JP4790959B2 - ヒトモノクローナル抗体を産生するための方法および組成物 - Google Patents

ヒトモノクローナル抗体を産生するための方法および組成物 Download PDF

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Description

【0001】
(技術分野)
本発明は、免疫学の分野にある。詳細には、本発明は、ヒトモノクローナル抗体(特に、特定の細胞型を代表する表面抗原に対して特異的なヒトモノクローナル抗体)の産生に関する。本発明において具現化される組成物および方法は、大きな診断的可能性および/または治療的可能性のあるヒトモノクローナル抗体を産生するために特に有用である。
【0002】
(発明の背景)
KohlerおよびMilsteinによる、予め決定された抗原に対して特異的なモノクローナル抗体を分泌し得るマウスハイブリドーマの発見は、臨床免疫学の分野に新たな時代の到来を告げた。このようなハイブリドーマ細胞株のクローン選択および不死化は、それらの抗体の単クローン性、単一特異性、および永続性の有効度を確実にする。しかし、マウス抗体は、ヒトへの臨床的適用には厳しい制限を有する。これは、しばしば所望されない免疫応答へと導くその固有の免疫原性が原因である。例えば、免疫応答性のヒト患者が、治療的用量のマウスモノクローナル抗体を投与される場合、この患者は、マウス免疫グロブリン分子に対する抗体を産生する;これらのヒト抗マウス抗体は、治療的抗体を中和し、そして急性毒性を引き起こし得る。従って、このような欠点を有さない抗体を産生することが所望される。
【0003】
ヒトモノクローナル抗体の産生は、多くの理由のために、実際的に困難であった。第1に、目的の免疫原を用いてヒトを免疫することが実際的ではない。産生されたヒト抗体は、利用可能な脾臓の外来的存在に基づいた。所望される抗原結合特異性を有するヒトモノクローナル抗体を産生する4つの代替的方法が開発されたが、これらもまた明らかな不都合性を有する。第1のアプローチは、キメラ抗体を産生するための組換えDNA技術の使用に関する。このような抗体は、ヒト免疫グロブリンの重鎖および軽鎖の定常領域を、抗原結合特異性を確証する非ヒト抗体の可変領域と融合することによって産生される。結果として得られるキメラ性の部分的異種抗体は、完全異種抗体を使用するよりも、実質的により有用であるが、これはなお多くの不都合性を有する。可変領域および定常領域の同定、単離および連結は、かなりの労力を必要とする。さらに、1つの種由来の定常領域を別の種由来の可変領域に連結することは、その可変領域の所望の特性を損失するように、その可変領域の特異性および親和性を変化させ得る。さらに、可変領域には、種に特異的なフレームワークおよび超可変領域配列が存在する。これらのフレームワークおよび超可変領域配列は、所望されない抗原性応答を生じ得る。このアプローチのバリエーションが、非ヒト抗体の抗原結合ドメインの外側の残基を、対応のヒト配列で置換することである(WO94/11509)。このようなプロセスも重ねて、労働集約的である。
【0004】
ヒトモノクローナル抗体の産生のための第2のアプローチは、米国特許第5,814,318号および米国特許第5,939,598号において記載されるような、異種マウスの使用である。これらの遺伝子操作されたマウスは、特定の再配置されない(unrearranged)ヒト重鎖および軽鎖免疫グロブリン遺伝子を発現し得、これらの内因性免疫グロブリン遺伝子を不活化する。「ゼノマウス(xenomouse)」は、ヒト抗体を産生するための代替系を表すが、これは必ずしも完全に、ヒト免疫系を模擬しない:第1に、免疫グロブリンのレパートリー全体は、マウスにおいて複製されなかった;第2に、内因性免疫グロブリン遺伝子の不完全な不活化が、キメラ抗体を生じ得る;第3に、所望のモノクローナル抗体の同定は一般的に、従来のハイブリドーマ技術を包含し、このことは次いで、所望の抗体を同定するために多数のハイブリドーマを広範にスクリーニングし、そしてサブクローニングすることを必要とする。
【0005】
ヒトモノクローナル抗体を産生する第3のアプローチは、ファージディスプレイライブラリーの構築である。このプロセスは、ヒト末梢血細胞のレパートリーからのmRNAの抽出、次いで、好ましくはすべての免疫グロブリンの可変領域の配列を含むcDNAライブラリーの構築により進められる。次いで、Fabフラグメントとして免疫グロブリン可変領域を提示するために、ファージ中にこのcDNAを挿入する。理論上、ファージライブラリーが十分に大きい場合には、目的の抗原に対するファージをパンニングすることによって、所望のFabフラグメントを提示する特定のファージを単離することが可能である。しかし、この方法は一般的に、実質的に精製された抗原に対してのみ適用可能であり、細胞上で発現される数千のこれらの表面抗原のような抗原混合物に対しては適用可能ではない。
【0006】
最後に、不死化されたヒトB細胞が、モノクローナル抗体産生のために開発された。このアプローチは、以下の工程を包含する:(a)B細胞中において富化された末梢血リンパ球の単離;(b)EBVウイルスでのB細胞の形質転換または不死化ヒトリンパ芽球腫細胞との融合、次いで、所望の抗原結合特異性を示すB細胞形質転換体またはハイブリドーマについての大量スクリーニング。B細胞形質転換自体は、せいぜい0.1〜10%の安定な形質転換体を生じる非効率的なプロセスであり、従って、所望の特異性を有する大半のB細胞は、引き続く選択プロセスに使用されるプールでは失われる。研究者ら(例えば、Abe,Tsutomuら(EP0218158))は、目的の抗原を用いるインビトロでの免疫/活性化によって、所望の免疫グロブリンを発現するB細胞集団を富化することを試みたが、非特異的B細胞もまたこのプロセスの間に増殖するという意味で、この活性も重ねて非効率的である。従って、特異的B細胞の同定は、最終段階のスクリーニングに大きく依存し、この間に、何万もの形質転換B細胞クローンが、抗原を結合するその能力について試験される。上述の方法のように、このアプローチは、時間浪費的であり、労働集約的であり、そして高スループットな抗体のスクリーニングおよび産生には馴染まない。
【0007】
従って、ヒトモノクローナル抗体を産生するための代替経路について、かなりの必要性が依然として存在する。
【0008】
(発明の要旨)
本発明の主な局面は、ヒトモノクローナル抗体の産生のために適用可能な効率的スクリーニング技術の設計である。この技術は、最少の労働力での特異的抗体の産生を可能にする。この技術は、特に、特定の細胞型を代表する抗原と免疫反応性であるヒトモノクローナル抗体の集団の大規模産生に有用である。ハイブリドーマおよび/または不死化B細胞の産生を包含する上述のアプローチと識別されることに、本発明の方法は、形質転換されていないB細胞を使用し、そして抗体の産生および/または抗体をコードする遺伝子の単離のために必要とされる抗原結合特異性を有する、拡大された形質転換されていないB細胞クローンを産生する。
【0009】
詳細には、本発明は、所望の抗原と免疫反応性のヒトモノクローナル抗体を産生するための方法を提供する。この方法は、以下の工程を包含する:(a)複数の形質転換されていないヒトBリンパ球を含むヒトリンパ球の単離された集団を提供する工程;(b)所望の抗原に対して特異的に結合する形質転換されていないヒトBリンパ球を選択する工程;(c)所望の抗原と免疫反応性のヒトモノクローナル抗体を産生する、複数の単離された形質転換されていないB細胞クローンを産出するために、B細胞増殖に有利な条件下で(b)のBリンパ球を培養する工程、および、(d)必要に応じて、形質転換されていないB細胞クローンを単離する工程。
【0010】
1つの局面では、形質転換されていないヒトBリンパ球を選択する工程は、所望の抗原へのBリンパ球の特異的結合に有利な条件下で、所望の抗原とヒトリンパ球の集団を接触させる工程、および所望の抗原に対して結合したBリンパ球から、結合していないBリンパ球を分離する工程、を包含する。
【0011】
別の局面では、上記に概要を述べた本方法は、以下の工程をさらに包含する:(e)(d)の単離された形質転換されていないB細胞クローンから、ヒトモノクローナル抗体の重鎖の抗原結合フラグメントをコードする配列を含むポリヌクレオチドを単離する工程;(f)(d)の単離された形質転換されていないB細胞クローンから、ヒトモノクローナル抗体の軽鎖の抗原結合フラグメントをコードする配列を含むポリヌクレオチドを単離する工程;および(g)(e)および(f)のポリヌクレオチドを発現させて、ヒトモノクローナル抗体またはそれらの抗原結合フラグメントを産出する工程。
【0012】
重鎖をコードするポリヌクレオチドの単離は、軽鎖をコードするポリヌクレオチドの単離に先行しても、引き続き実施されても、または同時であってもよい。
【0013】
別の局面では、本発明のポリヌクレオチドによってコードされる抗原結合フラグメントは、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、F(ab’)2、単鎖V領域フラグメント(scFv)および融合ポリペプチドからなる群から選択され得る。ここで、この融合ポリペプチドは、化学的に官能性の部分に結合体化された抗原結合フラグメントを含む。この実施形態では、用語「部分」は、シグナルペプチド、免疫反応性を増強する因子、固体支持体への結合を容易にする因子、ワクチンキャリア、生体応答性改変因子(bioresponse modifier)、毒素、検出可能な標識、および薬物を含む。
【0014】
さらに別の別個の局面では、抗体産生プロセスにおいて使用される抗原は、生物学的または化学的な化合物である。抗原は、細胞性タンパク質(例えば、レセプターリガンド、分泌タンパク質、細胞表面レセプター、細胞質ゾルタンパク質、および核タンパク質)であり得る。好ましい実施形態では、抗原は、インタクトな細胞によって提示される表面抗原である。インタクトな細胞が、抗原提示のために使用される場合、細胞は、好ましくは、表面に血清を含まない真核生物細胞である。
【0015】
なおさらに別の局面では、免疫グロブリンまたはそのフラグメントをコードするポリヌクレオチドは、宿主細胞中において、1以上の遺伝子送達ビヒクルによって発現される。適切な遺伝子送達ビヒクルとしては、ウイルスベクター、リポソーム、およびプラスミドが挙げられる。宿主細胞は、好ましくは、免疫グロブリンまたはそのフラグメントの翻訳後修飾を実施し得る真核生物細胞である。
【0016】
本発明はまた、特定の細胞型を代表する抗原に対して特異的に結合するヒトモノクローナル抗体の集団を産生する方法を提供する。この方法は、以下を包含する:(a)複数の形質転換されていないヒトBリンパ球を含むヒトリンパ球の単離された集団を提供する工程;(b)特定の型の細胞に対して特異的に結合する形質転換されていないヒトBリンパ球を選択する工程;および(c)複数の形質転換されていないB細胞クローンを産出するために、B細胞増殖に有利な条件下で(b)のBリンパ球を培養する工程であって、それにより、特定の細胞型を代表する抗原に対する結合特異性を示すヒトモノクローナル抗体の集団を産生する、工程。
【0017】
この実施形態の1つの局面では、この方法はさらに以下を包含する:(d)複数の形質転換されていないB細胞クローンから、ヒトモノクローナル抗体の集団の重鎖または軽鎖の抗原結合フラグメントをコードする配列を含むポリヌクレオチドの集団を単離する工程;および(e)このポリヌクレオチドを発現させて、ヒトモノクローナル抗体またはそれらの抗原結合フラグメントのポリペプチド集団を産出する工程。
【0018】
さらに、ポリヌクレオチドおよびそれによりコードされるポリペプチドの単離された集団が提供される。好ましい実施形態では、この集団中の少なくとも1つのポリペプチドは、化学的に官能性の部分に結合体化される。好ましい部分は、シグナルペプチド、免疫反応性を増強する因子、固体支持体への結合を容易にする因子、ワクチンキャリア、生体応答性改変因子、毒素、検出可能な標識、または薬物からなる群から選択される。
【0019】
本明細書中に開示される本発明の任意の方法によって産生されるヒトモノクローナル抗体の集団もまた、本発明において具現化される。
【0020】
(発明の実施形態)
本開示全体を通して、種々の刊行物、特許および公開された特許明細書が、同定する引用によって参照される。これらの刊行物、特許、および公開された特許明細書の開示は、本発明が関係する分野の技術常識をより完全に記載するために、本開示中において参考として援用される。
【0021】
(定義)
本発明の実施は、他に示さない限り、当該分野の技術の範囲内にある免疫学、分子生物学、微生物学、細胞生物学および組換えDNAの従来技術を使用する。例えば、Sambrookら、MOLECULAR CLONING:A LABORATORY MANUAL、第2編(1989);CURRENT PROTOCOLS IN MOLECULAR BIOLOGY(F.M.Ausubelら編(1987));METHODS IN ENZYMOLOGYのシリーズ(Academic Press、Inc.):PCR 2:A PRACTICAL APPROACH(M.J.MacPherson、B.D.HamesおよびG.R.Taylor編(1995))、HarlowおよびLane編(1988)ANTIBODIES、A LABORATORY MANUAL,ならびにANIMAL CELL CULTURE(R.I.Freshney編(1987))を参照のこと。
【0022】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、文脈が他を明らかに示さない限り、単数の「a」「an」および「the」は、複数の言及を含む。例えば、用語「細胞」は、その混合物を含む、複数の細胞を含む。
【0023】
用語「抗体」は、本明細書中で使用される場合、免疫グロブリン分子および免疫グロブリン分子の抗原結合部分(すなわち、抗原を特異的に結合する(「抗原と免疫反応性の」)抗原結合部位を含む分子)をいう。構造的に、最も単純な天然に存在する抗体(例えば、IgG)は、ジスルフィド結合によって相互接続された4つのポリペプチド鎖(2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖)を含む。天然の免疫グロブリンは、いくつかの型の分子(例えば、IgD、IgG、IgA、IgMおよびIgE)を含む分子の大きなファミリーを表す。この用語はまた、ハイブリッド抗体、または改変された抗体、およびそれらのフラグメント(FabフラグメントおよびFvフラグメントを含むが、これらに限定されない)を包含する。抗体の抗原結合機能は、天然に存在する抗体のフラグメントによって実行され得ることが示されている。これらのフラグメントはまた、「抗原結合フラグメント」とも称される。用語「抗原結合フラグメント」内に包含される結合フラグメントの例としては、以下が挙げられるが、これらに限定されない:(i)VL、VH、CLおよびCH1ドメインからなる、Fabフラグメント;(ii)VHおよびCH1ドメインからなるFdフラグメント;(iii)抗体の単腕のVLおよびVHドメインからなるFvフラグメント;(iv)VHドメインからなるdAbフラグメント(Wardら(1989)Nature 341:544−546);(v)単離された相補性決定領域(CDR);および(vi)F(ab’)2フラグメント、ヒンジ領域でのジスルフィド架橋によって連結された2つのFabフラグメントを含む二価フラグメント。さらに、Fvフラグメントの2つのドメインは一般的に、別々の遺伝子によってコードされるが、組換え方法によって、それらがタンパク質の単鎖(単鎖Fv(scFv)として公知;Birdら(1988)Science 242:423−426;およびHustonら(1988)PNAS 85:5879−5883)として作製されるのを可能にする合成リンカーが作製され得る。このような単鎖抗体もまた、用語「抗原結合フラグメント」の範囲内に包含される。好ましい抗体フラグメントは、その標的抗原を架橋し得るフラグメント(例えば、F(ab’)フラグメントのような二価フラグメント)である。あるいは、抗体フラグメント(これ自体は、その標的抗原(例えば、Fabフラグメント)を架橋しない)は、その抗体フラグメントを架橋するために供される二次抗体であって、それによりその標的抗原を架橋する二次抗体と組み合わせて使用され得る。
【0024】
抗体は、本明細書中に記載されるような慣例的な技術を使用して、フラグメント化され得、そして、フラグメントは、全抗体について記載される同じ様式で、有用性についてスクリーニングされ得る。免疫グロブリン分子のFabフラグメントは、共に共有結合し、そして、抗原と特異的に結合可能な免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の免疫学的に活性な部分を含む免疫グロブリン分子の部分からなる多量体タンパク質である。Fabフラグメントは、当該分野で周知である方法を使用してパパインでの実質的にインタクトな免疫グロブリン分子のタンパク分解的消化によって調製され得る。しかし、Fabフラグメントはまた、本明細書中に開示された方法および当該分野で公知の任意の他の方法を使用して、適切な宿主細胞において、免疫グロブリン重鎖および免疫グロブリン軽鎖の所望の部分を発現することによって調製され得る。
【0025】
免疫グロブリン分子のFvフラグメントは、共に共有結合し、そして、抗原と特異的に結合可能な、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域の免疫学的に活性な部分からなる多量体タンパク質である。Fvフラグメントは、代表的に、本明細書中に記載の方法および/または当業者に公知の他の方法を使用して、適切な宿主細胞中で、免疫グロブリン重鎖可変領域および免疫グロブリン軽鎖可変領域の所望の部分を発現することによって調製される。
【0026】
本発明の抗体は、所望の結合部分を有する二重特異的なキメラ分子を含むことがさらに意図される。用語「抗体」内にはまた、脊椎動物抗体、ハイブリッド抗体またはキメラ抗体が含まれる。
【0027】
用語「モノクローナル抗体」とは、本明細書中に使用される場合、実質的に同種の抗体の集団を有する抗体組成物をいう。抗体の供給源、またはそれが作製される様式に関して限定することを意図しない。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、単一の抗原性部位に対して指向される。典型的に異なる決定基(エピトープ)に対し指向される異なる抗体を含む従来の(ポリクローナル)抗体の調製と対照的に、それぞれのモノクローナル抗体は、抗原の単一の決定基に対して指向される。
【0028】
用語「ヒト」は、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントに適用される場合、本明細書中で議論されるようなヒトB細胞から単離されるか、あるいは、モノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントをコードするポリヌクレオチドを発現することによって組換え的に調製される、抗体組成物をいう。
【0029】
「モノクローナル抗体の集団」とは、複数の異種モノクローナル抗体をいい、すなわち、個々のモノクローナル抗体(集団を含む)は、互いとは別の抗原性決定基を認識し得る。
【0030】
ポリペプチドまたは他の物質を含む他の参照抗原に結合するよりも、より大きな親和性またはアビディティで結合する場合、抗体は、抗原に「特異的に結合する」。
【0031】
本明細書中で使用される場合、「抗原」とは、抗体によって認識されそして特異的に結合される物質を意味する。抗原としては、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、多糖類および脂質;その一部およびその組み合わせが挙げられるがこれらに限定されない。
【0032】
用語「免疫原」は、一般に当業者に公知である。それは、適した宿主に注入される場合、または、B細胞のインビトロ免疫について使用される場合、Bリンパ球による抗原特異的抗体の産生を刺激可能な抗原である。化合物は、結合価を高めるためにキャリアと架橋するかまたは結合体化すること、免疫応答を高めるためにマイトジェンと混合すること、および提示を増強するためにアジュバントと併用することを含む、当該分野で公知の多くの技術によって免疫原性を与えられ得る。
【0033】
B細胞のインビトロ免疫化のために使用される細胞に対して適応される場合、用語「異種」とは、細胞がレシピエントB細胞とは遺伝子型の異なる実体由来であることを意味する。例えば、異種細胞は、レシピエント細胞とは、異なる種または同じ種の異なる個体由来であり得る。1つの種の個体由来の胎児性細胞は、同じ種の成体に対して異種である。同様に、異種ポリヌクレオチドまたは抗原は、レシピエントB細胞において存在しない分子であるか、または、レシピエント細胞において発現される対応物とは構造的に別個である。
【0034】
細胞が、それぞれ胚の3つの胚葉(外胚葉、内胚葉、または中胚葉)の1つ由来である場合、細胞は、「外胚葉」「内胚葉」または「中胚葉」起源である。外胚葉は、表皮の細胞、および神経系を産生する外層である。内胚葉は、膵臓および肝臓を含むが、これらに限定されない消化管およびその関連した器官の裏層を産生する内層である。中層、中胚葉は、いくつかの器官(心臓、腎臓、生殖腺を含むがこれらに限定されない)、結合組織(例えば、骨、筋肉、腱)、および血液細胞を生じる。
【0035】
本明細書中で使用される場合、「リンパ球」は、非自己抗原または自己抗原を特異的に認識しそして応答する細胞、および特異的な免疫の発達を担う細胞である。種々の型のBリンパ球およびTリンパ球は、「リンパ球」内に含まれる。
【0036】
用語「培地」、「細胞培養培地」および「培養培地」は、交換可能に使用される。これらの用語は、培養において真核生物細胞または原核生物細胞が増殖する水性環境をいう。培地は、物理化学的な環境、栄養環境、およびホルモンの環境を含む。細胞培養培地が、本質的にいかなる哺乳動物供給源由来の血清(例えば、ウシ胎児、ウマ、ヒト、ウサギ由来の血清)を含まない場合、この培地は「無血清」である。「本質的に含まない」によって、細胞培養培地が約0〜5%の間の血清、好ましくは約0〜1%の間の血清、最も好ましくは約0〜0.1%の血清を含むことを意味する。
【0037】
「定義された培地」とは、培地の成分が既知であるような培養における細胞の生存および/または増殖に必要な栄養要求およびホルモン要求を含む培地をいう。伝統的に、定義された培地は、増殖および/または生存に必要な栄養因子および増殖因子の添加によって処方されている。典型的に、定義された培地は、以下のカテゴリーの1つ以上からの少なくとも1つの成分を提供する:a)全ての必須アミノ酸、および通常は20のアミノ酸+シスチンの基本セット;b)エネルギー源、通常グルコースのような炭水化物の形態において;c)低濃度で必要とされるビタミンおよび/または他の有機化合物;d)遊離脂肪酸;ならびにe)微量元素、ここで微量元素は、典型的に非常に低濃度(通常はマイクロモラーの範囲)で必要とされる、無機化合物または天然に存在する元素として定義される。定義された培地はまた必要に応じて、以下の任意のカテゴリーのいずれかから1つ以上の成分が補充され得る:a)1つ以上のマイトジェン;b)例えば、カルシウム、マグネシウムおよびリン酸塩のような塩および緩衝液;c)例えば、アデノシンおよびチミジン、ヒポキサンチンのようなヌクレオシドおよび塩基;ならびにd)タンパク質および組織の加水分解産物。
【0038】
「マイトジェン」または「増殖因子」は、哺乳動物細胞の有糸分裂を刺激する分子である。一般的に、分裂促進的薬剤または増殖因子は、細胞培養において哺乳動物細胞の生存および増殖を増強し、そしてポリペプチドである。分裂促進ポリペプチドは、産生される方法(例えば、分子の内在性供給源から単離され得るか、または組換え技術を含む合成技術によって産生され得る)に関係なく、「ネイティブ」または「ネイティブな配列」ポリペプチド(すなわち、天然に存在する増殖因子のアミノ酸配列を有する)、あるいはその改変体または変異体であり得る。好ましくは、分裂促進ポリペプチドはヒト由来の増殖因子と同じアミノ酸配列、またはそのフラグメントを有する。非限定的な例としては、以下が挙げられる:erbB レセプターファミリーの1以上のメンバーの活性化因子;培養培地におけるcAMPのレベルを上昇させる薬剤(例えば、フォルスコリン、コレラ毒素、cAMPまたはそれらのアナログ);神経細胞接着分子(N−CAM)のような接着分子、ラミニンまたはフィブロネクチン;プロゲステロン;骨由来神経栄養因子(BDNF)および線毛神経栄養因子(CNTF)のような神経栄養因子;ニューロトロフィン−3、ニューロトロフィン−4、ニューロトロフィン−5またはニューロトロフィン−6(NT−3、NT−4、NT−5またはNT−6);またはNGF−βのような神経成長因子;血小板由来増殖因子(PDGF);酸性FGF(aFGF)および塩基性FGF(bFGF)のような線維芽細胞増殖因子;血管内皮増殖因子(VEGF);TGF−α、およびTGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、TGF−β4またはTGF−β5を含むTGF−βのようなトランスホーミング増殖因子(TGF);IGF−I、IGF−IIおよびデス(1−3)−IGF−I(脳IGF−I)を含む、インスリン様増殖因子;インスリン様増殖因子結合タンパク質;ならびにエストロゲン、テストステロン、甲状腺ホルモン、インスリンおよびMather,J.P.およびRoberts,P.E.(1998)「Introduction to Cell and Tissue Culture」、Plenum Press、New Yorkの138〜139頁の表8.2に列挙された、任意のこれらのマイトジェンのようなホルモン。
【0039】
本明細書中で使用される場合、「サイトカイン」は、種々の細胞間シグナル伝達分子(哺乳動物体細胞の調節に関与することが最も知られている)のいずれかをいう。例えば以下を含むサイトカインの多くのファミリーのメンバー(それらの効果において成長促進的および成長阻害的の両方)が、特徴付けられている:インターロイキン(例えば、IL−1α、IL1β、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8、IL−9(P40)、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−14、およびIL−15);GM−CSF、G−CSF、M−CSF、LIF、EPO、TPO(「トロンボポイエチン」)、TNF−α、およびTNF−βのようなCSF型サイトカイン;インターフェロン(例えば、IFN−α、INF−β、IFN−γ);TGF−βファミリーのサイトカイン(例えば、TGF−β1、TGF−β2、TGF−β3、インヒビンA、インヒビンB、アクチビンA、アクチビンB);増殖因子(例えば、EGF、VEGF、SCF(「幹細胞因子」または「スティール因子」)、TGF−α、aFGF、bFGF、KGF、PDGF−A、PDGF−B、PD−ECGF、INS、IGF−1、IGF−II、NGF−β);α型インタークリン(intercrine)サイトカイン(例えば、IL−8、GRO/MGSA、PF−4、PBP/CTAP/βTG、IP−10、MIP−2、KC9E3);β型インタークリンサイトカイン(例えば、MCAF、ACT−2/PAT744/G26、LD−78/PAT464、RANTES、G27、I309、JE、TCA3、MIP−1α、B、CRG−2);ならびに走化性因子(例えば、NAP−1、MCP−1、MIP−1α、MIP−1β、MIP−2、SISβ、SISδ、SISε、PF−4、PBP、γIP−10、MGSA)。多数の他のサイトカインがまた、当業者に公知である。これらのサイトカインの供給源、特徴、標的およびエフェクター活性が記載されており、そして、多数のサイトカインについて、この分子をコードするDNA配列がまた公知である;例えば、R.Callard&A.Gearing,The Cytokine facts Book(Academic Press,1994)、およびそこで総説および/または引用された特定の刊行物を参照のこと、これらは、その全体が本明細書中に参考として援用される。The Cytokine Facts Bookのようなカタログに参照されるように、このようなサイトカインをコードする多数のDNAおよび/またはタンパク質配列がまた、一般に、GENBANK(DNA);および/またはSWISSPROT(タンパク質)のような配列データベースから入手可能である。公開された配列情報に基づいてサイトカインをコードするポリヌクレオチドを合成することがまた可能であるが、代表的に、このようなサイトカインをコードするクローニングされたDNAはすでに、プラスミドとして利用可能である。サイトカインをコードするポリヌクレオチドはまた、当該分野で記載されるように、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)方法論を使用して得られ得る。例えば、Mullis&Faloona,Met.Enzymology,155:355(1987)を参照のこと。所定の細胞型に対して効果的な新しいサイトカインを同定するためのアッセイを含む、サイトカインの検出、精製、および特徴付けはまた、多数の刊行物ならびに本明細書中に参照された参考文献において記載されている。例えば、Lymphokines and Interferons,1987;およびDeMaeyer,E.ら、「Interferons and Other Regulatory Cytokines」(John Wiley&Sons 1988)を参照のこと。
【0040】
用語「ポリヌクレオチド」および「核酸」は、交換可能に使用される。これらは、任意の長さのヌクレオチド(デオキシリボヌクレオチドもしくはリボヌクレオチド、またはそのアナログのいずれか)の多量体形態をいう。ポリヌクレオチドは、任意の3次元構造を有し得、そして、既知または未知の任意の機能を果たし得る。以下はポリヌクレオチドの非制限的な例である:遺伝子または遺伝子フラグメントのコーディングまたは非コーディング領域、連鎖分析から定義された遺伝子座(座位)、エキソン、イントロン、メッセンジャーRNA(mRNA)、トランスファーRNA、リボソームRNA、リボザイム、cDNA、組換えポリヌクレオチド、分枝ポリヌクレオチド、プラスミド、ベクター、任意の配列の単離されたDNA、任意の配列の単離されたRNA、核酸プローブ、およびプライマー。ポリヌクレオチドは、改変されたヌクレオチド(例えば、メチル化されたヌクレオチドおよびヌクレオチドアナログ)を含み得る。存在する場合、ヌクレオチド構造に対する改変は、ポリマーのアセンブリの前または後に与えられ得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分によって中断され得る。ポリヌクレオチドは、例えば、標識成分との結合体化によって、重合後さらに改変され得る。
【0041】
用語「組換え」ポリヌクレオチドは、天然に存在しないか、または天然でない配列における別のポリペプチドに連結されている、ゲノム、cDNA、半合成、または合成起源のポリヌクレオチドを意味する。
【0042】
「ヌクレオチドプローブ」は、ハイブリダイゼーション反応においてその対応する標的ポリヌクレオチドを検出または同定するために使用されるポリヌクレオチドをいう。
【0043】
「作動可能に連結された(Operably linked)」または「作動可能に連結された(operatively linked)」は、記載された成分が、それらの意図する様式で、それらが機能するのを可能にする関係にある近位をいう。例えば、プロモーター配列が、コード配列の転写を促進する場合、プロモーター配列は、コード配列に作動可能に連結されている。
【0044】
「遺伝子」は、転写および翻訳された後、特定のタンパク質をコードし得る少なくとも1つのオープンリーディングフレームを含むポリヌクレオチドをいう。
【0045】
本明細書中で使用される場合、用語「単離された」は、成分、細胞、およびポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそのフラグメントが、通常天然に関連しているその他のものから分離されたことを意味する。当業者に明らかなように、天然に存在しないポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそのフラグメントは、天然に存在する対応物からそれを区別するために「単離」を必要としない。さらに、「濃縮された」、「分離された」または「希釈された」ポリヌクレオチド、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、抗体、またはそのフラグメントは、容量あたりの濃度または分子数が、その天然に存在する対応物の濃度または分子数よりもより「濃縮された」かまたは「分離されていない」という点で、その天然に存在する対応物と区別可能である。
【0046】
富化は、例えば、溶液の容量あたりの重量のように、絶対基準で測定され得るか、または、供給源混合物中に存在する第2の潜在的な干渉物質に関連して測定され得る。本発明の実施形態の富化を増加することは、ますますより好ましい。従って、例えば、2倍の富化が好ましく、10倍の富化がより好ましく、100倍の富化がより好ましく、1000倍の富化がさらにより好ましい。物質はまた、人工的なアセンブリのプロセスによって(例えば、化学合成または組換え発現によって)、単離された状態で提供され得る。
【0047】
「疾患関連」遺伝子またはポリヌクレオチドは、非疾患コントロールの組織または細胞と比較した疾患に影響された組織由来の細胞における異常なレベルまたは異常な形態で、転写または翻訳産物を生じる任意の遺伝子またはポリヌクレオチドをいう。これは、異常に高いレベルで発現される遺伝子であり得;これは、異常に低いレベルで発現される遺伝子であり得、ここで、変更された発現は、疾患の発生および/または進行と相関する。疾患関連遺伝子はまた、疾患の病因を直接担うかまたは、疾患の病因を担う遺伝子との連鎖不平衡にある変異または遺伝的改変を有する遺伝子をいう。転写されたかまたは翻訳された産物は、公知または未知であり、そして、正常または異常なレベルであり得る。
【0048】
本明細書中で使用される場合、「発現」は、ポリヌクレオチドがmRNAに転写され、そして/または転写されたmRNA(「転写産物」ともいわれる)が、引き続きペプチド、ポリペプチド、またはタンパク質に翻訳されるプロセスをいう。転写産物およびコードされたポリペプチドは、集合的に「遺伝子産物」といわれる。ポリヌクレオチドがゲノムDNAに由来する場合、発現は、真核生物細胞においてmRNAのスプライシングを含み得る。
【0049】
「差次的に発現される」は、被験体におけるヌクレオチド配列またはポリペプチド配列に適用される場合、コントロールにおいて検出された発現と比較した場合の、配列の過剰発現または過小な発現をいう。過小な発現はまた、コントロールと比較した場合、試験被験体における検出可能な発現の非存在によって証明されるように、特定の配列の発現の非存在を含む。
【0050】
「遺伝子送達ビヒクル」は、宿主細胞に挿入されたポリヌクレオチドを運搬し得る任意の分子として規定される。遺伝子送達ビヒクルの例は、リポソーム、ウイルス(例えば、バキュロウイルス、アデノウイルス、およびレトロウイルス)、バクテリオファージ、コスミド、プラスミド、真菌ベクター、および種々の原核生物および真核生物宿主における発現について記載されてきた当該分野において代表的に使用され、そして遺伝子治療および単純なタンパク質発現のために使用され得る他の組換えビヒクルである。
【0051】
「ベクター」は、宿主細胞におよび/または宿主細胞間に挿入された核酸分子を伝達する自己複製する核酸分子である。この用語は、ベクター(核酸分子の細胞への挿入が主な機能)、複製ベクター(核酸の複製が主な機能)、ならびに発現ベクター(DNAもしくはRNAの転写および/または翻訳が主な機能)を含む。また、1以上の上記機能を提供するベクターを含む。
【0052】
「発現ベクター」は、適切な宿主細胞に導入された場合に、ポリペプチドに転写および翻訳され得るポリヌクレオチドとして規定される。「発現系」は、一般的に、所望の発現産物を得るために機能し得る発現ベクターを含む適切な宿主細胞を意味する。
【0053】
「宿主細胞」は、ベクターのレシピエントまたは核酸分子および/もしくはタンパク質の組み込みのためのレシピエントであり得るか、またはそのようなレシピエントであった個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一宿主細胞の子孫を含み、そしてこの子孫は、天然の変異、偶然の変異、または故意の変異に起因して、元の親細胞と完全に同一(形態的に、またはゲノムの全体的なDNA相補性において)である必要性はなくて良い。宿主細胞は、本発明のポリヌクレオチドでインビボでトランスフェクトされた細胞を含む。
【0054】
「形質転換」または「トランスフェクション」は、挿入に使用された方法とは関係なく、宿主細胞への外因性ポリヌクレオチドの挿入、例えば、リポフェクション、形質導入、感染またはエレクトロポレーションを言う。外因性ポリヌクレオチドは、非組み込みベクター、例えば、プラスミドとして保持されても、宿主細胞ゲノムに組み込まれても良い。
【0055】
「ウイルスベクター」は、組換えで産生された、インビボ、エキソビボ、またはインビトロのいずれかで宿主細胞に送達されるべきポリヌクレオチドを含むウイルスまたはウイルス粒子として規定される。ウイルスベクターの例として、レトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ随伴ウイルスベクターなどが挙げられる。
【0056】
用語「ポリペプチド」、「ペプチド」および「タンパク質」は、本明細書中で交互に使用されて、任意の長さのアミノ酸ポリマーを言う。このポリマーは、直線であっても、分枝であっても良く、改変されたアミノ酸を含み得、そして非アミノ酸によって割り込まれ得る。この用語はまた、改変されているアミノ酸ポリマーを含む;例えば、ジスルフィド結合形態、グリコシル化、脂質化(lipidation)、アセチル化、リン酸化、または任意の他の操作(例えば、標識成分との結合)。本明細書中で使用される場合、用語「アミノ酸」は、天然および/もしくは非天然、または合成アミノ酸のいずれかを言い、グリシンおよびDまたはLの光学異性体の両方、ならびにアミノ酸アナログおよびペプチド模倣物を含む。
【0057】
「リガンド」は、レセプターのリガンド結合ドメインにより結合され得る分子を言う。この分子は、化学的に合成され得るか、または天然に存在し得る。リガンドは、レセプターの生物学的活性を刺激し得る「アゴニスト」であり得るか、またはレセプターの生物学的活性を阻害する「アンタゴニスト」であり得る。
【0058】
「細胞表面レセプター」または「表面抗原」は、細胞原形質膜に固着した分子である。これらは、タンパク質、糖タンパク質、多糖および脂質の大きなファミリーを構成し、形質膜の構造成分としてのみではなく、種々の生物学的機能を支配する調節エレメントとして役立つ。
【0059】
本明細書中で使用される場合、「膜タンパク質」は、原形質膜および細胞内オルガネラの膜を含む任意の細胞膜に結合する最外膜ポリペプチドおよび組み込み膜ポリペプチドを含む。
【0060】
用語「細胞質ゾルの」、「核の」および「分泌された」は、細胞タンパク質に適用された場合、細胞部分が最も局在化された、細胞外および/または細胞下の場所を特定する。特定のタンパク質は、細胞質ゾルと細胞核との間の背面および前面を転位し得る「シャペロン」である。
【0061】
「発光」は、温度上昇以外の任意の理由で、基質から光が放射されることを言うために一般的に使用される。一般的に、原子または分子は、「励起状態」から、次いでより低エネルギーの状態(通常、基底状態)に移動する時に、電磁的エネルギー(例えば、光)の光子を放出する;このプロセスは、しばしば「放射性崩壊」と言われる。多くの励起の原因が存在する。励起の原因が光子である場合、発光プロセスは、「光発光」と言われる。励起の原因が電子である場合、発光プロセスは、「エレクトロ発光」と言われる。より詳細には、エレクトロ発光は、電子と正孔の対の形成、およびそれに続く光子を放出する電子と光子の対の再結合のための電子の直接的な注入および除去から生じる。化学反応から生じる発光は、通常、「化学発光」と言われる。生きている生物による発光の生成は、通常、「生物発光」と言われる。光発光が、スピン可能な遷移(例えば、一重項−一重項遷移、三重項−三重項遷移)の結果である場合、光発光プロセスは、通常、「蛍光」と言われる。代表的に、蛍光放射は、例えば、スピン可能な遷移によって迅速に緩和され得る短期の励起された状態の結果として、励起の原因が除去された後は、持続しない。光発光が、スピン不可能な遷移(例えば、三重項−一重項遷移)の結果である場合、光発光プロセスは、通常、「燐光」と言われる。代表的に、燐光放射は、このようなスピン不可能な遷移によってしか緩和され得ない長期の励起状態の結果として、励起の原因が徐供された後に、長く持続する。「発光標識」は、上記性質のいずれか1つを有し得る。
【0062】
本明細書中で使用される場合、用語「抗原提示細胞」は、本発明の方法により惹起されるヒトモノクローナル抗体に対する目的の抗原を発現する細胞を言う。抗原は、好ましくは細胞表面上に発現される。抗原は、この細胞に対してネイティブであり得るか、またはその発現が外因的に導入されたポリヌクレオチドの制御下にあるような細胞に対して異種であり得る。
【0063】
「二重特異性抗体」。モノクローナル抗体または抗体フラグメントは、例えば、Greenmanら(Greenman,J.,ら、Mol.Immunol.(England)28(11):1243−54(1991))によって記載されるような二価特異的組換えペプチドに組み込まれ得る。この例において、二価特異的F(ab’)は、チオエステル結合により結合した2つのF(ab’)を含むように構築された。二価特異的抗体はまた、2つの完全な抗体が結合された場合に、得られ得る。二価特異的抗体を得るための別の方法は、異なる抗体またはそれらのフラグメントからの鎖を混合することによる。この様式において、二価特異的抗体の「左」分枝は、1つの機能を有し、一方、「右」分枝は、別の機能を有する。
【0064】
「微生物」は、肉眼では見えない生物学的実体である。これらの実体は、下等な生物の大きな門を構成し、細菌、真菌、ウイルスおよびマイコプラズマが挙げられるが、これらに限定されない。
【0065】
「哺乳動物」は、これらの幼児に生児出生を与え、そしてこれらの身体表面に毛を有することによって特徴付けられる、脊椎動物である。本明細書中で使用される場合、「哺乳動物」として、ヒト、ペット(例えば、イヌ、ネコ、ウサギ、ラット、マウスなど)、家畜動物(例えば、ヤギ、ヒツジ、およびウマなど)およびスポーツ動物(sport animal)(例えば、キツネ、シカなど)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0066】
用語「哺乳類の」は、本明細書中で使用される場合、哺乳動物に由来するそれらを言う。
【0067】
(所望の抗原と免疫反応性のヒトモノクローナル抗体の作製)
(形質転換されていないヒトB細胞の調製)
本発明において使用され得る形質転換されていないヒトB細胞は、末梢血、リンパ節、脾臓、肝臓、骨髄、臍帯、またはヒトの他の組織由来のリンパ球に広範に分布している。ヒトB細胞の供給源に関して特に制限はないが、好ましくは、末梢血が使用される。なぜなら、それは、容易に入手可能(例えば、市販または適切なドナーから)であり、十分な量のB細胞を含むからである。それ故に、彼または彼女の体の中でB細胞を産生する任意の個体が、特定の目的の抗原に以前暴露されたことのある候補ドナーであり、そして、免疫化されたB細胞を含む可能性のある候補ドナーが、好ましいドナーである。
【0068】
ヒト末梢血または他の身体組織に含まれるリンパ球の抽出は、当該分野で周知の任意の方法に従って行われ得る。代表的な方法論は、密度勾配遠心沈降法、および非Bリンパ球の免疫親和性除去法(immunoaffinity depleton)である。密度勾配遠心沈降法を行う場合、末梢血のようなサンプルは、代表的には、適切な等張性培地(これは、好ましくは、カルシウムイオンおよび/またはマグネシウムイオンを含まない)で希釈される。希釈された血液は、次に、遠心分離に供された場合に赤血球と血小板から末梢血リンパ球(PBL)の分離をもたらす適切な分離培地に入れられる。一般的に、使用される分離培地として、FICOLL(登録商標)(Pharmacia、Swedenから入手可能)、LYMPHOPREPTM(密度:1.077g/ml、Nycomed Pharma As,Oslo,Norway)およびPercoll(Pharmacia、Sweden)が挙げられるが、これらに限定されない。遠心分離完了の際に、PBLは、血清と分離培地の間の境界から吸引され得る。精製されたPBLは、使用まで低温(例えば、液体窒素中に)で保存され得る。
【0069】
B細胞に富むリンパ球を調製する代替の方法は、2−アミノエチルイソチオウロニウムブロミドヒドロブロミド(AET)処理されたヒツジ赤血球でロゼットすることによるTリンパ球の除去を包含する。このプロセスは、一般的に、PBLと処置された赤血球を混合し、続いて遠心分離により、分離培地のTリンパ球からB細胞を分離することで進められる。
【0070】
B細胞のさらなる富化は、アフィニティークロマトグラフィー、モノクローナル抗体でコーティングした培養皿上でのパニング、磁性分離技術またはセルソーティング手段(例えば、FACS)(これらは、B細胞の保持またはTリンパ球の除去のいずれかをもたらす)によって達成され得る。両方法は、2つの型のリンパ球を分化させ得る検出剤を使用する。このような検出剤として、ペプチド、および糖タンパク質(これは、両方の型のリンパ球ではなく、一方の型のリンパ球において非排他的に発現される場合、優先的に発現される細胞表面分子に特異的に結合する)が挙げられるが、これらに限定されない。種々のT細胞特異的マーカー分子が当該分野で公知である。T細胞特異的マーカー分子の非限定的な例として、TCR/CD3複合体、CD2、CD4、CD8、およびCD28が挙げられる。B細胞特異的マーカー分子の非限定的な例として、CD19、CD20、CD21、HLA−DR、およびB細胞抗原36kDが上げられる。複数の形質転換されていないB細胞を含むリンパ球組成物の調製において、上述のアプローチのうち任意の1つ、もしくはこれらから改変される手順は、単独で、または任意の組み合わせで実施され得る。
【0071】
生じた富化および/または保存B細胞集団は、所望の抗原と特異的に結合することを示すB細胞をスクリーニングするために使用され得、必要に応じて、そのようなスクリーニング手順の前に所望の抗原を用いて、インビトロでの免疫化/活性化に供される。インビトロでのB細胞の免疫化/活性化は、特に(a)抗原特異的B細胞の産生;および(b)リンパ球ドナーが曝露されておらず、そして/または、強力な免疫応答を惹起できなかった自己抗原もしくは抗原を認識し得るB細胞の産生を刺激するのに有利である (インビトロでの形質転換されていないヒトB細胞の免疫化/活性化)
インビトロでのB細胞の免疫化の手順は、一般的に、B細胞活性化の確立された従来の技術と一致する。このプロセスは、形質転換されていないヒトB細胞の集団と所望の抗原を、所望の抗原に対するB細胞の特異的な結合に好ましい条件下でこの所望の抗原と接触させる工程を包含する。それ故、B細胞と所望の抗原の適切かつ特異的な結合を生じる任意の手段が使用され得、B細胞の免疫化は、好ましくは、「免疫化培地」中でB細胞と抗原を同時に培養することによって行われる。一般的に、抗原は、B細胞が増殖する固体基質上に固定化される。本発明の特定の実施形態において、所望の抗原は、このような抗原を発現する細胞の単層によって提示される。培養物中で増殖可能な任意の細胞は、抗原提示のための候補細胞である。所望される場合、所望される抗原の発現を指向し得る外因性ポリヌクレオチドが、抗原提示細胞に導入され得る。
【0072】
本発明に適切な免疫化培地は、インビトロでBリンパ球の生存を支持し、その形態学、代謝能および可能性として細胞が分化する能力を維持する。培養物中でB細胞の生存および/または増殖に必要な栄養所要量およびホルモン所要量を含む培地成分が既知であるような規定された培地を使用することが好ましい。インビトロで哺乳動物細胞の生存を制御する一般的なパラメーターが、当該分野で公知である。細胞培養系で制御され得る生理化学的パラメーターは、例えば、pH、CO、温度、および浸透圧である。B細胞の栄養所要量は、通常、最適な環境を提供するように開発された標準培地処方物に定められている。栄養素は、いくつかのカテゴリーに分けられ得る:アミノ酸およびその誘導体、炭水化物、糖、脂肪酸、複合脂質、核酸誘導体およびビタミンである。細胞代謝を維持するための栄養素の他に、一般的に、B細胞はまた、以下の群の少なくとも1つ由来の1以上のホルモンまたはマイトジェンを必要とする:ステロイド、プロスタグランジン、増殖因子、下垂体ホルモン、レクチン、アジュバンドペプチド、および無血清培地で増殖するためのペプチドホルモン(Sato,G.H.ら、「Growth of Cells in Hormonally Defined Media」,Cold Spring Harbor Press,N.Y.,1982)。ホルモンに加えて、B細胞は、トランスフェリン(血漿鉄輸送タンパク質)、セルロプラスミン(銅輸送タンパク質)、およびインビトロでの生存ならびに増殖のための高密度リポタンパク質(脂質キャリア)のような輸送体タンパク質を必要とし得る。
【0073】
インビトロでの活性化のプロセスで使用され得る免疫原は、ヒトB細胞で抗体産生を誘導することが予想される組成物である。多様な多くの免疫原が当該分野で公知である。種々の型の免疫原の非限定的な例として、単純もしくは複雑な有機または無機分子、ペプチド、タンパク質、糖タンパク質、ポリヌクレオチド(例えば、アンチセンスオリゴヌクレオチド)、リボザイム、およびこれらの誘導体のような生物学的または化学的化合物が挙げられる。化合物の巨大アレイは、例えば、ポリペプチドおよびポリヌクレオチド、ならびに種々の核となる構造に基く合成有機化合物のようなポリマーに合成され得、そしてこれらはまた、用語「化学的化合物」に含まれる。さらに、種々の天然の供給源(例えば、植物または動物の抽出物など)が免疫化のために使用され得る。
【0074】
特定の細胞型の代表する抗原に結合するヒトモノクローナル抗体を産生するために、このような細胞型から構成される組織、これら由来の組織または細胞の培養物およびそれらの子孫、任意のこれらの供給源から調製される切片または標本、ならびに精製された抗原のサンプルが使用され得る。さらに、膜抽出物、細胞質抽出物、または目的の抗原で富化された特定の細胞型の全細胞がまた、インビトロでの免疫化に使用され得る。特定の目的は、疾患を引き起こす遺伝子を区別して発現する(過剰発現または過少発現)細胞、種々の細胞周期の時期(G、G、G、M、またはS相)で停止する細胞、異なる発生段階(成人または胎児)または発生的な器官(例えば、外胚葉、内胚葉または中胚葉)の細胞、および細菌、真菌およびウイルスを含む1以上の型の微生物に感染されている細胞である。種々の細胞株が、従来の組織培養技術に従って確立され得ることが、当業者に明らかである。これらはまた、公的または私的な寄託機関から入手可能であり得る。最大の寄託機関は、American Type Culture Collection(http://www.atcc.org)であり、非常に多数の生物および組織サンプル由来の十分に特徴付けされた細胞株の多様なコレクションを提供する。
【0075】
目的の細胞型を代表する抗原は、次の1以上のカテゴリーに入り得る:レセプターリガンド、分泌タンパク質、細胞表面レセプター、細胞質タンパク質、または核タンパク質。特定の目的のものは、制限された組織、細胞型、またはサブ細胞分布パターンを示す抗原である。これらのサブカテゴリー内で、主に診断的および/または治療的可能性を有する抗原は、以下に挙げられるが限定ではない特定の生物学的プロセスに関与する抗原である:細胞周期調節、細胞分化、アポトーシス、化走性、細胞運動性および細胞構造再配置。他の型の抗原の治療可能性として、特定の疾患または特異的疾患段階に関連する抗原が挙げられる。このような抗原として、自己免疫疾患、肥満症、高血圧症、糖尿病、神経および/または筋肉変性疾患、心筋疾患、内分泌障害、これらの任意の組み合わせに関連する抗原が挙げられるが、これらに限定されない。
【0076】
特定の細胞型の細胞表面抗原を指向するモノクローナル抗体の産生のために、形質転換されていないB細胞を、生存可能でかつインタクトなこの型の細胞、好ましくは、細胞表面が無血清であるこれらの細胞で免疫化することが望ましい。血清補充培地で増殖させた細胞での免疫化は、明白な不利益を有し得る。血清は、規定されていない活性を有する多くの低分子および巨大分子の非常に複雑な混合物である。これらの血清の多くの種類の生体分子は、細胞表面に接着することが公知である。これらの生体分子として、伝達タンパク質(例えば、アルブミン)、結合因子および拡散因子(例えば、コラーゲンおよびフィブロネクチン)、ならびに種々の種類の血清脂質が挙げられるが、これらに限定されない。これらの外因性分子の細胞表面への吸着は、特定の細胞型を代表しない分子と相互反応する抗体の産生をもたらすばかりでなく、ネイティブな抗原の提示をマスクし得、従って、生じたモノクローナル抗体のプールの「代表性(representativeness)」をさらに損わせる。
【0077】
細胞表面が無血清であることを確認するために、代表的に、細胞を血清を欠くが、ホルモン、増殖因子または特定の細胞型の生存および/増殖に必要な任意の他の因子を補充されている、規定された培地で増殖させる。特定の細胞型についての規定された培地を処方するための手順は、当該分野で十分に確立され、そしてそれ故、本明細書中では説明しない(Barnes,D.およびSato,G.(1980)Anal.Biochem.,102:255;Mather,J.P.およびRoberts,P.E.(1998)「Introduction to Cell and Tissue Cluture」、Plenum Pless,New York)。
【0078】
(所望の抗原に特異的に結合する形質転換されていないB細胞の選択)
所望の抗原結合特異性を示すB細胞についてスクリーニングする前に、富化されたB細胞集団または活性化されたB細胞を、細胞凝集を防止し、そしてB細胞表面から結合した抗原を除去する分離剤で前処理する。分離剤を適用する際に、B細胞膜の完全性が維持され、細胞膜成分が保持されるように注意する。強力なタンパク質分解酵素(例えば、セリンプロテイナーゼ、トリプシン)の作用によって固着した細胞または細胞層を分離する伝統的な方法とは異なり、本発明の形質転換されていない細胞は、代表的に、細胞表面分子に対する損傷を最小限にする薬剤によって培養物基質から取り除かれる。これらの薬剤として、コラゲナーゼ、ジスパーゼ、および天然のプロテイナーゼが挙げられるが、これらに限定されない。これらの薬剤でのB細胞の処置は、ほとんど凝集物の破壊をもたらすが、細胞表面の免疫グロブリンは保持する。細胞の凝集の分離または固体基質上に固着した細胞の脱着に必要な処理時間は、選択したプロテイナーゼによって変化しうるが、通常、約3分〜60分の期間、そして好ましくは、約15分〜30分の間である。酵素処理は、通常、約37℃までの室温で行われる。過剰な酵素が、生理学的範囲のpHおよび塩濃度を有する緩衝液、または当業者によって日常的に調製された無血清培地で緩やかに洗浄することによって取り除かれ得る。
【0079】
引続く所望の抗原でのB細胞免疫反応性の選択は以下の工程を包含する:(a)B細胞を含むヒトリンパ球の集団と所望の抗原をB細胞の所望の抗原への特異的な結合に好ましい条件下で接触させる工程;および(b)非結合Bリンパ球を所望の抗原に結合したBリンパ球から分離する工程。このプロセスは、代表的に、固体基質への抗原の層状化に続いてBリンパ球を抗原層上にプレーティングすることにより進められる。次いで、このBリンパ球を、生理学的条件下(ここで、pHは6〜8、そして温度は、約20℃〜40℃の間で維持される)で抗原と結合させる。非結合Bリンパ球は、洗浄、吸引、または他の適切な手段によって除去される。
【0080】
このプロセスのバリエーションは、減算(subtructive)選択である。例えば、結腸癌に特異的に結合するB細胞の選択において、ヒトリンパ球のレパートリーを、正常細胞の単層膜とともにインキュベートする。正常血漿細胞に対して抗体を提示するこれらのB細胞は、細胞の単層膜に結合する。非結合B細胞を、収集し、そして結腸癌細胞の単層膜とともにインキュベートする。この時、結腸癌細胞を特異的に認識するモノクローナル抗体を産生するB細胞のみが結合し、そして非特異的B細胞は、洗い流される。
【0081】
所望の抗原を発現するインタクトな細胞が、選択プロセスで使用される場合、代表的には、約5%〜100%のコンフルーエンスで、無血清培地中で増殖させた生存細胞の単層膜を、固相基質上に接種した。接種された抗原提示細胞の基質は、種々の材料から作製され得る。基質の選択は、細胞型によって大きく決定される。ほとんどの細胞は、例えば、ガラス、プラスチックまたはセラミックの材料で作られた基材上で増殖させられ得る。特定の細胞型(例えば、神経細胞、上皮細胞および筋肉細胞)について、基材が、細胞結合および拡散を増強する荷電した物質でプレコーティングされることが好ましい。一般的に、使用されるコーティング材料として、正味の正電荷を保持する生物学的基材が挙げられる。生物学的な基材の非限定的な例として、細胞外マトリックス/接着タンパク質(例えば、ラミニン、フィブロネクチン、コラーゲンまたはポリリジンのような合成ポリペプチド)が挙げられる。種々の非生物学的基材(例えば、ニトロセルロース、ナイロン、ポリテトラフルオロエチレン、または任意の他の移植材料からなる膜)をまた使用して、無血清培地での細胞増殖を支持し得る。
【0082】
抗原提示細胞の単層の播種後、次いで、形質転換されていないヒトBリンパ球の懸濁液を細胞単層に加え、そして適切な時間にわたって約37℃でインキュベートする。B細胞の、その表面免疫グロブリンの特異的認識を介するその特異的な抗原への結合を可能にするのに必要なインキュベーション時間は、Bリンパ球および抗原提示細胞の相対的存在量に依存して変化し得る。この時間は、通常約10分〜120分であり、そして好ましくは約30分〜60分の期間である。インキュベーションの完了の際に、未結合のBリンパ球は、Ca++/Mg++を含まない緩衝液で洗浄することによって、抗原提示細胞の単層から除去される。洗浄した遊離Bリンパ球は、遠心分離によって集められ、次いでUV照射に供される。このUV処理Bリンパ球は、培養液中で3日以内に死滅し、そして引き続く選択されたBリンパ球のクローン増殖のためのフィーダー細胞として利用される。抗原提示細胞の単層に結合した残りのB細胞は、その細胞表面に所望の免疫グロブリンを発現する細胞である。これらの細胞は、「選択されたBリンパ球」と命名される。
【0083】
(選択されたBリンパ球のクローン増殖)
クローン増殖の前に、選択されたBリンパ球は、実質的に細胞の生存度を保存する適切な手段を使用して抗原から分離される。抗原からB細胞を剥離する好ましい方法は、上記で議論されるような穏やかなプロテイナーゼでの処置である。選択されたB細胞の単離されたコロニーを生成するために、この分離された細胞は、生存だけでなく形質転換されていないB細胞の増殖もまた支援する培地中に、低密度でプレートされる。B細胞のクローン増殖に適切なこの培養培地は、少なくとも1回、好ましくは3回より多く、より好ましくは5回より多くの倍加にわたって細胞の増殖を維持するために必要な栄養的およびホルモン的な必要量を含むする。そのようなものとして、形質転換されていないヒトB細胞の単離されたコロニーは、本明細書中では細胞クラスターといわれ、これは、所望の抗原結合特異性を有する単一のB細胞から誘導される少なくとも2個の子孫細胞、好ましくは8個の子孫細胞、より好ましくは32個の子孫細胞を含む。必要とされる形質転換されていないB細胞のクローン増殖を支援し得る、非限定的な例示的培養培地としては、細胞の代謝に必要な補充物(例えば、グルタミンおよび他のアミノ酸、ビタミン、鉱物、および有用な輸送タンパク質(例えば、トランスフェリン)など)を含むMEM、DMEM、RPMI、F−12が挙げられる。この培養培地はまた、酵母、細菌および真菌での汚染を防止するために、抗生物質を含み得る。細胞培養に適切な抗生物質としては、ペニシリン、ストレプトマイシン、ゲンタマイシン、およびカナマイシンが挙げられるがこれらに限定されない。この培地は、ウシ、ウマ(equine、horse)、ニワトリなど由来の血清1〜10%を必要に応じて含み得るが、少なくとも1つの増殖因子または本明細書中に記載されるマイトジェンを補充した規定培地を用いて、この細胞を培養することが好ましい。好ましいマイトジェンとしては、ヤマゴボウ(pokerweed)マイトジェン、インスリン、Il−2、IL−4、IL6、IL10、抗CD40/CD−40リガンドが挙げられる。増殖因子は、通常、約1pg/ml〜0.1mg/mlの間の濃度範囲で培養培地に添加される。約1ng〜10μg/mlの間の濃度で通常は十分である。簡単な滴定実験が、特定の増殖因子の最適濃度を決定するために容易に行われ得る。
【0084】
上記の細胞培養因子に加えて、形質転換されていないヒトB細胞のクローン増殖を促進するためにフィーダー細胞が用いられ得る。本明細書中で使用される場合、「フィーダー細胞」は、B細胞の増殖と関連して同時刺激機能を提供する付属的な細胞である。フィーダー細胞(例えば、末梢血単核細胞)は、当該分野で公知の技術(例えば、危険性が最小限である標準的医療である白血球搬出法(leukaphoresis)(例えば、Weaveerら(1993)Blood 82:1981−1984を参照のこと))によって得られ得;そしてこれらのフィーダー細胞は、使用まで液体窒素中での凍結保存によって保存され得る。他の例示的な型のフィーダー細胞は、EBV形質転換リンパ芽球腫細胞(Crosslandら(1991)J.Immunol.146:4414−20)、骨髄間質細胞、肝臓間質細胞、および3T3線維芽細胞細胞株である。好ましい型のフィーダー細胞は、上記の選択工程の間に未結合の遊離リンパ球として収集された、所望の抗原に結合できないリンパ球である。好ましくは、フィーダー細胞:増殖される形質転換されていないBリンパ球の比は、少なくとも約100:1、より好ましくは約10:1、そしてなおより好ましくは約10:1である。
【0085】
本発明のフィーダー細胞は、一般に、有糸分裂を起こすこと防止される。有糸分裂の阻害のための技術は、当該分野で十分に確立されている。最も一般的な手順は、照射である。例えば、リンパ球は、約220〜約290nm(好ましくは254nm)の範囲の波長を有する短UV波で、約5cm〜25cmの距離から約30分間照射され得る。末梢血単核細胞は、約3,000〜4,000ラド(好ましくは約3,600ラド)の範囲のγ線で照射され得る。任意のリンパ芽球腫細胞は、約6,000〜12,000ラド(好ましくは約10,000ラド)の範囲のγ線で照射され得る。他の型の細胞もまた、約6,000〜12,000ラドの範囲のγ線で照射され得る。
【0086】
B細胞クローンの抗原特異性は培養系における細胞の増殖の前に規定されるので、自己または同種異系のいずれかのフィーダー細胞がB細胞増殖を支援するために使用され得る。同種異系のフィーダー細胞の添加は、リンパ球ドナーが、例えば末梢血に存在するウイルスに感染している(従ってB細胞培養物を汚染し得る)場合に重要である。このような状況において、スクリーニングされ、そしてAmerican Red Cross基準によって適切な血液ドナーであるとみなされる個体由来の同種異系のフィーダー細胞の使用が、この培養方法において用いられ得る。
【0087】
形質転換されていないB細胞クローンを培養するための条件は、生理学的な条件に近くあるべきである。この培養培地のpHは、生理学的なpH、好ましくはpH6〜8の間、より好ましくは約pH7〜7.8の間に近くあるべきであり、pH7.4が最も好ましい。生理学的温度は、約25℃〜40℃の間の範囲である。細胞は、好ましくは約32℃〜約38℃の間、そしてより好ましくは約35℃〜約37℃の間の温度で培養される。
【0088】
上記の一般的技術を適用すると、ヒト胎児脳一次細胞株、ヒト胎児卵巣細胞株、ヒト肺癌細胞株A549、および成体ヒトSchwann細胞株の代表的な抗原を認識する免疫グロブリンを発現する形質転換されていないB細胞クローンの集団、胚の膵臓管細胞、が作製される。
【0089】
(所望のヒトモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドまたはそのフラグメントの単離および発現)
本発明において具体化される形質転換されていないB細胞クローンは、所望の結合特異性を有するヒトモノクローナル抗体をコードするポリヌクレオチドを単離およびクローニングするための特定の試薬を提供する。
【0090】
構造的に最も単純な天然に存在する抗体(例えば、IgG)は、ジスルフィド結合によって相互結合された、4つのポリペプチド鎖(2つの重(H)鎖および2つの軽(L)鎖)を含む。このヒト抗体は、免疫グロブリンのいくつかのクラス(例えば、IgD、IgG、IgA、IgMおよびIgE)を含む、分子の大きなファミリーを構成する。一般に、この2つの型の鎖は、別個の遺伝子によってコードされる。過去数十年にわたって、一連のヒト抗体をコードする多数の遺伝子が、クローニングおよび配列決定された。大規模な配列分析は、同じクラスの免疫グロブリン鎖が、抗原結合部位を構成する可変領域と共に高度に保存された「定常領域」を含むことを明らかにした。免疫グロブリンの種々のクラスの既存の配列に基づいて、種々の組換えDNA技術が、所望の免疫グロブリンの軽鎖および重鎖をコードする免疫グロブリン遺伝子を単離するために利用され得る。代表的なクローニング方法としては、PCR、cDNAライブラリーの構築およびスクリーニング、既存の核酸データベースにおける相同性検索、またはそれらの任意の組合せが挙げられる。通常利用されるデータベースとしては、GenBank、EMBL、DDBJ、PDB、SWISS−PROT、EST、STS、GSS、およびHTGSが挙げられるがこれらに限定されない。
【0091】
本発明のヒトモノクローナル抗体をコードする免疫グロブリン遺伝子を単離するための1つの例示的な方法は、以下の工程を包含する:(a)本発明の形質転換されていないB細胞クローンから核酸を抽出する工程;(b)所望の抗体の軽鎖または重鎖のいずれかをコードするcDNAまたはそのフラグメントを合成する工程;および(c)このcDNAを増幅して、サブクローニングおよび/または遺伝子発現のために十分な量のDNA分子を得る工程。
【0092】
形質転換されていないB細胞クローンに含まれる核酸は、当該分野で標準的な方法、または本明細書中で例示される手順(実施例6)に従って抽出され得る。例えば、DNAおよびRNAは、種々の溶菌酵素またはSambrookら(「Molecular Cloning:A Laboratory Manual」,Second Edition,1989)に記載される手順に従う化学的溶液を使用して単離され得るか、あるいは製造者によって提供される付随の指示書に従う核酸結合樹脂によって抽出され得る。cDNAの合成は、種々の増幅技術と共に逆転写によって実施され得る。本発明の目的について、増幅は、適切な正確さで標的配列を複製し得るプライマー依存性ポリメラーゼを用いる任意の方法を意味する。
【0093】
成功した増幅における制限要因は、効率的かつ確実に増幅を進めるための、標的配列の十分なコピーの抽出である。本発明の方法において、より高い程度の成功および確実性で増幅が進行し得るように、標的免疫グロブリン遺伝子の十分なコピーが生成される。最初の免疫化/活性化工程において、選択された形質転換されていないBリンパ球は、所望の抗原に対する抗体の細胞表面発現に基づいて選択される。これらの選択されたリンパ球は、代表的には、クローン増殖工程の間に生成されるその子孫よりも未成熟である。これらのより成熟した子孫細胞は、これらの細胞におけるより多数のmRNAコピーにある程度起因する、より多くの量の抗体の産生および分泌によって特徴付けられる。したがって、細胞表面抗体を発現する単一の単離された未成熟Bリンパ球は、その発現された免疫グロブリンをコードするmRNAの10の桁のコピーを有し得るが、より成熟したBリンパ球は、10以上のmRNAコピーを有する。本発明において、この選択されたBリンパ球は、多くのB細胞クローンが生成され、これが抗体の産生を続けるような、B細胞の増殖に好都合な条件下で培養される。本発明のクローン増殖工程が、例えば20程度のこのような成熟Bリンパ球のコロニーを生じるが、増幅のために利用可能なmRNAコピーは、2×10以上であり得る。この量は、成功する増幅および、以下にさらに記載される方法に従う所望の免疫グロブリンの引き続く発現を保証する。対照的に、単離された未成熟なBリンパ球(これは、せいぜい数百のみのmRNAコピーを有する)のmRNAを首尾よくかつ予想通りに増幅することは非常に困難である。さらに、mRNAを、抗体の産生を続ける能力を欠失したBリンパ球クローン、さもなくばクローンの抗体産生が損なわれるように非常に低いレベルのmRNA発現を有するBリンパ球クローンから、mRNAを首尾よくかつ予想通りに増幅することは、同様に非常に困難である。増幅は、天然または組換えのDNAポリメラーゼ(例えば、T7 DNAポリメラーゼ)、E.coli DNAポリメラーゼのKlenowフラグメント、および/またはRNAポリメラーゼ(例えば、逆トランスクリプターゼ)によって行われ得る。好ましい増幅方法は、PCRである。PCRについての一般的手順は、米国特許第4,683195号(Mullis)および同第4,683,202号(Mullisら)において教示される。しかし、各適用反応に使用されるPCR条件は、経験的に決定され得るか、またはコンピュータソフトウエアプログラムを使用して推定され得る。多くのパラメータが、反応の成功に影響する。その中には、アニーリングの温度および時間、伸長時間、Mg2+ ATP濃度、pH、ならびにプライマー、テンプレート、およびデオキシリボヌクレオチドの相対的濃度がある。ヒトの軽鎖および重鎖の複製のための条件および特定のプライマーが、本明細書中で例示される(実施例6〜7を参照のこと)。
【0094】
増幅後、生じるポリヌクレオチドは、アガロースゲル電気泳動によって検出され、続いて、臭化エチジウム染色および紫外線照射を用いて可視化され得る。免疫グロブリン遺伝子の特定の増幅が、増幅されたポリヌクレオチドが推定サイズを有し、推定制限消化パターンを示すかまたは正しいクローン化されたDNA配列にハイブリダイズすることを示すことによって実証され得る。
【0095】
所望の配列を含む単離されたポリヌクレオチドは、適切なベクターに挿入され得、そしてこのベクターは次に、適切な宿主細胞に導入され得る。本発明の宿主細胞は、とりわけ、特定のヒトモノクローナル抗体をコードする遺伝子の容器としてか、または抗体産生のためのビヒクルとして使用され得る。ポリヌクレオチドは、当該分野で公知の任意の手段によって宿主細胞に導入され得る。例えば、宿主細胞は、直接的な取り込み、エンドサイトーシス、トランスフェクション、f−交配(f−mating)またはエレクトロポレーションによって異種ポリヌクレオチドを導入することによってトランスフェクトされ得る。一旦導入されると、異種ポリヌクレオチドは、非統合ベクター(例えば、プラスミド)として細胞内に維持され得るか、または宿主細胞ゲノムに組み込まれ得る。
【0096】
本発明は、特定の細胞型に代表的な抗原に結合するヒトモノクローナル抗体の集団の、ポリヌクレオチドコード鎖の集団を提供する。好ましくは、細胞は、真核生物細胞であり、より好ましくは哺乳動物細胞であり、さらにより好ましくはヒト細胞である。特に興味深い他の細胞は、疾患原因遺伝子を示差的に発現(過剰発現または過少発現)する細胞;細胞周期欠損を示す(例えば、G、G、G、M、またはS期を含む種々の細胞周期点で休止する)細胞;および異なる発生段階(成体または胚)または異なる発生器官(例えば、外胚葉、内胚葉または中胚葉)の細胞である。
【0097】
個々のポリヌクレオチドは、種々の遺伝子送達ビヒクルを用いて適切な宿主細胞に導入され得る。本明細書中に使用される場合、遺伝子送達ビヒクルは、ウイルスベクターおよび非ウイルスベクター(例えば、裸のプラスミドDNAまたはDNA/リポソーム複合体)の両方を含む。ベクターは、一般的に、クローニングベクターおよび発現ベクターに分類される。クローニングベクターは、それらが含むポリヌクレオチドの複製コピーを得るのに有用であるか、またはさらなる回収のための保管所にそのポリヌクレオチドを保存する手段として有用である。発現ベクター(およびこれらの発現ベクターを含む宿主細胞)は、これらが含むポリヌクレオチドから産生されるポリペプチドを得るために使用され得る。適切なクローニングベクターおよび発現ベクターとしては、当該分野で公知の任意のベクター、例えば、細菌発現系、哺乳動物発現系、酵母発現系および昆虫発現系における使用のためのベクターが挙げられる。種々の発現系で産生されるポリペプチドはまた、本発明の範囲内である。
【0098】
クローニングベクターおよび発現ベクターは、代表的に選択マーカー(例えば、そのベクターを用いて形質転換された宿主細胞の生存または増殖に必要なタンパク質をコードする遺伝子)を含むが、このようなマーカー遺伝子は、宿主細胞に同時に導入される別のポリヌクレオチド配列上に保有され得る。選択遺伝子が導入された宿主細胞のみが、選択条件下で増殖する。代表的な選択遺伝子は、(a)抗生物質または他の毒素(例えば、アンピシリン、ネオマイシン、メトトレキサート)に対する耐性を与えるか;(b)栄養要求性欠損を補完するか;または(c)複合培地から入手可能ではない重要な栄養分を供給するかのいずれかである。適切なマーカー遺伝子の選択は、宿主細胞に依存し、そして異なる宿主に対する適切な遺伝子が、当該分野で公知である。ベクターはまた、代表的に、宿主によって認識される複製系を含む。
【0099】
適切なクローニングベクターは、標準的な技術に従って構築され得るか、または当該分野で利用可能な多数のクローニングベクターから選択され得る。選択されたクローニングベクターは、使用することが意図される宿主細胞に従って変化し得るが、有用なクローニングベクターは、一般的に、自己複製する能力を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼについての単一標的を保有し得るか、またはマーカー遺伝子を保有し得る。適切な例としては、プラスミドおよび細菌ウイルス(例えば、pBR322、pMB9、ColEl、pCRl、RP4、pUC18、mpl8、mpl9)、ファージDNA、およびシャトルベクター(例えば、pSA3およびpAT28)が挙げられる。これらのクローニングベクターおよび他のクローニングベクターは、Clontech、BioRad、Stratagene、およびInvitrogenなどの発売源から市販される。
【0100】
単離されたヒト免疫免疫グロブリン遺伝子または遺伝子フラグメントを含む発現ベクターは、抗体または抗体フラグメント(例えば、抗原結合フラグメント)を生成するための宿主ベクター系を得るのに有用である。これらの発現ベクターは、エピソームとしてかまたは染色体DNAの統合された一部としてかのいずれかで、宿主生物中で複製可能でなければならないことが含意される。適切な発現ベクターとしては、プラスミド、ウイルスベクター(アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含む)、コスミドなどが挙げられる。真核生物細胞(酵母細胞、鳥類細胞および哺乳動物細胞を含む)における発現に適した多数の発現ベクターが、当該分野で公知である。発現ベクターの1つの例は、pcDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)であり、ここで、転写は、サイトメガロウイルス(CMV)初期プロモーター/エンハンサーによって駆動される。特に有用な発現ベクター(系)は、バキュロウイルス/昆虫系である。バキュロウイルス系における発現に適切なベクターとしては、pBackPack9(Clontech)、pPbacおよびpMbac(Strategene)が挙げられる。アデノウイルスベクターは、インビボにおいて組織に遺伝子を導入するのに特に有用である。これは、インビトロおよびインビボの両方におけるアデノウイルスベクターの高レベルの発現および効率的な形質転換に起因する。
【0101】
ポリヌクレオチドはまた、改変されて、検出可能なマーカー(例えば、リンパ球における核酸および/または対応する遺伝子発現の検出のための酵素標識または放射性同位体)を含み得る。広範な種々の適切な検出可能なマーカーが、当該分野で公知であり、検出可能なシグナルを提供し得る、蛍光マーカー、放射性マーカー、酵素マーカーまたはアビジン/アビジンのような他のリガンドを含む。好ましい実施形態において、放射性試薬または他の環境的に所望されない試薬の代わりに、蛍光標識または酵素タグ(例えば、ウレアーゼ、アルカリホスファターゼ、またはペルオキシダーゼ)を使用することが、おそらく所望される。酵素タグの場合、ヒトの眼または分光光度法的に可視である手段を提供するために使用され得る比色指示基質が、公知であり、相補核酸を含有するサンプルとの特異的なハイブリダイゼーションを同定する。
【0102】
本発明のポリヌクレオチドは、さらなる配列、例えば、同じ転写単位内のさらなるコード配列、制御エレメント(例えば、プロモーター、リボソーム結合部位、および/またはポリアデニル化部位)、同じかまたは異なるプロモーターの制御下にあるさらなる転写単位、クローニング、発現および/または宿主細胞の形質転換を可能にする配列、ならびに本発明の実施形態を提供するのに所望であり得るような任意の構築物を含み得る。さらに、ポリヌクレオチドは、他の所望の配列と融合されて、生じるポリペプチドの免疫学的反応性を増加し得るか、またはこのポリペプチドの精製を容易にし得る。
【0103】
本発明で具体化されたポリペプチドは、上記のポリペプチドの集団によってコードされる免疫グロブリン鎖またはそのフラグメントの集団を含む。好ましい免疫グロブリンフラグメントは、全免疫グロブリン配列の一部を含むが、抗原結合特異性は保存しているフラグメントである。特に好ましい抗原結合フラグメントは、単鎖V領域フラグメント(「scFv」)である。単鎖V領域フラグメントは、短い連結ペプチドによってL鎖および/またはH鎖のV領域を連結することによって作製される。Birdら(1988)Science 242:423−426。十分な順応性および長さを有する任意のペプチドは、scFv中でリンカーとして使用され得る。通常、リンカーは、レシピエント宿主における免疫原性をほとんどから全く有さないように選択される。連結ペプチドの例は、(GGGGS)であり、これは、一方のV領域のカルボキシ末端と他方のV領域のアミノ末端との間の約3.5nmを架橋する。他のリンカー配列がまた、使用され得、そしてさらなる機能(例えば、薬物または固体支持体を付着する手段)を提供し得る。
【0104】
H鎖またはL鎖の全てまたは任意の部分が、任意の組合せで使用され得る。代表的に、免疫グロブリンの全V領域は、scFv中に含まれる。例えば、L鎖のV領域は、H鎖のV領域に連結され得る。あるいは、L鎖のV領域の一部は、H鎖のV領域またはその一部に連結され得る。H鎖のV領域およびL鎖のV領域が異なる免疫グロブリン由来であるscFvがまた、意図される。二相のscFv(ここで、1つの成分は、本発明の選択されたB細胞によって産生された免疫グロブリンに由来し、そして別の成分は、異なるポリペプチド(例えば、T細胞エピトープ)である)を構築することはまた、可能である。
【0105】
scFvは、組換え的または合成的に産生されるかのいずれかであり得る。scFvの合成生成の場合、自動化合成機が使用され得る。scFvの組換え産生に関して、scFvをコードするポリヌクレオチドを含む適切なプラスミドは、適切な宿主細胞(酵母細胞、植物細胞、昆虫細胞または哺乳動物細胞のような真核生物細胞か、またはE.coliのような原核生物細胞のいずれか)に導入され得、そしてこのポリヌクレオチドによって発現されるタンパク質は、標準的なタンパク質精製技術を用いて単離され得る。
【0106】
scFvの産生のための特に有用な系は、E.coliにおけるプラスミドpET−22b(+)(Novagen,Madison,WI)である。pET−22b(+)は、6個連続したヒスチジン残基からなるニッケルイオン結合ドメインを含み、これは、発現されたタンパク質が適切なアフィニティー樹脂上で精製されることを可能にする。適切なベクターの別の例は、上記のpcDNA3(Invitrogen,San Diego,CA)である。
【0107】
発現条件は、scFvが機能的であり、そして好ましくは最適な三次構造をとることを確実にするべきである。使用されるプラスミド(特に、プロモーターの活性)および宿主細胞に依存して、産生率を調節することが必要であり得る。例えば、より弱いプロモーターの使用、またはより低い温度での発現は、原核生物系において正確に折り畳まれたscFvの産生を最適化するのに必要であり得;または、これは、真核生物細胞においてscFvを発現するのに好ましくあり得る。
【0108】
本発明はまた、化学的に官能性の部分に結合体化されたヒトモノクローナル抗体またはフラグメントを含む。代表的に、この部分は、検出可能なシグナルを生成し得る標識である。これらの結合体化された抗体は、例えば、標的抗原の検出に有用である。非常に多数の適切な標識が当該分野で公知であり、そして、放射性同位体、酵素、および化学発光化合物が挙げられるが、これらに限定されない。この部分は、抗体に共有結合されるか、または2次試薬(例えば、2次抗体、プロテインA、またはビオチン−アビジン複合体)を介して抗体に組換え的に連結されるかまたは結合体化される。
【0109】
他の官能性の部分としては、シグナルペプチド、免疫学的反応性を増強する因子、固体支持体への結合を促進する因子、ワクチンキャリア、生体応答性改変因子、および薬物が挙げられる。シグナルペプチドは、N末端に通常存在し、そして細胞からのタンパク質の分泌を指示する短い配列である。免疫学的反応性を増強する因子としては、細菌スーパー抗原が挙げられるが、これに限定されない。固体支持体への結合を促進する因子としては、ビオチンまたはアビジンが挙げられるが、これらに限定されない。免疫原キャリアとしては、任意の生理学的に受容可能な緩衝液が挙げられるが、これに限定されない。生体応答性改変因子としては、サイトカイン、特に腫瘍壊死因子(TNF)、インターロイキン−2、インターロイキン−4、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子およびγ−インターフェロンが挙げられる。
【0110】
適切な薬剤部分は、抗腫瘍性薬剤を含む。抗腫瘍性薬剤としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:放射性同位元素、ビンブラスチン、ビンクリスチンおよび硫酸ビンデシンのようなビンカアルカロイド、アドリアマイシン、硫酸ブレオマイシン、カルボプラチン、シスプラチン、シクロホスファミド、シタラビン、デカルバジン、ダクチノマイシン、塩酸ダウノルビシン、塩酸ドキソルビシン、エトポシド、フルオロウラシル、ロムスチン、塩酸メクロロレタミン(mechlororethamine hydrochloride)、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、マイトマイシン、ミトーテン、ペントスタチン、ピポブロマン、塩酸プロカルバジン、ストレプトゾトシン、タキソール、チオグアニンならびにウラシルマスタード。
【0111】
単鎖分子を含む、免疫毒素は、組換え手段によって産生され得る。種々の免疫毒素の産生は、当該分野で周知であり、そして方法は、例えば、「Monoclonal Antibody−toxin Conjugates:Aiming the Magic Bullet」Thorpeら、(1982)Monoclonal Antibodies in Clinical Medicine,Academic Press,168〜190頁;Vitatta(1987)Science 238:1098〜1104;ならびにWinterおよびMilstein(1991)Nature 349:293〜299に見出され得る。適切な毒素としては、以下が挙げられるがこれらに限定されない:リシン、放射性核種、ヤマゴボウ抗ウイルス性タンパク質、シュードモナス外毒素A、ジフテリア毒素、リシンA鎖、制限酵素およびホスホリパーゼ酵素のような真菌毒素。一般に、「Chimeric Toxins」OlsnesおよびPihl,Pharmac.Ther.15:355〜381(1981);ならびに「Monoclonal Antibodies for Cancer Detection and Therapy」BaldwinおよびByers編,159〜179頁,224〜266頁,Academic Press(1985)を参照のこと。
【0112】
(本発明の組成物の用途)
本発明のポリヌクレオチドおよび遺伝子送達ビヒクルは、いくつかの用途を有する。例えば、これらは、特定の抗原に免疫反応性であるヒトモノクローナル抗体およびこれらのフラグメントの産生のための発現系において有用である。これらはまた、生物学的なサンプルにおける所望のヒトモノクローナル抗体をコードする免疫グロブリン遺伝子の存在をアッセイするためのハイブリダイゼーションプローブとして有用である。さらに、このポリヌクレオチドは、所望のポリヌクレオチドの増幅をもたらすプライマーとして有用である。本発明のポリヌクレオチドはまた、ワクチンを含む薬学的組成物および遺伝子治療に有用であり得る。
【0113】
本発明において具現化される抗体およびポリペプチドは、標準的な診断手順において使用され得る特定の試薬を提供する。具体的には、抗体またはこれらの免疫反応性のフラグメントは、標的の抗原の検出のための免疫アッセイにおいて使用され得る。本発明の診断方法を実施するために、本発明の組成物の1つは、これらが反応するサンプル中の、標的の抗原を検出する試薬として提供される。標的の抗原は、診断パラメーターが測定される個体から適切な生物学的なサンプルを得ることによって供給される。関連する生物学的なサンプルは、標的を含むことが予想される細胞サンプルまたは組織サンプルである。免疫アッセイを実行するための手順は、この分野において十分に確立されており、それ故、本明細書中には詳述しない。
【0114】
本発明の方法によって作製されたヒトモノクローナル抗体はまた、ヒトの疾患の処置または予防に有用性を有し得る。このモノクローナル抗体を使用して、疾患の発達および/または進行において中心的な役割を担っている標的の抗原の活性を調節し得る。例えば、ヒト乳癌細胞の増殖を選択的に阻害する、(市販され、そして商標HERCEPTIN(登録商標)下の)ヒト化抗Her2抗体は、今や、乳癌抗原Her2を過剰発現する、何万の乳癌患者を処置するための強力な薬剤として使用されている。従って、本発明のヒトモノクローナル抗体はまた、標的の抗原の生物学的な活性を増強または阻害する能力を試験され得る。
【0115】
本発明は、ヒト細胞から作製されるヒトモノクローナル抗体として開示されるが、本発明をまた、使用して、本明細書中に開示される技術を使用することによってヒト以外の哺乳動物からモノクローナル抗体を作製し得ることは平均的な当業者に容易に理解される。
【0116】
以下の実施例は、本発明の代表的なモノクローナル抗体の調製、特徴付けおよび使用の詳細な説明を提供する。これらの実施例は、いかなる方法においても本発明を制限しないことが意図される。
【0117】
(実施例)
(実施例1:末梢血からのリンパ球の単離)
ヒトリンパ球を、National Blood Bankから入手した「軟膜」から単離した。この軟膜を、1容量のCa++/Mg++を含まないPBSで希釈した。この希釈された軟膜を各50mlの遠心管中の10mlのLYMPHOPREPTM分離培地(密度:1.077g/ml,Nycomed Pharma As,Oslo,Norway)の頂部に注意深く積み重ね、そして20℃、800gで30分間遠心分離した。遠心分離後、赤血球が、管の底に沈殿していたとき、このリンパ球は、LYMPHOPREPTM溶液上で白いバンドを形成した。このリンパ球を、新しい遠心管に回収し、そしてPBSで2回洗浄した。各調製物のリンパ球の収量は、3×10〜5×10細胞の間であった。この単離されたリンパ球を、即座か、または目的の抗原(単数/複数)との24〜48時間の培養後のいずれかで特異的なB細胞選択のために使用した。
【0118】
(実施例2:目的の抗原によるBリンパ球のインビトロ免疫化/活性化)
この方法によって、特定のB細胞を、選択の前に抗原によって活性化した。上で単離されたリンパ球を、107細胞/mlの密度で、インビトロ免疫化培地(10μg/ml インスリン、10μg/ml トランスフェリン、10nM セレン、3nM プロゲステロン、2,5μg/ml ヤマゴボウマイトジェンおよび10ng/ml IL−2を補充されたF12/DMEM)中に希釈した。次いで、この細胞を、細胞であって当該細胞に対してモノクローナル抗体が生成されたものの単層上にプレートした。本発明者らは、ヒト胎児脳初代細胞株、ヒト胎児卵巣細胞株、ヒト肺癌腫細胞株A569(ATCC登録番号CCL185)、および成人ヒトシュワン細胞株を使用した。
【0119】
ヒト胎児脳初代細胞株を、ラット神経上皮細胞に関して以前に記載された改変方法によって、妊娠8週間の胎児脳から培養した。例えば、Li,R.H.ら,Endocrine 15,205〜217(1996)を参照のこと。この細胞を、ラミニン(lifetechnologies,カタログ番号23017015)でコートされたプレート上でインスリン(5μg/ml,Sigmaカタログ番号I0259)、トランスフェリン(10μg/ml,Sigmaカタログ番号T4132)、亜セレン酸ナトリウム(10nM,Sigmaカタログ番号S5621)、プロゲステロン(3nM,Sigmaカタログ番号P0130)、a−トコフェロール(5μg/ml,T1539)、フォルスコリン(3μM,Calbiochem,カタログ番号344270)、上皮増殖因子(10ng/ml,Life Technologies,カタログ番号13247051)、ウシ血漿フィブロネクチン(10μg/ml、Sigma,カタログ番号F1141)および30%のシュワン細胞馴化培地を補充した無血清培地F12/DMEMに移した。
【0120】
ヒト胎児卵巣細胞株を、同時係属中の米国特許番号09/545,659号(その全体の内容は、その全体が参考として援用される)に開示される方法を使用して得た。
【0121】
成人ヒトシュワン細胞株は、Li,R.ら、Journal of Neuroscience 16:2012〜2019(1996)に概説される以下のプロトコルによって平均的な当業者によって入手され得る。
【0122】
(実施例3:所望の抗原−結合特異性を有する形質転換されていないB細胞の選択)
特異的な抗原に対するB−リンパ球の選択に前に、リンパ球を無血清培地中で0.25%のコラゲナーゼ/ディスパーゼと共に30分間インキュベートして、リンパ細胞表面を清浄した。この工程は、選択的なB細胞の結合の間、細胞の凝集を軽減し、そして特にインビトロでの免疫化の間、その抗原に曝露されていた細胞に関して、B細胞の表面から結合抗原を除去するのに重要である。次いで、この細胞を、無血清培地で2回洗浄して、残りの酵素を除去した。この清浄した細胞を、計数し、パニングの準備として10細胞/mlの密度になるように無血清培地に希釈した。
【0123】
この選択プロセスは、無血清培地において約5%〜100%のコンフルエンスで単層の細胞を播種することが続く。リンパ球の懸濁液を、単層に添加し、そして37℃で1時間インキュベートして、B細胞の表面の免疫グロブリンの特異的認識を介してB細胞を、B細胞の特異的な抗原に結合させた。培養物の緩やかな攪拌を行なって、約15分の間隔で細胞を混合した。インキュベーション後、遊離したリンパ球をCa++/Mg++を含まないPBSで標的の細胞の単層から洗い流し、そして回収し、1500rpmで10分間遠心分離した。この遊離したリンパ球を、10cmの距離で、短波UV(254nm)を35分間、UVGL−58で30分間UV照射に曝露することによって死滅させた。このUV処理されたリンパ球を、培養中3日以内で死滅しそして選択されたBリンパ球のクローン増殖のためのフィーダー細胞として使用した。洗浄を介して標的細胞の単層に結合したままのB細胞は、「選択されたBリンパ球」として称された、その細胞表面上に特異的な免疫グロブリンを有するB細胞である。次いで、この細胞を、37℃で0.02%のEDTAを含むPBS中で15分間のインキュベートによって標的の単層細胞と共に培養プレートから剥がした。この細胞を、回収しそして無血清培地で洗浄した。
【0124】
(実施例4:選択されたB細胞のクローンの増大)
選択されたB細胞を、インスリン(10μg/ml)、トランスフェリン(10μg/ml)、セレン(10nM)、プロゲステロン(3nM)、ヤマゴボウマイトジェン(2.5μg/ml)、IL−2(10ng/ml)および熱不活性化ウシ胎仔血清(5%)を補充された培養培地F12/DMEMにおいて96ウェル組織培養マクロタイタープレート中にプレートした。必要に応じて、ウシ胎仔血清を添加する。この培地は、選択前に事前に活性化されたB細胞のクローンの増大を補助し得る。1つの96ウェルプレートに10個の開始リンパ球ごとの選択されたB細胞をプレートする。抗原との前選択活性化をしていないリンパ球のプールから選択されたB細胞に関して、UV照射されたリンパ球(10細胞/ウェル)かまたはヒト肝臓間質細胞(10細胞/ウェル)かのいずれかのフィーダー細胞を加えた。両方のフィーダー細胞は、B細胞の増殖を補助する。この細胞を、37℃かつ5%COで培養した。培養培地を、3日で半分交換した。培養の最後に(通常、6〜10日)、この培養物を、免疫細胞化学のために固定するかまたは全RNA抽出のために使用するかのいずれかを行なった。
【0125】
(実施例5.免疫細胞化学)
免疫細胞化学分析を行い、これらの拡大された形質転換されていないB細胞が、抗体を産生する能力を維持することを確かめた。96ウェルプレート中の培養物を、2500rpmで10分間遠心分離した。培地を注意深く除去し、そして細胞を、直ちにエタノール(−20℃)で固定しそして風乾した。次いで、これらの固定した培養物を、室温で30分間、100%エタノール中の3%Hで処理して、内因性ペルオキシダーゼ活性を不活化し、その後、PBSで3回リンスして、残留Hを除去した。これらの培養物を、10% 胎仔ウシ血清および0.1% Tween 20を含むPBS中に1:100で希釈した西洋ワサビペルオキシダーゼ結合体化抗ヒトκ軽鎖抗体(Sigma,Cat# A7164)と共に、インキュベートした。室温で2時間のインキュベーション後、培養物を、PBSで3回洗浄し、そして新しく調製したMilli−Q水で2回洗浄した。最後に、これらの培養物を、酢酸ナトリウム緩衝液(pH 5.05)およびH(0.003%)中に調製したペルオキシダーゼ基質であるジアミノベンザジン(1mg/ml)と共に、5分間インキュベートした。インキュベーションの終了時に、培養物を、水で洗浄しそして顕微鏡下で試験した。κ軽鎖を発現するB細胞は、赤褐色に染色された。κ軽鎖陽性コロニーを含むウェルの数および各ウェル中の陽性クローンの数を、カウントした。結果は、κ軽鎖陽性コロニーを含むウェルの割合が、0〜95%まで、調製物間で大きく変化することを示した。この変動は、リンパ球の個々のドナーに依存し、それ故、予測されていた。コロニーの平均サイズは、約20細胞であった。最も大きいコロニーは、約100個の細胞を有した。
【0126】
(実施例6:免疫グロブリン遺伝子の単離)
総RNAを、Qiagen Mini−spin総RNA単離キットを用いて、個々のウェルの培養物から抽出した。最終溶出液容量は、30μlであった。第1鎖cDNAを、10μl反応混合物(4.6μlの総RNAサンプル、20mM Tris(pH 8.3)、100mM KCl、5mM MgCl、1mM 各デオキシヌクレオチド(dATP、dTTP、dCTPおよびdGTP)、25ユニットのRNAaseインヒビター、ならびに10ユニットのAMV逆転写酵素)中、軽鎖逆転写プライマー(ctc tcc cct gtt ga)または重鎖逆転写プライマー(agt ttt gtc aca aga)のいずれか(1μM)を使用して、第1鎖cDNA合成キットを用いて合成した。この反応を、37℃で10分、42℃で60分および99℃で10分のサーマルサイクラー設定で行った。
【0127】
軽鎖cDNAの第2鎖を、縮重プライマー(gga gaa ata gtg atg ac(c/t/g)cag(t/a)ct c)、1ユニットのTaqポリメラーゼ、および1ユニットのDNAポリメラーゼのKlenowフラグメントを用いて合成した。この反応を、37℃で10分、次いで、温度を2℃/分の速度で50℃にまで上昇させ、そして最後に72℃の温度で1分、で行った。この軽鎖の増幅は、増幅プライマー(tca ctc tcc cct gtt gaa gct ctt)の添加および50μlの10mM Tris(pH 8.3)、50mM KClおよび1.5mM MgClへの反応混合物の希釈を伴った、ポリメラーゼ連鎖反応によって完了した。このPCRを、95℃で30秒、63℃で60秒および72℃で20秒の45サイクルで行った。このサイクルの最後に、72℃で7分間の最終伸長を行った。これらのPCR産物を、75ボルトで5時間、Tris−ホウ酸 EDTA緩衝液中の1%アガロースゲル上で分画した。軽鎖産物の予期されたサイズは、約630bpであった。
【0128】
重鎖の合成および増幅は、軽鎖と同様であった。第2鎖合成において、プライマー(ct cag tgt cag atc ctc a(c/t)c atg g)を、重鎖の開始コドンの部位にアニールさせた。PCRのために、増幅プライマー(tca agt ttt gtc aca aga ttt ggg ctc aa)を使用した。サーマルサイクラーの設定は、軽鎖と同じであった。
【0129】
(実施例7:PCR産物のクローニング)
これらの増幅したDNA産物を、ゲル電気泳動に供する。予測されたサイズのcDNAのバンドを、切り出しそしてQiagenゲル精製キットを用いて精製する。重鎖cDNAは、直ちに、Promegaから購入したTAクローニングキットを用いて、4℃で一晩pTargeTベクターに連結する。軽鎖については、シグナルペプチドcDNA(使用したプライマー:atg gaa acc cca gct cag ctt ctc ttc ctc cta cta ctc tgg ctc cca gat acc act gga gaa ata gtg atg acおよびtca gtt gaa gct ctt tgt gac)を、第2ラウンドのPCRによってその5’−プライムに結合し、そしてこの産物を、ゲル精製キットで再度精製する。この最終産物を、pTargeTベクターに連結する。これらの連結産物を、E.coliのJ109株に形質転換し、LB/アンピシリン/x−Gal/IPTGプレート上にプレートする。これらのプレートを、37℃で一晩培養する。各プレートは、通常、数百個の白色コロニーを生じる。
【0130】
(実施例8:哺乳動物細胞における免疫グロブリンcDNAの発現)
pTargeTベクターは、CMVプロモーター(これは、cDNA挿入物が哺乳動物細胞中で発現されるのを可能にする)、T7プロモーター(これは、原核生物発現を可能にする)、およびG418耐性をコードするneo遺伝子を含む。クローンB細胞由来の免疫グロブリンmRNAが、首尾よく増幅されそしてpTargeTプラスミドにクローニングされていることを確かめるために、プラスミドDNAの微量調製を、上記LBプレートの各々で増殖された約200個の白色コロニーのプールから行う。次いで、本発明者らは、Gibco BRL製のリポフェクタミン試薬を用いて、このプラスミドDNAをCOS細胞にトランスフェクトする。手短には、1μgのプラスミドDNAを、100μl F12 DMEM中に希釈し、そして5μlのリポフェクタミン試薬を、100μl F12/DMEDに希釈する。このトランスフェクション混合物を作製するために、これらの2つの溶液を、直ちに一緒に混合しそして室温で15分間静置する。次いで、この混合物を、800μl F12/DMEMで希釈し、そして50%コンフルエントのCOS細胞単層上に重層し、そして無血清培地で洗浄する。これらのCOS細胞を、このトランスフェクション混合物と共に、37℃で4時間インキュベートする。次いで、トランスフェクション混合物を除去し、そして細胞を、無血清培地で1回洗浄しそして10%血清を含むF12/DMEMを供給する。24時間後、これらの培養物を、PBSで洗浄し、エタノールで固定し、そして免疫組織化学のために処理する。
【0131】
免疫グロブリン発現COS細胞の同定に際して、次いで、これらのプラスミドのプールを、細胞に再形質転換して、特定のコロニーを単離する。PCR、原核生物発現、および抗体検出を用いる哺乳動物発現を使用して、これらの特定のコロニーをスクリーニングする。軽鎖および重鎖の両方が、個々のB細胞クローンからクローニングされる場合、この軽鎖および重鎖を、哺乳動物細胞中で同時発現させ、Fabとして直接的にかまたはFcフラグメントを含有するベクターにサブクローニングした後に免疫グロブリン全体としてのいずれかで、ヒトモノクローナル抗体を産生させる。安定な細胞株が、ヒト抗体の連続的な産生のために樹立され得る。
【0132】
(実施例9:ヒト胎児膵臓細胞に対するヒト抗体の作製)
(B細胞の培養)
ヒトリンパ球を、LYMPHOPREPTMの層を通す遠心分離(1500rpmで30分間)によって、バフィコートから単離した。このリンパ球を、1500pmで10分間の遠心分離によってPBSで洗浄した。このリンパ球(約5×10)を、無血清培地中でリンスしたコンフルエントなhPED細胞の新鮮なプレート(100mmディッシュ)に添加した。hPED細胞は、ヒト胎児膵臓前駆細胞であり、これは、同時係属米国特許出願番号09/546,577(この内容は、その全体が参考として援用される)に開示される方法に従って得られ得る。この培養物を、37℃で1時間インキュベートし、特定のB細胞にhPD細胞を結合させた。インキュベーション後、この細胞培養プレートを、PBSで5回洗浄して、遊離の白血球を除去した。これらの遊離のリンパ球を、遠心分離によって収集し、そして10mlの無血清F12/DMEM中に再懸濁し、そして2つの100mmディッシュに分配した。これらのプレートを、Stratalinker(Stratagene製のUVリンカー)中に置き、そして蓋をしたまま、高いエネルギー設定で15分間UV光に曝露させた。UV照射した細胞を、結合したB細胞の培養のためのフィーダー層として使用した。この結合したB細胞を、hPED細胞の単層と一緒に、0.02% EDTA/PBS中37℃での15分のインキュベーションによって、これらのプレートから脱離した。次いで、これらの細胞を、1500rpmで10分間の遠心分離によって収集し、そして3つの96ウェルプレート中にプレートした。各ウェルは、5%ウシ血清、IL−2(10ng/ml)、Pokerweedマイトジェン(2.5μg/ml)、および遊離白血球から調製したUV照射したフィーダー細胞を補充した、150μl F12/DMEMを含んだ。培養の3日目、培養培地の半分を除去し(すなわち、150μlの総量から75μlを除去した)、そして等量の1日目と同じ培養培地で置換した。6日目に、1つのプレートを、エタノールで固定しそして抗ヒトκ鎖免疫組織化学で染色した。ほぼ全培養物ウェルが、Igκコロニーを含んだ。7日目に、他の2つのプレート中の細胞を、Qiagen RNeasyキット(Cat No.74104)中に供給される溶解緩衝液で溶解しそして−80℃で凍結させた。
【0133】
(B細胞コロニーからの免疫グロブリンcDNAのクローニング)
B細胞コロニーからの免疫グロブリン遺伝子のクローニングのためのストラテジーは、細胞表面ディスプレイ系に基づいた。この方法によって、以下により十分に詳述するように、重鎖および軽鎖の両方を、B細胞コロニーから調製した総RNAから逆転写した、第1鎖cDNAから増幅した。重鎖を、制限部位BglIIおよびSalIによってpDisplay(Invitrogen cat no.V660−20)にクローニングした。重鎖Fd領域を、赤血球凝集素A−Fd−myc−PDGF膜ドメインを含む融合タンパク質として発現させた(Fd領域は、N末端からヒンジまでの範囲の免疫グロブリン重鎖を意味する)。このストラテジーによって、重鎖は、B細胞表面上に提示される。しかし、軽鎖は、pTargeTベクター中で分泌タンパク質として発現させた。従って、軽鎖および重鎖の同時発現は、細胞表面上にFabを生じる。その抗原に対するFabの特異的結合を、標的細胞に対するこれらの宿主細胞の結合によって実証した。一方、Fab融合タンパク質を、特異的結合について試験するために、その細胞表面から抽出した。
【0134】
より詳細には、総RNAを、1つのプレートから、Qiagen Rneasyキット(Cat No.74104)によって抽出した。逆転写を、Promega cDNA合成キット(cat.No.A3500)を用いて10/3/2000に行った。反応混合物を、各サンプルについて以下のように調製した:
【0135】
【表1】
Figure 0004790959
総反応容量は、20μlであり、そしてRNAサンプルを、使用直前に65℃で5分間変性させそして直ちに氷中で冷却した。
【0136】
この反応混合物を、サーマルサイクラー(Techne製のGeniusモデル)中に置き、以下のパラメーターに従った:25℃で10分、42℃で30分、99℃で10分。特異的なcDNAが、QiagenホットスタートDNAポリメラーゼを用いるPCRによって増幅された。
【0137】
PCR反応混合物を、以下の表に記載されるように調製した:
【0138】
【表2】
Figure 0004790959
重鎖プライマーセット:
HHR1:gccagatctcccgtkgtgcagtcyggrscwgaggtg
HHF1:ttcgtcgacctgtttgtcacaagatttgggctcaa
ここで、yはcまたはtであり、wはaまたはtであり、sはcまたはgであり、rはaまたはgであり、そしてkはtまたはgである。
【0139】
このプライマーは、GibcoBRLにより注文製作された。このPCR反応を、95℃で2分間の最初の変性、その後、95℃で30秒間、55℃で30秒間、および72℃で30秒間を45サイクル、そして72℃で7分間の最終伸長のためのサーモサイクラー設定上で実行した。
【0140】
その生成物を、1%アガロースゲル中に電気泳動により分画し、そしてそのDNAフラグメントを、Qiagenから購入したゲル精製キット(カタログ番号28706)によりそのゲルから精製した。このDNAを、50μl EB緩衝液中で溶出した。この精製cDNAフラグメントを、制限酵素を用いて消化した。以下をその50μl DNAサンプルに添加した:6.5μlの10×H緩衝液、および5μlのSalI(カタログ番号567 663(10単位/μl))および5μlのBglII(カタログ番号567 639(10単位/μl))。両方の酵素は、Roche Molecular Biochemicalsから購入した。この反応混合物を、37℃で1時間インキュベートした。この反応終了時に、この反応混合物を、PCR精製キット(カタログ番号28106)を用いて精製し、そしてこのキットとともに供給された30μlの溶出緩衝液中で溶出した。
【0141】
プラスミドpDisplayをInvitrogengから購入した。このプラスミドを増幅するために、20μgのプラスミドDNAを、200μlのTris−EDTA緩衝液(pH7.0)中に溶解した。このプラスミドを、JM109コンピテント細胞(Promega pTargeTベクターシステム、カタログ番号A1410)中に形質転換し、そしてLB/アンピシリン(100μg/ml)プレート上に配置した。単一コロニーを選択し、そして100μg/mlアンピシリンを含む25ml LB培地中で一晩増殖させた。プラスミドDNAを、Qiagenミニプレップキットを用いて単離した。約100μgの単離プラスミドDNAを、H緩衝液中で200単位のSalIおよびBglIIを用いて4時間消化した。この消化したDNAを、1%アガロースゲル上で2回分画し、そしてゲル抽出キット(Qiagenカタログ番号28706)を用いて精製した。この精製pDisplay SalI/BglIIフラグメントを、別個のアリコート中に分散し、そして使用するまで−80℃で保存した。
【0142】
重鎖cDNAフラグメントを、10×(300mM Tris−HCl(pH7.80)、100mM MgCl、100mM DTT、10mM ATP)中の供給業者により提供されるリガーゼ緩衝液中で、T4 DNAリガーゼ(Promega、カタログ番号M1794)を一晩用いてpDisplay SalI/BglIIに連結した。連結したDNAを、JM109コンピテント細胞中に形質転換し、そしてアンピシリン/LBプレート上に配置した。バックグラントのアンピシリン耐性コロニー数は、同じ条件でこのプラスミドDNA単独の連結によって決定したところ、約2〜3コロニーであった。各プレートから、10コロニーをプールし、そして5ml LB/アンピシリン中で一晩増殖させた。プラスミドDNAを、Qiagenミニプレップキット(カタログ番号27106)により単離した。
【0143】
軽鎖cDNAフラグメントを、2つのPCR反応によって増幅した。第1回は、以下の軽鎖プライマーセットを用いて実行した:ggagaaatagtgatgacbcagwctcおよびtcactctcccctgttgaagctctt(wはaまたはtであり、そしてbはtもしくはcもしくはgである)。PCR生成物をゲル精製し、そして第2回のPCRを、5’末端に1つの配列を付着するために実行した。使用したプライマーは以下であった:atg gaa acc cca gcg cag ctt ctc ttc ctc ctg cta ctc tgg ctc cca gtt tca gat acc act gga gaa ata gtg atg ac、およびtca gtt gaa gct ctt tgt gac。サーマルサイクラー設定は、以下であった:95℃で2分間、50℃で30秒間、および72℃で30秒間の開始後、95℃で30秒間、55℃で30秒間、72℃で30秒間を40サイクル。その生成物を、再びゲル精製し、そしてpTargeT哺乳動物発現ベクター(Promega pTargeTベクターシステム、カタログ番号A1410)に連結した。この連結したDNAを、JM109細胞中に形質転換した。LB/アンピシリンプレート上で一晩培養後、プラスミドDNAのミニプレップを行うために10コロニーをプールした。
【0144】
(特異的抗体についてのスクリーニング)
軽鎖cDNAおよびそれらの各重鎖cDNAのプールを、細胞表面提示抗体の発現のために、CHO−k1細胞中に同時トランスフェクトした。CHO−k1細胞株は、Bio−Whitaker’sから購入し、5%ウシ胎仔血清を含むF12/DMEM中で増殖させた。35mm皿のCHO細胞をトランスフェトするために、B細胞クローンから調製した軽鎖cDNAおよびその各重鎖cDNA((100μlのF12/DMEM培地中)軽鎖cDNAおよびその各重鎖cDNAが、各々1μg)を、7μlのリポフェクタミン試薬(Gibco BRLカタログ番号1081302)を含む100μlのF12/DMEMと混合した。この混合物を、室温で30分間静置して、リポソームを形成させた。その後、混合物を、0.8mlのF12/DMEMで希釈し、そして無血清培地で洗浄したCHO細胞単層に添加した。この培養物を4時間トランスフェクトし、その後、このトランスフェクション混合物を除去し、そして細胞に、5%ウシ胎仔血清を補充したF12/DMEMを供給した。
【0145】
24時間培養後、このトランスフェクトしたCHO細胞をPBSで洗浄し、そして、0.02% EDTAを含みCa++とMg++を含まないPBS中で、37℃で15分間インキュベートした。この細胞を、ピペットを用いる穏やかな粉砕によって培養皿から剥離させた。得られた細胞懸濁物を、1000rpmで10分間の遠心分離によって沈殿させた。その上清を除去した後、その細胞ペレットを、0.02% EDTAと0.5%を含みCa++とMg++を含まないPBS中に再懸濁した。
【0146】
35mm皿において増殖させたhPED細胞の単層を、3%スクロース中0.125%のグルタルアルデヒド中に、室温で1時間固定した。この固定した細胞をPBS中で3回洗浄し、そして0.1M NHHCO中1%のBSA中で、37℃で1時間ブロックした。この固定した細胞を再びPBS中で洗浄した。CHO細胞上に発現された抗体がhPED細胞に結合するか否かを試験するために、上記のように調製したトランスフェクトしたCHO細胞懸濁物を、この固定したpPED細胞に添加し、そして4℃で一晩インキュベートした。未結合細胞を、流れるPBSを用いて洗い流した。結合細胞を、すぐにインサイチュ固定するか、または0.2% Triton X−100(Sigmaカタログ番号T9284)により溶解した後にエタノール固定するかのいずれかを行った。この固定した培養物を、正常ヤギ血清(PBS中5%)中で再びブロックし、そして抗ヒトIgG(H+L)−ペルオキシダーゼ(Southern Biotechnology Associates,Inc.、カタログ番号6005−05、1:100希釈)中で4℃で一晩インキュベートした。インキュベーション後、この細胞を、PBSで3回(各回5分間)リンスし、そしてMilli−Q水で2回(各回5分間)リンスした。リンス後、この細胞を、0.1M酢酸ナトリウム(pH5.05)および0.003%過酸化水素(Sigmaカタログ番号H1009)中のジアミノベンジジン(1mg/ml、Sigmaカタログ番号D5637)中で、室温で20分間インキュベートした。20ウェルのB細胞から増幅した20セットの軽鎖cDNAおよび重鎖cDNAを試験した後、hPED細胞への特異的結合を示す、3セットを見出した。図4は、1例である、クローン番号3を示した。コントロールとしての、ヒト免疫グロブリンcDNAのトランスフェクションを伴わないCHO細胞株は、このアッセイにおいてネガティブな染色を示した(パネルA)。クローン番号3由来の軽鎖および重鎖のヒト免疫グロブリンcDNAで同時トランスフェクトしたCHO細胞は、hPED細胞に結合し、そしてヒト免疫グロブリンについて特異的染色を示した(パネルB)。この同時トランスフェクトしたCHO細胞の結合が、細胞表面上のヒト抗体への特異的結合に以外の機構に起因するという可能性を排除するために、この結合CHO細胞を、Triton X−100溶液中で溶解し、その後固定した。従って、hPED細胞に特異的に結合したヒト抗体のみが、インサイチュで残り、そして茶色がかった染色で染色した(パネルC)。CHO細胞上で発現された抗体が、hPED細胞に特異的に結合した。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aは、リンパ球への結合前のヒト胎児卵巣上皮細胞単層のマイクロ写真である。図1Bは、ヒト胎児卵巣上皮細胞単層に結合したリンパ球のマイクロ写真である(矢印によって示される)。図1Cは、ヒト胎児卵巣上皮細胞に結合したB細胞の白黒マイクロ写真であって、矢印は、抗κ軽鎖免疫組織化学によって染色されたB細胞を示す。図1Dは、6日間培養後に抗κ軽鎖で染色されたB細胞コロニーのカラーマイクロ写真である。図1Eは、拡大されたB細胞コロニーから増幅された軽鎖cDNAフラグメントを示したPCR産物のアガロースゲル分析である(矢印によって示される)。レーン1〜9は、9個の異なるコロニーを表す。
【図2】 図2Aは、ヒト胎児卵巣上皮細胞株に対して選択されたB細胞から拡大されたB細胞コロニーのマイクロ写真である。B細胞を、抗κ軽鎖抗体で染色した(緑色矢印によって示される)。B細胞が依然として標的細胞に結合していたことに留意のこと(黒色矢印で示される)。図2Bは、インビトロで拡大された特異的B細胞コロニーから増幅されたcDNA挿入物を含むpTargeTプラスミドでトランスフェクトされた後の、κ軽鎖を発現するCOS細胞の抗κ軽鎖での免疫組織化学的検出のマイクロ写真である。
【図3】 図3は、ヒトモノクローナル抗体を産生する本発明の好ましいプロセスを描写するフローチャートである。
【図4】 図4は、ヒト免疫グロブリンについての免疫組織化学のマイクロ写真である。図4Aは、トランスフェクトされていないコントロールCHO細胞と共にインキュベートされ、そして免疫組織化学によってヒト免疫グロブリンについて染色された、HPED細胞である。培養物中に如何なる染色も存在しないことに留意のこと。図4Bは、B細胞クローンから増幅された免疫グロブリン重鎖cDNA挿入物を含むpDisplayプラスミドと、B細胞クローンから増幅された免疫グロブリン軽鎖cDNA挿入物を含むpTargeTプラスミドとにより同時トランスフェクトされたCHO細胞を吸着し、そして免疫グロブリンについて染色された、HPED細胞である。hPED単層に結合したCHO細胞が、免疫グロブリンについて強力な染色を示したことに留意のこと。例示は、矢印によって示される。図4Cは、パネルBにおいてのようにトランスフェクトされ、hPED単層に結合したCHO細胞であり、この細胞を、ヒト免疫グロブリンについての免疫組織化学の前に0.1%トリトンにより溶解した。それにより、CHO細胞表面上で発現され、そしてhPED細胞に結合されたヒト抗体のみが、hPED細胞上に残存し、そして免疫組織化学によって染色される。矢印は、例示を示した。

Claims (25)

  1. ヒト細胞表面抗原と免疫反応性であるヒトモノクローナル抗体を産生するための方法であって、
    (a)複数の形質転換されていないヒトBリンパ球を含むヒトリンパ球の単離された集団を提供する工程;
    (b)前記形質転換されていないヒトBリンパ球を、固定化された細胞表面抗原を担持するヒト細胞と接触せしめ、そして当該形質転換されていないヒトBリンパ球の1又は複数が当該細胞表面抗原を担持するヒト細胞に特異的の結合することを可能にする工程;
    結合していないB細胞を除去し、これにより前記細胞表面抗原を担持するヒト細胞に特異的に結合する該形質転換されていないヒトBリンパ球を選択する工程;
    )B細胞増殖を支援する条件下で培地中で(c)の選択されたBリンパ球を培養して、前記ヒト細胞表面抗原と免疫反応性であるヒトモノクローナル抗体を産生する、複数の形質転換されていないB細胞クローンを生じさせる工程;および
    前記形質転換されていないB細胞クローンを、必要に応じて単離する工程、
    を含む、方法。
  2. 工程)前記ヒトモノクローナル抗体の重鎖の抗原結合フラグメントをコードする配列を含むポリヌクレオチドを、(d)の単離された形質転換されていないB細胞クローンから単離する工程;
    前記ヒトモノクローナル抗体の軽鎖の抗原結合フラグメントをコードする配列を含むポリヌクレオチドを、工程)の単離された形質転換されていないB細胞クローンから単離する工程;および
    工程)および()のポリヌクレオチドを発現させて、該ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントを生じる工程、
    をさらに含む、請求項に記載の方法。
  3. 前記配列がポリペプチドをコードし、ここで当該ポリペプチドが、二重特異性抗体、キメラ抗体、Fab、F(ab)'2、単鎖V領域フラグメント(scFv)、又は融合ポリペプチドであり当該融合ポリペプチドが、化学的に官能性の成分に結合した前記抗原結合フラグメントを含む、請求項に記載の方法。
  4. 前記化学的に官能性の成分が、シグナルペプチド、免疫学的反応性を増強する因子、固体支持体への結合を容易にする因子、ワクチンキャリア、生体応答性改変因子、毒素、検出可能な標識、又は薬物である、請求項に記載の方法。
  5. 前記免疫反応性を増強する因子が、細菌スーパー抗原である、請求項に記載の方法。
  6. 前記固体支持体への結合を容易にする因子が、ビオチン又はアビジンである、請求項に記載の方法。
  7. 前記生体応答性改変因子が、サイトカインである、請求項に記載の方法。
  8. 前記サイトカインが、腫瘍壊死因子、インターロイキン−2、インターロイキン−4、インターロイキン−12、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子又はγ−インターフェロンである、請求項に記載の方法。
  9. 前記検出可能な標識が、酵素、放射性部分又は発光性部分である求項に記載の方法。
  10. 前記ヒト細胞表面抗原が、生物学的化合物であるかまたは化学的化合物である、請求項1に記載の方法。
  11. 前記ヒト細胞表面抗原が細胞タンパク質であり当該細胞タンパク質が、レセプターリガンド、分泌タンパク質、細胞表面レセプター、細胞質ゾルタンパク質又は核タンパク質である、請求項1に記載の方法。
  12. 前記ヒト細胞表面抗原が、インタクトな細胞の表面上に提示される、請求項1に記載の方法。
  13. 前記細胞の表面が血清を含まない、請求項12に記載の方法。
  14. 前記細胞が真核生物細胞である、請求項12に記載の方法。
  15. 前記ポリヌクレオチドが、宿主細胞において1つ以上の遺伝子送達ビヒクルによって発現される、請求項に記載の方法。
  16. 前記遺伝子送達ビヒクルが、ウイルスベクター、リポソーム又はプラスミドである、請求項15に記載の方法。
  17. 前記宿主細胞が真核生物細胞である、請求項15に記載の方法。
  18. 特定のヒト細胞型を表すヒト細胞表面抗原に特異的に結合するヒトモノクローナル抗体の集団を産生するための方法であって、
    (a)複数の形質転換されていないヒトBリンパ球を含むヒトリンパ球の単離された集団を提供する工程;
    (b)前記形質転換されていないヒトBリンパ球を、前記特定のヒト細胞型の固定化されたヒト細胞と接触せしめ、そして1又は複数の形質転換されていないヒトBリンパ球が当該固定化されたヒト細胞に特異的の結合することを可能にする工程;
    結合していないBリンパ球を除去し、これにより前記特定の型のヒト細胞に特異的に結合する形質転換されていないヒトBリンパ球を選択する工程;および
    )B細胞増殖を支援する条件下で培地中で工程(b)の選択されたBリンパ球を培養して、複数の形質転換されていないB細胞クローンを生じさせ、それによって、該特定のヒト細胞型を表すヒト細胞表面抗原への結合特異性を示すヒトモノクローナル抗体の集団を産生する工程、
    を含む方法。
  19. (工程(d)の複数の形質転換されていないB細胞クローンから生ずるヒトモノクローナル抗体の集団の重鎖または軽鎖の抗原結合フラグメントをコードする配列を含むポリヌクレオチドの集団を単離する工程;および
    当該ポリヌクレオチドを発現させて、前記ヒトモノクローナル抗体またはその抗原結合フラグメントのポリペプチドの集団を生じさせる工程、
    をさらに包含する、請求項18に記載の方法。
  20. 前記特定の型の細胞が、単層形態で増殖される、請求項18に記載の方法。
  21. 前記特定の型の細胞が、胚起源であるかまたは成体起源である、請求項18に方法。
  22. 前記特定の型の細胞が、外胚葉起源であるか、内胚葉起源であるか、または中胚葉起源である、請求項18に方法。
  23. 前記特定の型の細胞の表面が血清を含まない、請求項18に方法。
  24. 前記特定の型の細胞が、無血清培地中で増殖された、請求項23に記載の方法。
  25. 前記特定の型の細胞が、細菌、真菌、ウイルス又はマイコプラスマに感染している、請求項12または請求項18に記載の方法。
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