JP4791996B2 - 半導体光素子 - Google Patents

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Description

本発明は、活性層が量子ドットからなる半導体光素子に関し、特に、活性層が量子ドットによって構成され、高温でも動作し且つパターン効果を殆ど生じない半導体光増幅器(以下、量子ドット光増幅器と呼ぶ)に関する。
数nmから数十nmの微小半導体結晶粒からなる量子ドットによって活性層を構成した半導体光増幅器は、量子ドット光増幅器と呼ばれている。
量子ドット光増幅器では、利得飽和の応答速度が、数ピコ秒と従来の半導体光増幅器に比べ約1000分の1になる。従って、量子ドット光増幅器を用いると、パターン効果を生じることが殆どないので、数十Gbitで点滅する信号光を利得飽和によって波形整形することが可能になる(非特許文献1)。更に、量子ドット光増幅器は、従来の光増幅器に比べ利得帯域が何倍も広いという利点も備えている。
このため、量子ドット光増幅器は、高速光通信ネットワークを構成する基幹部品の一つ(例えば、全光3R再生のための増幅及び波形整形素子)として期待されている。
T.Akiyama et al., IEEE PHOTONICS LETTERS, Vol.17, p.1615, 2005.
図22は、量子ドット光増幅器100の斜視図である。図22に示された量子ドット光増幅器100は進行波型の光増幅器であり、光入射面及び光出射面が夫々正面及び背面になるよう描かれている。
量子ドット光増幅器100は、例えばInPからなる半導体基板2と、半導体基板2の上に積層され、第1の導電型(例えば、n型)を有する第1のクラッド層3を具備している。第1のクラッド層3は、例えばInGaAsPからなる半導体層である。
更に、量子ドット光増幅器100は、第1のクラッド層3の上に積層された活性層6を具備している。ここで活性層6は、図23のように、伝導帯の電子及び価電子帯のホールを3次元的に閉じ込めて量子サイズ効果を発現する半導体結晶粒からなる量子ドット4と、量子ドット4を囲んで電子及びホールを量子ドット4に閉じ込める障壁層5によって構成されている。尚、障壁層5は、スペーサ層とも呼ばれている。また、図23は、図22で破線によって囲われた領域Aを拡大した図である。
ここで、量子サイズ効果とは、物質の寸法を微細化して例えば数nm〜数十nmにした場合に起きる、物理的特性がバルク状態とは異なったものに変化する現象のことである。
量子ドット4は、例えばInAsからなる微小半導体結晶粒である。また、障壁層5は、例えばInGaAsPからなる半導体層である。
また、量子ドット光増幅器100は、活性層6の上に積層された、第2の導電型(例えば、p型)を有する第2のクラッド層7を具備している。第2のクラッド層7は、例えばInGaAsPからなる半導体層である。
尚、図22に示した量子ドット光増幅器100は、第2のクラッド層7を覆うように、第2のクラッド層7と同一導電型の例えばp型InPからなる半導体層8を有している。図22に示した量子ドット光増幅器100では、この半導体層8と第2のクラッド層7が一体となって、活性層7を上側から覆う上部クラッド層を構成している。
また、図22に示した量子ドット光増幅器100は、光入射面及び光出射面に、夫々図示されていない反射防止膜を有している。
ところで、量子ドット光増幅器では、活性層6には不純物をドーピングしないことが一般的である。
しかし、本発明者は、活性層6を構成する障壁層5にp型の不純物をドーピングすると、量子ドット光増幅器の特性温度が高くなることを見出した。すなわち、障壁層5にp型不純物をドーピングすることによって、量子ドット光増幅器の高温動作が可能になる。
しかし、障壁層5にp型の不純物をドーピングすると、パターン効果が発現しやすくなることも明らかになった。
このようにp型の不純物を障壁層5にドーピングすると高温動作が可能になるが、数十GHzで動作してもパターン効果が殆ど見られないという量子ドット光増幅器の特徴が毀損されてしまう。
そこで、本発明の目的は、高温動作すなわち素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つパターン効果を殆ど生じない量子ドット光増幅器を提供することである。
更には、量子ドットを活性層とする半導体光素子(例えば、半導体レーザ)において、高温でも動作し(即ち、特性温度が高い)且つ高速で動作可能な半導体光素子を提供することである。
尚、光増幅器の特性温度Tは、所定の利得を得るために半導体光増幅器に流す電流Iの温度変化を表すパラメータであり、次式によって定義される。
Figure 0004791996
ここで、Tは半導体光増幅器の温度であり、Iは定数である。
(第1の側面)
上記の目的を達成するために、本発明の第1の側面は、半導体光素子において、半導体基板と、前記半導体基板の上に積層され、第1の導電型を有する第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に積層され、伝導帯の電子及び価電子帯のホールを3次元的に閉じ込めて量子サイズ効果を発現する半導体結晶粒からなる量子ドットと、前記量子ドットを囲んで前記電子及び前記ホールを前記量子ドットに閉じ込める障壁層からなる活性層と、前記活性層の上に積層された、第2の導電型を有する第2のクラッド層を具備した半導体素子において、前記障壁層のうち前記量子ドットの側面方向に位置する領域には、p型の不純物がドーピングされ、前記障壁層のうち前記量子ドットの上下方向に位置する領域に、不純物がドーピングされていないこと特徴とする。
第1の側面によれば、高温でも動作し且つ高速で動作可能な半導体光素子を構成することができる。
例えば、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果が殆ど見られない量子ドット光増幅器を構成することができる。
(第2の側面)
第2の側面は、第1の側面において、前記量子ドットが 前記半導体基板に格子整合しない半導体が下地層全面に亘って成長した濡れ層の上に形成され、前記半導体からなる突起部と、前記突起部の直下の前記濡れ層からなることを特徴とする。
第2の側面によれば、S−Kモードによって成長した量子ドットを用いて、高温でも動作し且つ高速で動作可能な半導体光素子を構成することができる。
例えば、S−Kモードによって成長した量子ドットを用いて、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果が殆ど見られない量子ドット光増幅器を構成することができる。
(第3の側面)
第3の側面は、半導体光素子において、半導体基板と、前記半導体基板の上に積層され、第1の導電型を有する第1のクラッド層と、第1のクラッド層の上に積層され、伝導帯の電子及び価電子帯のホールを3次元的に閉じ込めて量子サイズ効果を発現する半導体結晶粒からなる量子ドットと、前記量子ドットを囲んで前記電子及び前記ホールを前記量子ドットに閉じ込める障壁層からなる活性層と、前記活性層の上に積層された、第2の導電型を有する第2のクラッド層を具備した半導体光素子において、前記量子ドットが、前記半導体基板に格子整合しない半導体が下地層全面に亘って成長した濡れ層の上に形成され、前記半導体からなる突起部と、前記突起部の直下の前記濡れ層からなり、更に、前記量子ドットが、前記量子ドットの上に形成された前記障壁層の格子定数が緩和される前に、前記量子ドットが再度成長することを少なくても1回以上繰り返して形成されてなるコラムナ量子ドットを構成し、前記コラムナ量子ドットを構成する前記量子ドット夫々を囲む前記障壁層のうち前記量子ドットの側面方向に位置する領域には、p型の不純物がドーピングされ、前記コラムナ量子ドットを囲む前記障壁層のうち上下方向に位置する領域に、不純物がドーピングされていないこと特徴とする。
第3の側面によれば、コラムナ量子ドットを用いて、高温でも動作し且つ高速で動作可能な半導体光素子を構成することができる。
例えば、コラムナ量子ドットを用いて、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果が殆ど見られない量子ドット光増幅器を構成することができる。
(第4の側面)
第4の側面は、第1乃至3の側面において、前記半導体基板が、InPからなり、前記障壁層が、InGaAsPからなり、前記量子ドットが、InAsからなることを特徴とする。
本発明によれば、p型不純物を障壁層にドーピングしても、ホールに対するポテンシャル障壁が存在しない領域が、量子ドットの頂上及び底に形成される。このため、活性層に注入されたホールが、量子ドットにも効率良く注入される。
このため、利得飽和等の応答速度は低下しない。すなわち、特性温度を高くするために障壁層にp型不純物をドーピングしても、利得飽和の応答速度は低下しない。
従って、本発明によれば、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つパターン効果を生じない量子ドット光増幅器を形成することができる。
また、半導体レーザ等のその他の半導体光素子においても、特性温度が高くなるように障壁層にp型不純物をドーピングしても、動作速度が低下しない。すなわち、高温で動作し且つ動作速度が低下しない半導体光素子を提供することができる。
以下、図面にしたがって本発明の実施の形態について説明する。但し、本発明の技術的範囲はこれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。なお、異なる図面であっても対応する部分には同一符号を付し、その説明は省略する。
本実施の形態は、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果が殆ど生じない量子ドット光増幅器に係るものである。
図1は、本実施の形態に於ける量子ドット光増幅器1を光入射面(又は光出射面)に平行な面で切断して見た断面図である。図2は、活性層6の一部とその近傍を拡大した断面図である。
本実施の形態における量子ドット光増幅器1は、量子ドット4を囲んで電子及びホールを量子ドット4に閉じ込める障壁層5のうち、量子ドット4の側面方向に位置する領域(サイドバリア層)9に、p型の不純物がドーピングされ、この障壁層5のうち量子ドット4の上下方向に位置する領域10には、不純物がドーピングされていないことを特徴とする(図2参照)。尚、図中に破線で示した領域は、p型不純物がドーピングされた障壁層を表している(以下、同じ)。
このような特徴を有することにより、本実施の形態における量子ドット光増幅器1では、特性温度を高くするために障壁層5にp型不純物をドーピングしても、利得飽和の応答速度が低下しないという効果が奏される。従って、本実施の形態による量子ドット光増幅器では、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果が殆ど生じない。
尚、量子ドット4の上下方向とは、半導体基板2を基準とした方向である。すなわち量子ドット4から見て半導体基板2が存在する側が下であり、その反対側が上である。従って、量子ドット4の上下方向とは、量子ドット4から見て半導体基板2及びその反対側に向いた方向である。また、量子ドット4の側面方向とは、基板に平行な方向のことである。
図1及び図2に示した量子ドット4は、基板と格子定数が異なる半導体を臨界膜厚(数〜数十原子層程度)を超えて成長した結果得られる自己形成量子ドットの一例である。すなわち、図1及び2に示された量子ドット4は、S−K(Stranski-Krastanov)モードによって成長した微小結晶粒である。S−K成長モードでは、まず臨界膜厚以下の薄い濡れ層11が成長しその上に突起部が成長する。図1及び図2で量子ドット4を底辺で連結する薄い半導体層が、この濡れ層11である。
但し、量子ドットの形成方法は、S−Kモードによる微小結晶粒の成長に限られるものではない。例えば、電子線リソグラフィー技術とイオンビームエッチング技術によって量子井戸をドット状に加工してもよい。または、VW(Volmer−Weker)モードによって微小結晶粒を成長してもよい。このような場合には濡れ層は存在せず、障壁層の上に直接量子ドットが形成される。
次に、本実施の形態に於ける量子ドット光増幅器1では、障壁層5にp型不純物をドーピングしても、利得飽和の応答速度が低下しない理由を説明する。
まず、「発明が解決しようとする課題」で説明した量子ドット光増幅器すなわち障壁層5へp型不純物をドーピングした結果、利得飽和応答速度が遅くなった量子ドット光増幅器について説明する。
量子ドットを囲む障壁層5へp型不純物をドーピングする方法としては、一般的には2通りのドーピング法が考えられる。第1の方法は、図3ように、量子ドット4に隣接する障壁層5全体に、一様にp型不純物をドーピングする方法である。第2の方法は、図4のように、量子ドット4が形成された層の上下に、シート状にp型不純物をドーピングする方法(変調ドープ)である。第1及ぶ第2の何れの方法でドーピングしても、利得飽和応答速度が遅くなるメカニズムは同じである。従って、以下、第2の方法で障壁層5にp型不純物をドーピングした場合を例として、利得飽和応答速度が遅くなるメカニズムを説明する。
図5は、量子ドット4の近傍を拡大した図である。量子ドット4から数原子層離れたシート状の領域(変調ドープ領域12)に、p型不純物が集中的にドーピングされている。
図6は、図5に示した一点鎖線に沿って、荷電子帯の頂上及び伝導帯の底のエネルギーの位置変化を示したものである。横軸は、半導体基板2に垂直な方向に沿った位置座標である。縦軸は、電子のエネルギーである。
p型不純物が変調ドープ層12にドーピングされた障壁層5では、フェルミ準位が荷電子帯の頂上(E)に付近に移動している。一方、不純物がドーピングされていない量子ドット4では、フェルミ準位は禁制帯の中央付近に止まっている。両方のフェルミ準位が一致しようとする結果、量子ドット4のポテンシャルは上昇する。このため図6のように、障壁層5と量子ドット4の界面で、荷電子帯(E)の頂上にノッチが形成される。
このノッチ14によって、活性層6に注入されたホールが更に量子ドット4に注入される速度が抑制される。従って、量子ドット光増幅器の利得飽和応答速度が遅くなる。
本実施の形態の量子ドット光増幅器1では、障壁層5のうち量子ドット4の側面方向に位置する領域(サイドバリア)9に、p型の不純物をドーピングする。このため、サイドバリア9と量子ドット4の界面にはノッチ14が形成されるが、サイドバリアから量子ドット4に供給されたホールによって量子ドット4内部のホール濃度は高くなる。その結果、量子ドット光増幅器1の特性温度が高くなる。
一方、量子ドット4の上下方向に位置する領域10には、不純物がドーピングされていない。従って、これらの領域10では、フェルミ準位が禁制帯の中央付近に止まっている。このため図7のように、量子ドットの頂上及び底では荷電子帯(E)の頂上にノッチが形成されない。
従って、p型クラッド層7から活性層6に注入されたホールは、上下方向の障壁層/量子ドット界面(量子ドットの頂上及び底)を通って容易に量子ドット4に流入できる。故に、量子ドット光増幅器の利得飽和応答速度が遅くなることはない。尚、図7の横軸及び縦軸の意味は、図6と同じである。
すなわち、本実施の形態における量子ドット光増幅器1では、特性温度を高くするために障壁層5にp型不純物をドーピングしても、利得飽和の応答速度が低下することない。従って、本実施の形態による量子ドット光増幅器では、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ、しかも数十GHzで動作してもパターン効果が殆ど生じることはない。
なお、実施例2で説明するように、活性層を量子ドットで構成する代わりに、コラムナ量子ドット54で構成し、コラムナ量子ドット54を構成する量子ドット4夫々を囲む障壁層のうち量子ドットの側面方向に位置する領域56には、p型の不純物がドーピングされ、コラムナ量子ドット54を囲む障壁層のうち上下方向に位置する領域58には、不純物がドーピングされていないようにしてもよい(図24及び図25参照)。
本実施例は、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果を殆ど生じない量子ドット光増幅器の構成に係るものである。
図8は、本実施例に係る量子ドット光増幅器1を、光入射面(又は、光出射面)に平行な面で切断して見た断面図である。本実施例に於ける量子ドット光増幅器1は進行波型の光増幅器であり、光入射面及び光出射面には、夫々図示されていない反射防止膜が設けられている。
量子ドット光増幅器1は、第1の導電型(例えば、n型)を有する例えばInPからなる半導体基板2と、半導体基板2の上に積層され、第1の導電型(例えば、n型)を有する第1のクラッド層3を具備している。第1のクラッド層3は、例えばInGaAsP(λg=1.1μm)からなり、半導体基板2に格子整合した半導体層である。尚、λgは半導体の禁制帯幅を波長に換算した値である。
更に、量子ドット光増幅器1は、第1のクラッド層3の上に積層された活性層6を具備している。ここで活性層6は、図1のように、伝導帯の電子及び価電子帯のホールを3次元的に閉じ込めて量子サイズ効果を発現する半導体結晶粒からなる量子ドット4と、量子ドット4を囲んで電子及びホールを量子ドット4に閉じ込める障壁層5によって構成されている。尚、図1は、図8で破線によって囲われた領域Bを拡大した図である。
ここで、量子ドット4は、例えばS−Kモードによって自己形成したInAsからなる微小半導体結晶粒である。すなわち、量子ドット4は、半導体基板(InP)2に格子整合しない半導体(InAs)が下地層(障壁層5)の全面に亘って成長した濡れ層11の上に成長した、前記半導体(InP)からなる突起部70と、この突起部70の直下の濡れ層72からなる(図2参照)。
ここで、InAs量子ドット4の横幅は約20nmであり、その高さは約3nm(直下の濡れ層72も含む)である。また、濡れ層11には不純物がドーピングされていない。このようにした理由は、濡れ層11に不純物がドーピングされていると、導電帯又は価電子帯にノッチが形成され、活性層に注入されたキャリアの移動を妨げる障壁となるからである。
ここで障壁層5は、例えばInGaAsP(λg=1.1μm)からなり、半導体基板2に格子整合した半導体層である。その厚さ(一の濡れ層11と次の濡れ層11までの距離)は、約40nmである。
即ち、本実施例では、第1のクラッド層3を構成する第1の半導体(例えば、n型InGaAsP)、第2のクラッド層7を構成する第2の半導体(例えば、p型InGaAsP)、及び障壁層5を構成する第3の半導体(例えば、InGaAsP)が、半導体基板2を構成する第4の半導体(例えば、InP)に格子整合している。
更に、量子ドット4は、半導体基板(InP)2に格子整合しない第5の半導体(例えば、InAs)が下地層(障壁層5)全面に亘って成長した濡れ層11の上に成長した第5の半導体(InP)からなる突起部70と、この突起部の直下の濡れ層72によって構成されている。
尚、障壁層5は、半導体基板2に格子整合していなくてもよい。例えば、障壁層5の格子定数が、量子ドット4とは逆方向の歪を受けるような格子定数であってもよい。即ち、本実施例では、量子ドット4を構成するInAsはInPより格子定数が大きいので、障壁層5を格子定数がInPより小さいInGaAsPで構成する。このような量子ドットによって活性層を形成すると、量子ドット光増幅器の偏波依存性がなくなる(特許台854560号)。
また、量子ドット光増幅器1は、活性層6の上に積層された、第2の導電型(例えば、p型)を有する第2のクラッド層7を具備している。第2のクラッド層7は、例えばInGaAsP(λg=1.1μm)からなり、半導体基板2に格子整合した半導体層である。
そして、本実施例では、図2のように、量子ドット4を囲んで電子及びホールを量子ドット4に閉じ込める障壁層5のうち、量子ドット4の側面方向に位置する領域(サイドバリア)9に、p型の不純物がドーピングされ、この障壁層5のうち量子ドット4の上下方向に位置する領域10には、不純物がドーピングされていない。
本実施例では、サイドバリア層の平均膜厚は約2原子層である。また。サイドバリア層には、Znが面密度に換算して約2×1012cm−2ドーピングされている。尚、量子ドット4に不純物はドーピングされていない。
ここで、半導体基板2の格子定数と各成長層の格子定数の関係を整理しておくと、以下のようになっている。
即ち、本実施例では、第1のクラッド層3を構成する第1の半導体(例えば、n型InGaAsP)、第2のクラッド層7を構成する第2の半導体(例えば、p型InGaAsP)、及び障壁層5を構成する第3の半導体(例えば、InGaAsP)が、半導体基板2を構成する第4の半導体(例えば、InP)に格子整合している。。但し、障壁層5を構成する第3の半導体は、必ずしも半導体基板2を構成する第4の半導体に格子整合していなくてもよい。
ところで、本実施例では、図8のように、第2のクラッド層7を覆うように、第2のクラッド層7と同一導電型を有する例えばp型InPからなる半導体層8を備えている。この半導体層8と第2のクラッド層7は一体となって、活性層7を上側から覆う上部クラッド層として機能する。
また、本実施例の量子ドット光増幅器1は、半導体層8の中に、半導体層8とは逆の導電型を有する例えばn型InPからなる電流阻止層16を備えている。この電流阻止層16と半導体は、pn埋め込み層を構成する。
更に、半導体層8の上には、図示しない例えばp型InGaAsPからなるコンタクト層が設けられている。このコンタクト層には、表面側電極17が設けられている。そして、表面側電極の上には、メッキによって厚いAuメッキ電極20が形成されている。また、半導体基板2の裏面には、裏面側電極18が設けられている。
Auメッキ電極は、パッシベーション膜22によって、表面側電極で覆われた部分を除き半導体層8から絶縁されている。また、半導体層8には、第2のクラッド層7(又は半導体層8)から第1のクラッド層3に流れる電流(漏れ電流)を抑制するための溝24が設けられている。
このような構成に依れば、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果を殆ど生じない量子ドット光増幅器を構築することができる。
本実施例は、量子ドット4が成長方向(上下方向)に積層されたコラムナ量子ドットで活性層6を構成した量子ドット光増幅器の構成に係るものである。
量子ドットからなる活性層を形成する場合、通常、量子ドット4の上に成長した障壁層5の格子不整合が緩和されてから、次の量子ドット層を積層される。すなわち、量子ドット4によって、格子が引っ張られ又は圧縮された障壁層が格子定数を元に戻してから、次の量子ドットを成長する。この場合、後に成長した量子ドット50は、図9のように、先に成長した量子ドット52とは関係のない位置に成長する。
しかし、障壁層5の格子定数が本来の格子定数に戻る前(すなわち、格子定数は緩和する前)に、後の量子ドット層50を成長すると、図10のように先に成長した量子ドット52の上に選択的に後の量子ドット50が成長する。その結果、量子ドットが柱状に積層されたコラムナ量子ドット54が形成される。
尚、図9及び図10以外の図面に記載された量子ドットは、量子ドットの積層関係には特に注意を払わずに描かれている。
コラムナ量子ドット54内では、トンネル効果により、各量子ドットに閉じ込められた電子及びホールがコラムナ量子ドット54全体に広がって分布している。
このような場合であっても、電子及びホールは、コラムナ量子ドット54内に3次元的に閉じ込められている。従って、量子ドット光増幅器1の活性層をコラムナ量子ドットで構成しても、利得飽和応答速度は速くなり、パターン効果の抑制が可能になる。因って、活性層がコラムナ量子ドットからなる量子ドット光増幅器に於いても、本発明は適用可能である。
本実施例の量子ドット光増幅器は、図24及び図25したように、例えばInPからなる半導体基板2と、この半導体基板の上に積層され、第1の導電型(例えば、n型)を有する第1のクラッド層3(例えば、InGaAsP;λg=1.1μm)と、第1のクラッド層3の上に積層され、伝導帯の電子及び価電子帯のホールを3次元的に閉じ込めて量子サイズ効果を発現する半導体結晶粒(例えば、InAs)からなる量子ドット4と、この量子ドットを囲んで電子及びホールを量子ドット4に閉じ込める障壁層5からなる活性層(例えば、InGaAsP;λg=1.1μm)と、活性層の上に積層された、第2の導電型(例えば、p型)を有する第2のクラッド層7(例えば、InGaAsP;λg=1.1μm)を具備した半導体光増幅器である。
そして、第1のクラッド層3を構成する第1の半導体、第2のクラッド層を構成する第2の半導体、及び障壁層を構成する第3の半導体が、半導体基板2を構成する第4の半導体に格子整合している。
そして、第4の半導体(半導体基板)に格子整合しない第5の半導体(InAs)が下地層(障壁層58又は障壁層5)の全面に亘って成長した濡れ層11の上に形成された第5の半導体(InAs)からなる突起部70と、突起部70の直下の濡れ層72によって構成されている。
ここで、本実施例の量子ドット光増幅器では、量子ドット4が、量子ドットの上に形成された障壁層の格子定数が緩和される前に、量子ドットが再度成長することを少なくても1回以上繰り返して形成されてなるコラムナ量子ドット54を構成し、コラムナ量子ドット54を構成する量子ドット4夫々を囲む障壁層のうち量子ドットの側面方向に位置する領域56には、p型の不純物がドーピングされ、コラムナ量子ドットを囲む障壁層58のうち上下方向に位置する領域に、不純物がドーピングされていない。
尚、図24は、実施例2に於ける量子ドット光増幅器の断面図である。また、図25は、実施の形態に於ける量子ドット光増幅器の活性層の一部とその近傍を拡大した断面図である。
このような構成でも、コラムナ量子ドット54の頂上及び底では、価電子帯(E)の頂上にノッチが形成されない。このため、コラムナ量子ドットにホールが容易に流入できる。故に、量子ドット光増幅器の利得応答速度が遅くなることはない。
ここで、本実施例と実施例1では、量子ドット4を上下に隔てる障壁層の平均膜厚が実施例1では約40nmであるのに対して本実施例では約3.1〜5.0nmである点で相違する。すなわち本実施例では、コラムナ量子ドット54を構成する夫々の量子ドット4の上下方向の間隔60が、例えば1〜2原子層と極めて接近している(図25)のに対して、実施例1では、量子ドット4の上下方向の間隔62が例えば数十原子層離れている点で相違している(図25)。尚、コラムナ量子ドット54を構成する量子ドット4の頂上とその上に積層された量子ドット4の底の間の障壁層64(即ち、量子ドット4間の障壁層)には、図25のように不純物がドーピングされていことが好ましい。しかし、ホール及び電子はコラムナ量子ドット54全体に広がっているので、量子ドット4間の障壁層64に不純物がドーピングされていてもよい。
そして、本実施例では、このような構成のコラムナ量子ドット54が、3層積層されて活性層6を構成している。
以上の点を除き、本実施例の量子ドット光増幅器の構成は、実施例1の量子ドット光増幅器と略同じである。
例えば、サイドバリア層56の平均膜厚は約2原子層である。また。サイドバリア層には、Znが面密度に換算して約2×1012cm−2ドーピングされている。尚、量子ドット4に不純物はドーピングされていない。また、障壁層5、56,58を、半導体基板に格子整合しない半導体で構成してもよい。
このような構成によっても、素子温度が上昇しても十分な利得が得られ且つ数十GHzで動作してもパターン効果を殆ど生じない量子ドット光増幅器を構築することができる。
本実施例は、実施例1に示した量子ドット光増幅器の製造方法の一例である。
まず、図11のように、n型InP基板26の上に、InP基板26に格子整合したn型InGaAsP層(λg=1.1μm)28と、活性層6と、InP基板26に格子整合したp型InGaAsP層(λg=1.1μm)30を成長する。
n型InGaAsP層28の成長は、有機金属気相成長法によって行う。原料ガスは、(CHIn、(CGa、PH、及びAsHである。尚、以下に説明する半導体も、同じ原料ガスを用い有機金属気相成長法によって成長する。
量子ドット光増幅器1が完成した際には、n型InGaAsP層28は第1のクラッド層3となり、p型InGaAsP層30は第2のクラッド層7になる。
活性層6の成長は、まず障壁層5となるノンドープInGaAsP層(λg=1.1μm)を約40nm成長することから始まる。尚、ノンドープとは、不純物がドーピングされていないことを意味する。
次に、ノンドープInAsを、平均膜厚換算で約2原子層成長する。この時、InAsはS−Kモードで成長し、最初に、下地層全面に亘って濡れ層11が約0.5〜1.0原子層成長する(図2及び図11参照)。次に、濡れ層の膜厚が臨界膜厚を超えると高さ約3nmで幅約20nmのInAsからなる突起部13が多数形成される。
次に、n型InP基板26に格子整合したp型InGaAsP(λg=1.1μm)からなるサイドバリア層9を、平均膜厚換算で2原子層成長する。p型不純物はZnであり、ドーパントガスにはジメチル亜鉛を用いる。Zn濃度は、面密度換算で約2×1012cm−2である。
次に、n型InP基板2に格子整合したノンドープInGaAsP(λg=1.1μm)からなる障壁層5を、約40nmである成長する。サイドバリア層9は、図2のように、格子不整合の大きな量子ドット4の頂上部分には殆ど成長しない。従って、サイドバリア9にZnをドーピングしても、量子ドット4の頂上を覆おう障壁層5には不純物はドーピングされない。
次に、上述した、ノンドープInAs、サイドバリア、及びノンドープ障壁層の成長を2回繰り返して、合計3層の量子ドット層からなる活性層6を成長する。
更に、p型InGaAsP層(λg=1.1μm)30を成長して、図11に示した層構造を完成する。
以上のようにして形成した成長層に、フォトリソグラフィー法と反応性イオンエッチング法(RIE)によって、図12のようなn型InGaAs層28に達するリッジ32を形成する。
尚、図12(a)は平面図であり、図12(b)は図12(a)のA−A´線に於ける断面を矢印の方向から見た断面図である。以下の工程図に於いても、同様に平面図及び断面図を示す。
ここで、リッジ32の延びる方向は、量子ドット光増幅器の光入射面33(又は、光出射面35)に斜めに交わるように形成される。これは、光入射面(又は、光出射面)に於ける光の反射率を下げるためである。
次に、図13のように、p型InPクラッド層34、n型InP電流阻止層36からなるPN埋め込み層38を成長して、リッジ32を埋め込む。更に、図示しないp型InGaAsP層(λg=1.1m)コンタクト層を成長する。
次に、図14のように、漏れ電流を減らすため、リッジ32の両脇に溝24をフォトリソグラフィー法と化学エッチング法によって形成する。
次に、図15のように、SiNからなるパッシベーション膜22をプラズマCVD法により堆積する。
次に、図16のように、フィトリソグラフィ法とRIEによって、リッジ32が埋め込まれている位置のパッシベーション膜22を除去する。
次に、図17のように、加工面全体に表面側電極40を蒸着する。
次に、図18のように、Auメッキ電極の形成予定位置を刳り貫いたレジスト膜42を形成する。
次に、図19のように、この刳り貫かれた場所にAuメッキ電極20をメッキによって形成する。
次に、図20のように、レジスト膜38を除去する。更に、Auメッキ電極20をマスクとして、加工面に露出している表面側電極40をRIEによって除去する。
次に、図21のように、n型InP基板26の裏面に裏面側電極18を蒸着する。
次に、n型InP基板26と成長層をヘキ開して、光入射面と光出射面を形成する。更に、光入射面と光出射面に反射防止膜を形成した後、個々の素子に分離する。
以上の工程により、量子ドット光増幅器が完成する。
尚、実施例2に示したコラムナ量子ドットからなる量子ドット光増幅器を成長するためには、量子ドット4に代えて、コラムナ量子ドット54を成長すればよい。
すなわち、最初に、コラムナ量子ドット54を囲む障壁層のうち上下方向に位置する領域58であって最も下の領域となるノンドープInGaAsP層(λg=1.1μm)を約40nm成長する。
次に、ノンドープInAsを、平均膜厚換算で2〜4原子層って成長する。この時、InAsはS−Kモードで成長し、最初に、平坦な濡れ層11が0.5〜1.0原子層成長する(図2及び図11参照)。次に、この濡れ層11の上に、高さ約3nm(直下の濡れ層の厚さも含む)で幅約20nmのInAsからなる突起部が多数成長する。
次に、n型InP基板26に格子整合したp型InGaAsP(λg=1.1μm)からなるサイドバリア層56を、平均膜厚換算で2原子層成長する。p型不純物はZnであり、ドーパントガスにはジメチル亜鉛を用いる。Zn濃度は、面密度換算で約2×1012cm−2である。
次に、n型InP基板2に格子整合したノンドープInGaAsP(λg=1.1μm)からなる障壁層5を、約2nm成長する。サイドバリア層9は、図2のように、格子不整合の大きな量子ドット4の頂上部分には殆ど成長しない。従って、サイドバリア9にZnをドーピングしても、量子ドット4の頂上を覆おう障壁層5には不純物はドーピングされない。
次に、上述した、ノンドープInAs、サイドバリア層56、及びノンドープ障壁層5の成長を2回繰り返して、合計3層のコラムナ量子ドット54を成長する。更に、コラムナ量子ドット54を囲む障壁層のうち上下方向に位置する領域58であって2番目の領域となるノンドープInGaAsP層(λg=1.1μm)を約40nm成長する。
この後、コラムナ量子ドット54と障壁層58の成長を2回繰り返し、活性層6を成長すればよい。
以上説明した実施例以外にも、本発明は種々の変形が可能である。例えば、実施例1乃至3で説明した量子ドットは、半導体基板(InP)より格子定数の大きい半導体材料(InAs)によって構成されている。従って、実施例1乃至3の量子ドットには圧縮歪が発生している。しかし、本発明を構成する量子ドットは、圧縮歪を伴う量子ドットに限られるものではなく、例えばInP基板上のIn0.1Ga0.9Asからなる量子ドットのように、基板より格子定数の小さい半導体からなり引っ張り歪を伴う量子ドットであってもよい。この場合の障壁層は、例えばInAlGaAsによって構成することができる。
また、基板はInPに限られるものではなく、GaAsであってもよい。即ち、GaAs基板上に、InAs量子ドットからなる活性層を形成してもよい。
実施例1及び3では、量子ドット(又は、コラムナ量子ドット)は3層に亘って形成されている。しかし、量子ドット(又は、コラムナ量子ドット)の形成される層は一層であってもよいし、或いは2層または4層以上であってもよい。
更に、サイドバリアにドーピングされるp型の不純物は、Znに限られものではなく、例えばBe、Mg、及びCdの何れかであってもよい。
以上、本発明を量子ドット光増幅器に適用した場合について説明した。しかし、活性層を量子ドットで構成する他の半導体光素子にも、本発明は適用することができる。例えば、上述した実施例3の量子ドット光増幅器において、反射防止膜を無くし、更にリッジ32が光入射面33(又は、光出射面35)に垂直に交わるようにして、半導体レーザを構成してもよい。更に、活性層6の上に回折格子を形成した光導波路を形成して、分布帰還型半導体光素子としてもよい。
本発明は、半導体光素子の製造業、特に、光増幅器の製造業において利用可能である。
実施の形態に於ける量子ドット光増幅器の断面図である。 実施の形態に於ける量子ドット光増幅器の活性層の一部とその近傍を拡大した断面図である。 障壁層に一様にp型不純物をドーピングした、量子ドット光増幅器の断面図である。 障壁層にp型不純物を変調ドーピングした、量子ドット光増幅器の断面図である。 障壁層にp型不純物を変調ドーピングした量子ドットの近傍を拡大した図である 障壁層にp型不純物を変調ドーピングした量子ドット及びその近傍における、荷電子帯の頂上及び伝導帯の底のエネルギーと位置の関係を示した図である。 実施の形態の量子ドット及びその近傍に於ける、荷電子帯の頂上と伝導帯の底のエネルギーと位置の関係を示した図である。 実施例1に係る量子ドット光増幅器を、光入射面(又は、光出射面)に平行な面で切断して見た断面図である。 通常の量子ドットの積層構造を説明する図である。 コラムナ量子ドットの積層構造を説明する図である。 実施例3に於ける、量子ドット光増幅器用の結晶成長層の断面である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その1)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その2)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その3)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その4)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その5)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その6)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その7)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その8)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その9)である。 実施例3に於ける量子ドット光増幅器の製造工程を説明する図(その10)である。 従来の量子ドット光増幅器の斜視図である。 図22に示された領域Aを拡大した図である。 実施例2に於ける量子ドット光増幅器の断面図である。 実施の形態に於ける量子ドット光増幅器の活性層の一部とその近傍を拡大した断面図である。
符号の説明
1 量子ドット光増幅器
2 半導体基板
3,7 クラッド層
4 量子ドット
5 障壁層
6 活性層
8 InPからなる半導体層
9 量子ドットの側面方向に位置する領域(サイドバリア層)
10 量子ドットの上下方向に位置する領域
11 濡れ層
12 変調ドープ領域
13 突起部
14 荷電子帯(E)のノッチ
16 電流阻止層
17 表面電極
18 裏面側電極
20 Auメッキ電極
22 パッシベーション膜
24 溝
26 n型InP基板
28 n型InGaAsP層(λg=1.1μm)
30 p型InGaAsP層(λg=1.1μm)
32 リッジ
33 光入射面
34 p型InPクラッド層
35 光出射面
36 n型InP電流阻止層
38 PN埋め込み層
40 表面側電極
42 レジスト膜
50 後に成長した量子ドット
52 先に成長した量子ドット
54 コラムナ量子ドット
56 コラムナ量子ドットを構成する量子ドット夫々を囲む障壁層のうち量子ドットの側面方向に位置する領域(サイドバリア層)
58 コラムナ量子ドットを囲む障壁層のうち上下方向に位置する領域
60 コラムナ量子ドットを構成する夫々の量子ドットの上下方向の間隔
62 量子ドットの上下方向の間隔
64 コラムナ量子ドットを構成する量子ドットの頂上とその上に積層された量子ドットの底の間の障壁層
70 突起部
72 突起部の直下の濡れ層
100 従来の量子ドット光増幅器

Claims (4)

  1. 半導体基板と、
    前記半導体基板の上に積層され、第1の導電型を有する第1のクラッド層と、
    第1のクラッド層の上に積層され、伝導帯の電子及び価電子帯のホールを3次元的に閉じ込めて量子サイズ効果を発現する半導体結晶粒からなる量子ドットと、前記量子ドットを囲んで前記電子及び前記ホールを前記量子ドットに閉じ込める障壁層からなる活性層と、
    前記活性層の上に積層された、第2の導電型を有する第2のクラッド層を具備した半導体素子において、
    前記障壁層のうち前記量子ドットの側面方向に位置する領域には、p型の不純物がドーピングされ、
    前記障壁層のうち前記量子ドットの上下方向に位置する領域に、不純物がドーピングされていないこと特徴とする半導体光素子。
  2. 請求項1に記載の半導体素子において、
    前記量子ドットが、
    前記半導体基板に格子整合しない半導体が下地層全面に亘って成長した濡れ層の上に形成され、前記半導体からなる突起部と、
    前記突起部の直下の前記濡れ層からなることを特徴とする半導体光素子。
  3. 半導体基板と、
    前記半導体基板の上に積層され、第1の導電型を有する第1のクラッド層と、
    第1のクラッド層の上に積層され、伝導帯の電子及び価電子帯のホールを3次元的に閉じ込めて量子サイズ効果を発現する半導体結晶粒からなる量子ドットと、前記量子ドットを囲んで前記電子及び前記ホールを前記量子ドットに閉じ込める障壁層からなる活性層と、
    前記活性層の上に積層された、第2の導電型を有する第2のクラッド層を具備した半導体光素子において、
    前記量子ドットが、
    前記半導体基板に格子整合しない半導体が下地層全面に亘って成長した濡れ層の上に形成され、前記半導体からなる突起部と、
    前記突起部の直下の前記濡れ層からなり、
    更に、前記量子ドットが、
    前記量子ドットの上に形成された前記障壁層の格子定数が緩和される前に、前記量子ドットが再度成長することを少なくても1回以上繰り返して形成されてなるコラムナ量子ドットを構成し、
    前記コラムナ量子ドットを構成する前記量子ドット夫々を囲む前記障壁層のうち前記量子ドットの側面方向に位置する領域には、p型の不純物がドーピングされ、
    前記コラムナ量子ドットを囲む前記障壁層のうち上下方向に位置する領域に、不純物がドーピングされていないこと特徴とする半導体光素子。
  4. 請求項1乃至3に記載の半導体素子において、
    前記半導体基板が、InPからなり、
    前記障壁層が、InGaAsPからなり、
    前記量子ドットが、InAsからなることを特徴とする半導体光素子。
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