JP2014518080A - 細胞のスクリーニング方法 - Google Patents

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Abstract

本発明は、例えば、機能的活性及び/又は多抗原特異性を有する目的の抗体を分泌する細胞を同定、単離及び回収するためのハイスループットスクリーニング法に関する。本発明は更に、該抗体のVH/VL配列のクローニング、及び、目的の特徴を有する、それらから由来する組換えモノクローナル抗体の生成のための方法を提供する。

Description

本発明は、免疫学の分野に関し、より詳細には、例えば、所望の機能的活性及び/又は多抗原特異性を有する目的の抗体を分泌する細胞を同定、単離、及び回収するための、ハイスループットスクリーニング法に関する。更に、本発明は、目的の特徴を有する組換えモノクローナル抗体を生成するための、該抗体のVH/VL配列を回収及びクローニングするための方法に関する。更に、本発明は、そのようなモノクローナル抗体を生成する細胞を取得する方法、並びに、この細胞を用いてモノクローナル抗体を生成するための方法に関する。
発明の背景
ヒト疾患のための新しく強力且つ安全な抗体ベースの治療法の設計は、製薬会社の主要な目標である。このことは、所望の生物学的活性及び/又は標的抗原に対する特定の結合プロファイルを有する抗体を同定するために、多くのセットのモノクローナル抗体のスクリーニング、生成及び特徴付けを行うことを意味する。
一部の人々は、疾患関連抗原又は自己抗原に対して強い抗体応答を自然に発現する。
従って、既にインビボで生物学的に活性であることが示されている天然のヒトモノクローナル抗体を分泌する細胞を、同定、単離及び回収可能とすることが適切であると考えられる。目的の抗体分泌細胞を単離できれば、公知のインビトロでの組換えDNA技術及び細胞培養法を用いることにより、前記抗体をコードする遺伝子のその後のスクリーニング及び組換えモノクローナル抗体の生成が可能となる。
この特定のアプローチの難しさは、所望のプロファイルを有する抗体(結合特性だけではなく、生物学的活性も有する)をコードする抗体分泌細胞が、多くの場合、血液細胞の総数に対して、更にはB細胞の総数に対して存在頻度の非常に低い(1/1000未満〜1/200000未満)メモリB細胞であるという点である。
従って、抗原特異的抗体を分泌する細胞のうち、そのような生物学的に活性な抗体を分泌するB細胞の頻度は一般に非常に低いため、ヒトのドナーの生物学的試料(例えば、血液試料)からの生物学的に活性な抗体を分泌する細胞の同定、単離及び回収は、特に困難である(例えば、PinnaらのEur J Immunol,2009,39:1260−1270(非特許文献1)を参照)。従って、目的の抗体を生成するB細胞は、循環する細胞の間で非常に低い頻度で存在する非常に稀な細胞であると考えることができる。
更に、これらのメモリB細胞は、(特定の抗原又は他の刺激因子を用いた)刺激がない場合には目的の抗体の生成も分泌も行わず、且つメモリB細胞は、抗体を分泌するために活性化されると寿命が非常に短い。
抗体分泌細胞を検出するためのいくつかの方法が、当該技術分野で知られている。単一の抗体を分泌する細胞を同定する代表的な方法は、酵素結合免疫スポット(ELISPOT)法を含む(Molecular Biotechnology(2001),Volume: 45,Issue:2,Pages: 169−171(非特許文献2))。最近では、細胞アレイを使用して抗体分泌細胞のハイスループットスクリーニングをするステップを含む、B細胞の同定及び単離のための新規の方法が、例えば、米国特許第7,776,553号(特許文献1)、欧州特許第1566635号(特許文献2)、又は欧州特許第2184345号(特許文献3)及びJinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−76(非特許文献3))に記載のISAAC技術において記載されており、希少且つ頻度の低い抗体生成分泌細胞を同定する問題を解決することを目指している。
しかしながら、目的とする生物学的活性及び/又は多抗原特異性を有する抗体を生成するこれらの希少な抗体分泌細胞の同定のための、並びに、該抗体の更なるクローニングのための利用可能な方法の感度及び効率は、依然として向上されるべきである。これは、選択した特徴を示す新しい抗体の同定のために必要な、作業負荷、コスト及び時間の軽減を可能にする。
所望の特徴を示す新たな組換え抗体の回収率は、(i)所望の機能的活性を示す、及び/又は結合プロファイルを示すB細胞を(直接的に、又は分泌された抗体の検出により)同定し、(ii)他の細胞から前記B細胞を選別/単離して、(iii)生存可能なB細胞及び/又は対応する免疫グロブリン可変重鎖遺伝子及び軽鎖遺伝子を回収するための方法の効率に依存する。
上記の観点から、目的の結合及び/又は機能的プロファイルを有する抗体を生成する希少な抗体分泌細胞の同定のための、改良された方法又は代替の方法を見つける必要がある。特に、高い生物学的活性又は特定の多抗原結合プロファイルなどの厳しい要件を満たす高品質の抗体を発現する、希少な、低い頻度のB細胞を識別できるようにする方法を提供する必要がある。
米国特許第7,776,553号 欧州特許第1566635号 欧州特許第2184345号
Eur J Immunol,2009,39:1260−1270 Molecular Biotechnology(2001),Volume: 45,Issue:2,Pages: 169−171 Nature Protocols,2011,6(5)668−76
本発明は、例えば、所望の生物学的活性及び/又は多抗原特異性を有する目的の抗体を分泌する細胞の同定及び単離のための改良された方法を提供することにより、これらの問題のいくつかに対処する。この方法は続いて、目的の特徴を有する、それに由来する組換えモノクローナル抗体を生成するために、前記細胞の回収を可能にし、且つ、前記抗体のVH/VL配列のクローニングを可能にする。
所望の生物学的活性及び/又は特定の結合プロファイルを有する新規なモノクローナル抗体の生成のための本発明の方法を、図1に概略的に示す。
本発明の方法は、選択されたエピトープ/抗原に対する、生物学的活性及び/又は結合プロファイルの事前に画定された要件を満たす抗体を分泌するB細胞を含む、細胞プールの早期同定及び選択により、続いて処理すべき細胞の数を減らすことによって、選択されたプロファイルを有するモノクローナル抗体の生成のための迅速且つ効率的な方法を提供する、ということを示した。特に、細胞スクリーニング及びその後のクローニングステップは、抗体発見キャンペーンの目的として画定された生物学的活性/結合の要件を満たすために選択された細胞プール(ヒット)に由来する細胞に対してのみ行われる。
更に、本発明の方法は、アレイを用いる抗原特異的抗体分泌細胞のスクリーニングにおいてヒットとして選択された、対応する抗体分泌細胞からの、目的のモノクローナル抗体のVH/VL遺伝子対の回収率を増加させる、ということを実証し、特に、これはJinらにおいて記載されたISAAC法に対して利点を有する(Nature Protocols,2011,6(5)668−76)。
従って、第一の態様において、本発明は、抗体分泌細胞を含む細胞集団において、標的抗原に対する抗体を分泌する細胞を同定するための方法に関し、該方法は、
(a)前記細胞集団の細胞をインビトロで刺激して増殖させ、複数の細胞プールを得るために細胞を採取するステップと、
(b)1つ以上の抗原に結合する及び/又はある機能的活性を示す細胞を同定するために、前記細胞プールの上澄み液をスクリーニングするステップと、
(c)最大3つの細胞がアレイの各ウェル中に存在するような条件下で、複数のウェルを含むアレイ中に、前記同定された細胞プールの細胞を付着させるステップと、
(d)前記抗原に対する抗体を分泌する細胞を含むウェルを同定するために、前記アレイのウェル中の細胞を培養し、それらのスクリーニングを行うステップと
を含む。
第二の態様において、本発明は、
(a)上述の方法のステップ(d)の同定されたウェル中に存在する細胞から、又は、該細胞の1つから得られた細胞培養物からmRNAを単離するステップと、
(b)該mRNAの逆転写を行い、対応するcDNAをポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を介して増幅するステップと、
(c)定常領域CH及びCLをコードする対応する配列を含有する適切な発現ベクターにおいて、VH領域及びVL領域に対応するDNA配列をクローニングし、そのようにして、完全長の重鎖及び軽鎖の状態で、該VH領域及びVL領域の発現を可能にするステップと
を含む、モノクローナル抗体を生成する細胞を得るための方法を提供する。
異なる細胞から単離され、異なるウェルから採取されたmRNAから、VH領域及びVL領域をクローニングすることができることに留意すべきである。実際、以下に記載するように、アレイには複数のウェルがあり、そのそれぞれが、目的の抗体を分泌する細胞を含んでいる。本発明の方法の設計により(特に、細胞が刺激されて増殖しているという点により)、検出されたウェル中の細胞は、ステップ(a)の刺激に続くクローン増殖によって、全て同じ元の細胞から発生する。
別の態様において、本発明は、モノクローナル抗体を生成するための方法に関し、該モノクローナル抗体を発現するような条件下で、本発明の第二の態様において提供された細胞又は該細胞に由来する細胞を培養するステップを含む。
更なる態様において、本発明は、
(a)本発明の第一の態様に記載の方法を用いることにより、標的抗原に対する抗体を分泌する細胞を、抗体分泌細胞を含む細胞集団から同定するステップと、
(b)RT−PCRにより、前記同定した細胞から抗体のVH及び/又はVL配列を得るステップと
を含む、モノクローナル抗体のVH及び/又はVL配列の回収のための方法に関する。
本発明による方法は、その方法の実施の前に個体から得られた生物学的試料から得られた抗体分泌細胞を含む細胞集団に対して行われる。従って、本発明による方法は、インビトロで行われ、個体に対し実行されるいかなるステップも含まない。
本発明のB細胞スクリーニング法の概略図。本発明のスクリーニング法は、(a)標的ドナー又は患者を選択及び抽出するステップと、好ましくはその後、(b)ドナーからの一次(primary)B細胞の大集団を活性化し増殖させるステップと、(c)単一抗原特異性若しくは多抗原特異性を有する及び/又は生物学的活性を有する抗体を分泌するB細胞プールを、ハイスループットスクリーニングにより選択するステップと、(d)単一細胞マイクロアレイを使用して、ステップ(c)において選択されたB細胞プールから単一B細胞をスクリーニング及び検出するステップと、(e)単一B細胞を回収し、回収された単一B細胞のそれぞれから、VH/VL遺伝子対を単離するステップと、(f)標的とする単一抗原特異的若しくは多抗原特異的プロファイル及び/又は生物学的活性を有する組換えモノクローナル抗体候補を生成するステップと、を含む。 本発明の方法を用いる、グラム陽性菌毒素2に対する完全ヒト抗体の発見の2つのキャンペーンの概要。 本発明の方法に係る、機能的なヒットの高効率クローニング(キャンペーン#1)。 細菌毒素2に結合する、精製された6個の組換えモノクローナル抗体のELISAによる力価測定。6個全てのmAbは、細菌毒素2に結合する。このうち4個(mAb1、mAb2、mAb4、mAb5)は毒素2に強く結合している一方、2個は、より弱く結合している(mAb7及び8)。現在、後期臨床開発にある基準モノクローナル抗体は、陽性対照(基準mAb)として使用される。 細菌毒素2を中和する、精製された6個の組換えモノクローナル抗体の細胞毒性アッセイによる力価測定。6個全てのmAbは毒素2の細胞毒性を中和し、それらのうちの3個は、陽性対照として使用され且つ現在後期臨床開発にある、強力な毒素2を中和する基準抗体(基準mAb)よりも優れていた。 本発明の方法に係る、機能的なヒットの高効率クローニング(キャンペーン#2)。 細菌毒素2に対する、完全ヒトモノクローナル抗体を発見する2つのISAACキャンペーンの概要。 ISAAC技術及び本発明の方法により得られた、細菌毒素2に対する完全ヒトモノクローナル抗体の、結合活性及び中和活性の比較。示された抗体のH鎖及びL鎖をコードする発現ベクターを用いて形質移入されたCHO細胞の未精製上澄み液を、それらの毒素2に対する結合についてELISAにより試験し、それらの毒素2に対する中和活性について機能的アッセイにより試験した。アッセイにおいて、0.3μg/mLのヒトIgGの最終濃度に到達するために、各試料の希釈を適合させた。陰性対照:形質移入していないCHO細胞の上澄み液。陽性対照:現在臨床開発中の、細菌毒素2に対する基準抗体(基準mAb)のH鎖及びL鎖をコードする発現ベクターを用いて形質移入したCHO細胞の上澄み液。 比較可能な作業負荷(同じドナーを用いた、10週間の抗毒素2キャンペーン)について、ISAAC技術に対して本発明の方法を用いた場合の、生物学的に活性な完全ヒトモノクローナル抗体の発見の結果の比較。 同一のB細胞プールから回収された単一細胞からのVHとVLの対又は組み合わせによる、VH及びVL遺伝子回収の例。 標的とする多抗原特異性を有する完全ヒトモノクローナル抗体の生成。 本発明の方法により得られた、標的多抗原特異性を示す、精製された組換えモノクローナル抗体#1。
定義
生物学的試料
抗体を発現及び分泌する細胞を、個体から得た異なる組織、器官及び生体液から単離する。細胞は、胸腺及び骨髄などの、未熟な前駆細胞からリンパ球を生成する中枢リンパ器官又は一次リンパ器官から単離することができる。あるいは、細胞を、粘膜関連リンパ組織(MALT)に関連する、リンパ節、扁桃中のリンパ濾胞、パイエル板、脾臓、アデノイド、皮膚などの、リンパ球と抗原とが相互作用するための環境を提供する二次リンパ組織から単離することもできる。
脾臓中の単核細胞は、IgGを分泌する細胞を高い割合で含むことに留意されたい。細胞はまた、血液、脳髄液又は胸水などの生体液から単離することができる。あるいは、腫瘍浸潤リンパ球は、慢性感染症及び/又は炎症部位から単離することができる。
ヒト一次B細胞の最良の供給源は、脾臓単核細胞、扁桃腺及び抹消血単核細胞である(OlssonらJ.Immunol.Methods 61:17−32(1983);Karpas A.Proc.Natl.Acad.Sci.USA 98:1799−1804(2001))。
末梢血は、ドナーから取得すること、貯蔵すること、及び、画定された期間にわたって、抗原に対する血清学的応答を監視することが、通常比較的容易である。例えば、5〜50mLの末梢血から開始し、約1,000万〜1億のPBMC(末梢血単核細胞)を精製することができ、本発明の方法を用いて不死化された後、抗体分泌細胞の十分に大きな集団を得ることができる複数の細胞がスクリーニングされる。
ドナーから得られた生物学的試料及び特に血液は、目的の抗原に結合する能力を有する抗体の存在について、及び/又は、目的の抗原に対する機能的な抗体の存在について、通常スクリーニングされる。
完全ヒト抗体として治療又は診断の用途を有する、ヒトモノクローナル抗体を分泌する細胞培養物を生成するために、ヒト由来の細胞が好ましい。ただし、本方法は、遺伝的に改変されたか異種移植された細胞、あるいは野生型動物の細胞などの、ヒト由来ではない抗体分泌細胞にも適用することができる。例えば、これらの動物細胞は、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター)、鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥)、ラクダ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ又はサルに由来する細胞である。これらの供給源から単離された抗体は、その後、ヒト化することができるか、又は、診断方法に用いることができる。
「個体」、「ドナー」、「患者」
抗体を発現し、分泌する細胞は、ヒト又は非ヒトのドナーから得られる。ドナーは、生物学的試料を供与する個体である。この個体はヒトでもヒト以外でもよい。ヒト以外のドナーは、げっ歯類(例えば、ラット、マウス、ハムスター)、鳥類(例えば、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、七面鳥)、ラクダ、ウサギ、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ又はサルなどの、遺伝的に改変されたか異種移植された動物又は野生型動物であり得る。
mAbは自然に選択され、従って、高い親和性を有し、安定しており、ヒト抗原に対するオフターゲットの反応性を欠いているため、完全ヒトmAbは、マウス由来の製品に比べて、優れた治療候補であることがますます認識されている。従って、好ましくは、ドナーはヒトである。
有利には、ドナーは、目的の結合特性を有する抗体を提示するために選択される。例えば、酵素結合免疫吸着アッセイ(ELISA)試験を行うことにより、又は、ドナーの生物学的試料中の1つ以上の標的抗原に結合する抗体の存在を決定するための同等のアッセイを行うことにより、ドナーの選択を行うことができ、このような方法は当技術分野において周知である。
ドナーは、感染性病原体による感染又は慢性疾患にかかっておらず、又は、抗体が所望される特定の感染因子にもヒトの疾患にも影響を受けていないことを意味する、「健康」「未処置」又は「無感作」の個体であり得る。
あるいは、ドナーは、一般的な治療用又は予防用のワクチンに供されているか、あるいは、特定の感染因子又はヒトの疾患を対象とする抗体を所望する。
第三の選択肢は、ドナーは「患者」である。従って、ドナーは、疾患に罹患する若しくは罹患している、又は感染している、又は一般的な感染因子に対してワクチン接種された集団について選択される。
一実施形態において、患者は、特定の疾患にかかっているか/これに罹患し、特に体液性応答により前記疾患から回復している。別の実施形態において、患者は、感染因子に曝露されたが、疾患を発症しておらず、同じ疾患の軽い症例も発症していない。
好ましい実施形態において、患者は、例えば、感染性因子に対する抗体応答を中和する、標的抗原に関連する疾患に対する機能活性を有する抗体を有することが示されている。
好ましい一実施形態において、ドナーは、以下の群から選択された少なくとも1つの疾患に罹患している/発症している患者である。
・ 感染性疾患:例えば、インフルエンザウイルス感染症、C型肝炎ウイルス(HCV)感染症、B型肝炎ウイルス(HBV)感染症、単純ヘルペスウイルス(HSV)感染症、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染症、チクングニヤウイルス感染症、狂犬病、A型肝炎又はC型肝炎ウイルス感染症などの他の肝炎ウイルス、サイトメガロウイルス(CMV)感染症、黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染症、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染症、アウレウスではないスタフィロコッカス(Staphylococcus non−aureus)感染症、肺炎連鎖球菌(Streptococcus pneumoniae)感染症、エプスタイン・バーウイルス(EBV)感染症、呼吸器合抱体ウイルス(RSV)感染症、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)感染症などのシュードモナス感染症、カンジダ(Candida)感染症、クロストリジウム ディフィシル(Clostridium difficile)感染症、プロピオニバクテリウム アクネス(Propionibacterium acnes)感染症、ポルフィロモナス ジンジバリス(Porphyromonas gingivalis)感染症、コアグラーゼ陰性ブドウ球菌(CoNS)感染症、肺炎桿菌(Klebsiella pneumoniae)感染症、大腸菌(Escherichia coli)感染症、及び、特に、腸管出血性大腸菌感染症、アシネトバクター(Acinetobacter)感染症、レプトスピラ パトク(Leptospira patoc)感染症又はクラミジア(Chlamydiae)感染症、
・ 喘息、アレルギー、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、突発性肺線維症(IPF)、成人呼吸窮迫症候群(ARDS)などの呼吸器疾患、
・ 虚弱、悪液質、筋肉減少症、肥満症、脂質異常症、メタボリックシンドローム、心筋梗塞(MI)、慢性腎不全(CRF)、骨粗鬆症などの代謝障害、
・ 過敏性腸症候群(IBS)、炎症性腸疾患(IBD)、クローン病、脂肪肝疾患、線維症、薬剤誘発性肝疾患などの消化器疾患、
・ アルツハイマー病、多発性硬化症(MS)、パーキンソン病、牛海綿状脳症(BSE、狂牛病)などの神経疾患、
・ 乳房、腎臓、胃、メラノーマ、膵臓、肺、結腸、神経膠腫、膠芽細胞腫、リンパ腫、白血病及び前立腺癌などのガン、
・ 関節リウマチ、自己免疫性心筋症、自己免疫性溶血性貧血、自己免疫性肝炎、自己免疫リンパ増殖性症候群及び他の自己免疫疾患などの自己免疫疾患。
標的抗原
本発明の方法を、インターロイキン1α、インターロイキン17、血小板GPla/IIb、及び増殖因子受容体などの膜貫通タンパク質の細胞外部分、細胞内タンパク質、又は膜貫通タンパク質全体由来の抗原などの、自己抗原に対して使用することができる。
標的抗原の性質は特に限定されず、タンパク質、糖、脂質、核酸、有機化合物、無機化合物及びそれらの組み合わせ(細胞を含む)からなる様々な所望のメンバーを、適宜選択することができる。
好ましい実施形態によれば、目的の抗体を選択するために使用される抗原は、可溶性である(例えば、細菌毒素、ウイルスタンパク質、サイトカインなど)。好ましい実施形態によれば、目的の抗体の選択のために使用される抗原は、その天然の立体配座の状態にある抗原である。
結合物質
結合物質は、目的の免疫グロブリンの少なくとも一部に結合する能力を有する。結合物質は、従って、免疫グロブリンに対して反応することができる、標的抗原又は抗免疫グロブリン抗体(例えば、抗IgG抗体)であり得る。使用可能な結合物質の種類については、後述する。目的の抗体の結合の検出を可能にするために結合物質が改変されること(一部分の移植)は、除外されない。
標識物質
標識物質により、目的の抗体の生成を検出することができる。
標識物質は、一般的に、検出可能な部分、特に蛍光部分に架橋されるように改変されたか、あるいは、それらだけで検出可能であるように設計された(即ち、蛍光性である)、タンパク質又は小分子である。しかしながら、それは蛍光剤に限定されず、他の種類の検出可能な標識(例えば、放射性標識部分など)も可能である。蛍光部分を用いた抗原又は抗体などのタンパク質の標識は、通常の方法(例えば、ELISA検出のためにタンパク質を標識するために使用されるものなど)により行うことができる。
標識物質は、更に説明されるように、目的の抗体又は結合物質のいずれかに結合することができる。標識物質は、結合物質の存在又は非存在を検出することができるようにする部分を含む。この部分は、蛍光(結合物質が適切に標識されている場合の、直接検出又はFRETによる検出用)、又は、放射性標識された部分であり得る。
本発明は、異なる抗原に結合する抗体を発現する抗体分泌細胞を同時に検出するために行うことができる(明確に言うと、特定の抗体分泌細胞からの抗体は、特定の抗原、又は(エピトープに関して)密接に関連する抗原のみに結合する)。その場合、標識物質として異なる標的抗原を使用し、そのそれぞれは、各標的抗原に対する抗体を発現する細胞を選択的に同定することができるように(即ち、多重抗体スクリーニング)、異なって標識されている。これはまた、密接に関連する標的抗原に反応する抗体を発現する細胞の同定を可能にすることができる。
抗体
本明細書で使用する用語「抗体」は、モノクローナル抗体、その断片及びそれらの免疫学的結合同等物を指す。モノクローナル抗体は、選択的に、標的抗原又はエピトープに結合することが可能である。用語「抗体」は、抗体の天然に存在する形態(例えば、IgD、IgG、IgA、IgM、IgE)、並びに、単鎖抗体、キメラ及びヒト化抗体、及び多特異性抗体などの組換え抗体を、広く包含する。用語「抗体」はまた、前述の全ての断片及び誘導体を指し、更に、特異的にエピトープに結合する能力を保持する、任意のそれらの改変された又はそれらに由来する変異体を含むことができる。抗体誘導体は、抗体に結合したタンパク質又は化学的部分を含み得る。抗体は、モノクローナル抗体(mAb)、ヒト化又はキメラ抗体、ラクダ化抗体、一本鎖抗体(scFv)、Fab断片、F(ab')断片、ジスルフィド結合Fv(sdFv)断片、抗イディオタイプ(抗Id)抗体、細胞内抗体、合成抗体、及び上記のいずれかのエピトープ結合断片を含み得るが、それらに限定されない。用語「抗体」はまた、免疫グロブリンのFc領域に相当する領域を含む、融合タンパク質を指す。しかしながら、当業者には明らかであるように、ドナーからの生体試料に由来する抗体生成細胞により分泌された抗体は、抗体の天然に生じる形態であろうことに、留意すべきである。
ベクター/発現ベクター
ベクターは、自律的に複製し得るか、又は、ベクターが組み込まれている染色体と共に複製し得る。核酸分子は、制御配列に機能的に連結することができる。更に、ベクターは、複製開始点又は選択マーカー遺伝子を含み得る。
好ましくは、前記ベクターは真核細胞において、好ましくは哺乳動物細胞において、使用される。真核生物宿主細胞(酵母、真菌、昆虫、植物、動物、ヒト、又は他の多細胞生物由来の有核細胞)において使用される発現ベクターは、典型的には、転写の終結及びmRNAの安定化に必要な配列も含有する。このような配列は、5'及び時には3'の、真核生物又はウイルスのDNA又はcDNAの非翻訳領域から、一般的に入手可能である。1つの有用な転写終結成分は、ウシ成長ホルモンポリアデニル化領域である。例えば、国際公開第94/11026号、及び同文献に開示されている発現ベクターを参照されたい。
宿主細胞
宿主細胞は、哺乳類、植物、昆虫、真菌又は細菌起源の細胞を含むが、それらに限定されない。形質転換は、例えば、ウイルス中(又はウイルスベクター中)にポリヌクレオチドをパッケージングし、このウイルス(又はベクター)を用いて宿主細胞に形質導入を行うことを含む、宿主細胞中へポリヌクレオチドを導入するための任意の公知の方法によって、あるいは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,399,216号、米国特許第4,912,040号、米国特許第4,740,461号及び米国特許第4,959,455号により例示されるような、当該技術分野で公知の形質移入手順によって、行うことができる。特に、宿主細胞へ異種ポリヌクレオチドを導入する方法は当該技術分野で公知であり、デキストラン媒介形質移入、リン酸カルシウム沈殿、ポリブレン媒介形質移入、プロトプラスト融合、エレクトロポレーション、リポソーム中のポリヌクレオチドの封入、及び核へのDNAの直接的マイクロインジェクションを含む。
本発明に従って使用することができる宿主細胞の例は、例えば、ハムスター、ウサギ、ラット、ブタ、マウスなどの哺乳動物の細胞;例えば、アヒル、ニワトリ、ウズラなどの鳥類の細胞;昆虫細胞又は他の動物細胞;例えば、トウモロコシ、タバコなどの、植物の細胞、及びサッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)、ピキア パトリス(Pichia pastoris)などの真菌の細胞;大腸菌などの原核細胞;並びに、抗体及び他の結合タンパク質の生成のための、当該技術分野において使用される他の細胞を含む真核細胞を含むが、それらに限定されない。特に発現用の宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野で周知であり、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝臓細胞ガン細胞(例えば、Hep G2)、骨髄腫細胞(例えば、Sp2/0、NS0、YB2/0)、並びに、多数の他の細胞株を含むが、それらに限定されない、アメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)から入手可能な多くの不死化細胞株を含む。好ましくは、宿主細胞はヒト細胞である。ヒト細胞の例は、とりわけ、HeLa、911、AT1080、A549、293、HEK293T及びPer.C6(登録商標)細胞である。別の好ましい実施形態において、宿主細胞は、不死化されていない細胞株である。
あるいは、前記宿主細胞は鳥類細胞である。鳥類細胞は、胚、ヒヨコ及び成鳥を含む、様々な発達段階に由来してもよい。鳥類細胞株は、遺伝的に改変してもしなくてもよい。好ましくは、細胞株は、胚性幹細胞、胚性繊維芽細胞、生殖細胞などの胚細胞、又は神経細胞、脳、網膜、腎臓、肝臓、心臓、筋肉を含む個々の器官、又は胚を保護する胚外組織及び膜に由来する。鳥類細胞株の例は、鳥類の胚性幹細胞(国際公開第01/85938号)、不死化アヒル網膜細胞(国際公開第2005/042728号)及び、テロメラーゼ逆転写酵素を発現している遺伝的に改変された鳥類細胞(国際公開第2007/077256号及び国際公開第2009/004016号)を含む。適切な鳥類の胚に由来する幹細胞は、EB45、EB14及びEB14−074などのニワトリ胚性幹細胞に由来するEBx細胞株(国際公開第03/07660号及び国際公開第2006/108846号)、又はEB66、EB26、EB24などのアヒル胚性幹細胞に由来するEBx細胞株(国際公開第2008/129058号及び国際公開第2008/142124号)を含む。より好ましくは、アヒル細胞株は、EB66細胞株である。
培養培地
「細胞増殖培地」、「細胞培養培地」又は「培養培地」又は「培地調合物」は、細胞を培養する又は増殖させるための栄養液を意味する。そのような培地を構成する成分は、培養される細胞の種類によって変化し得る。栄養組成物に加えて、オスモル濃度及びpHは、培養培地の重要なパラメータと考えられている。
細胞増殖培地は、アミノ酸、ビタミン、有機及び無機塩、炭水化物源、脂質、微量元素(CuSO、FeSO、Fe(NO、ZnSOなど)を含む、当業者に周知の複数の成分を含み、各成分は、インビトロでの細胞の培養(即ち、細胞の生存及び増殖)をサポートする量で存在する。成分は、緩衝物質(重炭酸ナトリウム、ヘペス、トリスなど)、酸化安定剤、機械的ストレスに対抗する安定剤、プロテアーゼ阻害剤、動物の成長因子、植物の加水分解物、抗凝集剤、消泡剤などの、異なる補助物質も含むことができる。必要であれば、ポリプロピレングリコールなどの非イオン性界面活性剤を、消泡剤として細胞増殖培地に添加することができる。
細胞増殖培地は、好ましくは動物無血清培地(SFM)であり、これはその細胞増殖培地がそのまますぐに使用できることを意味し、換言すると、細胞の生存及び細胞増殖を可能にする血清添加を必要としないことを意味している。細胞増殖培地は、好ましくは、化学的に定義されているが、それはまた、例えば、植物由来などの様々な起源の加水分解物を含有していてもよい。好ましくは、前記細胞増殖培地は、「非動物起源」の要件を満たし、換言すると、細胞増殖培地は動物起源の成分もヒト起源の成分も含まない(FAO状態:「動物起源のものを含まない(free of animal origin)」)。SFMにおいて、天然の血清タンパク質は、組換えタンパク質によって置換されている。あるいは、本発明によるSFM培地は、タンパク質を含まず(PF培地:「無タンパク質培地(protein free medium)」)、及び/又は、それらは化学的に定義される(CDM培地:「化学的に画定される培地(chemically defined medium)」)。細胞増殖培地は、細菌汚染を防止するために、抗生物質などの規定の補助剤が補充されてもよいことは当技術分野において周知である。抗生物質の例は、ゲンタマイシン、ペニシリン及びストレプトマイシンを含む。ゲンタマイシンは、通常、最終濃度10ng/mLで使用され、ペニシリンは最終濃度100U/mLで使用され、かつストレプトマイシンは最終濃度100μg/mLで使用される。細胞増殖中の異なる時期に、ビタミン、糖又はアミノ酸などの規定の補助剤を細胞増殖培地に補充してもよい。
タンパク質変異体
本明細書で使用する用語「変異体」は、用語「改変された」、「変異した」、「多型性」又は「突然変異体」を包含し、それらの用語は交換可能である。基準の遺伝子産物(即ち、抗原又は標的タンパク質)と比較した場合、用語「変異体」は、配列及び/又は機能的特性における改変(即ち、変化した特徴)を示す、遺伝子産物(即ち、抗原又は標的タンパク)を指し、通常、基準の遺伝子産物は、野生型の遺伝子産物である。用語「野生型」は、天然に存在する供給源から単離された場合、その遺伝子産物の特徴を有する遺伝子産物を指す。野生型遺伝子は、集団において最も頻繁に観察され、従って、任意に遺伝子の「正常」又は「野生型」形態を設計されたものである。天然に存在する変異体を単離することができ、これらは、野生型遺伝子産物と比較した場合、それらが変化した特徴を有するという事実によって同定されるということに留意されたい。
第一の態様において、本発明は、標的抗原に対する抗体を分泌する細胞を同定するための方法に関し、この方法は、
(a)インビトロで集団の細胞を刺激して増殖させ、複数の細胞プールを得るために細胞を採取するステップと、
(b)1つ以上の抗原と結合する及び/又はある機能的活性を示す細胞を同定するために、前記細胞プールの上澄み液をスクリーニングするステップと、
(c)統計上、最大3つの細胞がアレイの各ウェル中に存在するような条件で、複数のウェルを含むアレイ中に、同定された細胞プールの細胞を付着させるステップと、
(d)前記抗原に対する抗体を分泌する細胞を含むウェルを同定するために、前記アレイのウェル中の細胞を培養し、それらのスクリーニングを行うステップと
を含む。
用語「1つの(a)」は、「1つ又は複数」を意味するものであると解釈されるべきであることに留意されたい。従って、前記方法はまた、1つの特定の抗原に対する抗体を分泌する細胞を同定するだけではなく、複数抗原に対する抗体を分泌する細胞を同定することも可能である。細胞プール上澄み液は、必要に応じて、例えば、96ウェルプレート中のウェルなどの、細胞プール容器から回収される。
ステップ(a)における抗体分泌細胞集団の刺激、及びステップ(b)における細胞採取は、任意の順序にすることができる。このように、細胞をまず刺激し(増殖につながる)、次に増殖した細胞を採取することができる。この代替は好ましい。
代替として、まず細胞を採取し、次に、細胞の増殖を導くためにそれらを刺激することができる。
いずれの場合においても、ステップ(a)の後に、増殖した細胞クローンを含む、複数の細胞プールが得られるであろう。
好ましい実施形態において、ステップ(c)を行う場合、同定された各細胞プールの細胞を、アレイ内の全ての細胞が同じ細胞プールに対応するような方法で、少なくとも1つのアレイ内に付着させる。
特定の実施形態において、本発明は、
(a)a1.抗体分泌が開始されかつ/又は増加している刺激された抗体分泌細胞を得るために、少なくとも1種の刺激剤を用いて細胞の集団内の細胞を刺激し、複数の細胞プールを得るために、前記刺激された抗体分泌細胞を採取するステップ、又は、
a2.複数の細胞プールを得るために細胞の集団を採取し、プール中に存在する抗体分泌細胞からの抗体分泌を開始及び/又は増加させるために、少なくとも1種の刺激剤を用いて前記各プール中の細胞を刺激するステップと、
(b)所望の機能的活性及び/又は抗原結合特異性を有する少なくとも1種類の抗体を含有する培養培地試料を同定するために、各プール由来の培養培地試料と標的抗原とを接触させ、それによって、標的抗原に対する機能的活性を示す抗体を分泌する少なくとも1つの細胞を含有するプールを同定する、及び/又は、標的抗原に対する結合活性を示す抗体を分泌する少なくとも1つの細胞を含有するプールを同定するステップと、更に
(c)統計上、最大3つの細胞がアレイの各ウェル中に存在するような条件で、複数のウェルを含むアレイ上に、前記同定したプールからの細胞を付着させるステップと、
(d)前記アレイのウェル中の細胞を培養し、前記アレイ中の各ウェルの上澄み液と、前記標的抗原とを接触させ、それによって、該標的抗原に結合する、該上澄み液中に存在する抗体に結合する該標的抗原に対する抗体を分泌する細胞を含有するウェルを同定するステップと
を含む、抗体分泌細胞を含む集団において、1つ以上の標的抗原に対する生物学的活性を示す抗体を分泌する細胞を同定するための方法に関する。
抗体を分泌する細胞集団の選択
単核細胞(MC)は、当該技術分野で公知の方法により生物学的試料から単離される。好ましくは、前記生物学的試料が由来するドナーは、上述のように、その血清中の、目的の抗原と結合する免疫グロブリンの存在について、陽性であると事前にスクリーニングされている。血液試料について、末梢血単核球(PBMC)は典型的に、遠心分離により、Ficoll(登録商標)勾配分離を使用して単離される。
生物学的試料からのPBMCの単離後、特定の抗体アイソタイプの発現及び/又は細胞表面上の細胞表面マーカー、及び、適切な場合には、他のタンパク質の発現、並びに細胞の増殖活性、代謝及び/又は形態学的状態に基づいて、文献に記載された多くの方法のうちの1つを使用して、抗体分泌細胞の特異的選択を行うことができる。
特に、ヒト試料からの抗体分泌細胞の精製のための様々な技術は、陽性又は陰性選択について、異なる手段及び条件を利用する。これらの細胞は、抗体を発現及び分泌する細胞(例えば、ヒトB細胞)について特異的な細胞表面マーカーを発現するものを物理的に分離することによって、より容易に効果的に選択される。特定のプロトコルを、文献中に見出すことができる(Callard R及びKotowicz K Cytokine Cell Biology:A practical Approach.Balkwill F.(ed.)Oxford University Press,2000,中の"Human B−cell responses to cytokines"pg.17−31を参照)。
特定の実施形態において、抗体分泌細胞を含む細胞の集団は、細胞表面における特定のマーカーを用いることによる抗体分泌細胞の陽性又は陰性選択によって得られた、血液試料からの亜集団である。例えば、リンパB細胞を、Tリンパ球(即ち、CD2+細胞)などの他のPBMCの枯渇により、又は、以下に提供するようにCD20、CD19、CD27及び/又はCD22などの特異的表面マーカーの存在について、選択することができる。前記亜集団はまた、特定のアイソタイプ(IgG、IgM、IgA、IgE又はIgDなど)の抗体を発現する細胞の能力に基づいて選択することができる。多くの場合、IgG分泌細胞の亜集団を選択することが好ましい。別の実施形態において、亜集団を、スクリーニングプロセスを妨害し得る及び/又は下流のプロセスの有効性を制限し得る特定のアイソタイプを分泌する細胞で枯渇させてもよい。好ましい実施形態において、細胞集団は、IgM発現細胞及び/又はIgD発現細胞の枯渇によりIgG分泌細胞が濃縮されている。好ましくは、細胞集団は、IgM発現細胞及びIgD発現細胞が枯渇している。
有利には、抗体分泌細胞集団は、少なくとも細胞表面マーカーの発現に基づいて選択される。従って、選択は、通常、これらの細胞表面タンパク質のうちの1つに特異的に結合し、かつ固体支持体(例えば、マイクロビーズ又はプラスチックプレート)に連結可能な又はフローサイトメトリーにより検出することができる蛍光色素を用いて標識可能な抗体を用いることにより行われる。例えば、ヒトB細胞は、支持体(マイクロビーズなど)に結合するCD20、CD19、CD27及び/又はCD22抗体に対する親和性に基づいて、又は、特定のアイソタイプに特異的な抗体に対する結合親和性を欠如していることについて、選択されている。好ましくは、この選択ステップは、例えば、EBVによる不死化などのリンパ球向性ウイルスを用いた形質転換前に、行われる(Traggiai E et al.,Nat Med.2004 Aug;10(8):871−5.Epub 2004 Jul 11)。
しかしながら、おそらく、選択プロセスによりトリガーされ、細胞増殖及び生存を変化させ得る細胞内シグナルのために、細胞マーカーの選択は、不死化プロセスの効率に関連し得る。B細胞限定的貫通タンパク質であるCD22は、抗原認識及びB細胞活性化に関連するシグナル伝達経路を制御し(Nitschke L,Curr Opin Immunol.2005 Jun;17(3):290−7)、初期のB細胞選択のための好ましい分子として現れる。CD22陽性集団は、異なるアイソタイプ及び特異性を有する抗体を発現する細胞を含んでいるため、刺激段階の前又は後のいずれかによっては、細胞を選択するために他の細胞表面マーカーを用い得る。
上記に代えて、あるいは上記に加えて、CD22に基づく選択に加えて、CD27に基づく選択を適用することにより、抗体分泌細胞の特異的濃縮を得ることができる。CD27は、体細胞の可変領域遺伝子が変異したヒトメモリB細胞によって優先的に発現されるマーカーであることが知られている(Borst J et al.,Curr Opin Immunol.2005 Jun;17(3):275−81)。CD5、CD24、CD25、CD86、CD38、CD45、CD70、CD158又はCD69などの追加のマーカーを、細胞の所望の集団を枯渇又は濃縮のいずれかのために用いることができた。従って、抗原(例えば、ウイルス、細菌、寄生虫)に曝露されたドナーの病歴、抗体価に応じて、全体を使うか、CD22濃縮B細胞を使うか、又は、CD27陽性B細胞などの更に濃縮したB細胞亜集団を使うかの決定を行うことができる。従って、好ましい実施形態において、特に、選択された細胞集団は、CD20、CD22、CS19及びCD27からなる群より選択された少なくとも1つの細胞表面マーカーを含む、Bリンパ球で構成される。
アイソタイプの選択
抗原分泌細胞を、細胞を刺激する前又は後に、発現した抗体のアイソタイプに基づいて選択することができる。好ましくは、前記選択ステップは、抗体分泌細胞集団の刺激及び、ステップ(a)の増殖前に、行われる。
細胞のアイソタイプに基づく選択は、陽性選択(特定の細胞の単離を可能にする)又は、陰性選択又は濃縮選択(不溶な細胞の排除を可能にする)のいずれかのための手段を適用することにより、行われるべきである。例えば、医薬品の使用について承認されたほとんどの治療用抗体はIgGである(Laffy E and Sodoyer R,Hum Antibodies.2005;14(1−2):33−55)ことを考えると、刺激されたIgG陽性細胞の集団のみが、(FACS又は磁気細胞分離器により)又は、細胞の集団からIgMなどの他のアイソタイプを発現する細胞を枯渇させることにより、積極的に選択することができ、その結果、IgGを発現する細胞が濃縮される。好ましい実施形態によれば、抗体分泌細胞を含む細胞の集団は、IgM及び/又はIgDを発現する細胞を枯渇させた、好ましくはIgM及びIgD発現細胞の両方を枯渇させた、細胞の亜集団である。IgM枯渇は、好ましくは刺激の前に行われる。別の実施形態によれば、刺激前に不死化が行われた場合、IgM枯渇は、好ましくは不死化の前に行われる。あるいは、IgM枯渇は、国際公開第2007/068758号に記載のように、刺激(例えば、CpG−2006及びインターロイキン2)及び、(例えば、エプスタイン・バーウイルスによる)不死化の間に行われる。
蛍光活性化又は磁気細胞分離器を用いた、抗体分泌細胞についての分離技術は、文献(Traggiai et al.,op.cit)中で既知である。抗体分泌細胞の供給源及びその最終用途に応じて、IgD、IgM、IgE又はIgA発現細胞の枯渇(又は濃縮)もまた所望され得る。
そのような正確な選択が所望される場合、同様の手法を、特定のサブクラスに基づいて細胞を単離するために使用することができる(例えば、IgG1、IgG2、IgG3又はIgG4抗体を発現するヒトB細胞を区別するなど)。
細胞の不死化
特定の実施形態において、抗体分泌細胞(B細胞)を、ステップ(a)の前、間又は後に、形質転換/不死化することができる。
ウイルス性の形質転換剤は、細胞の無期限な自己再生、即ち、細胞の不死化につながる細胞プロセスを誘発する可能性があることに留意すべきである。用語「形質転換された」又は「不死化した」の使用は、時間に関連する問題である。従って、本発明における、用語「形質転換された」又は「不死化した」及びそれらの派生語は、同じ意味を有し、同様に使用することができる。特に、これは、抗体分泌細胞が、刺激されて増殖した後に、まだ生きているという事実を表している。
後述するように、形質転換は、好ましくは、ウイルス性の形質転換剤を用いて行われ、より好ましくは、ステップ(a)の前又は間に、抗体分泌細胞にリンパ球向性ウイルスを感染させる。好ましい実施形態において、不死化は、エプスタイン・バーウイルスを用いて行われる。
別の技術を、B細胞を不死化するために用いることができる。
(1)ハイブリドーマを生成するための、B細胞と、マウス、ヒト及びマウス×ヒト起源の骨髄腫細胞との融合。国際公開第2009/105150号: II−4、II−10及びCD40Lの存在下で培養されたCD27+B細胞は、ヒトB細胞ハイブリドーマを生成するために、融合パートナーと融合させることができる。処理したCD27+B細胞をハイブリドーマの生成に使用する利点は、ハイブリドーマ中のより高い割合の細胞が、IgG抗体を分泌したことである。
(2)エプスタイン・バーウイルス(EBV)を用いた、B細胞のウイルス形質転換(後述)。
(3)米国特許第4,997,764号又は米国特許第5,798,230号に記載のような、形質転換遺伝子を発現するレンチウイルスベクターを用いたB細胞の形質導入。
ウイルス性の形質転換
好ましい実施形態によれば、抗体を発現する、選択され且つ刺激された細胞集団は、ウイルス性の不死化剤を用いて不死化することができる。文献は、不死化した抗体分泌細胞を得るために、異なる不死化剤を抗体分泌細胞へ使用することができ、時には、単一プロセスで組み合わせることができることを示している。
ウイルス性の不死化剤の中でも、抗体分泌細胞に感染しかつそれを不死化するウイルスを、好ましくは本発明の方法において使用すべきである。そのような選好性を有するウイルスは、リンパ球向性ウイルスとして一般的に知られており、ヘルペスウイルスのγクラスにグループ化されている。
このウイルスファミリーのメンバーは種特異的な方法でリンパ球に感染し、リンパ球増殖性疾患及びいくつかの悪性腫瘍の発生に関連している。EBV(ヘルペスウイルス4としても知られる、エプスタイン・バーウイルス)、及びHHV−8(KSHV、カポジ肉腫に関連するヘルペスウイルスとしても知られる、ヒトヘルペスウイルス8)は、ヒトのリンパ球に感染し、不死化する。MHV−68(マウスヘルペスウイルス68)、HVS(ヘルペスウイルス サイミリ)、RRV(アカゲザル ラジノウイルス)、LCV(霊長類 リンホクリプトウイルス)、EHV−2(ウマへルペスウイルス2)、HVA(ヘルペスウイルス アテレス)、及びAHV−I(アルセラフィン ヘルペスウイルス1)は、それらの中に保存されたいくつかの共通の遺伝子的特徴及び異なる哺乳動物宿主細胞内で同様の病原作用を有する、他の、発がん性でリンパ球向性のヘルペスウイルスである。本発明の方法が哺乳動物から得られた抗体分泌細胞へ適用される場合は常に、これらのウイルスを使用することができる。
しかしながら、B細胞を不死化することができる完全なウイルスだけではなく、そのような特定のウイルスにより得られる特定のウイルス性タンパク質を含む組換えDNA構築物及び他のウイルスが、B細胞を不死化するためにうまく使用されている(Damania B Adv Cancer Res.2001;80:51−82;Kilger E et al.,、EMBO J.1998 Mar 16;17(6):1700−9)。ウイルス遺伝子を含む類似のベクターを細胞へ導入することができ、時には、レトロウイルスシステムの利用、又はパッケージング細胞株中への、粒子の形成のためにトランスで必要な全ての因子を提供するウイルス様粒子の利用を、本発明の方法においても使用することができる。
EBVの場合には、不死化フェーズを1時間〜数時間、最大で2〜4日間継続でき、不死化した抗体分泌細胞を提供するリンパ芽球のポリクローナル集団(顕微鏡検査及び又はFACSにより測定される、大型の生存細胞)を確立するためには少なくとも4時間あれば十分である。
EBVが媒介するB細胞の不死化は、主なEBV受容体として考えられる細胞表面受容体CD21の存在下で実行される。CD21は、ほとんどのB細胞亜集団に存在し、CD19とB細胞抗原受容体との複合体を形成することにより、B細胞応答を調節する(Fearon D and Carroll M,Annu Rev Immunol.2000;18:393−422)。しかしながら、細胞の広範な活性化後に、それらは形質細胞へ形質転換されるため、CD21は細胞表面から失われる。従って、EBVを用いて細胞を形質転換する能力は、B細胞刺激剤の添加によって補助することができるが、その条件として、CD21を細胞表面上に維持し、EBVが高効率で不死化を可能にすることを確実にすることが好ましい。
不死化した抗体分泌細胞集団を、効率的に得ることができる。実際に、潜伏し、溶菌しない状態でEBVウイルスを用いて不死化する場合、選択されかつ不死化されたB細胞が豊富な細胞培養集団は、増殖する能力を維持しつつ、有用な治療用抗体を生成する大きな可能性を有する。不死化のプロセスは、高い増殖能及びIgG分泌能の状態で、集団を「捕獲」することができる。
EBVが媒介する不死化は、EBVにより発現されるタンパク質によるB細胞の不死化を含む複雑なプロセスであり、不死化に続いて、EBVと宿主細胞タンパク質との間の相互作用によって調節される(Bishop GA and Busch LK,Microbes Infect. 2002 Jul;4(8):853−7)。
細胞培養物に添加するEBV上澄み液の量は、一般に、文献に記載されている量(10%、20%、30%又はそれ以上)にすることができるが、この方法は、EBVの上澄み液の量が比較的高い(50%容積/容積)条件で、曝露が比較的短い(約4〜約24時間)場合に正しく働くことができるようである。
必要に応じてではあるが、好ましくは、ウイルス性の不死化剤は、例えば、細胞集団を洗浄及び培養することによって、新鮮な細胞培養培地中から除去される。
EBVを用いたインビトロでのB細胞不死化は、シクロスポリンA及び過酸化水素(それぞれ、約500ng/ml及び約100μMの濃度で使用される)により誘導されたものなどの酸化ストレスによっても促進することができることに留意されたい。
細胞の刺激
このステップの目的は、培養培地中へ、細胞に抗体を分泌させることである。上述のように、目的の抗体を生成することができる細胞は、メモリB細胞及び/又は、任意の抗体分泌細胞であり得、従って、検出可能な量が存在するように、効率的に抗体を分泌させるために、細胞は刺激される必要がある。刺激は、集団の細胞のクローン増殖につながる。刺激剤として標的抗原を使用することによってこの刺激は特異的であり得るが、好ましくは、非特異的である(即ち、全ての抗体分泌細胞が刺激されている)。
目的の抗原に結合する抗体を発現する、メモリB細胞及び/又は抗体分泌細胞を検出するのに必要且つ十分な時間の間、培養培地中の細胞の増殖を誘導するのに十分な時間、又は好ましくは十分な時間、生存可能な抗体分泌細胞を維持すること、及び/又は、以下に記載の細胞を採取するステップの間、機能的活性を維持することも、本ステップの目的である。
本発明において、用語「刺激」及び「活性化」は、同じ意味を有し、同等に使用することができる。
刺激剤は、以下の化合物から選択することができる。
(a)B細胞により発現されるToll様受容体(TLR)に対する、少なくとも1つのアゴニスト。発現した異なるTLRのうち、TLR9及びTLR7が好ましい。TLR9は、オリゴヌクレオチドを認識し、より具体的には、CpGベースのオリゴヌクレオチドを認識する。TLR7は、一本鎖RNA、グアノシン類似体並びに、イミキモド及びレシキモド(R848)などのイミダゾキノリン化合物を認識する。好ましい実施形態によれば、刺激剤は、CpG−ベースのオリゴヌクレオチドであり、より好ましくは、ヒトB細胞についてのCpG2006、又はR848である。
(b)インターロイキン2(IL−2)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン10(IL−10)、インターロイキン13(IL−13)、インターロイキン21(IL−21)などの、免疫刺激活性を有することが知られている、少なくとも1つのサイトカイン。
好ましい実施形態によれば、B細胞の刺激は、CpG−ベースのオリゴヌクレオチド又はR848(それぞれ、TLR9又はTLR7を刺激する)及び、サイトカイン(例えば、IL−2、IL−4、IL−10、IL−21、IFN−γなど)を用いた刺激を組み合わせることにより、より好ましくは、CpG2006及びIL−2を組み合わせることにより行われる。
(c)少なくともTNF受容体ファミリーの細胞膜受容体のアゴニスト、特に、APRIL、BAFF又はCD40Lなどの、B細胞におけるNF−KB経路及び増殖を活性化するもの。好ましい実施形態によれば、抗CD40モノクローナル抗体に対するFc受容体を発現するために安定に形質転換されたマウスL細胞の表面を修飾する抗CD40モノクローナル抗体を用いて、B細胞表面CD40を架橋することにより、B細胞は同時に刺激される(欧州特許第0505397)。別の好ましい実施形態によれば、マウスL細胞の表面を修飾するCD40リガンドを用いて、B細胞表面CD40を架橋することにより、B細胞は同時に刺激される。可溶性CD40リガンド又は、CD40に対するアゴニスト抗体の使用が報告されている(国際公開第91/09115号;国際公開第94/24164号;Tsuchiyama L et al.,Hum Antibodies. 1997;8(1):43−7;Imadome K et al.,Proc Natl Acad Sci USA.2003 Jun 24;100(13):7836−40.Epub 2003 Jun 12)。
別の好ましい実施形態によれば、TNF受容体ファミリーの細胞膜受容体のアゴニスト及びサイトカインを組み合わせることによりB細胞の刺激を行う。
他の既知の刺激剤は、PWM(ポークウィードマイトジェン)、LPS(リポ多糖類)又は黄色ブドウ球菌Cowan(SAC)である。
刺激剤の組み合わせは、不死化フェーズの前に培養培地に添加することができ、もしあれば、同時又は連続的に培養培地に添加することができ(例えば、初回細胞選択の直後に第一の刺激剤を加え、数時間又は数日後に第二の刺激剤を加える)、又は、抗体分泌細胞からのよりよい反応を得るのに有用であることが証明される場合は不死化フェーズの後に培養培地に添加することができる。
細胞は、そのCD40抗原を架橋することができる薬剤の存在下で、好ましくは培養される。EBVによる不死化を行う場合、CD40架橋刺激が特に好ましい。好ましくは、架橋剤は、CD40に対して特異的な固定化モノクローナル抗体である。マイクロスフェア、リポソーム又は細胞膜などの、固相又は非水相液体基体上に、それを固定化することができる。更に、サイトカインであるインターロイキン2(IL−2)、インターロイキン4(IL−4)、インターロイキン6(IL−6)、インターロイキン21(IL−21)及びインターフェロン−γ(INF−γ)の、単独又は組み合わせのいずれかを存在させ、培養増殖速度を向上させることができる。CD40特異的抗体及び、この抗体を固定化するために使用される基体の詳細な説明は、欧州特許第505397に見出すことができる。あるいは、マウスL細胞(即ち、CD40Lを発現するフィーダー細胞)の表面を修飾するCD40リガンドを用いてB細胞表面CD40を架橋することによって、B細胞は同時刺激される。
エプスタイン・バーウイルス(EBV)を細胞に感染させることにより、細胞を不死化することができる(James,Scand. J. Immunol.,Vol. 29,pg.257;1989)。欧州特許第505397に示されるように、CD40架橋剤の存在は、EBVによるB細胞感染の効率、従って、不死化細胞の数を増加させる。通常、まずEBVでB細胞を不死化させ、次に、30分後、1時間後、2時間後、3時間後など、最大1日後、2日後、3日後に、B細胞はCD40架橋剤を用いて刺激される。
EBVで不死化を行う場合、細胞は、好ましくは、CpG−ベースのオリゴヌクレオチド、より好ましくはCpG2006と、サイトカイン、より好ましくはIL−2との組み合わせの存在下で培養される。その刺激特性に基づいて、CpG2006及びIL−2は、不死化ヒトB細胞を生成するためにEBVを用いて同時に使用されている(Traggiai et al.,2004;国際公開第04/76677号)又は、EBV不死化の前に使用されている(国際公開第2007/068758号)。
刺激剤は、希釈されたストック溶液から細胞培養培地へ直接的に、又は、適切に調剤された後に、例えば、それらの取り込み及び免疫刺激活性を向上することができるリポソーム又は他の化合物を用いて添加することができる(Gursel I et al.,2001)。刺激剤はまた、固体マトリックス(マイクロビーズ又は直接的に細胞培養プレート上)に結合することができ、より効率的な除去も可能にする。
刺激の後は、刺激剤の性質を考慮して、後の不死化及び細胞培養条件の維持に対するいかなる負の影響をも回避するために、刺激剤を効率的に除去する方法で、抗体分泌細胞を続いて好ましく処置する。
従って、刺激剤の残りの任意の影響を更に弱めて排除するために、細胞を新鮮な培地を用いて1回以上洗浄し、必要に応じて、通常の細胞培養培地中で維持することができ(例えば、1〜6日)、細胞培養中に特定の化合物を添加することによっても阻害することができる。
細胞の採取
上述のように、目的の抗体を分泌する細胞は、生物学的試料中に存在する細胞の総数に対して、非常に低い数である頻度が高い。
従って、本発明による方法は、複数の細胞プールを得るために、細胞の採取/分割ステップを含む。好ましい実施形態において、ステップ(b)において使用される各細胞プールは、10,000〜1,000,000個の抗体分泌細胞、50,000〜900,000個の抗体分泌細胞、80,000〜600,000個の抗体分泌細胞、100,000〜800,000個の抗体分泌細胞を含む。好ましい実施形態において、各細胞プールは、500,000個の抗体分泌細胞±10%、より好ましくは約100,000〜300,000個の細胞を含む。
細胞は、刺激後に採取してもよいことに留意されたい。この場合、プールは、10,000〜1,000,000個の抗体分泌細胞、100,000〜800,000個の抗体分泌細胞、200,000〜700,000個の抗体分泌細胞、300,000〜600,000個の抗体分泌細胞を含む。最も好ましい実施形態において、各細胞プールは、500,000個の抗体分泌細胞±10%を含む。この場合、細胞の培養培地は、そのプールに入っていない細胞によって生成されたであろういくつかの抗体を含むことを避けるために、採取後に変更され得る。
採取後に刺激を行った場合、プールは、好ましくは、10〜5000個の抗体分泌細胞、20〜2000個の抗体分泌細胞、50〜1000個の抗体分泌細胞、50〜500個の抗体分泌細胞を含む。最も好ましい実施形態において、各細胞プールは、100個の抗体分泌細胞±10%を含む。刺激/活性化は抗体分泌細胞のクローン増殖を導き得、それによってステップ(b)の前にプール中の細胞の数を増加させる。
各プール中に導入された細胞の総数は、細胞集団内の抗体分泌細胞の割合に依存するであろう。
概して、異なるプールは、マイクロタイタープラーク、通常96ウェル又は384ウェルプラークのウェル中に存在する。
好ましくは、細胞採取の後、例えば、37℃、5%CO雰囲気中などの、細胞が培養培地中に抗体を分泌する条件下で、前記細胞プールが該培養培地において培養される。適切な培養細胞培地は、上述されている。その結果、上記の刺激剤のいくつかが、培養培地中に存在し得る。この操作の目的は、抗体の活性をステップ(b)において評価し得るように、培養培地が十分な抗体を確実に含むようにすることである。
理想的には、刺激された抗体分泌細胞は、少なくとも3日間、少なくとも5日間、少なくとも10日間、少なくとも15日間、少なくとも20日間及びそれ以上、培養されるべきである。
好ましい実施形態において、それらは、約14〜15日間培養される。
所望の活性及び/又は結合プロファイルを有する抗体を分泌する細胞を少なくとも含むプールの同定
ステップ(b)において、各プールの培養培地のいくらかを採取する。この培養培地は、プール中に存在する細胞から分泌された異なる抗体の混合物を含む。細胞プールは、インビトロでの刺激及びステップ(a)の細胞増殖に続く、増殖した細胞クローンの混合物であることを留意されたい。
所望の結合活性及び/又は機能的活性を提示する任意の抗体を含むかどうかを識別するために、これらの抗体混合物を次に評価する。
従って、抗体分泌細胞プールの選択は、所望の結合特性及び/又は生物学的活性の特性を有する抗体が、対応する細胞培養上澄み液中に存在していることを決定することに基づいて実施される。
好ましくは、1つ以上の抗原に結合する抗体が対応する細胞培養上澄み液中に存在していること、及び特定の生物学的活性が示されることによって、細胞プールが選択される。
特に、二重の選択が行われる場合、即ち、1つ以上の抗原への結合、及び生物学的活性の存在に基づく場合、これらの試験は、任意の順序で行うことができる。例えば、これらは、2つの連続した選択項目として、即ち順々に行うことができ、あるいは両方の試験が並行して行われる。好ましくは、目的の結合特性を有する抗体の存在について、細胞プールについて第一の試験を行い、その後、所望の生物学的活性の存在に基づく選択を行う。
多くのアッセイを行うことができ、特に、結合又は機能的アッセイを行うことができる。
1回のアッセイで、培養培地が、標的抗原に結合することができる任意の抗体を含むかどうかを決定し得る。例えば、酵素免疫測定法(ELISA)、ドットブロット、ウェスタンブロット、免疫沈降、フローサイトメトリー又はビーズベースのスクリーニング技術などの種々の技術が、当業者に周知である。複数の結合試験が有利に実施される。好ましくは、この結合試験は、ELISA試験である。
目的の結合プロファイルを有する抗体の細胞プール上澄み液中の存在を決定するために、1つ以上のELISA試験を行うことができる。特定の実施形態において、例えば、異なるタンパク質変異体との異なる結合又は架橋を有するなどの、目的の結合プロファイルを有する抗体分泌細胞を選択するために、複数のELISAアッセイを行う。用語、タンパク質変異体は、上述されている。これらの複数のELISA試験を、連続的、即ち順々に、あるいは並行して、行うことができる。
目的の特定の結合プロファイル及び、それらの同定のために、複数のELISA試験がどのように行われるのかの例を、本明細書において提供する。複数のELISAアッセイを、例えば、一般的な保存されたモチーフを有する、タンパク質変異体又はタンパク質と交差反応する抗体を同定するために、使用することができる。特に、複数のELISA試験を、種(例えば、ヒト/マウス)間、又は同じ種のサブグループ間(例えば、インフルエンザウイルスの、赤血球凝集素又はノイラミニダーゼタンパク質の多岐にわたるサブタイプ(Clementi N. et al. PLoS One.2011;6(12):e28001)の、特定のタンパク質に対して交差反応するモノクローナル抗体の選択のために実施することができる。あるいは、複数のELISA試験を、リン酸化されたエピトープを認識するが、対応する非リン酸型は認識しない抗体を分泌するB細胞を含有する選択された細胞プールを選択するために実施することができる。例えば、リン酸化型について特異的な抗体を提示する細胞プールを選択するために、まずELISAを実施し、その後、同じエピトープであるがリン酸化されていないものを認識するモノクローナル抗体を選択しないようにするために、第二のELISAアッセイを用いて、対抗選択することによって行われる。
更に、特定のタンパク質の特定のエピトープを認識するモノクローナル抗体をその上澄み液中に含む細胞プールを選択するために、複数のELISAアッセイを実施することができる。一実施形態において、ELISA試験を、前記特定のタンパク質に対するモノクローナル抗体を選択するために実施し、次に、これらの抗体が前記タンパク質の特定のエピトープを認識するかどうかを決定するために、1つ又は複数のペプチド配列に対する第二の選択を行う。
当業者は、目的の結合プロファイルに従って行われる結合試験(即ち、ELISAアッセイ)を決定するであろう。
多くの種類の機能的アッセイが存在する。当業者は、標的抗原のために適切なものを決定することができると考えられる。従って、選択された標的抗原に従って特定の生物学的活性が試験され、この生物学的活性試験は、中和活性、細胞増殖抑制作用、抗体依存性細胞障害(ADCC)活性、直接的細胞死滅、食作用などの決定によって構成され得る。機能的アッセイは、特定の抗原に対する抗体を同定するために、常に発展し、利用可能であり、及び/又は実行可能であるわけではない。以下は、機能的アッセイの非限定的な例である。
・ 抗体無し又は様々な量の抗体存在下で、標的の生物学的活性を評価するためのアッセイ。
・ 抗体無し又は様々な量の抗体存在下で、標的の生物学的活性を中和するためのアッセイ。この機能的アッセイは、通常、ウイルス抗原又は細菌抗原に対するモノクローナル抗体を同定するために用いられる(例えば、国際公開第2004/076677号中の抗SARS抗体中和アッセイを参照)。細菌抗原のための更なるアッセイは、血清細菌抗体(SBA)及びオプソニン食作用アッセイ(OPA)であり得る(例えば、Romero−Steiner et al. 1997 vol.4 N°4 pp415−422を参照)。
・ 標的細胞の活性化又は阻害を決定するためのアッセイ。読み出しは、シグナル経路及び/又はアポトーシスの活性化又は阻害であり得る。
特定の実施形態において、細胞上澄み液の機能的活性(即ち、生物学的活性)を、ステップ(b)において、標的タンパク質又は有機体を中和するために、細胞上澄み液中の抗体の能力を測定する試験を用いて決定する。ウイルスに対する中和アッセイの例は、ウイルスの感染力価を減少させる、即ち、ウイルス感染性を中和する抗体の検出を含む。中和試験の他の例は、細胞毒性毒素の細胞毒性活性の中和を決定する際に、構成される。
特定の実施形態において、所望の生物学的活性は、ADCC(抗体依存性細胞傷害)を刺激する能力である。
従って、所望の生物学的活性を有する抗体を分泌する少なくとも1つの細胞を含むプールは、採取されたそのような抗体を含む培地由来のプールである。
これらのプールを次に、これらのプール(上記で見られるように、50,000〜800,000個、好ましくは約500,000個の抗体分泌細胞を含む)の複雑さの低減を図ることができるステップを含む、本発明の方法の次のステップのために使用し、これにより、前記抗体を生成する特定の単一細胞が単離される。
ほとんどの場合、プールは、特定の標的に対する抗体を分泌する複数の細胞を含むことに留意されたい。実際に、細胞のクローン増殖につながる抗原の分泌を可能にする培養条件が存在し、それによってプール内のこれらの細胞の数を増加させる。
しかしほとんどの場合、これらの細胞はプール内で少数派である。
所望の生物学的活性及び/又は結合プロファイルを有する抗体を生成する細胞を含むものとして同定された細胞プールのハイスループットスクリーニング
目的の抗体を特に分泌する細胞を同定するために、同定されたプールからの細胞を、統計上、最大で3つの細胞が前記マイクロウェルアレイの各ウェル中に存在するような条件で、複数のウェルを含むアレイ上に付着させる。好ましくは、前記アレイは、前記マイクロウェルアレイのウェルのサイズ及び形状が、ウェル当たり細胞を1つだけ入れることができるようなマイクロウェルアレイである。
プールの細胞をアレイへ適用する前に、任意の以前の溶液を交換するため及び/又は適切に不純物、特に、結合物質のコーティング層を形成する過程で(例えば、以下に見られるように、コーティング層がアレイへ加えられている場合)表面に付着し得る不純物を除去するために、アレイのウェル及びそれらの周囲の領域を、生理学的溶液、好ましくは培養培地を用いて洗浄し、検出の精度を向上させるのが望ましい。
上述したように、ウェル中に導入された細胞は、標的抗原に対する所望の生物学的活性及び/又は結合プロファイルを有する目的の抗体を分泌する少なくとも1つの細胞を含むことが同定されているプールの一部である。
マイクロウェルアレイ
好ましい実施形態において、複数のマクロウェルを、マイクロウェルアレイチップ上に等間隔の行又は列で配置する。本発明において、用語「チップ」、「アレイ」、「マイクロアレイ」及び「マイクロウェルアレイ」は、同じ意味を有し、交換可能に使用することができる。
マイクロウェルの形状もサイズも、特に制限されていない。しかしながら、例えば、マイクロウェルの形状は、円筒形とすることができる。また、マイクロウェルの形状は、複数の面で構成された多面体(例えば、平行六面体、六角柱、又は八角柱)、逆円錐、逆ピラミッド(逆三角錐、倒立角錐、逆五角錐、逆六角錐、又は、7つ以上の角を有する逆多角錐)又は、これらの形状を2つ以上組み合わせた形状などの、非円筒形とすることができる。例えば、部分的に円筒形であり、残りは逆円錐の形状であってもよい。マイクロウェルの底部は、通常は平坦であるが、曲面(凸状又は凹状)であってもよい。
好ましくは、前記アレイは、マイクロウェルアレイであり、前記マイクロウェルアレイのウェルのサイズ及び形状は、各ウェルに細胞が1つだけ入ることができるように設定されている。適切な単一細胞マイクロウェルアレイは、例えば、欧州特許第1566635号、欧州特許第1691196号及び欧州特許第2184345号に記載されている。円筒形のマイクロウェルについて、寸法は、例えば、3〜100マイクロメートルの直径とすることができる。Bリンパ球を検出するためには、直径は、望ましくは4〜15マイクロメートルである。
深さは、3〜100マイクロメートルとすることができ、Bリンパ球を検出するためには、望ましくは、4〜40マイクロメートルである。
当業者は、1つのマイクロウェルが1つのBリンパ球細胞のみを含んでいるならば、マイクロウェルの他の形状及びサイズを決定することができる。
マイクロウェル当たりにBリンパ球細胞が確実に含まれるよう、Bリンパ球の直径の0.5〜2倍、望ましくは0.8〜1.9倍、好ましくは0.8〜1.8倍の範囲内に、最大の円の直径を選択することができる。不死化した及び/又は活性化したB細胞の直径が、不死化していないBリンパ球の直径よりも大きいかどうかを考慮するべきである。
更に、マイクロウェルの深さは、好ましくは、マイクロウェルに含まれるBリンパ球細胞の直径の、0.5〜4倍、望ましくは0.8〜1.9倍、好ましくは0.8〜1.8倍の範囲とする。
単一のマイクロウェルアレイチップ内に存在するマイクロウェルの数は、特に限定されるものではない。しかしながら、10個の細胞当たりの所定の抗原特異的リンパ球の頻度が、上限で1〜約500個である場合、マイクロウェルの数は、1cm当たり、約2,000〜1,000,000個の範囲であろう。
マイクロウェルアレイ内の細胞の付着
特定の実施形態において、各ウェル内に複数の細胞が入ることが可能となるように、マイクロウェルのサイズが選択されてもよい。この実施形態において、アレイに提供される試料中の細胞の濃度が、各アレイの各ウェル中に加えた培地の量が(統計上)最大3つの細胞を含むようなものであるように、プール中の細胞が希釈される。
96ウェルアレイを使用し、500μlを各ウェルに添加する場合、例示として、細胞を、約6細胞/mLの濃度まで希釈する。250μLを各ウェルに添加する場合、細胞を、約12細胞/mLの濃度まで希釈する。384ウェルアレイを使用し、40μLを各ウェルに添加する場合、細胞を約75細胞/mLの濃度まで希釈する。
好ましい実施形態において、希釈は、各アレイの各ウェルが(統計上)最大2つの細胞を含むように行う。
好ましい実施形態において、希釈は、各アレイの各ウェルが(統計上)最大1つの細胞を含むように行う。
この実施形態において、アレイのウェル中の細胞の分布(ウェル当たりの細胞数)は、概して、各ウェルにおいて所望される細胞の(統計上)最大数を中心とする正規分布である。いくつかのウェルは、この数よりも多い又は少ない細胞を含み得るが、ウェルの大半はその数を含む。
好ましい実施形態において、単一細胞マイクロウェルアレイが使用され、このアレイは、ウェルのサイズ及び形状が、ウェル当たり細胞を1つだけ入れることができるようなマイクロアレイである。細胞プールは、上述のように希釈され得るが、好ましくは、細胞は希釈せずに付着に供される。ほとんどのウェル中に1つの細胞が確実に存在するように、良好な充填率、即ち、細胞が極めて過剰(マイクロウェル数を超える細胞数)であることが特に好ましい。
アレイでの細胞の培養
典型的に、細胞の懸濁液がアレイの表面上に供され、細胞は重力によってウェル内に入る。細胞プール中の細胞は、培養培地中又は生理的緩衝液中(例えば、リン酸緩衝生理食塩水(PBS))に懸濁され得る。好ましくは、例えば、培養培地又は生理的緩衝液を含むアレイ中に細胞を付着させる前及び/又は後に、洗浄ステップを行う。
目的の抗体分泌細胞を含むウェルを特定する(即ち、「スポット」の同定)前に、抗体の分泌が可能な期間、細胞をアレイ内に維持する。マイクロアレイでの細胞の培養は、細胞が増殖することを意図するものではなく、むしろ、細胞が抗体を分泌することを可能にすることを意図することに、留意すべきである。
好ましくは、細胞の生存率と、検出可能な量の抗体分泌との両方を確実にするために、細胞を適切な培地中で培養する。結合物質に結合する、生成された抗体の検出可能な量を得るために、培養期間を適宜決定することができる。培養は、数分〜数時間、又は最大24時間続き得る。有利には、マイクロウェルアレイは、30分〜5時間、より好ましくは1〜3時間維持され、特に好ましいのは、2時間又は3時間のインキュベーション時間である。
培養培地を用いてアレイを覆うことにより、培養を行うことができる。結合物質のコーティング層を含むマイクロアレイを使用する場合(以下に説明するように)、細胞によって分泌された抗体がコーティング層中へ拡散可能であるように、細胞を培養する。分泌される抗体は、このように、ウェルから、ウェルの周囲のコーティング層へ拡散する。拡散してコーティング層に到達するこれらの抗体は、このように、コーティング層に含まれる結合物質に結合する。
特定の実施形態において、結合物質のコーティング層を備えるマイクロウェルアレイを使用する場合、以下のステップを細胞付着の前に行う。
・ 0日目:抗原溶液を用いてチップを一晩インキュベーションし、チップ表面をコーティングさせる(残存する空気が抗原溶液の物理的障害となっているため、ウェルはコーティングされない)。
・ 1日目:各ウェルの内部に存在する空気を除去するために、チップを洗浄し、飽和(saturation)溶液(例えば、Biolipidure溶液)を分注し、かつ減圧する。注目すべきことに、空気が除去されるとすぐに飽和溶液でウェルの表面が有効になり、細胞はウェルへ入ることができる。飽和させる。
・ 1日目:チップを洗浄し、抗体分泌細胞プールをチップ上に分注する。
好ましくは、上記は、Jinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−76)の記載のように行う。
培養期間を過度に長くすると、生成された抗体が広く拡散して、時には、生成された物質を生成する細胞を含むウェルを特定することが困難になる。培養期間は、望ましくは、生成された抗体を生成する細胞を含むウェルの容易な特定を可能にする範囲内の、適切な値に決定される。
所望の生物学的活性及び/又は結合プロファイルを有する抗体を生成する特定の細胞のアレイからの単離
以下のステップは、特定の生物学的活性及び/又は結合プロファイルを有する抗体を生成する細胞を含む、アレイのウェルを同定することである。
アレイ上のコーティング層の使用
一実施形態において、アレイは、少なくともウェルの周囲の主表面の少なくとも一部の上に、分泌された抗体の少なくとも一部に結合する能力を有する、結合物質のコーティング層を含み、そこでは、分泌された抗体が拡散し、前記結合物質に結合できるようになっている。好ましくは、ステップ(d)は、分泌された抗体が拡散し、ウェルの周囲のコーティング層中に含まれる結合物質に結合するように、培養培地で前記マイクロウェルアレイを被覆するステップを含む。
欧州特許第2184345号に示されているように、結合物質を含むコーティング層を形成するために、基板の主表面をシランカップリング剤で処理して主表面上の結合物質の結合を確実にしてもよい。
次に、コーティング層を形成するために、シランカップリング剤を用いて処理された表面に結合物質を含む溶液を適用する。コーティング層中の結合物質の量は、結合物質の種類、及び標識物質の種類に基づいて決定される。
主表面に対する結合物質の結合を確実にするための表面処理は、シランカップリング剤による処理に限定されるものではなく、タンパク質などで構成される結合物質の、基板の表面への結合を促進する、無機材料(シリコン材料など)又は有機材料(ポリマー材料など)で構成される任意の物質を、使用のために適切に選択することができる。
結合物質で被覆された表面上には、結合物質が密集して存在できない場合がある空間が存在し得、塗布量に応じて、覆われていない表面の部分が残っている。そのような場合、特に、表面を上述のようにシランカップリング剤を用いて処理する場合、細胞によって生成された抗体が基板の表面へ非特異的に結合する場合がある。そのような非特異的結合は、検出感度の精度の低下を引き起こす。
従って、本発明において、結合物質を用いたコーティング層で覆われていない主表面を被覆するために、マイクロウェルアレイ上にブロッキング剤を塗布することが好ましい。ブロッキング剤の例は、細胞膜を構成するホスファチジルコリンの極性ベースと同じ構造を有する2−メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン(MPC)の形態の構造単位を有する、水溶性ポリマーであるLipidure(登録商標)である。
固体支持体上のアレイのインプリントの作製
別の実施形態において、前記ステップ(d)は、固体支持体上でマイクロウェルアレイのインプリントを作製し、固体支持体上の抗原結合抗体の存在を検出するステップを含む。
この方法は、特に、国際公開第2007/035633号、及びLoveら(Nat Biotechnol.2006 Jun;24(6):703−7.Epub 2006 May 14)に記載されている。
要約すると、この方法は、フォトリソグラフィ及びレプリカ成型を用いて、マイクロウェルのアレイを作製することによって行われ得る。ウェルの直径及び深さは、典型的に50μm/100μmである。アレイは、PDMS(ポリジメチルシロキサン)、生体適合性材料で作製することができる。
プールからの細胞はアレイ上に付着させられ、過剰量の培地は除去される。各ウェル中の細胞の数は、細胞の濃度、適用する量、時間、ウェルのサイズ及びマイクロアレイのサイズに依存する。上述のように、これらのパラメータは、細胞プール及び活性化手順によって、0〜3つの細胞が10〜90%のウェル中に存在するように調整することができる。次に、培養培地中に存在する分泌された抗体に結合する結合物質を用いて前処理された固体支持体上にアレイを配置する。
ウェル中の抗体生成の測定
代替の実施形態において、特定のコーティングが施されていないマイクロウェルアレイが使用され、好ましくは、このマイクロウェルは、例えば、欧州特許第1566635号又は欧州特許第1691196号に記載のものなどの、単一細胞マイクロアレイである。抗原特異的抗体が培養培地中へ分泌されたそれらのウェルは、免疫化学的測定により検出される。特定の場合において、例えば、前記結合物質が標識された標的抗原であるように、マイクロウェルアレイを、目的の抗体に対する結合物質を含む溶液を用いてインキュベートする。
所望の細胞を含むウェルの特定
結合物質がアレイ上のコーティング層に存在するか、又は固体支持体上に存在するか、又はマイクロウェル中に存在するかどうかにかかわらず、結合物質は、分泌された抗体に結合する。
結合物質は、標的抗原に結合する抗体に特異的に結合し得るか、又は任意の抗体に非特異的に結合し得る。それはまた、免疫グロブリンの特定のアイソタイプのみに特異的に結合することができる(標的抗原に結合する抗体に特異的ではない)。
次のステップは、所望の抗体を生成する細胞を含むウェルの所在を明らかにする標識物質を使用することである。この標識物質を使用する検出の原理は、結合物質への結合に関して目的の抗体との競合によるものであり得、又はELISAと同様の「サンドイッチ」検出により得る。
特に、コーティング層を含むアレイを使用する場合、標識物質を次に、コーティング層へ供給する(好ましくは、培養液を除去した後)。
実際のところ、標識物質を供給する前に、培養培地を除去することが望ましい。実際に、ウェル中に含まれる免疫グロブリン生成細胞について、多量の抗体が培養培地中に分泌される。抗免疫グロブリン抗体を標識物質として加える場合、チップ表面上の抗体に結合する前に、培養培地中の抗体に結合し、アレイ表面に結合した抗体の検出を妨げることがある。
しかしながら、培養液を除去せずに、標識物質がコーティング層へ供給される場合であっても、細胞及び結合物質の組み合わせによる問題を引き起こすことなく、検出を行うことができる場合もある。
次に標識シグナルを検出し、目的の抗体を生成又は分泌するウェルの所在を同定することができるようになる。
結合物質/標識物質
結合物質を、目的の免疫グロブリンに結合させることができる。
特異的結合
この場合、結合物質は、標的抗原であり得る。この場合、標識物質は、生成された免疫グロブリンに対する抗体でなければならない。
非特異的結合
第一の実施形態において、結合物質は、免疫グロブリンの定常鎖に対する抗体などの、抗免疫グロブリン抗体であり得る。この場合、標識物質は、目的の抗原でなければならない。
以下の表は、欧州特許第2184345号の表1から示唆を受け、以下の例を提供する。
(1)細胞によって生成される物質の少なくとも一部に結合する能力を有する物質(結合物質)、
(2)細胞によって生成され、同定される必要がある物質(同定するための物質)、及び
(3)生成された物質を同定するための、標識物質(必要な標識物質)。
以下に説明するように、標識物質が目的の抗体に特異的に結合する(かつ、この抗体の存在が、放出された蛍光などの、標識の検出により検出される)場合、標識物質は結合物質に特異的に結合する(かつ、生成された物質の存在は、蛍光の欠如など、標識がないことによって検出される)。
(表1)結合物質及び標識物質の結合の例
Figure 2014518080
特定の実施形態において、結合物質は目的の標的抗原であり、標識物質は抗IgG抗体である。
別の実施形態において、結合物質は抗IgG抗体であり、標識物質は目的の標的抗原である。
結合物質が抗原である場合
結合物質が抗原である場合、目的の抗体を生成する細胞を含有しないウェルの周囲のコーティング層上では、結合が行われない。
インプリントを行う場合、目的の抗体を生成する細胞を含まないウェルのインプリント上では、抗体は結合しない。
一方、分泌された目的の抗体は、この抗体が生成されたウェルの周囲の結合物質に結合する(又は、それが生じるウェルの場所で、固体支持体上の結合物質に結合する)。
コーティング層中(又は、固体支持上)の結合物質に結合する、標的細胞により生成された標的抗体は、この標的細胞を含むウェルの所在を可能にする標的物質を用いて検出される。
標識物質が蛍光部分を含む場合、アレイ上又は固体支持体上の蛍光の有無の検出は、蛍光顕微鏡、蛍光イメージスキャナ、イメージリーダーなどを用いて行う。
コーティング層を有するマイクロウェルアレイの場合には、(その周囲が標識物質に結合する)標識されたウェルは、所望の抗体を分泌する細胞を含む。
インプリント法の場合には、標識シグナルのスポット(「スポット」とも呼ばれる)を、所望の抗体を分泌する細胞を含むウェルと関連づけることができる。
特に好ましい手法は、複数抗原に対して反応するモノクローナル抗体が検出される、いわゆる「マルチプレックス」法である。一実施形態において、結合物質は、抗免疫グロブリン抗体であり、スポットは、標識された様々な抗原を標識物質として用いて特定され、この手法は、以前、Jinら(Nat Med. 2009 Sep;15(9):1088−92;(Nature Protocols,2011,6(5) 668−76)によるISAAC法を用いて説明された。別の実施形態において、いくつかの非標識抗原が結合物質として使用され、スポットは、標識された抗免疫ブログリン抗体を用いて特定されている。
本発明の方法は、従って、標的抗原に対する所望の生物学的活性及び/又は結合プロファイルを有する抗体を生成する、細胞の同定を可能にした。
細胞の回収
また、本方法は、ステップ(d)の同定されたウェル中に存在する細胞を更に独立して採取するステップなどの、他のステップを含んでもよい。好ましくは、蛍光CellTracker(商標)プローブなどの標識方法が細胞の所在に関して使用され、このようにして、同定されたウェル中に含まれる細胞の回収を容易にする。プローブからのシグナルは、典型的に、蛍光顕微鏡を用いて監視される。
従って、好ましい実施形態において、本発明の方法は、ステップ(d)の同定されたウェルから単一細胞を独立して回収するステップを更に含む。好ましくは、細胞回収を、例えば、Jinら(Nature Protocols,2011,6(5) 668−76)により以前記載されるように、当業者に周知の顕微操作により行う。
所望の場合、前記細胞は、更に、細胞培養物を得るために培養することができる。この細胞培養物は、同定されたウェル中に存在する単一細胞のクローン性増殖を介して得られる。単一細胞マイクロアレイが細胞スクリーニングのために使用されておらず、同定されたウェルが複数の細胞を含んでいた場合、細胞培養物は、複数のクローンを含み得ることに留意されたい。この場合、この細胞培養物に関して、マイクロアレイ中の細胞スクリーニングステップを繰り返すことができる。これらのステップの繰り返しは任意であり、この場合、ウェルが最初に単一細胞のみを含んでいたかのように、細胞培養物を処理することができる。
VH配列及びVL配列回収及びクローニング
本方法は、更に、前記細胞培養物から、標的に対する抗体をコードする遺伝子を単離する(クローニングする)ステップを含んでもよい。
選別された単一細胞由来のVH及びVL遺伝子の単離は、単一B細胞由来のIg遺伝子の分析と、組換えmAbの生成を可能にする。好ましくは、本方法は更に、ステップ(d)の同定されたウェル中に存在する細胞から、標的に対する抗体をコードする遺伝子を独立して単離するステップを含み得る。これは、従って、細胞培養物を得るステップ無しで行われるであろう。
従って、更なる態様において、本発明は、
(a)本発明の第一の態様において記載された方法を用いて、抗体分泌細胞を含む細胞の集団から、1つ以上の標的抗原に対する抗体を分泌する細胞を同定するステップと、
(b)RT−PCRにより、前記細胞から抗体VH配列及び/又はVL配列を得るステップと
を含む、モノクローナル抗体のVH配列及び/又はVL配列を回収するための方法に関する。
本発明の方法の利点の1つは、目的の細胞クローンを含む(即ち、目的の結合活性/生物学的活性を有する)抗体分泌細胞の予め選択された細胞プールから、目的の抗体を高い収率で回収することを可能にすることである。
上述したように、本発明の方法は、複数のウェルを含むアレイにおいて、同定された細胞プール由来の細胞を付着させるステップを含む。好ましい実施形態において、同定された各細胞プールの細胞は、アレイ中の全ての細胞が同じ細胞プールに対応するように、少なくとも1つのアレイ中に付着させる。言い換えると、指定されたアレイ中に存在する全ての細胞は、同じ細胞プールに由来する。
必要に応じて、目的の抗体分泌細胞を含むものとして同定されたプールからの細胞(即ち、所望の結合特性/生物学的活性を有する)を、1つ以上のアレイ中に付着させる。このマイクロアレイは、従って、目的の標的抗原に対する、モノクローナル抗体を分泌する細胞を含むウェルを同定するために、スクリーニングされる。
本発明の本実施形態において、各マイクロアレイは、その抗原特異性及び機能的活性について選択された抗体分泌細胞(即ち、B細胞)のプール(1つのヒット)由来の細胞を含む。
従って、マイクロアレイにおいて、抗原に対して特異的であると認識される細胞(陽性スポット)は、固有なB細胞クローンを起源とする可能性が高い。実際に、本発明の目的は、非常に稀なB細胞クローンを同定することであることに留意されたい。細胞を刺激する(従って、増殖する)ことにより、試料中に存在する細胞の数を増加させる。増殖した細胞は全て、クローン増殖による、元の非常に稀なB細胞クローンに由来する。
マイクロアレイ中の陽性細胞は、同じ起源のB細胞に由来する可能性が高いという事実のため、VH及びVL遺伝子対の両方が、単一ウェル由来の細胞から取得できない場合、同じB細胞クローンに由来する、異なるウェル由来の細胞から、VH及びVL鎖をクローニングすることが可能となる。いくつかの場合において、1つのヒットは、所望の結合特性及び/又は生物学的活性を有する、1つ以上の抗体(VH/VL対)を含むことが可能であることに注意が必要である。
従って、一実施形態において、抗体VH配列及びVL配列は両方とも、ステップ(d)において同定された単一ウェル中に含まれる細胞から得られる。別の実施形態において、抗体VH配列及びVL配列は、ステップ(d)において同定された複数のウェル中に含まれる細胞から得られる。この別の実施形態において、VH領域のDNAは、本発明の方法のステップ(d)において同定されたウェルから単離された細胞から得られ、VL領域のDNAは、同じアレイ上で同定された別のウェルから単離された細胞から単離される。
単一のアレイにおいて、目的の単一B細胞クローン由来の多くの単一細胞をスクリーニングするという事実は、選択されたB細胞プールから目的の抗体を回収する機会を増大させるため、本発明の方法の重要な強みである。
対照的に、従来技術の方法において(Jinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−76)において記載されたISAAC法)、アレイ中の単一細胞は、固有のクローンであると考えられ、従って、同定されたヒットからVH及びVL遺伝子対の両方を取得するための機会はただ一度きりである(実施例、及びISAAC対本発明の方法の比較表を参照のこと)。
目的の抗体をコードする遺伝子の単離を、当該技術分野で公知の方法を用いて行う。
Simonssonら、(1995,Biotechniques Vol.18 N5 pp862−869)、
Larrickら、(1989,biotechniques Vol.7 pp934−938)、
Orlandiら(1989,Proc. Natl. Acad. Sci. USA vol.86 pp3833−3837)。
更に、選別された単一細胞からのVH及びVL遺伝子の単離は、例えば、Babcookら(1996,Proc Natl Acad Sci USA. 23;93(15):7843−8.)又はTillerら(2008,J Immunol Methods.,329(1−2):1 12−24)により、以前に記載されている。好ましい実施形態によれば、単一B細胞から抗体の重鎖及び軽鎖可変遺伝子配列を増幅させて単離するために使用される方法は、Ozawaらの方法のうちの1つである(2006,Biotechniques vol. 40 pp469−470,472,474)。
実際、免疫グロブリンをコードする遺伝子の全て又は一部の配列は、当該技術分野において常套の方法により、クローニングすることができる。
示されるように、回収された単一細胞の増殖後に得られたか、又は、同定されたウェル中に存在する細胞から直接得られた(同じB細胞クローンから由来する単一細胞由来又はいくつかの細胞由来の)細胞培養物から、抗体遺伝子はクローニングされ得る。
遺伝子が単離されると、適切な細胞において抗体を生成することが可能である。
同定されたウェルが、n個の細胞を含む場合、n個の可能な抗体を得られることに留意すべきである。その結果、同定されたウェルが複数の細胞を含み、(かつステップ(c)及びステップ(d)が繰り返されない場合、)n個の抗体全てを生成して、それらの生物学的活性の評価に関してそれらのそれぞれを試験する必要がある。しかしながら、単一細胞マイクロアレイが使用されている場合にはそうはならない。
1つ以上の標的抗原に対し、モノクローナル抗体を生成する細胞を得るための方法
また、本発明は、
(a)上述のように、本方法のステップ(d)の同定されたウェル中に存在する細胞から、又は、前記細胞のうちの1つから得られた細胞培養物からmRNAを単離するステップと、
(b)前記mRNAの逆転写を行い、ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)を用いて対応するcDNAを増幅するステップと、
(c)定常領域CH及びCLをコードする対応する配列を含む、適切な発現ベクター中に、VH領域及びVL領域に対応する前記DNA配列をクローニングし、そのようにして、完全長の重鎖及び軽鎖の状態で、前記VH領域及びVL領域の発現を可能にするステップと
を含む、モノクローナル抗体を生成する細胞を得るための方法を含む。
特定の実施形態において、VH領域のDNAは、本発明のステップ(d)において同定されたウェルから単離された細胞から単離され、VL領域のDNAは、本発明の方法のステップ(d)における同じアレイ上で同定された別のウェルから単離された細胞から単離されている。
また、本発明は、ほとんどの場合、自然に対になった免疫グロブリンが生成されるように、免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の状態において、前記VH領域及びVL領域を発現するような条件下で、前の実施形態(又は、前の実施形態による細胞に由来する)による細胞を培養するステップを含む、モノクローナル抗体を生成するための方法を含む。得られた組換え抗体は、回収された抗体分泌細胞が由来する選択されたヒット中に存在する、結合活性特性/機能的活性特性によって特徴付けられる場合、「自然に対になった免疫グロブリン」であると考えられる。
また、上記の2つの方法は、標的抗体を分泌する細胞を同定するための方法を実施するステップも含む。
本明細書において想定されるように、前の実施形態による細胞に由来する細胞は、(i)前の実施形態の細胞の継代培養により得られた細胞、(ii)前の実施形態の細胞で最初にクローニングされたVH及びVLに対応するDNAのサブクローニング(及び必要に応じて継代培養)によって得られた細胞である。
好ましい実施形態において、前記細胞は、CHO細胞、NS0、HEK293、PerC6、ニワトリの胚由来の幹細胞又は、アヒル胚芽由来の幹細胞、及び、ニワトリ細胞株又はアヒル細胞株などの鳥類細胞株から選択された細胞株からの細胞である。
組換えタンパク質を発現させるための、遺伝的に改変された細胞の生成は、当業者に周知である。当業者に周知であり、当業者によって実施される方法は、目的のタンパク質及びポリペプチドだけではなく、適切な転写及び翻訳制御要素をコードする配列を含む発現ベクターを構築するために、使用することができる。これらの方法は、インビトロでの組換えDNA技術、合成技術、及びインビボでの遺伝子組換えを含む。そのような技術は、例えば、Sambrookら(1989,Molecular Cloning,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Press,Plainview,N.Y.)及びAusubelら(1989,Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley & Sons,New York,N.Y.)に記載されている。
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明する。以下の調製及び実施例は、当業者により明確に理解され、本発明を実施させるために与えられる。本発明は、しかしながら、例示した実施形態によって範囲が限定されるものではなく、単に本発明の一態様の例示として意図され、機能的に等価である方法は、本発明の範囲内である。実際に、本明細書に記載したものに加えて、本発明の様々な改変が前述の説明及び添付図面から、当業者に明らかになるであろう。そのような改変は、添付の特許請求の範囲に含まれるものとする。
特に、実施例は、従来技術の方法に対して、本方法の利点を説明することを意図している。この方法は、細菌性及びウイルス性病原体に対する抗体を同定するために使用した。標的の名称は、機密保持上の理由から開示されていない。更に、本発明の目的は、様々な標的について使用することができる実施例に記載の方法であるので、標的の名称は、この方法の説明には関連がない。
実施例1:材料及び方法
細菌毒素1及び毒素2 ELISA
グラム陽性細菌の毒素1又は毒素2に特異的に結合するヒトIgGを、ELISAにより検出した。前記グラム陽性細菌は、病原性細菌であり、その名称は機密保持上の理由から開示しない。この目的のために、96ウェルのELISAプレート(GREINER)を、炭酸緩衝液pH9.6中、0.5μg/mL(100μL/ウェル)の精製した毒素1又は毒素2を用いて、+4℃で一晩コーティングした。次に、プレートを、250μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20(SIGMA ALDRICH)を用いて2回洗浄し、200μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20、1%のBSA(MP−Bio)を用いて、室温で2時間飽和させた。次に、プレートを、試験対象の試料を加える前に、250μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20を用いて2回洗浄した。
活性化されたB細胞プールから回収した上澄み液中のIgGの検出のために、PBS、0.05%Tween20、0.1%BSAで1/2に希釈した100μLの上澄み液を、毒素1又は毒素2でコーティングしたプレート上で、室温で1時間インキュベートした。次に、プレートを、250μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20で3回洗浄し、100μL/ウェルのHRP抱合型ウサギ抗ヒトIgG抗体(DAKO)を加えた。室温で1時間おいた後、プレートを、250μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20を用いて3回洗浄し、100μL/ウェルのHRP基質(TMB、KPL)を加えた。30分のインキュベーション後、酵素反応を、100μL/ウェル、1Nのオルトリン酸(Merk)を加えることにより停止させた。ウェル中の毒素1又は毒素2に結合するIgGの存在は、次に、VersaMax ELISAプレートリーダー(Molecular Devices)上で450nmでの光学密度(OD)を読み取ることによって測定した。
組換えモノクローナル抗体(以下、「mAbs」)の力価測定のために、未精製上澄み液、又は試験されるmAbsのH鎖及びL鎖をコードするプラスミドを用いて形質移入されたCHO細胞から精製されたヒトIgG1の、PBS、0.05%のTween−20、0.1%のBSA中の100μLの連続希釈物を、毒素1又は毒素2でコーティングしたELISAプレートのウェルに添加した。実質的に上述のようにELISAを実施した。試料を二つ組みで試験し、結果を平均ODとして表した。
細菌毒素1及び毒素2 細胞毒性アッセイ
細菌毒素1又は毒素2の、インビトロでの機能的活性を中和するための抗体の能力を、ヒトIMR−90細胞を用いた、細胞ベースの細胞毒性アッセイを用いて測定した。抗体検査の前の日、平底96ハーフウェル培養プレート(GREINER)中10,000細胞/ウェルで、IMR−90細胞(ATCC CCL−186)を1ウェルあたり50μL未満播種し、37℃、5%COの条件下でインキュベートした。中和抗体の存在について試験される試料(活性化B細胞プールの未精製上澄み液、抗体重(H)鎖及び軽(L)鎖をコードするプラスミドを用いて形質移入されたCHOからの未精製又は精製抗体)を、事前に細胞毒性アッセイにおける最適下限であると決定した濃度の毒素1又は毒素2と共に、37℃で1時間プレインキュベートした。機能的ヒットのスクリーニングのために、B細胞プールの上澄み液を、1/2の最終希釈で試験した。抗体の中和効力を測定するために、CHO細胞からの組み換え未精製又は精製mAbsの連続希釈物を試験した。1時間のプレインキュベーション後、抗毒素混合物を、IMR−90細胞を含有するプレートのウェル中に移し、プレートを37℃、5%COでインキュベートした。24時間のインキュベーション後、毒素の細胞毒性活性を、顕微鏡下でIMR−90細胞を検査し(丸い細胞は死亡しており、接着性細胞は生きている)、死滅した細胞の割合(%)を数えることにより評価した。試料を二つ組みで試験し、結果を細胞死の平均%として表した。
ELISAによる、多抗原結合特性を有する抗体の検出
ウイルスタンパク質X変異体A、ウイルスタンパク質X変異体B及び、ウイルスタンパク質X変異体の両方の、2つの部分的に重複する領域にまたがる4つのペプチド(即ち、ペプチド1、変異体A;ペプチド2、変異体A;ペプチド1、変異体B;ペプチド2、変異体B)に結合するヒトIgGを、ELISAにより検出した。ウイルスXは、病原性ウイルスを意味し、その名称は機密保持上の理由から開示しない。
この目的のために、96ウェルELISAプレート(Corning)を、0.5μg/mL精製ウイルスタンパク質X変異体A若しくはウイルスタンパク質X変異体Bを用いて、又は、5μg/mLのペプチド1、変異体A;ペプチド2、変異体A;ペプチド1、変異体B若しくはペプチド2、変異体Bを用いて、100μL/ウェルで、炭酸塩緩衝液pH9.6中、一晩、+4℃の条件下でコーティングした。次に、プレートを、250μL/ウェルの、PBS、0.05%Tween−20(SIGMA ALDRICH)で4回洗浄し、200μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20、3%のBSA(SIGMA)を用いて、室温で2時間飽和させた。次に、プレートを、試験される試料を加える前に、250μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween20を用いて4回洗浄した。
活性化されたB細胞プールから回収した上澄み液中のIgGの検出のために、PBS、0.05%のTween−20、1%のBSA中で1/2に希釈された100μLの上澄み液を、タンパク質又はペプチドでコーティングしたプレート上で、室温で1時間インキュベートした。次に、プレートを、250μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20で4回洗浄し、100μL/ウェルのビオチン化ヤギ抗ヒトIgG(Southern Biotech)を加えた。室温で1時間おいた後、プレートを250μL/ウェルの、PBS、0.05%のTween−20で4回洗浄し、100μL/ウェルのストレプトアビジン−HRP(KPL)を加えた。1時間のインキュベーション後、100μL/ウェルのHRP基質(TMB、KPL)を加えた。10分のインキュベーション後、酵素反応を、100μL/ウェルのTMB停止溶液(KPL)を加えることにより停止させた。ウェル中のタンパク質及び/又はペプチドに結合するIgGの存在を、次に、VersaMax ELISAプレートリーダー(Molecular Devices)上で450nmでの光学密度(OD)を読み取ることにより測定した。
組換えmAbの力価測定のため、試験するmAbのH鎖及びL鎖をコードするプラスミドを用いて形質移入されたCHO由来の精製されたヒトIgG1のPBS、0.05%のTween20、1%のBSA中の連続希釈物100μLを、タンパク質又はペプチドでコーティングされたELISAプレートのウェルに添加した。実質的に上述のようにELISAを行った。試料を二つ組みで試験し、結果を平均光学密度(OD)として表した。
実施例2:本発明のB細胞のスクリーニング法を用いた、細胞毒素2を中和するヒトモノクローナル抗体の同定及び生成
血液ドナー、特に、グラム陽性細菌の毒素2への結合と、毒素2の細胞毒性活性の中和に関する血清IgGの存在について陽性であると事前にスクリーニングされたドナーから、Ficoll(登録商標)(リンパ球分離媒体、Eurobio)を用いる遠心分離により、末梢血単核細胞(PBMC)を得た。約7%のB細胞を含有する、6500万個のPBMC、つまり、約460万個のB細胞を、第一のスクリーニングキャンペーン(図2中のキャンペーン#1)において使用した。この集団中のB細胞を、マウス抗ヒトIgM+抗ヒトIgD抗体混合物(Southern Biotech)を用いて、その後に、抗マウスIgG抗体(Dynabeads Pan Mouse IgG、Invitrogen)でコーティングされた磁気ビーズを用いて、IgM/IgD−発現B細胞を枯渇させることによって更に濃縮した。IgM/IgD+B細胞が枯渇した、得られたPBMC集団は、約40万個のIgG+B細胞を含んでいた。
IgG+の濃縮したB細胞には、CD40L刺激の前に、45分間、B95−8細胞株(ECACC 85011419)から調製されたエプスタイン・バーウイルス(EBV)(Vivalis)を感染させた。細胞を、200個のIgG+B細胞/ウェルの細胞密度で播種し、96ウェル平底培養プレート中で14日間培養した。その期間、B細胞は、100,000〜500,000個の細胞/ウェルに至るように増殖し、培養上澄み液中、5〜20μg/mLの発現レベルで、IgG抗体を分泌した。
14日目に、上澄み液を各培養ウェルから採取し、細菌毒素2に結合するIgGを検出するために、ELISAにより試験した。合計では、258個の上澄み液が、ELISAにより陽性であることが見出され、更に、機能的アッセイで、毒素2の細胞毒性を中和するためのそれらの能力について試験した(図2)。18個の上澄み液は機能的アッセイにおいて陽性と判明し、8個は強力な中和活性を示した。これらの結果は、所望の特異性及び機能性を有する抗体を生成するB細胞プールは、それらのインビトロ活性化及びEBV/CD40Lの組み合わせを用いた増殖後に識別することができることを示す。
8個の強陽性培養ウェルからの細胞試料を、次に、各単一の陽性培養ウェルが、1つの単一マイクロアレイに対応するように、Jinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−76)に記載のISAAC技術を用いて、細胞毒素2に対する単一細胞スクリーニングのために、マイクロアレイ上にのせた。これらのマイクロアレイは、それらがウェルごとに1つの単一細胞の最大値を含むような大きさ及び形状のウェルを有することを特徴とし、この特定の場合、マイクロウェルの周囲の表面は、細菌毒素2でコーティングされていた。3時間のインキュベーション後、特異的に毒素2に結合するIgGの存在が、Cy3−結合抗ヒトIgG抗体(SIGMA ALDRICH)を用いた染色及び、蛍光顕微鏡検査(適切な蛍光フィルターを装備したNIKONエクリプス90i)によって特定された。毒素2に対するIgGを分泌する単一B細胞を、従って、マイクロアレイのウェルの周囲の蛍光スポットの存在によって同定した。
14日間行ったインビトロでのB細胞刺激に関連した細胞の増殖が理由で、96ウェル平底培養プレートの各陽性培養ウェルは、14日間の長い培養の最後には、目的の抗体を発現している細胞を約0.5%〜2%を含んでいることに留意すべきである。マイクロアレイは、62,500個のウェルを有する。ウェルのうち少なくとも50%が1つの細胞を含むと仮定すると(即ち、平均的な充填率)、約30,000個の細胞を、目的の抗体を分泌する能力について評価することができる。従って、目的の抗体を発現する約150〜600個の細胞が、マイクロアレイ上に存在することが期待される。この数は、更に前記抗体の配列を同定することが可能であるよう保証される(単一細胞の回収中及び/又は抗体の配列のクローニング中の、任意の損失を考慮に入れる)必要がある。
抗原−抗体相互作用を明らかにするスポットが、8つのマイクロアレイ上、つまり、先に選択された8つのB細胞プールのそれぞれについて、検出された。抗 毒素2 IgGを生成する6〜13個の単一細胞は、8つのマイクロアレイのそれぞれから、Jinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−676)により記載されるように、マイクロマニュピレーションによって取得される(図3)。選択された単一細胞によって生成された抗体の重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VL)の配列を、Jinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−676)にも記載されているようにRT−PCRによって得た。VH及びVLのcDNA配列を、全長IgG1 H鎖及びL鎖の生成のための発現ベクターにおいて個々にクローニングし、CHO細胞中へ同時導入した。H及びL発現プラスミドを用いて一過的に同時導入された前記CHO細胞の上澄み液を収集し、毒素2に対する結合に関して、及び毒素2による細胞毒性の中和に関して、それらの能力について試験した。図3に示すように、8個の上澄みのうちの6個が、毒素2に結合する組換えヒトIgGを含有することがELISAで確認された。同じ上澄み液はまた、機能的アッセイにより毒素2の毒性の中和が可能であることがわかった。
更に6個の中和抗体を、CHO細胞中の形質移入により生成し、プロテインAカラム(HiTrap mAbSelect Sure、GE Healthcare)を用いて精製した。6個の精製された組換えモノクローナル抗体のELISAによる力価測定は、それらのうちの4個が強く毒素2に結合し、2個はより弱く結合していることを示した(図4)。同様に、実施例1に記載したように、6個の精製した抗体の細胞毒性活性は、細胞毒性アッセイにより測定した。力価測定結果は、6個のmAb全てが、毒素2の細胞毒性を強く中和し、それらのうちの3個は、現在後期臨床開発にある毒素2を強く中和する基準抗体よりも優れていることを示した(図5)。従って、この実施例において、本発明の方法は、目的の生物学的活性を有するB細胞プールの選択と、単離された機能的抗体の数との間で、75%の効率、即ち、8個の選択されたB細胞プール(ヒット)のうちの6個を有効とする。
同じドナーからの410万個のB細胞を用いて行われる第二のキャンペーンにおいて(キャンペーン#2、図2)、毒素2に対して強い中和活性を示す12個のB細胞プールから開始して、10個の中和組み換え抗体を生成した(図6)。10個の中和抗体のうち、8個は強く毒素2の細胞毒性を中和した(図2、最後の行)。注目すべきことに、異なるVH配列及びVL配列を有する2つの中和抗体を、同じB細胞プール(ヒット15)からクローニングした(図6)。
全体として(キャンペーン#1及び#2)、本発明の方法は、目的の生物学的活性を有するB細胞プールの選択と、単離された機能的抗体の数との間で、80%の効率、即ち、20個の選択されたプール(ヒット)のうちの16個を有効とする。
実施例3:ISAAC技術を用いた、細菌毒素2を中和する、ヒトモノクローナル抗体の同定及び生成
毒素2に対するヒトモノクローナル抗体(mAb)を生成するために、単一細胞スクリーニングのためのISAAC技術を、実質的にJinら(Nature Protocols,2011,6(5) 668−676)に記載のように使用した。従って、実施例2のように同じドナーから精製した2140万個のPBMC(B細胞を7%、つまり149万個のB細胞を含む)を、R−848(Enzo Life Sciences)及びIL−2(Peprotech)の混合物を用いて、2つのキャンペーンにおいてバルクで活性化した。5日間の培養後、活性化させたB細胞を収集し、Jinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−676)に記載のように、毒素2を用いてコーティングされた34個のマイクロアレイ上にのせた(図7)。3時間のインキュベーション後、毒素2に特異的に結合するIgGの存在を、Cy3−共役抗ヒトIgG抗体を用いて染色することにより、及び、蛍光顕微鏡検査により特定した。毒素2に対して特異的であるIgGを分泌する単一B細胞を、従って、マイクロアレイのウェルの周囲の蛍光スポットの存在によって同定した。
図7に示すように、分析した34個のマイクロアレイで、1183個の抗毒素2スポットが、検出された。B細胞は、96ウェルプレート中で事前に採取されておらず、インビトロで増殖されていないため、ISAAC法を用いた各単一細胞は1つのヒットに対応する。検出された1183個のヒットのうち、728個の単一細胞を回収し、VH配列及びVL配列の単離及びクローニングのために処理した。115個のVH/VL対の配列を回収し(図7)、個別に、全長IgG1 H鎖及びL鎖の生成のための発現ベクターにクローニングし、H及びL発現プラスミドの対を用いて、CHO細胞に一過性に同時導入した。CHO上澄み液を更に回収し、毒素2への結合に関して、及び毒素2の細胞毒性の中和に関して、それらの能力について試験した図7に示すように、115個の上澄み液のうちの35個は、毒素2に結合する組換えヒトIgGを含むことがELISAで見出された。また、同じ115個の上澄み液のうち15個は、毒素2の毒性を中和することもできた。
毒素2に結合する35個の抗体は、マイクロアレイ上での結合のみによって選択された728個の単一B細胞(ヒット)から生成することができる(4.8%効率)ことをこれらの結果は示す。しかしながら、35個の抗毒素2 mAbのうちの15個は中和活性を示し、2つのmAb(ISAAC−2及びISAAC−14)のみが、現在後期臨床開発にある、毒素2を強く中和する基準抗体と比較して、強力な中和活性を示した(図8)。対照的に、同じ条件で試験した場合、本発明の方法により得られた2つの機能的mAb(mAb12及びmAb14)を除く全の抗体は、基準のmAbに匹敵するか又はこれより優れた中和活性を示した(図8)。
従って、この特定の実施例において、ISAACの方法論は、毒素2を中和する活性を有する抗体の、単一細胞スクリーニングを介して、選択過程で2.1%の効率を可能にする、すなわち、728個の単一細胞(ヒット)のうちの合計15個が、結合アッセイにおいて特異的に毒素2に対する抗体を生成するものとして同定される。
従って、同じドナーからのPBMCを用いたISAACキャンペーンに対する本発明のスクリーニング法を用いて得られたデータを要約する図9に示すように、強力な機能活性を有するモノクローナル抗体を同定しクローニングする確率は、第一の増殖ステップ(それによって、採取したB細胞は増殖し、抗体を生成する)と、所望の特異性及び機能性を有する抗体を生成するB細胞プールの初期選択とを含む本発明のスクリーニング方法によって大きく向上する。更に、強力な機能的活性を有する抗体を得る確率は、本発明のスクリーニング方法によって得られる最強の生物学的活性を有する抗体を生成するB細胞プールを初期に選択することによって、大いに増強されている。
実施例4:本発明のB細胞スクリーニング方法を用いた、細菌毒素1を中和するヒトモノクローナル抗体の同定及び生成
上述の実施例2において記載したように、本発明の方法を用いたB細胞スクリーニングキャンペーンを行い、ELISAにより決定される、活性化されたB細胞上澄み液中の、毒素1に結合するヒトIgGの存在に基づいて、実施例2と同じグラム陽性菌の毒素1に対する2個のB細胞プール(ヒット)、即ち、ヒット21番及びヒット22番の同定が可能であり、かつ毒素1の細胞毒性に対する活性の中和が可能であった。
これらのB細胞プールのそれぞれは、ウェルの周囲の表面を毒素1でコーティングした単一細胞マイクロアレイ上に付着させ、毒素1に対する特定のヒトIgGを分泌する単一B細胞を、実質的に実施例2において記載するように、検出及び回収した。
ヒット21番:8個の陽性単一細胞を、ヒット21番のマイクロアレイから回収した。8個の細胞のうち、5個の単一細胞から、RT−PCRによって、VH及びVL遺伝子対を正常に増幅した(図10A)。5つのVH/VL遺伝子対を発現ベクターにクローニングし、CHO細胞に形質移入した。形質移入されたCHO細胞の上澄み液は全て、毒素1に対してELISAで陽性であった。固有のVH及びVLコンセンサス配列、すなわち、γ鎖3G番及びκ鎖3K番は、陽性ELISAシグナルと関連する5個の単一細胞から発見され、これらの単一細胞のうち1個由来の対応するプラスミドを、CHO細胞でmgスケールで組換え抗体を生成するために使用した。精製された組換え体の候補は、ELISAにより毒素1に結合することが確認され、細胞毒性中和機能的アッセイにより毒素1を中和することが確認された。
ヒット22番:このヒットについて、3個の細胞のみ、マイクロアレイから回収することができた。この場合、VH遺伝子を単一細胞2番から増幅し、一方、VL遺伝子を細胞1番及び3番から増幅することができた(図10B)。従って、ヒット21番とは対照的に、VH及びVL遺伝子の対は、3個の単一細胞のいずれからも回収されなかった。従って、そのヒットからVH及びVL対を回収するために、発現ベクターにクローニングした後、細胞#1及び細胞#3由来のVL配列を含む軽鎖の両方と組み合わせて、細胞#2由来のVH配列を含むγ鎖を試験した。図10Bに示すように、単一細胞2番から単離したγ鎖(γ鎖2G番)及び、単一細胞3番から単離した軽鎖(軽鎖3L番)を用いて形質移入したCHO細胞の上澄み液は、毒素1に対してELISAで陽性であった。対応するプラスミドを、CHO細胞で、組換え抗体をmgスケールで生成するために使用した。精製した組換えmAbは、毒素1に結合することがELISAで確認され、毒素1の毒性を中和することが確認された。
従って、マイクロアレイ中の全ての細胞が、以前に選択されたB細胞の1つのプール(1ヒット)に対応するため、本発明のスクリーニング方法は、マイクロアレイ中の複数の細胞由来のVH配列及びVL配列を組み合わせることにより、VH/VL対の取得を可能にする。
Jinら(Nature Protocols,2011,6(5)668−676)に記載のISAAC法では、マイクロアレイ中の各スポットは、固有の抗体を生成する単一細胞に対応しており、従って、VH配列及びVL配列の両方が1つの細胞から回収された場合にしか、抗体の単離を行うことができない。
しかしながら、本発明の細胞スクリーニング方法では、各マイクロアレイは、その抗原特異性及び機能的活性について選択されたB細胞プール(1ヒット)由来の細胞を含む。従って、抗原に特異的であると同定されたマイクロアレイ中の単一細胞(陽性スポット)は、固有のB細胞クローンに属する高い確率を有する。従って、ヒット22番について上に示したように、不完全なVH/VL増幅(1つの細胞由来のVH又はVL)であったとしても、候補抗体配列を回収することが可能となる。従って、本発明の細胞スクリーニング法は、標的B細胞クローン由来のVH配列及びVL配列の両方の回収効率を増加させる。
実施例5:本発明のB細胞スクリーニング法を用いた、多抗原結合特性を提示するヒトモノクローナル抗体の同定及び生成
明確な多抗原結合プロファイルを示すヒトモノクローナル抗体を生成するために、ウイルスタンパク質X変異体A及びBに結合する血清IgGの存在について、事前に陽性であるとスクリーニングされた2人のドナー(I及びII)由来の6000万個のPBMCを、実施例2において上で開示したように、マウス抗ヒトIgM+抗ヒトIgD抗体混合物を用いて、その後に、抗マウスIgG抗体でコーティングした磁性ビーズを用いて、B細胞を発現するIgM/IgDを枯渇させることにより、IgG+B細胞を濃縮した。
次に、IgG+の濃縮B細胞をEBV/CD40Lによって刺激し、200個の IgG+B細胞/ウェルの細胞密度で播種し、96ウェル培養プレートで14日間培養した。14日目に、各培養ウェルから上澄み液を採取し、目的の抗原に結合するIgGの検出についてELISAで試験した。B細胞プール由来の上澄み液を、タンパク質X変異体A及びB、並びに、両方のタンパク質X変異体の2つの部分的に重複する領域にまたがる4つのペプチド(即ち、ペプチド1、変異体A;ペプチド2、変異体A;ペプチド1、変異体B;ペプチド2、変異体B)に対して、ELISAでスクリーニングした。38個のB細胞プール(ドナーI)及び17個のB細胞プール(ドナーII)からの上澄み液は、タンパク質X変異体を認識する抗体の存在について陽性であることが見出された。55個の候補全てを、ペプチドELISAによって更に試験した。これらの候補のうち、2個のヒットは標的結合プロファイルを用いて発見され、(i)タンパク質X変異体A、並びに変異体Aのペプチド1及び2;及び(ii)タンパク質X変異体A及びB、並びに両方の変異体についてのペプチド2である。結果を図11に示す。
Jinら(Nature Protocols,2011,6(5) 668−676)に記載のように、これらの2個の陽性培養ウェル由来の細胞の試料を、次に、タンパク質XのA及びB変異体の混合物でコーティングされたマイクロアレイ上にのせ、従って各単一陽性B細胞プールが、単一細胞スクリーニング用の1つのマイクロアレイにおかれた。3時間のインキュベーション後、タンパク質XのA及びB変異体に特異的に結合するIgGの存在が、Cy3共役 抗ヒトIgG抗体を用いた染色、及び蛍光顕微鏡検査によって明らかになった。タンパク質XのA及びB変異体に特異的なIgGを分泌する単一B細胞は従って、マイクロアレイのウェルの周囲の蛍光スポットの存在により同定された。
ヒットと、発現ベクターへクローニングされた対応する配列との両方から単離された、単一細胞由来のVH/VL遺伝子対を、RT−PCRにより得た。次に、モノクローナル抗体生成及び特徴付けのためにCHO細胞に形質移入した。形質移入の6日後、CHO上澄み液をELISAでスクリーニングした。図11に示すように、2個の組換え抗体は、目的の初期B細胞プールにより生成された、対応する抗体のものと区別ができない、結合プロファイルを示した。
ヒット1番の組換え抗体を、CHO細胞中で生成してプロテインAクロマトグラフィーによって精製し、次に、pH7.4のPBSで透析した。その抗原特異性を、次に、6個の抗原に対してELISAで評価した。図11に示すように、精製したIgG1は、選択されたヒットのプロファイルと一致して、ペプチド1に対してではなくペプチド2に対して強力な結合を伴って、ウイルスタンパク質Xの両方の変異体に結合することが示された(図11)。
従って、本発明の細胞スクリーニング方法の使用は、非常に特異的な標的プロファイル伴うヒットの早期選択と、対応するVH配列及びVL配列のその後の単離とを可能にする。

Claims (21)

  1. 抗体分泌細胞を含む細胞集団において、標的抗原に対する抗体を分泌する細胞を同定するための方法であって、
    (a)前記集団の細胞をインビトロで刺激して増殖させ、複数の細胞プールを得るために細胞を採取するステップと、
    (b)1つ以上の抗原に結合する及び/又はある機能的活性を示す細胞を同定するために、前記細胞プールの上澄み液をスクリーニングするステップと、
    (c)最大3つの細胞がアレイの各ウェル中に存在するような条件で、複数のウェルを含むアレイ中に、前記同定された細胞プールの細胞を付着させるステップと、
    (d)前記抗原に対する抗体を分泌する細胞を含むウェルを同定するために、前記アレイのウェル中の細胞を培養し、それらのスクリーニングを行うステップと
    を含む、方法。
  2. 前記細胞集団が、特定のアイソタイプの抗体を発現する前記細胞の能力に基づいて、ステップ(a)の前又は後において、抗体分泌細胞を選択することにより得られた亜集団である、請求項1に記載の方法。
  3. 前記細胞集団が、少なくとも1つの特異的な細胞表面マーカーを発現する前記細胞に基づいて、抗体分泌細胞を選択することにより得られた亜集団である、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記細胞集団が、B細胞の集団である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
  5. 前記細胞集団が、ステップ(a)の前又は間に、リンパ球向性ウイルスに感染している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記ウイルスが、エプスタイン・バーウイルスである、請求項5に記載の方法。
  7. 細胞採取の後、前記細胞が培養培地中に抗体を分泌する条件下で、前記細胞プールが該培養地において培養される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
  8. ステップ(b)において、前記細胞プールの上澄み液が、1つ以上の抗原に結合する抗体の存在について、及び、生物学的活性の提示について選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  9. ステップ(b)において、前記細胞プールの上澄み液が、複数の結合アッセイを行うことにより、目的の結合プロファイルを有する抗体の存在について選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
  10. ステップ(c)における前記アレイのウェルのサイズ及び形状が、ウェル当たり1つの細胞のみを入れることを可能にする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
  11. ステップ(c)における前記アレイが、前記ウェルの周囲の少なくとも表面上に結合物質のコーティング層を含み、該結合物質が、分泌された抗体の少なくとも一部に結合する能力を有し、且つ該分泌された抗体が、拡散すること及び該結合物質に結合することが可能である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の方法。
  12. ステップ(d)が、固体支持体上にアレイのインプリントを作製するステップと、該固体支持体上で抗原結合抗体の存在を検出するステップとを含む、請求項1〜11のいずれか一項に記載の方法。
  13. 抗体分泌細胞を含む細胞の前記集団がヒト由来である、請求項1〜12のいずれか一項に記載の方法。
  14. 前記結合物質が1つ以上の標的抗原である、請求項11に記載の方法。
  15. 前記結合物質が抗免疫グロブリン抗体である、請求項11に記載の方法。
  16. ステップ(d)の前記同定されたウェルから単一細胞を独立して回収するステップを更に含む、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
  17. (a)標的抗原に対する抗体を分泌する細胞を同定するために、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法を実行するステップと、
    (b)RT−PCRにより、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法のステップ(d)において同定されたウェルから単離された細胞から、VH領域及び/又はVL領域のDNAを得るステップと
    を含む、抗原特異的モノクローナル抗体のVH領域及び/又はVL領域のDNAを回収する方法。
  18. 前記VH領域のDNAが、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法のステップ(d)において同定されたウェルから単離された細胞から得られ、且つ、前記VL領域のDNAが、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法のステップ(d)において、同じアレイ上の同定された別のウェルから単離された細胞から単離されている、請求項17に記載の方法。
  19. (a)請求項1〜16記載の方法のステップ(d)の前記同定されたウェル中に存在する細胞から、又は、そのような細胞から得られた細胞培養物から、mRNAを単離するステップと、
    (b)該mRNAの逆転写を行い、対応するcDNAをRT−PCRを介して増幅するステップと、
    (c)適切な発現ベクター中で、VH領域及びVL領域に対応するDNA配列をクローニングするステップと
    を含む、抗原特異的モノクローナル抗体を生成する細胞を得るための方法。
  20. 前記VH領域のDNAが1つの単一細胞から単離され、且つ前記VL領域のDNAが、マイクロアレイ上に付着した同じ抗体分泌細胞プール由来の別の単一細胞から単離されている、請求項19に記載の方法。
  21. モノクローナル抗体を発現するような条件下で、請求項19若しくは20において得られた細胞又は該細胞に由来する細胞を培養するステップを含む、モノクローナル抗体を生成するための方法。
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