JP4793172B2 - エンジンの点火制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの点火制御装置に関する。
例えば特許文献1には、燃焼室内で発生するイオン電流を、イオン電流検出回路によって検出すると共に、その検出したイオン電流波形における最大値に基づいてMBT(Minimum advance for the Best Torque)を検出する装置が開示されている。
特開平6−34490号公報
前記特許文献にも開示されているように、燃焼室内で発生するイオン電流を検出することによって、燃焼に関連するパラメータを計測することが可能であるが、本願発明者が、点火プラグの点火放電後に燃焼室に発生するイオン電流の変化について鋭意、研究した結果、例えば図3に示すように、クランク角に対するイオン電流の波形には通常、前半及び後半の山が現れ、その前半の山の高さや形状が、空燃比や外部EGR率等の燃焼室内の燃焼に関連する燃焼関連パラメータと高い相関を持つことが判明した。
つまり、イオン電流波形の前半の山は、主に着火後の火炎面に発生するイオンを媒体とするイオン電流の変化を表すものと考えられる一方、後半の山の示すイオン電流は、燃焼の進行による燃焼室の温度上昇に伴い、既燃ガス中に存在するNOxが熱電離して発生するイオンを媒体とするものと考えられる。
例えば燃焼室内の空燃比がリーン側で燃焼が緩慢になれば、前半の山のピークは相対的に低くなると共に遅角側に移動し、燃焼室内の空燃比がリッチ側で燃焼が活発になれば、前半の山のピークは相対的に高くなると共に進角側に移動する。同様に外部EGRが増えて燃焼が緩慢になれば、前半の山のピークは相対的に低くなると共に遅角側に移動する。
このようにイオン電流波形の前半の山の高さや形状等に基づいて燃焼関連パラメータを計測することが可能であることから、イオン電流の検出は、燃焼開始の初期から行いたいという要求が生まれる。
ところが、イオン電流検出回路の構成上、点火プラグによる点火放電中はイオン電流を検出することができないと共に、その点火放電の終了後にはノイズ(点火ノイズ)が生じるため、結局のところ、その点火ノイズの発生した後でなければイオン電流は検出することができない。そのため、点火放電時間が長くなればなるほど点火ノイズが発生するクランク角位置が遅角側に移動することでイオン電流の検出開始時期が遅れ、イオン電流波形の前半の山の高さや形状等の特定に支障が生じるという問題がある。
それを解消するために、例えば点火プラグの点火放電時間を短くすることが考えられる。しかしながら、点火放電時間が短すぎるときは、点火エネルギが小さくなって火炎核が適切に成長せず、燃焼安定性の悪化を招き、最悪の場合、失火してしまうという新たな問題が生じる。
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、燃焼関連パラメータの計測精度の向上を図ることと、燃焼安定性を確保することとの相反する2つの要求を共に満たすことにある。
本願発明者は、前記課題を解決すべく検討した結果、燃焼安定性を確保する上で最低限必要な点火放電時間が存在し、点火放電時間をそれ以上長くしても燃焼安定性には何ら影響がないことを見出して、本願発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の一側面によると、エンジンの点火制御装置は、エンジンの燃焼室内に臨んで配設された点火プラグと、前記点火プラグに所定のタイミングで点火放電を実行させる点火回路と、前記燃焼室内で発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、前記点火プラグによる点火放電後、圧縮上死点付近までの特定期間内に前記イオン電流検出回路によって検出された、クランク角の進行に対するイオン電流の波形形状に基づいて前記燃焼室内の燃焼に関連する燃焼関連パラメータを計測する計測手段と、前記イオン電流検出回路の出力に基づき、所定の燃焼安定性を確保しつつ、前記点火プラグの点火放電時間が短くなるように制御する放電時間制御手段と、を備える。
この構成によると、放電時間制御手段は、前記イオン電流検出回路の出力に基づいて燃焼安定性を判断し、その判断結果に基づいて、前述の最低限必要な放電時間を確保しつつ、点火プラグの点火放電時間を可及的に短くする。このことによって、点火ノイズが発生するクランク角位置が進角側に移動し、計測手段は、燃焼開始の早い時期から検出されたイオン電流(その波形形状)に基づいて、燃焼関連パラメータを精度よく計測することが可能になる。
こうして燃焼開始の早い時期からイオン電流を検出可能にする一方で、最低限必要な点火放電時間が確保されているため、所定の燃焼安定性が確保される。
前記放電時間制御手段は、前記点火放電の終了時から所定期間内における前記イオン電流検出回路の出力の最小値と、前記所定期間の終了時から燃焼終了時までの期間内における前記出力の最大値との比に基づいて、前記点火放電時間を制御する、としてもよい。
点火放電の終了時から所定期間内におけるイオン電流検出回路の出力の最小値は、イオン電流波形において、点火ノイズと燃焼の進行に伴い増大するイオン電流との交点の値に相当し、所定期間の終了時から燃焼終了時(例えば排気弁の開時)までの期間内における前記出力の最大値は、イオン電流波形の前半の山のピークに相当する。
ここで、この最小値と最大値との比(最小値/最大値)が小さすぎるときには、点火ノイズのクランク角位置が前半の山に対して進角側にずれていることになる。つまり、点火放電時間が短すぎて燃焼安定性が確保できない虞がある。一方、前記の比が大きすぎるときには、点火ノイズのクランク角位置が前半の山に対して大幅に重なっていることになる。つまり、点火放電時間が長すぎてイオン電流波形の前半の山の高さや形状等の特定に支障が生じる虞がある。
従って、最大値と最小値との比に基づき、点火放電時間が最適になるよう制御することによって、燃焼安定性を確保しつつ、燃焼開始の早い時期からイオン電流を検出して燃焼関連パラメータを精度よく計測することが可能になる。
この場合、イオン電流検出回路の出力の絶対値は、種々の要因(例えば点火プラグの汚損等)により変動しやすいのに対し、前記放電時間制御手段は、イオン電流検出回路の出力の最大値と最小値との比、つまり相対値に基づいて点火放電時間を制御するため、そうした出力絶対値の変動の影響を受けにくい点で有利である。
前記放電時間制御手段は、前記点火放電終了後における所定期間内の前記イオン電流検出回路の出力の平均値に基づいて、前記点火放電時間を制御する、としてもよい。
燃焼安定性が低下した場合は、点火放電終了後のイオン電流検出回路の出力は、全体的に低下する。従って、所定期間内におけるイオン電流検出回路の出力の平均値に基づいて、燃焼安定性を判定することが可能であり、その判定結果に応じて、燃焼安定性が確保される範囲内で点火放電時間を短くすることによって、燃焼関連パラメータを精度よく計測することが可能になる。
前記放電時間制御手段は、前記点火放電終了後に、前記イオン電流検出回路の出力波形の最初のピークが発生するクランク角位置に基づいて、前記点火放電時間を制御する、としてもよい。
燃焼安定性が悪化した場合、初期燃焼の速度が遅くなりイオン電流波形の前半の山のピークが点火時期に対して大幅に遅れる。従って、点火時期と、イオン電流波形の前半の山のピーク(換言すれば、イオン電流検出回路の出力波形の最初のピーク)が発生するクランク角位置との差に基づいて燃焼安定性を判定することが可能であり、その判定結果に応じて、燃焼安定性が確保される範囲内で点火放電時間を短くすることによって、燃焼関連パラメータを精度よく計測することが可能になる。
前記点火回路は、前記点火プラグが点火放電するための点火エネルギを蓄積する点火コイルを含み、前記放電時間制御手段は、前記点火コイルの充電時間を制御することによって、前記点火プラグの点火放電時間を制御する、としてもよい。
点火コイルの充電時間を制御することによって点火エネルギが制御されるため、点火放電時間が制御可能になる。
以上説明したように、本発明によると、イオン電流検出回路の出力に基づき燃焼安定性を判断し、その判断結果に基づいて、燃焼安定性を確保する上で最低限必要な放電時間を確保しつつ、点火プラグの点火放電時間を可及的に短くすることで、点火ノイズが発生するクランク角位置が進角側に移動し、燃焼開始の早い時期からイオン電流を検出して燃焼関連パラメータを精度よく計測することができると共に、所定の燃焼安定性を確保することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(エンジンの概略構成)
図1は、本発明に係る検出装置を備えた実施形態のエンジン1を模式的に示し、この例ではエンジン1は、複数のシリンダ2,2,…(図には1つのみ示す)が直列に配置された火花点火式エンジンである。図示の如く、シリンダ2の上端はシリンダブロック3の上端面に開口し、そこに載置されたシリンダヘッド4の下面により閉塞されている。シリンダ2内にはピストン5が往復動可能に嵌挿されていて、このピストン5の上面とシリンダヘッド4の下面との間に燃焼室6が区画される。一方、ピストン5の下方のクランクケース内には、図示しないがクランク軸が配設され、コネクティングロッドによってピストン5と連結されている。
前記シリンダヘッド4には各シリンダ2毎に点火プラグ7が配設され、その先端の電極が燃焼室6に臨むように配置される一方、該点火プラグ7の基端部は点火回路8に接続されている。この点火回路8には、図2にのみ示すが、パワートランジスタからなるイグナイタ8aとイグニッションコイル8bとが含まれており、後述のPCM30からの制御信号を受けて各シリンダ2毎に所定のタイミング(点火時期)で点火プラグ7に通電するようになっている。この例では各点火回路8にイオン電流検出回路33が接続されていて、図3又は図4のようにシリンダ2毎にイオン電流を検出することができるようになっているが、これについては後述する。
また、シリンダヘッド4には、各シリンダ2毎の燃焼室6に臨んで開口するように吸気ポート9及び排気ポート10がそれぞれ形成され、その各ポート開口部にはそれぞれカム軸により開閉されるように吸気弁11及び排気弁12が配設されている。同図には示さないが、カム軸は、吸気側及び排気側に1本ずつ設けられていて、共通のカムチェーンによりクランク軸に駆動連結されており、このクランク軸の回転に同期して吸気側及び排気側のカム軸がそれぞれ回転されることにより、吸気及び排気弁11,12がそれぞれ所定のタイミングで開閉されるようになっている。
また、この例では前記吸気側のカム軸に、クランク軸の回転に対する位相を所定の角度範囲(例えば40〜60°CA)内で連続的に変更可能な位相可変機構13(Variable Valve Timing 以下、VVTともいう)が付設されており、このVVT13によって、吸気弁11のリフトカーブが進角側、遅角側に変更されるようになっている。このことで吸気の充填効率を高めることができ、また、排気弁12のリフトカーブとのオーバーラップ期間を調整して、燃焼室6に残留する既燃ガス(内部EGR)の量を変化させることもできる。
さらに、シリンダヘッド4の一側(図1の左側)には、下流端が吸気ポート9に連通するように吸気通路15が配設されている。この吸気通路15の上流端は外部から導入される新気を濾過するためのエアクリーナ16に接続されており、そこから下流側に向かって順に、吸気流量を検出するエアフローセンサ17と、電動モータ18aにより駆動されて吸気通路15を絞るスロットル弁18と、各シリンダ2毎に燃料を噴射供給する4つのインジェクタ19,19,…(図には1つのみ示す)とが配設されている。
一方、シリンダヘッド4の反対側(図1の右側)には、排気ポート10に連通して各シリンダ2内の燃焼室6から既燃ガス(排気ガス)を排出するように、排気通路20が配設されている。この排気通路20には上流側から順に、排気ガス中の酸素濃度を基に混合気の空燃比を検出するための酸素濃度センサ(以下、O2センサ)21と、排気ガスを浄化するための触媒コンバータ22とが配設されている。
また、前記O2センサ21よりも上流側の排気通路20には、排気ガスの一部を吸気通路15に還流するための排気還流通路24(以下、EGR通路)が分岐接続されていて、このEGR通路24の下流端が前記スロットル弁18よりも下流側の吸気通路15に連通している。このEGR通路24の下流端寄りには開度調節可能な電気式の流量制御弁25(以下、EGR弁)が配設されていて、EGR通路24を還流される排気ガス(外部EGR)の流量を調節するようになっている。
さらにまた、エンジン1のシリンダブロック3下部のクランクケース内には、クランク軸の回転角(クランク角)を検出する電磁ピックアップ等からなるクランク角センサ26が設けられている。このクランク角センサ26は、クランク軸の端部に一体に回転するように取り付けられたロータ27の回転に伴い、その外周部に設けられた凸部の通過に対応して信号を出力する電磁ピックアップコイル26からなる。また、シリンダブロック3のウォータジャケット(図示せず)には、冷却水の温度状態を検出する水温センサ28が臨設されている。
前記エアフローセンサ17、O2センサ21、クランク角センサ26、水温センサ28等からの出力信号は、それぞれPCM(Power-train Control Module)30に入力されるようになっている。このPCM30は、周知の如くCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース回路等を備えており、前記各センサ以外に、少なくとも、吸気側カム軸の回転角(回転位置)を検出するカム角センサ31と、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサ32と、からそれぞれ出力される信号を受け入れる。
そして、PCM30は、前記各センサ等から入力した信号に基づいてエンジン1の運転状態を判定し、これに応じてエンジン1の運転制御を行うようになっている。すなわち、PCM30は、点火回路8に対し各シリンダ2毎の点火時期の制御信号を出力し、VVT13に対し吸気弁11の作動タイミングを制御するための信号を出力するとともに、スロットル弁18に対し吸気流量を制御するための信号を出力し、さらに、各シリンダ2毎のインジェクタ19,19,…に対し燃料噴射量及び噴射タイミングを制御するためのパルス信号を出力する。また、PCM30は、EGR通路24によって吸気系に環流する排気ガス(外部EGR)の量を制御するために、EGR弁25に対し制御信号を出力する。
そして、この実施形態のエンジン1では、上述の如く点火回路8に接続したイオン電流検出回路33によって、点火後に燃焼室6に発生するイオン電流をシリンダ2毎に検出し、これによりシリンダ2毎の燃焼空燃比や、各シリンダ2に吸入される吸気中の還流排気ガスの割合(外部EGR率)等の燃焼に関連する燃焼関連パラメータを計測する。また、この実施形態のエンジン1では、計測した燃焼関連パラメータに基づいて各種の制御を行うが、その制御についての説明は省略する。
(イオン電流による燃焼関連パラメータの計測)
次に、検出したイオン電流値から空燃比や外部EGR率等の燃焼関連パラメータと相関の高い評価値Ip(以下、イオンパラメータという)を求める考え方について説明する。イオン電流は、従来より、燃焼に伴い発生するイオンが媒体となって発生するものと考えられており、この実施形態では、前記図2に示すように、エンジン1の点火回路8にイオン電流検出回路33が接続されている。
図の例ではイオン電流検出回路33は、イグニッションコイル8bの2次側が接地される点火プラグ7とは反対側の端部に直列に接続された電源コンデンサ33aと、検出回路33bとからなり、イグナイタ8aの作動によって点火プラグ7に通電される際(点火)に電源コンデンサ33aに蓄えられた電荷と、その後、燃焼室6において発生したイオンとで回路が構成されて電流が流れ、この電流を検出回路33bが検出するようになっている。検出回路33bからの信号はPCM30へ出力される。
そうして検出されるイオン電流の値は、図3に模式的に示すように点火後のクランク角の進行に伴い変化し、その波形には通常、前半及び後半の2つの山が現れる。前半の山に表されるイオン電流は、混合気が着火した後に、火炎核の成長に伴い拡大する火炎面に存在するイオン(ラジカル)を媒体とするものと考えられ、これは、特に初期燃焼の速度や燃焼室の流動強さの影響を強く受ける。すなわち、前半の山は、初期燃焼が活発であるほど急峻になり、そのピークが進角する。
一方、後半の山に表されるイオン電流は、前記のように燃焼反応そのものによって発生するイオン(ラジカル)の他に、燃焼室の温度上昇に伴い既燃ガス中に存在するNOxが熱電離して発生するイオンをも媒体とするものと考えられ、そのピークは、燃焼室の温度が最高になるクランク角位置に現れて、全体として燃焼が活発であるほど高くなり、それが緩慢なほど低くなる。
従って、例えば空燃比がリッチであり燃焼が全体として活発になれば、イオン電流波形の前半の山は相対的に高くなって、そのピークが進角側に移動する一方、空燃比がリーンであり燃焼が全体として緩慢になれば、イオン電流波形の前半の山は相対的に低くなって、そのピークが遅角側に移動する。
また、例えば外部EGRが増えて燃焼が全体として緩慢になれば、イオン電流波形の前半の山は相対的に低くなって、そのピークが遅角側に移動する。
つまり、イオン電流波形の前半の山におけるピークまでの立ち上がりの様子を観れば、燃焼室6内の空燃比や外部EGR率を推定することができる。
そこで、この実施形態では、図3に模式的に示すように、点火終了から圧縮上死点(TDC)までの特定の期間に検出されたイオン電流値を積算し、その総積算値(図に斜線を入れて示す範囲の面積に相当する)の所定割合(例えば50%)までが積算されたクランク角位置を、イオン電流の立ち上がり特性を表す評価値、即ちイオンパラメータIpとして用いるようにしている。尚、この積算率50%のクランク角は、初期燃焼の進行度合い(燃焼割合)5%前後のクランク角に相当する。ここで、前記積算率は、50%に限らず、任意の率で設定することが可能であり、例えば積算率10%や25%、又は90%であってもよい。
尚、ここでは、エンジン1の燃焼室6において点火後、TDCまでの特定の期間に検出したイオン電流値に基づいて、燃焼関連パラメータを計測するようにしているが、特定の期間はTDCまでに限らず、その前後5〜10°CAくらいまでの範囲とすることができる。
初期燃焼の立ち上がりは、空燃比や外部EGR率以外にも、その温度や新気と合わせたシリンダ2への吸気充填量、燃焼室6内の流動強さ、さらには燃焼室6の温度等の影響を受けるから、イオンパラメータIpに基づいて空燃比や外部EGR率を定量的に求めようとすれば、それと点火時期以外に、エンジンの運転状態も加味する必要がある。
そこで、この実施形態では、エンジン1の負荷(例えば充填効率ce)と回転数neとによって規定されるエンジン運転領域において、適当な間隔を空けて複数の格子点(x,y)を設定する(例えば図12(a)参照)。そして、この各格子点毎に対応するエンジン運転状態において、イオンパラメータIp、点火時期、空燃比及び外部EGR率の相関を表すデータを実験により求める。
そうして求めた実験データを整理して、イオンパラメータIpと点火時期とから空燃比や外部EGR率を求めるための演算マップを作成し、PCM30のメモリに電子的に格納する。こうすれば、エンジン1の運転中に検出したイオン電流値から前記イオンパラメータIpを算出し、このイオンパラメータIpと点火時期とに基づき、そのときのエンジン運転状態に対応する演算マップを参照して、空燃比や外部EGR率を定量的に求めることができる。
尚、ここでは、イオンパラメータIpとして、前記特定期間におけるイオン電流の総積算値の所定割合までが積算されたクランク角位置を用いているが、これに限らず、その所定割合が積算されるまでのイオン電流波形の傾き等の、イオン電流波形の形状に関係するパラメータであれば、それを、燃焼関連パラメータを計測するためのイオンパラメータIpとすることができる。
このように、本実施形態のエンジン1では、イオン電流波形の前半の山におけるピークまでの立ち上がりの様子に基づいて燃焼関連パラメータを計測するため、燃焼開始の初期からイオン電流を検出することが、その燃焼関連パラメータを精度よく計測する上で重要となる。
しかしながら、図4に示すように、点火プラグ7による点火放電中はイオン電流を検出することができないと共に、その点火放電の終了後には点火ノイズが生じることから、結局のところ、その点火ノイズの発生した後でなければイオン電流は検出することができない。例えば図4に2点鎖線で示すように、イグニッションコイル8bの充電時間が長いことで点火放電時間(点火から点火ノイズの立ち上がりまでの時間)が長く、点火ノイズが遅角側に位置するときには、その点火ノイズがイオン電流波形と大幅に重なってしまい、イオン電流波形の前半の山におけるピークまでの立ち上がりの様子が特定し難くなる。
これを解消するには、イグニッションコイル8bの充電時間を短くすることで点火プラグ7の点火放電時間を短くし、それによって点火ノイズを進角側に位置させてイオン電流波形との重なりを小さくすることが必要となる。ところが、例えば図4に破線で示すように、点火放電時間が短くなりすぎると、点火エネルギの減少によって燃焼安定性が悪化することになる(点火ノイズ後のイオン電流波形を参照)。
従って、図4に実線で示すように、イグニッションコイル8bの充電時間を適切にして点火放電時間を適切にすることが必要であり、そうすることによって、点火ノイズとイオン電流波形の前半の山との重なりが最適化され、燃焼安定性を確保しつつも、イオン電流波形の前半の山におけるピークまでの立ち上がりの様子を特定することが可能になる。
本実施形態のエンジン1では、所定の燃焼安定性を確保する上で最低限必要な点火放電時間が存在し、点火放電時間をそれ以上長くしても燃焼安定性には何ら影響がないとの知見に基づき、点火放電後のイオン電流検出回路33の出力から燃焼安定性を判断し、その判断結果に応じてイグニッションコイル8bの充電時間を制御することにより、点火プラグ7の点火放電時間を制御する。
(イグニッションコイルの充電時間制御)
(実施形態1)
次に、イグニッションコイル8bの充電時間制御について、図5に示すフローチャートを参照しながら具体的に説明する。図示のスタート後のステップSA1でコイル充電時間制御の実行が指示されれば、続くステップSA2でイグニッションコイル8bの充電時間tdwlを、前回の充電時間tdwl(-1)に設定する。尚、初期時は、予め設定されている通常の制御値に設定する。
続くステップSA3では設定した充電時間tdwlでイグニッションコイル8bの充電を行い、点火プラグ7による点火放電を実行する。そうして、ステップSA4でイオン電流検出回路33の出力信号から、点火終了後、指定期間D1における最小値(IonD1mn)を求める(図6の黒丸参照)。ここで指定期間D1は、図6に示すように、その期間の始めが点火終了時に設定されると共に、その期間の終わりがイオン電流波形の前半の山のピークよりも進角側位置に設定された期間である。尚、その期間D1の終わりは、例えば実験等に基づいて設定すればよい。
ステップSA5ではイオン電流検出回路33の出力信号から、指定期間D1の終了後から燃焼終了(例えば排気弁12が開となる時点)までの期間D2における最大値(IonD2mx)を求める(図6の黒丸参照)。
そうして、ステップSA6では、ステップSA4及びSA5において求めた最小値IonD1mn及び最大値IonD2mxの比(IonD1mn/IonD2mx)が、実験等によって求めた制御定数ISRT以下であるか否かを判定する。ここで、制御定数ISRTは、エンジンの運転状態(例えば充填効率ce及び回転数ne)毎に設定される。
ステップSA6でYESのときには、充電時間tdwlが短く燃焼安定性が悪いとして、ステップSA7において、充電時間tdwlを、tdwl+Δtdwlに設定する。但し、ステップSA7において充電時間tdwlが最大値tdwlmxを超えるときには、充電時間tdwlを最大値tdwlmxに設定する。
一方、ステップSA6でNOのときには、充電時間tdwlが長く、点火ノイズがイオン電流波形の前半の山と重なりすぎているとして、ステップSA8において、充電時間tdwlを、tdwl−Δtdwlに設定する。但し、ステップSA8において充電時間tdwlが最小値tdwlmnを下回るときには、充電時間tdwlを最小値tdwlmnに設定する。
尚、ステップSA7及びSA8におけるΔtdwl並びに、tdwlmx及びtdwlmnはそれぞれ、エンジンの運転状態(ce、ne)により設定すればよい。
ステップSA9では本制御を続行するか否かを判定し、制御を終了するときにはそのままフローを終了する一方、制御を続行するときにはステップSA10で、tdwl(-1)をtdwlに設定した上で、ステップSA2に戻り、前記の各ステップを繰り返す。
前記指定期間D1における最小値IonD1mnは、イオン電流波形において、点火ノイズと初期燃焼の進行に伴い増大するイオン電流との交点の値に相当し、指定期間D2における最大値IonD2mxは、イオン電流波形の前半の山のピークに相当する。従って、この最小値IonD1mnと最大値IonD2mxとの比(IonD1mn/IonD2mx)がエンジンの運転状態に応じて設定される制御定数ISRT以下であるとき(前記フローのステップSA6でYESのとき)は、点火ノイズのクランク角位置が前半の山に対し相対的に進角側に位置していることになる。従って、イグニッションコイル8bの充電時間をΔtdwlだけ長くして、点火放電時間をその分長くし、点火ノイズのクランク角位置を遅角側に移動させる(前記フローのステップSA7)。これに対し、最小値IonD1mnと最大値IonD2mxとの比(IonD1mn/IonD2mx)がエンジンの運転状態に応じて設定される制御定数ISRTよりも大きいとき(前記フローのステップSA6でNOのとき)は、点火ノイズのクランク角位置が前半の山に対し相対的に遅角側に位置していることになる。従って、イグニッションコイル8bの充電時間をΔtdwlだけ短くして、点火放電時間をその分短くし、点火ノイズのクランク角位置を進角側に移動させる(前記フローのステップSA8)。
そうして、ステップSA6〜SA8を繰り返すことによって、点火ノイズとイオン電流波形の前半の山との重なりが最適化され、燃焼安定性を確保しつつも、イオン電流波形の前半の山におけるピークまでの立ち上がりの様子を特定することが可能になる。
従って、前記図5のフローにより、点火放電の終了時から所定期間内におけるイオン電流検出回路33の出力の最小値と、前記所定期間の終了時から燃焼終了時までの期間内における前記出力の最大値との比に基づいて、前記点火放電時間を制御する放電時間制御手段41が構成されている。
ここで、イオン電流検出回路33の出力絶対値は、種々の要因により変動しやすいが、ここでは、イオン電流検出回路33の出力の最大値と最小値との比、つまり相対値に基づいて燃焼安定性を判断しているため、そうした出力絶対値の変動の影響を受けにくいという利点がある。
(実施形態2)
次に、図5に示すフローとは異なる、イグニッションコイル8bの充電時間制御について、図7に示すフローチャートを参照しながら具体的に説明する。図示のスタート後のステップSB1でコイル充電時間制御の実行が指示されれば、続くステップSB2で充電時間tdwlを、前回の充電時間tdwl(-1)に設定する。尚、初期時は、予め設定されている通常の制御値に設定する。また、後述するイオン電流検出値の指定期間D3内における平均値IonD3av(-1)を読み出す。尚、初期時は、本制御実行前の最終値とする。
続くステップSB3では設定した充電時間tdwlでイグニッションコイル8bの充電を行い、点火プラグ7による点火放電を実行する。そうして、ステップSB4でイオン電流検出回路33の出力信号から、点火終了後、指定期間D3における平均値(IonD3av)を求める(図8の破線参照)。ここで指定期間D3は、図8に示すように、その期間の始めがイオン電流波形の前半の山のピークよりも進角側位置に設定されると共に、その期間の終わりがイオン電流波形の後半の山のピークよりも遅角側位置に設定された期間である。尚、その期間D3の始めと終わりは、例えば実験等に基づいて設定すればよい。
また、ステップSB4では、算出した今回の平均値(IonD3av)と、前回の平均値(IonD3av(-1))に対する比率(IonD3avR=(IonD3av−IonD3av(-1))/IonD3av(-1))と、を算出する。
ステップSB5では、その平均値の比率IonD3avRの絶対値が、予め設定されている目標比率ID3ART以上であるか否かを判定し、YESのときにはステップSB6に移行する一方、NOのときにはステップSB7に移行する。
ここで、後述するように、比率IonD3avRは、充電時間をΔtdwlだけ変更することに対する比率であり、目標比率ID3ARTは、図9に示すように、コイル充電時間tdwlに対するイオン電流値の指定期間D3における平均値の関係から設定される。つまり、図9に示すグラフにおいて一点鎖線を挟んだ左側は燃焼不安定域であり、右側は燃焼安定域であり、燃焼不安定域では、充電時間tdwlの変化に対する平均値IonD3avの変化が大きく(図9のΔtdwl参照)、前記比率の絶対値は相対的に大になる。これに対し燃焼安定域では、充電時間の変化に対する平均値の変化が小さく(図9のΔtdwl参照)、前記比率の絶対値は相対的に小になる。
これは、前述の通り、必要最低限の点火放電時間が確保されて燃焼安定性が確保されているときには、充電時間が変更されても燃焼安定性には何ら影響がなく、イオン電流波形の形状がそれほど変化しないのに対し、必要最低限の点火放電時間が確保されずに燃焼安定性が悪いときには、コイル充電時間が変化することによる燃焼安定性への影響が大きく、イオン電流波形の形状(特にその高さ)が大きく変化するためである。
そこで、目標比率ID3ARTは、ステップSB5及び、後述するステップSB6,SB7を繰り返すことによって、充電時間が、図9にF/B目標として示される、燃焼安定域の限界付近となるように、その値が設定される。
ステップSB6では、充電時間tdwlが短く燃焼安定性が悪いとして、充電時間tdwlを、tdwl+Δtdwlに設定する。但し、ステップSB6において充電時間tdwlが最大値tdwlmxを超えるときには、充電時間tdwlを最大値tdwlmxに設定する。
一方、ステップSB7では、充電時間tdwlが必要以上に長いとして、充電時間tdwlを、tdwl−Δtdwlに設定する。但し、ステップSB7において充電時間tdwlが最小値tdwlmnを下回るときには、充電時間tdwlを最小値tdwlmnに設定する。
ステップSB9では本制御を続行するか否かを判定し、制御を終了するときにはそのままフローを終了する一方、制御を続行するときにはステップSB9で、tdwl(-1)をtdwlに、IonD3av(-1)をIonD3avにそれぞれ設定した上で、ステップSB2に戻り、前記の各ステップを繰り返す。
前記比率IonD3avRは、充電時間をΔtdwlだけ変更することに対する比率であり、その比率IonD3avRが目標比率ID3ART以上であるとき(前記フローのステップSB5でYESのとき)は、燃焼状態が図9に示すグラフにおいて概ね燃焼不安定域にある。従って、イグニッションコイル8bの充電時間をΔtdwlだけ長くして、点火放電時間をその分長くすることで、燃焼状態を図9に示すグラフにおける右側に変更する(前記フローのステップSB6)。これに対し、比率IonD3avRが目標比率ID3ARTよりも小さいとき(前記フローのステップSB5でNOのとき)は、燃焼状態が図9に示すグラフにおいて概ね燃焼安定域にある。従って、イグニッションコイル8bの充電時間をΔtdwlだけ短くして、点火放電時間をその分短くすることで、燃焼状態を図9に示すグラフにおける左側に変更する(前記フローのステップSB7)。
そうして、ステップSB5〜SB7を繰り返すことによって、充電時間は燃焼安定域の限界付近に設定されることになる(図9におけるF/B目標参照)。その結果、燃焼安定性を確保しつつも、点火放電時間は短くなって点火ノイズとイオン電流波形の前半の山との重なりが最適化され、イオン電流波形の前半の山におけるピークまでの立ち上がりの様子を特定することが可能になる。
従って、前記図7のフローにより、点火放電終了後の、所定期間内における前記イオン電流検出回路の出力の平均値に基づいて、前記点火放電時間を制御する放電時間制御手段42が構成されている。
尚、前述したように、イオン電流検出回路33の出力絶対値は、種々の要因により変動しやすく、よってその指定期間D3における平均値も変動しやすいが、ここでは、その平均値の前回値と今回値との比率に基づいているため、そうした出力絶対値の変動の影響を受けにくいという利点がある。
参考形態
次に、図5及び7に示すフローとは異なる、イグニッションコイル8bの充電時間制御について、図10に示すフローチャートを参照しながら具体的に説明する。図示のスタート後のステップSC1でコイル充電時間制御の実行が指示されれば、続くステップSC2で充電時間tdwlを、前回の充電時間tdwl(-1)に設定する。尚、初期時は、予め設定されている通常の制御値に設定する。
続くステップSC3では設定した充電時間tdwlでイグニッションコイル8bの充電を行い、点火プラグ7による点火放電を実行する。そうして、ステップSC4でイオン電流検出回路33の出力信号から、点火終了後、イオン電流の最初のピークのクランク角位置(IFPP)を求める。具体的には、図11に示すように、点火終了後の指定期間D4における最大値を求める。ここで指定期間D4は、その期間の始めが点火ノイズの後に設定されると共に、その期間の終わりがイオン電流波形の後半の山のピークよりも進角側位置(TDC付近)に設定された期間である。尚、その期間D4の終わりは、例えば実験等に基づいて設定すればよい。また、ここでは、指定期間D4内におけるイオン電流波形の最大値を求めることによって、イオン電流の最初のピークのクランク角位置(IFPP)を求めているが、IFPPを求める方法は、これに限らず、その他の手法を採用してもよい。
ステップSC5では初期燃焼期間EMBDを、前記最初のピークのクランク角位置IFPPと点火タイミングIgtとから算出し(EMBD=IFPP−Igt)、ステップSC6で、算出したEMBDに基づいて充電時間tdwlを設定する。
この充電時間の設定は、図12(a)(b)に示す制御マップに従って行われる。つまり、図12(a)に示すように、エンジン1の負荷(同図では充填効率ce)と回転数neとによって規定されるエンジン運転領域において、適当な間隔を空けて複数の格子点(x,y)を設定する。そして、この各格子点毎に対応するエンジン運転状態において、図12(b)に示すように、EMBDに対するコイル充電時間tdwlを表すデータを実験により求めておく。
従ってステップSC6では、ステップSC5で算出したEMBDとエンジンの運転状態とに基づいて、図12(a)(b)に示すマップを参照して、充電時間tdwlを設定する。尚、前記図12(a)における格子点(x,y)の間に相当するエンジン運転状態についてはデータ補間により対応すればよい。
ステップSC7では本制御を続行するか否かを判定し、制御を終了するときにはそのままフローを終了する一方、制御を続行するときにはステップSC8で、tdwl(-1)をtdwlに設定した上で、ステップSC2に戻り、前記の各ステップを繰り返す。
燃焼安定性が悪化した場合、初期燃焼の速度が遅くなりイオン電流波形の前半の山のピークが点火時期に対して大幅に遅れる。従って、点火時期Igtとイオン電流波形の前半の山のピークが発生するクランク角位置IFPPとの差、つまり初期燃焼期間EMBDに基づいて燃焼安定性が判定可能である。
そうして、予め設定した制御マップに従って、初期燃焼期間EMBDが短いほどコイル充電時間tdwlを短くすることによって、燃焼安定性が確保される範囲内で点火放電時間が短くなり、燃焼関連パラメータを精度よく計測することが可能になる。
従って、前記図10のフローにより、点火放電終了後に、イオン電流検出回路33の出力波形の最初のピークが発生するクランク角位置に基づいて、点火放電時間を制御する放電時間制御手段43が構成されている。
以上説明したように、本発明は、燃焼安定性を確保しつつ、燃焼関連パラメータの計測精度を向上させることができるから、例えば自動車等に搭載されるエンジンにおいて燃焼関連パラメータの計測する上で有用である。
本発明の実施形態に係るエンジンの点火制御装置を備えたエンジンの概略構造図である。 イオン電流検出回路の構成を示す説明図である。 イオンパラメータの定義を模式的に示す説明図である。 充電時間を変化させた場合のイオン電流検出回路出力の変化を模式的に示す説明図である。 実施形態1に係るコイル充電時間制御の手順を示すフローチャートである。 指定期間D1及びD2を説明するための説明図である。 実施形態2に係るコイル充電時間制御の手順を示すフローチャートである。 指定期間D3を説明するための説明図である。 コイル充電時間と指定期間D3におけるイオン電流平均値との関係を示す図である。 参考形態に係るコイル充電時間制御の手順を示すフローチャートである。 指定期間D4を説明するための説明図である。 エンジンの運転領域に格子点を設定したイメージ図(a)と、その各格子点毎に対応するエンジン運転状態において、初期燃焼期間からコイル充電時間を求めるためのマップ(b)とを模式的に示す説明図である。
符号の説明
1 エンジン
30 PCM(計測手段)
33 イオン電流検出回路
41,42,43 放電時間制御手段
6 燃焼室
7 点火プラグ
8 点火回路
8b イグニッションコイル(点火コイル)

Claims (3)

  1. エンジンの燃焼室内に臨んで配設された点火プラグと、
    前記点火プラグに所定のタイミングで点火放電を実行させる点火回路と、
    前記燃焼室内で発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、
    前記点火プラグによる点火放電後、圧縮上死点付近までの特定期間内に前記イオン電流検出回路によって検出された、クランク角の進行に対するイオン電流の波形形状に基づいて前記燃焼室内の燃焼に関連する燃焼関連パラメータを計測する計測手段と、
    前記イオン電流検出回路の出力に基づき、所定の燃焼安定性を確保しつつ、前記点火プラグの点火放電時間が短くなるように制御する放電時間制御手段と、を備え
    前記放電時間制御手段は、前記点火放電の終了時から所定期間内における前記イオン電流検出回路の出力の最小値と、前記所定期間の終了時から燃焼終了時までの期間内における前記出力の最大値との比に基づいて、前記点火放電時間を制御するエンジンの点火制御装置。
  2. エンジンの燃焼室内に臨んで配設された点火プラグと、
    前記点火プラグに所定のタイミングで点火放電を実行させる点火回路と、
    前記燃焼室内で発生するイオン電流を検出するイオン電流検出回路と、
    前記点火プラグによる点火放電後、圧縮上死点付近までの特定期間内に前記イオン電流検出回路によって検出された、クランク角の進行に対するイオン電流の波形形状に基づいて前記燃焼室内の燃焼に関連する燃焼関連パラメータを計測する計測手段と、
    前記イオン電流検出回路の出力に基づき、所定の燃焼安定性を確保しつつ、前記点火プラグの点火放電時間が短くなるように制御する放電時間制御手段と、を備え、
    前記放電時間制御手段は、前記点火放電終了後における所定期間内の前記イオン電流検出回路の出力の平均値を求めると共に、当該平均値の前回値と、この前回時に対して点火放電時間を変更した今回値との比率に基づいて、前記点火放電時間を制御するエンジンの点火制御装置。
  3. 請求項1又は2に記載の点火制御装置において、
    前記点火回路は、前記点火プラグが点火放電するための点火エネルギを蓄積する点火コイルを含み、
    前記放電時間制御手段は、前記点火コイルの充電時間を制御することによって、前記点火プラグの点火放電時間を制御する点火制御装置。
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