JP4869398B2 - 純銅板の製造方法及び純銅板 - Google Patents
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このような範囲の冷却速度にて200℃以下の温度まで冷却すれば結晶粒の成長を停止して微細な結晶粒のものを得ることができる。200℃を超える温度で急冷を止めてしまうと、その後、その高温状態での放置によって徐々に結晶粒が成長するおそれがある。
平均結晶粒径が80μmを超える大きな結晶粒が多いと、切削加工において表面に微細なムシレが生じ易い。このムシレが生じると、例えばスパッタリングターゲットとして使用する際に、スパッタ粒子の放出方向が揃わずにばらつきが生じ、またパーティクルの発生の原因となる。平均結晶粒径を30μm未満とするのは現実的でなく、製造コスト増を招く。また、ビッカース硬さ及び残留応力を上記の範囲内とすることにより、鋸切断、切削加工、エンボス加工、冷間鍛造などにて使用時の所望の形状に加工時のムシレや変形が少なくなり、スパッタリングターゲットとして使用した場合には、スパッタ粒子の方向性を均一にすることができる。また、EBSD法で測定した残留歪みが3%以下であり、残留応力が小さいため、加工精度が良い。
前述したように結晶粒が揃っていて残留応力が小さいことにより、スパッタ粒子の放出方向が揃って均一で緻密な被膜を形成することができる。
この実施形態の純銅板は、銅の純度が99.96質量%以上の無酸素銅、又は99.99質量%以上の電子管用無酸素銅である。
平均結晶粒径は30〜80μmとされ、ビッカース硬さが40〜70であり、EBSD法で測定した残留歪みが3%以下とされる。
このヒストグラム曲線において、ピーク値をP、半値幅をLとすると、ピーク値Pが20〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の高い頻度で存在しており、その半値幅Lが70μm以下の狭い幅とされる。つまり、結晶粒径のヒストグラム曲線は、幅が狭く鋭利な山形に突出した形状となっており、結晶粒が均一に揃った状態で存在している。ピーク値が80μmを超えると、大きな結晶粒の存在により切削時のムシレが生じ易くなり、ピーク値を20μm未満とするのは製造技術的に困難で現実的でない。また、ピーク値の頻度が60%未満の場合はヒストグラム曲線がなだらかとなって、結晶粒径のばらつきが大きくなり、粗大結晶粒の存在によりムシレが生じ易くなるため好ましくない。半値値が70μmを超える場合も、粒径のばらつきが大きいことから、ムシレの問題が生じ易い。
この製造方法は、純銅のインゴットを熱間圧延後に急冷するという単純なプロセスである。
具体的には、純銅のインゴットを550℃〜800℃に加熱し、これを複数回圧延ロールの間に往復走行させながら徐々に圧延ロール間のギャップを小さくして、所定の厚さまで圧延する。この複数回の圧延による総圧延率は85%以上とされ、圧延終了時の温度は500〜700℃とされる。その後、圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷する。
このような範囲の冷却速度にて200℃以下の温度まで冷却すれば結晶粒の成長を停止して微細な結晶粒のものを得ることができる。200℃を超える温度で急冷を止めてしまうと、その後、その高温状態での放置によって徐々に結晶粒が成長するおそれがある。
電子管用無酸素銅(純度99.99質量%以上)について、熱間圧延及びその後の冷却の各条件を表1に示すように複数組み合わせて純銅板を作製した。
そこで、この比較例1以外の純銅板について、結晶粒径、ビッカース硬さ、残留歪み、加工による反り、切削時のムシレ状態を測定した。
<結晶粒径>
素材をエッチングした後、その表面を光学顕微鏡にて120倍の倍率で撮影し、その光学顕微鏡組織を画像ソフト「WinROOF」Ver.3.61(株式会社テックジャム製)を用い、2値化することにより結晶粒界を明瞭化し、約600個の結晶について各々の面積(結晶粒界で囲まれる部分の面積)を求めた。そして、結晶を円形として見なし、求めた面積に等価の円の直径(円相当径)を各々の結晶粒の結晶粒径とし、それらの平均値を求めた。同様の解析および測定を3視野で行い、それらの平均値を平均結晶粒径とした。また、得られた各結晶粒径のヒストグラムを求めた。
ビッカース硬さは、圧延方向(R.D.方向)に沿う縦断面(T.D.方向に見た面)に対して、JIS(Z2244)に規定される方法により測定した。
残留歪みはEBSD法によるデータ解析を行って求めた。具体的には、株式会社TSLソリューションズ製の走査電子顕微鏡用結晶解析ツールOMIVer.5.2のソフトウェアに備え付けの解析メニューからGrain Reference Orientation Deviationを用いて、高残存歪み領域の面積率を求めた。
このソフトウェアが行っている具体的な計算方法は以下の通りである。
(1) 測定面積内の全測定点(ピクセル)の方位を測定し、隣接するピクセル間の方位差が15°以上である境界を結晶粒界とみなし、これに囲まれた領域を結晶粒とする。
(2) 結晶粒内の全ての測定点(ピクセル)の配向データの平均値を求め、「平均結晶粒内配向」を計算する。
(3) 個々の測定点の配向データとそれが属する結晶粒の平均結晶粒内配向とを比較し、平均結晶粒内配向からのずれが3°以上の測定点(ピクセル)が占める領域を高残存歪み領域と定義する。
(4) 以下の式により総観察面積に占める高残存歪み領域の面積率を計算する。
(観察領域に存在する個々の粒内における高残存歪み領域の合算面積/観察領域の総面積)×100(%)
この高残存歪み領域の面積率が0〜3%以下の場合は残留歪みが少ないと判断されるが、それ以上の場合は残留歪みが多いと判断される。
各試料を100×2000mm、厚さ20mmの平板とし、その表面をフライス盤で超硬刃先のバイトを用いて切込み深さ1.5mm、切削速度1000m/分で切削し、残った厚さ18.5mmの平板について、図2に示すように、その平板1を切削表面2が上方を向くようにして定盤(又はフライスのテーブル)3上に置いたときの長手方向両端部位置の反り上がり高さH1,H2をすきまゲージで測定し、両端の平均値が0.1mm未満のものを○、0.1〜1.0mmのものを△、1.0mmを超えたものを×とした。
各試料を100×2000mmの平板とし、その表面をフライス盤で超硬刃先のバイトを用いて切込み深さ0.1mm、切削速度5000m/分で切削加工し、その切削表面の500μm四方の視野内において長さ100μm以上のムシレ疵が何個存在したかを調べた。
これらの結果を表2に示す。
例えば、本発明は、所定の条件での熱間圧延後、200℃以下まで急冷し、その後に冷間圧延を施さずに純銅板の製品とするが、急冷後に最終的な仕上げとしてわずかな(数%以下の圧延率の)圧延を冷間で行うことを妨げるものではない。
また、本発明の純銅板は、スパッタリング用ターゲット以外にも、ターゲット用のバッキングプレートにも適用可能であり、その他、金型、放電電極、放熱板、ヒートシンク、モールド、水冷板、電極、電気用端子、ブスバー、ガスケット、フランジ、印刷版等にも適用することができる。
L 半値幅
W 切削痕
C ムシレ疵
Claims (3)
- 純度が99.96質量%以上である純銅のインゴットを、550℃〜800℃に加熱して、総圧延率が85%以上で圧延終了時温度が500〜700℃である熱間圧延加工を施した後に、前記圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷することを特徴とする純銅板の製造方法。
- 請求項1記載の製造方法によって製造された純銅板であって、平均結晶粒径が30〜80μmであり、ビッカース硬さが40〜70であり、残留歪みが3%以下であり、結晶粒径のヒストグラムにおける、ピーク値が20〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の頻度で存在しており、その半値幅が70μm以下であることを特徴とする純銅板。
- スパッタリング用ターゲットであることを特徴とする請求項2記載の純銅板。
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