JP4792115B2 - 純銅板の製造方法及び純銅板 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な品質を有する純銅板の製造方法に関し、特に詳しくは、微細で均一な結晶粒を有する純銅板を製造する方法、及び、その製造方法により製造された加工性に優れた良好な品質を有する純銅板に関する。
純銅板は、通常、純銅のインゴットを熱間圧延或いは熱間鍛造した後、冷間圧延或いは冷間鍛造を施し、その後、歪み取り或いは再結晶化の為の熱処理を施すことにより製造される。この様な純銅板は、鋸切断、切削加工、エンボス加工、冷間鍛造などにて所望の形状に加工されて使用されるが、加工時のムシレを少なくする為にも、結晶粒径が小さいことが要求される。
また、上述の方法にて製造された純銅板は、最近では、半導体素子の配線材料用のスパッタリングターゲットとして使用されている。半導体素子の配線材料としてAl(比抵抗3.1μΩ・cm程度)が使われてきたが、最近の配線の微細化に伴い、更に抵抗の低い銅配線(比抵抗1.7μΩ・cm程度)が実用化されている。この銅配線の形成プロセスとしては、コンタクトホール又は配線溝の凹部にTa/TaNなどの拡散バリア層を形成した後、銅を電気メッキすることが多く、この電気メッキを行うために下地層(シード層)として、純銅をスパッタ成膜することが行われる。
通常では、4N(純度99.99%以上:ガス成分抜き)程度の電気銅を粗金属として湿式や乾式の高純度化プロセスによって、5N(純度99.999%以上)〜6N(純度99.9999%以上)の純度の高純度銅を製造し、これを上述の方法にて純銅板とし、更に、所望の形状に加工後にスパッタリングターゲットとして使用している。電気抵抗の低いスパッタ膜を作製するためには、スパッタリングターゲット中の不純物含有量を一定値以下に抑え、また、合金化するために添加する元素も一定レベル以下に下げる必要があり、スパッタ膜厚の均一性を得るためには、スパッタリングターゲットの結晶粒径及び結晶配向性のばらつきを抑えることが必要となっている。
この様なスパッタリング用純銅ターゲットを工業的に製造する従来の方法として、特許文献1に、純度が99.995wt%以上である純銅のインゴットを熱間加工し、その後900℃以下の温度で焼鈍を行い、ついで冷間圧延を40%以上の圧延率で施した後、500℃以下の温度で再結晶焼鈍することにより、実質的に再結晶組織を有し、平均結晶粒径が80ミクロン以下であり、かつビッカース硬さが100以下であるスパッタリング用銅ターゲットを得る方法が開示されている。
また、特許文献2には、5N以上の高純度銅インゴットを熱間鍛造や熱間圧延等の加工率50%以上の熱間加工を施した後、さらに、冷間圧延や冷間鍛造等の加工率30%以上の冷間加工を行って、350〜500℃、1〜2時間の熱処理を実施することにより、NaおよびK含有量がそれぞれ0.1ppm以下、Fe、Ni、Cr、Al、Ca、Mg含有量がそれぞれ1ppm以下、炭素および酸素含有量がそれぞれ5ppm以下、UおよびTh含有量がそれぞれ1ppb以下、ガス成分を除いた銅の含有量が99.999%以上であり、さらに、スパッタ面における平均粒径が250μm以下で、平均粒径のばらつきが±20%以内、X線回折強度比I(111)/I(200)がスパッタ面において2.4以上でそのばらつきが±20%以内であるスパッタリング用銅ターゲットを得る方法が開示されている。
また、特許文献3には、純度6N以上の高純度銅と添加元素からできたインゴットの表面層を除去して、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延、熱処理工程を経て得られた、Alを0.5〜4.0wt%含有し、Siが0.5wtppm以下である銅合金スパッタリングターゲット、Snを0.5〜4.0wt%含有し、Mnが0.5wtppm以下である銅合金スパッタリングターゲット、並びに、これらにSb、Zr、Ti、Cr、Ag、Au、Cd、In、Asから選択した1又は2以上を総量で1.0wtppm以下含有する銅合金スパッタリングターゲットが開示されている。特に、実施例中には、製造したインゴットの表面層を除去してφ160mm×厚さ60mmとした後、400℃で熱間鍛造してφ200mmとし、その後、400℃で熱間圧延してφ270mm×厚さ20mmまで圧延し、更に冷間圧延でφ360mm×厚さ10mmまで圧延し、500℃にて1時間熱処理後、ターゲット全体を急冷してターゲット素材とするとの記載がある。
この様なスパッタリング用銅ターゲットの製造方法に代表されるように、従来の純銅板の製造方法では、均質で安定した再結晶組織を得る為に、純銅インゴットを熱間鍛造や熱間圧延をした後、冷間鍛造や冷間圧延を行い、更に熱処理が施されている。
特開平11−158614号公報 特開平10−330923号公報 特開2009−114539号公報
ところで、このようにして製造された純銅板は、その後に加工され、スパッタリングターゲットやめっき用アノード等の形状に仕上げられるが、従来の製造方法で製造された純銅板の加工においては、生産性を高めるために重切削条件とすると、切削表面にムシレが生じ易い。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであり、微細で均質な組織を有し、加工性が良好で、特に、重切削での加工を可能にした純銅板を得ることを目的とする。
本発明者らは、鋭意検討の結果、純銅のインゴットを、結晶粒の成長を抑制するために一定の条件下で熱間圧延し、粒成長を停止させるために一定の条件化で急冷した後に冷間圧延、熱処理を施すことにより、微細で均一な結晶粒を有し、加工性も良好な純銅板を製造できることを見出した。
本発明の純銅板の製造方法は、純度が99.96質量%以上である純銅のインゴットを、550℃〜800℃に加熱して、総圧延率が80%以上で圧延終了時温度が500〜700℃である熱間圧延加工を施した後に、前記圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷し、その後、25〜60%の圧延率で冷間圧延して焼鈍することを特徴とする。
微細な結晶粒を得るために、熱間圧延によって大きなエネルギーを付与した後に急冷することが有効であるが、その場合に、熱間圧延終了温度を500〜700℃に抑えることが重要である。熱間圧延終了温度が700℃を超えると、結晶粒が急激に大きくなり、その後に急冷しても微細な結晶粒を得ることが困難である。また、熱間圧延終了温度を500℃未満としても、結晶粒径の微細化の効果は飽和しており、それ以上に温度を下げても微細化には寄与しない。また、圧延温度が低いと所望の総圧延率を得るためには過大なエネルギーが必要になり、その加工が困難である。そして、この熱間圧延終了温度を500〜700℃とするために、熱間圧延の開始温度を550〜800℃とした。
また、この熱間圧延による総圧延率として80%以上とするのが良く、総圧延率を80%以上とした大きなエネルギーによって結晶粒の増大を抑制するとともに、そのバラツキを小さくすることができる。総圧延率が80%未満であると、結晶粒が大きくなる傾向にあるとともに、そのバラツキが大きくなる。
そして、このような熱間圧延終了後に、200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度で急冷する。冷却速度が200℃/min未満では、結晶粒の成長を抑制する効果に乏しく、1000℃/minを超えても、それ以上の微細化には寄与しない。より好ましい冷却速度は300〜600℃/minの範囲である。
このような範囲の冷却速度にて200℃以下の温度まで冷却すれば結晶粒の成長を停止して微細な結晶粒のものを得ることができる。200℃を超える温度で急冷を止めてしまうと、その後、その高温状態での放置によって徐々に結晶粒が成長するおそれがある。
そして、この急冷の後に冷間圧延、焼鈍処理することにより、結晶粒径もより微細化して、加工性がさらに向上する。冷間圧延時の圧延率が10%未満では、結晶粒径の微細化には寄与しない。圧延率が60%を超えると、硬さが増大して、かえって加工しにくくなる。その後の焼鈍は、250〜600℃で30分〜2時間処理すればよい。
また、本発明の製造方法によって製造された純銅板は、平均結晶粒径が10〜80μmであり、ビッカース硬さが40〜120であり、結晶粒径のヒストグラムにおける、ピーク値が10〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の頻度で存在しており、その半値幅が60μm以下であり、表面をフライス盤で超硬刃先のバイトを用いて切込み深さ0.2mm、切削速度5000m/分で切削加工したときに、500μm四方の視野において長さ100μm以上のムシレ疵が2個以内であることを特徴とする。
結晶粒径が200μmを超える大きな結晶粒が混入すると、切削加工において表面に微細なムシレが生じ易い。このムシレが生じると、例えばスパッタリングターゲットとして使用する際に、スパッタ粒子の放出方向が揃わずにばらつきが生じ、またパーティクルの発生の原因となる。平均結晶粒径を10μm未満とするのは現実的でなく、製造コスト増を招く。また、ビッカース硬さを上記の範囲内とすることにより、鋸切断、切削加工、エンボス加工、冷間鍛造などにて使用時の所望の形状に加工時のムシレが少なくなり、スパッタリングターゲットとして使用した場合には、スパッタ粒子の方向性を均一にすることができる。
に、結晶粒径のヒストグラムの上記数値が上記範囲内であると、結晶粒の均質性が増し、スパッタリング用ターゲットとしての素材に適する。
更に、本発明の純銅板は、スパッタリング用ターゲットに用いると好適である。
前述したように結晶粒が揃っていることにより、スパッタ粒子の放出方向が揃って均一で緻密な被膜を形成することができる。
本発明によれば、微細で均一な結晶粒を有し、加工性が良好で、重切削してもムシレ等の発生が少なく、スパッタリング用銅ターゲットやめっき用アノードの加工に際して生産性を高めることができる。
本実施形態の純銅板における結晶粒径のヒストグラム曲線例である。 純銅板の表面を切削したときに生じるムシレの顕微鏡写真である。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
この実施形態の純銅板は、銅の純度が99.96質量%以上の無酸素銅、又は99.99質量%以上の電子管用無酸素銅である。
平均結晶粒径は10〜80μmとされ、ビッカース硬さが40〜120とされる。
平均結晶粒径が80μmを超えることになるような、例えば200μm以上もの大きな結晶粒が多いと、重切削加工において表面に微細なムシレが生じ易い。このムシレは、図2に示したように、素材をフライス等によって切削したときに、その切削方向(矢印Aで示す方向)に生じる切削痕Wの中に、切削方向と直交する方向に符号Cで示すように筋状に生じる微細な凹凸である。このムシレが生じると、商品外観を損なうだけでなく、例えばスパッタリングターゲットとして使用する際に、その微細な凹凸によりスパッタ粒子の放出方向が揃わずにばらつきが生じ、また、凹凸の段差が起点となってパーティクルが発生する。
平均結晶粒径を10μm未満とするのは現実的でなく、製造コスト増を招く。また、ビッカース硬さを上記の範囲内とすることにより、鋸切断、切削加工、エンボス加工、冷間鍛造などにて使用時の所望の形状に加工時のムシレが少なくなり、スパッタリングターゲットとしてスパッタ粒子の方向性を均一にすることができる。
また、その結晶粒径の分布をヒストグラム曲線で表すと、図1に示すようになる。このヒストグラムは、圧延方向(R.D.方向)に沿う縦断面(T.D.方向に見た面)を光学顕微鏡で観察して各結晶粒の相当円直径を算出し、これを約600個測定して分布にしたものであり、階級の間隔は5μmとされる。
このヒストグラム曲線において、ピーク値をP、半値幅をLとすると、ピーク値Pが10〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の高い頻度で存在しており、その半値幅Lが60μm以下の狭い幅とされる。つまり、結晶粒径のヒストグラム曲線は、幅が狭く鋭利な山形に突出した形状となっており、結晶粒が均一に揃った状態で存在している。ピーク値が80μmを超えると、大きな結晶粒の存在により切削時のムシレが生じ易くなり、ピーク値を10μm未満とするのは製造技術的に困難で現実的でない。また、ピーク値の頻度が60%未満の場合はヒストグラム曲線がなだらかとなって、結晶粒径のばらつきが大きくなり、粗大結晶粒の存在によりムシレが生じ易くなるため好ましくない。半値値が60μmを超える場合も、粒径のばらつきが大きいことから、ムシレの問題が生じ易い。
次に、このような純銅板を製造する方法について説明する。
まず、純銅のインゴットを550℃〜800℃に加熱し、これを複数回圧延ロールの間に往復走行させながら徐々に圧延ロール間のギャップを小さくして、所定の厚さまで圧延する。この複数回の圧延による総圧延率は80%以上とされ、圧延終了時の温度は500〜700℃とされる。その後、圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷する。その後、25〜60%の圧延率で冷間圧延し、250〜600℃で30分〜2時間加熱することにより焼鈍する。
通常の純銅板の製造方法で熱間圧延⇒冷却⇒冷間圧延⇒熱処理というプロセスにおいて、熱間圧延は850〜900℃の高温で加工される。このような高温状態で熱間圧延すると結晶粒が粗大化するため、これを急冷したとしても平均結晶粒径を80μm以下に微細化することはできない。
本実施形態の製造方法においては、熱間圧延を開始温度が550〜800℃、終了温度が500〜700℃の比較的低温状態とした。熱間圧延の終了温度が700℃を超えると、結晶粒が急激に大きくなり、その後に急冷しても微細な結晶粒を得ることが困難である。また、熱間圧延終了温度を500℃未満としても、結晶粒径の微細化の効果は飽和しており、それ以下に温度を下げても微細化には寄与しない。また、圧延温度が低いと所望の総圧延率を得るためには過大なエネルギーが必要になり、その加工が困難である。したがって、圧延終了温度を500〜700℃とした。そして、この熱間圧延の終了温度を500〜700℃とするために、熱間圧延の開始温度を550〜800℃とした。
また、この熱間圧延による圧延率として80%以上とするのが良く、総圧延率を80%以上とすることによって結晶粒径の粗大化を抑制するとともに、そのバラツキを小さくすることができる。このような観点から圧延率を80%以上とすることが好ましい。圧延率が80%未満であると、結晶粒が大きくなる傾向にあるとともに、そのバラツキが大きくなる。また、前記圧延率を達成するために行う複数回の圧延のうち最終段階の圧延については、1パス当りの圧延率を25%以上とするのがより好ましい。熱間圧延の最後の段階で圧延率を25%以上に大きくすることにより、大きい結晶粒の混在が防止され、全体的にさらに揃った微細な結晶粒とすることができる。最終段階の圧延をこの25%以上の圧延率で1パス〜数パス行うとよい。この1パス当りの圧延率とは、圧延ロールを通す前の母材の板厚に対する圧延ロール通過後の母材の板厚の減少率(又は前回パス時の圧延ロール間のギャップに対する今回パスの圧延ロール間のギャップの減少率)であり、総圧延率は、圧延前の母材に対する圧延終了後の母材の板厚の減少率である。
そして、このような熱間圧延終了後に、200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度で水冷によって急冷する。冷却速度が200℃/min未満では、結晶粒の成長を抑制する効果に乏しく、1000℃/minを超えても、それ以上の微細化には寄与しない。
このような範囲の冷却速度にて200℃以下の温度まで冷却すれば結晶粒の成長を停止して微細な結晶粒のものを得ることができる。200℃を超える温度で急冷を止めてしまうと、その後、その高温状態での放置によって徐々に結晶粒が成長するおそれがある。
次いで冷間圧延は、硬さ、強さを向上させるとともに、平坦度を高めて良好な表面状態を得るために行われ、25〜60%の圧延率とされる。圧延率が25%未満では、必要な強さを得られず、60%を超えて圧延するのでは残留歪みが増大し、切削加工等において反り等が生じて好ましくない。
焼鈍処理は、冷間圧延で硬化した材料を目的の硬さに調整するために行う。焼鈍温度は250〜600℃が好ましく、その加熱雰囲気で30分〜2時間処理すればよい。
次に本発明の実施例を説明する。
電子管用無酸素銅(純度99.99質量%以上)の鋳造インゴットを用いた。圧延前の素材寸法は幅650mm×長さ900mm×厚さ290mmとし、熱間圧延及びその後の冷間圧延から焼鈍に至る各条件を表1に示すように複数組み合わせて純銅板を作製した。熱間圧延時の温度の測定は放射温度計を用い、圧延板の表面温度を測定することにより行った。
この表1において、比較例1は、圧延開始温度が510℃(終了予想温度490℃)で圧延開始したが、温度が低過ぎたことから、過負荷状態となり圧延の続行を中止した。
そこで、この比較例1以外の純銅板について、結晶粒径、ビッカース硬さ、切削時のムシレ状態を測定した。
<結晶粒径>
素材をエッチングした後、その表面を光学顕微鏡にて120倍の倍率で撮影し、その光学顕微鏡組織を画像ソフト「WinROOF」Ver.3.61(株式会社テックジャム製)を用い、2値化することにより結晶粒界を明瞭化し、約600個の結晶について各々の面積(結晶粒界で囲まれる部分の面積)を求めた。そして、結晶を円形として見なし、求めた面積に等価の円の直径(円相当径)を各々の結晶粒の結晶粒径とし、それらの平均値を求めた。同様の解析および測定を3視野で行い、それらの平均値を平均結晶粒径とした。また、得られた各結晶粒径のヒストグラムを求めた。
<ビッカース硬さ>
ビッカース硬さは、圧延方向(R.D.方向)に沿う縦断面(T.D.方向に見た面)に対して、JIS(Z2244)に規定される方法により測定した。
<ムシレ状態>
各試料を100×2000mmの平板とし、その表面をフライス盤で超硬刃先のバイトを用いて切込み深さ0.2mm、切削速度5000m/分で切削加工し、その切削表面の500μm四方の視野内において長さ100μm以上のムシレ疵が何個存在したかを調べた。
これらの結果を表2に示す。
この表2から明らかなように、本実施例の製造方法で製造した純銅板は、平均結晶粒径が10〜80μmの範囲内でヒストグラムでも微細で揃っていた。これに対して、比較例の純銅板は、平均結晶粒径が不均一で大きな結晶粒のものが散見された。その結果、実施例のものは、ムシレの発生も0〜2個と極めて少ないのに対して、比較例のものはムシレも数個発生しており、実施例のものは切削加工性に優れていることがわかる。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの記載に限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
また、本発明の純銅板は、スパッタリング用ターゲット以外にも、ターゲット用のバッキングプレートにも適用可能であり、その他、めっき用アノード、金型、放電電極、放熱板、ヒートシンク、モールド、水冷板、電極、電気用端子、ブスバー、ガスケット、フランジ、印刷版等にも適用することができる。
P ピーク値
L 半値幅
W 切削痕
C ムシレ疵

Claims (3)

  1. 純度が99.96質量%以上である純銅のインゴットを、550℃〜800℃に加熱して、総圧延率が80%以上で圧延終了時温度が500〜700℃である熱間圧延加工を施した後に、前記圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷し、その後、25〜60%の圧延率で冷間圧延して焼鈍することを特徴とする純銅板の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法によって製造された純銅板であって、平均結晶粒径が10〜80μmであり、ビッカース硬さが40〜120であり、結晶粒径のヒストグラムにおける、ピーク値が10〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の頻度で存在しており、その半値幅が60μm以下であり、表面をフライス盤で超硬刃先のバイトを用いて切込み深さ0.2mm、切削速度5000m/分で切削加工したときに、500μm四方の視野において長さ100μm以上のムシレ疵が2個以内であることを特徴とする純銅板。
  3. スパッタリング用ターゲットであることを特徴とする請求項記載の純銅板。
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