JP4869398B2 - 純銅板の製造方法及び純銅板 - Google Patents

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Description

本発明は、良好な品質を有する純銅板の製造方法に関し、特に詳しくは、低製造コストにて、残留応力が少なく微細で均一な結晶粒を有する純銅板を製造する方法、及び、その製造方法により製造された加工性に優れた良好な品質を有する純銅板に関する。
純銅板は、通常、純銅のインゴットを熱間圧延或いは熱間鍛造した後、冷間圧延或いは冷間鍛造を施し、その後、歪み取り或いは再結晶化の為の熱処理を施すことにより製造される。この様な純銅板は、鋸切断、切削加工、エンボス加工、冷間鍛造などにて所望の形状に加工されて使用されるが、加工時のムシレや変形を少なくする為にも、結晶粒径が小さいこと、結晶組織中の残留応力が小さいことが要求される。
また、上述の方法にて製造された純銅板は、最近では、半導体素子の配線材料用のスパッタリングターゲットとして使用されている。半導体素子の配線材料としてAl(比抵抗3.1μΩ・cm程度)が使われてきたが、最近の配線の微細化に伴い、更に抵抗の低い銅配線(比抵抗1.7μΩ・cm程度)が実用化されている。この銅配線の形成プロセスとしては、コンタクトホール又は配線溝の凹部にTa/TaNなどの拡散バリア層を形成した後、銅を電気メッキすることが多く、この電気メッキを行うために下地層(シード層)として、純銅をスパッタ成膜することが行われる。
通常では、4N(純度99.99%以上:ガス成分抜き)程度の電気銅を粗金属として湿式や乾式の高純度化プロセスによって、5N(純度99.999%以上)〜6N(純度99.9999%以上)の純度の高純度銅を製造し、これを上述の方法にて純銅板とし、更に、所望の形状に加工後にスパッタリングターゲットとして使用している。電気抵抗の低いスパッタ成膜を作製するためには、スパッタリングターゲット中の不純物含有量を一定値以下に抑え、また、合金化するために添加する元素も一定レベル以下に下げる必要があり、スパッタ成膜厚の均一性を得るためには、スパッタリングターゲットの結晶粒径及び結晶配向性のばらつきを抑えることが必要となっている。
この様なスパッタリング用純銅ターゲットを工業的に製造する従来の方法として、特許文献1に、純度が99.995wt%以上である純銅のインゴットを熱間加工し、その後900℃以下の温度で焼鈍を行い、ついで冷間圧延を40%以上の圧延率で施した後、500℃以下の温度で再結晶焼鈍することにより、実質的に再結晶組織を有し、平均結晶粒径が80ミクロン以下であり、かつビッカース硬さが100以下であるスパッタリング用銅ターゲットを得る方法が開示されている。
また、特許文献2には、5N以上の高純度銅インゴットを熱間鍛造や熱間圧延等の加工率50%以上の熱間加工を施した後、さらに、冷間圧延や冷間鍛造等の加工率30%以上の冷間加工を行って、350〜500℃、1〜2時間の熱処理を実施することにより、NaおよびK含有量がそれぞれ0.1ppm以下、Fe、Ni、Cr、Al、Ca、Mg含有量がそれぞれ1ppm以下、炭素および酸素含有量がそれぞれ5ppm以下、UおよびTh含有量がそれぞれ1ppb以下、ガス成分を除いた銅の含有量が99.999%以上であり、さらに、スパッタ面における平均粒径が250μm以下で、平均粒径のばらつきが±20%以内、X線回折強度比I(111)/I(200)スパッタ面において2.4以上でそのばらつきが±20%以内であるスパッタリング用銅ターゲットを得る方法が開示されている。
また、特許文献3には、純度6N以上の高純度銅と添加元素からできたインゴットの表面層を除去して、熱間鍛造、熱間圧延、冷間圧延、熱処理工程を経て得られた、Alを0.5〜4.0wt%含有し、Siが0.5wtppm以下である銅合金スパッタリングターゲット、Snを0.5〜4.0wt%含有し、Mnが0.5wtppm以下である銅合金スパッタリングターゲット、並びに、これらにSb、Zr、Ti、Cr、Ag、Au、Cd、In、Asから選択した1又は2以上を総量で1.0wtppm以下含有する銅合金スパッタリングターゲットが開示されている。特に、実施例中には、製造したインゴットの表面層を除去してφ160×60tとした後、400℃で熱間鍛造してφ200とし、その後、400℃で熱間圧延してφ270×20tまで圧延し、更に冷間圧延でφ360×10tまで圧延し、500℃にて1時間熱処理後、ターゲット全体を急冷してターゲット素材とするとの記載がある。
この様なスパッタリング用銅ターゲットの製造方法に代表されるように、従来の純銅板の製造方法では、均質で安定した再結晶組織を得る為に、純銅インゴットを熱間鍛造や熱間圧延をした後、冷間鍛造や冷間圧延を行い、更に熱処理が施されている。
特開平11−158614号公報 特開平10−330923号公報 特開2009−114539号公報
大型形状の均質で安定した結晶組織を有する純銅板を工業的に製造する従来の方法では、純銅インゴットに熱間鍛造や熱間圧延を施した後、更なる、冷間鍛造や冷間圧延、熱処理を施すことが必要であり、工程数が多く、エネルギーを費やし、製造原価が高くなり、また、冷間鍛造や冷間圧延を施すために、純銅板の残留応力を小さくし難いという欠点を有していた。
本発明は、この様な事情に鑑みてなされたものであり、熱間鍛造や熱間圧延後の、冷間鍛造や冷間圧延、及び、その後の熱処理が不要でシンプルな純銅板の製造方法、及び、その製造方法により得られた微細で均質な残留応力の少ない加工性の良好な、特に、スパッタリング用銅ターゲット素材に適した純銅板を提供する。
本発明者らは、鋭意検討の結果、純銅のインゴットを熱間鍛造や熱間圧延後の、冷間鍛造や冷間圧延、その後の熱処理にて、再結晶化を促進し微細で均質な結晶粒を得る従来の方法に頼らずに、純銅のインゴットを、結晶粒の成長を抑制するために一定の条件下で熱間圧延し、粒成長を停止させるために一定の条件化で急冷することにより、残留応力が少なく微細で均一な結晶粒を有する純銅板を低コストで製造できることを見出した。
本発明の純銅板の製造方法は、純度が99.96質量%以上である純銅のインゴットを、550℃〜800℃に加熱して、総圧延率が85%以上で圧延終了時温度が500〜700℃である熱間圧延加工を施した後に、前記圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷することを特徴とする。
微細な結晶粒を得るために、熱間圧延によって大きなエネルギーを付与した後に急冷することが有効であるが、その場合に、熱間圧延終了温度を500〜700℃に抑えることが重要である。熱間圧延終了温度が700℃を超えると、結晶粒が急激に大きくなり、その後に急冷しても微細な結晶粒を得ることが困難である。また、熱間圧延終了温度を500℃未満としても、結晶粒径の微細化の効果は飽和しており、それ以上に温度を下げても微細化には寄与しない。また、圧延温度が低いと所望の総圧延率を得るためには過大なエネルギーが必要になり、その加工が困難である。そして、この熱間圧延終了温度を500〜700℃とするために、熱間圧延の開始温度を550〜800℃とした。
また、この熱間圧延による総圧延率として85%以上とするのが良く、総圧延率を85%以上とした大きなエネルギーによって結晶粒の増大を抑制するとともに、そのバラツキを小さくすることができる。総圧延率が85%未満であると、結晶粒が大きくなる傾向にあるとともに、そのバラツキが大きくなる。
そして、このような熱間圧延終了後に、200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度で急冷する。冷却速度が200℃/min未満では、結晶粒の成長を抑制する効果に乏しく、1000℃/minを超えても、それ以上の微細化には寄与しない。より好ましい冷却速度は300〜600℃/minの範囲である。
このような範囲の冷却速度にて200℃以下の温度まで冷却すれば結晶粒の成長を停止して微細な結晶粒のものを得ることができる。200℃を超える温度で急冷を止めてしまうと、その後、その高温状態での放置によって徐々に結晶粒が成長するおそれがある。
また、本発明の製造方法によって製造された純銅板は、平均結晶粒径が30〜80μmであり、ビッカース硬さが40〜70であり、EBSD法で測定した残留歪みが3%以下であり、結晶粒径のヒストグラムにおける、ピーク値が20〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の頻度で存在しており、その半値幅が70μm以下であることを特徴とする。
平均結晶粒径が80μmを超える大きな結晶粒が多いと、切削加工において表面に微細なムシレが生じ易い。このムシレが生じると、例えばスパッタリングターゲットとして使用する際に、スパッタ粒子の放出方向が揃わずにばらつきが生じ、またパーティクルの発生の原因となる。平均結晶粒径を30μm未満とするのは現実的でなく、製造コスト増を招く。また、ビッカース硬さ及び残留応力を上記の範囲内とすることにより、鋸切断、切削加工、エンボス加工、冷間鍛造などにて使用時の所望の形状に加工時のムシレや変形が少なくなり、スパッタリングターゲットとして使用した場合には、スパッタ粒子の方向性を均一にすることができる。また、EBSD法で測定した残留歪みが3%以下であり、残留応力が小さいため、加工精度が良い。
に、結晶粒径のヒストグラムの上記数値が上記範囲内であると、結晶粒の均質性が増し、スパッタリング用ターゲットとしての素材に適する。
更に、本発明の純銅板は、スパッタリング用ターゲットに用いると好適である。
前述したように結晶粒が揃っていて残留応力が小さいことにより、スパッタ粒子の放出方向が揃って均一で緻密な被膜を形成することができる。
本発明によれば、残留応力が少なく微細で均一な結晶粒を有し、加工性の良好な、特に、スパッタリング用銅ターゲット素材に適した純銅板を熱間圧延後の急冷というシンプルな工程によって低コストで製造することができる。
本実施形態の純銅板における結晶粒径のヒストグラム曲線例である。 加工反りの測定方法を示す図である。 純銅板の表面を切削したときに生じるムシレの顕微鏡写真である。
以下に、本発明の実施形態について説明する。
この実施形態の純銅板は、銅の純度が99.96質量%以上の無酸素銅、又は99.99質量%以上の電子管用無酸素銅である。
平均結晶粒径は30〜80μmとされ、ビッカース硬さが40〜70であり、EBSD法で測定した残留歪みが3%以下とされる。
平均結晶粒径が80μmを超える大きな結晶粒が多いと、切削加工において表面に微細なムシレが生じ易い。このムシレは、図3に示したように、素材をフライス等によって切削したときに、その切削方向(矢印Aで示す方向)に生じる切削痕Wの中に、切削方向と直交する方向に符号Cで示すように筋状に生じる微細な凹凸である。このムシレが生じると、商品外観を損なうだけでなく、例えばスパッタリングターゲットとして使用する際に、その微細な凹凸によりスパッタ粒子の放出方向が揃わずにばらつきが生じ、また、凹凸の段差が起点となってパーティクルが発生する。
平均結晶粒径を30μm未満とするのは現実的でなく、製造コスト増を招く。また、ビッカース硬さ及びEBSD法で測定した残留歪みを上記の範囲内とすることにより、鋸切断、切削加工、エンボス加工、冷間鍛造などにて使用時の所望の形状に加工時のムシレや変形が少なくなり、スパッタリングターゲットとしてスパッタ粒子の方向性を均一にすることができる。
また、その結晶粒径の分布をヒストグラム曲線で表すと、図1に示すようになる。このヒストグラムは、圧延方向(R.D.方向)に沿う縦断面(T.D.方向に見た面)を光学顕微鏡で観察して各結晶粒の相当円直径を算出し、これを600個測定して分布にしたものであり、階級の間隔は5μmとされる。
このヒストグラム曲線において、ピーク値をP、半値幅をLとすると、ピーク値Pが20〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の高い頻度で存在しており、その半値幅Lが70μm以下の狭い幅とされる。つまり、結晶粒径のヒストグラム曲線は、幅が狭く鋭利な山形に突出した形状となっており、結晶粒が均一に揃った状態で存在している。ピーク値が80μmを超えると、大きな結晶粒の存在により切削時のムシレが生じ易くなり、ピーク値を20μm未満とするのは製造技術的に困難で現実的でない。また、ピーク値の頻度が60%未満の場合はヒストグラム曲線がなだらかとなって、結晶粒径のばらつきが大きくなり、粗大結晶粒の存在によりムシレが生じ易くなるため好ましくない。半値値が70μmを超える場合も、粒径のばらつきが大きいことから、ムシレの問題が生じ易い。
次に、このような純銅板を製造する方法について説明する。
この製造方法は、純銅のインゴットを熱間圧延後に急冷するという単純なプロセスである。
具体的には、純銅のインゴットを550℃〜800℃に加熱し、これを複数回圧延ロールの間に往復走行させながら徐々に圧延ロール間のギャップを小さくして、所定の厚さまで圧延する。この複数回の圧延による総圧延率は85%以上とされ、圧延終了時の温度は500〜700℃とされる。その後、圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷する。
通常の純銅板の製造方法は、熱間圧延⇒冷却⇒冷間圧延⇒熱処理というプロセスが一般的であり、その場合の熱間圧延は850〜900℃の高温で加工される。このような高温状態で熱間圧延すると結晶粒が大径化するため、これを急冷したとしても結晶粒を80μm以下に微細化することはできない。
本実施形態の製造方法においては、熱間圧延を開始温度が550〜800℃、終了温度が500〜700℃の比較的低温状態とした。熱間圧延の終了温度が700℃を超えると、結晶粒が急激に大きくなり、その後に急冷しても微細な結晶粒を得ることが困難である。また、熱間圧延終了温度を500℃未満としても、結晶粒径の微細化の効果は飽和しており、それ以上に温度を下げても微細化には寄与しない。また、圧延温度が低いと所望の総圧延率を得るためには過大なエネルギーが必要になり、その加工が困難である。したがって、圧延終了温度を500〜700℃とした。そして、この熱間圧延の終了温度を500〜700℃とするために、熱間圧延の開始温度を550〜800℃とした。
また、この熱間圧延による総圧延率として85%以上とするのが良く、総圧延率を85%以上とした大きなエネルギーによって結晶粒の増大を抑制するとともに、そのバラツキを小さくすることができる。総圧延率が85%未満であると、結晶粒が大きくなる傾向にあるとともに、そのバラツキが大きくなる。この場合、複数回の圧延のうち最終段階の圧延については、1回の圧延率を25%以上とするのがより好ましい。熱間圧延の最後の段階で圧延率を25%以上に大きくすることにより、大きい結晶粒の混在が防止され、全体的にさらに揃った微細な結晶粒とすることができる。最終段階の圧延をこの25%以上の圧延率で1回〜数回行うとよい。この1回の圧延率は、圧延ロールを通す前の母材の板厚に対する圧延ロール通過後の母材の板厚の減少率(又は前回パス時の圧延ロール間のギャップに対する今回パスの圧延ロール間のギャップの減少率)であり、総圧延率は、圧延前の母材に対する圧延終了後の母材の板厚の減少率である。
そして、このような熱間圧延終了後に、200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度で水冷によって急冷する。冷却速度が200℃/min未満では、結晶粒の成長を抑制する効果に乏しく、1000℃/minを超えても、それ以上の微細化には寄与しない。
このような範囲の冷却速度にて200℃以下の温度まで冷却すれば結晶粒の成長を停止して微細な結晶粒のものを得ることができる。200℃を超える温度で急冷を止めてしまうと、その後、その高温状態での放置によって徐々に結晶粒が成長するおそれがある。
次に本発明の実施例を説明する。
電子管用無酸素銅(純度99.99質量%以上)について、熱間圧延及びその後の冷却の各条件を表1に示すように複数組み合わせて純銅板を作製した。
この表1において、比較例1は、圧延開始温度が510℃(終了予想温度490℃)で圧延開始したが、温度が低過ぎたことから、過負荷状態となり圧延の続行を中止した。
そこで、この比較例1以外の純銅板について、結晶粒径、ビッカース硬さ、残留歪み、加工による反り、切削時のムシレ状態を測定した。
<結晶粒径>
素材をエッチングした後、その表面を光学顕微鏡にて120倍の倍率で撮影し、その光学顕微鏡組織を画像ソフト「WinROOF」Ver.3.61(株式会社テックジャム製)を用い、2値化することにより結晶粒界を明瞭化し、約600個の結晶について各々の面積(結晶粒界で囲まれる部分の面積)を求めた。そして、結晶を円形として見なし、求めた面積に等価の円の直径(円相当径)を各々の結晶粒の結晶粒径とし、それらの平均値を求めた。同様の解析および測定を3視野で行い、それらの平均値を平均結晶粒径とした。また、得られた各結晶粒径のヒストグラムを求めた。
<ビッカース硬さ>
ビッカース硬さは、圧延方向(R.D.方向)に沿う縦断面(T.D.方向に見た面)に対して、JIS(Z2244)に規定される方法により測定した。
<残留歪み>
残留歪みはEBSD法によるデータ解析を行って求めた。具体的には、株式会社TSLソリューションズ製の走査電子顕微鏡用結晶解析ツールOMIVer.5.2のソフトウェアに備え付けの解析メニューからGrain Reference Orientation Deviationを用いて、高残存歪み領域の面積率を求めた。
このソフトウェアが行っている具体的な計算方法は以下の通りである。
(1) 測定面積内の全測定点(ピクセル)の方位を測定し、隣接するピクセル間の方位差が15°以上である境界を結晶粒界とみなし、これに囲まれた領域を結晶粒とする。
(2) 結晶粒内の全ての測定点(ピクセル)の配向データの平均値を求め、「平均結晶粒内配向」を計算する。
(3) 個々の測定点の配向データとそれが属する結晶粒の平均結晶粒内配向とを比較し、平均結晶粒内配向からのずれが3°以上の測定点(ピクセル)が占める領域を高残存歪み領域と定義する。
(4) 以下の式により総観察面積に占める高残存歪み領域の面積率を計算する。
(観察領域に存在する個々の粒内における高残存歪み領域の合算面積/観察領域の総面積)×100(%)
この高残存歪み領域の面積率が0〜3%以下の場合は残留歪みが少ないと判断されるが、それ以上の場合は残留歪みが多いと判断される。
<加工反り>
各試料を100×2000mm、厚さ20mmの平板とし、その表面をフライス盤で超硬刃先のバイトを用いて切込み深さ1.5mm、切削速度1000m/分で切削し、残った厚さ18.5mmの平板について、図2に示すように、その平板1を切削表面2が上方を向くようにして定盤(又はフライスのテーブル)3上に置いたときの長手方向両端部位置の反り上がり高さH1,H2をすきまゲージで測定し、両端の平均値が0.1mm未満のものを○、0.1〜1.0mmのものを△、1.0mmを超えたものを×とした。
<ムシレ状態>
各試料を100×2000mmの平板とし、その表面をフライス盤で超硬刃先のバイトを用いて切込み深さ0.1mm、切削速度5000m/分で切削加工し、その切削表面の500μm四方の視野内において長さ100μm以上のムシレ疵が何個存在したかを調べた。
これらの結果を表2に示す。
この表2から明らかなように、本実施例の製造方法で製造した純銅板は、平均結晶粒径が30〜80μmでヒストグラムでも微細で揃っており、ビッカース硬さも低く、残留歪みも小さいものであった。これに対して、比較例の純銅板は、平均結晶粒径が不均一で大きな結晶粒のものが散見され、ビッカース硬さ、残留歪みも実施例のものに比べて大きいものであった。その結果、実施例のものは、加工反りが0.1mm未満と非常に小さく、ムシレの発生も0〜2個と極めて少ないのに対して、比較例のものは比較的大きい加工反りが発生しているとともに、ムシレも数個発生しており、実施例のものは切削加工性に優れていることがわかる。
次に、本発明の範囲内の製造条件で熱間圧延の最終圧延率を変えて数種類の試料を作製し、前述の場合と同様な評価を行った。その結果を表3に示す。
この表3に示されるように、熱間圧延の最終圧延率が25%以上とすると、さらに結晶粒径が微細でヒストグラム曲線も鋭利で粒径が均一に揃ったものとなり、残留歪みも小さく、加工反りや表面のムシレも小さくなって加工性がさらに向上している。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこの記載に限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本発明は、所定の条件での熱間圧延後、200℃以下まで急冷し、その後に冷間圧延を施さずに純銅板の製品とするが、急冷後に最終的な仕上げとしてわずかな(数%以下の圧延率の)圧延を冷間で行うことを妨げるものではない。
また、本発明の純銅板は、スパッタリング用ターゲット以外にも、ターゲット用のバッキングプレートにも適用可能であり、その他、金型、放電電極、放熱板、ヒートシンク、モールド、水冷板、電極、電気用端子、ブスバー、ガスケット、フランジ、印刷版等にも適用することができる。
P ピーク値
L 半値幅
W 切削痕
C ムシレ疵

Claims (3)

  1. 純度が99.96質量%以上である純銅のインゴットを、550℃〜800℃に加熱して、総圧延率が85%以上で圧延終了時温度が500〜700℃である熱間圧延加工を施した後に、前記圧延終了時温度から200℃以下の温度になるまで200〜1000℃/minの冷却速度にて急冷することを特徴とする純銅板の製造方法。
  2. 請求項1記載の製造方法によって製造された純銅板であって、平均結晶粒径が30〜80μmであり、ビッカース硬さが40〜70であり、残留歪みが3%以下であり、結晶粒径のヒストグラムにおける、ピーク値が20〜80μmの範囲内で、総度数の60%以上の頻度で存在しており、その半値幅が70μm以下であることを特徴とする純銅板。
  3. スパッタリング用ターゲットであることを特徴とする請求項記載の純銅板。
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