JP4793357B2 - β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法とその触媒 - Google Patents

β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法とその触媒 Download PDF

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Description

本発明は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法とその触媒に関する。
β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類類は、各種化学製品およびその合成中間体等として重要な化合物であり、特に、アルデヒド類やジオール類の合成前駆体として、極めて重要な化合物である。
かかるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類は、オレフィン類を酸化することにより得ることができ、種々の酸化剤が検討されている。なかでも、過酸化水素は、安価で、取り扱いが容易で、しかも反応後には無害な水となる、クリーンで優れた酸化剤として近年注目を集めている。
内部二置換置換オレフィン類を過酸化水素で酸化してβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を製造する方法としては、例えばテトラキス(オキソジペルオキソタングスト)リン酸触媒を用いる方法(非特許文献1)が知られているが、かかる方法は、内部二置換オレフィン類と過酸化水素を反応させて、一旦対応するエポキシド体に変換した後、かかるエポキシド体と過酸化水素とをさらに反応させる二段階の方法であり、しかも触媒の調製が比較的煩雑であり、必ずしも効率的な方法とは言えなかった。
β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類からアルデヒド類を得る方法としては、例えば塩基を用いる方法(非特許文献2)、酸を用いる方法(非特許文献3)、熱分解する方法(特許文献1)等が知られているが、より工業的に有利な方法の開発が望まれていた。
内部二置換オレフィン類からアルデヒド類を製造する方法としては、例えばメチルレニウムトリオキサイド触媒を用いる方法(特許文献2)、ヘテロポリ酸類および硫酸マグネシウムを触媒とする方法(特許文献3)、タングステン化合物およびホウ素化合物を触媒とする方法(特許文献4)、リンもしくはゲルマニウムを含むヘテロポリ酸を触媒とする方法(特許文献5)、リンもしくはゲルマニウムを含むヘテロポリ酸および周期律表Ia族またはIIa族の金属塩を触媒とする方法(特許文献6)、ヘテロポリ酸類および硫酸マグネシウムを触媒とする方法(特許文献3)、タングステン酸ナトリウムから合成した酸化タングステンを触媒とする方法(非特許文献4)等が知られているが、何れの方法も、比較的高価な触媒や試剤を用いている、収率が低いという点で、必ずしも工業的に有利な方法とは言えなかった。
β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元してジオール類を製造する方法としては、例えばトリフェニルホスフィンを還元剤とする方法(非特許文献1)が知られているが、トリフェニルホスフィンが高価で、しかも生成するジオール類と副生するトリフェニルホスフィンオキシドとを分離する操作が必要であるという点で有利な方法とはいえなかった。
内部二置換オレフィン類からジオール類を製造する方法としては、例えばタングストリン酸と第四級アンモニウム塩とからなる錯体触媒を用いる方法(非特許文献5)が知られているが、触媒を別途調整する必要があり、必ずしも効率的な方法とはいえなかった。
特開昭58−121234号公報 WO98/47847号公報 特公平8−19027号公報 特公昭63−56207号公報 特公平6−84324号公報 特公平6−99355号公報 J.Org.Chem.,63,7190(1998) J.Org.Chem.,43,1760(1978) J.Chem.Soc.,Chem.Comm.,1976,507 Tetrahedron,48,3503(1992) Synthesis,295(1989)
このような状況のもと、本発明者は、内部二置換オレフィン類を過酸化水素で酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類をより工業的に有利に製造する方法を開発すべく鋭意検討したところ、入手が容易なタングステン金属、モリブデン金属、ホウ化タングステン等のタングステン化合物、ホウ化モリブデン等のモリブデン化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物が、内部二置換オレフィン類と過酸化水素の反応において、良好な触媒活性を示し、該金属酸化物触媒の存在下に、内部二置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させることにより、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が得られること、さらに得られた該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を特定の金属化合物で処理することにより、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の分解反応が進行し、アルデヒド類が得られることおよび該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元処理することにより、ジオール類が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明は、内部二置換オレフィン類と過酸化水素とを、タングステン金属、モリブデン金属、タングステンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるタングステン化合物およびモリブデンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物触媒の存在下に、有機溶媒中で反応させることを特徴とするβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法の製造法およびその触媒を提供するものである。
本発明の方法によれば、入手が容易なタングステン金属、モリブデン金属、ホウ化タングステン等のタングステン化合物、ホウ化モリブデン等のモリブデン化合物の存在下に、内部二置換オレフィン類と安価な過酸化水素を反応させることにより、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を容易に得ることができ、また該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類から、ジオール類およびアルデヒド類も容易に得ることができるため、工業的に有利である。
まず最初に、内部二置換オレフィン類と過酸化水素とを反応させる際に用いる金属酸化物触媒について説明する。
触媒としては、タングステン金属、モリブデン金属、タングステンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるタングステン化合物およびモリブデンと第IIIb族、第IVb族、第Vb族または酸素を除く第VIb族元素とからなるモリブデン化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物が用いられる。
タングステンと第IIIb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えばホウ化タングステン等が、タングステンと第IVb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えば炭化タングステン、ケイ化タングステン等が、タングステンと第Vb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えばチッ化タングステン、リン化タングステン等が、タングステンと酸素を除く第VIb族元素とからなるタングステン化合物としては、例えば硫化タングステン等がそれぞれ挙げられる。
モリブデンと第IIIb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えばホウ化モリブデン等が、モリブデンと第IVb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えば炭化モリブデン、ケイ化モリブデン等が、モリブデンと第Vb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えばチッ化モリブデン、リン化モリブデン等が、モリブデンと酸素を除く第VIb族元素とからなるモリブデン化合物としては、例えば硫化モリブデン等がそれぞれ挙げられる。
かかる金属化合物のなかでも、タングステン金属、モリブデン金属、ホウ化タングステン、ホウ化モリブデン、硫化タングステン、硫化モリブデンが好ましい。また、かかる金属化合物はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合して用いてもよい。
かかる金属化合物と反応せしめる過酸化水素としては、通常水溶液が用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよいが、取扱いが容易という点で、過酸化水素水を用いることが好ましい。過酸化水素水もしくは過酸化水素の有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水を用いる場合は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて希釈、濃縮等により濃度調整を行なったものを用いればよい。また過酸化水素の有機溶媒溶液を用いる場合は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に過酸化水素水を蒸留処理する等の手段により、調製したものを用いればよい。
金属化合物と反応せしめる過酸化水素の使用量は、金属化合物に対して、通常3モル倍以上、好ましくは5モル倍以上であり、その上限は特にない。
金属化合物と過酸化水素との反応は、通常水溶液中で実施される。もちろん例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばメタノール、エタノール、tert−ブタノール等アルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等の有機溶媒中または該有機溶媒と水との混合溶媒中で実施してもよい。
金属化合物と過酸化水素との反応は、通常その両者を混合、接触させることにより行われ、金属化合物と過酸化水素との接触効率をより向上させるため、金属酸化物調製液中で、金属化合物が十分分散するよう攪拌しながら反応を行うことが好ましい。また、金属化合物と過酸化水素との接触効率を高め、金属酸化物調製時の制御をより容易にするという点で、例えば粉末状の金属化合物等粒径の小さな金属化合物を用いることが好ましい。
金属酸化物調製時の調製温度は、通常−10〜100℃である。
金属化合物と過酸化水素とを水中、有機溶媒中もしくは有機溶媒と水との混合溶媒中で反応させることにより、金属化合物の全部もしくは一部が溶解して、金属酸化物を含む均一溶液もしくは懸濁液を調製することができるが、該金属酸化物を、例えば濃縮処理等により調製液から取り出して、触媒として用いてもよいし、該調製液をそのまま触媒として用いてもよい。
次に、上記金属酸化物を触媒とする内部二置換オレフィン類と過酸化水素との反応について説明する。
内部二置換オレフィン類としては、オレフィン性の炭素−炭素二重結合を有し、該二重結合を形成しているそれぞれの炭素原子に一つの水素原子と一つの置換基が結合しているオレフィンであればよい。該オレフィン類の炭素−炭素二重結合を形成しているそれぞれの炭素原子に結合している二つの置換基が一緒になって、前記炭素−炭素二重結合を含む環状オレフィンであってもよい。
かかる内部二置換オレフィン類としては、例えば一般式(1)
Figure 0004793357
(式中、R1およびR2はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表わす。また、R1とR2が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
で示されるオレフィン類が挙げられる。
置換されていてもよいアルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−デシル基、シクロプロピル基、2,2−ジメチルシクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、メンチル基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルキル基およびこれらアルキル基が、後述するアルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン原子、アシル基、カルボアルコキシ基、カルボアリールオキシ基、カルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基等の置換基で置換された、例えばクロロメチル基、フルオロメチル基、トリフルオロメチル基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、メトキシエチル基、カルボメトキシメチル基、1−カルボ
エトキシ−2,2−ジメチル−3−シクロプロピル基等が挙げられる。
置換されていてもよいアルコキシ基としては、前記置換されていてもよいアルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばメトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、n−ペンチルオキシ基、n−デシルオキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、メンチルオキシ基等の直鎖状、分枝鎖状または環状の炭素数1〜20のアルコキシ基およびこれらアルコキシ基が、例えばハロゲン原子、アルコキシ基等の置換基で置換された、例えばクロロメトキシ基、フルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基、メトキシメトキシ基、エトキシメトキシ基、メトキシエトキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよいアリール基としては、例えばフェニル基、ナフチル基等およびこれらフェニル基、ナフチル基等を構成する芳香環が、前記アルキル基、アリール基、アルコキシ基、後述するアラルキル基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、ハロゲン原子等の置換基で置換された、例えば2−メチルフェニル基、4−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、4−メトキシフェニル基、3−フェノキシフェニル基等が挙げられる。置換されていてもよいアリールオキシ基としては、前記置換されていてもよいアリール基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばフェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−クロロフェノキシ基、4−メチルフェノキシ基、4−メトキシフェノキシ基、3−フェノキシフェノキシ基等が挙げられる。
置換されていてもよいアラルキル基としては、前記置換されていてもよいアリール基と前記置換されていてもよいアルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジル基、4−クロロベンジル基、4−メチルベンジル基、4−メトキシベンジル基、3−フェノキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジル基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジル基等が挙げられる。また、置換されていてもよいアラルキルオキシ基としては、前記置換されていてもよいアラルキル基と酸素原子とから構成されるものが挙げられ、例えばベンジルオキシ基、4−クロロベンジルオキシ基、4−メチルベンジルオキシ基、4−メトキシベンジルオキシ基、3−フェノキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシベンジルオキシ基、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メトキシメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。
ハロゲン原子としては、例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子等が挙げられる。
置換されていてもよいアシル基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアルキル基、カルボニル基と前記置換されていてもよいアリール基およびカルボニル基と前記置換されていてもよいアラルキル基とから構成されるものが挙げられ、例えばカルボメチル基、カルボエチル基、カルボフェニル基、カルボベンジル基等が挙げられる。
置換されていてもよいカルボアルコキシ基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアルコキシ基とから構成されるものが、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアリールオキシ基とから構成されるものが、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基としては、カルボニル基と前記置換されていてもよいアラルキルオキシ基とから構成されるものがそれぞれ挙げられ、例えばカルボメトキシ基、カルボエトキシ基、カルボフェノキシ基、カルボベンジルオキシ基等が挙げられる。
また、R1とR2が一緒になって環構造の一部を形成する場合の、環構造としては、例えばシクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロペンテン環、シクロヘキセン環等が挙げられる。
かかる内部二置換オレフィン類(以下、オレフィン類と略記する)としては、例えばシクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、3−メチルシクロペンテン、4−メチルシクロペンテン、3,4−ジメチルシクロペンテン、3,5−ジメチルシクロペンテン、3,4,5−トリメチルシクロペンテン、3−クロロシクロペンテン、3−メチルシクロヘキセン、4−メチルシクロヘキセン、3,4−ジメチルシクロヘキセン、3,5−ジメチルシクロヘキセン、3,4,5−トリメチルシクロヘキセン、2−ヘキセン、3−ヘキセン、5−ドデセン、ノルボルネン、フェナントレン、1,2,3,6−テトラヒドロ無水フタル酸、ジシクロペンタジエン、インデン、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボン酸エチル等が挙げられる。
オレフィン類の中には、その分子内に不斉炭素を有しており、光学異性体が存在するものがあるが、本発明には、光学異性体の単独または混合物のいずれも用いることができる。
本反応は、前記した金属酸化物触媒の存在下に、オレフィン類と過酸化水素を反応させるものであり、オレフィン類の炭素−炭素二重結合が酸化されたβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が生成する。
オレフィン類として、上記一般式(1)で示されるオレフィン類を用いた場合には、炭素−炭素二重結合が酸化された、一般式(2)
Figure 0004793357
(式中、R1およびR2は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)
Figure 0004793357
(式中、R1およびR2は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が生成する。なお、本反応においては、オレフィン類の別の酸化生成物であるジオール類やβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が分解したアルデヒド類が副生成物として生成することがある。上記一般式(1)で示されるオレフィン類を用いた場合には、一般式(4)
Figure 0004793357
(式中、R1およびR2は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジオール類や一般式(7)
Figure 0004793357
(式中、R1は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルデヒド類および一般式(8)
Figure 0004793357
(式中、R2は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルデヒド類が副生物として生成する。
具体的なオレフィン類を例とし、さらに具体的に説明すると、例えば原料オレフィン類としてシクロペンテンを用いた場合には、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンが得られ、原料オレフィン類として2−ヘキセンを用いた場合には、2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシヘキサンおよび/または3−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシヘキサンが得られる。
オレフィン類と過酸化水素との反応における金属酸化物触媒の使用量は、オレフィン類に対して、通常0.001モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面を考慮すると、実用的には、オレフィン類に対して、1モル倍以下である。
過酸化水素は、通常水溶液として用いられる。もちろん過酸化水素の有機溶媒溶液を用いてもよい。過酸化水素水もしくは有機溶媒溶液中の過酸化水素濃度は特に制限されないが、容積効率、安全面等を考慮すると、実用的には1〜60重量%である。過酸化水素水は、通常市販のものをそのままもしくは必要に応じて希釈、濃縮等により濃度調整を行なった後用いられる。過酸化水素の有機溶媒溶液は、例えば過酸化水素水を有機溶媒で抽出処理する、もしくは有機溶媒の存在下に過酸化水素水を蒸留処理する等の手段により、調製することができる。
過酸化水素の使用量は、オレフィン類に対して、通常1モル倍以上であり、その使用量の上限は特にないが、経済的な面も考慮すると、実用的には、オレフィン類に対して、10モル倍以下である。なお、触媒として、金属酸化物を含む調製液を用いる場合は、該調製液中の過酸化水素量を含めて、過酸化水素の使用量を設定してもよい。
本反応は、通常、有機溶媒中で実施される。有機溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒、メタノール、エタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられる。有機溶媒の使用量は特に制限されないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、オレフィン類に対して、100重量倍以下である。
なお、本反応においては、無水条件下で反応を実施することが好ましい。無水条件下で反応を実施する方法としては、例えば反応系内に脱水剤を共存させる方法等が挙げられる。脱水剤としては、例えば無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水ホウ酸、ポリリン酸、五酸化二リン等が挙げられ、その使用量は、反応系内に存在する水を脱水除去可能な量以上であればよい。
反応温度があまり低いと反応が進行しにくく、また反応温度があまり高いと、原料のオレフィン類の重合等副反応が進行する恐れがあるため、実用的な反応温度は、0〜200℃の範囲である。
本反応は、通常オレフィン類、過酸化水素および金属酸化物触媒を接触、混合することにより実施されるが、その混合順序は特に制限されない。また、例えば金属化合物、過酸化水素およびオレフィン類を接触、混合させて、金属酸化物触媒の調製操作と、オレフィン類と過酸化水素との反応を、同時に行ってもよい。
本反応は、常圧条件下で実施してもよいし、加圧条件下で実施してもよい。また、反応の進行は、例えばガスクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィ、薄層クロマトグラフィー、NMR、IR等の通常の分析手段により確認することができる。
また、本反応は、例えば無水ホウ酸等のホウ素化合物の共存下に実施してもよい。ホウ素化合物としては、例えば無水ホウ酸、メタホウ酸、正ホウ酸、メタホウ酸アルカリ金属塩、メタホウ酸アルカリ土類金属塩、正ホウ酸アルカリ金属塩、正ホウ酸アルカリ土類金属塩等が挙げられ、その使用量は特に制限されないが、あまり多すぎても経済的に不利になるため、実用的には、オレフィン類に対して、通常1モル倍以下である。
反応終了後、反応液をそのままもしくは必要に応じて残存する過酸化水素を、例えば亜硫酸ナトリウム等の還元剤で分解した後、濃縮処理、晶析処理等することにより、目的とするアルデヒド類を取り出すことができる。また、反応液に、必要に応じて水および/または水に不溶の有機溶媒を加え、抽出処理し、得られる有機層を濃縮処理することにより、アルデヒド類を取り出すこともできる。取り出したアルデヒド類は、蒸留、カラムクロマトグラフィー等の手段によりさらに精製してもよい。
水に不溶の有機溶媒としては、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル等のエステル系溶媒等が挙げられ、その使用量は特に制限されない。
また、目的とするβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を晶析処理により取り出した後の濾液や反応液を抽出処理して得られる水層は、本反応の金属酸化物触媒を含んでおり、そのままもしくは必要に応じて濃縮処理等を行った後、再度本反応に使用することができる。
また、オレフィン類として、光学活性体を用いた場合には、光学活性な生成物が得られる。
かくして得られるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類としては、例えば1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサン、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘプタン、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロオクタン、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシ−3−メチルシクロペンタン、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシ−4−メチルシクロペンタン、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシ−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシ−3,4,5−トリメチルシクロヘキサン、2−ヒドロペルオキシ−3−ヒドロキシヘキサン、3−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−ヒドロペルオキシ−3−オール、3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロペルオキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸エチル、3,3−ジメチル−2−(2−ヒドロキシ−1−ヒドロペルオキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸エチル等が挙げられる。
生成したβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類は、アルカリ処理または熱処理することにより、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が分解し、対応するアルデヒド類を得ることができる。例えば、上記一般式(2)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類からは、一般式(7)
Figure 0004793357
(式中、R1は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルデヒド類および一般式(8)
Figure 0004793357
(式中、R2は上記と同一の意味を表わす。)
で示されるアルデヒド類が得られる。具体的な化合物を例にしてさらに詳しく説明すると、例えばシクロペンテンから得られる1−ヒドロキシ−2−ヒドロペルオキシシクロペンタンからは、グルタルアルデヒドが生成する。
アルカリ処理する場合のアルカリとしては、例えばナトリウムメチラート等のアルカリ金属アルコラート等が挙げられ、その使用量は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、通常0.01モル倍以上であり、その上限は特にない。また、熱処理する温度は、通常60〜200℃である。
また、生成したβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類は、第Va族元素化合物、第VIIa族元素化合物、第VIII族元素化合物、第Ib族元素化合物、第IIb族元素化合物、第IIIb族元素化合物、第IVb族元素化合物、第Vb族元素化合物およびランタニド化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を作用させることにより、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が分解し、アルデヒド類を得ることもできる。
第Va族元素化合物としては、例えばバナジウム金属、酸化バナジウム、バナジン酸アンモニウム、バナジウム金属と過酸化水素を反応させてなるバナジウム酸化物、バナジウムカルボニル錯体等のバナジウム化合物、例えばニオブ金属、酸化ニオブ、塩化ニオブ(V)(NbCl5)、ニオブカルボニル錯体等のニオブ化合物等が挙げられる。第VIIa族元素化合物としては、例えばレニウム金属、塩化レニウム等のレニウム化合物等が挙げられる。第VIII族元素化合物としては、例えば鉄金属、塩化鉄、Fe(CO)5、Fe(acac)3等の鉄化合物、例えばルテニウム金属、塩化ルテニウム、Ru3(CO)12、Ru(acac)3、RuCl2(PPh3)3等のルテニウム化合物、例えばコバルト金属、酢酸コバルト、[Co2(CO)8]2等のコバルト化合物、例えばロジウム金属、塩化ロジウム、Rh4(CO)12等のロジウム化合物、例えばイリジウム金属、塩化イリジウム等のイリジウム化合物、例えばニッケル金属、Ni(CO)4等のニッケル化合物、例えばパラジウム金属、酢酸パラジウム、パラジウムカーボン等のパラジウム化合物等が挙げられる。
第Ib族元素化合物としては、例えば銅金属、例えば塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅等の銅化合物等が挙げられる。第IIb族元素化合物としては、例えば亜鉛金属、例えば塩化亜鉛等の亜鉛化合物等が挙げられる。第IIIb族元素化合物としては、例えば三フッ化ホウ素等のホウ素化合物、例えばアルミニウム金属、塩化アルミニウム等のアルミニウム化合物等が挙げられる。第IVb族元素化合物としては、例えばスズ金属、塩化スズ等のスズ化合物物等が挙げられる。第Vb族元素化合物としては、例えばビスマス金属、塩化ビスマス(BiCl3)等のビスマス化合物、例えばアンチモン金属、塩化アンチモン(V)(SbCl5)、塩化アンチモン(III)(SbCl3)等のアンチモン化合物等が挙げられる。ランタニド化合物としては、例えばサマリウム金属、サマリウムトリフラート(Sm(OTf)2)等のサマリウム化合物、例えばガドリニウム金属等のガドリニウム化合物、例えばジスプロシウム金属、ジスプロシウムトリフラート(Dy(OTf)3)等のジスプロシウム化合物等が挙げられ、ジスプロシウム化合物が好ましい。
かかる化合物の中でも、バナジウム化合物、銅化合物、ルテニウム化合物、パラジウム化合物およびこれらの混合物が好適である。なお、かかる化合物は、単独で用いてもよいし、混合して用いてもよい。
かかる化合物の使用量は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、通常0.001モル倍以上であり、その上限は特にないが、経済的な面も考慮すると、実用的には1モル倍以下である。
β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類にかかる化合物を作用させるとは、その両者を混合すればよく、その混合温度は、通常−20〜100℃である。また通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が溶解する溶媒の存在下に行われる。かかる溶媒としては、例えばジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、例えば酢酸エチル等のエステル系溶媒、例えばメタノール、エタノール、tert−ブタノール等のアルコール系溶媒、例えばアセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶媒等が挙げられ、その使用量はβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が溶解すればよく、その上限は特にないが、容積効率等を考慮すると、実用的には、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、100重量倍以下である。
なお、オレフィン類を前記した例えばタングステン金属、ホウ化タングステン等で酸化して得られるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を含む反応液を用いる場合は、該反応液にそのまま前記化合物を作用させてもよいし、該反応液から、抽出処理等によりβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を取り出した後、前記化合物を作用させてもよい。
かくして得られるアルデヒド類としては、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、ヘプチルアルデヒド、ウンデカンアルデヒド、ベンズアルデヒド、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、ヘプタンジアルデヒド、オクタンジアルデヒド、2−クロログルタルアルデヒド、2−メチルグルタルアルデヒド、3−メチルグルタルアルデヒド、2,3−ジメチルグルタルアルデヒド、2,4−ジメチルグルタルアルデヒド、2,3,4−トリメチルグルタルアルデヒド、2−メチルアジポアルデヒド、3−メチルアジポアルデヒド、2,3−ジメチルアジポアルデヒド、2,4−ジメチルアジポアルデヒド、2,3,4−ジメチルアジポアルデヒド、シクロペンタン−1,3−ジカルボアルデヒド、ジフェニル−2,2’−ジカルボアルデヒド、1−(ホルミルメチル)シクロペンタン−2,3,4−トリカルボアルデヒド、1,2−ビス(ホルミルメチル)コハク酸無水物、1,4−ジホルミルブタン−2,3−ジカルボン酸、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−ホルミルシクロプロパンカルボン酸エチル等が挙げられる。
また、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元剤で還元処理することにより、ジオール類を得ることもできる。一般式(2)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元剤で還元処理すると、一般式(4)
Figure 0004793357
(式中、R1およびR2はそれぞれ上記と同一の意味を表わす。)
で示されるジオール類が生成する。
還元処理は、通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類と還元剤を混合することにより実施され、還元剤としては、例えばチオ硫酸ナトリウム等の無機の還元剤、例えばジメチルスルフィド等のスルフィド類等が挙げられる。かかる還元剤の使用量は、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して、通常1モル倍以上であり、その上限は特にないが、実用性を考慮すると、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に対して5モル倍以下である。
還元処理の温度は、通常10〜100℃の範囲である。本還元処理も、通常β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類が溶解する溶媒の存在下に実施される。また、オレフィン類を前記した例えばタングステン金属、ホウ化タングステン等で酸化して得られるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を含む反応液を用いる場合は、該反応液をそのまま還元剤と混合してもよいが、反応液中に未反応の過酸化水素等酸化性物質が残存している場合が多いため、該反応液から、抽出処理等によりβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を取り出した後、還元剤と混合することが経済的な面で好ましい。
ジオール類としては、例えば1,2−ジヒドロキシシクロペンタン、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサン、1,2−ジヒドロキシシクロヘプタン、1,2−ジヒドロキシシクロオクタン、1,2−ジヒドロキシ−3−メチルシクロペンタン、1,2−ジヒドロキシ−4−メチルシクロペンタン、1,2−ジヒドロキシ−3,4−ジメチルシクロヘキサン、1,2−ジヒドロキシ−3,4,5−トリメチルシクロヘキサン、2,3−ジヒドロキシヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジオール、3,3−ジメチル−2−(1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸メチル、3,3−ジメチル−2−(1,2−ジヒドロキシプロピル)シクロプロパンカルボン酸エチル等が挙げられる。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
なお、ガスクロマトグラフィ分析(以下、GC分析と略記する。)および高速液体クロマトグラフィ分析(以下、LC分析と略記する。)の各条件は、以下のとおりである。
<GC分析条件>
カラム:DB−1(φ0.25μm×30m、膜厚1.0μm)
キャリアガス:ヘリウム(流速:1m/分)
スプリット比:1/10、試料注入量:1μL
カラム温度:100℃(0分)→180℃(昇温速度:2℃/分、180℃での保持時間:0分)→300℃(昇温速度:10℃/分、300℃での保持時間:15分)
注入口温度:200℃、検出器温度:250℃
<LC分析条件>
カラム:SUMIPAX ODS A−212(5μm,φ6mm×15cm)
移動相:A液;0.1体積%トリフルオロ酢酸水溶液
B液;0.1体積%トリフルオロ酢酸/アセトニトリル溶液
A液/B液=90/10(体積比)から40分で直線的に、A液/B液=10/90(体積比)に組成変化させ、A液/B液=10/90(体積比)の組成比で、20分保持。
流量:1.0mL/分、試料注入量:10μL、検出波長:220nm
実施例1 <タングステン金属と過酸化水素との反応による酸化物の調製>
ビーカーに、タングステン金属粉末4gを加え、さらに15重量%過酸化水素水溶液50gを加え、室温で攪拌させた。酸素ガスを発生しながら、タングステン金属粉末が溶解していき(内温は60℃まで上昇した)、薄い黄褐色に着色した均一の透明液が得られた。この溶液を室温まで冷却し、白金網を用いて残存する過酸化水素を分解した後、室温でロータリーエバポレーターを用いて、前記溶液から水を留去し、淡黄色の固体(タングステン酸化物)を得た。この固体を常温、空気開放系で恒量になるまで乾燥し、5.8gの固体を得た。
濃縮前の均一透明液のUVスペクトル
λH2O max:204,238nm
濃縮前の均一透明液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3342,1275,1030,967,837cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3531,3452,2945,1653,1619,973,906,638,551cm-1
元素分析値;W:63.9,O:31.2,H:1.6
実施例2<ホウ化タングステンと過酸化水素との反応による酸化物の調製>
磁気回転子および還流冷却管を備えた100mLフラスコに、ホウ化タングステン粉末4.2gおよび水25gを加え、内温40℃で、攪拌しながら、60重量%過酸化水素水溶液18gを2時間かけて滴下した。同温度で2時間さらに保温し、白色の結晶がわずかに浮遊した無色溶液が得られた。この溶液を室温まで冷却し、白金網を用いて残存する過酸化水素を分解した後、室温でロータリーエバポレーターを用いて、前記溶液から水を留去し、白色の固体(酸化物)を得、これを常温、空気開放系で恒量になるまで乾燥し、5.8gの固体を得た。
濃縮前の無色溶液のUVスペクトル
λH2O max:200,235(s)nm
濃縮前の無色溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3350,2836,1275,1158,965,836cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3527,3220,2360,2261,1622,1469,1196,973,904.5,884,791,640,549cm-1
元素分析値;W:51.2,O:39.0,H:2.2,B:3.98
参考例3<硫化タングステンと過酸化水素との反応による酸化物の調製>
実施例2において、ホウ化タングステン粉末に代えて、硫化タングステン5.4gを用い、水の量を12gとした以外は実施例2と同様に実施して、淡黄色固体10.1gを得た。
濃縮前の溶液のUVスペクトル
λH2O max:200,240(s)nm
濃縮前の無色溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3373,1187,1044,974,878,837cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3435,3359,1730,1632,1320,1285,1178,1103,1070,1008,981,887,839,851,660,615,578cm-1
元素分析値;W:35.3,O:47.7,H:3.0,S:12.4
実施例4<モリブデン金属と過酸化水素との反応による酸化物の調製>
実施例2において、ホウ化タングステン粉末に代えて、モリブデン金属2.1gを用い、水の量を12gとし、60重量%過酸化水素水溶液の使用量を12gとした以外は実施例2と同様に実施して、黄色固体4.0gを得た。
濃縮前の溶液のUVスペクトル
λH2O max:207,300nm
濃縮前の無色溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3359,2480,1372,974,866cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3530,1621,964,927,902,840,633,557,530,522cm-1
元素分析値;Mo:47.8,O:46.2,H:2.1
参考例5<ホウ化モリブデンと過酸化水素との反応による酸化物の調製>
実施例2において、ホウ化タングステン粉末に代えて、ホウ化モリブデン2.3gを用い、水の量を12gとし、60重量%過酸化水素水溶液の使用量を12gとした以外は実施例2と同様に実施して、黄色固体5.2gを得た。
濃縮前の溶液のUVスペクトル
λH2O max:200,310nm
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3221,2520,2361,2262,1620,1463,1439,1195,965,927,887,840,799,674,634,547,529cm-1
元素分析値;Mo:35.5,O:51.0,H:2.9,B:4.1
比較例1<タングステン酸と過酸化水素との反応による酸化化合物の調製>
ビーカーに、タングステン酸(H2WO4)5.4gを加え、さらに15重量%過酸化水素水溶液50gを加え、室温で攪拌させた。タングステン酸の結晶が完溶しなかったので、内温を55℃に昇温し、さらに2時間攪拌、保持した。冷却後、未反応結晶を濾別し、得られた溶液を白金網を用いて残存する過酸化水素を分解した後、室温でロータリーエバポレーターを用いて前記溶液から水を留去し、淡黄色の固体を得た。この固体を常温、空気開放系で恒量になるまで乾燥し、3.0gの固体を得た。
濃縮前の溶液のUVスペクトル
λH2O max:210,250(s)nm
濃縮前の溶液のIRスペクトル(水溶液;4000〜750cm-1
νmax:3400,2833,1355,967,836cm-1
得られた固体のIRスペクトル(KBr)
νmax:3416,1623,1385,975,880,839,749,700,643,625,550cm-1
元素分析値;W:63.9,O:31.2,H:1.6
これらのスペクトルデータを前記実施例1で得られたタングステン金属と過酸化水素との反応で得られた酸化物と比較したが、異なる酸化物であった。
実施例6
磁気回転子および還流冷却管を付した50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水200mg、tert−ブタノール1.5gおよびタングステン金属粉末40mgを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で1時間攪拌、保持した。この溶液を25℃に冷却し、無水硫酸マグネシウム530mgを加えた後、シクロペンテン150mg、tert−ブタノール1.5gおよび30重量%過酸化水素水350mgの混合液を20分かけて滴下した。内温25℃で16時間攪拌、保持した後、水5gを加え、メチル−tert−ブチルエーテル5gで2回抽出し、メチル−tett−ブチルエーテル溶液を得た。該溶液をLC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンが生成していたが、グルタルアルデヒドは生成していなかった。
該溶液をGC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンは、注入口部で熱分解し、グルタルアルデヒドとして検出されたため、グルタルアルデヒドの収率を、GC分析(内部標準法)結果から算出し、該収率を、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンの収率とした。
1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンの収率:80.7%
実施例7
上記実施例6で得た1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンを含むメチル−tert−ブチルエーテル溶液を、磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに仕込み、五酸化バナジウム50mgをさらに仕込み、内温60℃で4時間攪拌、保持した。得られた反応液をLC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンのピークは消失し、グルタルアルデヒドのピークが検出された。GC分析(内部標準法)したところ、グルタルアルデヒド170mgが含まれていた。グルタルアルデヒドの収率:77%(1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン基準)。
実施例8
実施例6と同様に反応して、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン940mgを含むtert−ブタノール溶液11gを得た。この溶液に塩化ビスマス363mgを仕込み、内温25℃で6時間攪拌した。得られた反応液をLC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタンのピークは消失し、グルタルアルデヒドのピークが検出された。GC分析(内部標準法)したところ、グルタルアルデヒド398mgが含まれていた。収率:50%(1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン基準)。
実施例9
実施例8において塩化ビスマスに変えて、酢酸パラジウム350mgを用いる以外は、実施例8と同様に反応して、グルタルアルデヒド279mgを含む反応液を得た。収率:35%(1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロペンタン基準)。
実施例10
磁気回転子および還流冷却管を付した50mLフラスコに、30重量%過酸化水素水200mg、tert−ブタノール1.5g、無水ホウ酸20mgおよびタングステン金属粉末40mgを仕込み、内温60℃に昇温し、同温度で1時間攪拌、保持した。この溶液を25℃に冷却し、無水硫酸マグネシウム530mgを加えた後、シクロヘキセン180mg、tert−ブタノール1.5gおよび30重量%過酸化水素水350mgの混合液を20分かけて滴下した。内温25℃で16時間攪拌、保持した後、LC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンが生成しており、アジポアルデヒドの生成は確認できなかった。GC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンは、注入口部で熱分解してアジポアルデヒドとして検出されたため、アジポアルデヒドの収率をGC分析にて求め、該収率を1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンの収率とした。収率:54.7%。
実施例11
磁気回転子および還流冷却管を付した100mLフラスコに、タングステン金属粉末400mgを仕込み、30重量%過酸化水素水2.5gを少しずつ加えた後30分、室温にて攪拌し無色の均一溶液を得た。この溶液に、60重量%過酸化水素水3.0g、tert−ブタノール30g、無水硫酸マグネシウム5.3gを加えた後、30分室温にて攪拌後、シクロヘキセン2.0g、tert−ブタノール15gの混合液を30分かけて滴下した。内温25℃で16時間攪拌、保持した後、反応液にトルエン30gと水20gを加えて攪拌後に分液してトルエン溶液82.7gを得た。この溶液をLC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンが生成し、アジポアルデヒドの生成は確認できなかった。GC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンは注入口部で熱分解してアジポアルデヒドとして検出されたため、アジポアルデヒドの収率を、GC分析にて求め、該収率を1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンの収率とした。収率:54.0%。また、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサンが収率26.0%で生成していた。
実施例12
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、塩化銅(II)390mgを仕込み、上記実施例11で得た1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンを含むトルエン溶液41gを加え、内温25℃で16時間攪拌した。得られた反応液をLC分析したところ、1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンのピークは消失して、アジポアルデヒドのピークが検出された。GC分析(内部標準法)したところ、アジポアルデヒド783mgが含まれていた。アジポアルデヒドの収率:56%(シクロヘキセン基準)。
実施例13
磁気回転子および還流冷却管を備えた500mLフラスコに、上記実施例11で得た1−ヒドロペルオキシ−2−ヒドロキシシクロヘキサンを含むトルエン溶液41g仕込み、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液50gを加え、内温25℃で16時間攪拌した後、メチル−tert−ブチルエーテル50gを加えて、抽出処理し、有機層95.7gを得た。該有機層をGC分析したところ、アジポアルデヒドのピークは検出されず、1,2−ジヒドロキシシクロヘキサンが検出された。1,2−ジヒドロキシしクロヘキサンの収率:81%(シクロヘキセン基準)。
実施例14
実施例10において、シクロヘキセン180mgに代えて5−ドデセン370mgを、タングステン金属粉末40mgに代えてホウ化タングステン22mgを用い、内温25℃で39時間攪拌、保持した以外は実施例10と同様に実施した。反応液をGC分析したところ、1−ヘプチルアルデヒドおよび1−ペンチルアルデヒドのピークが検出され、それぞれの収率が44%であったことから、5−ドデセンから、5−ヒドロペルオキシ−6−ヒドロキシドデカンおよび/または6−ヒドロペルオキシ−5−ヒドロキシドデカンが収率44%で得られていることがわかった。
実施例15
磁気回転子および還流冷却管を付した100mLフラスコに、モリブデン金属粉末200mgを仕込み、30重量%過酸化水素水3.0gを少しずつ加えた後30分、室温にて攪拌し黄色の均一溶液を得た。この溶液に、60重量%過酸化水素水3.5g、メチル−tert−ブチルエーテル15g、無水硫酸マグネシウム5.3gを加えた後、30分室温にて攪拌後、ノルボルネン2.0g、メチル−tert−ブチルエーテル15gの混合液を30分かけて滴下した。内温25℃で4時間攪拌、保持した後、さらに50℃にて6時間攪拌した。反応液にトルエン30gと水20gを加えて攪拌後に分液してトルエン溶液82.7gを得た。該トルエン溶液を溶媒留去した後、残渣をシリカゲル20gを用いて精製し(溶離液:酢酸エチル:n−ヘキサン=1:5(体積比))、得られた溶液を濃
縮し、無色油状物質2.6gを得た。GC分析したところ、純度は82%であった。この無色油状物質は、1H−NMR、13C−NMR、MSスペクトルより、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−ヒドロペルオキシ−3−オールと同定された。
1H-NMR:10.4ppmおよび9.95ppmに、ヒドロペルオキシ基に由来するピーク(bs)あり
13C-NMR:89.2ppmおよび86.6ppmに、ヒドロペルオキシ基が結合した炭素原子に由来するピークあり
実施例16
磁気回転子および還流冷却管を備えた50mLフラスコに、上記実施例15で得た無色油状物質100mgおよびメチル−tert−ブチルエーテル5gを仕込み、10重量%チオ硫酸ナトリウム水溶液5gを加え、内温25℃で16時間攪拌した後、分液し、得られる有機層を濃縮して無色油状物質95mgを得た。GC分析したところ、純度は95%であった。この無色油状物質は、1H−NMR、13C−NMR、MSスペクトルより、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2,3−ジオールと同定された。

Claims (16)

  1. 内部二置換オレフィン類と過酸化水素とを、タングステン金属、モリブデン金属およびホウ化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる金属酸化物触媒および脱水剤の存在下に、有機溶媒中で反応させることを特徴とするβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法。
  2. 脱水剤が、無水硫酸マグネシウム、無水硫酸ナトリウム、無水ホウ酸、ポリリン酸または五酸化二リンである請求項に記載のβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法。
  3. 内部二置換オレフィン類が、一般式(1)
    Figure 0004793357
    (式中、R1およびR2はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表わす。また、R1とR2が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
    で示されるオレフィン類である請求項1または2に記載のβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法。
  4. 過酸化水素水を用いる請求項1〜のいずれかに記載のβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類の製造法。
  5. タングステン金属、モリブデン金属およびホウ化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素とを反応せしめてなる、内部二置換オレフィン類を脱水剤の存在下に酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を製造するための金属酸化物触媒。
  6. タングステン金属、モリブデン金属およびホウ化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素とを、水中で反応せしめてなる、内部二置換オレフィン類を脱水剤の存在下に酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を製造するための金属酸化物触媒水溶液。
  7. 請求項に記載の金属酸化物触媒水溶液と有機溶媒とからなる、内部二置換オレフィン類を脱水剤の存在下に酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を製造するための金属酸化物触媒溶液。
  8. タングステン金属、モリブデン金属およびホウ化タングステンからなる群から選ばれる少なくとも1種の金属化合物と過酸化水素とを、水中で、前記金属化合物が十分分散するよう攪拌しながら、反応せしめることを特徴とする、内部二置換オレフィン類を脱水剤の存在下に酸化して、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を製造するための金属酸化物触媒水溶液の調製方法。
  9. 請求項1〜のいずれかに記載の方法により、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を得、次いで該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類をアルカリ処理または熱処理して、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を分解することを特徴とするアルデヒド類の製造方法。
  10. 請求項1〜のいずれかに記載の方法により、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を得、次いで該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類に、バナジウム化合物、銅化合物、パラジウム化合物およびビスマス化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物を作用させて、該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を分解することを特徴とするアルデヒド類の製造方法。
  11. バナジウム化合物、銅化合物、パラジウム化合物およびビスマス化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物が、バナジウム金属、酸化バナジウム、バナジン酸アンモニウム、バナジウム金属と過酸化水素を反応させてなるバナジウム酸化物、バナジウムカルボニル錯体、塩化第一銅、塩化第二銅、臭化第一銅、臭化第二銅、パラジウム金属、酢酸パラジウム、パラジウムカーボン、ビスマス金属および塩化ビスマス(BiCl3)からなる群から選ばれる請求項10に記載のアルデヒド類の製造方法。
  12. バナジウム化合物、銅化合物、パラジウム化合物およびビスマス化合物からなる群から選ばれる少なくとも一種の化合物が、五酸化バナジウム、塩化ビスマス、酢酸パラジウムおよび塩化銅(II)からなる群から選ばれる請求項10に記載のアルデヒド類の製造方法。
  13. 請求項1〜のいずれかに記載の方法により、β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を得、次いで該β−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元剤で還元処理することを特徴とするジオール類の製造方法。
  14. 一般式(2)
    Figure 0004793357
    (式中、R1およびR2はそれぞれ同一または相異なって、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルコキシ基、置換されていてもよいアリール基、置換されていてもよいアリールオキシ基、置換されていてもよいアラルキル基、置換されていてもよいアラルキルオキシ基、置換されていてもよいアシル基、置換されていてもよいカルボアルコキシ基、置換されていてもよいカルボアリールオキシ基、置換されていてもよいカルボアラルキルオキシ基、カルボキシル基またはハロゲン原子を表わす。また、R1とR2が一緒になって環構造の一部を形成してもよい。)
    で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類および/または一般式(3)
    Figure 0004793357
    (式中、R1およびR2は上記と同一の意味を表わす。)
    で示されるβ−ヒドロキシヒドロペルオキシド類を還元剤で還元処理することを特徴とする一般式(4)
    Figure 0004793357
    (式中、R1およびR2はそれぞれ上記と同一の意味を表わす。)
    で示されるジオール類の製造方法。
  15. 還元剤が、無機の還元剤またはスルフィド類である請求項13または14に記載のジオール類の製造方法。
  16. 還元剤が、チオ硫酸ナトリウムである請求項13または14に記載のジオール類の製造方法。
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