JP4075003B2 - 半導体レーザ及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は半導体レーザ及びその製造方法に関するものであり、特に、量子ドットにおけるキャリア緩和時間を短縮するためのエネルギーポテンシャル構造に特徴のある量子ドット半導体レーザ及びその製造方法に関するものである。
半導体レーザはここ20年程度の間に着実に進歩し高性能化されてきたが、この高性能化の原動力は、半導体レーザの発光部分である活性層構造の進歩である。
即ち、1980年代の初期には厚さ100nm以上のバルク半導体層が用いられていたが、1980年代半ばから厚さ10nm程度の薄膜である所謂量子井戸構造が用いられ、量子力学的効果、即ち、量子効果が利用されるようになった。
さらに、1990年代に入ると、量子井戸構造に意図的に歪みを導入した歪量子井戸構造が採用されはじめ、これらの技術的進歩に伴って、例えば、半導体レーザの発振しきい値電流Ithは100mAから数mA程度まで約2桁低減され、また、量子効率或いは変調帯域幅等の特性も向上してきた。
現在、半導体レーザのより一層の高性能化を達成するために、活性層を半導体量子ドット或いは半導体量子箱と呼ばれる新量子構造とする試みが始まっている。
この半導体量子ドットは、キャリアを3次元的に狭い領域に閉じ込め、そのエネルギーを完全に量子化したものであり、この様な半導体量子ドットを活性層に用いることによって、レーザ発振に寄与しない余分なキャリアを減らし、効率良く光学利得を発生するものであり、その結果、低しきい値電流化が達成でき、また、キャリアが低減することによって内部損失も低減して高効率化が図られ、微分利得の増大によってより高速の変調が可能になる。
即ち、半導体量子ドットは、キャリアに3次元的な量子閉じ込めを与えるほど極微細なポテンシャルの箱であり、この半導体量子ドットにおいてはキャリアの状態関数密度はデルタ関数的に離散化し、その基底準位には2個のキャリア、例えば、伝導帯においては2個の電子しか存在することができず、また、高次の量子準位、即ち、励起準位にはその準位の次数に応じて複数個の電子が存在することができる。
この様な量子ドット構造を作製するために、各種の技術が提案されており、まず、微傾斜基板上のステップにおける成長初期の横方向成長を利用する方法、電子線を用いたリソグラフィー及びエッチングによる方法、マスクパターンを利用して選択成長させたピラミッド型の結晶の頂部を量子ドット構造とする方法、マスクパターンを利用したエッチングによって形成された正4面体状の凹部の底に量子ドット構造を作製する方法(例えば、特許文献1参照)、或いは、STM(Scanning Tunnel Microscope)技術を応用した原子マニュピレーションの方法等がある。
これらの方法を用いて量子ドットを作製する試みが1980年代から1990年代にかけて盛んに行われてきたが、これらの量子ドットで作製した量子ドットには、
a.結晶品質が悪い、
b.サイズが大きく十分な量子効果が得られない、或いは、
c.密度が低い等の欠点があり、
所期の高性能な半導体レーザを実現することができなかった。
ところが、最近になって、自己形成、即ち、自己組織化という新しい結晶成長技術の発見により、十分にレーザ用活性層として利用可能な量子ドットの成長が可能になり、この様な自己組織化量子ドットを活性層として用いた半導体レーザが報告されているので(例えば、特許文献2参照)、この自己組織化による量子ドット半導体レーザを図4を参照して説明する。
図4(a)参照
図4(a)は従来の自己組織化による量子ドット半導体レーザの概略的断面図であり、n型GaAsからなる基板31上に、MOVPE法(有機金属気相成長法)を用いて、n型AlGaAsからなるクラッド層32、GaAsからなる光閉じ込め層33、InGaAs量子ドットを含む活性層34、GaAsからなる光閉じ込め層35、及び、p型AlGaAsからなるクラッド層36を順次エピタキシャル成長させて基本構造を構成したものである。
図4(b)参照
図4(b)は図4(a)における破線の円内の領域を模式的に拡大して示したもので、光閉じ込め層33を構成するGaAsと格子不整合のInGaAsを薄く成長させることによって二次元的に拡がる薄いウェッティング層(Wetting層:濡れ層)37とクラスタ状の島である量子ドット38とからなる活性層34が形成され、この量子ドット38は図においては説明を簡単にするために1個のみ示しているが、実際にはランダムに高密度で分布しているものである。
即ち、InGaAs層を1乃至2原子層程度成長させた場合には、二次元的にエピタキシャル成長するものの、さらに結晶の弾性限界を越える臨界厚以上に厚く堆積させた場合には、歪みエネルギーが増大する結果、結晶学的に安定した成長になるようにGaAsと格子定数のかなり異なるIn組成比の大きなInGaAsからなる歪みの大きな量子ドット38と、光閉じ込め層33を構成するGaAsからのGaの拡散によりGaAsに近い、即ち、In組成比の小さなInGaAsからなるウェッティング層37が成長するものである。
図4(c)参照
図4(c)は、量子ドット38の近傍の伝導帯側のバンドダイヤグラムであり、この量子ドット38内においては、上述のように離散化されたエネルギー準位、即ち、量子準位が形成される。
なお、図においては、説明を簡単にするために、基底準位39、第2量子準位40、及び、第3量子準位41を示しているが、量子ドット38のサイズ及び光閉じ込め層33,35との相対的なバンドギャップ差等によって形成される量子準位の数は異なる。
この場合、n型のクラッド層32から光閉じ込め層33に注入された電子42は、拡散により量子ドット38を囲むウェッティング層37に達し、量子ドット38に捕獲され、レーザ発振を起こす量子準位へと、例えば、第3量子準位41→第2量子準位40→基底準位39へと緩和していく。
この様な自己組織化量子ドットを活性層とした半導体レーザにおいて、電流注入励起により室温でのレーザ発振に成功しており、そのしきい値電流Ithとしては、現在実用化されている歪量子井戸レーザに近い値が報告されている。
特願平07−065492号公報 特願平09−270508号公報
しかし、この様な量子ドット半導体レーザをさらに高性能化しようとする場合、フォノンボトルネック現象という原理的な障害が存在することが最近知られるようになってきたので、この事情を図5を参照して説明する。
図5(a)参照
まず、量子ドット38におけるキャリアで緩和過程を伝導帯側で考えると、量子ドット38近傍の電子42は、オージェ過程によって量子ドット38の離散化したエネルギー準位、特に、第3量子準位41等の高次の量子準位に捕まる。
なお、オージェ過程とは、二つの電子42が衝突して、一つの電子42が量子ドット38内に遷移、即ち、緩和し、そのエネルギーをもらったもう一方の電子42が高いエネルギー状態に励起される過程であり、この場合の緩和時間τ0 は1〜10ps(ピコ秒)程度と非常に高速な緩和過程である。
図5(b)参照
次いで、第3量子準位41等の高次の量子準位に捕まった電子42は、離散化した量子準位間のエネルギー差に相当するエネルギーを有する縦光学フォノン(LOフォノン)を放出しながら基底準位39等の低次の量子準位へ緩和していくが、この場合の緩和時間τ0 はフォノンボトルネック現象のために数100psと極めて長い値となることが報告されており(必要ならば、K.Mukai et al.,Physical Review B,Vol.54,No.8,pp.5243−5246,1996参照)、この様な数100psの長い緩和時間τ0 では所期の優れた特性が得られないという問題が発生する。
即ち、半導体の伝導帯の電子の状態密度を考えたとき、バルクや1次量子井戸では、電子の状態密度は全てのエネルギーについて存在し連続と言えるものであり、より詳しく言うと、バルクにおける状態密度関数はE1/2 であり、1次量子井戸ではエネルギー値に対するステップ関数となる。
これに対して、量子ドット(3次元量子井戸)のように、キャリアに対する閉じ込めの次元を上げていくと状態関数密度は離散化するようになり、理想的な量子ドットではデルタ関数的に完全に離散化することになり、この様な量子ドットにおける電子と正孔の再結合を考えると、伝導帯のエネルギー最小点(直接遷移においてはk=0の点)にある電子が正孔(同じくk=0の点のもの)と再結合することになるが、再結合によって失われた電子の状態は、より高いエネルギーの励起準位にある電子が緩和することによって補給されるものであり、この緩和(遷移)に際しては主に縦型フォノン(LO,LAフォノン)の放出を伴うことになる。
バルクや1次元量子井戸の場合には、縦型フォノンを放出したのちの状態は、状態密度が連続的に存在するために遷移後のエネルギー準位は必ず存在し、遷移はいつでも起こり得るものであるのに対して、量子ドットの場合にはエネルギー準位が3次元量子化によって離散しており、しかもエネルギー幅が大きいので、丁度縦型フォノンのエネルギー分だけ低い位置に準位がなければ、エネルギー保存則を満たさないので遷移ができないことになる。
この量子ドットの様にキャリアに対する閉じ込めの次元が高い場合に、電子の遷移、或いは、エネルギー緩和がフォノンの放出の確率低下のために抑制され現象をフォノンボトルネック現象といい、量子ドット半導体レーザの特性向上のためにはできるだけフォノンボトルネック現象を抑制することが必要となるので、この事情を図6乃至図8を参照して説明する。
なお、図6乃至図8は、本発明者が、レート方程式を解いて量子ドット半導体レーザの動作特性をシミュレートした結果をグラフ化したものであり、詳細な計算方法は論文(M.Sugawara et al.,Applied Physics Letters,Vol.71,No.19,pp.2791〜2793,November,1998参照)に詳しい。
図6参照
図6は、量子ドット半導体レーザの電流−光出力特性を示す図であり、量子準位間の緩和時間τ0 が増大するに連れて効率の低下としきい値電流Ithの上昇が起こることが明らかである。
図7参照
図7は、量子ドット半導体レーザの最大光出力の緩和時間τ0 依存性を示す図であり、緩和時間τ0 の増大とともに、最大光出力が低下し、しまいには光出力が得られなくなることが明らかである。
図8参照
図8は、変調帯域幅f3dB の緩和時間τ0 依存性を示す図であり、緩和時間τ0 の増大とともに、変調帯域幅f3dB が狭くなっていくことが明らかである。
以上の結果から分かるように、しきい値電流Ith、効率、光出力等の静的な特性を十分に引き出すためには、量子準位間の緩和時間τ0 が10ps程度以下であることが必要になり、また、動的に10GHz以上の変調をかけるためには数psの速い緩和時間τ0 が必要となる。
したがって、本発明は、量子ドットにおける高速のキャリア緩和を可能にし、動作特性を向上することを目的とする。
図1は本発明の原理的構成の説明図であり、この図1を参照して本発明における課題を解決するための手段を説明する。
なお、図1(a)は、量子ドット半導体レーザの概略的断面図であり、また、図1(b)は、活性層近傍における伝導帯側のバンドダイヤグラムである。
図1(a)及び(b)参照
(1)本発明は、基板上にInを含むウェッティング層3とInを含む量子ドット1からなる活性層4を有する半導体レーザにおいて、前記量子ドット1は、ウェッティング層3よりIn組成比が大きく、量子ドット1内における量子準位が基底準位7のみであり、量子ドット1の周囲に接するように低バンドギャップ層2が設けられ、低バンドギャップ層2のバンドギャップE g は、量子ドット1のバンドギャップをE g1 、ウェッティング層3のバンドギャップをE g2 とした時、E g1 <E g <E g2 の関係を満たすことを特徴とする。
この様に、ウェッティング層3と量子ドット1からなる活性層4を用いることにより、量子ドット1を所定の高密度で再現性良く形成することができ、また、量子ドット1の周囲に接するように量子ドット1のバンドギャップEg1より若干大きなバンドギャップEg を有する低バンドギャップ層2を設けることにより、バリア層となる半導体層のバンドギャップを図において破線で示した状態から実線で示した状態になるように、相対的により小さくしているので、量子ドット1内における量子準位が基底準位7のみになるようにすることができ、量子ドット1内に高次の量子準位8,9が形成されることはない。
そして、量子準位を基底準位7だけである状態にすることにより、活性層4近傍に注入されたキャリアは、オージェ過程で1〜10ps程度の短い緩和時間τ0 で基底準位7へ緩和するので、フォノンボトルネック現象の影響を受けることなくレーザ発振するためのキャリアを短い時間で補給することができ、それによって動作特性を向上することができる。
なお、本願明細書において、レーザ動作温度の熱エネルギー、即ち、kT(k:ボルツマン係数、T:絶対温度)の範囲内に存在するエネルギー準位はまとめて一つの準位と見なすものである。
(2)また、本発明は、上記(1)において、ウェッティング層3、量子ドット1、及び、低バンドギャップ層2がInを含んでなり、ウェッティング層3のIn組成比は、量子ドット1のIn組成比より0.2以上小さいことを特徴とする。
このように、ウェッティング層3、量子ドット1、及び、低バンドギャップ層2がInを含む場合には、量子ドット1の伝導帯側または価電子帯側の離散化したエネルギー準位の少なくとも一方を1つだけにするためには、ウェッティング層3のIn組成比を、量子ドット1のIn組成比より0.2以上小さくすれば良い。
(3)また、本発明は、上記(2)において、低バンドギャップ層2のIn組成比が、ウェッティング層3のIn組成比と量子ドット1のIn組成比の間であることを特徴とする。
このように、量子ドット1の伝導帯側または価電子帯側の離散化したエネルギー準位の少なくとも一方を1つだけにするためには、低バンドギャップ層2のIn組成比を、ウェッティング層3のIn組成比と量子ドット1のIn組成比の間にすれば良い。
(4)また、本発明は、上記(1)乃至(3)のいずれかにおいて、量子ドット1が、InGaAs、InGaN、或いは、InGaPの内のいずれかから構成されることを特徴とする。
この様な量子ドット1をInGaAs、InGaN、或いは、InGaPの内のいずれかによって構成することにより、優れた特性の量子ドット半導体レーザを再現性良く作製することができる。
(5)また、本発明は、半導体レーザの製造方法において、Inを含むウェッティング層3を形成する工程と、ウェッティング層3の膜厚を厚くしていき、ウェッティング層3よりIn組成比の大きな島状の量子ドット1を形成する工程と、ウェッティング層3よりバンドギャップが小さく且つ量子ドット1よりバンドギャップが大きく、量子ドット1を覆う低バンドギャップ層2を形成する工程とによって活性層4を形成し、量子ドット1内における量子準位は、基底準位7のみであることを特徴とする。
(6)また、本発明は、上記(5)において、量子ドット1が、InGaAs、InGaN、或いは、InGaPの内のいずれかから構成されることを特徴とする。
(7)また、本発明は、上記(5)または(6)において、ウェッティング層3を形成する工程乃至低バンドギャップ層2を形成する工程を複数回実行することを特徴とする。
本発明によれば、量子ドット内に形成される量子準位を1個のみとしているので、フォノンボトルネック現象の影響を受けることがなくキャリアの緩和速度が速くなり、したがって、量子化効果による所期の温度特性の改善が可能になるので、高性能な半導体レーザの実現に寄与するところが大きい。
本発明は、基板上にウェッティング層と自己形成量子ドットからなる活性層を設けるとともに、量子ドットの周囲に接するように低バンドギャップ層を設けたものであり、ウェッティング層、量子ドット、及び、低バンドギャップ層がInGaAs、InGaN、或いは、InGaP等のInを含む半導体からなる場合、ウェッティング層のIn組成比を量子ドットのIn組成比より0.2以上小さくするとともに、低バンドギャップ層のIn組成比をウェッティング層のIn組成比と量子ドットのIn組成比の間にしたものである。
まず、本発明の実施例1を図2を参照して説明する。
図2(a)参照
図2(a)は、本発明の実施例1の量子ドット半導体レーザの概略的断面図であり、n型GaAs基板11上に、MOVPE法を用いてn型AlGaAsクラッド層12、i型GaAs光閉じ込め層13、活性層17、i型GaAs光閉じ込め層18、p型AlGaAsクラッド層19、及び、p型GaAsキャップ層20を順次エピタキシャル成長させたものである。
この場合も従来の自己組織化量子ドットを用いた半導体レーザと同様に、活性層17の成長過程において、GaAsの組成に近いInGaAsウェッティング層14が最初に形成され、次いで、層厚が厚くなるのに連れてIn組成比の大きなInGaAs量子ドット15が島状に形成されるが、本発明の実施例1においては、InGaAs量子ドット15の表面をInGaAsウェッティング層14よりバンドギャップの小さなInGaAs低バンドギャップ層16で覆って活性層17を構成するものである。
即ち、InGaAs量子ドット15のバンドギャップをEg1、InGaAsウェッティング層14のバンドギャップをEg2、InGaAs低バンドギャップ層16のバンド・ギャップをEg とした場合、
g1<Eg <Eg2
の関係を満たし、且つ、図2(b)に示すように、伝導帯側の離散化されたエネルギー準位、即ち、量子準位が基底準位21の一つだけになるようにInGaAs低バンドギャップ層16のバンド・ギャップEg を設定するものであり、その値Eg 、したがって、In組成比は、InGaAs量子ドット15のIn組成比、及び、サイズ等に依存する。
例えば、InGaAs量子ドット15は、In組成比が0.5のIn0.5 Ga0.5 Asからなり、また、InGaAsウェッティング層14のIn組成比は約0.1となるので、InGaAs低バンドギャップ層16のIn組成比は0.2程度とする。
なお、この場合には、活性層17の構造を理解しやすいように、強調して図示しているが、実際には、図4に示した従来の量子ドット半導体レーザと同様の層厚関係を有するものであり、また、InGaAs量子ドット15は高密度で分布しているものである。
図2(b)参照
図2(b)は、活性層17の近傍における伝導帯側のバンドダイヤグラムであり、図に示すように、InGaAs量子ドット15内における量子準位が一つである時、即ち、基底準位21のみである場合、活性層17の近傍に注入された電子22は、オージェ過程で1〜10ps程度の短い緩和時間τ0 で基底準位21へ緩和するので、フォノンボトルネック現象の影響を受けることなくレーザ発振するための電子を短い時間で補給することができる。
この様に、本発明の実施例1においては、InGaAs量子ドット15に接するようにEg1<Eg <Eg2の関係を有するInGaAs低バンドギャップ層16を設けているので、InGaAs量子ドット15内に形成される量子準位を1つだけにすることができ、それによってフォノンボトルネック現象の影響を受けることがないのでキャリアの高速緩和が可能になり、量子ドット半導体レーザの高性能化が可能になる。
次に、図3を参照して本発明の実施例2を説明する。
図3参照
図3は、本発明の実施例2の量子ドット半導体レーザの概略的断面図であり、n型GaAs基板11上に、MOVPE法を用いてn型AlGaAsクラッド層12、i型GaAs光閉じ込め層13、活性層23、i型GaAs光閉じ込め層18、p型AlGaAsクラッド層19、及び、p型GaAsキャップ層20を順次エピタキシャル成長させたものである。
この場合も、実施例1の量子ドット半導体レーザと同様に、活性層23の成長過程において、GaAsの組成に近いInGaAsウェッティング層14が最初に形成され、次いで、層厚が厚くなるのに連れてIn組成比の大きなInGaAs量子ドット15が島状に形成され、このInGaAs量子ドット15の表面をInGaAsウェッティング層14よりバンドギャップの小さなInGaAs低バンドギャップ層16で覆うものであるが、この本発明の実施例2においては、InGaAs量子ドット15が互いに直接接するように近接積層させたものである。
この場合、上部のInGaAs量子ドット15を形成する際の下地層となるInGaAs低バンドギャップ層16とInGaAs量子ドット15の格子定数は異なるので、InGaAs量子ドット15の上に重なるように縦方向に整列した量子ドット列が形成される。
なお、この場合にも、活性層23の構造を理解しやすいように、強調して図示しているが、実際には、図4に示した従来の量子ドット半導体レーザと同様の層厚関係を有するものであり、また、InGaAs量子ドット15或いは量子ドット列は高密度で分布しているものである。
また、図においては、5個のInGaAs量子ドット15を重ねた状態を示しており、この様に複数のInGaAs量子ドット15を互いに直接接するように近接積層させることにより全体として1個の大きな量子ドットとして機能することになり、個々のInGaAs量子ドット15の大きさは成長条件で規定されるものの、この様な構成を採用することによって任意のサイズの量子ドットを人為的に形成することができる。
この実施例2においても、InGaAs量子ドット15のバンドギャップをEg1、InGaAsウェッティング層14のバンドギャップをEg2、InGaAs低バンドギャップ層16のバンド・ギャップをEg とした場合、
g1<Eg <Eg2
の関係を満たすように設定しており、個々のInGaAs量子ドット15は相対的にバンドギャップの小さなInGaAs低バンドギャップ層16によって周囲が囲まれているので、全体として1個の大きな量子ドットのバリアの高さ、即ち、エネルギー障壁が低くなり、形成される量子準位は基底準位のみとなるので、フォノンボトルネック現象の影響を受けることがなく、キャリアの高速緩和が可能になる。
以上、本発明の各実施例を説明してきたが、各実施例で説明した構造及び材料に限られるものではなく、各種の変更が可能であり、例えば、上記の量子ドット半導体レーザにおいては、1μm帯半導体レーザを形成するために活性層、即ち、量子ドットを構成するための格子不整合系の半導体層としてIn組成比が0.5のIn0.5 Ga0.5 As組成のInGaAs量子ドットが形成される様にガスの流量比を制御しているが、In0.5 Ga0.5 As組成のInGaAs量子ドットに限られるものではなく、In組成比が0.2〜0.7の範囲であれば良く、その場合のInGaAsウェッティング層のIn組成比はInGaAs量子ドットのIn組成比より0.2以上小さくなり、その値に応じてInGaAs低バンドギャップ層のIn組成比を設定すれば良い。
また、格子不整合系の半導体層中に散点状に形成される自己組織化量子ドットはInGaAs系で典型的に生ずるものであるが、格子不整合系の半導体層上に散点状に形成される量子ドットはその他の半導体系において多く見られる構造であり、したがって、量子ドットはInGaAs量子ドットに限られるものでなく、Nを含むInGaAsN量子ドット或いはInGaP量子ドットであっても良く、例えば、InGaN量子ドットの場合には、発振が困難であった青色半導体レーザ等の可視半導体レーザを量子ドットの量子効果によって発振を容易にすることが期待できる。
例えば、サファイア基板上に、GaNバッファ層、n型GaNバッファ層、及び、n型In0.1 Ga0.9 N層を介してn型Al0.15Ga0.85Nクラッド層及びn型GaN光ガイド層を成長させ、次いで、TMI、TEG、及び、NH3 を供給してInGaN層を成長させることによって、薄いInGaN層上にInGaN量子ドットを形成する。
即ち、この場合には、InGaN層の厚さが結晶の弾性限界を越えない厚さまでは、薄いInGaN層がウェッティング層として二次元的に成長し、厚さが結晶の弾性限界に達した時点で三次元的成長が始まり、InGaN量子ドットがウェッティング層の上に散点状に形成されることになる。
次いで、低バンドギャップ層として、InGaN量子ドットのバンドギャップより若干大きなInGaN層を成長させたのち、p型GaN光ガイド層、p型Al0.15Ga0.85Nクラッド層、及び、p型GaNコンタクト層を設け、最後に、n側電極及びp側電極を設けて可視半導体レーザを構成すれば良い。
この場合の量子ドットはInGaNに限られるものではなく、InGaAsNであっても良く、所望する波長に応じて組成比を変えれば良く、その組成比の変化に応じて低バンドギャップ層、光ガイド層、及び、クラッド層の組成比を変えれば良い。
また、量子ドットをInGaP量子ドットで形成する場合には、構成不整合の下地層としてGaAs層を用いれば良く、他の構成は本発明と同様に形成すれば良く、InGaAs系に比べて短波長化が可能になる。
また、本発明の各実施例においては、量子ドットを格子不整合の下地半導体層を用いて自己形成しているが、量子ドットの形成方法はこの様な自己形成法に限られるものではなく、上記において説明した微細加工技術を用いて形成した量子ドットを用いても良いものであり、量子ドットのバリア層となる層を量子ドット内に形成される量子準位が1つのみとなるように低バンドギャップ層で構成すれば良い。
また、本発明の各実施例の説明においては、伝導帯側のバンド構造しか説明していないものの、価電子帯側でもほぼ同様の量子準位が形成されているものであり、少なくとも、伝導帯側或いは価電子帯側の量子準位の少なくとも一方が1個のみであれば良いものであるが、伝導帯側及び価電子帯側の両方における量子準位が各1個であればより効果が大きくなる。
なお、この場合、量子準位が1個のみとは、レーザ動作温度における熱エネルギーkTの範囲内に複数の量子準位が存在しても、これらの複数の量子準位間のキャリアの遷移の際に、エネルギー保存則を満たすフォノンの放出が容易であり、したがって、フォノンボトルネック現象が抑制されるので、これらをまとめて1つの準位とするものである。
本発明の原理的構成の説明図である。 本発明の実施例1の説明図である。 本発明の実施例2の説明図である。 従来の量子ドット半導体レーザの説明図である。 従来の量子ドットにおける緩和時間の説明図である。 量子ドット半導体レーザにおける電流−光出力特性の説明図である。 量子ドット半導体レーザにおける最大光出力の緩和時間依存性の説明図である。 量子ドット半導体レーザにおける変調帯域幅の緩和時間依存性の説明図である。
符号の説明
1 量子ドット
2 低バンドギャップ層
3 ウェッティング層
4 活性層
5 高バンドギャップ層
6 高バンドギャップ層
7 基底準位
8 高次の量子準位
9 高次の量子準位
11 n型GaAs基板
12 n型AlGaAsクラッド層
13 i型GaAs光閉じ込め層
14 InGaAsウェッティング層
15 InGaAs量子ドット
16 InGaAs低バンドギャップ層
17 活性層
18 i型GaAs光閉じ込め層
19 p型AlGaAsクラッド層
20 p型GaAsキャップ層
21 基底準位
22 電子
23 活性層
31 基板
32 クラッド層
33 光閉じ込め層
34 活性層
35 光閉じ込め層
36 クラッド層
37 ウェッティング層
38 量子ドット
39 基底準位
40 第2量子準位
41 第3量子準位
42 電子

Claims (7)

  1. 基板上にInを含むウェッティング層とInを含む量子ドットからなる活性層を有する半導体レーザにおいて、前記量子ドットは、前記ウェッティング層よりIn組成比が大きく、該量子ドット内における量子準位が基底準位のみであり、該量子ドットの周囲に接するように低バンドギャップ層が設けられ、前記低バンドギャップ層のバンドギャップE g は、前記量子ドットのバンドギャップをE g1 、前記ウェッティング層のバンドギャップをE g2 とした時、E g1 <E g <E g2 の関係を満たすことを特徴とする半導体レーザ。
  2. 上記ウェッティング層、量子ドット、及び、低バンドギャップ層がInを含んでなり、前記ウェッティング層のIn組成比は、前記量子ドットのIn組成比より0.2以上小さいことを特徴とする請求項1記載の半導体レーザ。
  3. 上記低バンドギャップ層のIn組成比が、上記ウェッティング層のIn組成比と上記量子ドットのIn組成比の間であることを特徴とする請求項2記載の半導体レーザ。
  4. 上記量子ドットが、InGaAs、InGaN、或いは、InGaPの内のいずれかから構成されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の半導体レーザ。
  5. Inを含むウェッティング層を形成する工程と、前記ウェッティング層の膜厚を厚くしていき、前記ウェッティング層よりIn組成比の大きな島状の量子ドットを形成する工程と、前記ウェッティング層よりバンドギャップが小さく且つ前記量子ドットよりバンドギャップが大きく、前記量子ドットを覆う低バンドギャップ層を形成する工程とによって活性層を形成し、前記量子ドット内における量子準位は、基底準位のみであることを特徴とする半導体レーザの製造方法。
  6. 上記量子ドットが、InGaAs、InGaN、或いは、InGaPの内のいずれかから構成されることを特徴とする請求項5記載の半導体レーザの製造方法。
  7. 上記ウェッティング層を形成する工程乃至低バンドギャップ層を形成する工程を複数回実行することを特徴とする請求項5または6に記載の半導体レーザの製造方法。
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