必要があり、そのためには、少なくとも段部14bの形成されている部分を所定部位としてこの所定部位から開口14eの手前の部位まで形成されていれば十分なのであるが、以下に述べるキャビティ40とネジ付きコアピン42とを用いた成形を可能にならしめるために、さらに開口14eよりも先方側に、後軸14の前端部縁まで形成されている。よって、溝14cは、その途中で、前記後軸14の内周面に形成された前記雌ネジ14aと交差している。
【0025】
図4に示すように、樹脂よりなり、雌ネジ14aと溝14cとが形成された後軸14を成形するには、キャビティ40とネジ付きコアピン42とを用いて行われ、キャビティ40が後軸14の外周面を画成し、ネジ付きコアピン42が雌ネジ14a及び溝14cを含む内周面を画成する。ネジ付きコアピン42の周面には、雌ネジ14a及び溝14cを形成するための、雄ネジ42a及び突起42cが形成されている。
【0026】
このネジ付きコアピン42は、製造の手間と時間を省くために、このネジ付きコアピン42を、成形された後軸14から無理抜きする必要があり、このため、雌ネジ14aは、ネジ付きコアピン42の無理抜きされる先頭側のネジ山の斜面よりも、アンダーカットとなる反対側のネジ山の斜面の方が、斜度が緩やかになっており、逆に言えば、ネジ付きコアピン42の雄ネジ42aは、ネジ付きコアピン42の無理抜きされる先頭側のネジ山の斜面の方が、反対側のネジ山の斜面よりも、斜度が緩やかになっており、こうして、雌ネジ付形部位における無理抜きを容易ならしめている。さらに、溝14cはその幅が一様ではなく、雌ネジ14aと交差する溝部分14c1の幅の方が、溝14cが始まる段部14bの部位から雌ネジ付形位置よりも手前の溝部分14c2の幅よりも広くなるようにしており、逆に言えば、ネジ付きコアピン42の突起42cの幅が一様ではなく、雄ネジ42aと交差する突起部分の幅の方が、突起42cが始まる段部42bの部位から雄ネジ42aよりも手前の突起部分の幅よりも広くなるようにしている。
【0027】
このように溝14cの幅(即ち、突起42cの幅)を変化させることにより、ネジ付きコアピン42を、成形された後軸14から無理抜きする際に、雌ネジ14a付形位置で、応力が集中するのを緩和することができ、白化現象を抑制することができるようになる。
【0028】
この溝14cの幅を広くする位置は、雌ネジ14a付形位置となるすぐ手前から、雌ネジ14a付形位置よりもかなり手前のいずれにもすることができるが、溝14cの全体の幅を広くすると、後軸14の肉厚が全体的に肉薄となり、強度的に問題となる。従って、雌ネジ14a付形位置または図2に示したように、付形位置よりもわずかに手前から溝14cの幅を広くするようにするとよい。
【0029】
こうして、後軸14を成形した後、後加工で後軸14の後部内周面に、尾冠18を螺着するための雌ネジ14dを形成する。この雌ネジ14dも、雌ネジ14aと同様に、無理抜きにより同時に形成することも可能である。または、尾冠18を圧入、接着等の他の固着方法により、後軸14に取り付ける場合には、雌ネジ14dの加工を省略することも可能である。
【0030】
後軸14と他の部品との組立は、次のようにして行う。図5(a)に示したように、成形された後軸14の後端と尾冠18との間に、クリップ30の基部を挟んで、尾冠18を後軸14の後端に前述の螺着、接着、圧入等により固着し、次いで、図5(b)に示したように、前記ノックカム26を後軸14の前側から挿入する。このとき、ノックカム26の突起26bが、後軸14の溝14cと周方向に整合するようにして、ノックカム26の段部26aを後軸14の段部14bに当接するまで、挿入し、さらに、ノックスプリング28及び揺動カム24を挿入する。揺動カム24は、その弾性変形可能な突起24bを内方に撓ませながら、後軸14内に挿入し、後軸14の開口14eまで移動させる。こうして、後軸14内に部品を組込んだ後、図5(c)に示すように、前軸12の後端を後軸14に挿入して螺合する。さらに、前軸12の外側に弾性材16を装着し(図5(d))、次いで、レフィール20及びリターンスプリング32を前軸12及び後軸14内に挿入して、先具11を前軸12に螺合する(図5(e))。
【0031】
以上の実施形態では、後軸14の溝14cの幅を、雌ネジ14a付形位置手前で、段階的に変化させていたが、これに限るものではなく、図6に示したように、後軸14の段部14bから後軸14の前端部縁に向かうに連れて徐々に広幅となるテーパー状に溝14−1cを形成してもよい。また、図7に示したように、後軸14の溝14−2cの幅を、雌ネジ14a付形位置の手前から後軸14の前端部縁まで徐々に広幅となるテーパー状に変化させることもできる。このように溝14cをテーパー状に広げることにより、応力を分散させて白化を防ぐと共に、ノックカム26を後軸14へと挿入する作業を行う際に、突起26bを溝14c内へと円滑に誘導させることができるようになり、簡単に作業を行うことができるようになる。
【0032】
また、以上の実施形態では、筆記具用の樹脂製軸体について説明したが、これに限るものではなく、棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダ用の樹脂製軸体等にも同様に適用することができる。
【0033】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、キャビティとネジ付きコアピンとで成形される軸体において、その軸体が有する雌ネジと交差する溝部分の幅を、所定部位から前記雌ネジの付形位置手前まで延びた前記溝の部分の幅よりも広幅に形成することにより、白化現象を惹起させることを防ぐことができる。
【0034】
溝の幅を必要最小限に広げることで、強度等の低下を招くことなく、また、溝に係合する第二部品等の突起との係合も、必要最低限の遊びで確実に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態による樹脂製軸体を含む筆記具の全体縦断面図である。
【図2】(a)は本発明の樹脂製軸体である後軸の縦断面図、(b)は(a)の矢印2b方向に沿って見た図である。
【図3】(a)はノックカムの側面図、(b)は(a)の矢印3b方向に沿って見た図である。
【図4】後軸を成形する際の状態を表すキャビティ及びネジ付きコアピンの断面図である。
【図5】後軸を含む筆記具用軸本体の組立順序を表す図である。
【図6】後軸の溝の他の例を表す縦断面図である。
【図7】後軸の溝の更に別の例を表す縦断面図である。
【符号の説明】
10 筆記具用軸本体
12 前軸(第二の軸体、第一の部品)
12a 雄ネジ
14 後軸(樹脂製軸体)
14a 雌ネジ
14c、14−1c、14−2c 溝
14c1 溝部分
14c2 溝部分
22 レフィール繰出し機構
26 ノックカム(第二の部品)
26b 突起

Claims (7)

  1. キャビティとネジ付きコアピンとを用いてネジ付きコアピンを無理抜きすることにより成形される樹脂製軸体であって、雌ネジと、内面の所定部位から軸線方向へ延びて前記雌ネジと交差する溝とを有し、前記雌ネジと交差する溝部分の幅を、前記所定部位から前記雌ネジの付形位置手前まで延びた前記溝の部分の幅よりも広幅に形成したことを特徴とする樹脂製軸体。
  2. 前記溝が、前記所定部位から前記雌ネジの付形位置を通って前記軸体の端部縁まで徐々に広幅となるテーパー状に延びていることを特徴とする請求項1記載の樹脂製軸体。
  3. 前記軸体が筆記具用軸体であって、前記雌ネジを介して前記軸体に対して前記軸体とは別の第二の軸体が螺合され、前記軸体内には筆記具の筆記先端繰出し機構を作動させるためのノックカムが、それが備えた突起を前記溝に係合させることにより、前記軸体に対して回転不能に収容されるようになっていることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製軸体。
  4. 前記軸体が、筆記具用の軸体または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダ用の軸体であることを特徴とする請求項1または2記載の樹脂製軸体。
  5. キャビティとネジ付きコアピンとを用いてネジ付きコアピンを無理抜きすることにより成形される筆記具用の樹脂製軸体または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダ用の樹脂製軸体であって、前記筆記具または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダの一部を構成する第一の部品が螺合される雌ネジを有し、前記筆記具または棒状化粧品若しくは棒状固形糊のホルダの一部を構成する、外面に突起を備えた第二の部品を収容し、内面の所定部位から軸線方向に延びて前記雌ネジと交差して、製造時にコアピンが無理抜きされる端部側の縁まで延び、前記第二の部品の前記突起を係合させることにより前記突起と協働して前記軸体に対する前記第二の部品の回転を防止するよう機能する溝を内面に有し、前記雌ネジと交わる部分から前記端部側の縁まで延びた前記溝の部分の内の少なくとも前記雌ネジに交差する部分の幅が、前記所定部位から前記雌ネジの手前まで延びた前記溝の部分の幅よりは広幅に形成されていることを特徴とする樹脂製軸体。
  6. 前記溝が、前記所定部位から前記端部側の縁にいたるまで徐々に広幅となるテーパー状に形成されていることを特徴とする請求項5記載の樹脂製軸体。
  7. 前記軸体が筆記具用の軸体であって、前記第一の部品がネジを備えた第二の軸体であり、前記第二の部品が筆記具の筆記先端繰り出し機構を作動させるためのノックカムであることを特徴とする請求項5または6記載の樹脂製軸体。
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