JP4853084B2 - 排気ガス還流装置の診断装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの排気ガスの一部を吸気系に還流する排気ガス還流装置の診断に係り、特に、イオン電流からエンジンの燃焼状態を求めて、これにより排気ガスの還流状態を推定する技術に関する。
従来より、この種の診断装置として、例えば特許文献1に開示されるように、火花点火式エンジンにおいて混合気への点火後に燃焼室に発生するイオン電流を検出し、その最大値がエンジンの運転状態に対応する基準値を超えているときに、排気ガス還流装置(EGR装置)の故障を診断するようにしたものが知られている。
すなわち、一般に、エンジンの吸気系へ排気ガスを還流し、吸気中に不活性な排気ガスを含ませて熱容量を増大させれば、燃焼温度を低下させて、NOx(窒素酸化物)の生成を抑えることができ、ポンプ損失も低減できるものであるが、その還流量が多すぎれば、燃焼性が悪化することになるので、通常はエンジンの運転状態に応じて排気ガスの還流量を調整するようにしている。
一方、エンジンの燃焼室において混合気が着火した後に、火炎核の成長に伴い拡大する火炎面には、燃焼反応に伴いイオンが発生するから、例えば点火プラグ等に所定の電圧を付加すれば、イオンを媒体として電流が流れるようになる。このイオン電流は、燃焼が活発なときほど多く流れると考えられるから、イオン電流の検出値に基づいて燃焼状態を観察することができる。
そこで、前記文献に記載のものは、検出したイオン電流の最大値等に基づいて、これが基準値以下で相対的に燃焼が緩慢であると考えられるときには、排気ガスが還流されていると判定する一方、イオン電流の最大値が基準値を越えていて、相対的に燃焼が活発であると考えられるときには、排気ガスは還流されておらず、排気ガス還流装置が故障していると判定するようにしている。
特開平07−293351号公報
ところが、前記従来例の診断装置は、検出したイオン電流の最大値等に基づいて大雑把に排気ガスが還流されているか否かを判定するのみであり、例えばその還流量等、より詳細な還流状態の判定を行うことはできない。これは、従来例のものがイオン電流の最大値等、燃焼行程において検出したイオン電流の全体的な傾向に基づいて判定を行うようにしているためである。
すなわち、前記のようにイオン電流はエンジンの燃焼状態に応じて変化するものであり、それは、EGR装置によって排気系から還流される排気ガス(以下、外部EGRともいう)の量だけでなく、燃焼室内に残留する既燃ガス(同じく内部EGR)の量によっても変化するから、検出したイオン電流の最大値等からは外部EGR量だけを求めることはできず、前記のような大雑把な判定しかできないのである。
この点について、本願の発明者は、着火後に燃焼室に発生するイオン電流の変化について鋭意、研究した結果、イオン電流の波形には通常、前半及び後半の2つの山が現れ(図2(b)等を参照)、その前半の山の高さや形状が外部EGR量と高い相関を持つことに気付いて、本願発明を完成したものである。
すなわち、イオン電流波形の前半の山は、主に着火後の火炎面に発生するイオンを媒体とするイオン電流の変化を表すものと考えられ、これは、火炎核の成長や燃焼室の流動による火炎面の移動の影響を受けるから、例えば外部EGRが増えて燃焼が緩慢になれば、前半の山は相対的に低くなだらかなものになって、そのピークが遅角側に移動すると考えられる。
この点、仮に内部EGRが増えたとすると、前記外部EGRの場合と同様に燃焼が全体として緩慢になるものの、一方で高温の内部EGRによって初期燃焼は促進されることになるので、イオン電流波形の前半の山にはあまり変化は起きないのである。
また、後半の山の表すイオン電流は、燃焼の進行による燃焼室の温度上昇に伴い、既燃ガス中に存在するNOxが熱電離して発生するイオンを媒体とするものと考えられる。よって、内部、外部を問わずEGRが増えて、全体的に燃焼が緩慢になれば、イオン電流波形の後半の山は低くなるのである。
以上より、本発明の目的は、前記のように新たに発見したイオン電流波形の特徴に着目して、外部EGRの状態を従来よりもきめ細かく判定できるようにし、これに基づいて排気ガス還流装置の診断等をより効果的に行えるようにすることにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、燃焼室において着火後、圧縮上死点付近までの特定期間に検出したイオン電流値に基づいて、即ちイオン電流波形の前半の山の高さ等に基づき、内部EGRの影響を極力、排除して、外部EGRの状態(排気ガス還流装置による排気ガスの還流状態)を判定するようにした。
具体的に、請求項1の発明は、火花点火式のエンジンの排気ガスの一部を吸気系に還流する排気ガス還流装置の診断装置であって、エンジンの燃焼室内に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、前記燃焼室において、所定の点火時期にて着火後、圧縮上死点付近までの特定期間全体に亘って前記イオン電流検出手段により検出されたイオン電流値を積算し、その総積算値の所定割合までが積算されたクランク角位置を特定して、このクランク角位置をイオンパラメータとするイオンパラメータ算出手段と、予め記憶されているイオンパラメータと点火時期と吸気に対する排気ガスの還流割合との相関データを用い、上記イオンパラメータ算出手段により算出されたイオンパラメータと点火時期とに基づいて、排気ガスの還流量を推定することにより、前記排気ガス還流装置による排気ガスの還流状態を判定する判定手段と、を備えるものとする。
前記の構成により、エンジンの運転中に燃焼室において発生するイオン電流がイオン電流検出手段により検出され、特に着火後、圧縮上死点付近までの特定期間に検出されたイオン電流値に基づいて、即ち、イオン電流波形の前半の山の高さや形状等に基づいて、排気ガス還流装置による排気ガスの還流状態が判定手段により判定される。
こうして、燃焼室に残留する既燃ガス(内部EGR)の影響が小さく、排気系からの還流排気ガス(外部EGR)量との相関が高いイオン電流値に基づいて、外部EGRの状態を従来よりもきめ細かく判定することができ、この判定結果に基づいて排気ガス還流装置の診断等を効果的に行うことができる。
また、前記判定手段は、少なくとも特定したクランク角位置と点火時期とに基づいて、即ち、燃焼室内の混合気に点火されてからの初期燃焼の立ち上がりの様子に基づいて、外部EGR量(排気ガスの還流量)を推定することができる。尚、初期燃焼の立ち上がりには、外部EGR量以外にその温度や新気と合わせた吸気の充填量、燃焼室内の流動強さ、さらには燃焼室の温度等も影響するから、外部EGR量の推定にはさらにエンジンの運転状態も加味することが好ましい。
上記所定割合というのは例えば総積算値の10〜50%の範囲に設定すればよい(請求項2の発明)。
そうすれば、着火から圧縮上死点付近までの特定期間の中でも、前半の特に外部EGR量との相関が高い範囲で検出されたイオン電流に基づいて、外部EGRの状態を正確に判定することができる。尚、火花点火式エンジンの場合、点火直後は大きなノイズが発生するため、総積算値の10%未満のイオン電流値に基づいて正確な判定を行うことは難しい。また、圧縮上死点付近というのは一例として、その前後5〜10°CA(クランク角)くらいの範囲を含むものとする。
さらに好ましいのは、前記のように推定された外部EGR量と排気ガス還流装置における外部EGR量の目標値とを対比して、その排気ガス還流装置に関する故障を診断し、これを報知する故障報知手段を備えることである(請求項3の発明)。こうすれば、推定した外部EGR量を目標値と対比することで、排気ガス還流装置の故障の程度まで診断することができ、効果的な診断及び報知が行える
た、より好ましいのは、前記のように推定された外部EGR量に基づいて、例えば、それが排気ガス還流装置における外部EGR量の目標値よりも多ければ進角側へ、少なければ遅角側へというように、エンジンの点火時期を補正する点火時期補正手段を備えることである(請求項の発明)。こうすれば、実際の外部EGR量に対応してこれに相応しい点火時期に補正することで、排気ガス還流装置の故障に対応するのみならず、サイクル変動による外部EGR量の変化の影響も軽減して、エンジンの運転効率を高めることができる。
以上、説明したように、本発明に係る排気ガス還流装置の診断装置によると、エンジンの燃焼室において着火後、圧縮上死点付近までの特定期間に検出したイオン電流値に基づいて、即ちイオン電流波形の前半の山の高さや形状等に基づいて、排気ガス還流装置による排気ガスの還流状態を判定するようにしたから、残留既燃ガスの影響を極力、排除して、外部EGRの状態を従来よりもきめ細かく判定することができるようになり、この判定結果に基づいて排気ガス還流装置の診断等を効果的に行うことができる。
例えば、前記特定期間の前半における初期燃焼の立ち上がりの様子から外部EGR量(排気ガスの還流量)を推定することができ、そうして推定した外部EGR量を目標値と対比することで、排気ガス還流装置の効果的な診断及び報知が行える。或いは、外部EGR量の推定値に基づいて点火時期を補正することで、エンジンの運転効率を高めることができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
(エンジンの概略構成)
図1は、本発明に係る診断装置を備えた実施形態のエンジン1を模式的に示し、この例ではエンジン1は、複数のシリンダ2,2,…(図には1つのみ示す)が直列に配置された火花点火式エンジンである。図示の如く、シリンダ2の上端はシリンダブロック3の上端面に開口し、そこに載置されたシリンダヘッド4の下面により閉塞されている。シリンダ2内にはピストン5が往復動可能に嵌挿されていて、このピストン5の上面とシリンダヘッド4の下面との間に燃焼室6が区画される。一方、ピストン5の下方のクランクケース内には、図示しないがクランク軸が配設され、コネクティングロッドによってピストン5と連結されている。
前記シリンダヘッド4には各シリンダ2毎に点火プラグ7が配設され、その先端の電極が燃焼室6に臨むように配置される一方、該点火プラグ7の基端部は点火回路8に接続されている。この点火回路8には、図2(a)にのみ示すが、パワートランジスタからなるイグナイタ8aとイグニッションコイル8bとが含まれており、後述のPCM30からの制御信号を受けて各シリンダ2毎に所定のタイミング(点火時期)で点火プラグ7に通電するようになっている。この例では点火回路8にイオン電流検出回路33が接続されていて、同図(b)のようにイオン電流を検出できるようになっているが、これについては後述する。
また、シリンダヘッド4には、各シリンダ2毎の燃焼室6に臨んで開口するように吸気ポート9及び排気ポート10がそれぞれ形成され、その各ポート開口部にはそれぞれカム軸により開閉されるように吸気弁11及び排気弁12が配設されている。同図には示さないが、カム軸は、吸気側及び排気側に1本ずつ設けられていて、共通のカムチェーンによりクランク軸に駆動連結されており、このクランク軸の回転に同期して吸気側及び排気側のカム軸がそれぞれ回転されることにより、吸気及び排気弁11,12がそれぞれ所定のタイミングで開閉されるようになっている(図3を参照)。
また、この例では前記吸気側のカム軸に、クランク軸の回転に対する位相を所定の角度範囲(例えば40〜60°CA)内で連続的に変更可能な位相可変機構13(Variable Valve Timing 以下、VVTともいう)が付設されており、このVVT13によって、図3に模式的に示すように吸気弁11のリフトカーブInが進角側、遅角側に変更されるようになっている。このことで吸気の充填効率を高めることができ、また、排気弁12のリフトカーブExとのオーバーラップ期間を調整して、燃焼室6に残留する既燃ガス(内部EGR)の量を変化させることもできる。
さらに、シリンダヘッド4の一側(図1の左側)には、下流端が吸気ポート9に連通するように吸気通路15が配設されている。この吸気通路15の上流端は外部から導入される新気を濾過するためのエアクリーナ16に接続されており、そこから下流側に向かって順に、吸気流量を検出するエアフローセンサ17と、電動モータ18aにより駆動されて吸気通路15を絞るスロットル弁18と、各シリンダ2毎に燃料を噴射供給する4つのインジェクタ19,19,…(図には1つのみ示す)とが配設されている。
一方、シリンダヘッド4の反対側(図1の右側)には、排気ポート10に連通して各シリンダ2内の燃焼室6から既燃ガス(排気ガス)を排出するように、排気通路20が配設されている。この排気通路20には上流側から順に、排気ガス中の酸素濃度を基に混合気の空燃比を検出するための酸素濃度センサ(以下、O2センサ)21と、排気ガスを浄化するための触媒コンバータ22とが配設されている。
また、前記O2センサ21よりも上流側の排気通路20には、排気ガスの一部を吸気通路15に還流するための排気還流通路24(以下、EGR通路)が分岐接続されていて、このEGR通路24の下流端が前記スロットル弁18よりも下流側の吸気通路15に連通している。このEGR通路24の下流端寄りには開度調節可能な電気式の流量制御弁25(以下、EGR弁)が配設されていて、EGR通路24を還流される排気ガス(外部EGR)の流量を調節するようになっている。
さらにまた、エンジン1のシリンダブロック3下部のクランクケース内には、クランク軸の回転角(クランク角)を検出する電磁ピックアップ等からなるクランク角センサ26が設けられている。このクランク角センサ26は、クランク軸の端部に一体に回転するように取り付けられたロータ27の回転に伴い、その外周部に設けられた凸部の通過に対応して信号を出力する電磁ピックアップコイル26からなる。また、シリンダブロック3のウォータジャケット(図示せず)には、冷却水の温度状態を検出する水温センサ28が臨設されている。
前記エアフローセンサ17、O2センサ21、クランク角センサ26、水温センサ28等からの出力信号は、それぞれPCM(Power-train Control Module)30に入力されるようになっている。このPCM30は、周知の如くCPU、ROM、RAM、I/Oインターフェース回路等を備えており、前記各センサ以外に、少なくとも、吸気側カム軸の回転角(回転位置)を検出するカム角センサ31と、アクセルペダルの操作量を検出するアクセル開度センサ32と、からそれぞれ出力される信号を受け入れる。
そして、PCM30は、前記各センサ等から入力した信号に基づいてエンジン1の運転状態を判定し、これに応じてエンジン1の運転制御を行うようになっている。すなわち、PCM30は、点火回路8に対し各シリンダ2毎の点火時期の制御信号を出力し、VVT13に対し吸気弁11の作動タイミングを制御するための信号を出力するとともに、スロットル弁18に対し吸気流量を制御するための信号を出力し、さらに、各シリンダ2毎のインジェクタ19,19,…に対し燃料噴射量及び噴射タイミングを制御するためのパルス信号を出力する。
また、PCM30は、EGR通路24によって吸気系に環流する排気ガス(外部EGR)の量を制御するために、EGR弁25に対し制御信号を出力する。外部EGRは新気と混合されて、吸気の熱容量を増大させることにより、燃焼温度を低下させてNOxの生成を抑えるとともに、エンジン1のポンプ損失も低減できるものであるが、その割合が多すぎれば、燃焼性が低下することになるので、エンジン1の運転状態に応じて制御するのである。
言い換えると、PCM30は、メモリに記憶されている制御プログラムによって機能的に、EGR弁25の開度を調節して、吸気に対する排気ガスの還流割合(以下、外部EGR率)を制御するEGR制御部30aを備えており、このEGR制御部30aと、EGR通路24及びEGR弁25とによって、排気ガス還流装置が構成されている。
ところで、そのようにEGR弁25によって流量が調節された排気ガスの流れは、吸気通路15にて新気の流れと合流し、サージタンクを経て各シリンダ2毎へと流れて行くのであるが、そうして各シリンダ2に吸入される吸気中の還流排気ガスの割合(外部EGR率)は必ずしも一定でなく、エンジン1の定常運転中であっても周期的な変動(所謂サイクル変動)を生じ、このことが燃焼性等に悪い影響を及ぼす虞れがある。
また、外部EGR量を調節するEGR弁25には、ガス中に含まれる燃料やオイルの未燃分が付着して目詰まりを起こしたり、或いは弁体が固着して動かなくなったりすることがあり、そうなれば、新気と合流する外部EGRの量そのものが制御目標値から大きくずれることになるので、各シリンダ2への吸気中の外部EGRの割合(外部EGR率)は目標値から大きくずれてしまい、NOxの増大や燃焼性の低下を招くことになる。
この点に関し、この実施形態のエンジン1では、上述の如く点火回路8に接続したイオン電流検出回路33によって、点火後に燃焼室6に発生するイオン電流を検出し、これにより混合気の燃焼状態の変化、ひいては外部EGR率の変化を推定して、EGR系の故障を診断したり、或いは点火時期の補正制御を行うようにしている。
(イオン電流による外部EGR状態の推定)
まず、検出したイオン電流値から外部EGR率と相関の高い評価値Ip(以下、イオンパラメータという)を求める考え方について説明する。イオン電流は、従来より、燃焼に伴い発生するイオンが媒体となって発生するものと考えられており、この実施形態では、前記図2(a)に示すように、エンジン1の点火回路8にイオン電流検出回路33が接続されている。
図の例ではイオン電流検出回路33は、イグニッションコイル8bの2次側が接地される点火プラグ7とは反対側の端部に直列に接続された電源コンデンサ33aと、検出回路33bとからなり、イグナイタ8aの作動によって点火プラグ7に通電される際(点火)に電源コンデンサ33aに蓄えられた電荷と、その後、燃焼室6において発生したイオンとで回路が構成されて電流が流れ、この電流を検出回路33bが検出するようになっている。検出回路33bからの信号はPCM30へ出力される。
そうして検出されるイオン電流の値は、同図(b)に模式的に示すように点火後のクランク角の進行に伴い変化し、その波形には通常、前半及び後半の2つの山が現れる。前半の山に表されるイオン電流は、混合気が着火した後に、火炎核の成長に伴い拡大する火炎面に存在するイオン(ラジカル)を媒体とするものと考えられ、これは、特に初期燃焼の速度や燃焼室の流動強さの影響を強く受ける。すなわち、前半の山は、初期燃焼が活発であるほど急峻になり、そのピークが進角する。
一方、後半の山に表されるイオン電流は、前記のように燃焼反応そのものによって発生するイオン(ラジカル)の他に、燃焼室の温度上昇に伴い既燃ガス中に存在するNOxが熱電離して発生するイオンをも媒体とするものと考えられ、そのピークは、燃焼室の温度が最高になるクランク角位置に現れて、全体として燃焼が活発であるほど高くなり、それが緩慢なほど低くなる。
そうすると、外部EGRが増えて燃焼が全体として緩慢になれば、イオン電流波形の前半の山は相対的に低くなって、そのピークが遅角側に移動するとともに、後半の山も低くなると考えられる。これに対し内部EGRが増えたときには、外部EGRの場合と同様に燃焼が全体として緩慢になるものの、一方で高温の内部EGRによって初期燃焼は促進されることになるから、イオン電流波形の前半の山、特にそのピークまでの立ち上がりにはあまり変化は起きないと考えられる。
つまり、イオン電流波形の前半の山におけるピークまでの立ち上がりの様子を観れば、内部EGRの影響を概ね排除して、外部EGRの状態を把握することができると考えられる。そこで、この実施形態では、図4に模式的に示すように、点火終了から圧縮上死点(TDC)までの特定の期間に検出されたイオン電流値を積算し、その総積算値(図に斜線を入れて示す範囲の面積に相当する)の所定割合(10〜50%の範囲で設定すればよい)までが積算されたクランク角位置を、イオン電流の立ち上がり特性を表す評価値、即ちイオンパラメータIpとして用いるようにしている。
図5(a)〜(d)は、それぞれ、前記TDCまでの間のイオン電流の総積算値に対して、10%、20%、50%、90%までが積算されたクランク角位置をイオンパラメータIpとして、点火時期及び外部EGR率の変化に対応するイオンパラメータIpの変化を示した実験データである。各図において実線のグラフは、外部EGR率0%を、破線のグラフは同10%を、一点鎖線のグラフは同15%を、そして、二点鎖線のグラフは同20%を示している。
例えば積算率50%のイオンパラメータIpを示す同図(c)によると、点火時期が同じであれば、外部EGR率が低いほどイオンパラメータIpは進角側に移動しており、初期燃焼速度が高くなっていることが分かる。また、外部EGR率一定とした場合、点火時期を進角させることでイオンパラメータIpも進角側に移動するのは当然であるが、その移動量は点火進角分よりも少なくなっている。
そして、同図(a)〜(c)から、積算率10〜50%のイオンパラメータIpを用いれば、前記の如く外部EGR率が低いほど、イオンパラメータIpが進角しており、このイオンパラメータIpに基づいて外部EGR率を求め得ることが分かる。一方、同図(d)に示すように、積算率90%のイオンパラメータIpを用いた場合は、外部EGR率とイオンパラメータIpとの相関が崩れてしまい、イオンパラメータIpに基づいて外部EGR率を求めることはできない。
ここで、前記図5に示すデータは、エンジン1の低回転中負荷域でのものであるが、同様の特性が高回転域や低負荷域でも得られている。但し、初期燃焼の立ち上がりは、外部EGR率以外にも、その温度や新気と合わせたシリンダ2への吸気充填量、燃焼室6内の流動強さ、さらには燃焼室6の温度等の影響を受けるから、イオンパラメータIpに基づいて外部EGR率を定量的に求めようとすれば、それと点火時期以外に、エンジンの運転状態も加味する必要がある。
そこで、この実施形態では、図6(a)に一例を示すように、エンジン1の負荷(同図では充填効率ce)と回転数neとによって規定されるエンジン運転領域のうち、EGR通路24による排気ガスの還流が行われる範囲において、適当な間隔を空けて複数の格子点(x,y)を設定する。そして、この各格子点毎に対応するエンジン運転状態において、前記図5(c)のようにイオンパラメータIp、点火時期及び外部EGR率の相関を表すデータを実験により求める。
そうして求めた実験データを整理して、図6(b)のようにイオンパラメータIp(Ip-1,Ip-2,…,Ip-b)と点火時期(Igt-1,Igt-2,…,Igt-a)とから外部EGR率を求めるための演算マップを作成し、PCM30のメモリに電子的に格納する。こうすれば、エンジン1の運転中に検出したイオン電流値から前記イオンパラメータIpを算出し、このイオンパラメータIpと点火時期とに基づき、そのときのエンジン運転状態に対応する演算マップを参照して、外部EGR率を定量的に求めることができる。
尚、前記図6(a)における格子点(x,y)の間に相当するエンジン運転状態についてはデータ補間により対応すればよく、さらに、例えば外気温、エンジン水温、大気圧、空燃比、VVT13の作動状態等に応じて、イオンパラメータIpやこれにより求めた外部EGR率を補正するようにしてもよい。
次に、図7〜9を参照して、前記のようにイオン電流の検出値からイオンパラメータIpを求め、これにより外部EGRの状態を推定する手順を具体的に説明する。まず、図7は、イオン電流の検出値からイオンパラメータIpを計算する手順のフローチャートであり、エンジン1の暖機後、例えばPCM30のEGR制御部30aによって外部EGRが実行されているときに(EGR実行フラグオン)、各シリンダ2の燃焼サイクル毎に実行される。
図示のスタート後のステップSA1では、点火後、少なくともクランク角センサ26及びイオン電流検出回路33からの信号を入力して、点火ノイズがなくなったかどうか、即ち点火終了かどうか判定し、この判定がNOであればリターンする一方、判定がYESで点火終了であればステップSA2に進んで、検出したイオン電流値をクランク角と対応付けてメモリに記憶した後、ステップSA3に進む。
ステップSA3ではシリンダ2の圧縮上死点(TDC)に達したかどうか判定し、TDCに達するまではステップSA2に戻って、所定時間間隔(例えば0.1ミリ秒)毎にクランク角位置とイオン電流値とを対応付けてメモリに記憶する一方、TDCに達すればステップSA4に進んで、イオンパラメータIpの計算を行う。すなわち、それまでに記憶したイオン電流の総積算値を求めて、その50%までが積算されたクランク角位置をイオンパラメータIpとして特定する。
そして、ステップSA5に進み、外部EGRの実行中でフラグオンであれば、ステップSA1に戻って前記の手順を継続する(処理を継続)一方、例えばエンジン1の運転状態が変化して、外部EGRが終了すれば(EGR実行フラグオフ)、処理を継続しないNOと判定して制御終了となる(エンド)。
次に、そうして計算したイオンパラメータIpを用いて、外部EGR量を計算する手順を図8のフローチャート図に示す。図示の如くスタート後のステップSB1では、EGR実行フラグから外部EGRが実行されているかどうか判定し、フラグオフで判定がNOであればリターンする一方、フラグオンで外部EGR実行中であれば、YESと判定してステップSB2に進んで、外部EGRの推定を行うことを示すEGR推定フラグをオンにして、ステップSB3に進む。
ステップSB3では、前記図7のフローのように計算したイオンパラメータIpと、エンジン運転状態(ce、ne)と点火時期とに基づいて、上述したように図6の演算マップを参照等して、外部EGR率を計算する(実EGR率の推定)。また、エンジン運転状態に応じてEGR制御部30aにより決定される外部EGR率の制御目標値(目標EGR率)を、例えばそのEGR制御のためのマップから読み込む。
続くステップSB4では、前記ステップSB3で計算した外部EGR率の推定値と、エアフローセンサ17により検出される新気の流量とに基づいて、外部EGR量を推定する。この推定EGR量IpQ_EGRは、充填効率ceとエンジン回転数neとを用いれば、K1を換算係数として、 IpQ_EGR = K1×ne×ce×推定EGR率 と表される。また、同様にして目標EGR率から目標EGR量:目標Q_EGRを計算する。
そして、続くステップSB5において、前記ステップSB4にて計算した目標EGR量が予め設定した基準値Q_EGR・K2以上かどうか比較する(目標Q_EGR≧Q_EGR・K2)。この基準値Q_EGR・K2は、例えばエンジン1の中回転域でEGR弁25が80%開度以上になっている等、比較的多めの外部EGR量として設定されており、目標EGR量が前記基準値未満で判定がNOであれば、前記のように計算した推定EGR量及び目標EGR量を1組で記憶して(ステップSB6)前記ステップSB3に戻り、その計算及び記憶を繰り返す(SB3〜SB6)。
一方、目標EGR量が前記基準値以上になってYESと判定すれば、ステップSB7に進み、EGR推定フラグをオフにして、後述の故障診断のフロー(図10参照)に進む。すなわち、図9(a)に模式的に示すように、車両の走行中にPCM30のEGR制御部30aによりEGR弁25の制御が開始され(EGR実行フラグオン)、これに伴い前記の如く外部EGR量の推定が開始された後、EGR弁25が或る程度大きく開き且つ車速が或る程度高くなれば、同図に一点鎖線で囲む範囲において推定EGR量及び目標EGR量の組のデータが必要なだけ採取されたと判断して、EGR系の故障診断に進むのである。
尚、前記のように目標EGR量が基準値以上(目標Q_EGR≧Q_EGR・K2)になっただけでなく、その間に記憶した推定EGR量及び目標EGR量のデータの組数が所定数以上である場合に、故障診断に進むようにしてもよい。同図(b)については詳しくは後述する。
前記図7、8のフローにより、エンジン1の燃焼室6において着火後、TDC付近まで検出されたイオン電流値を積算し、その総積算値の所定割合までが積算されたクランク角位置(イオンパラメータIp)を特定して、これにより外部EGRの状態を判定する判定手段30bが構成されている。この実施形態では判定手段30bは、イオンパラメータIpと点火時期とに基づき、さらにエンジン運転状態を加味して外部EGR量を推定するようになっている。
(EGR系の故障診断)
次に、前記のようにして得られた推定EGR量及び目標EGR量のデータに基づいて行うEGR系の故障診断について、前記図9(b)を参照して説明する。図示の如く、外部EGRの流量が少ない低流量点から高流量点まで、目標EGR量:目標Q_EGRと推定EGR量IpQ_EGRとの相関を表すグラフ(EGRの流量特性のグラフ)を求めたとき、EGR系に何ら故障がなければ、両者は概ね一致し、図に実線で示す直線のグラフのようになる。
これに対し、例えば目詰まりによりEGR通路24の面積が減少している場合、外部EGRが小流量であれば目詰まりの影響は現れ難いが、流量が多くなれば、実際の流量、即ち推定EGR量IpQ_EGRは徐々に目標Q_EGRよりも少なくなっていき、図に破線で示す曲線のグラフのようになる。また、仮にEGR弁25の弁体が固着して動かないときには、目標Q_EGRが変化してもEGR弁25が作動せず、実際の流量IpQ_EGRが変化しないから、この場合は図に二点鎖線で示すようになると考えられる。
よって、実際に前記実線や破線、或いは二点鎖線で表されるような流量特性のグラフを求めれば、これによりEGR系の故障を、前記EGR通路24の目詰まりやEGR弁25の固着といった現象にまで区別して、きめ細かく正確に診断することができる。但し、そのためには流量特性を正確に同定する必要があり、推定EGR量及び目標EGR量のデータを所定組以上、採取することが好ましい。
すなわち、故障診断の具体的な手順は、図10のフローチャートに示すように、まず、前記図8のフローのステップSB7に続くステップSB8において、推定EGR量及び目標EGR量のデータに基づいて、例えば回帰分析の手法により、図9(b)に示すような流量特性のグラフを求める。続くステップSB9では、低流量点及び高流量点のそれぞれで、推定EGR量及び目標EGR量の偏差の目標EGR量に対する比率QR(以下、流量ずれ比率という)を求める。流量ずれ比率QRは、 QR = (IpQ_EGR/目標Q_EGR)−1 として定義され、その絶対値が大きいほど、実際の外部EGR量が制御目標値からずれていることになる。以下、低流量点における流量ずれ比率QRを「QR低」と、また、高流量点における流量ずれ比率QRを「QR高」と、それぞれ記す。
続いて、ステップSB10において、まず、低流量点及び高流量点のそれぞれにおける流量ずれ比率(QR低、QR高)の絶対値が所定の故障判定値QRLimitを越えているかどうか判定し、いずれも越えていなければ(NO)、ステップSB11にて故障なしと判定して、制御終了となる(エンド)。一方、QR低、QR高のいずれかの絶対値が故障判定値QRLimitを越えていれば(YES)、ステップSB12に進んで、今度は、低流量点及び高流量点のそれぞれにおける推定EGR量(IpQ_EGR低、IpQ_EGR高)がいずれも零より大きいことを判定する。
前記ステップSB12で判定がNOであれば、後述のステップSB16に進む一方、判定がYESであればステップSB13に進み、今度は低流量点及び高流量点における推定EGR量が概ね同じ値かどうか比較する(IpQ_EGR低≒IpQ_EGR高?)。この判定がNOであれば、即ち両者の値が所定以上、異なっていれば、流量特性は前記図9(b)に破線で示すようになっており、ステップSB14に進んで目詰まりによるEGR通路面積の減少と判定する。
一方、前記ステップSB13の判定がYESでであれば、目標EGR量:目標Q_EGRが低流量点から高流量点まで変化しても実際の外部EGR量は殆ど変化していないということであり、流量特性は同図に二点鎖線で示すようになっているから、ステップSB15に進んでEGR弁25の固着と判定する。尚、それらのいずれでもない場合、即ち、前記ステップSB12にてNOと判定して進んだステップSB16では、実際の外部EGR量が零若しくは負値であるから、EGR通路24の閉塞やイオン電流検出回路33の異常等、その他の故障と判定する。
そして、前記ステップSB14〜16のいずれかからステップSB17に進み、前記のように判定した故障について例えば音声により、或いは画面表示により乗員に報知して、制御終了となる(エンド)。こうしてEGR系の故障をその現象毎に区別して、効果的な診断及び報知が行われる。
前記図10のフローによって、PCM30の判定手段30bにより推定された外部EGR量(推定EGR量)とEGR通路24による排気ガス還流量(外部EGR量)の目標値(目標EGR量)とを対比して、EGR系に関する故障を診断し、これを報知する故障報知手段30cが構成されている。
(点火時期の補正制御)
次に、前記のように推定した外部EGR量に基づいて行う点火時期の補正について説明する。すなわち、一般に、点火時期は、ノッキング等を回避しつつエンジンの運転効率が最も高くなるように設定され、このときにはシリンダ内圧のピークは圧縮上死点後(ATDC)15〜20°CAに現れることになるが、前記のように外部EGR量が目標値からずれて、燃焼が例えば緩慢になると、シリンダ内圧のピークは遅角側に移動し、効率が低下することになる。
そこで、この実施形態では、上述の如くイオンパラメータIpから推定した外部EGR率に基づいて点火時期を補正することにより、外部EGR量が目標値からずれていても、シリンダ内圧のピークが前記の望ましい範囲に現れるようにして、エンジン1の運転効率の低下を抑えるようにしたものである。
すなわち、前記図5(c)に相当する図11に模式的に示すように、例えばエンジン1の現在の点火時期(実Igt)と制御の目標EGR率(図例では15%)とから決まる点aに対して、イオン電流の検出値から求められるイオンパラメータIp(実Ip)が進角側にあり、これに対応する点bから実際の外部EGR率が10%であると推定されたとする。
このとき、EGR率は異なっていてもイオンパラメータIpの値が点aと略同じになるように、点火時期を遅角させれば(図示の点c)、即ち適正Igtまで補正すれば、外部EGR量のずれによって燃焼速度が高くなっていても、その分、点火時期が遅角されることで、シリンダ内圧のピークは前記の望ましい範囲に現れるようになるのである。
以下に、前記のような点火時期補正の具体的な手順を図12のフローチャート図に基づいて、説明すると、スタート後のステップSC1では、前記図8のフローのステップSB1と同様に外部EGRの実行中かどうか判定し、フラグオンで実行中であればステップSC2に進んで、点火時期の補正を行うことを示す点火時期補正フラグをオンにして、ステップSC3に進む。
このステップSC3では、前記図8のフローのステップSB3と同様に外部EGR率を計算するとともに(実EGR率の推定)、そうして推定した実EGR率と目標EGR率と現在の点火時期(実Igt)とに基づいて、前記図11を参照して説明したように適正な点火時期(適正Igt)を計算する。この計算には、前記図6(b)のような演算マップを利用すればよい。
続いて、ステップSC4では、実Igtと適正Igtとの間の点火時期のずれΔIgtを計算し(ΔIgt = 適正Igt−実Igt)、ステップSC5では、点火時期の補正のために現在の点火時期の制御値(実Igt)に加えられているオフセット値Igtofsを計算して、それらをエンジン1の運転状態に対応する基本的な制御目標値Igtpcmseqに加えることで、点火時期の次回の制御値を計算する(ステップSC6)。尚、ΔIgt(-1)やIgtofs(-1)というのは、いずれも前回制御サイクルにおける値を示す。
すなわち、この実施形態では、図13(a)に模式的に示すように、エンジン1の運転状態に対応して予め設定されている基本的な制御目標値Igtpcmseqに対して、これを補正するためのオフセット値Igtofsを常に加えて、点火時期の制御値を決定するようになっており、さらに、そのオフセット値Igtofsを、制御サイクル毎に求めた点火時期のずれΔIgtに応じて更新するようにしている。
そうして基本的な制御目標値Igtpcmseqにオフセット値Igtofsを加えて点火時期を制御することで、エンジン1の運転状態の変化により基本的な制御目標値Igtpcmseqが変化しても、そのことによらずオフセット値Igtofsの反映された点火時期制御が行われることになり、エンジン1の個体ばらつき等による影響を軽減できる。そして、さらにずれΔIgtに応じて点火時期が補正されることで、サイクル変動による外部EGR量の変化の影響も軽減されて、エンジン1の運転効率が高められるのである。
図13(b)は、車両の走行中にPCM30のEGR制御部30aによりEGR弁25の制御が開始され(EGR実行フラグオン)、これに伴い前記の如く点火時期の補正が開始された後、推定EGR率に基づいて求められる適正Igtの変化と、これに追従する実Igtの変化とを模式的に示すものであり、例えば外部EGR量のサイクル変動によって、図に実線で示すように適正Igtが変化すると、この変化を追いかけるように実Igtも変化し(図に一点差線で示す)、両者のずれが徐々に小さくなっていくことが分かる。
そうして外部EGRの実行中は(図12のステップSC7でYES)前記ステップSC3〜SC6の手順を繰り返す一方、例えばエンジン1の運転状態が変化して、外部EGRが終了すれば(EGR実行フラグオフ)、ステップSC7でNOと判定してステップSC8に進み、点火時期補正フラグをオフにして、制御終了となる(エンド)。
前記図12のフローによって、PCM30の判定手段30bにより推定された外部EGR量(推定EGR量)に基づいて、それが目標EGR量よりも多ければ進角側へ、少なければ遅角側へと点火時期を補正する点火時期補正手段30dが構成されている。
したがって、この実施形態に係るエンジンの排気ガス還流装置の診断装置によると、シリンダ2内の燃焼室6において点火後、TDCまでの特定の期間に検出したイオン電流値に基づいて、即ちイオン電流波形の前半の山の高さや形状等に基づいて、外部EGRの状態を判定することで、内部EGRの影響を極力、排除して、外部EGRの状態を従来よりも正確に判定することができる。
その際、前記特定期間におけるイオン電流の総積算値の所定割合(10〜50%)までが積算されたクランク角位置を、イオン電流の立ち上がり特性を表す評価値(イオンパラメータIp)として用い、このイオンパラメータIpの他、点火時期、充填効率ce及びエンジン回転数neに基づいて、外部EGRの流量を定量的に推定することができる。こうして推定した外部EGR量に基づいて、EGR系の故障を、EGR通路24の目詰まりやEGR弁25の固着といった現象にまで区別して、きめ細かく正確に診断することができ、効果的な診断及び報知が行える。
また、前記のように推定した外部EGR量に基づいて、エンジン1の点火時期を補正することで、外部EGR量が目標値からずれていても、シリンダ内圧のピークがATDC15〜20°CAくらいの望ましい範囲に現れるようにすることができる。つまり、EGR系の故障に対応するのみならず、サイクル変動による外部EGR量の変化の影響も軽減して、エンジン1の運転効率を高めることができる。
尚、この実施形態の診断装置では、エンジン1の燃焼室6において点火後、TDCまでの特定の期間に検出したイオン電流値に基づいて、外部EGRの状態を判定するようにしているが、特定の期間はTDCまでに限らず、その前後5〜10°CAくらいまでの範囲とすることができる。
また、前記実施形態では、イオンパラメータIpに基づいて推定した外部EGR量を目標EGR量と対比して、図10のフローに示すようにEGR系の故障を現象毎に区別して診断するようにしているが、これに限るものではない。すなわち、例えば図14に示すように、図8のフローのステップSB7に続くステップSB18において、それまでに採取したデータから推定EGR量IpQ_EGRの最大値を求め、これが所定値以上であれば故障なしと判定する(ステップSB19)一方、推定EGR量IpQ_EGRの最大値が所定値未満であれば、故障と判定してこれを報知する(ステップSB20)ようにしてもよい。
その場合には、前記図8のフローのステップSB6において、前記実施形態のように計算した推定EGR量及び目標EGR量を全て記憶する必要はなく、推定EGR量の最大値を更新して記憶するだけでよい。また、前記の所定値というのは略零か、或いはEGR系が正常であれば生じ得ないような微小な流量であって、還流状態に対応して予め設定しておけばよく、こうすれば、より簡易にEGR系の故障を診断し、これを報知することができる。
さらに、前記の実施形態では、今回の燃焼サイクルにて検出した実Igtと適正IgtとのずれΔIgtを次回の燃焼サイクルのオフセット値Igtofsに反映させるようにしているが、これに限らず、所定回数の燃焼サイクルにおけるΔIgtの平均値をオフセット値Igtofsに反映させるようにしてもよい。
本発明の実施形態に係る排気還流装置の診断装置を備えたエンジンの概略構造図である。 イオン電流検出回路の構成(a)と、これにより検出されるイオン電流の波形(b)とを模式的に示す説明図である。 吸排気弁のリフトカーブを示す説明図である。 イオンパラメータの定義を模式的に示す説明図である。 点火時期及び外部EGR率の変化に対応するイオンパラメータの変化を示す実験結果のグラフ図である。 エンジンの運転領域に格子点を設定したイメージ図(a)と、その各格子点毎に対応するエンジン運転状態において、イオンパラメータと点火時期とから外部EGR率を求める演算マップ(b)とを模式的に示す説明図である。 イオンパラメータの計算の手順を示すフローチャート図である。 外部EGR量の推定の手順を示すフローチャート図である。 EGR系の故障診断の考え方を示す説明図である。 EGR系の故障診断の手順を示すフローチャート図である。 点火時期補正の考え方を示す説明図である。 点火時期補正の手順を示すフローチャート図である。 点火時期補正の手法(a)とこれによる点火時期の変化(b)とを示す説明図である。 他の実施形態に係る簡易な故障診断についての図10相当図である。
1 エンジン
6 燃焼室
15 吸気通路(吸気系)
24 EGR通路(排気ガス還流装置)
25 EGR弁(排気ガス還流装置)
30 PCM
30a EGR制御部(排気ガス還流装置)
30b 判定手段
30c 故障報知手段
30d 点火時期補正手段
33 イオン電流検出回路(イオン電流検出手段)

Claims (4)

  1. 火花点火式のエンジンの排気ガスの一部を吸気系に還流する排気ガス還流装置の診断装置であって、
    エンジンの燃焼室内に発生するイオン電流を検出するイオン電流検出手段と、
    前記燃焼室において、所定の点火時期にて着火後、圧縮上死点付近までの特定期間全体に亘って前記イオン電流検出手段により検出されたイオン電流値を積算し、その総積算値の所定割合までが積算されたクランク角位置を特定して、このクランク角位置をイオンパラメータとするイオンパラメータ算出手段と、
    予め記憶されているイオンパラメータと点火時期と吸気に対する排気ガスの還流割合との相関データを用い、上記イオンパラメータ算出手段により算出されたイオンパラメータと点火時期とに基づいて、排気ガスの還流量を推定することにより、前記排気ガス還流装置による排気ガスの還流状態を判定する判定手段と、を備えることを特徴とする排気ガス還流装置の診断装置。
  2. 判定手段により特定されるクランク角位置までのイオン電流値の積算割合は、総積算値の10〜50%の範囲に設定されていることを特徴とする請求項1に記載の診断装置。
  3. 判定手段により推定された排気ガス還流量と排気ガス還流装置における排気ガス還流量の目標値とを対比して、排気ガス還流装置に関する故障を診断し、これを報知する故障報知手段を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の診断装置。
  4. 判定手段により推定された排気ガス還流量に基づいて点火時期を補正する点火時期補正手段を備えることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の診断装置。
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